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大城永光の琉球絣の夏物の帯合わせ

第三千五百六十五回目は、大城永光の琉球絣の夏物の帯合わせです。

今日は染めの帯を合わせてみます。沖縄の絣は絵絣ではなく幾何絣ですから、そこに不足している絵画性をプラスしてみる、という発想です。

沖縄の絣は、鳥の形など見ると絵絣のようにも思いますが、それは「トィグアー」と言われる伝統的な模様単位ですから、幾何学模様ということになります。法が美を守る」という柳宗悦の言葉がありますが、もともと沖縄の絣は手結で作るわけですから、その技法上の制約により絵絣は生まれにくいということだと思います。絵絣というのは絵の面白さも狙うので、普遍的な美しさを持ったものでないものもありますから。

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いちばん上の写真は、野口の夏の名古屋帯を合わせてみました。紗の生地ですが、わりと隙間の少ない生地を使っています。隙間の多い生地は、染めたと思ってもその隙間の部分は筆が空振りし染まっていないわけですから、深い発色が得られない場合があります。この作品は、ベージュの地色も模様の青も綺麗に発色して見えますが、きちんと生地が染料を受け止めているからです。

テーマは更紗ですが桜の花も見えて和風の趣もあります。桜の更紗は、以前、岡重のバッグによくつかわれた意匠でもあり、それが今になって野口の夏帯として現れたところを見ると、京友禅の本当の作者というのは分らないなあと思います。

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写真2番目は、野口の夏の名古屋帯を合わせてみました。非常に隙間の多い立絽の生地を使っています。このような生地は夏物として涼しげでいいですが、染料を受け止めてくれる生地(美術では支持体といいますね)が少ないため、綺麗な色が出にくいです。

そのため、この作品の朝顔は、かなりきつい色で描かれています。目を近づけてみると、相当ケバイのですが、離れて見るとちょうど良い色に見えます。ちゃんと計算しているんですね。

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写真3番目は、花也の夏の名古屋帯を合わせてみました。沖縄の花織や花絽織を思わせる生地を使っていますが、これは花也が特注したオリジナルの夏用の帯地です。一定のロットに達すると生地屋さんが特注に応じてくれるようです。

意匠は三角の取り方で、初夏~初秋二かけての草花が繊細な糊糸目で描かれています。また疋田もつかわれています。花也の疋田には、描き疋田と型疋田の両方があって、花也本人によれば、描き疋田の方が温かみがあって美しいということですが、私はどちらも同じように見えてしまいます。型疋田も温かみがありますし、描き疋田の精緻ですしね。

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写真4番目は、野口の夏の名古屋帯を合わせてみました。絽塩瀬の生地を使い、刺繍も多用したフォーマル要素の強い帯です。テーマも塩釜で、格調高い古典です。炬燵のように見えるのは、海岸に作られる古代の製塩設備です。藤原定家の「来ぬ人をまつほの浦の夕なぎに 焼くや藻塩の身も焦がれつつ」のように、何度も和歌に登場した歌枕ですね。

じつは江戸時代の小袖の意匠をほぼそのまま写したものです。江戸時代の後期は小袖のデザインとして文芸趣味が流行りました。この作品の元になった小袖も、元の意味が分かるかどうかで教養を測ったのではないでしょうか。「炬燵ですか」なんていったら×で、関連する歌を2つか3つ言えたら○だったのでしょう。

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写真5番目は、加賀友禅作家、高平良隆さんの夏の名古屋帯を合わせてみました。高平さんは数多い加賀友禅作家のうち7人ぐらいが成れる加賀友禅保存会の正会員で石川県の無形文化財保持者ですから、加賀友禅界のトップということになります。その人が描いた加賀友禅でない作品です。

友禅作家というのは、子供のときから友禅作家になりたいという人は稀で、たいていは画家になりたくて美大を出て、純粋な芸術家では生活が不安定なので、少し妥協して友禅作家になるものではないでしょうか。たぶんこれは画家としても高平さんの作品なのだと思います。中途半端な絵は価値がないですが、加賀友禅界のトップを極めた人の絵ならいいんじゃないか、なんて思っちゃいますけどね。

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写真6番目は、千切屋治兵衛の友禅の夏の名古屋帯を合わせてみました。一応千切屋治兵衛の商品ですが、作者はわかりません。民芸調の筒描き作品です。デザインからすると型染にも見えますが、色違いの作品と微妙に形が違うので、型紙を使ってないようです。生地はパイナップルの繊維で作った記事を使っています。
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[ 2016/11/15 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

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