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女児のお宮参りの着物

第三千六百七十八回目の作品として、女児のお宮参りの着物を紹介します。

お宮参りの着物(掛け着、熨斗目、お祝い着などとも言います)の制作者や工程について、私はほとんど知りません。友禅の着物の仲間でありながら、野口や千切屋治兵衛など友禅のメーカーでは制作していないからです。同じ冠婚葬祭の着物でも振袖や七五三とは違うんですね。おそらく喪服と同じように専業メーカーによってつくられているのでしょう。

なぜかと考えれば、やはり裏地も下着も付いた仕立て上がった状態で製品として完成するからでしょう。もし仕立て上がりでないお宮参りの着物があって、自分で別に仕立て代を払うとしたら数万円になるでしょうから、それだけで普及品の完成品と同じ値段になってしまい全く合理性がありません。お宮参りの着物というのは、高級品でも普及品でも海外に縫製工場を確保してはじめて成り立つアイテムなのです。

京都で友禅を極めようとする経営者であれば、海外で縫製工場を運営するなんて面倒なことはしたくないですから、やはり専業業者に任せるということになるのでしょう。当社はそのような専業メーカーと取引はないですから、室町や堀留の問屋を通して仕入れることになります。そのためどんな作り方をしているとか、手描きであればどの程度の作家が描いているとか、そんな情報も全くありません。

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いちばん上の写真は全体です。半円型の雪輪が重なって、そこに花と花車が描かれた意匠です。半円型の雪輪は「破れ雪輪」と言って、雪が溶けかかった状態を表したものです。早春のモチーフですね。そこに花が顔を出したということで、人生の始めにふさわしいデザインです。

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写真2番目は、実際に着用(掛けるだけですが)した時にメインに見える背中の部分です。メインの場所は富貴の花の牡丹です。

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写真3番目は、裾辺りの模様をなるべく広く撮ってみました。雪が溶けて顔を出す花に菊や萩はないと思いますが、そこは早春風景の写生ではなく、お祝いの意匠ですからね。花車の花は、上の牡丹と下の菊で対になっているのでしょう。

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写真4番目は袖の片方です。雪輪のモチーフは閉じた円なので問題ないですが、破れ雪輪はいちばん下はどうなるのか、と思いましたが、シルエット表現で処理していました。

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写真5番目は、糸目の状態がわかるように模様の一部を近接で撮ってみました。普及品のお宮参りの着物は、当然、型で制作され意匠もみんなに好まれるようなありきたりなものになっていますが、この着物はどうでしょうか。型やインクジェットのタッチではないですが、手描きか手挿し(輪郭だけ型で彩色は手作業)だろうと思いますが、なかなか見分けがつきません。

この写真ぐらい近接してみると、菊や桜の花弁の輪郭の糸目で不規則なところが有りますね。だから手描きかなあと思います。本当は同じ模様が2枚あると比べてわかるんですけどね。
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