千切屋治兵衛の名古屋帯の帯合わせ

第三千四百三十七回目は、千切屋治兵衛の名古屋帯の帯合わせです。

今回の帯は、地色は焦げ茶色で、模様もほとんどの面積が疋田という単彩という一見地味な作品です。このような帯をフォーマル、カジュアルにかかわらず綺麗な色の着物に合わせると、対比がとても綺麗です。

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いちばん上の写真は、吉岡常雄の天然染料の紬の無地を合わせてみました。コチニールとしぶきで染めたということですが、紬の白生地を後染めしたものでありながら、30年放置しても全く退色していないです。さすが吉岡さんですね。ピンクの着物が派手で着られなくなったら、焦げ茶色の帯を合わせて寿命を延ばすという手もありますね。

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写真2番目は、新田機業の紅花紬を合わせてみました。紅花というのは赤い染料ですから、年輩者は着られないイメージがあります。実際の紅花はオレンジの花ですが、水溶性の黄色とその後に出てくる赤とに分離することができます。それに藍染めを合わせると、赤・青・黄の三原色が得られますから、理論上、あらゆる色が作れるわけです。

この作品では、グレーとベージュに合わせ、さらにピンクをグラデーションにすることで、年輩者でも着られそうで、ピンクの綺麗さも保つという上手な商品づくりをしています。

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写真3番目は、野口の着尺に合わせてみました。多色の大きな花と綺麗な黄色の無地部分が横段になっている、野口しか作れないような着尺です。しぼの大きい縮緬を使用し、その生地が染料をたくさん吸い込んで、深い色と落差の大きいグラデーションを形成している、というように感じさせることこそ、野口の独自の様式なのだと思います。これを見てしまうと、他社の小紋は全て、生地の上に型で色をぺらっと乗せただけのようにしか見えなくなりますからね。

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写真4番目は、野口の着尺に合わせてみました。これも横段の意匠ですが、模様部分は写生的な草花ではなく、慶長縫箔の写しになっています。元作品は刺繍ですが、型染に変更しているんですね。横段の色が切り替わる部分は、上の作品はくっきり変わっていますが、この作品はグラデーションになっています。それだけでも大きく印象が変わるものですね。

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写真5番目は、花也の付下げを合わせてみました。綺麗なピンクに染めてありますが、生地が紬なので光沢が少なく、それほど若向き感はありません。加工は糊糸目で安田的なクオリティです。

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写真6番目は、野口の着尺に合わせてみました。実際に制作したのは倉部さんです。蝶がいて春のモチーフですが、雪輪と合わせることで、冬~春に長く使えますね。
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[ 2016/07/08 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

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