河合美術の袋帯「能寿蜀江天平華文」と「能寿新立枠(立涌)八方華文」

第三千五百九十六回目の作品として、河合美術の袋帯「能寿蜀江天平華文」と「能寿新立枠(立涌)八方華文」を紹介します。

白地で細かい模様のフォーマルとして使いやすい袋帯です。それぞれタイトルを見ると、一方は「蜀江」とあるので古代から明まで織られ続け、中国の文化を代表するような蜀江錦、もう一方は「立枠(立涌)」とあるので海から水蒸気が沸く雄大な景色を模様にした日本オリジナルの有職文様だとわかります。それぞれの文化を代表する意匠をベースにして、華文を加えてシリーズとしてつくられた帯でしょう。おそらく2種類だけでなく、いろんな国を代表する文様を加えて複数つくられたのでしょう。

このような格調高い意匠の使いやすいフォーマル帯で、河合美術織物という一流メーカーの帯であれば、かつては30万円ぐらいするのが普通だったでしょう。しかし私は、先日この2本の帯を予想外に安く買いました。それで喜んでいたら、これと同じものが「京都きもの市場」で75,600円で売られているのを見て、がっかりしてしまいました。

西陣の帯の商売というのは、ネットが始まってから難しくなりました。良い帯だと思って仕入れても、家に帰って検索してみるとじつはネットで安く売られていた、なんてことの繰り返しです。しかし、私が困っている以上に西陣の織屋も困っているでしょうね。この帯に関しては、私はしかたがないので税込み7万円で売ろうと思っています。損はしないです、まあ普通にしか儲からないというところです。

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いちばん上の写真は、「能寿蜀江天平華文」の帯の幅を写真の幅として撮ったものです。白地で光沢のある生地で、色はピンク、紫、黄緑、水色、朱がありますから、どんな着物の色にも合います。多色ですが色は淡く上品ですよね。色はかわいいですが模様は細かいので、若い人から年輩まで使えます。使い勝手という意味では最高の帯だと思います。

欠点としては、みんなに合いすぎて個性がないところでしょうか。こういう帯は着物が好きな人ではなく、着物は好きでないが、世間で批判されないで長く使える帯を1本だけ買いたい、という人に向いています。値段も7万円ならちょうど良いです。

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写真2番目は、「能寿蜀江天平華文」の近接です。こうしてみると、蜀江錦のパターンですよね。「天平華文」というタイトルもついているので、中の華文は正倉院文様なのでしょう。「能寿」の意味は分かりませんが、能衣装のイメージでしょうか。たしかに能衣装にもこういう裂は使われています。

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写真3番目は、「能寿蜀江天平華文」の拡大です。白地でありながら全体に光沢があるのは、絵緯糸として全体に平金糸が通っているからです。凝った作り方をしていて、決して安物ではないのです。

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写真4番目は、「能寿新立枠(立涌)八方華文」の帯の幅を写真の幅として撮ったものです。配色や全体のイメージは上の帯と一緒です。使い勝手もターゲットとする顧客も同じですね。

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写真5番目は、「能寿新立枠(立涌)八方華文」の近接です。こうしてみると伝統的な立沸文です。中の模様は「八方華文」というタイトル通り、八陵華文です。この帯のタイトルも「能寿」とありますが、能衣装にもこういう裂は使われています。

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写真6番目は、「能寿新立枠(立涌)八方華文」の拡大です。こちらも全体に平金糸が使われ、手抜きの帯ではありません。こういうのが高く売れれば西陣も栄えるのでしょうが、ネットでの価格競争に巻き込まれて気の毒です。
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[ 2016/12/16 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

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