龍村美術織物の間道の袋帯「常磐間道」の帯合わせ

第三千八百五十三回目は、龍村美術織物の間道の袋帯「常磐間道」の帯合わせです。

このような間道は、私は訪問着(黒留袖でも)にも紬にも使ってしまいます。縞と考えるとカジュアルなイメージで紬に使えますが、名物裂の間道と考えるとフォーマルなイメージで訪問着に使えるからです。今日は付下げに合わせてみました。

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いちばん上の写真は、一の橋の付下げ「流水に紅葉」を合わせてみました。実際に制作したのは倉部さんです。倉部さんは刺繍も箔も高いですから、50万円以下で売れる商品にしようと思うと模様の量は限定されます。幸か不幸かすっきりした着物にならざるを得ないんです。

間道の帯の使い方としては、ごちゃごちゃした模様の着物にはすっきりした間道が使いやすいということもありますし、すっきりした着物にすっきりした間道を合わせて人生もすっきりさせようということもありますね。

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写真2番目は、一の橋の付下げ「柳」を合わせてみました。実際に制作したのは倉部さんです。これもすっきりせざるを得なかった着物です。模様の量が限定される着物は、単純に模様面積が少ないだけでなく、模様を物語的に展開させることができないのです。そのためワンパターンで繰り返すことになります。この作品であれば、柳に付きものの水車や橋や燕はなく、柳と箔ぼかしだけです。それがまたすっきりを増幅させるんですね。

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写真3番目は、一の橋の付下げ「孔雀に唐花」を合わせてみました。実際に制作したのは倉部さんです。この着物も模様の面積は多くないですが、孔雀の模様そのものに物語性があるので、目が少しだけ満腹感を感じられるんじゃないでしょうか。すっきりで上品というだけだと優等生的なつまらなさがありますから。色に関しては、紺地の着物に紺の縞の帯を合わせ、色数の少なさからくるすっきり感を追求してみました。

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写真4目は、千切屋治兵衛の付下げ「槇」を合わせてみました。実際に制作したのは倉部さんです。上の倉部さんの孔雀は縁蓋を切って精緻な輪郭線を持っていて端正ですが、こちらは手による金描きで写生的に仕上げています。金描きで光の当たる部分と当たらない部分を描き分けて、さらに光が当たる部分は金糸で刺繍をしています。

元絵は言うまでもなく宗達の「槇檜図」ですが、宗達が墨でしたことを金彩で行っているわけです。金というのは装飾に使うものですが写生もできるよ、というところです。

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写真5番目は、一の橋の付下げ「花兎」を合わせてみました。実際に制作したのは安田さんです。安田の友禅というのもとても高価なもので、50万円までと思えば相当すっきりせざるを得ないですね。ホンモノの安田を見たことのある人はあまりいらっしゃらないのではないでしょうか。安田というのはよくある姓ですから、たまたま同じ名前の同業者もいますが、現在の安田は一の橋と京正の扱いが全てだと思います。花也の作品は、安田本人ではなく、もともと安田にいた糸目糊置きの職人さんをつかったものです。
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[ 2017/08/31 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

龍村美術織物の間道の袋帯「常磐間道」

第三千八百五十二回目の作品として、龍村美術織物の間道の袋帯「常磐間道」を紹介します。

龍村の間道のシリーズをまた仕入れてみました。もともと間道のシリーズはほとんど高島屋専用で、一般の小売店が取り扱うことができるのは「海老殻間道」だけでした。しかし近年ようやく一般の小売店が扱うことができる「たつむら」ブランドでも間道が売られるようになりました。よほど売れ行きが良いらしく次々新作が出ています。

もともと間道などというものは織物としての組織には差が出ないものですし、デザインも縞の太さと色の順番が変わるだけで本質的に変わりません。では高島屋専売と一般販売のどこが違うかといえば、タイトルだと思います。高島屋で販売されるものは「弥兵衛間道手」とか「青木間道手」というように実在する名物裂に倣って作られ、そのままの名前が付いています(「手」というのは完全な復原ではないという意味)。

それに対し一般販売のものは、なんとなく縁起が良いような、お茶を濁すようなタイトルがついているんですね。この「常磐間道」も本当は元にした名物裂があるのですが、高島屋に遠慮してそれを名乗れず、「常磐」というなんとなく縁起が良いだけの名前が付いているのです。なんだ名前だけのことか、と思われるかもしれませんが、正倉院裂や名物裂については、何を継承しているかという意味で名前は大事です。名跡みたいなものですね。

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いちばん上の写真は帯の幅を写真の幅として撮ってみました。

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写真2番目は近接です。

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写真3番目は、タイトル部分の近接です。

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写真4番目は拡大です。

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写真5番目は、帯の裏側がわかるように撮ってみました。裏も同じ間道です。
[ 2017/08/30 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

勝山織物の名古屋帯「トルコ草花文」の帯合わせ

第三千八百五十一回目は、勝山織物の名古屋帯「トルコ草花文」の帯合わせです。

今日は付下げと訪問着に合わせてみます。

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いちばん上の写真は、秀雅の付下げを合わせてみました。実際に制作したのは、千代田染繍またはその系統の工房です。友禅の糸目の技術は上手ですが彩色は乏しく、そのかわり多めの刺繍が見どころになる千代田染繍っぽいパターンです。鳥がゆったりと飛び王朝風です。

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写真2番目は、花也の付下げ「紐」を合わせてみました。帯の草花文が曲線模様で、着物の紐模様も曲線なので、曲線を重ねるような感じです。

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写真3番目は、秀雅の付下げを合わせてみました。実際に制作したのは、千ぐさまたはその系統の工房です。イスラム美術のようなアーチ模様に更紗を合わせた意匠です。

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写真4番目は、野口の付下げを合わせてみました。実際に制作したのは岡本等さんです。ちょっと洋花どうしでしつこいですね。

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写真5番目は、花也の訪問着「額縁取り羊歯桂帯文」に合わせてみました。このような体の前でL字形になるパターンを「額縁取り」といいます。模様自体は、羊歯文と桂帯が長くつながっていくデザインです。

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写真6番目は、野口の訪問着に合わせてみました。実際に制作したのは倉部さんです。体の前の部分は、縁蓋を使った金彩で雪輪模様になっています。その雪輪の中には多めの刺繍、それ以外の部分は宝尽くしが散らばる意匠です。倉部さんの刺繍は高価なので、小さい模様が散らばる程度でも50万ぐらいになってしまいます。近くで見ると素晴らしいですが、大きなパーティー会場ではただの地味な着物になってしまうのが欠点です。

この作品は雪輪の部分に模様が集中しているので、そこがアイキャッチポイントになって、他の場所が寂しいことに気が付かずなんとなく華やかな着物だったように感じさせてしまうでしょう。
[ 2017/08/29 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

勝山織物の名古屋帯「トルコ草花文」の帯合わせ

第三千八百五十回目は、勝山織物の名古屋帯「トルコ草花文」の帯合わせです。

今日は付下げに合わせてみます。「トルコ草花文」というタイトルですから当然エキゾチックなテーマなわけで、合わせる着物も外国風景か更紗系が良いのかと思ってしまいます。しかし今日はあえて全然異質な、日本の季節の植物文を合わせてみようと思います。このような模様の帯の汎用性を証明するためです。

