花也の付下げ「槇」

第三千五百三回目の作品として、花也の付下げ「槇」を紹介します。

石川県立美術館に所蔵されている俵屋宗達の「槇檜図屏風」に取材した作品です。元絵は下地が金砂子で、六曲屏風の中央によったところに槇が描かれていて、左右が広く余白になっているという、当時どころか現代に有っても斬新は構図の作品です。

この作品は、ストレートに槇だけを描いていますが、着物の意匠としては、他の植物と合わせたり、取り方の背景にしたり、小さくして色紙取りの中に入れたり、着物や帯の模様としてよく利用されているので、どこかで見たデザインかもしれません。

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いちばん上の写真は、前姿(マエミ+オクミ)です。当店で扱う花也の着物の地色としては珍しい、ちょっと色気もある藤色の地色です。槇は白揚げで描かれていて、奥行表現のためにわずかに色が挿してあります。元絵の槇は墨色だけの単色で、墨の濃淡で奥行を感じる作品ですから、元絵の作風を引き継いでいるとも言えますね。

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写真2番目は後姿です。庭石を配するときのような構図です。縦長の槇だけを配するため、余白が多く生じてしまうので、友禅の糊で砂粒を描いて、余白を処理しています。この砂のおかげで、槇どうしが有機的につながっているんですね。

この砂が無いと複数の槇が勝手に生えているように見えてしまい、1つの絵にならないのでしょうが、元の宗達の絵を見ると、余白を埋めるような小細工をせず、余白は余白のままで放置しています。余白を余白のまま放置して、それで良い作品をつくれたら花也さんの才能が宗達と同じということになってしまうわけですから、まあこれでしょうがないんですね。

ただ現在の屏風の状態は、金砂子が劣化して剥がれ砂粒のようにも見えます。花也さんはその劣化部分を砂粒に置き換えたのかもしれませんね。

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写真3番目は袖です。両袖とも2本ずつ描いてありますから、けっこう豪華な訪問着風です。

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写真4番目は胸です。胸も2本あって、しかも縫い目を越えて衿につながっていますから、訪問着と言ってもいいでしょう。

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写真5番目は、マエミの近接です。あしらいは金糸だけです。色挿しをしたわずかな部分に重ねるように刺繍しています。

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写真6番目は、後姿の近接です。
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[ 2016/09/13 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

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