野口の手挿しの訪問着の帯合わせ

第三千七百三十回目は、野口の手挿しの訪問着の帯合わせです。

今日は染めの帯で合わせてみます。染め→友禅であれば、絵画性が持ち味ですから、着物と帯は絵画どうしが重複してしまいますから慎重さが必要です。今日は絵画性の高い友禅はなるべく避けてみました。

IMG_02342.jpg
いちばん上の写真は、花也の友禅と箔と刺繍の名古屋帯「霞に羊歯文」を合わせてみました。友禅でわりと派手な赤茶色で霞を描き、その上から箔加工をして色を地味にしています。金箔というのは模様を派手にするために使うのが普通ですが、京友禅では箔で色を抑えて地味にするという発想もあります。

樹木の途中の空に霞がかかっているという景色にもなり、意味的なつながりも作れました。

IMG_02372.jpg
写真2番目は、千切屋治兵衛の名古屋帯「型疋田雪輪」を合わせてみました。実際に制作したのは藤岡さんです。友禅主体の作品ではありますが、古典文様である雪輪と型疋田ですから、絵画性は低く染めの着物と相性は良いと思います。雪もまた上空から降るものであり、樹木の途中の空あっても意味的につながるわけです。

IMG_02352.jpg
写真3番目は、千切屋治兵衛の名古屋帯「斜線と玉」を合わせてみました。実際に制作したのは中井亮さんです。これは絵画性を完全に排し、純粋な幾何学模様を合わせています。黒地に茶と白と金という強い色ばかりの組み合わせで、染物ながら織物に負けない強い表現にしています。それで西陣の袋帯の代わりが務まるのです。

IMG_02382.jpg
写真4番目は、京正の名古屋帯「瑞葉」を合わせてみました。実際に制作したのは中井淳夫さんです。くっきりした輪郭線を持つ金銀箔で瑞葉を描き、とても端正な雰囲気の作品です。プラスティックのシートをカッターで切って模様の輪郭を作る縁蓋という技法を使っているのでしょう。模様の輪郭線というのは美術史の重要なテーマで、中国南北朝時代の「画の六法」の「骨法用筆」や大観の「朦朧体」なども想起しますが、中井さんは模様の輪郭に関する美術史的な議論もよく理解しており、輪郭線になる糸目を隠したり、グラデーションにしたり、縁蓋でくっきりさせたり、いろいろコストをかけて実験しています。

IMG_02392.jpg
写真5番目は、北秀の塩瀬地で金彩と刺繍の袋帯を合わせてみました。当時(北秀は97年に破産)東京にもこういう加工をする作者がいたのです。上と同じ金彩加工ですが、中井さんに比べれば輪郭線の管理は不徹底で、中井さんの凄さを思い知ります。しかし、これはこれで温かみがあり芸術の優劣というのは一元的ではありませんね。

この作品では金彩と共に盛り金(盛上げ箔)、金銀糸の刺繍を併用し立体感を表現しています。同じ金彩でも、中井さんのテーマは端正、北秀のテーマは立体感というところでしょうか。


スポンサーサイト
[ 2017/04/29 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://shirokiyagofukuten.blog.fc2.com/tb.php/1364-f7c01b71