金谷織物の八寸の名古屋帯「北欧宝飾文」

第三千八百二十三回目の作品として、金谷織物の八寸の名古屋帯「北欧宝飾文」を紹介します。

赤・青・緑という光の三原色の装飾の弧と金銀の装飾の弧があって、華やかながらクリアな印象の作品です。色の有る部分と色の無い部分がしっかり整理されているのでクリアな印象なのだと思います。また色の有る部分は光の三原色、色のない部分は金銀ということで、華やかさもあるのでしょう。かわいいとも言えるけど媚びてはいないデザインだと思います。

弧を描く模様の形状からすると、元の作品は首飾りのように思えます。北欧の宝飾ということでヴァイキング美術でしょうか。あるいはそれ以前の北方ユーラシア美術に属するものでしょうか。北方ユーラシア美術と言われる金製品などは、たいていギリシアやローマで制作されているということです。いろいろ調べたのですが、この模様に該当するような装飾品は見つかりませんでした。

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いちばん上の写真はお太鼓です。

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写真2番目は、お太鼓の裏側です。裏側を見ると模様部分に渡り糸が無いので、西陣の基本である絵緯糸による模様表現でないことがわかります。綴系の組織ですね。平織部分もありますから綴というより「すくい」というべきでしょう。また「すくいとは綴の仲間のうち紬系のカジュアルなものである」という説もありますが、それと照らし合わせてもこれはすくいと言えるでしょう。

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写真3番目は腹文です。

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写真4番目は、腹文の裏側です。

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写真5番目は、お太鼓の近接です。明日はもっと細部をお見せします。なかなか良く出来ているんですよ。
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[ 2017/07/31 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

錦工芸の九寸の名古屋帯「雪文様」の帯合わせ

第三千八百二十二回目は、錦工芸の九寸の名古屋帯「雪文様」の帯合わせです。

先日、「こういう夏帯こそ欲しい」というコメントをいただきました。絽や紗の生地で雪輪模様の帯というのはありますが、雪の結晶というのは、私はまだ見たことが無いです。でもあっても良いと思うので、いつか出会うことがあったら仕入れてみようと思います。また昨日、この帯は単衣に使えないかというメールをいただきました。それに答えて今日は単衣の付下げや訪問着に合わせてみます。

紬や染めの着尺については、先日までに紹介した帯合わせで、着物が単衣で仕立ててあると思えばいいでしょう。紬に関してはどれも大丈夫、染の着尺に関しては「梅」のように季節限定でなければ大丈夫だと思います。付下げについては「竹林」のように爽やかな色なら単衣っぽいですね。今日は大羊居の単衣限定の訪問着をメインに使ってみます。

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いちばん上の写真は、大羊居の訪問着「夏日涼風」を合わせてみました。薊と麦を描いたものですが、麦が実るのは6月、薊は6~9月ですから、春単衣にも秋単衣にも着られます。

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写真2番目は、大羊居の訪問着「花薫る」を合わせてみました。これも花の種類からすれば春単衣にも秋単衣にも着られます。

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写真3番目は、大羊居の訪問着「色襲ね」を合わせてみました。以上3枚大羊居の単衣専用訪問着を合わせてみましたが、この帯は単衣に使っても違和感もないし、大羊居相手に使っても遜色もないと思います。

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写真4番目は、北秀の単衣用の訪問着「百合に流水」を合わせてみました。実際に制作したのは「にしきや」さんです。流水部分は紫、あしらいは金糸を使わず銀糸を使って涼しさを演出しています。この着物にもとても合ているように見えますが、雪の結晶だから合っているのではなく、白だけだから合っているように思います。白だけというのは使い道がありますね。

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写真5番目は、千切屋治兵衛の付下げ「京野菜」を合わせてみました。絹芭蕉の生地を使った単衣用の着物です。

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写真6番目は、中井淳夫の付下げ「波」を合わせてみました。ダンマル描きを併用した作品で、蝋やダンマルがもつ半防染効果を使って水の透明感を表現したものです。
[ 2017/07/30 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

錦工芸の九寸の名古屋帯「雪文様」の帯合わせ

第三千八百二十一回目は、錦工芸の九寸の名古屋帯「雪文様」の帯合わせです。

今日は付下げを合わせてみました。

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いちばん上の写真は、一の橋の付下げ「花兎・波兎」を合わせてみました。実際に制作したのは安田さんです。花兎は名物裂の「角倉金襴」に由来する文様で、波兎は謡曲の「竹生島」に由来する文様です。由来は違っても、江戸時代から現代まで家紋にも小袖にも陶磁器にも建築装飾にも同じように登場します。兎というのは、雪にも波にも花にも木賊にもよく合うんですね。

この作品では、兎の首が不自然に長いですが、これは実際の兎ではなく江戸時代の小袖にある花兎の意匠を踏襲しているからです。

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写真2番目は、一の橋の付下げ「蹴鞠と柳」を合わせてみました。蹴鞠という王朝的なモチーフを扱っていますが、全体に大きいながら小細工の無い意匠も、風にのんびりそよぐ柳もおおらかで王朝的な雰囲気で統一されています。あるいはやまと絵的というべきでしょうか。、

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写真3番目は、一の橋の付下げ「柳」を合わせてみました。実際に制作したのは倉部さんです。上の例で柳を合わせたので、ついでにもう1回柳を登場させてみました。

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写真4番目は、花也の付下げ「一方付け羊歯文」を合わせてみました。もともと一方付けの羊歯の地紋のある生地で、指定された位置で裁つと地紋が意味のあるつながり方をして、無地ながら訪問着のようなるというものでした。その羊歯の地紋の一部を友禅の技法で防染して白抜きにし、さらに一部に刺繍を加え、本格的な付下げ(あるいは訪問着)にしたものです。

直線的にまっすぐ上に伸びていく模様と雪の結晶を組合わせると、木の梢のさらに高い空から雪が降ってくる情景のように見えますね。

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写真5番目は、花也の付下げ「竹林」合わせてみました。上の例と同じ、直線的にまっすぐ上に伸びていく模様と雪の結晶の組合わせを試してみました。竹林のさらに高い空から雪が降ってくる情景のように見えませんか。

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写真6番目は、一の橋の付下げ「切霞割付け暈し」を合わせてみました。上の例とは反対に水平方向の模様を合わせてみました。霞は便利な模様ですね。雪も霞も気象現象でもありますし。
[ 2017/07/29 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

錦工芸の九寸の名古屋帯「雪文様」の帯合わせ

第三千八百二十回目は、錦工芸の九寸の名古屋帯「雪文様」の帯合わせです。

今日は染めの着尺を合わせてみます。

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いちばん上の写真は、藤井絞の着尺を合わせてみました。梅の花の形を絞った飛び柄の着尺です。着物はもう梅の花、帯はまだ雪ということで、まだ冬だけれども春の始まりを待ち望むような時期をイメージしてみました。

