野口のどちらかというとカジュアルな夏の名古屋帯

第三千四百二十三回目の作品として、野口のどちらかというとカジュアルな夏の名古屋帯を紹介します。

紋紗の生地に絞りで模様を付けた名古屋帯です。正絹の帯ですが、このような絞りの模様だとカジュアルな雰囲気になりますね。

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いちばん上の写真は、帯の幅を写真の幅として撮ったものです。

丸い形の絞りの周囲に四角い枠が見え、丸と四角で構成された意匠のように見えます。しかし、この四角の枠は意図的に描かれたものではなく、この丸い絞りは生地を折りたたんで圧力をかけて防染する絞りで、その折り目に染料が溜まった痕跡なのです。技法の特徴としてやむなく生じたムラを意匠として取り込んでいるんですね。

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写真2番目は、絞りの模様の無い部分の生地の写真です。紋紗の模様は丸で、それに対して絞りで丸い模様を重ねているのです。これこそ野口のセンスですね。普通の人なら、生地の地紋と染の模様は違うものにするのではないでしょうか。

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写真3番目は、絞りによる模様の近接です。丸模様の紋紗の生地の上に、絞りで丸い模様を重ねたのであれば、両者を関連付けたいところです。しかし、ここでは両者は大きさも違い、配置もずれています。生地の地紋と染の模様が同じということは、たぶん両者は連携しているのだろうと思いますが、その予想は完全に裏切られ、両者は勝手に存在しています。

これも野口のセンスでしょう、これが洒脱な雰囲気を生んでいるんだと思います。

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写真4番目は、生地の近接です。紋紗の構造がわかるように撮ってみました。緯糸は太いしっかりした糸で全体が同じです。経糸は撚った糸ですが、紗の部分だけさらに強く撚って糸を細くし、隙間を作って紗にしています。

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写真5番目は、生地の紗の部分の拡大です。隙間がよくわかるように下に赤い紙を敷いてみました。

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写真6番目は、生地の紗でない部分の拡大です。
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[ 2016/06/24 ] 絞り | TB(0) | CM(0)

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