千切屋治兵衛の着尺「線霞」の帯合わせ

第三千五百六十二回目は、千切屋治兵衛の着尺「線霞」の帯合わせです。

今日は西陣織の帯を合わせてみました。前回の「花菱入霞」に西陣の帯を合わせたときは、同じ横段模様を合わせてシンクロ的な統一感のある世界を作りました。今回も横段模様でシンクロ的な世界を作りますが、同時にそれを壊すような帯合わせもしてみます。

IMG_53991.jpg
いちばん上の写真は、龍村の袋帯「西域舞踊錦」を合わせてみました。豪華ですが、あまり金糸などが使われていないですし、意匠も日本の伝統的な権威に関わるものではないので、紬などカジュアルにも使いやすいです。模様はエキゾチックな西域の踊り子さん、ということで大胆でもあるのですが、その一方で、着物の横段にシンクロすることで安定感のある横段模様でもあります。

IMG_64281.jpg
写真2番目は、織悦の袋帯「金更紗蔓花」を合わせてみました。織悦の更紗模様です。横段模様によるシンクロをやめてみました。墨色に対して緑系というのは合いますね。

IMG_64241.jpg
写真3番目は、龍村の袋帯「波兎遊跳文」を合わせてみました。フォーマルのイメージの強い龍村の中で、紬にも使えるシリーズの1本です。横段によるシンクロ模様を止め、うさぎが跳ねるという動きのあるテーマにしてみました。

IMG_64311.jpg
写真4番目は、桝屋高尾の刺繍の袋帯を合わせてみました。西洋の騎士の紋章をテーマにしたものです。もともと楯に描かれた模様なので、ベースは楯の形をしています。日本の家紋はシンプルですが、西洋の紋章は模様を追加することで、家系がわかるような仕組みになっているので、複雑なものが多いですね。この紋章はイメージで創ったものか、実在の歴史上の人物のものかわかりません。

刺繍の技法を見ると、きわめて多様でホンモノの京繍だとわかります。中国刺繍は、精巧に繍われていても技法にバリエーションが無いのです。それは日本の刺繍と中国の刺繍を見分けるポイントの1つです。

IMG_53861.jpg
写真5番目は、龍村の名古屋帯「投壺矢」を合わせてみました。「投壺矢」というのは、壺の中に矢を入れるダーツのような遊びです。弓矢のような殺生につながる道具を模様にすると、お祝いの席で誤解を招きそうですし、茶事でも嫌われそうです。そこで矢は描いても鏃は描かず「投壺矢」というゲームだということにしているのだと思います。

矢の配置が、着物と同じ互い違いの横段になっていて、模様としてシンクロしています。

IMG_53791.jpg
写真6番目は、龍村の名古屋帯「葉麗花」を合わせてみました。「葉麗花」というのはおそらくグアバのことでしょう。織物の意匠というのは繰り返すことが多いので、横段としてシンクロしてしまうことが多く、前回の「花菱入霞」に合わせた龍村はすべてシンクロ模様でしたが、今回はあえて違うパターンを選んでみました。

逆もまた真なり、ということで、シンクロに安定した美があれば、その逆には変化のある美がありますね。
スポンサーサイト
[ 2016/11/11 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://shirokiyagofukuten.blog.fc2.com/tb.php/1193-447949af