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写真2番目は、野口の手描きの着尺を合わせてみました。これも梅の花がテーマの着物です。世間の人が梅の着物を着始めたら雪の着物は肩身が狭くなる、世間の人が桜の着物を着始めたら梅の着物は肩身が狭くなる、というふうに着物の季節は変わっていきます。その曖昧な切り替わりの時期に、早すぎるとも遅すぎるとも言われず、けっこう便利な合わせ方かもしれません。

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写真3番目は、野口の着尺を合わせてみました。野口らしい大胆な段模様の着尺です。大きな牡丹と菊が咲き誇る意匠ですが、どうせ春秋セットなら、雪が有っても良いですよね。上の2例では、雪を季節テーマとして扱いましたが、ここでは一般的な文様として扱ってみました。雪輪や雪の結晶を思わせる文様は絽の着物にもよくありますから、1年中使える文様なのかもしれません。

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写真4番目は、千切屋治兵衛の着尺を合わせてみました。実際に制作したのは大和さんです。上の例とは逆に、全身雪だけにしてみました。こうして季節にこだわってみると、季節はずれの方がマシと思えてきます。

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写真4番目は、野口の短冊模様の着尺を合わせてみました。季節に関係のない模様の着物を合わせてみました。ただ色に関しては爽やかな地色を選んでいます。

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写真4番目は、野口の蝋染の着尺を合わせてみました。これも季節に関係のない模様の着物を合わせた例です。これも爽やかな地色を選んでいます。着物でも帯でも雪の結晶を使う時は、その相手は模様の意味より爽やかな地色を選ぶことの方が大事ではないかと思いました。
[ 2017/07/28 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(2)

錦工芸の九寸の名古屋帯「雪文様」の帯合わせ

第三千八百十九回目は、錦工芸の九寸の名古屋帯「雪文様」の帯合わせです。

今回の帯は名古屋帯でも九寸ですし、少し金糸が入ったりして、カジュアルにもフォーマルにも何となく使えてしまう帯だと思います。今日はカジュアル方向の使い方として紬に合わせてみます。

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いちばん上の写真は、青戸柚美江さんの出雲織「雪おこし」を合わせてみました。雪おこしというのは、日本海側に特有な現象で、冬に雪を伴う雷です。太平洋側に住んでいる人にとっては雷は夏のものなので、私はこの作品を見るまで知らなかったです。雪が降る中を、雷が直撃してくる感じを帯と着物で作ってみました。ほんとだったら怖いですね。

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写真2番目は、青戸柚美江さんの出雲織「垣の花」を合わせてみました。青戸さんついでにもう1枚ということで。

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写真3番目は、佐藤トシの南部紬を合わせてみました。胡桃と藍で染めた糸で織った着尺です。白と水色、結晶と直線の組み合わせです。

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写真4番目は、小川内龍夫さんの久留米絣を合わせてみました。重要無形文化財に該当するもので、伝統的な竹に雀のデザインです。雀は渡り鳥でないはないですから、雪の時期にもいてくれて日本人と一緒に寒さに耐えてくれますよね。

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写真5番目は、森山虎雄さんの久留米絣を合わせてみました。重要無形文化財に該当するもので、藍甕に60回浸けるという森山虎雄さんの染めは濃いけれども透明感もあって、仕立てて広げると細かい絣が天の川のように見えます。私は反物でしか持っていないので気が付かなかったのですが、伝統工芸展で仮絵羽したのを見て気が付きました。今回は、夜に静かに降る雪のように見えるでしょか。

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写真6番目は、山口良子さんの首里織に合わせてみました。福木で染められた糸で織った着尺です。黄色と白の組合わせは綺麗だろうということで合わせてみました。
[ 2017/07/27 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

錦工芸の九寸の名古屋帯「雪文様」

第三千八百十八回目の作品として、錦工芸の九寸の名古屋帯「雪文様」を紹介します。

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いちばん上の写真はお太鼓です。白地に白い雪の結晶という意匠です。

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写真2番目は腹文です。腹文は雪の結晶は2個ずつですが、片側は白と金、儲から側は白だけです。白だけだと模様がよく見えなくて寂しい気がしますが、着物によっては金を使いたくないときもあるはず。それが選択できるようになっています。

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写真3番目は、お太鼓の近接です。白地に対し白だけの結晶と白金の結晶があります。その間の空間を埋めるように金だけの小さい結晶があります。雪の結晶というのは伝統的な唐華文のようでもありますが、唐華文でいえば主文と副文のような関係ですね。

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写真4番目はもっと近接です。

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写真5番目は拡大です。金糸も使ってある結晶を拡大してみました。白い部分は絵緯糸で唐織のようなふくらみのある表現ですが、そこに細い撚金糸が時には縁取りのように、時にはまとわりつくように織り込まれています。

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写真6番目は拡大です。白い部分が唐織のようなふくらみのある表現である点では同じですが、それだけではなく金糸の代わりに細い白い撚糸が金糸の時と同じように織り込まれています。

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写真7番目は拡大です。白金の部分で、唐織で使うようなふくらみのある白い糸と、撚金糸で立体的な表現をしています。

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写真8番目は拡大です。大きい結晶どうしの間隔にある金糸の小さい結晶です。大きい結晶は唐織のような立体感のある表現になっていますから、その合間にある小さい結晶は平面的な表現にしてメリハリをつけるべきです。実際に拡大して見てみると、平金糸を使っていて平面的な表現にしていました。

立体的な部分との相互作用で全体が奥行きのある表現になっているんですね。作品に色が無いわけですから、その分、糸の形はバリエーションを付けているわけです。
[ 2017/07/26 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

花也の付下げ「霞に千鳥」の帯合わせ

第三千八百十七回目は、花也の付下げ「霞に千鳥」の帯合わせです。

今日は本来のフォーマルの着物の帯合わせらしく、西陣織の帯を合わせてみました。

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いちばん上の写真は、龍村の袋帯「海音光映錦」を合わせてみました。意味的なつながりを考え、千鳥に対し海景を合わせてみました。

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写真2番目は、織悦の袋帯「光琳水」を合わせてみました。MOA美術館にある「紅白梅図」の中央の川部分の流水を表す模様パターンを帯の意匠としたものなので、水とは言っても海でなく川ですね。千鳥としては苦しいところ。

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写真3番目は、織悦の袋帯「霞に扇子」を合わせてみました。霞として絵がつながるように合わせてみました。千鳥に対して意味がつながるような意匠の帯を探してみましたが、千鳥に対して合わせるモチーフというのは海の波しかないようです。というわけで、意味で合わせようとするとワンパターンになりやすいですね。

