龍村の絽の名古屋帯「秋涼」

第三千三百九十六回目の作品として、龍村の絽の名古屋帯「秋涼」を紹介します。

連続して3点、龍村の絽の名古屋帯を紹介してきました。今回の「秋涼」は萩をテーマにしており、前の「かすみびし」と「風矢羽」にくらべて具象的で絵画的に鑑賞しやすいです。呉服の展示会などで作品が並んでいれば、どうしても絵画的に鑑賞できるものが買いたくなりますよね。実際に身に付けて買うならば、じつは抽象的な模様の方が使い勝手が良かった、なんて気づくこともありますが。

女性用の着物を着ることが無いおじさんの呉服屋さんが仕入れに行って、新作の並んだ発表会で仕入れをすると、どうしても絵画的に美しいものが多くなってしまうものです。

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いちばん上の写真はお太鼓です。風に秋を感じることが多くなった季節、その秋風に吹かれる萩の花、というテーマです。地の濃淡は秋風の表現でしょうか。夏後半にしか身に付けられない意匠ですが、夏の着物の時期は短いのにそれをさらに前半と後半に分けないといけないのは、仕入れなければいけない私、そして買う立場のユーザーにもつらいところです。

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写真2番目は、腹文です。秋風に吹かれていますねー。

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写真3番目は、お太鼓の近接です。模様は絵緯糸による表現ですが、糸の色の濃淡で奥行表現をしています。

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写真4番目は、お太鼓の近接です。萩の先端に行くにしたがって、糸の色は淡くなります。地の濃淡もそれに合わせて淡くなるので、模様と地の色が調和しているんですね。

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写真5番目は、お太鼓の拡大です。萩の葉の白い部分を拡大してみると、微妙に銀糸が混ぜられているのがわかります。陽が当たらない根元の方は青、陽が当たる葉先は白、さらに当たるところは銀糸を混ぜて輝きを演出しているのです。普通の写真で見ると銀糸が混ぜられているのは気が付かないので、拡大してわかる程度の混ぜ率なのです。仕掛けは分らないが、なんとなく明るく見える、というところを狙っているんですね。

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写真6番目は、お太鼓の近接です。この帯の模様の中で唯一の赤です。効き色として使われています。赤は一か所だけなので効き色効果は大きいですね。

映画の演出で、血が飛び散るシーンで観客に衝撃を与えたい時は、そのシーンの前の数分間は画面に赤い色が写らないようにするそうです。そう思ってから、いちばん上のお太鼓全体の写真を見ると、やはり同じ原理の演出がされていることがわかります。

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写真7番目は、同じ部分の拡大です。留め糸にも赤が使われています。徹底して効き色効果を狙っているのです。

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写真8番目はタイトル部分です。こう書かれちゃうと、8月後半まで身に付けられませんね。迷惑タイトルかも。
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[ 2016/05/28 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

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