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いちばん上の写真は、花也の付下げ「市松取り桜」を合わせてみました。桜の着物に合わせる帯は難しいです。桜はいつもその季節においては女王のようにふるまうので、素直にお供になってくれるテーマの帯を探すのは大変です。この帯は「名も知らぬ花がただ風を受けながらそよいでいる」ように見えるので、女王に沿わせてみました。

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写真2番目は、中井淳夫の付下げ「蒲」を合わせてみました。初夏の湿地に生えている蒲の穂です。いつか機会があったら兎の帯に合わせてみましょうか。

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写真2番目は、千切屋治兵衛の付下げ「ジャノヒゲ」を合わせてみました。実際に制作したのは中井淳夫さんです。ガーデニングではグランドカバーとしても使われるジャノヒゲです。実が冬中付いているのですが、この作品では、中井しか描けない青で描かれています。

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写真4番目は、中井淳夫の付下げ「ニリンソウ」を合わせてみました。本来小さな花ですが、この作品では巨大に描かれています。春に着るには、上品なのに馬鹿が付くほど春らしい着物です。

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写真5番目は、千切屋治兵衛の付下げ「波」を合わせてみました。実際に制作したのは中井淳夫さんです。糸目を消した表現で描かれています。なぜかと考えたときに、この作品の肝は唐突な真っ赤な波頭ですから、白い糸目の輪郭線など介在してはいけないからだろうと思います。

私に「海鳴りのごとく愛すと書きしかばこころに描く怒濤は赤き」という歌を教えた人がいましたが、それはこんな赤ではないかとイメージしています。

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写真6番目は、野口の付下げを合わせてみました。実際に制作したのは、橋村重彦さんです。中井淳夫さんの彩色担当でもあった橋村さんですが、作品を見ると色が中井っぽいですね。松林と菊を描いた重い友禅です。
[ 2017/08/28 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

勝山織物の名古屋帯「トルコ草花文」の帯合わせ

第三千八百四十九回目は、勝山織物の名古屋帯「トルコ草花文」の帯合わせです。

その前に、今日は先日の帯の説明の補足です。

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いちばん上の写真は、帯の裏側の渡り糸の拡大写真です。帯の模様の黄色い花が洒脱なタッチに見え、しかも立体感を感じるのは、このようにジグザグに見えるほど撚った糸を絵緯糸として織っているからです。臙脂色の花が黄色と同じタッチに見えながら少し立体感の無い大人しい表現なのは、同じように撚った糸でも少し細いからです。西陣の織物は、何かしら視覚効果があれば、そこに仕掛けがあります。その仕掛けは必ず糸にありますね。

さて本題に戻って、今日は染めの着尺に合わせてみます。

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写真2番目は、野口の更紗の着尺を合わせてみました。多色で余白もない、かなりしつこい印象の縞更紗と合わせてみました。帯合わせしにくい着物ですが、けっこう大丈夫みたいですね。

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写真3番目は、野口の更紗の着尺を合わせてみました。着物と帯の模様の印象が似てしまいました。これだったら上の縞更紗の方が良いように思います。

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写真4番目は、野口の吹寄せの着尺を合わせてみました。上の写真の着物の更紗の草花模様を和モノに置き換えたら、こんな吹寄せでしょうか。和洋切り替えると重複感が無いようです。

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写真5番目は、野口の横段の着尺を合わせてみました。いかにも野口らしいイメージの大きな横段で、帯合わせはしにくい印象ですが、帯の力も拮抗してけっこう良いように思います。

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写真4番目は、千切屋治兵衛の着尺を合わせてみました。実際に制作したのは大和さんです。帯は風になびく草花ですがほぼ横段で、着物は直線の横段です。横段どうしという点で共通で、直線と曲線という点で反対です。世間には似た者同士で仲の良い人と、性格が反対で補いあってよいコンビになっている人がいますが、両方を兼ねた関係は最強ではないでしょうか。
[ 2017/08/27 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

勝山織物の名古屋帯「トルコ草花文」の帯合わせ

第三千八百四十八回目は、勝山織物の名古屋帯「トルコ草花文」の帯合わせです。

今日は紬に合わせてみます。

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いちばん上の写真は、真栄城興茂さんの琉球美絣を合わせてみました。藍染の木綿の紬です。かつて沖縄には貢納布制度があって、織った織物は全て年貢として納めていたので、意匠を自分で考える余地はありませんでした。しかし1903年の地租改正以後、税金は現金で納めることになったので、各自が織ったものを販売し、それで得た現金で納税するようになりましたから、工夫して良い織物を織れば豊かになることができるようになりました。

それで生まれた織物のうち、最初期のものがこの美絣です。大正時代が創始ということで、長い歴史を持つ他の沖縄の織物に比べて新しいように思ってしまいますが、そのような事情があって新しい体制の古い織物なんですね。

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写真2番目は、久米島紬を合わせてみました。泥染の焦げ茶、草木染のベージュ、ユウナ染のグレーを横段にして、模様単位であるトィグアーを配したものです。新しいデザインのように見えて、染料も模様もじつは全て伝統的なもの、という伝統工芸のあるべき姿のような作品です。

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写真3番目は、かつての重要無形文化財の証紙がある結城紬を合わせてみました。おなじみの亀甲ではなく、1本の縞で絣で色が変わっていくという自由なデザインです。

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写真4番目は、黄八丈を合わせてみました。黄色と鳶色の細かい格子です。

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写真5番目は、黄八丈を合わせてみました。黄色と黒の大きい格子です。

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写真6番目は、林宗平の塩沢紬を合わせてみました。「古代紬」というネーミングで制作していました。伝統工芸展っぽい雰囲気の創作的な多色の絣です。絵羽になっています。
[ 2017/08/26 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

勝山織物の名古屋帯「トルコ草花文」

第三千八百四十七回目の作品として、勝山織物の名古屋帯「トルコ草花文」を紹介します。

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いちばん上の写真はお太鼓です。全体の模様は六通ですが、お太鼓近辺と腹文近辺だけ多彩で、それ以外は黒と金だけの配色になっています。この写真は主に多彩の部分です。

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写真2番目は、お太鼓の近接です。

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写真3番目は、もっと近接です。花の形は洒脱な絵のようなタッチに見えます。

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写真4番目は拡大です。「洒脱な絵のようなタッチ」の正体です。模様の黄色い糸に強い撚りがかかっていて、絵の線が直線的ではないのです。また花を立体的に見せる効果もありますね。

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写真5番目は、帯の端で銘の部分です。

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写真6番目は、お太鼓近辺の裏側です。多彩の部分は渡り糸が有って、絵緯糸で表現されていることが分かります。

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写真7番目はお太鼓や腹文の近辺以外の裏側です。黒と金だけの部分です。
[ 2017/08/25 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

龍村平蔵ブランドの座布団地「瑞典祭馬文錦」の続き

第三千八百四十六回目は、龍村平蔵ブランドの座布団地「瑞典祭馬文錦」の続きです。

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いちばん上の写真は、昨日よりさらに近接してみました。馬の部分に最接近してみました。使われている色は、赤・白・黒・緑・黄色の5色です。

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写真2番目は、限界まで近接してみました。赤と白と黒は経糸が浮いて模様表現をしています。緑と黄色は緯糸が浮いて模様表現をしています。

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写真3番目は拡大してみました。赤と白と黒は経糸が浮いて模様表現をしていて、緑と黄色は緯糸が浮いて模様表現をしているのが確認できます。

