都織物の袋帯「向かい鳳凰」

第三千六百十九回目の作品として、都織物の袋帯「向かい鳳凰」を紹介します。

都織物は、西陣織物工業組合証紙番号385です。この作品は、向かい鶴ならぬ向かい鳳凰、華文、花菱文という伝統意匠から成っていますが、配色がパステルカラーを思わせ、モダンな雰囲気になっています。都織物の帯は、マイセンとかヘレンドとか洋食器の配色を思わせるものが多いですよね。

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いちばん上の写真は、帯の幅を写真の幅として撮ったものです。鳳凰が向かい合っている模様と華文とがあって、それが交互に丸紋として並んでいます。その丸紋の並びによって生じる隙間を、花菱文がぴったりと埋めています。このような意匠は、上代裂(正倉院裂と法隆寺裂がほとんど)によく見られるパターンです。主要な丸紋を主文、隙間を埋める菱文を副文と言います。

古代の織物の意匠の変遷を見ると、主文と副文が同じぐらいの大きさのものもありますが、主文だけが膨張して副文が衰退してしまったものもあり、さらに主文が膨張しすぎて崩壊し、副文と混じってただの散し模様になってしまったものもあります。その後は、散し模様の各要素に大小の差がついて、再び主文と副文が生まれ、模様のパターンが輪廻するのだと思われます。

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写真2番目は、主文に当たる向かい鶴の模様に近接してみました。向かい鳳凰は金糸と白のみ、周りはパステル調のカラーで桜唐草・梅唐草・菊唐草・青海波という和模様が囲んでいます。色はすっきりしていますが、模様は盛りだくさんです。

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写真3番目は、主文に当たる華文の模様に近接してみました。華文は金糸と白のみ、周りはパステル調のカラーで七宝や松など4つの和模様が囲んでいます。向かい鳳凰の模様と同じパターンですね。

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写真4番目は、副文に当たる花菱文に近接してみました。周囲を囲む4つの丸紋からできるスペースを使って、花菱文を形成しています。花の周りの放射線は羊歯文のようにも見えます。もともと隙間を生かした模様ですが、隙間さえも重層的に使っています。

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写真5番目は、向かい鳳凰にさらに近接してみました。鳳凰模様の核心部分は金糸と少しの白糸だけで織られていますが、金だけで色が無くても模様が識別できるのは、金の色の違い(より黄色っぽいところと白っぽいところ)、撚り金糸と平金糸という糸の形状の違い、撚り金糸の太さと密度の違い、この3つの違いがあるからです。金糸は形状が違えば光の反射の仕方が違い、色も違うように見えるんですね。

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写真5番目は、向かい鳳凰の近接を拡大してみました。撚り金糸が嵐のように使われています。色や太さが違うものも使われています。

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写真5番目は、向かい鳳凰の近接を拡大してみました。平金糸と撚り金糸の違いです。
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[ 2017/01/08 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

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