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写真4番目は、織悦の袋帯「桜楓遠山霞」を合わせてみました。経糸が黒の絹糸、緯糸が平金糸という組み合わせで、沈金のような雰囲気を演出しています。千鳥の群れが飛ぶのはおそらく海面でしょうが、その背景に遠山文様というのは意味的にもつながりますし、景色としては雄大でスケールの大きい帯合わせだと思います。この帯は遠山霞に桜と楓を織り出し、意味的には関係の無いものになっていますが。

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写真5番目は、織悦の袋帯「琳派柴垣草花文」を合わせてみました。意味から離れ、綺麗な色御合わせてみました。着物は色もモチーフの数も抑えたストイックな雰囲気ですから、帯で綺麗な色やモチーフをプラスしてみました。意味をつなげようとか悩んでいるより、綺麗なものを合わせちゃった方が良い、ということもありますね。

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写真6番目は、龍村の名古屋帯「寄せん裂」を合わせてみました。名物裂の文化には、蒐集した名物裂を貼り交ぜるというのもあります。ただしこれは1つのつながった織物です。実際に龍村裂のハギレを買ってきて縫い合わせて帯にしたものもありますね。貼り交ぜた名物裂は意味も季節もさまざまですから、意味にこだわらない帯合わせができるという点で便利です。
[ 2017/07/25 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の付下げ「霞に千鳥」の帯合わせ

第三千八百十六回目は、花也の付下げ「霞に千鳥」の帯合わせです。

普通であれば、まず袋帯を合わせるところですが、今回はまず染め帯で合わせてみます。この着物の模様は、千鳥が飛んでいるだけで展開していくことはありません。絵画性が高いとは言えず、帯で絵画性を加える余地が多くあるように思います。

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いちばん上の写真は、木下冬彦さんの友禅の袋帯を合わせてみました。千鳥という模様は「波に千鳥」という慣用句的な組み合わせで表現されます。海とのセットなんですね。花也の千鳥の付下げも、最初つくられたときは「波に千鳥」でした。それ以前からあった波だけの付下げのバリエーションとして千鳥を合わせたものでした。

今回の作品は波から離れて霞を合わせていますが、江戸解ともいわれる海景を含む帯を合わせて元の「波と千鳥」を再現してみました。

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写真2番目は、木下冬彦さんの友禅の袋帯を合わせてみました。上と同じ海景を合わせていますが、違うところは上の作品は松と波と砂だけというシンプルな海景ですが、こちらは鶴、干網、芦、舟、松と盛りだくさんです。単体で鑑賞するときや無地や江戸小紋に合わせる時は物語性があるのが良いですが、付下げに合わせることなど考えるとモチーフ数が少ない方が良いかもしれませんね。

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写真3番目は、秀雅の友禅の名古屋帯を合わせてみました。実際に制作したのは大松です。楓の取り方の中に海景を入れたものです。江戸解ともいわれる意匠で、海辺と松原あるいは苫屋を描いたものです。菊もあって御所解風でもありますね。海を含む景色を合わせることで、千鳥のいる環境を再現してみました。

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写真4番目は、花也の糊糸目の名古屋帯「硯に羊歯文」を合わせてみました。単体で鑑賞可能な糊糸目が美しい作品です。千鳥とは関係のない模様ですが、帯合わせとはそういうものでもあると思います。

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写真5番目は、花也のダンマルと箔の名古屋帯「松に笹」を合わせてみました。意味的にはつながりが無いですが、逆らうこともまたない帯合わせです。もともと付下げの意匠は色数は多くないですが、帯も色がなく、トータルで色数を抑えたおぼ合わせになっています。

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写真6番目は、千切屋治兵衛のの名古屋帯「麦」を合わせてみました。実際に制作したのは中井亮さんです。これも帯と着物の模様に意味的なつながりが無いですが、「麦秋」と呼ばれる麦の収穫時期は6月で単衣時期ですから、海景を予感させる千鳥も単衣として仕立て、単衣の帯合わせを考えてみました。
[ 2017/07/24 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の付下げ「霞に千鳥」の続き

第三千八百十五回目は、花也の付下げ「霞に千鳥」の続きです。

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いちばん上の写真は、マエミの千鳥の近接です。

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写真2番目は、線描きの千鳥も近接してみました。糊筒で線描きしたものですが、几帳面に描いてあります。筆で描くならもっと表現方法があるかもしれませんが、小さいものですから糊筒で描くならきちんと描くのが精いっぱいだと思います。

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写真3番目は、江戸時代後期の白揚げの小袖に描かれた千鳥です。

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写真4番目は、花也の別の作品(夏の染め帯)の千鳥です。今回の千鳥は彩色していますが、別の作品では白揚げで描いたものの方が多いです。全体が白揚げで、金で括り、頭部や翼の一部を色挿しした様式は、江戸後期の小袖を踏襲したものでした。

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写真5番目は、毎田仁郎の色留袖に描かれた千鳥です。加賀友禅の大御所ですが、ゆるキャラ的にかわいい千鳥を描いていました。

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写真6番目は、中町博志の訪問着に描かれた千鳥です。モダンで革新的な表現で知られた中町博志ですが、千鳥の足の形を見てみると、意外にも江戸時代の小袖の様式をそのまま踏襲しているんですね。
[ 2017/07/23 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

花也の付下げ「霞に千鳥」

第三千八百十四回目の作品として、花也の付下げ「霞に千鳥」を紹介します。

千鳥または波に千鳥というテーマの作品は、江戸時代から現代まで繰り返し作られていますし、花也でも何度かつくられています。ベタな感じと言ってしまえばその通りですが、嫌いという人も少ないと思います。今回の作品は、霞ぼかしと千鳥を合わせたシンプルなものですが、このテーマはシンプルな方が良いですよね。え

ところで、今回の作品はブラタクの糸で織った生地を使っています。ブラタクはほとんどをエルメスが使っていることで知られている最高級の絹糸です。ブラタクとは「ブラ拓」で、ブラジル拓殖組合の意味です。戦前、日本では朝鮮拓殖とか満州拓殖とか日系移民のいる国に拓殖組合を作っていました。そのブラジル版がこのブラタクで、その組合から製糸部門が独立したのがブラタク製糸株式会社です。今も社長は日系人で、戦後も日本からの技術指導も行われていたんですよ。

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いちばん上の写真は、前姿(マエミ+オクミ)です。今回は線描きによる表現の千鳥もいます。

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写真2番目は後姿です。

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写真3番目は袖です。

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写真4番目は、もう片方の袖です。

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写真5番目は胸です。暈し霞の上下は、金線で仕切ってあります。左右両端はグラデーションです。