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写真4番目も拡大してみました。緯糸が浮いている黄色の下に、経糸が浮いている赤が見えます。また緯糸が浮いている緑の下に、経糸が浮いている黒が見えます。写真はありませんが、裏は赤と白と黒だけが見えます。赤と白と黒は経錦で、緑と黄色は絵緯糸による表現になっているのでしょうか。

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写真5番目は生地を広げてみました。これでも全体の3分の1ぐらいです。壮観な眺めで、こういう作品は本来の座布団として機能することは無くても、人を恍惚とさせる機能はあります。作品というのはそれで十分ですね。

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写真6番目は、いつものモデルさんたちが勘違いして歩いてきてしまいました。
[ 2017/08/24 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

龍村平蔵ブランドの座布団地「瑞典祭馬文」

第三千八百四十五回目の作品として、龍村平蔵ブランドの座布団地「瑞典祭馬文錦」を紹介します。

今日紹介するのは、個人のコレクションを譲っていただいたものです。畳んだ状態で専用の箱が付いています。座布団5枚分の生地の長さがあります。

龍村平蔵ブランドなので、もともとは高島屋と大丸で販売されたものでしょうが、30年または40年以上昔と思われます。龍村の座布団地は現在も制作されていますが、このような美術的に鑑賞するものではなく、単色で実際の使用を考えたものです。おそらくこれとは全く違う系統でしょう。

最初に販売された時は、おそらく30万円ぐらいではなかったかと思います。私は、平蔵ブランドの美術的なインテリアのシリーズをいくつか(テーブルクロス、タピスリー、クッションなど)購入したことがあり、いずれも高島屋と大丸扱いで30万円だったからです。

実際にこれを座布団として仕立てて使用する人がいるかと思うと、現在では考えにくいです。しかしこれが企画された当時は、家の権威を保つ小道具として購入する人もいたのでしょうね。格天井で銘木を使った床の間がある大きな和室ならこういう座布団が必要です。大事なお客様用で家族は使わなかったでしょうが。

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いちばん上の写真は、作品の幅を写真の幅として撮ったものです。作品の銘がある端の部分で、全体の長さは数メートルあります。広げると壮観です。

長さと幅と作品の芸術性を考えると、丸帯に出来そうな気がします。このぐらいの存在感のある龍村の丸帯であれば、数百万でもおかしくないはず。前のオーナーはそうしようと思わなかったのでしょうか。と考えて改めて作品を見ると、全体の模様は3列なんですね。帯として締める時に半分に折るとお太鼓に見える模様は1列半になってしまいます。もし2列か4列であれば、めでたく丸帯になっていたかもしれません。

どうしても帯にするということであれば、真ん中を切り取って袋帯にすればできますね。でもそれはしなかった、作品に対する敬意でしょう。もしそれをするなら他人がうらやむ帯にしなくちゃいけない義務がありますね。

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写真2番目は近接してみました。

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写真3番目はさらに近接してみました。

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写真4番目は「龍村平蔵製」の銘です。

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写真5番目は作品名です。

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写真6番目は専用箱の銘です。

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写真7番目は作品を包んである紙です。紙が「獅噛太子」(太子間道)のデザインになっていました。ということは、こんな紙までオリジナルで作らせていたんですね。お金もかかることですし、昔の龍村はすごいですね。

明日は拡大して組織をチェックしてみます。
[ 2017/08/23 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(2)

丹波屋の名古屋帯「クリミア飾華文」の帯合わせ

第三千八百四十四回目は、丹波屋の名古屋帯「クリミア飾華文」の帯合わせです。

今日は織物に合わせてみました。帯はフォーマルに合いそうな華やかさがあるので、ただの地方の紬ではなく、もともとは琉球王家の官服でもある首里や読谷の織物、あるいは京都のメーカーによる織物を合わせてみました。

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いちばん上の写真は、読谷花織を合わせてみました。ちょっと珍しい紫地のもので、帯の効き色を生かしてみました。

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写真2番目は、「織の会ヌヌナス」のロートン織を合わせてみました。織の会ヌヌナスについて私はじつは知らないのですが、ラベルによれば山城るみ子さんという方がやっているようです。ラベルが手書きに印鑑なので、ラベルを印刷する必要が無いほどの生産量生産なのでしょう。

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写真3番目は、秋山真和の綾の手紬を合わせてみました。19世紀に織られた首里の織物として実在する織物を再び織ったものです。

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写真4番目は、秋山真和の花織を合わせてみました。目が痛いほど青い藍染の色です。

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写真5番目は、織悦の着尺を合わせてみました。戦後は西陣織と言えば袋帯のイメージですが、今でも着尺を織っています。これは袋帯で人気のブランドによる着尺で、技法は経錦です。

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写真6番目は、群馬シルクの糸を使った着尺を合わせてみました。現在は国産繭を売りにした商品が出ていますが、その元祖ともいうべき産地をブランド化したものです。碓氷製糸の糸を使っていて、手触りは素晴らしいです、センスはかろうじて普通というところでしょうか。制作したのは松田という京都の問屋です。
[ 2017/08/22 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

丹波屋の名古屋帯「クリミア飾華文」の帯合わせ

第三千八百四十三回目は、丹波屋の名古屋帯「クリミア飾華文」の帯合わせです。

今日は染めの着尺を合わせてみました。

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いちばん上の写真は、千切屋治兵衛の着尺を合わせてみました。実際に制作したのは大和さんです。汎用性の高い華文の帯なので、個性のある更紗の着物を合わせてみました。

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写真2番目は、千切屋治兵衛の着尺を合わせてみました。実際に制作したのは大和さんです。上の例は余白が多いという点で帯が合わせやすい着物ですが、ここでは余白の無い着物を合わせてみました。

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写真3番目は、野口の着尺を合わせてみました。上の例は単色濃淡ということで帯合わせしやすい要素もありますが、ここではより帯合わせが難しい多色にしてみました。

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写真4番目は、城間栄順の紅型の着尺を合わせてみました。帯合わせしにくい着物の代表と言えば沖縄の紅型です。余白の無い多色の着物であるだけでなく、顔料を使っているために色が強いのです。今回の帯の帯は汎用性が高い華文ですから、紅型にチャレンジしてみました。これは藍型なので単色濃淡でまだ合わせやすい着物ですね。

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写真5番目は、城間栄喜の紅型の着尺を合わせてみました。

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写真2番目は、玉那覇有公の紅型の着尺を合わせてみました。本来帯合わせが難しい着物ですが、なんとか合っているんじゃないかと思います。
[ 2017/08/21 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

丹波屋の名古屋帯「クリミア飾華文」の帯合わせ

第三千八百四十二回目は、丹波屋の名古屋帯「クリミア飾華文」の帯合わせです。

今日は付下げを合わせてみました。

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いちばん上の写真は、野口の付下げを合わせてみました。実際に制作したのは岡本等さんです。野口はもともと「小紋の野口」と言われるぐらいカジュアルのセンスは定評がありましたが、昭和50年代の呉服業界はフォーマルばかりが売れる時代でした。野口としては小紋で得たセンスが良いという定評を傷つけないフォーマルをつくる必要がありました。そのためただ悉皆屋に発注するだけではなく、専属の作家を養成したのでした。その人でもっとも成功したのが岡本等さんだと思います。

