女児のお宮参りの着物

第三千六百四十八回目の作品として、女児のお宮参りの着物を紹介します。

日本の着物のいちばんの特徴は背縫いがあることですが、お宮参りの着物だけは背縫いがありません。背中が小さいので1枚の布で足りてしまうからです。そのために3歳の七五三までは流用できますが、それ以後は使えないのです。

そもそもなぜ日本の着物には背縫いがあるのか、それは日本の反物の幅が世界標準の半分だからです。世界の服地の大部分は背中を覆うことができる幅を基準に織られてきましたが、日本だけは伝統的にその半分なんですね。日本の反物の幅を並幅または小幅といい、世界標準の幅を広幅と言います。最近は男物用の幅の広い反物生地を広幅ということが多いですが、そういう言い方は世界の染織史を知らない言い方だと思います。

「輸出羽二重」というのがありますが、それは輸出用に世界標準の幅で織られた生地という意味です。胴裏に使うばあいは半分に切ります。洋服地の木綿の縞や格子を着物に流用して「ふだん着物」を自作している人がいますが、そのばあいは背中部分は生地をわざと切ってまた縫ってつなげることになるわけです。無駄なようですがそうしないと日本の着物の定義から外れてしまうということなんだと思います。

今日紹介するお宮参りの着物は、なんと背縫いがあります。七五三兼用の着物というわけです。

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いちばん上の写真は全体です。

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写真2番目は背縫いの部分です。紋を入れる辺りか、その少し下辺りです。普通には存在しないお宮参りの着物の背縫いです。この部分に模様が無くて空間が開いているばあいは金糸で縫い紋を入れる必要があります。この作品は量感のある模様が付いているので必要ないでしょう。一般的に男児用は紋を入れないとバランスが悪いようになっていますが、女児用は紋を入れなくてもバランスが取れるようになっています。

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写真3番目は背縫いの部分です。裾の方ですね。暈しが微妙にずれているところが背縫いです。

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写真4番目は袖です。さて、今これを読んでくれているみなさんは、この友禅模様が手描きなのか、型なのか、糸目型なのか気になるところだと思います。じつは私はよくわかりません。仕立て上がっていて裏が見られないということもありますが、それ以上に、お宮参りの着物というのは普通の友禅工房ではなく、専業メーカーが作っているようで制作の状況が私にはわからないからです。
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