千切屋治兵衛の着尺「雪の結晶」の帯合わせ

第三千四百九十回目は、千切屋治兵衛の着尺「雪の結晶」の帯合わせです。

今日は染め帯で合わせてみます。雪からイメージするものを選んで帯合わせをしてみました。雪どうし、雪うさぎ、冬に渡って行かない雀です。

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いちばん上の写真は、千切屋治兵衛の染めの名古屋帯「雪輪」を合わせてみました。実際に制作したのは藤岡さんです。雪に雪を重ねる帯合わせです。顕微鏡で細部を観察したという科学的な雪の結晶と、簡略化が美しい伝統意匠の雪輪という、同じものをテーマにしながら対照的な組み合わせです。また、雪輪は大きく面的に広がり、雪の結晶は小さくポイント的、それもまた対照的ですね。

同じテーマを重ねる時は、同じテーマの中でも対照をつくるのがコツですね。

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写真2番目は、秀雅の東京刺繍の名古屋帯を合わせてみました。手刺繍と堰出しの疋田を合わせたもので、このような作風はかつて千代田染繍が超高額な黒留袖として制作し北秀が卸していました。現在は、元々の千代田の職人さんたちやその周辺の人たちにより、東京の刺繍として制作されているようです。

これは雪輪ですが、市松や三角取りなどいろいろなパターンが作られています。私は、中途半端な友禅より良いなあと思っています。

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写真3番目は、藤井絞の名古屋帯を合わせてみました。うさぎの形を絞りで表現した帯です。絞り方を工夫して具象的な形を表すのは辻が花の原理ですから、辻が花の現代版というところでしょう。

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写真4番目は、千切屋治兵衛の染めの名古屋帯「恵比寿大黒」を合わせてみました。実際に制作したのは藤岡さんです。江戸時代の絵に、大黒様を鼠で表現したものがあります。鼠が来るのは倉に米が豊富譜にある証拠ということで、縁起物としての鼠のモチーフがあったんですね。私はうさぎの方が好きなので、うさぎに替えてみました。腹文の恵比寿様もうさぎです。鼠の耳を長くすると兎になっちゃいますね。

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写真5番目は、菱一がかつて制作した押絵の名古屋帯を合わせてみました。10年以上前に押絵の名古屋帯が流行ったことがあり、これはそのごく初期のものです。昔話などをテーマに複数制作された1本で、仲間はきものサロンなどに出ていたこともありました。

この帯に出会ったときに、とても新鮮で魅力的に見えたのでとりあえず1本買ってみたのですが、その後あちこちで制作され、さらにはカルチャーセンターで制作して趣味のサークルで販売されるようにもなり、私は販売する気を亡くし仕舞い込んでしまいました。押絵というのは、優れた伝統工芸ではありますが、元々趣味でやっている人も多いんですね。そういう人たちが、帯にもできるということを思いついてしまい、次々とつくられるようになって、商品としての価値が???となってしまったわけです。

伝統工芸の分野では、プロとアマの差が出やすい分野と出にくい分野があるように思います。そしてプロしか作れない分野が、プロの業者が扱うべき分野です。カルチャーセンターで次々作られてはお店で売れませんものね。

たとえば、友禅は手描きという人間の基本動作によるもので誰でもできそうですが、意外とプロとアマの差が出ます。箔についてはアマチュアでするという人はまずいないでしょう。刺繍については、子供のために御砂場着にクマちゃんの刺繍をする人もいるぐらいで、アマも参入しやすい分野ですが、その一方で倉部さんのような本物の京繍は誰にもできないものです。

この押絵の帯については、プロらしくセンスや配色も良いですし、なにより最近はあまり押絵の帯を作る人もいないので、まあいいかなと思っています。もちろん原価を割って売っていますけど。
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[ 2016/08/31 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

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