千切屋治兵衛の付下げ「春草木」(実際の制作は中井亮さん)

第三千五百九十回目として、千切屋治兵衛の付下げ「春草木」を紹介します。実際に制作したのは、中井亮さんです。

当店が付下げや訪問着を仕入れる時の基準は、モノが良いこと(手描きの友禅であること、絵として上手いこと、洗練されていること)が全てですが、結果として秋の模様ばかりが溜まってしまっています。秋のテーマの方が優れた作品がが生まれやすいのでしょうか。

春の作品で絵としてすごいなあと思うのは、たいてい梅か桜の単一のテーマのもので、なんとなく春に咲く複数の植物を描いたもので、すごく上手いというものは印象にない気がします。アンナカレーニナの冒頭には、「幸福な家庭はどこも同じだが不幸な家庭なそれぞれである」とあり、不幸な家庭でないと小説の題材にならないようですが、自然の描写でも、盛っていく春よりも落ちていく秋の方が芸術作品の素材になりやすいのでしょうか。

今日は、中井淳夫さんの甥にあたる亮さんの、複数の春の植物をテーマにしつつ、本格的な鑑賞に堪えるという珍しい作品です。

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いちばん上の写真は、前姿(マエミ+オクミ)です。

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写真2番目は後姿です。

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写真3番目は袖の片方です。

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写真4番目は胸です。京友禅の付下げとしては珍しく胸の模様にも刺繍(あしらい)があります。模様が縫い目を越えて衿に届くかどうかですが、桜の枝は縫い目を越えませんが、スギナが縫い目を越えて生えています。
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[ 2016/12/10 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

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