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写真6番目は、過去に作られた花也の「波に千鳥」です。これがこの千鳥シリーズとして最初に作られたものです。しかしこれ以前に波だけのシリーズも作られており、それに千鳥を加えたと思えば波シリーズの派生作品でもあるんですね。

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写真7番目は、過去に作られた花也の「千鳥」です。波に千鳥の波を外した千鳥だけの作品です。千鳥が少し大きくなっています。
[ 2017/07/22 ] 友禅 | TB(0) | CM(2)

都織物の八寸の名古屋帯「更紗文」の帯合わせ

第三千八百十三回目は、都織物の八寸の名古屋帯「更紗文」の帯合わせです。

八寸の名古屋帯なので紬に合わせます。

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いちばん上の写真は、青戸柚美江さんの出雲織を合わせてみました。矢絣のようなデザインです。本来の矢絣は1800年ごろから矢代仁で織られた経絣で、均等の間隔で防染した後、梯子という道具を使って経糸をずらすことで矢の形にするというものでした。それに対して、この矢絣は真っ白な矢形が経緯の絣、地色との中間色が経絣になっています。経緯の絣と経絣の併用によって、≫白に濃淡を作っているのですから、本来のもより高度な絣になっていますね。

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写真2番目は、久留米絣を合わせてみました。基本は緯絣ですが、全体が地色との中間色ながら、それぞれの丸型のうちごく一部に白い箇所があります。その部分が経緯絣で、それがアクセントになっています。一方価格も手間も、そのアクセントのために2倍ぐらいになるんですよ。安価な緯絣から高価な経緯絣の扱いになるわけですから。

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写真3番目は、舘山の唐桟を合わせてみました。古いもので、頴と光司の兄弟連名のラベルが付いています。

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写真4番目は久米島紬を合わせてみました。70年代に作られた佐藤さんの阿波藍で染めた糸で織った久米島紬です。久米島紬自体が重要無形文化財になった今は、もちろんそんな文化を捻じ曲げるような邪道なものはありません。しかし、藍の色が透明でとてもきれいなものです。

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写真5番目は、石下紬を合わせてみました。重要無形文化財でない結城紬と石下紬はどう違うのでしょうか。ラベルなど全て取り去ったら見分けることができるのでしょうか。ちなみに地理的には結城市と結城郡石下町の違いです。昔は結城郡に結城町と石下町があったのが結城町が結城市になって郡から抜けたためにそうなったのだと思います。結局、出荷する組合の違いだと思います。

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写真6番目は、重要無形文化財に相当する結城紬を合わせてみました。百亀甲の総柄です。
[ 2017/07/21 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

都織物の八寸の名古屋帯「更紗文」

第三千八百十二回目は、都織物の八寸の名古屋帯「更紗文」を紹介します。

昨日は、まこと織物の分家である金谷織物のすくいの帯を紹介しましたので、今日は都織物のすくいの帯を紹介します。高級なカジュアルとして使うことの多い八寸のすくいの帯のメーカーはいくつかしかありません。まことあるいは金谷や都はそのいくつかのうちの2つまたは3つです。

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いちばん上の写真はお太鼓です。グレーの濃淡だけで表現した単彩主義の作品です。

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写真2番目はお太鼓の裏側です。裏側を見ると綴れ系の織物だということが分かります。絵緯糸で模様を表現する普通の西陣織だと裏には渡り糸があります。

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写真3番目は腹文です。

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写真4番目は、お太鼓の近接です。地の部分は平織、模様の部分は綴組織になっています。色の濃淡だけでなく、組織の違いによる表面の形状の違いによって模様の輪郭がわかります。綴組織は経糸を緯糸が包むように織っているので、膨らんで立体感が生じます。立体感の無い平織に対して高低感が生じて模様が浮きだすようになるのです。

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写真5番目は、お太鼓の拡大です。地の平織部分と模様の綴組織部分の境界線を撮ってみました。

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写真6番目は、お太鼓の拡大です。地の平織部分と模様の綴組織部分が入り組んでいます。
[ 2017/07/20 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

金谷の八寸の名古屋帯「菱文」の帯合わせ

第三千八百十一回目は、金谷の八寸の名古屋帯「菱文」の帯合わせです。

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いちばん上の写真は、大城広四郎の琉球絣を合わせてみました。沖縄県で産する平織の絣は、定義上、琉球絣ということになります。大城広四郎の工房は南風原にあって、これは本人存命中のものですが、現在は息子さんの代でラベルの表記は「大城広四郎工房」となっています。

縞の中に沖縄独特の模様単位が並ぶ意匠で、「綾の中」と言われるものです。素材は経が玉糸、緯が真綿で温かみを感じる手触りです。

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写真2番目は、やまだ織物の本塩沢を合わせてみました。経緯絣のもので、ダイヤ形の模様を帯の模様にシンクロさせてみました。

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写真3番目は、松枝玉記の久留米絣「菱枠の中の菊」を合わせてみました。松枝玉記の作品集「藍生」にも掲載されている作品です。菱文のシンクロ狙いです。着物と帯が同じ模様というのはすごく変ですが、あえて狙ってやってみるということもあり得ますね。

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写真4番目は、郡上紬を合わせてみました。手紡ぎ、手織り、草木染という伝統的なホンモノ要素を集めた紬ですが、意匠には都会的な雰囲気があります。良いものはみんなそうですよね。伝統を守っても古く感じるということはありません。

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写真5番目は、重要無形文化財に相当する結城紬を合わせてみました。八十亀甲の総柄で、グラフィックデザインみたいな模様になっています。

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写真6番目は、山村衛さんの久留米絣を合わせてみました。菱文に対し丸みのある模様を合わせてみました。宝尽文様のうち金嚢(きんのう)あるいは宝袋といわれるものです。菱文をダイヤと思えば良い組み合わせではないかと。
[ 2017/07/19 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

金谷の八寸の名古屋帯「菱文」

第三千八百十回目の作品として、金谷の八寸の名古屋帯「菱文」を紹介します。

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いちばん上の写真はお太鼓です。腹文も全く同じで、実際に身に着けると模様が半分で横倒しになるようです。幾何学模様で、タテから見てもヨコから見ても菱文なので、同じ模様でも不自然ではないですね。

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写真2番目は、同じ個所を裏側から撮ったところです。普通の西陣の帯のように絵緯糸で模様を表現していれば、裏に渡り糸が有るわけですが、表裏とも同じように見えるので、すくい織だとわかります。

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写真3番目は近接です。

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写真4番目は拡大です。模様と地の境目を拡大してみました。地の部分は平織、模様の部分は綴組織になっています。綴組織は経糸を緯糸が包むように織っているので、経糸は見えず緯糸だけが見える状態になります。

