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龍村の絽の名古屋帯「ちどり」の帯合わせ

第三千五百十五回目は、龍村の絽の名古屋帯「ちどり」の帯合わせです。

今日は付下げに合わせてみます。今回の帯は腹文は横線だけですから、付下げの前姿の模様とお太鼓の千鳥が並ぶことはありません。実際に着物と帯を身に付けて振り向いた時の残像で成り立つ絵ですね。

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いちばん上の写真は、花也の絽の付下げ「波」を合わせてみました。着物と帯を両方使って「波と千鳥」を作ってみました。千鳥の模様というのは、本来波とセットのもので、この帯のように千鳥だけというのはむしろ珍しいです。龍村の図案家は、わざと未完成な図案を作って、着る人に波の着物を合わせる喜びを残しておいてくれたんじゃないでしょうか。

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写真2番目は、野口の紗の付下げ「菊」を合わせてみました。葉が主役になる枝菊で、江戸時代の小袖にある意匠に取材しています。白茶の地色に、まるで効き色のように唐突な青を持ってくる配色は野口のセンスだと思います。全然下品ではないですよね、むしろ目に心地良い刺激ではないでしょうか。

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写真3番目は、野口の紗の付下げ「垣に菊萩」を合わせてみました。地味な地色に大きな模様を付けた、若向きではないが華やかな付下げです。このような雰囲気は野口が得意ですよね。

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写真4番目は、千切屋治兵衛の絽の付下げ「雪輪」を合わせてみました。雪輪が真夏の着物に使われるのは江戸時代からの伝統ですね。雪輪取りの中味は、竹も見えますが、それ以外は萩や撫子や鉄線など初夏から初秋の植物が多いです。地色は小豆色で、暑い日の小豆色は大人の着こなしですよね。

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写真5番目は、千切屋治兵衛の絽の付下げ「棒霞」を合わせてみました。帯の意匠は千鳥以外は横線ですから、着物の模様をその横線に合わせ、形を増やさない帯合わせをしてみました。「引き算の美」なんてことを言う人がいて、色数を増やさない着こなしが都会的、という考え方がありますが、ここでは色数だけでなく形の数も増やさない帯合わせにしてみました。

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写真6番目は、野口の紗の付下げ「塩釜」を合わせてみました。江戸時代の小袖以来の模様ですが、このような模様は海景の自然描写ではなく、王朝的な文芸テーマです。浜に見える桶や薪、臺のようなものは海水から塩を作る製造工程を表すもので、須磨や明石の塩づくりの風景は、多くの歌枕になっています。有名なのは、百人一首の藤原定家の歌「来ぬ人をまつほの浦の夕なぎに 焼くや藻塩の身も焦がれつつ」ですね。

帯の千鳥については、同じく百人一首に「淡路島わたる千鳥の鳴く声に いくよ寝覚めぬ須磨の関守」がありますね。つまり、源氏物語にも登場する須磨明石を舞台に、百人一首の2つの歌を帯合わせにしてみたというところです。
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[ 2016/09/25 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

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