橋本テルの紗の袋帯「芳玉」の帯合わせ

第三千七百四十八回目は、橋本テルの紗の袋帯「芳玉」の帯合わせです。

金銀糸を織り込んだ袋帯ですからフォーマル用になります。今回は付下げと染の着尺(小紋)と合わせてみます。紬については、無理かもしれませんが、反面教師的な意味で合わせてみるかもしれません。まず今日は付下げからです。

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いちばん上の写真は、花也の絽の付下げ「松皮菱取りに羊歯文」を合わせてみました。無彩色の地色に糊糸目の乳白色、一部に金彩と金糸の刺繍から成っており、この帯はピッタリですね。

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写真2番目は、千切屋治兵衛の絽の付下げ「衽付萩」を合わせてみました。実際に制作したのは市川さんです。「衽付」というのは、模様のメインがマエミではなくオクミに偏っているという意味です。自然と模様は縦長で、すらっとして人がすらっと着る着物になっています。

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写真3番目は、野口の紗の付下げ「青楓」を合わせてみました。紅い楓は秋、緑の楓は春のモチーフです。緑の楓は「青楓」で、源氏物語だと「胡蝶」の前半でちらっとその言葉が出てきます。そのために青楓の図案が源氏物語に関係があることもあります。この作品では赤い楓はないですが、半分ぐらい黄色い楓が少しあったりします。そのおかげで夏の期間を前半も後半も乗り切る着物になっています。

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写真4番目は、千切屋治兵衛の絽の付下げ「鏡裏文」を合わせてみました。実際に制作したのは市川さんです。近世以前の鏡は、今のようにくっきり顔は写りません。そのかわり裏面は美術的な装飾がなされていて、顔を写すという機能だけでなく美術品と考えられて嫁入り道具などに含まれていました。私は子供のころ、歴史の図鑑で三角縁神獣鏡など見たときに、どこが鏡なんだろうと思ったものですが、博物館では裏側を飾っていたんですね。鏡の裏の装飾は、そのまま着物の模様にも使われています。

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写真5番目は、千切屋治兵衛の絽の付下げ「棒霞」を合わせてみました。実際に制作したのは藤岡さんです。霞を単純な横線で表した図案で「棒霞」とか「線霞」とか言われます。つまらない図案と言ったらそれまでですが、それでも作品がつまらなくないのは、配色が上手であること、手描きの自然な揺らぎがあること、そして糊糸目の軟らかい輪郭をもっているからでしょう。

またこの作品は糊糸目友禅ですが、白い糸目の線は隠してあります。霞というのは空気の流れや湿度によって生じるもので、ぼやっとしています。それに対し白い輪郭線が有っては雰囲気が出ないということで、わざわざ隠しているのです。


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[ 2017/05/17 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

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