千切屋治兵衛の名古屋帯「金彩霞付更紗」(実際の制作は倉部さん)

第三千五百四十一回目は、千切屋治兵衛の名古屋帯「金彩霞付更紗」の帯合わせです。実際に制作したのは倉部さんです。

今日は付下げを合わせてみました。

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いちばん上の写真は、大羊居の付下げ「花唐草」を合わせてみました。着物も帯も、曲線に草花模様が重なってしまっているように見えますが、それぞれのタイトルを見れば「更紗」と「唐草」で違うことがわかります。しかし実際に着物の模様としてみると、どちらか分らないこともありますし、西陣の帯では意匠登録のテクニックなのか、わざと間違えてタイトルを付けているものもありますね。

迷う時は、それぞれ発祥した地域や時代、伝播の経路を調べて分類します。日本であれば、古代の正倉院にあるのは唐草、中世以降の名物裂にあるのも唐草、近世に東インド会社経由で輸入されるのが更紗です。しかし曲線を求める人間の心は同じで、それが繰り返し現れてくるだけかもしれませんね。

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写真2番目は、花也の付下げ「竹林」を合わせてみました。竹は白揚げだけで描かれていますが、竹の節が色糸で刺繍してあり、それがアイキャッチポイントになっています。竹には葉も何もなく、実質的には幾何学模様という要素もありますよね。モダンな発想のように思いますが、同じような発想の作品が江戸時代の小袖にもあります。

帯との組み合わせで言えば、帯は蔓植物で曲線、着物は丈で直線、という対比にしてあります。

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写真3番目は、花也の付下げ「雪輪取り柳と桜」を合わせてみました。取り方を使った意匠というのは、それぞれが独立した模様に見えてしまって、飛び柄の小紋と同じに見えてしまうことがありますが、それを防ぐために、取り方の外部に取り方どうしを有機的につなげるような模様を加えることがあります。この作品に付いてはその役割を霞が果たしています。雪輪が丸いので霞は直線にしてありますね。帯も霞付なので、霞で関連付けてみました。

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写真4番目は、野口の付下げを合わせてみました。実際に制作したのは岡本等さんです。岡本等さんは残念ながら40代で亡くなった作家ですが、かつてはフォーマルにおける野口のスタイルを決定づけるほど影響力がありました。京友禅と言えば効き色に朱色を使うイメージがありますが、それを一切やめて紫、ピンク、黄緑でモダンな雰囲気にしたんですね。

そんな着物は今ではどこにでもあるわけですが、岡本等さんの作風は、それでも京友禅の雅を感じることができたのです。それは歴史があるのにモダンでお洒落という野口のイメージにぴったりだったと思います。

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写真5番目は、中井淳夫さんの付下げ「ニリンソウ」を合わせてみました。ニリンソウは可憐で毒のある春の花です。小さな花ですがここでは大きく描かれているので、最初はなんだかわかりませんでした。でも春の空気をすごく感じることができるところ、すなわち空気感も描いているところは、さすが中井さんです。
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[ 2016/10/21 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

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