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写真2番目は、野口の付下げを合わせてみました。実際に制作したのは岡本等さんです。岡本等さんの作風の特徴は、京友禅の伝統である朱系の色を排したことです。かわりに紫を多用してモダンな雰囲気になりました。そのモダンな雰囲気を生かすのは繊細でクリアなゴム糸目でした。また色糸目も多用しました。でもそれにはルールがあって、必ず挿し色と同系色を使って濃淡関係になるようにしています。

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写真3番目は、野口の付下げを合わせてみました。実際に制作したのは岡本等さんです。上の2作はエキゾチックな雰囲気ですが、これは松竹梅菊萩という和モノです。岡本等さんの作風はエキゾチックものまたは華文のような無国籍モノにふさわしいように思いますが、この写真で見ると和モノも合います。

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写真4番目は、花也の付下げ「市松取り桜」を合わせてみました。桜の時期に着る桜の着物に合わせる帯というのは迷うものです。主役の桜の純粋性を妨げてはいけないですものね。華文は数少ない邪魔しないパートナーだと思います。

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写真5番目は、千切屋治兵衛の付下げ「扇面取り四季花」を合わせてみました。実際に制作したのは倉部さんです。帯の紫のモール糸に呼応するように紫の地色を選んでみました。

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写真6番目は、千切屋治兵衛の付下げ「桐唐草文箱」を合わせてみました。実際に制作したのは倉部さんです。倉部さんの中でも豪華な金糸の刺繍の作品です。
[ 2017/08/20 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

丹波屋の名古屋帯「クリミア飾華文」

第三千八百四十一回目の作品として、丹波屋の名古屋帯「クリミア飾華文」を紹介します。

誰にでも愛される華文の帯です。丹波屋らしい特長と言えば、効き色として配された紫色、そしてぽわぽわしたモール糸の感触だと思います。それが無ければありふれた帯ですよね。

さてモール糸ですが、私の思い出の中にあるモール糸は、小学生のころ工作でよく使った、芯が細い針金で回りに毛虫のように化繊の糸が撚り付けてある糸でした。しかし名物裂でいうモール糸は、近世に東インド会社を通じてインドから輸入された超高級な裂に使われている糸です。日本の金糸は芯糸に金銀箔(裏は和紙)を巻き付けたものですが、インドや中近東の金糸は芯糸に金または銀の薄い板を撚り付けて作った糸なので金の使用量が多いのです。

今回の帯に使われている糸は、金銀糸の意味ではなく毛虫のような糸で、私の思い出に近いです。このような糸はシェニール糸というようです。シェニールというのはフランス語で毛虫の意味です。

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いちばん上の写真は帯の幅を写真の幅として撮ってみました。紫の色とシェニール糸の感触がアイキャッチポイントですね。

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写真2番目は近接です。

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写真3番目は拡大です。シェニール糸を拡大してみましたが、地にも特徴がありました。地は白ですが、一定の間隔で金糸が織り込んであるのです。しかも金糸は平金糸と細い撚り金糸が1本ずつセットになっているのです。そのような工夫が面白い視覚効果や質感を生んでいるのです。

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写真4番目は、もっと拡大です。

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写真5番目は裏側です。華文は絵緯糸で表現され、裏に渡り糸が有ります。

[ 2017/08/19 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

一の橋の型染の着尺の帯合わせ

第三千八百四十回目は、一の橋の型染の着尺の帯合わせです。

今日は、染の名古屋帯を合わせてみました。今回の着尺は著しく絵画性が不足していますから、絵画性の高い友禅染の帯を合わせて補完してみました。「補完」は、帯合わせの基本的な発想だと思います。

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いちばん上の写真は、花也の名古屋帯「槇に流水」を合わせてみました。着物に対しては同系色濃淡の関係にある帯合わせです。色数が少ないのでさりげなく見えますが、じつはダンマル描き、金彩、糊糸目友禅(砂部分)、金糸の刺繍、ぼかしと多様な技法を使った重装備の作品です。

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写真2番目は、花也の名古屋帯「苧環」を合わせてみました。ダンマル描きによる作品です。半防染効果を使って写生的な表現をしています。彩色と金彩と刺繍を加えています。

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写真3番目は、花也の名古屋帯「扇面取りに羊歯」を合わせてみました。糊糸目による線描きを多用していて、そこが見せ場でしょうか。

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写真4番目は、花也の名古屋帯「花文様」を合わせてみました。糊糸目の美しさがウリの普段の花也とは正反にyp対の作風です。京友禅というのは悉皆屋のシステムによってつくられますから、メーカーは突然違う作風の作品を発表することもできるわけです。

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写真5番目は、野口の名古屋帯「青手更紗」を合わせてみました。手描きの友禅ですが、筒描きみたいに太い素朴な輪郭線です。花也ばかり見ていると、糸目は細い方が美しく、技術的にも難度が高く価値があるように思えてしまいますが、逆もまた真で、太くて魅力的な糸目もあります。

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写真6番目は、千切屋治兵衛の名古屋帯「恵比寿大黒」を合わせてみました。実際に制作したのは藤岡さんです。お太鼓が大黒、腹文が恵比寿になっています。江戸時代の図像では、大黒天を鼠の姿にしたものがあります。鼠が来るのは富裕の証拠だから縁起が良いということですね。今回は耳を長くして兎にしてみました。鼠の図像で耳だけ長くしたら兎になっちゃったんですよね。

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写真7番目は、花也の名古屋帯「輪繋ぎ」を合わせてみました。ほどよくカジュアルな感じもあって、よく合っていると思いますが、それほど絵画性を補完するというほどでもないですね。

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いちばん上の写真は、千切屋治兵衛の名古屋帯「雪輪」を合わせてみました。実際に制作したのは藤岡さんです。茶系濃淡関係でありながらメリハリもあって、とても良い帯合わせだと思います。ただ絵画性を補完するという意味は少ないかな。
[ 2017/08/18 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

一の橋の型染の着尺の帯合わせ

第三千八百三十九回目は、一の橋の型染の着尺の帯合わせです。

今日は、今回の着物の生地が紬地であることを生かして、本来であれば紬の着物に合わせる帯を合わせてみました。ただあまりにも民芸的な味わいの帯を合わせるのも違和感があるため、作家モノの浮織の名古屋帯を合わせてみました。

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いちばん上の写真は、秋山真和さんの花織の袋帯を合わせてみました。沖縄の海のようなグラデーションで、こういうセンスは作家モノっぽいです。

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写真2番目は、秋山真和さんの浮織の袋帯を合わせてみました。一見、花織に見えますが、じつは花織風にグラデーションの配色をした浮織です。文学でも絵画でも織物でも、作家は鑑賞者をだまして遊ぶものですね。

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写真3番目は、ルバース吟子さんの首里織の名古屋帯を合わせてみました。技法としては浮織で、横に連続している模様は綜絖花織、塊になっている模様は手花織です。

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写真4番目は、ルバース吟子さんの首里織の名古屋帯を合わせてみました。技法としては浮織で、この作品も綜絖花織と手花織を併用しています。浮織は裏に渡り糸が有るので、横につながる模様は綜絖を使う浮織、つながらない模様は手で糸を差し入れる浮織が合理的なのです。

生地に別の糸を差し入れて紋織を形成する技法は、技法名としては浮織ですが、沖縄では、組織の一部が変化して紋織を形成する花織と区別されず「花織」といいます。「読谷花織」がその例です。

