野口の振袖

第三千七百回目の作品として、野口の振袖を紹介します。

しぼの大きい縮緬を使った手描き友禅の振袖です。しぼの大きい縮緬の生地は、染料の含みが大きいためか、京友禅のイメージどおりの深い色を表現するのにふさわしい素材だと思います。これまで野口と岡重の作品の多くがしぼの大きい縮緬を使っていて、それが両社の京都らしさになっていました。

しかしながら一昨年あたりからしぼの大きい縮緬の生産が減ったのか、野口の着尺が別の生地になってしまったんですね。新しい生地は地紋のある生地で、それはそれで悪くはないのですが、色の深みという点で劣る気がします。この振袖は今まで通りのしぼの大きい縮緬を使っています。貴重になってしまった生地は通常の着尺に使わず、高く売れる振袖に重点的に回したのだろうと思います。

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いちばん上の写真は全体です。江戸時代の小袖にもある花の丸模様です。写真で見えているのは9個ですが、全体を数えてみると全部で13個あり、花の種類は牡丹、桜、楓、菊、梅の5種類ですが、1つの丸には1種類というようにちゃんと整理されています。

図案としてつくる場合は、パーツとしてつくり、組み立てることができるので合理的ですね。最近製造業の話で、自動車のように各パーツを擦り合わせないと性能が発揮できないものと、パソコンのように性能の良いパーツさえ調達すれば高性能なものができるものとがあって、後者は新興国でもできてしまうから日本の強みが発揮できないということが言われます。

この図案はそのようなもので、江戸時代の小袖の花の丸の図案を上手に並べればできますし、並べ替えると何種類もできるんですね。一方、波が全身につながるような図案は、すり合わせが大事な技術に似ていますね。

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写真2番目は、マエミとオクミにまたがるメインの模様です。菊です。

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写真3番目は、メインの模様の下にある模様です。ほぼオクミにあります。花の丸というより、四角い配置になっています。桜です。

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写真4番目は、マエミの下の方にある模様です。中央にある縫い目は、脇縫いです。牡丹です。

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写真5番目は、後姿の模様です。縫い目は背中心です。牡丹です。

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写真6番目は、下前の模様です。梅で、私は気に入っているのですが、残念ながら着ると見えないんですね。
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