奥順の「結城紬縮織り」の帯合わせ

第三千六百五十回目は、奥順の「結城紬縮織り」の帯合わせです。

今日は、単衣の紬に合わせる帯というテーマです。単衣の着物には単衣の帯を合わせるのか、なんて考えると迷路に入ってしまいます。裏地のない帯が単衣の帯と思ってしまうと、爪掻き綴の名古屋帯やカジュアルな八寸の名古屋帯が単衣の帯ということになってしまいますが、そういう帯は構造上そうなっているだけで、6月と9月に使えという意味で単衣にしているわけではありません。

以前、本当に単衣の時期に締める単衣の帯(裏地が無い)というのがあって、それは大西勇(88)による袋帯でした。裏地が無いということは芯を入れることができないわけですから、芯が無くてもお太鼓が綺麗に作れるしっかりした生地で、美しい意匠とそれを達成するための複雑な組織を持ちながら、裏に渡り糸が無い(裏地が無いので渡り糸が露出していたらまずい)という稀有な作品でした。当然、値段も安くなかったですが、その凄さに気付く人も多く、複数仕入れたのにすぐ売り切れてしまいました。そのため残念ながらお見せできません。

単衣の帯と言ってもそんな特殊なものを買う必要はありません。現実の話として、単衣の着物に合わせる帯は、イメージ的に涼しげな帯で良いのです。ちょっと考えてみると、

①普通の西陣の帯のうち生地が薄手で色やデザインが涼しげなもの(糸が浮いて厚手に見える唐織はダメ)、あるいは綴

②夏帯のうちの盛夏では暑苦しく見える程度に隙間が少ないもの(龍村の絽の帯はいずれも隙間率が低く重々しく感じます)、

③紬系であれば玉紬(生紬、絹芭蕉などという商標の方が有名)、の3つがそれに相当するんじゃないかと思います。

今日は玉紬地の名古屋帯を合わせてみます。

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いちばん上の写真は、藤井絞の辻が花写しの名古屋帯を合わせてみました。生地は玉紬です。冬に締めても良いのですが、単衣用としてもちょうど良いですね。描き絵部分が多く、絞りの補助としてだけでなく独立した絵画部分としても描いています。前期の室町時代の様式を引き継ぐものですね。

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写真2番目は、藤井絞の辻が花写しの名古屋帯を合わせてみました。生地は玉紬です。この作品は六通なので仕事量が多い分、値段は高めになります。実際に締めてしまうと六通でもお太鼓でも表面に出る部分は同じです。六通の場合、体形を気にせず締められるというメリットはありますが、それ以外にコスパに見合うことがあるでしょうか。

六通の帯の存在価値を認める人は、お太鼓柄はお太鼓という画面に模様を押し込めて窮屈そうに見えるが、画面の外に模様が続いていく六通の柄は伸び伸びと見える、といいますね。本当はどうか、この写真と上の写真で比較してみてください。

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写真3番目は、藤井絞の辻が花写しの名古屋帯を合わせてみました。生地は玉紬です。室町時代には存在する、絞りが無くて描き絵だけの辻が花を写したものです。

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写真4番目は、藤井絞の辻が花写しの名古屋帯を合わせてみました。生地は玉紬ですが、上で紹介したすべての作品より夏っぽい風合いです。描き絵部分も多いですが、絞りによる表現が精緻になり後期の様式です。蔦の葉の形もかなり具象的に絞っていますし、菱文の鋭角もくっきりしています。

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写真5番目は、藤井絞の辻が花写しの名古屋帯を合わせてみました。生地は玉紬ですが、平織と紗の部分が交互に縞状になっています。夏物としても使えますが、平織と紗の平均で単衣用とも言えますね。糊糸目友禅による模様は千鳥と波を丸文にしたものです。

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写真6番目は、花也の友禅の名古屋帯を合わせてみました。生地は上と同じで、平織と紗の部分が交互に縞状になっています。糊糸目友禅による模様は短冊取りで、描かれているのは初夏~初秋までの草花です。
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[ 2017/02/08 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

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