中井淳夫の付け下げ「ニリンソウ」

第三千五百四十六回目の作品として、中井淳夫の付下げ「ニリンソウ」を紹介します。

先日、倉部さんの金彩の帯合わせでニリンソウの付下げを使ったときに、ニリンソウは毒草と紹介しましたが、それは間違いという指摘がありました。正しくは、ニリンソウ自体は薬草なのですが、花のない時期のニリンソウはトリカブトとよく似ていて、間違えてトリカブトを食べて死んでしまう人がいた、ということだそうです。

ニリンソウは春に白い花が咲き、トリカブトは秋に青い花が咲きます。花が咲いている時期なら間違えないのですが、葉が似ているために花のない時期は間違えやすいのだそうです。間違いを糺すついでに、この付下げも紹介しますね。

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いちばん上の写真は、前姿(マエミ+オクミ)です。気持ちが良いほどの巨大なニリンソウ3本です。地色はピンクベージュで、わりと年輩にも対応しつつ、春の空気の色でもありますね。

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写真2番目は、後姿のニリンソウです。背中心のマエミから遠い側の身頃に1本だけ描かれています。背中心にぴったり付くぐらいの位置です。背中心のマエミに近い側は無地なので、後姿はこの1本だけです。

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写真3番目は袖です。

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写真4番目は胸です。

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写真5番目は、もう片袖です。

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写真6番目は、マエミの近接です。

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写真7番目は、花に近接してみました。花の芯は金糸の刺繍ですが、本金糸を使っていて、裏側から見ると金糸の裏側が和紙です。中井さんの金糸の刺繍はたいてい本金糸を使っているので、本金でないものがあれば、それは中井さんの手を離れた後に別人によって付け加えられた可能性が高いですね。

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写真8番目は、葉に近接してみました。ダンマルで描かれています。ダンマルの語源は、地名のダマールで、その地から輸入された樹液(ゴム)のことです。そのゴムを揮発で溶いて筆で描く技法です。蝋に近い性質を持っていて、加熱しないですむ分、蝋より使いやすいです。しかし、使いやすい素材はより高い絵画的芸術性が求められるので、蝋より簡単とは言えません。

蝋と同様に半防染効果(薄く塗ると半分ぐらい防染され地色と白の中間色になる、厚く塗ると完全に防染され白くなる)があるので、それを利用して写生的な表現をすることができます。この葉の表現が良い例ですね。
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[ 2016/10/26 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

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