平織と綴組織の組み合わせで、すくい織ということになると思います。すくいといえば「まことのすくい」が有名ですが、金谷という織屋は元々まこと織物の分家ですから、これはじつは実質「まことのすくい」なのかもしれません。

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写真5番目は地の部分で、平織になっています。綴の帯のばあいは地の部分も綴組織ですよね。
[ 2017/07/18 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

一の橋の付け下げ「紅葉流水」の帯合わせ

第三千八百九回目は、一の橋の付け下げ「紅葉流水」の帯合わせです。

今日は染め帯を合わせてみました。

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いちばん上の写真は、千切屋治兵衛の染めの名古屋帯「色紙重ね」を合わせてみました。実際に制作したのは藤岡さんです。

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写真2番目は、花也の染めの名古屋帯「硯に羊歯文」を合わせてみました。糊糸目の線描きを多用して羊歯文を描いています。硯に羊歯文が描いてあるとも言えますし、硯を取り方にして羊歯文を描いてあるとも言えますね。

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写真3番目は、一の橋の染めの名古屋帯「くす玉」を合わせてみました。

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写真4番目は、花也の染めの名古屋帯「琳派流水文」を合わせてみました。霞の中に波があり、その中に色紙があり、その中に琳派の流れの風景があるという全体が入れ子構造になった意匠です。流水には楓も散っていますが、その流れが着物全体に広がっていくような帯合わせにしてみました。

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写真5番目は、千切屋治兵衛の染めの名古屋帯「斜線に玉」を合わせてみました。実際に制作したのは中井亮さんです。

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写真6番目は、一の橋の染めの名古屋帯「毘沙門亀甲文」を合わせてみました。「毘沙門亀甲」というのは、毘沙門天が着ている鎧のパターンです。
[ 2017/07/17 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

一の橋の付け下げ「紅葉流水」の帯合わせ

第三千八百八回目は、一の橋の付け下げ「紅葉流水」の帯合わせです。

今日は自由に帯合わせをしてみました。

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いちばん上の写真は、織悦の袋帯「光琳水」を合わせてみました。紅葉だけの意匠の着物に、水の意匠の帯を合わせれば、2つ合わせて「龍田川」が出来上がります。そうなれば見事ですが、このばあいはすでに着物に波があるので、水が重なってしまいます。実際に合わせたところを見れば、重なると言っても、しょせんは水だからか、しつこい感じはないですね。

なおこの帯の水は、MOA美術館にある「紅白梅図」の流水部分です。梅の着物と合わせれば紅白梅図がつくれますし、桜と合わせれば「桜と流水がつくれますし、菖蒲と合わせれば「八橋図」、紅葉と合わせれば「龍田川」と便利な帯です。

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写真2番目は、龍村の袋帯「海音光映錦」を合わせてみました。やはり波を合わせた例ですが、紅葉と合わせる波にしては、激しすぎるでしょうか。

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写真3番目は、龍村の袋帯「波兎遊跳文」を合わせてみました。波と兎を合わせたモチーフは江戸時代から多くあります。元は謡曲「竹生島」で、勅使たちが竹生島に上陸する直前、島の周囲の景色を描写するのですが、月に照らされた波が兎が奔るように見える、というところです。

ここでは、「龍田川」と「波兎」ということで、水に関する2つのテーマが並んでいることになります。波を共通項として馴染んでいるとみるか、2つの違う組み合わせが混じってしまっているとみるか、どちらでしょうか。
りように

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写真4番目は、龍村の袋帯「錦秀遺芳文」を合わせてみました。反っくり返った鹿は、平家納経のうち俵屋宗達が修復した部分です。平家納経と言えば安芸の宮島、宮島と言えば紅葉饅頭ですよね。反っくり返った鹿から平家納経に気付いた人だけは、意味的なつながりに気付ける帯合わせです。

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写真5番目は、喜多川俵二の名古屋帯を合わせてみました。この帯の意匠も平家納経に取材したものです。厳島神社を通して紅葉と意味的につながっています。

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写真6番目は、喜多川俵二の名古屋帯「鳥襷丸文」を合わせてみました。「鳥襷丸文」は王朝時代に由来する有職文様の1つです。有職故実というのは鎌倉時代にまとめられてということです。体系化されて完成するというのは、現役時代の少し後ですよね。現役時代は進歩しているので完成しないのでしょう。ローマ法が不磨の大典になったのは西ローマ帝国滅亡後のユスティニアヌスの時代ですし。

有職文様の良いところは、上品というだけで、意味に関係なく柄を合わせることができるところですね。

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写真7番目は、喜多川俵二の名古屋帯「角繋ぎ」を合わせてみました。シンプルな紅葉流水に合わせ、シンプルな色とデザインの帯で合わせてみました。
[ 2017/07/16 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

一の橋の付け下げ「紅葉流水」の帯合わせ

第三千八百七回目は、一の橋の付け下げ「紅葉流水」の帯合わせです。

すっきりした意匠の着物ですから、すっきりした帯ということで間道を中心に合わせてみました。

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いちばん上の写真は、龍村の袋帯「海老殻間道」を合わせてみました。

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写真2番目は、龍村の袋帯「郁芳間道」を合わせてみました。

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写真3番目は、龍村の袋帯「ちとせ間道」を合わせてみました。

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写真4番目は、龍村の袋帯「彩香間道」を合わせてみました。

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写真5番目は、池口の袋帯「佐波理つづれ」シリーズの極初期の1本を合わせてみました。御簾をテーマにしたもので、垂れの部分で御簾だったとわかりますが、それ以外の部分はまるで間道です。。

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写真6番目は、おび弘の袋帯を合わせてみました。モダンとも思える色とデザインですが、技法はホンモノの引き箔でじつは伝統的な帯です。
[ 2017/07/15 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

一の橋の付け下げ「紅葉流水」の続き

第三千八百六回目は、一の橋の付け下げ「紅葉流水」の続きです。

今日は細部を近接で撮ってみました。撮ってみたらどこも同じようで恐縮しています。倉部さんの付け下げは、物語として展開していくような意匠ではなく、完成度の高いパーツを繰り返して見る意匠だからしょうがないですね。そこはやはり友禅と繍箔の違いなんじゃないでしょうか。小袖の時代でも、友禅の発明によって、絵画性が高く物語として展開していく小袖の意匠が生まれたのだと思います。

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いちばん上の写真は、マエミの上の方にある紅葉の近接です。繍箔のこの作品でも、赤と緑の2色だけとはいえ、彩色が行われています。しかしこの2色はじつは友禅ではなく、顔料によるものです。顔料の持つ不透明感のおかげで、金箔に負けない存在感が得られているのだと思います。

縁蓋を使った金彩に負けないためには、生地に浸み込む染料の自然な感じより、生地に接着剤で着けた顔料のくっきり感が合いそうです。顔料部分も縁蓋を使っているのでしょうか。