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写真5番目は、上間ゆかりさんの首里織の名古屋帯を合わせてみました。技法は花織です。上間ゆかりさんは東京の美大を出ていて、色が森田空美さんの無地系の着物に対応している雰囲気です。青山八木さんでよく扱っていた作家さんと言えば、色のセンスが理解できますね。

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写真6番目は、伊那紬の浮織の名古屋帯を合わせてみました。伊那紬は伝産マークによって信州紬の1つにカテゴライズされていますが、他の信州紬が格子までであるのに対し、浮織も織っています。
[ 2017/08/17 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

一の橋の型染の着尺の帯合わせ

第三千八百三十八回目は、一の橋の型染の着尺の帯合わせです。

今回の着物は後染ですが、生地は紬なので、帯合わせについては着る人の都合の良いように広く解釈して、フォーマル方向もカジュアル方向(紬方向)も試してみたいと思います。今日は西陣織の名古屋帯を合わせてみました。京都の産物を合わせるのは、中央の文化ですからフォーマル方向の帯合わせですね。

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いちばん上の写真は、錦工芸の名古屋帯「雪の結晶」を合わせてみました。単彩主義の着物に単彩の帯を合わせて、全体に色数を抑えて帯合わせです。こういうのは都会的な雰囲気になりますね。

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写真2番目は、錦工芸の名古屋帯「インカ鳥波」を合わせてみました。エスニックなテーマで、どちらかというと紬と合わせてお洒落な感じの帯です。紬地に後染という変則パターンの着物は、こういうのがぴったりあったりしますね。

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写真3番目は、錦工芸の名古屋帯「南天」を合わせてみました。白茶色地の着物に白地の帯で、南天の実の赤が効き色になっています。

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写真4番目は、龍村の名古屋帯「アンデスの神」を合わせてみました。「インカ鳥波」と同じプレインカ文明をテーマにしたものです。錦工芸と龍村の作風の違いが比較できます。

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写真5番目は、龍村の名古屋帯「瑞典星陵文」を合わせてみました。これもエスニックなテーマです。龍村は国別のテーマで展示会をしていました。

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写真6番目は、龍村の名古屋帯「麗葉花」を合わせてみました。麗葉花というのはおそらくグアバの意味だと思います。
[ 2017/08/16 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

一の橋の型染の着尺

第三千八百三十七回目の作品として、一の橋の型染の着尺を紹介します。

紬地に型染した着尺です。このような細かい筋が多数ある意匠は、しけ引き染を連想させます。しけ引き染は刷毛を使って手染めするもので、けっこう高価なものです。これも似たような模様ですが、型染(シルクスクリーン)で染めているため普通の京都の型染小紋の値段です。

どう違うかと言えば、しけ引き染の職人はより美しく繊細な線を引こうと自分の技を磨いているでしょうが、型染めの職人もまた自分の技を磨いているでしょうから、本来しけ引き染でないとできないことが型染でもできてしまったり、反対にどうしても型染では追いつかなかったりするわけです。

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いちばん上の写真は、反物の幅を写真の幅として撮ってみました。反物の端の緑のラベルは、「茨城県特産指定」の証紙です。石下紬の染下地を使っていることが分かります。

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写真2番目は少し近接してみました。

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写真3番目は、さらに少し近接してみました。刷毛で染めたしけ引き染は繊細で、型染ではそこまで出来ないと考えれば間違いだと思います。しけ引き染は人の手による温かみがあり、型染は画一的と考えればさらに間違いだと思います。

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写真4番目は、出来るだけ近接してみました。例えばこの写真を見て、手描きしているとか、型で染めているとか区別ができるでしょうか。

錦工芸の九寸の名古屋帯「インカ鳥波」の帯合わせ

第三千八百三十六回目は、錦工芸の九寸の名古屋帯「インカ鳥波」の帯合わせです。

今日は付下げに合わせてみました。

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いちばん上の写真は、菱一の付下げ「洋花」を合わせてみました。実際に制作したのは大松です。帯合わせの都合で、帯と着物の模様を近接させて撮っていますが、実際には着物の裾の低い位置に洋花が並ぶ意匠です。裾模様は江戸時代後期から流行った模様配置で、江戸町人の粋や武家の質実剛健を合わせたような地味なものですが、ここでは裾に多彩な花を配し地味とも派手とも解釈できるような様式になっています。

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写真2番目は、菱一の付下げ「縦付け菊」を合わせてみました。実際に制作したのは大松です。黒い地色は粋な雰囲気になりがちですが、そこに縦にすっと伸びる花を配しますます粋な雰囲気に演出しています。

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写真3番目は、秀雅の付下げ「アーチ更紗」を合わせてみました。実際に制作したのは千ぐさです。イスラム美術的なアーチ模様に更紗の花を配したものです。

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写真4番目は、千切屋治兵衛の付下げ「ぼかし豆」を合わせてみました。実際に制作したのは中井淳夫さんです。糸目を消した表現で中井さんらしい凝った技法です。ちょっとデカダンの風のある独特な雰囲気です。そのデカダン風はどこから来るのか、茶色系の地色か、蔓の曲線模様か、あるいは裾の方が淡い色の暈しであることから来る不安定感か。

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写真5番目は、千切屋治兵衛の付下げ「八重葎」を合わせてみました。実際に制作したのは中井淳夫さんです。これも手描き友禅ですが糸目の無い表現です。曲線模様の和でも洋でもない表現で、「インカ鳥波」がなんとなく合う感じですね。

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写真2番目は、千切屋治兵衛の付下げ「雲海」を合わせてみました。実際に制作したのは西山謙一さんです。西山さんは、普通の糸目友禅ではなく、無線友禅やダンマル描きを専業とし写生的な作風で制作しています。写生的な表現をしたい作家は、糸目の無い無線友禅やダンマル描きといった技法を選ぶわけです。

糸目のある表現で様式的な表現をする作者は作品に失敗が少ないですが、写生的な表現をする作家は失敗するときはすごくつまらない絵を描くものです。この作品はけっこう上手く行った例ではないでしょうか。
[ 2017/08/14 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

錦工芸の九寸の名古屋帯「インカ鳥波」の帯合わせ

第三千八百三十五回目は、錦工芸の九寸の名古屋帯「インカ鳥波」の帯合わせです。

今日はカジュアルな訪問着に合わせてみました。パーティー着と言われるタイプです。

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いちばん上の写真は、野口のカジュアルな訪問着(パーティー着)を合わせてみました。更紗模様の着尺に使う型(シルクスクリーン)を流用したものです。

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写真2番目は、野口のカジュアルな訪問着(パーティー着)を合わせてみました。横段模様の着尺に使う型(シルクスクリーン)を流用したものです。

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写真3番目は、野口のカジュアルな訪問着(パーティー着)を合わせてみました。江戸時代の武士の衣装である熨斗目模様をイメージしたものです。

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写真4番目は、野口のカジュアルな訪問着(パーティー着)を合わせてみました。反物状態で販売されていますが、指示された位置で裁つと更紗の訪問着になります。

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写真5番目は、千切屋治兵衛のカジュアルな雰囲気の訪問着を合わせてみました。実際に制作したのは、中井淳夫さんです。糸目を消した友禅で脱力感のある模様が描いてあります。落書きのような雰囲気を出すためにわざわざ糸目を消しているんですね。脱力感のある落書きにきれいな糸目があっては不自然ですものね。そういうことに芸が細かいのが中井流です。
[ 2017/08/13 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

