野口の夏の名古屋帯の帯合わせ

第三千四百二十四回目は、野口の夏の名古屋帯の帯合わせです。

カジュアルな雰囲気の帯ですが、カジュアルにも伝統的な織物から浴衣まで幅があります。今回の帯は、正絹の紋紗というフォーマルっぽい生地に、折締絞りというカジュアルっぽい技法を合わせたものですから、カジュアルの中でもけっこう幅広く使えると思います。今日は、伝統的な織物を中心としたカジュアルの中でもフォーマルっぽい方、明日は浴衣を中心としたカジュアルそのものを試してみます。

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いちばん上の写真は、野口の正絹の絽の小紋を合わせてみました。生地は紅梅になっているので、小さな四角がたくさん並んでいる状態です。それに型染で格子状の模様を染め、さらに全体を市松模様にぼかしています。三層に四角が重なっているわけで、レベルの高い意匠力だと思います。

その四角尽しを帯の丸の模様に対比させてみました。正絹の小紋ですから、この帯が使える上の限界ですね。

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写真2番目は、大城永光の花絽織を合わせてみました。花織と絽織を併用した織物で、少し昔は花倉織と表記されていました。しかし、花倉織という名称は首里織でしか使えないことになったので、南風原など他の地区で織られたものは今は花絽織といいます。

花織と絽織を併用した織物ですから、組織の構造を現す一般名としては、花絽織という方が論理的ですねえ。実際に夏物の着物として着る時は、各地の絣織物などと同格に扱うことが多いですが、歴史的には琉球王家の官服ですから、龍村の夏帯など合わせて格の高い雰囲気を演出しても良いと思います。今回はこの帯が使える上の限界ということで試しています。

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写真3番目は、琉球壁上布を合わせてみました。琉球絣の夏物です。「夏琉球」とひょうきされていますが、壁糸と言われる糸を使った織物ということで「壁上布」ということもあります。「壁糸」については、検索すると解説が読めます。比較的、リーズナブルな価格にもかかわらず、手織りで絣も手括りだそうです。手括りの絣と言うと、本土ではそれだけで超高級品のイメージですが、南風原には絣を手括りする専業の業者がいて、大城広四郎以外の各工房は外注しているそうです。それで少し合理化しているんでしょうね。

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写真4番目は、東郷織物の夏大島を合わせてみました。東郷織物は大島紬の有名な織元です。大島紬は高額なイメージがありますが、それは締め絣という超絶技巧的な細かい絣をするからで、絣の無い格子柄はそんなに高いものではありません(どこで買っても10万円以下)。でもお洒落感はかわりません。高いからお洒落ってわけでもないですし、配色さえ上手ければ縞や格子はモダンで良いですよね。

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写真5番目は、「秦荘花織」とネーミングされた織物を合わせてみました。秦荘というのは平成の大合併により消えた地名で、現在は愛荘町といいます。もともと近江上布の産地で、その技術でいろんな織物が織られていて、価格もリーズナブルでセンスの良いものも多くあります。

秦荘村は、もともと秦川村と八木荘村が合併してできた村でした。「秦」の字は、帰化人を連想させ、古代からの織物産地なんだろうと期待させますね。近江上布を行商したのが近江商人で、その代表が伊藤忠と丸紅の創始者の伊藤家です。一方、八木荘村は堤康次郎の出身地で、西武グループ発祥の地です。なんとこの一角から日本の戦後の経済史の一部が作られていたんですね。
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[ 2016/06/25 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

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