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写真2番目は、オクミにある紅葉の近接です。

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写真3番目は、マエミの下の方にある紅葉の近接です。

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写真4番目は、後姿にある紅葉の近接です。
[ 2017/07/14 ] 繍箔 | TB(0) | CM(0)

一の橋の付け下げ「紅葉流水」(実際の制作は倉部さん)

第三千八百五回目の作品として、一の橋の付け下げ「紅葉流水」を紹介します。実際に制作したのは倉部さんです。

龍田川とも呼ばれる、紅葉と流水のモチーフですが、全くひねりの無いとても平明な表現です。倉部さんの箔と刺繍の加工だけが見どころですね。倉部さんでなければ意味がない作品ですし、倉部さんの凄さを引き立てるには、こんな平明な図案の方が効果的なのかもしれません。

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いちばん上の写真は、前姿(マエミ+オクミ)です。

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写真2番目は後姿です。

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写真3番目は片袖です。もう片方の袖は無地です。

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写真4番目は胸です。
[ 2017/07/13 ] 繍箔 | TB(0) | CM(0)

龍村の袋帯「彩華鹿鳥錦」の帯合わせ

第三千八百四回目は、龍村の袋帯「彩華鹿鳥錦」の帯合わせです。

今日は色留袖と合わせてみます。

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いちばん上の写真は、大松の色留袖を合わせてみました。大松(大黒屋松三郎)は、大彦(大黒屋彦兵衛)や大羊居の本家に当たります。大幸(大黒屋幸吉)の実子が松三郎、娘婿が彦兵衛という関係です。大羊居は大幸をもじったものということです。「幸」の字の中には「羊」がありますものね。

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写真2番目は、大松の色留袖を合わせてみました。実際に制作したのは大松ですが、落款は北秀の社長である北村芳嗣さんのYKになっています。昔、芳嗣さんの個展というのがあり、北秀の中でも特に個性的な高級品が並べられていたのです。

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写真3番目は、大松の色留袖を合わせてみました。蓬莱島をテーマにしたもので、江戸時代の友禅小袖にも同じテーマのものがあります。江戸時代のものはたくさん船が描かれていて、一般世界と交流があることを示していますが、この作品では船が全く描かれていなくて、現実には存在しない世界であることを示しています。船を描くか描かないかで、意味も雰囲気もすごく違うものですね。

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写真4番目は、大松の色留袖を合わせてみました。松竹梅をテーマにしたものです。

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写真5番目は、野口の色留袖を合わせてみました。祇園祭の懸装品であるイリアスのタピスリーをテーマにしたものです。教皇の注文によりラファエロが下絵を描きブラッセルで織ったヨーロッパが生んだ宝ともいうべきものです。当然、バチカンの奥深くに収蔵されていたはずでしたが、なぜか出島に現れ、京都の町衆と加賀前田家が分けて買ったとされています。

その経緯は謎ですが、バチカンから盗んだ犯人がヨーロッパでは処分できず、絶対バレない場所として鎖国中の日本で処分したんじゃないでしょうか。もちろん今は日本の国宝に指定されています。昔は時代考証という発想はなかったようで、プリアモス王もルネサンス時代の衣裳をつけています。
[ 2017/07/12 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

龍村の袋帯「彩華鹿鳥錦」の帯合わせ

第三千八百三回目は、龍村の袋帯「彩華鹿鳥錦」の帯合わせです。

昨日は大羊居の訪問着と合わせたので、今日はそれ以外と合わせてみます。

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いちばん上の写真は、千切屋治兵衛の訪問着を合わせてみました。実際に制作したのは藤沢さんです。藤沢さんは刺繍屋さんですが、刺繍屋的な活動をしていたことがありました。これは当時のもので、あしらいが多めの友禅の訪問着です。秋草に芝と羊歯を合わせた意匠です。

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写真2番目は、千切屋治兵衛の訪問着を合わせてみました。実際に制作したのは藤沢さんです。上と同じ時期の作品で、桜と葡萄で春秋使えるようになっています。

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写真3番目は、花也の訪問着を合わせてみました。霞をテーマにした作品です。霞は暈しですが、その中の芯になるような位置に、色糸で刺繍してあります。透明感のある多色なので彩雲のような華やかさもあります。

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写真4番目は、千總の訪問着を合わせてみました。金描きによる更紗の訪問着です。主要部分は友禅による彩色と金糸の刺繍がしてある豪華で、少しマニアック感がある訪問着です。

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写真5番目は、藤井絞の訪問着を合わせてみました。全身が蔦の形の絞の訪問着です。この写真をよく見ていただくとわかるのですが、蔦の葉の形は縫い目の部分をまたがり、絞りでありながら形がぴったり合っているんですよ。

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写真6番目は、千切屋治兵衛の訪問着を合わせてみました。実際に制作したのは倉部さんです。横段模様の訪問着です。コストの高い京繍の訪問着なので、余白が多いのは仕方がないです。
[ 2017/07/11 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

龍村の袋帯「彩華鹿鳥錦」の帯合わせ

第三千八百二回目は、龍村の袋帯「彩華鹿鳥錦」の帯合わせです。

龍村の袋帯ということで、とりあえず大羊居の訪問着を合わせてみます。

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いちばん上の写真は、大羊居の訪問着「モザイクトルコキキョウ」を合わせてみました。

モザイクのように表現された花模様とそれを背景に普通に描かれた花模様が重なる図案です。

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写真2番目は、大羊居の訪問着「モザイク牡丹」を合わせてみました。豪華な牡丹模様ですが、古い時代の織物のようにカクカクで表現されたところが個性です。

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写真3番目は、大羊居の訪問着「春秋華映」を合わせてみました。桜と楓をテーマにしていますが、地色も2色に染め分けられて、まさに春秋ですね。

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写真4番目は、大羊居の訪問着「飛鶴瑞祥」を合わせてみました。蔓がたくさん飛び回っていますが、それが小さいことで大空を感じさせる雄大な意匠になっています。

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写真5番目は、大羊居の訪問着「更紗遊苑」を合わせてみました。小袖にもある立木模様は、インドの生命の木の翻案と言われますが、それをさらに更紗に戻したような図案です。
[ 2017/07/10 ] 絞り | TB(0) | CM(0)

龍村の袋帯「彩華鹿鳥錦」の細部

第三千八百一回目は、龍村の袋帯「彩華鹿鳥錦」の細部です。

今日は円文外の植物文を追求してみました。

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いちばん上の写真は、円文の下にある3つの花器の近接です。使われている糸は、平銀糸、撚金糸、色の絹糸です。使い分けの基準を考えてみると、生き物である植物部分と花器部分で分けているのではないようです。不思議な感じがしますね。

