千切屋治兵衛の着尺の帯合わせ

第三千六百九十三回目は、千切屋治兵衛の着尺の帯合わせです。

今日は単衣に仕立てて着ることを想定し、夏の名古屋帯を合わせてみます。

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いちばん上の写真は、龍村の絽の名古屋帯「夏蒐文」を合わせてみました。龍村の顧問である白川さんらしい教養がないとわからないタイトルですが、夏の名残を蒐集した、という意味でしょう。ここで蒐集された夏の名残は朝顔と萩ですが、朝顔はじつは秋の季語でもあり、夏を惜しむ時期、立秋過ぎから9月の途中までいかがでしょうか。9月になったらこの単衣で。

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写真2番目は、龍村の絽綴の名古屋帯「涼映文」を合わせてみました。絽綴は絽よりも前後に長く、単衣の時期に堂々と使えます。これは前半の単衣でしょうか。

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写真3番目は、龍村の絽綴の名古屋帯「彩葉楓」を合わせてみました。これは後半の単衣ですね。色の合わせが秋の色として決まりすぎで、絽綴でなければ晩秋のイメージになってしまいそうですね。

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写真4番目は、千切屋治兵衛の絽塩瀬の名古屋帯「鷺草」を合わせてみました。実際に制作したのは藤岡さんです。絽ではあるのですが、鷺草のイメージは6月でピッタリの感じですね。

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写真5番目は、千切屋治兵衛の絽塩瀬の名古屋帯「七夕」を合わせてみました。実際に制作したのは野村さんです。七夕は東京では7月7日ですから、6月のうちに着ないといけない感じがしますので、単衣で合わせてみました。

有名な仙台の七夕など地方は旧暦で8月ですから、堂々と夏物としても使えるテーマです。私の居る青梅市の近くでは福生の七夕祭りというのが大きいお祭りなのですが、やはり8月ですね。

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写真6番目は、藤井絞の辻が花写しの名古屋帯を合わせてみました。菱文を絞り、松が描き絵、蔦が絞りと描き絵の両方という後期の辻が花作品に取材したものです。菱の絞り部分は鋭角も含んでいますし、なにより絞り部分が白抜きでなく着色ですから、実際に染液に浸ける染めとしては難度の高いものです。

普通に生地を摘まんで防染して染液に浸ければ、模様部分が白抜きになるわけで、模様部分が着色されるパターンにはなりません。模様部分を着色するには、全体をビニールフィルムで防染して着色したいところだけフィルムの表に出して染液に浸けるという、非常に難度の高いことをします。染めている最中は全体が棒みたいな形になって、そこから布がちょびちょび出ているという状況になっているんですよ。

藤井絞はそれができますが、個人の辻が花作家(有名な人でも)はたいてい絞った後染液に浸けず筆で着彩しています。その辺の価値の違いを見抜いて欲しいところです。室町時代はビニールのフィルムがありませんから、竹の皮や油紙を使っていました。しかし竹の皮は竹の円周は超えず大きい面積は覆えませんから、桶絞りという技法が考案されたのです。
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[ 2017/03/23 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

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