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千切屋治兵衛の付下げ(実際の制作は倉部さん)の帯合わせ

第三千六百六十回目は、千切屋治兵衛の付下げ(実際の制作は倉部さん)の帯合わせです。

今回の倉部さんの付下げは、フォーマル着物の中でどういう位置づけだと思いますか。①模様の面積の少ない地味な訪問着、②模様や技法に個性がある趣味的な訪問着、③贅沢な技法を使った高価で格のある訪問着、こうして挙げてみるとどれも当てはまるように思いますが、正反対の解釈もあって不思議なものです。では本当はどうなのかと言えば、帯の合わせ方でどれでもできるんじゃないでしょうか。

今日は、③の贅沢な技法を使った高価で格のある訪問着と解釈して、結婚式などに行くことを念頭にフォーマルな帯を合わせてみます。

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いちばん上の写真は、坂下織物の袋帯「御門綴」シリーズの1本「有職鳳花栄文」を合わせてみました。坂下織物はすでに廃業していますが、「坂下のつづれ」と呼ばれ西陣では高級品として知られていました。、織物の組織としては、地が綴組織で模様は絵緯糸です。

意匠は、中国を代表する錦で、古代から明代まで織りつづけられた蜀江錦をベースに鳳凰などを加えています。西陣の帯のタイトルは内容とぴったり合わないことがありますが、間違えているわけではなく商標登録との絡みですね。

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写真2番目は、坂下織物の袋帯「天平華文」を合わせてみました。正倉院御物にある複数の文様をコラージュして意匠にしています。もとの模様のいくつかは染織に限りません。上手にコラージュしているので、コラージュだと気が付かないぐらいです。

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写真3番目は、龍村の袋帯「海音光映錦」を合わせてみました。海の波を西陣の織の技法で表現したものです。写実でもあり品格のある意匠でもあります。タイトルには「音」という文字もありますが、たしかに音が聞こえるような臨場感のある表現だと思います。

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写真4番目は、服部織物の袋帯「こはく錦」シリーズの当時の高級ランク品「24kオリエント更紗」を合わせてみました。今ではあまり見られないぐらい細く裁断された本金の引き箔で織られています。当時の最高級品ですよね。更紗ではなくて唐花文ではないか、なんて思うこともありますが、「オリエント更紗」という1つの言葉で商標登録されているのでしょう。

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写真5番目は、紋屋井関の「御寮織」シリーズの1本「正倉院象唐草文」を合わせてみました。聖武天皇の碁石入れ「銀平脱の合子」をテーマにしたものです。碁石入れですから白黒2種類必要で、象さんチームと鸚哥さんチームがあるのですが、その2種類を並べた意匠です。

銀平脱という技法自体は中国に有りますが、正倉院のものは日本で制作されたものでしょう。象と鸚哥でエキゾチックシリーズにするなんて、古代人は現代の帯屋捨松や洛風林ぐらいのデザインの知識が有ったんじゃないかと思います。

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写真6番目は、梅垣織物の「蒔絵花鳥文」を合わせてみました。梅垣織物というのは、かつては「きしや好み」の一角として銀座きしやのウィンドウのもっとも良い場所に飾られていたブランドです。これはそのもっとも高級なラインで、昭和50年代からの20年間で18本織られたことがわかっています。細く裁断された本金の引き箔で織られた地は、もう織物のようではなくて本物の蒔絵のようにぬめっとしています。

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写真7番目は、紫紘の袋帯「天平臈纈文」を合わせてみました。タイトルは「臈纈」とありますが、実際には天平の三纈のすべてや刺繍など正倉院にある染織作品のいろんなものからコラージュしています。全体が横段模様なので、着物の意匠とシンクロして収まりが良いと思います。
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[ 2017/02/18 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

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