千切屋治兵衛の付下げ(実際の制作は倉部さん)の細部

第三千六百五十九回目は、千切屋治兵衛の付下げ(実際の制作は倉部さん)の細部です。

今日は後姿の3つの模様の細部です。

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いちばん上の写真は、後姿の上の模様です。緯糸に沿って地を埋めるように繍っている部分と一目置く菅繍で繍っている部分があります。地を埋めた部分は完全に金色ですが、菅繍部分は一目置くために金色と地色が混じって暗い金色に見えます。その明暗の差によって模様に遠近感が生じています。

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写真2番目は、後姿の上の模様に近接して、刺繍の立体性がわかりやすいように斜めから撮っています。

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写真3番目は、後姿の波の模様です。宗達の松島図を簡略化したような意匠です。このような絵画的なテーマは刺繍より描き絵の方が表現しやすいのではないでしょうか。

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写真4番目は、後姿の途中で切り替わる模様を斜めから撮ってみました。半分は有職文様である立湧文、もう半分は霞と流水と桜です。パターン的な文様部分は刺繍で絵画的な部分は金描きです。やはりテーマと技法で相性があるんですね。

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写真5番目は、マエミのメインの模様の裏側です。模様は金糸の刺繍と金描きが混じっていますが、金描きも上手いので、どこまでが刺繍でどこからが金描きか判別しにくくなっています。裏から見るとしっかり判別できますね。

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写真6番目は、マエミの下の方の模様の裏側です。比較してみてください。金糸の刺繍と金描きが判別できます。意外に金描き部分もあるとわかります。金描きの方がコストが安いわけですから、両者を判別不能にして、金描き比率を高めることができれば、コストを抑えられるわけです。そのために必要なのは優れたデザインです。

私は自分で注文して作るときは、どういうデザインにしたら金描きと金糸の刺繍を判別不能にできるか、そんなことばかり考えているんですよ。豪華なのに意外と安い、という商品は売れますから。

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写真7番目は、袖の模様の裏側です。この作品を取り上げた最初の日の記事に、この部分の表側の写真があります。ぜひ比較してみてください。
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[ 2017/02/17 ] 繍箔 | TB(0) | CM(0)

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