奥順の結城紬の無地(重要無形文化財の要件を満たさない)の帯合わせ

第三千六百五十五回目は、奥順の結城紬の無地(重要無形文化財の要件を満たさない)の帯合わせです。

今日は玉紬の生地を使った染め帯を合わせてみます。

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いちばん上の写真は、藤井絞の辻が花写しの帯を合わせてみました。実在する室町時代の辻が花裂をかなり忠実に写したものです。鶺鴒を描いたものですが、描き絵部分がとても上手に描けています。上手な描き絵というのはじつはとても稀少です。友禅の糊置きは失敗したら洗い流せばいいですが、墨描きは失敗できません。消せる墨では洗濯したら消えてしまいますから。

辻が花の人気作家として知られている人は何人かいますが、絞りのレベルはさまざまです。あまり難度の高い絞はしない人もいますし、絞った後に染液に浸けない人もいます。しかし人気のある人はみんな描き絵については例外なく名人ですよ。

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写真2番目は、藤井絞の辻が花写しの帯を合わせてみました。「瑞泉寺裂」と呼ばれる辻が花裂で、松皮菱の形が鋭角部分まできれいに再現されています。瑞泉寺というのは、秀次の家族が全員殺された地である「畜生塚」の跡地に供養のために建てられた寺です。この裂は江戸時代になってから寺に納められたものということで、怨念は籠っていないのでご安心ください。

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写真3番目は、藤井絞の辻が花写しの帯を合わせてみました。これも実在する辻が花裂の写しです。

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写真4番目は、藤井絞の辻が花写しの帯を合わせてみました。これも実在する辻が花裂の写しです。描き絵を伴わず、絞りだけで具象的なデザインを表現する後期の様式を再現しています。これは本来通り染液に浸ける絞りをしています。

染液に浸ける工程では、染料を重ねすぎると濁った色になってしまうので、無駄な回数は浸けられません。図形の問題のつもりで頭を使って絞り方を工夫し、1回で決めないといけなんですね。この図案の場合、鳥と波が離れているか近いかだけで難度が違うみたいです。

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写真5番目は、藤井絞の辻が花様式の帯を合わせてみました。これは神坂雪佳の「金魚玉」という絵に取材したものです。絞りを使って具象的な絵を表現しているのでから辻が花の流れをくむものですが、これは染液に浸けていません。絞った後に筆で着彩しているんですね。

これを見て言えることは、染液に浸ける絞ができる人は、筆で着彩する絞をすると、さらに上手くなるということです。現実の辻が花作家はほとんどすべて染液には浸けていないんですよ。しかしニセモノとも言えません。室町時代の人も染液に浸けていなかったかもしれないので。当時は最新ファッションですから、伝統を守るとか関係ないわけですよね。

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写真6番目は、加賀友禅作家、高平良隆さんの素描きの名古屋帯を合わせてみました。高平良隆さんは、常に6,7人しかいない加賀友禅技術保存会の正会員すなわち石川県無形文化財の作家です。加賀友禅作家というのは、最初から友禅をやりたかったわけではなく、本当は画家になりたくて、結果として友禅作家になったというのが普通の道ではないでしょうか。これは高平さんが、本業ではなく絵として描いたものを帯にしたものです。
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[ 2017/02/13 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

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