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錦工芸の九寸の名古屋帯「南天」の帯合わせ

第三千八百三十一回目は、錦工芸の九寸の名古屋帯「南天」の帯合わせです。

今日は付下げに合わせてみました。

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いちばん上の写真は、花也の付下げ「竹林」を合わせてみました。先日に裁付下げを帯合わせで使いましたが、こちらは竹の一部をダンマル描きにして遠近感を付けたものです。友禅は糊で完全に防染されるので白くくっきり抜けますが、ダンマル描きは半防染で中間色になるので、両者を併用すると空気遠近法のような効果が出るのです。

友禅だけの作品は、竹林とは言いつつ直線が並ぶ幾何学模様のように見え、ダンマル描きを併用した作品は竹林の写生に見えます。下絵が同じでも技法によって視覚効果が変わり、作品の意味が変わってくるんですね。この帯合わせは、笹の葉の無い寒々とした竹林と雪と南天で、現実にありそうな組み合わせです。

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写真2番目は、花也の付下げ「和本」を合わせてみました。本をテーマにした友禅作品は、江戸時代の小袖以来、連綿と作られています。たいていは光悦の謡本などテーマにしていて、文のページと絵のページがあり、文のページは疋田、絵のページは多彩な友禅で表現しています。

両者は1対1または2対1ぐらいでバランスを取っているわけですが、この付下げは全部疋田で絵画性が不足しています。帯で絵画性を補完せよ、ということなんですね。このぐらいの赤い実が有ってちょうど良いのではないでしょうか。

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写真3番目は、花也の付下げ「斜め取り宝尽しと吹寄せ」を合わせてみました。画面をいきなり切り取るような斬新な取り方を採用しモダンな雰囲気がある一方で、松葉はちょうど良いぐらいにかすれて、伝統的な糊糸目を実感させてくれる作品です。吹寄せ→晩秋というイメージで、冬の雪と南天につなげてみました。

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写真4番目は、千切屋治兵衛の付下げ「蔦」を合わせてみました。実際に制作したのは、千治の本社工場です。今はないですが、かつては千治や千總にはちゃんと本社に工房がありました。わりと若い職人さんたちが正座して並んで糸目や彩色をしており、まさに工房だったのですが、「工房」などといわず「工場」と言っていたのが、着物が普通の商品であった時代を思わせます。

中井淳夫の糸目を消した友禅による作品にそっくりです。千治の工場では、当時最も尊敬されていた中井さんを模倣した作品も作っていたというわけです。おそらく中井さん自身も協力していたのでしょう。

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写真5番目は、花也の付下げ「紐」を合わせてみました。紐が絡まるだけの図案で、単体で見ると絵画性が不足して鑑賞しにくいところが残念ですが、帯合わせを考えると便利です。そのばあいはもちろん色が綺麗なことが条件ですけどね。

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写真6番目は、花也の付下げ「笹取り楓」を合わせてみました。ダンマル描きで笹の葉を描き、それを取り方にして糊糸目で楓を描いたものです。友禅部分は線描きで、ダンマルのぼやっとした中間色と糊糸目の乳白色の線の対比が楽しめるようになっています。楓のいきなりの赤い彩色が意外ですが、私のような関東人は京都っぽさを感じます(京都の人は違うと思うかもしれないですが)。

この赤が、南天の赤い実に対応するんじゃないかと思って選んでみました。
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[ 2017/08/09 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)