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龍村の絽の名古屋帯「ちどり」

第三千五百十二回目の作品は、龍村の絽の名古屋帯「ちどり」を紹介します。

龍村の夏用の名古屋帯で、「ちどり」というすごくわかりやすい名前が付いていますが、意匠もシンプルでわかりやすいです。

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いちばん上の写真はお太鼓です。涼し気な色、速い空気の流れを感じさせる横段の模様、千鳥だけというシンプルなモチーフ、という作品です。夏にふさわしく涼しげで、多様な帯合わせが出来そうなシンプルな意匠だと思います。

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写真2番目は腹文です。前姿には主役の千鳥がいませんねえ。名古屋帯ですが、龍村はブランド的にフォーマル方向のイメージなので、付下げや軽い訪問着まで使えます。付下げや訪問着は、模様の中心が前姿に有るので、帯の前姿には具象的な模様が無い方が帯合わせの範囲が広くなるんですね。

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写真3番目は、お太鼓の近接です。8羽の千鳥が描かれていますが、2-3-3のグループになっています。さらに3羽のグループは三角形になっています。さらにさらに言えば、2つの三角形は、三角定規でセットになっている2つの三角形と同じ組み合わせになていませんか。ダビンチの最後の晩餐もキリストの弟子たちが3人ずつグループになっていますが、群像画を描くときの構図のテクニックですね。

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写真4番目は、お太鼓のもっと近接です。三角定規の長い方(90度-60度-30度)の三角形のグループです。鳥や動物の群れのような絵を見る時に、いつの間にか感情移入して自分はどの鳥かなあなんて思ってしまう時があります。1羽だけ慣れている鳥があると、自分はそれじゃないか、なんて気がしてきませんか。鑑賞者をそんな気持ちに追い込めば、絵としては大成功ですね。

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写真5番目も、お太鼓のもっと近接です。三角定規の普通の方(90度-45度-45度)の三角形のグループです。空気の流れを表す白い(淡い空色)緯糸は、完全につながっているところと一部途切れているところが有ります。途切れているところは、流れていく空気の粒のように見えるんですね。跳んでいく千鳥のスピード感の表現になっています。シンプルな組織で、米の細かい表現をしているんですね。

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写真6番目は、地の絽の組織がわかるところまで近接してみました。龍村の夏物は、けっこう地が厚くて立派だけど盛夏は暑いかな、という気がしてしまいます。しかし、組織をよく見ると、緯糸3本につき1つの透き間があって、ちゃんとした3本絽なんですね。

千鳥は絵緯糸で表現されていますから糸が浮いて立体感が有ります。空気の流れを表す白い(淡い空色)線もまた、絵緯糸による表現だとわかります。だから部分的に表に出さないことも自由で、空気の粒の表現が可能だったんですね。、

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写真7番目は品質表示です。絹が95%ということで、あまり金銀糸が使われていないので、紬にも使いやすいとわかります。ポリエステル3%は銀糸、レーヨン2%はその芯糸です。芯糸が相応にあるということは銀糸は平銀糸ではなく撚銀糸として使われていることがわかります。

その銀糸はどこに使われているのでしょうか。じつは千鳥の翼で、そのことからこの千鳥がただの自然の情景ではなく、誰でも知っている懐かしい歌の歌詞にちなんだものだと気づくんですね。「濡れた翼の銀の色」です。
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[ 2016/09/22 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

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