花也の夏の名古屋帯「渦巻」の帯合わせ

第三千四百八十四回目は、花也の夏の名古屋帯「渦巻」の帯合わせです。

今日は夏物の付下げに合わせてみました。フォーマル方向にどこまで使えるか試してみました。

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いちばん上の写真は、千切屋治兵衛のの絽の付下げを合わせてみました。実際に制作したのは中井淳夫さんです。描かれているのは杜若ですが、葉だけなのでよくわかりません。本来杜若は5、6月のモチーフで、単衣用にふさわしく絽には合わないと思うのですが、葉だけなので、水辺の風景ということで通りそうです。

技法はダンマル描きです。白い葉が防染だけの部分で、ダンマル描きのもつ半防染という特徴を生かして、白と地色の中間の色になってます。緑は濃淡2色ありますがそれが彩色部分で、その3色で陰影や遠近感を表現しています。着物全体が水面に見えるので、帯合わせによってその一部に渦巻があるというつながりのある情景になっています。

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写真2番目は、花也の絽の付下げを合わせてみました。絽の組織のパターン違いによって、市松模様が浮かぶようになっている生地です。その市松パターンを生かして、色紙取りを市松に配しています。地紋と友禅の模様を連携させた例です。

描かれているのは、初夏~初秋までの植物文で、夏の始まりから終わりまで気持ち良く着られるありがたい着物です。

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写真3番目は、野口の絽縮緬の付下げを合わせてみました。絽縮緬というのは、普通の絽より着る時期が長く、6月から9月まで着られるとされています。その代わり盛夏は避けるべきとされていましたが、近年は関係ないようです。

水辺の芦を描いていますが、野口らしく華やかな作品になっています。平凡な人は、華やかな着物を作ろうと思うと派手な着物になってしまい、若い人しか着られないことになってしまいます。派手と華やかを分けて、各年齢すべてに対応した華やかな着物を作るのは難しいのです。野口は地味でも華やかな着物が作れるので、年輩向けの華やかな着物が作れるんですね。

その仕掛けなのですが、この作品で見るように赤系を避けることなのです。野口は赤系を避けて、そのかわり紫と辛子色を効果的に使っています。

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写真4番目は、千切屋治兵衛のの絽の付下げを合わせてみました。実際に制作したのは市川さんです。市川和幸さんは琳派の華やかな着物を作るのが得意で、これこそ京友禅だ、と思わせるような画面を作ります。今は息子さんもやっていて、ブログも有って作風を見ることもできます。

この作品は水辺に生えることが多い柳を描いて、渦巻とも意味的につながります。この作品は、夏物ですから涼し気に見えるように余白の多い画面になっていますが、市川さんらしい配色で京友禅の濃厚な世界も味わえます。

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写真5番目は、千切屋治兵衛の絽の付下げを合わせてみました。実際に制作したのは中井淳夫さんです。琳派の杜若をスパっと斜め取りしていて、芸術的とも、都会的とも、お洒落とも、何でも言えてしまいそうな作品です。元絵はおそらく神坂雪佳でしょう。

ただ現代人に違和感があるのは、7,8月に着るべき絽の着物に、現実には6月に咲く杜若が描かれていることです。少々戸惑ってしまうところですが、江戸時代の絽の小袖にも杜若を描いたものがあって、それを踏襲しているんじゃないかと思います。
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[ 2016/08/25 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

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