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一の橋の名古屋帯「鹿下絵」の帯合わせ

第三千四百七十七回目は、一の橋の名古屋帯「鹿下絵」の帯合わせです。

今回のような箔づかいの名古屋帯は、カジュアルかフォーマルかわからず広い用途に使えます。使いづらい、という人もいるかもしれませんが、「使いづらい」と「広い用途に使える」というのはじつは同じ状況を指していて、心の持ちようなのです。そういうときは「広い用途に使える」と考える人の方が、人生で成功する確率が高いと思います。

今日はフォーマル方向に解釈して付下げを合わせてみます。

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いちばん上の写真は、一の橋の付下げを合わせてみました。楓と芒という、ポスターのような大きくてシンプルな作品です。模様も大きさというのは時代により変遷していて、小付けの時代が続くとその反動として大きな模様が現れるように思います。今まで30年ぐらいは小付け優位の時代ですから、そろそろ反動があってもいいのではないかと思い、当社はそれに備えて大きくてシンプルな模様の比率を増やしています。

もう1つ問題なのこの色です。魅力的なんですけどね、売りにくいなあ。

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写真2番目は、千切屋治兵衛の付下げ「山帰来」を合わせてみました。実際に制作したのは藤岡さんです。山帰来は、植物図鑑ではサルトリイバラとして載っています。赤い実が綺麗でクリスマスのリースに使われますから、秋草というよりお正月すぎても綺麗なままの植物ですね。

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写真3番目は、千切屋治兵衛の付下げ「蔦」を合わせてみました。実際に制作したのは中井淳夫さんで、生地は紬を使っています。動物模様の帯というのは個性があって、買うのに勇気が要りそうですが、着物の模様というのは植物模様が圧倒的に多いですから、組み合わせとしてじつは意外に便利です。むしろ植物模様の帯の方が、着物と重なって、これで良いのかと疑心暗鬼になることがありますね。

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写真4番目は、千切屋治兵衛の付下げ「果実」を合わせてみました。実際に制作したのは藤岡さんです。植物文の着物はたくさんありますが、たいていは花は葉で果実は少ないのではないでしょうか。果実は有っても、たいていは葡萄唐草文や秋草文の烏瓜のように古典文様からスタートしたもので、自由に写生したものではありません。

これは自由にいろんな果実を描いたもので、テーマに新鮮味があります。帯の鹿が食べるのかな、なんて思わせることができれば帯合わせとしては大成功ですね。

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写真5番目は、花也の付下げ「羊歯と華文」を合わせてみました。冬に枯れないという意味で縁起が良いとされる羊歯と華文を組み合わせた意匠です。羊歯は2種類描かれていますが、形がかなり違うので、模様としては単調にならずに済んでいます。

羊歯以外の植物を描くと季節が生じてしまうので、羊歯だけをテーマにした方が着物の模様としては便利なのです。シダ類というのは、シダ門とヒカゲノカズラ門という2つの門にまたがる大きなグループなので、いろいろな形があり、羊歯だけで模様が作れるというありがたいものなのです。

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写真6番目は、一の橋の付下げ「霞取り割付文」を合わせてみました。直線的に水平な霞模様です。細くて長くて直線ですから、シャープな印象です。その霞を取り方にして、中に割り付け文を入れています。割付文のような意匠はゴム糸目で精緻に描くと安っぽくなりますね。単純で繰り返しだからこそ糊糸目で不自由しながら一生懸命描いた感がないといけません。

このような具象性に乏しい意匠の着物は、帯合わせはとても楽です。季節もないですし、今は「無地系の着物=都会的」などと思われてもてはやされていますしね。付下げを1枚しか買わないならこういうのが良いのではないかと思います。
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[ 2016/08/18 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

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