千切屋治兵衛の振袖(実際の制作は中井淳夫)

第三千五百八回目の作品は、千切屋治兵衛の振袖を紹介します。実際に制作したのは中井淳夫さんです。

中井淳夫さんが亡くなってもう数年になりますから、この作品もかなり年数が経っていると思いますが、千切屋治兵衛によって大事に保管されてきたので状態は良いです。市女笠を籠に見立てて花を飾ったという意匠ですが、小袖にあるアイディアですね。生地はは雲の地紋で、千切屋治兵衛が振袖用の生地として、昭和50年代から平成になっても使っていたものです。

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いちばん上の写真は全体です。豪華、上品、洗練、そんな誉め言葉を考えると、どれでも当てはまってしまう作品ですね。豪華なのは、惜しげもなく施された金駒刺繍を見れば、まったく疑いようがありません。しかし、豪華でありながら、すっきりもしているんですよね。

なぜ豪華なのにすっきりしていられるのか、おそらく模様がたくさんあってもちゃんと整理できているからだと思います。花の種類は、牡丹、梅、菊、椿あるいは橘と多様ですが、1つの市女笠の籠に必ず1種類で、全体は多様でも部分はシンプルなのです。

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写真2番目は、前姿(マエミ+オクミ)です。菊と梅と椿です。アイキャッチポイントとなるマエミの菊の花は、執拗に金駒の刺繍で埋められています。

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写真3番目は、後姿です。牡丹ですが、ここだけ例外的に萩も加えられ2種類になっていますね。牡丹の花弁の輪郭だけでなく、市女笠の輪郭も重厚に金駒刺繍で埋められて、花より存在感があるぐらいです。

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写真4番目は、下前辺りです。この花のほとんどは、着ると見えなくなってしまうんです。惜しい気がしますねえ。

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写真5番目は、袖の模様の一部です。豪華でありながらシンプルだということがよくわかる部分です。色数はどうでしょうか。楓の色は同系色のグループでもそれぞれ諧調が異なって、印象より色数は多いように思います。しかし、よく調和しているためか、すっきり感じますねえ。

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写真6番目は、袖付け辺りです。方から袖にかけての上半身の模様です。ここでも重厚な金駒刺繍が見られます。

明日はさらに近接して、細部を紹介します。
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[ 2016/09/18 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

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