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写真2番目は、上の写真の裏側です。平銀糸の裏側は和紙で、ホンモノの引き箔であるとわかります。ホンモノの引き箔を多用した帯は軽いです。

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写真3番目は、真ん中の花器の近接です。平銀糸、撚金糸、色の絹糸の3つが見られます。平銀糸は平面、撚金糸と色の絹糸は盛り上がって見えますから、糸の断面の形が立体感を作る仕組みです。

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写真4番目は、円文の上にある同じ形の花器の近接です。こちらは黄緑です。朱と黄緑の対比は龍村っぽいですね。

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写真5番目は、お太鼓の四隅にある植木のような植物文の1つで、梅らしき木です。

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写真6番目は、上の写真の近接です。植木鉢と梅の花が同じ平銀糸、幹が撚金糸、花が色の絹糸です。木の幹が断面が丸い撚金糸であることと、花が色の絹糸であることは理解できますが、植木鉢と梅の花が同じ平銀糸であるところは自由自在としかいいようがないですね。

梅の花がモザイク処理されているようでおかしいですが、本歌がかなり細密な織物でこのような表現になっているのでしょう。
[ 2017/07/09 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

龍村の袋帯「彩華鹿鳥錦」の細部

第三千八百回目は、龍村の袋帯「彩華鹿鳥錦」の細部です。

今日は円文内の動物闘争文を追求してみました。

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いちばん上の写真は、鹿と鳥の近接です。

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写真2番目は、鹿にさらに近接してみました。鹿の胴体は光沢のある茶色です。その色はどのように表現されているかというと、茶色いポリエステルフィルムを使うのではなく、茶色い絹糸と本金引き箔を併置することで表現しています。

また鹿の斑点模様は撚り金糸を使うことで、立体的に表現しています。平面である平金糸の中に丸い束である撚金糸を織り込むことで立体感が出るんですね。

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写真3番目は、鹿の胴体の拡大です。本金の平金糸と茶色い絹糸で出来ていることがよくわかります。留め糸は地色と同じ黒の絹糸です。昔、東芝のブラウン管でブラックストライプ方式というのがありましたが、この黒のおかげで色がくっきり見えるんじゃないでしょうか。


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写真4番目は、鳥にさらに近接してみました。鳥の体は金色のようですが、金ほどは光沢のない色です。金糸と黄色っぽい絹糸
の併置からできています。それが、金のような光沢はあるが金ほどは光沢が無い色の理由です。

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写真5番目は、鳥の胴体の拡大です。意外なことに金糸が撚金糸で、平金糸である鹿の胴体と表現が分けてあるのです。撚金糸は丸い束ですから平金糸より立体的です。表面が獣毛である鹿と表面が羽毛である鳥の違いを表現しているのではないかと思います。西陣の織物というのは伝統的というより創造的ですね。

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写真6番目は品質表示です。指定外繊維(紙)は本金の引き箔の裏の和紙ですから、本金が使われていることを示します。一方、ポリエステルはポリエステルフィルム、レーヨンはその芯糸でしょう。両者の比率を見ると8%と(1%+1%)ですから、本金比率が高いと言えます。動物の胴体をポリエステルフィルムで表現せず、本金と絹の色糸とで表現したおかげでしょう。
[ 2017/07/08 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

龍村の袋帯「彩華鹿鳥錦」

第三千七百九十九回目の作品として、龍村の袋帯「彩華鹿鳥錦」を紹介します。

たいていの西陣の帯の意匠は、正倉院御物、王朝時代の有職文、あるいは中世と近世の名物裂というように本歌があって、それを探せば作品の意図などすべてわかるのですが、今回の袋帯はまだ本歌が探せていません。

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いちばん上の写真はお太鼓です。模様の輪郭は、性能の悪い昔のファクシミリのようにカクカクしていますから、元は織物、おそらく舶載されて日本に来たものだろうと思います。

円文部分は、動物がいてペルシア狩猟文風ですが、、その周辺は盆栽みたいでもあり、両者が結合している文様って何でしょうか。中国製で中世に舶載されてきたものかと思うんですけどね。

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写真2番目は、お太鼓の中央の円文部分です。鹿と鳥の関係はどうなんでしょう。両者は戦っていて、動物闘争文と言われるものでしょうか。

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写真3番目は、円文の下の辺りです。3つの花器が並べてあります。神仏に花が捧げる時の花器で、この3つがつながっているのが千切台といわれ千切屋一門の家紋(世間で知られているのは千總のマーク)ですね。

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写真4番目は腹文の全体です。3つの花器と盆栽のような植木です。植木の種類は梅のようですが、ではお太鼓にある4つの植木は何でしょうか。四君子でもないようですし。

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写真5番目は、腹文の片側、折って表に出る部分です。

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写真6番目はタイトル部分です。たいていの帯はタイトルから本歌が推定できるのですが、龍村のタイトルは漢籍にもくわしい白井進さんが付けるので、いつも一捻りあって解明が難しいです。今回は鹿と鳥がいて、色が華やかというだけでヒントが無いですねえ。何かご存知の方、コメントに書き込みいてくれると助かります。
[ 2017/07/07 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

都織物(385)のすくいの八寸の名古屋帯「気」の帯合わせ

第三千七百九十八回目は、都織物(385)のすくいの八寸の名古屋帯「気」の帯合わせです。

昨日、すくいと綴の違いを書きましたが、実際の呉服屋さんは、実務上どのように区分しているでしょうか。じつは私もそうなのですが、簡単で確実そして少しがっかりな方法です。それは綴の織屋として知られている人が織ったものは綴、すくいの織屋として知られている人が織ったものはすくいということです。

たとえば綴の人間国宝である細見華岳が織ったものは綴、爪掻綴の組合員であることを示す紫のラベルの貼ってある清原織物が織ったものは綴、「河村つづれ」や「栄昌つづれ」の商標を持つ河村織物が織ったものは綴、「まことのすくい」の商標を持つまこと織物が織ったものはすくいです。

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いちばん上の写真は、かつての重要無形文化財の要件を満たしていた結城紬を合わせてみました。八十亀甲の総柄です。

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写真2番目は、郡上紬を合わせてみました。糸は手紡ぎ、糸染は草木染、織りは手織り、という紬マニアがホンモノと認める条件を揃えた紬です。それでいてデザインは意外と都会的なのがいいですね。

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写真3番目は、林宗平の塩沢紬を合わせてみました。生前は「古代紬」とネーミングしていました。有栖川龍文をテーマにしていますが、帯が龍の吐いた気のように見えるというつもり。

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写真4番目は、白鷹紬を合わせてみました。白鷹は経産省の伝産マークの区分では「置賜郡の紬」に属します。塩沢と同じで、お召と紬とがあります。紬は手織り・手紡ぎです。

