野口の着尺

第三千四百二回目の作品として、野口の着尺を紹介します。

私が野口の商品として仕入れたものですが、以前、京都きもの市場に別メーカーの商品として掲載されていたこともあります。型染を染めるには、反物を広げるために12m以上の長さの作業場が必要なはずですから、野口も含め、作業場を持っていないメーカーは実際には作っていないわけです。

業者どうしの取引を「仲間取引」、白生地を提供して職人または工房に染めさせる業者を「つぶし屋」などといいますが、私のように20年か30年京都の染物を扱っている小売屋でも、実際には誰が染めているか、というのは分らないことが多いですよ。

ただ私が感じるのは、良いモノを創るのにいちばん重要なことは、腕の良い職人ではなく、そのために自腹でお金を出そうとする意思です。一生懸命技を磨いたり、真面目に働いたりすることは誰でもできるのですが、損する可能性の高いものに大金を出すということはなかなかできないからです。野口とか洛風林のように、問屋を名乗りつつも自分で十分すぎるリスクを負っている人こそ、本当の作家だと思います。

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いちばん上の写真は、反物の幅を写真の幅として撮ったものです。美しい更紗模様です。色もモダンですね。徐々に近接して撮っていくと、ますます布としての魅力が増していくように思われますが、着物として着る人を引き立ててくれるのでしょうか。また帯合わせってどうなのでしょうか。そう考えていくと、布として美しい、だけでは済まないです。

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写真2番目は近接です。

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写真3番目は、さらに近接です。

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写真4番目は、さらに近接です。
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着るのは難しいけれど

仰有る通り、更紗は着るのは難しいですが、世界どこのものも美しいですね。
季節のない柄がびっしり詰まっていますが、白地で柄がブルー系ですから、イメージ的には初夏でしょうか。どちらかというとこっくりした色合いの、秋冬が合うような更紗が多い中、爽やかですね。
今日、今月14日から渋谷のザ・ミュージアムで開かれる「西洋更紗 トワル・ド・ジュイ」展の前売り券を買ったところです。こちらでも透明感ある色合いの更紗を拝見できて、嬉しくなりました。
[ 2016/06/04 03:06 ] [ 編集 ]

「西洋更紗 トワル・ド・ジュイ」のサイト見てみました

インドの更紗は、東インド会社が世界に拡販したために、日本でもインドネシアでもヨーロッパでも流行しましたが、やがてそれぞれの地域で自前の更紗が染められるようになりました。ヨーロッパのばあい、おおらかで多色の木版の更紗はインド風ですが、細密で単色の銅板の更紗は独自性が強いです。そのデザインの源泉について、更紗が輸入される以前のタピスリーの田園風景模様を展示しているのが、なるほどと思いました。
さらに、ヨーロッパの更紗風模様というと、日本人はモリスを良く知っていますが、インドからモリスまでの橋渡し役としてもジュイの作品を見るのは意味が有るなあと思いました。
フランスの更紗の禁止期間は1686年から1759年なんですね。つまりマノン・レスコー(1731)はインド更紗を着ていない、ジュリ・デタンジュ(1761)はぎりぎり、ジュスティーヌは「美徳の不運」の中で実際に着ていますね。ちゃんと調べてみると面白そうですねえ。
[ 2016/06/04 17:35 ] [ 編集 ]

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