2017 07123456789101112131415161718192021222324252627282930312017 09

大羊居の付下げ「花唐草」の細部

第三千四百十七回目は、大羊居の付下げ「花唐草」の細部です。

細部を見ていくと魅力的なパーツの多い作品なので、花を中心に近接で撮ってみます。

花にあしらいをする場合においては、花の輪郭を金駒で括るばあいもありますし、花の芯だけに刺繍をするばあいもありますし、花弁を面で覆うように色糸で刺繍する場合もあります。京友禅では、普通はそのうちどれかの方法を選択し、統一的な表現をします。ある花については輪郭を金駒で括り、ある花については花弁全体を色糸で覆うというような、統一感の無いことはしないものです。

しかし大羊居の花のあしらいは自由で、花ごとに視覚的に最善と思われる方法で自由にやっているみたいですね。私としても紹介のしがいがあります。

IMG_99891.jpg
いちばん上の写真は、マエミの上の方です。野口真造の論文に「染色は水の芸術である」というのがありますが、この花の花弁は、それを地で行くような多色を水でぼかした表現です。赤、黄、青を隣り合わせた派手な表現ですが、各色は直接接しておらず水のおかげで生じた白い緩衝地帯があります。そのおかげでケバくないんですね。

さらにその上に金糸であしらいをしています。染色をした後に強調のためにあしらいをするのではなく、最初からあしらいで金を加えることを前提に染色をしているのです。あしらいで価値が増すのではなく、あしらいが無ければ染色も無意味になるというわけで、刺繍の重要度が大きいですね。

IMG_99881.jpg
写真2番目は、マエミの下の方です。これも上と同じパターンですね。面白いので、同じパターンを2つ載せてしまいました。

よく見ると、蔓の色に濃淡があります。陽が当たっているところ、いないところ、というほど論理的な色分けではないですから、写生的な色分けではなく意匠的な色分けなんですね。この濃淡があることで、模様に奥行きを感じますから、意匠というのは必ずしも論理的でなくてもいいのだとわかります。

IMG_99841.jpg
写真3番目は、マエミの中ほどです。友禅はあっさりしていて、あしらいで作画が完成したような花の表現です。花弁の外周を広い面積で覆うとともに、花芯も青と金という刺激的な色を使ってあしらっています。

IMG_99861.jpg
写真4番目は、オクミの上の方です。金糸の駒繍を使った、京友禅でもありそうな普通のあしらいですが、葉については輪郭ではなく中心の葉脈をあしらっています。花弁については白糸で、面を覆うあしらいも併用しています。

IMG_99951.jpg
写真5番目は、オクミの下の方です。小さな花ですが、主役の花ではなく、がくの部分にあしらいを入れています。金糸ですが、輪郭ではなく面白い表現ですよね。
スポンサーサイト
[ 2016/06/18 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://shirokiyagofukuten.blog.fc2.com/tb.php/1047-56f7565f