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千切屋治兵衛の付下げ(実際の制作は倉部さん)の帯合わせ

第三千六百六十三回目は、千切屋治兵衛の付下げ(実際の制作は倉部さん)の帯合わせです。

今日は染めの名古屋帯を合わせてみます。近年は付下げや余白の多い訪問着に対し、西陣の袋帯でなく染めの帯を合わせる方がお洒落という人がいるからです。その理由は、西陣織より染の方がお洒落というわけではなく、本来超高級品である有名ブランドの西陣の帯でもネットショップで気軽に買えることがくなったので、さらに他人が持っていないものを求める心があるのでしょう。

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いちばん上の写真は、千切屋治兵衛の塩瀬地の袋帯を合わせてみました。実際に制作したのは中井淳夫さんです。描かれているのは尾形乾山の陶器の筥です。お太鼓は蓋に描かれている絵で、その蓋の裏には芒が描かれているのですが、それは腹文になっています。

中井さんの意匠は、金と茶色だけで描かれていますから、着物に対しては完全に同系色になり、色数を増やさない帯合わせになっています。一方模様は、着物はガチっと構成された文様になっているのに対し、帯は伸び伸びしているので反対です。模様のパターンは反対、色のパターンは同系という組み合わせです。

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写真2番目は、花也の名古屋帯「刺繍華文」を合わせてみました。華文の形をゴム糊の防染で白抜き状態にし、後染彩色と光沢のある漆糸の刺繍で、繊細なグラデーションを作っています。なぜいつもの糊糸目の友禅にしていないかと言えば、より精密なグラデーションを作るためじゃないですか。

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写真3番目は、一の橋の名古屋帯「桜枝丸紋」を合わせてみました。帯の地色は灰桜、丸紋はベタ箔、桜の花は胡粉仕上げです。桜は完全な白でピンクではないですが、それでも桜の色気を感じるのは地色の灰桜がピンク要素を担っているからです。白と金の明快な色彩が装飾的な雰囲気を高めています。それに着物の焦げ茶と金を加えれば、計算したように完璧な装飾芸術ですね。

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写真4番目は、花也の名古屋帯「霞取り色紙に琳派模様」を合わせてみました。霞取りの中に波があり、その中に色紙があり、それもまた取り方になっていて、中に琳派にありがちな川辺の模様が描いてあります。模様が入れ子構造になっているのです。川辺模様は、水は琳派の流水模様で楓と槇が生えていて蛇籠もありますね。蛇籠は洪水を防ぐための防災施設ですが、それを美しいと感じ模様にしていたんですね。

花也の作品のなかでも中井淳夫さんの系列の職人差を使って作った作品です。

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写真5番目は、花也の名古屋帯「霞に羊歯文」を合わせてみました。赤に近い彩色で霞を描き、金彩で色を抑えて茶色に見せています。さらに金描きでシダを描き、一部を金糸で刺繍しています。友禅と箔と刺繍の重厚な作品で、職人さんの系列で言えば中井淳夫系ですね。

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写真6番目は、一の橋の名古屋帯「薬玉」を合わせてみました。西陣の袋帯に負けない重厚な友禅作品です。友禅というのは豪華にしようとすると成金的な野暮に陥る危険がありますが、この作品は豪華でも洗練されています。制作したのは中井淳夫さんの元社員で、一の橋の中核的な下職です。中井さんの作風を継ぐ人の1人ですね。
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[ 2017/02/21 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

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