錦工芸の九寸の名古屋帯「インカ鳥波」の帯合わせ

第三千八百三十四回目は、錦工芸の九寸の名古屋帯「インカ鳥波」の帯合わせです。

今日は染めの着尺に合わせてみました。

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いちばん上の写真は、野口の着尺を合わせてみました。エキゾチックな帯に合わせる着物と言えば、とりあえず更紗ですね。帯が多色ですから単彩濃淡のものを選んでみました。それと帯の主役が鳥なので、着物に鳥がいないことも大事ですね。

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写真2番目は、野口の着尺を合わせてみました。暗緑色地の大きい蔓草模様です。こういう模様は更紗模様か唐草模様かわかりにくいことがあります。花の形で判断してこれは更紗だと思いますが、西陣の帯のタイトルのばあい、唐草文の系譜の属するものでありながら、わざと間違えて「××更紗」とタイトルを付けているものがあります。おそらく意匠登録の都合と模倣者を惑わせるためだと思います。

大きな模様の着尺は一見帯合わせが難しそうですが、模様が大きいということは余白も大きい(無地場がある)ということです。そのため帯が合わせやすいこともあります。

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写真3番目は、野口の着尺を合わせてみました。いちばん上の写真の更紗模様のパターンを和モノにしてみれば、こんな吹寄せ模様になるんじゃないでしょうか。

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写真4番目は、岡重の着尺を合わせてみました。岡重の着尺というのは野口ブランドで販売されるものもありますが、岡重ブランドで販売されることもあります。野口ブランドのものは止め柄になっています。実質どちらも同じですが、私は野口が関わったものの方がセンスが良いような気がしてしまいます。贔屓目でしょうか。これは野口が関わらないものでが、笹舟のテーマなので本当は単衣用だと思います。でも生地が単衣っぽくないんですよね、野口ならそういう手抜かりはないのですが。

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写真5番目は、千切屋治兵衛の着尺「花菱入り霞」を合わせてみました。実際に制作したのは大和さんです。帯が横段模様なので、着物の模様も水平配置にしてシンクロさせてみました。着物は無彩色で模様も古典パターンですから使い勝手は良いです。

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写真6番目は、野口の着尺を合わせてみました。紬の生地に細かい絣のような模様を染めたものです。一見織物でじつは染物という着物ですね。何のために存在するのかわかりませんが、帯合わせを含め使い勝手は良いです。細かいながら格子の幅を変えるところなど野口らしいセンスもあります。
[ 2017/08/12 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

錦工芸の九寸の名古屋帯「インカ鳥波」の帯合わせ

第三千八百三十三回目は、錦工芸の九寸の名古屋帯「インカ鳥波」の帯合わせです。

今日は紬に合わせてみました。エキゾチックなテーマでも土俗的・民族的なものは紬に合わせるとよく合いますね。チャンカイというのは高度な文明で「土俗的・民族的」と言っては失礼かもしれません。南北アメリカの歴史は、ユーラシアの歴史の順序が当てはまるわけではないので、時間の経過とともに徐々に文明が進歩するわけではありません。過去の一時期がすごかったりするわけですね。

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いちばん上の写真は、郡上紬を合わせてみました。クリアな色の帯は、土俗的な雰囲気の真綿の着物と対比させると良いものです。

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写真2番目は、小岩井工房の上田紬を合わせてみました。池内淳子さんなどの女優御用達で知られた都会的な洗練のある紬です。

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写真5番目は、大城織物工場の琉球絣「三代継承紬」を合わせてみました。「三代継承紬」というタイトルが付けられた作品は、かつて哲さんによって織られたスペシャルバージョンです。三代とはカメ、清栄、哲のことであり、経緯ともに手紡ぎの真綿糸が使われています。販売されていたときの価格は、通常品の2,3倍したと思います。

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写真5番目は、石下紬を合わせてみました。綺麗なピンクを試してみました。重要無形文化財でない結城紬と石下紬は区別しにくいですよね。地域的にも結城市と結城郡石下町の違いですし。私は所属する組合の違いだと思っていますが。

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写真5番目は、秦荘紬を合わせてみました。もともとは秦川村というのがあり、近江上布の産地でした。「秦」という文字は渡来人を連想させ織物の里としてとても良かったのですが、合併により「秦荘町」となりさらに「愛荘町」となり、ついに「秦」の字が無くなってしまいました。

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写真2番目は、秋山真和の綾の手紬を合わせてみました。帯の模様にある赤と緑を生かしてみました。
[ 2017/08/11 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

錦工芸の九寸の名古屋帯「インカ鳥波」

第三千八百三十二回目の作品として、錦工芸の九寸の名古屋帯「インカ鳥波」を紹介します。

インカの文様を意匠化した九寸の名古屋帯です。私はこの文様の本歌を正確には知りませんが、インカ文様だなあと思わせる意匠です。ただ、素人が考えるインカ風の文様はプレインカの文様であるばあいが多いですね。アンデス文明の歴史は長いですが、インカ帝国が存在した期間は長くないので、インカの文様だと思われていたものは、それ以前のチャビンとかチャンカイであることが多く、それらも最初からわかっているわけではなく、発掘の進展によって徐々に分かってくるものなので、プレインカとひとまとめに言います。

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いちばん上の写真はお太鼓です。抽象化した鳥の文様と、波などの自然現象から生み出された幾何学文様の組み合わせです。鳥の抽象化も巧みですし、波も日本の波頭文様をさらにパターン化したみたいで巧みだと思います。あと2つの幾何学文様もおそらく自然現象を抽象化したものではないでしょうか。このような民族的な文様はユングの言う「象徴」のようなもので、いくら天才でも個人ではかないません。

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写真2番目は腹文です。お太鼓の意匠からメインである鳥文様を除外して周辺文様だけで構成しています。これこそお太鼓と腹文の関係の基本ですね。

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写真3番目は、お太鼓の裏側です。渡り糸が有るので、模様は全て絵緯糸で表現されていることが分かります。唐織が本業の錦工芸らしいです。先日紹介した「雪の結晶」と「南天」と比較してみると、「雪の結晶」と「南天」は絵緯糸が帯の耳まで通っていませんが、この帯は耳までつながっています。これは横につながる意匠か1つに固まる意匠かの違いです。

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写真4番目は、お太鼓の近接です。メインの鳥文様に近接してみました。

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写真5番目はもっと近接です。鳥文様部分です。留め糸は地色と同じ白であるため模様に色の濁りがなくクリアな印象です。

「雪の結晶」や「南天」と比較してみると、結晶や南天は糸がふっくらとして留め糸が少ないので、模様が立体的であり唐織のイメージに近いです。一方、この作品はそれほど糸にふっくら感が無く留め糸も多いので、模様がやや平面的であり唐織のイメージが少ないです。エキゾチックなモチーフなので唐織っぽさを避けたのでしょうか。

唐織と言われるものも、そう言われない西陣の帯も、どちらも絵緯糸で模様表現をしていることは同じですが、こうして見ると違いがなんとなく分かってきますね。

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写真6番目はもっと近接です。幾何学模様部分です。
[ 2017/08/10 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(2)

錦工芸の九寸の名古屋帯「南天」の帯合わせ

第三千八百三十一回目は、錦工芸の九寸の名古屋帯「南天」の帯合わせです。

今日は付下げに合わせてみました。

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いちばん上の写真は、花也の付下げ「竹林」を合わせてみました。先日に裁付下げを帯合わせで使いましたが、こちらは竹の一部をダンマル描きにして遠近感を付けたものです。友禅は糊で完全に防染されるので白くくっきり抜けますが、ダンマル描きは半防染で中間色になるので、両者を併用すると空気遠近法のような効果が出るのです。

