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一の橋の名古屋帯「丸取枝桜」のつづき

第三千六百十三回目は、一の橋の名古屋帯「丸取枝桜」のつづきです。

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いちばん上の写真は、お太鼓の「丸取枝桜」に出来るだけ近接してみました。近接してみると、桜の花の部分が盛り上がって塩瀬の生地の目がわからなくなっています。これで樹脂系顔料(あるいは胡粉)で描いてあることがわかります。

友禅作品の場合は、彩色をしても生地の目は見えていて、生地の上に色が乗っているのではなく、生地の中に色が入っていることがわかります。着物として着た場合には、生地の中に色が入っている方が生地の風合いが変わらず体に馴染むわけです。そこが友禅の存在意義で、絵画に対して絵画的な染色が独立している理由です。もし普通に顔料で絵を描いても生地の風合いが変わらなければ、訪問着の模様を描くのは画家の仕事になってしまい、染色家は無地と絞りと型染だけになってしまったのではないでしょうか。

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写真2番目は、腹文の全体です。お太鼓は丸取で、枝桜を丸型に閉じ込めるとともに金で固めて装飾性を高めていましたが、腹文では自然な形で枝を描き、写生的にしています。腹文も小さな丸取にするという選択肢もあったわけですが、この作品の作家は、お太鼓は装飾、腹文は写生、という組み合わせにしたんですね。

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写真3番目は、腹文の片側です。実際に身に付ける時はこんな感じの模様になります。

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写真4番目は、腹文のもう片側です。

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写真5番目は、腹文の枝桜の近接です。模様の輪郭はくっきりして硬く伸び伸びした感じはありません。その代わり端正ですね。縁蓋を切っているのかもしれません。その辺が画家に対する染色の職人の矜持じゃないでしょうか。二流の画家ではなく一流の染色家なんだと思います。

枝や葉は濃淡が付けられています。輪郭が硬くても絵がそれほど硬くないのはそのおかげでしょう。
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[ 2017/01/02 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

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