友禅だけの作品は、竹林とは言いつつ直線が並ぶ幾何学模様のように見え、ダンマル描きを併用した作品は竹林の写生に見えます。下絵が同じでも技法によって視覚効果が変わり、作品の意味が変わってくるんですね。この帯合わせは、笹の葉の無い寒々とした竹林と雪と南天で、現実にありそうな組み合わせです。

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写真2番目は、花也の付下げ「和本」を合わせてみました。本をテーマにした友禅作品は、江戸時代の小袖以来、連綿と作られています。たいていは光悦の謡本などテーマにしていて、文のページと絵のページがあり、文のページは疋田、絵のページは多彩な友禅で表現しています。

両者は1対1または2対1ぐらいでバランスを取っているわけですが、この付下げは全部疋田で絵画性が不足しています。帯で絵画性を補完せよ、ということなんですね。このぐらいの赤い実が有ってちょうど良いのではないでしょうか。

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写真3番目は、花也の付下げ「斜め取り宝尽しと吹寄せ」を合わせてみました。画面をいきなり切り取るような斬新な取り方を採用しモダンな雰囲気がある一方で、松葉はちょうど良いぐらいにかすれて、伝統的な糊糸目を実感させてくれる作品です。吹寄せ→晩秋というイメージで、冬の雪と南天につなげてみました。

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写真4番目は、千切屋治兵衛の付下げ「蔦」を合わせてみました。実際に制作したのは、千治の本社工場です。今はないですが、かつては千治や千總にはちゃんと本社に工房がありました。わりと若い職人さんたちが正座して並んで糸目や彩色をしており、まさに工房だったのですが、「工房」などといわず「工場」と言っていたのが、着物が普通の商品であった時代を思わせます。

中井淳夫の糸目を消した友禅による作品にそっくりです。千治の工場では、当時最も尊敬されていた中井さんを模倣した作品も作っていたというわけです。おそらく中井さん自身も協力していたのでしょう。

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写真5番目は、花也の付下げ「紐」を合わせてみました。紐が絡まるだけの図案で、単体で見ると絵画性が不足して鑑賞しにくいところが残念ですが、帯合わせを考えると便利です。そのばあいはもちろん色が綺麗なことが条件ですけどね。

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写真6番目は、花也の付下げ「笹取り楓」を合わせてみました。ダンマル描きで笹の葉を描き、それを取り方にして糊糸目で楓を描いたものです。友禅部分は線描きで、ダンマルのぼやっとした中間色と糊糸目の乳白色の線の対比が楽しめるようになっています。楓のいきなりの赤い彩色が意外ですが、私のような関東人は京都っぽさを感じます(京都の人は違うと思うかもしれないですが)。

この赤が、南天の赤い実に対応するんじゃないかと思って選んでみました。
[ 2017/08/09 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

錦工芸の九寸の名古屋帯「南天」の帯合わせ

第三千八百三十回目は、錦工芸の九寸の名古屋帯「南天」の帯合わせです。

今日は染めの着尺に合わせてみました。雪輪と南天の模様→冬のテーマと考えて、そのテーマからの距離感ということで着物を選んでみました。

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いちばん上の写真は、千切屋治兵衛の型染めの着尺「小付け疋田雪輪」を合わせてみました。実際に制作したのは大和さんです。どちらも冬で雪というテーマですし、雪輪のモチーフ自体を重ねる帯合わせです。リフレインが美しいということもありますから悪くはないですが、距離間でいえば近すぎということになるでしょうか。

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写真2番目は、千切屋治兵衛の着尺「破れ雪輪」を合わせてみました。実際に制作したのは大和さんです。破れ雪輪というのは、雪が溶け始めた状態を表す文様ですから早春のテーマです。疋田の雪輪と合わせて、冬と早春の中間といったところでしょうか。季節でいえば、着物が帯よりちょっとだけ先駆ける感じですね。

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写真3番目は、千切屋治兵衛の着尺「雪の結晶」を合わせてみました。実際に制作したのは大和さんです。季節でいえばどちらもちょうど冬ですね。帯の雪輪に対し着物は雪の結晶にして、モチーフが重ならないようにしてみました。

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写真4番目は、千切屋治兵衛の着尺「色紙散し」を合わせてみました。実際に制作したのは大和さんです。見えている模様は菊ですが、色紙の模様はいろいろあって季節はありません。距離感としては、無関係の関係というところ。

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写真5番目は、千切屋治兵衛の着尺「笹取り更紗」を合わせてみました。実際に制作したのは大和さんです。小付けの模様で笹を取り方にして、中に更紗の模様です。笹の模様は冬も使いますが更紗は季節無しで、ちょうど良く関係ないと言ったところ。

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写真6番目は、千切屋治兵衛の手挿しの着尺「更紗」を合わせてみました。実際に制作したのは大和さんです。更紗というのは染めの着尺でもっともポピュラーで使いやすいモチーフですね。何を合わせて良いかわからないときは、こんな帯合わせをすると思います。

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いちばん上の写真は、藤井絞の着尺「雀」を合わせてみました。辻が花的な技法で雀を表現した飛び柄の着尺です。雪と南天と雀というのは1枚の絵に収まるモチーフの集まりです。それぞれ不完全な模様の着物と帯を組み合わせて、完全な絵を創るというのは帯合わせの理想ですが、こういうことは滅多にできません。
[ 2017/08/08 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

錦工芸の九寸の名古屋帯「南天」の帯合わせ

第三千八百二十九回目は、錦工芸の九寸の名古屋帯「南天」の帯合わせです。

今日は紬に合わせてみました。

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いちばん上の写真は、青戸柚美江さんの出雲織「雪おこし」を合わせてみました。雪おこしは雪の季節に起きる雷で日本海側特有の現象だそうです。太平洋側の人にとって雷は夏のものなので、私はこれを見るまで知りませんでした。雪テーマで合わせています。

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写真2番目は、大城永光さんの琉球絣を合わせてみました。赤い色を生かしてみました。

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写真3番目は、塩沢紬の着尺を合わせてみました。経緯の絣の塩沢です。緑色の紬って珍しいですよね。

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写真4番目は、本塩沢の着尺を合わせてみました。緯絣の塩沢で、林織物によるものです。

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写真5番目は、かつての重要無形文化財の証紙がある結城紬を合わせてみました。

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写真6番目は、小岩井工房の上田紬を合わせてみました。

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写真7番目は、塚田宝作さんの有明紬を合わせてみました。有明というのは、松本市の有明地区です。この地の伝統である天蚕(野蚕)の糸を織り込んだものです。
[ 2017/08/07 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

錦工芸の九寸の名古屋帯「南天」の帯合わせ

第三千八百二十八回目は、錦工芸の九寸の名古屋帯「南天」の帯合わせです。

今日はこの「南天」を使ってちょっと冒険をしてみました。

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いちばん上の写真は、大羊居の色留袖「雪庭」を合わせてみました。庭に雪が積もり、庭石と南天だけが顔を出しているという意匠の色留袖です。色留袖に名古屋帯を締める人はいませんが、現代の色留袖はたいてい1つ紋で比翼を付けず、上半身にたまたま模様の無い訪問着として着られます。

着物のテーマを帯でリフレインして強めるような組み合わせです。

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写真2番目は、北秀の訪問着「疋田霞」を合わせてみました。実際に制作したのは安田です。かつての安田は北秀を通して東京でも売っていました。ほとんどは銀座のきしやに流れていましたが。オフホワイト地に霞模様です。

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写真3番目は、北秀の訪問着「遠山楓」を合わせてみました。実際に制作したのは安田です。遠山に楓が散るという意匠で、季節としては秋から晩秋です。帯の季節がちょっと先取りという関係になります。

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写真4番目は千切屋治兵衛の訪問着「神坂雪佳写し」を合わせてみました。実際に制作したのは中井淳夫さんです。人物がダンマル描きで描かれ半防染技法が使われているので霊現象のように見えます。墓の掃除をしないので先祖が仕方なく自分の墓の掃除をしているみたいですが、じつは神坂雪佳の下絵をほぼそのまま写したものです。晩秋の風情で帯の季節が少し先取りの関係ですね。

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写真5番目は千切屋治兵衛の訪問着「紅葉」を合わせてみました。実際に制作したのは中井淳夫さんです。散って水に浮かぶ楓の葉を描いたものだと思います。楓は自由に流れ浮かび、模様自体はたいしてないのですが、着物の全身を池の水面と思えば、けっこう広がりを感じる意匠になっています。やはり晩秋の風情で帯の季節が少し先取りの関係ですね。
[ 2017/08/06 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

錦工芸の九寸の名古屋帯「南天」

第三千八百二十七回目の作品として、錦工芸の九寸の名古屋帯「南天」を紹介します。

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いちばん上の写真はお太鼓です。雪輪を背景にした赤白の南天です。色の少ない冬の時期に赤い色で目を楽しませてくれるのは南天ですね。地色は雪のような白、雪輪の金地も白味の掛かった金色です。雪の庭から南天の枝と実が首を出したイメージでしょうか。そういうのは帯合わせで生かさないといけませんね。

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写真2番目は、お太鼓の裏側です。裏側は渡り糸で、絵緯糸で模様が表現されているのがわかります。錦工芸と言えば唐織の織屋さんというイメージですよね。

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写真3番目は腹文です。雪輪は半分ずつです。

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写真4番目は、腹文の裏側です。お太鼓と同じ組織です。

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写真5番目は、お太鼓の近接です。

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写真6番目は、腹文の近接です。

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写真7番目は、もっと近接です。糸は唐織特有の撚りの少ないふっくらとした糸を使っています。これで唐織の立体感が出るわけです。赤の色が地味でも派手でもない、ドスが効いているが血のような生臭さが無い、中井淳夫さんが使うような上品なのに存在感がある色です。この赤が、この作品の存在理由の全てじゃないですか。

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写真8番目は、もっと近接です。金色が白みがかって見える仕掛けは、平金糸の留め糸が白であることだけでなく、平金糸の間に白い絹糸がやはり絵緯糸として織り込んであるからです。西陣の織物というのは、視覚効果のあるところ必ず仕掛けがあるものです。
[ 2017/08/05 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

龍村の草履

第三千八百二十六回目の作品として、龍村の草履を紹介します。

龍村の草履には、龍村の意思で制作した草履と、別の人や草履のメーカーが龍村裂を使った鼻緒を仕入れて付けただけのものがあります。その気になれば古着で龍村の帯を買ってきて、分解してたくさん鼻緒を作ることもできるでしょう。これは龍村の意思で作り、龍村で仕入れた草履ですが、どっちにしても龍村がつくっているのは鼻緒の裂だけですから同じことですけどね。

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いちばん上の写真は、前から撮ってみました。おそらく間道の帯を縦に切って、間道の1本を生かした鼻緒だと思います。1本のストライプで台も同色の紺色ということで粋な雰囲気があります。しかしその一方で台が京都っぽい小判型で、アンバランスなところが有ります。それがちょっと新しい感じにもなっていますし、なにより使いやすいんじゃないでしょうか。 

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写真2番目は、後ろから撮ってみました。

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写真3番目は、裏から撮ってみました。龍村の草履と言っても本来の龍村製は鼻緒の裂だけです。裏を見ると台のメーカーがわかり、それで草履の良し悪しがわかるでしょう。あえて書きませんが、分かる方は判断してください。
[ 2017/08/04 ] 小物と小物合わせ | TB(0) | CM(0)

金谷織物の八寸の名古屋帯「北欧宝飾文」の帯合わせ

第三千八百二十五回目は、金谷織物の八寸の名古屋帯「北欧宝飾文」の帯合わせです。

今日は青戸柚美江さんの出雲織を使ってみます。藍というのは、長く使用して何度も水洗いするたびに鮮やかになって行くと言われます。本来なら退色していくはずですから逆なようですが、それは天然染料であるためにもともとk夾雑物があって、それが徐々に落ちていって藍が直に見えるようになるからです。

そのような目で見てみると、ホンモノと言える藍染の作品でも、藍の色に透明感があるものとそうでもないものがあるような気がしてきます。染めた後の処理の丁寧さかなあとも思うのです。青戸さんのものはいつも透明感があるんですよね。黒に近いぐらいの濃い藍だと晴れた夜空のようで、絣の白い点が星に見えます。その透明感に期待して、今回のクリアな色の帯の相手に選んでみました。

先日も書きましたが、今回の帯のクリアな色は、経緯の糸が交わらない綴組織だからこそ生じたものです。一方の藍のクリアな色は藍染技術の上手さそのものから生じたもの。きちんと理由があるどうしのクリアな組み合わせです。

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いちばん上の写真は、青戸柚美江さんの出雲織「豆腐繋ぎ」を合わせてみました。

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写真2番目は、青戸柚美江さんの出雲織「矢絣」を合わせてみました。

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写真3番目は、青戸柚美江さんの出雲織「昔絣」を合わせてみました。

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写真4番目は、青戸柚美江さんの出雲織「瞬(またたき)」を合わせてみました。

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写真5番目は、青戸柚美江さんの出雲織「雪おこし」を合わせてみました。

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写真6番目は、青戸柚美江さんの出雲織「垣の花」を合わせてみました。
[ 2017/08/03 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

金谷織物の八寸の名古屋帯「北欧宝飾文」の帯合わせ

第三千八百二十四回目は、金谷織物の八寸の名古屋帯「北欧宝飾文」の帯合わせです。

今回は綺麗な色の帯なので、綺麗な色の紬を合わせてみます。考慮したのは色だけです。

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いちばん上の写真は、与那国花織を合わせてみました。

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写真2番目は、佐藤トシさんの南部紬を合わせてみました。玉葱と茜で染めた綺麗としか言いようのないピンクです。

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写真3番目は、塚田宝作さんの有明紬を合わせてみました。有明というのは、松本市の有明地区です。この地の伝統である天蚕(野蚕)の糸を織り込んだものです。

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写真4番目は、山下八百子さんの黄八丈を合わせてみました。

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写真5番目は、秋山真和の花織の紬を合わせてみました。藍染の無地で、突き抜けるような青です。

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写真6番目は、秦荘紬を合わせてみました。

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写真7番目は、新田機業の紅花紬を合わせてみました。

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写真7番目は、秋山真和の綾の手紬を合わせてみました。緑代表です。

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写真8番目は、読谷花織を合わせてみました。紫代表です。
[ 2017/08/02 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)