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写真5番目は、松枝玉記さんの久留米絣を合わせてみました。松枝玉記作品集「藍生」に載っている作品です。

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写真6番目は、齋藤光司さんの舘山唐桟を合わせてみました。木綿の縞にも使えます。
[ 2017/07/06 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

都織物(385)のすくいの八寸の名古屋帯「気」の帯合わせ

第三千七百九十七回目は、都織物(385)のすくいの八寸の名古屋帯「気」の帯合わせです。

昨日、すくいと綴の違いを書きましたが、それは私の観察によるもので呉服屋さんでは異論も多いのではないかと思います。一般的には、綴の仲間のうち、紬系の糸で織られ紬の着物にしか合わせられないのがすくいと考えているばあいの方が多いのではないでしょうか。実際に、綴よりもすくいの方がカジュアルに合わせるものが多いです。またデザインも最初からそのようにできていますね。

というわけで、今回の帯も帯合わせは紬系だけになります。

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いちばん上の写真は、宮田織物の本塩沢を合わせてみました。本塩沢は塩沢を名乗る織物のうち、紬ではなくお召の方で、単衣で着るとお洒落の方です。これは全体が経緯絣の作品です。

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写真2番目は、秋山真和さんの「綾の手紬」を合わせてみました。帯合わせについ使ってしまう私のお気に入りです。私は女性の着物は着ませんが、着ない人はこういう色が目にバシッと来て、綺麗だけど着にくそうな着物が好きなものです。

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写真3番目は、大城誠光さんの琉球絣を合わせてみました。絹糸(玉糸でも真綿糸でもないという意味)で織られた大島みたいな手触りの着尺です。民芸的な感じが好きな人は、紬のボタッとした感じの方が良いかもしれませんが、大島みたいな感じの方が実際にはかっこよく着られるかもしれませんね。

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写真4番目は、真栄城興茂さんの琉球美絣を合わせてみました。創作的な紬として最も早く創始された(大正時代、明治までは貢納布制度があったので沖縄に創作はない)絣です。木綿と駒糸がありますが、これは木綿地で「美絣」の名の通り、絣のグラデーションが美しいです。

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写真5番目は、大城哲(大城織物工場)さんの琉球絣を合わせてみました。大城織物工場は南風原に有って、カメ→清栄→哲(さとし)と続きます。これは哲さんの時代で、グバンの中に絣がある手縞の様式。

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写真6番目は、紺仁の「片貝布」を合わせてみました。紺仁の「片貝木綿」は機械織のリーズナブルな値段の木綿の着尺で、とてもお洒落で合理的な着物です。しかしなんと、紺仁さんは機械織の木綿を大量に売りながら、じつはそのホンモノバージョンも作っていたのです。デザインは、機械織の木綿に比べるとお洒落ではないかもしれません。しかしホンモノとしか言いようのない真綿の織物なのです。

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写真7番目は、大城カメ(大城織物工場)さんの琉球花織の着尺を合わせてみました。一見、読谷花織に見えますが、産地が読谷ではなく南風原ですから、浮織の着物ということになります。ラベルとしては「琉球花織」となっています。どちらが良いかと言えば、値段的にはこちらが少し安いです。ホンモノ感は読谷の方がありますね、しかしこちらには大城カメ的なセンスの良さがあります。好き好きで。
[ 2017/07/05 ] 繍箔 | TB(0) | CM(0)

都織物(385)のすくいの八寸の名古屋帯「気」

第三千七百九十六回目の作品として、都織物(385)のすくいの八寸の名古屋帯を紹介します。タイトルは「気」です。

すくいの帯とはどういうものをいうのか、その語源は「糸をすくうように織るから」だというのは、よく言われるのですが、その定義や綴の違いというのは意外に説明している文献はないんじゃないかと思います。もちろん広辞苑などには載ってないですし、染織用語の最後の砦でもある染織と生活社の後藤捷一著「日本染織文献総覧」でさえも載っていないのです。

結局、研究者が定義するような形で存在する言葉は「綴」または「綴錦」までで、すくいというのは近代になって造られた商品名または商標ではないかと思います。いつか研究者が定義する日があるかもしれませんが、まだそこまで一般化していないんじゃないでしょうか。

商標としては「まことのすくい」がありますね。まこと織物が持つ商標です。「まことの」と付くのは「すくい」だけではすでに言葉として普及しているということで登録できなかったのでしょうか。

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いちばん上の写真はお太鼓です。

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写真2番目は腹文です。

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写真3番目は、お太鼓の近接です。

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写真4番目は、お太鼓のさらに近接です。

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写真5番目は、お太鼓の拡大です。下半分のグレーの部分が地、上半分の青と白が模様です。地の部分は経糸と緯糸の色が違ってグレーの濃淡になっています。平織なので経緯の色が平等に露出しています。離れて見れば平均の単色のグレーに見えてしまうわけですが、平均の単色で織るよりも2色で織る方が面に奥行きが出て空間を感じることができるんじゃないでしょうか。

また模様部分ですが、経糸を緯糸で包むような構造になっており、経糸は表面からは見えません。これが本来の綴組織です。この作品は模様が綴組織、地が平織で出来ているんですね。綴と呼ばれる織物は全面が綴組織ですから、そこがすくいと綴の違いかもしれません。

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写真6番目は、お太鼓の別の場所の拡大です。この部分も、地は平織で模様は綴組織です。綴とは綴組織で織られたものであり、すくいとは綴組織を使っているが他の技法も使っているものということではないかと思います。
[ 2017/07/04 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

東京友禅と刺繍の名古屋帯「御所解模様」の帯合わせ

第三千七百九十五回目は、東京友禅と刺繍の名古屋帯「御所解模様」の帯合わせです。

今日はフォーマル方向の帯合わせとして、付下げを合わせてみます。付下げや訪問着には御所解のような意匠も多いですから、模様が重ならないようにすることが大事です。

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いちばん上の写真は、千切屋治兵衛の付下げ「薫炉」を合わせてみました。実際に制作したのは倉部さんです。帯の模様が絵画的ですから、着物は絵画的なものを避けて刺繍だけの作品にしてみました。刺繍も花模様にすると帯と重なってしまうので、器物模様にしました。

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写真2番目は、千切屋治兵衛の付下げ「八重葎」を合わせてみました。実際に制作したのは中井淳夫さんです。八重葎というのは華やかなところが無く、着物の模様にはふさわしくないように思いますが、それでも選ばれたのは、源氏物語の帚木の雨の夜の品定めに登場するからだと思います。

寂れた家の門に絡みつくような植物ですが、その蔓をシンプルな意匠にしています。

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写真3番目は、野口の付下げを合わせてみました。四角い取り方を並べたためにモダンな雰囲気がある意匠です。中の模様は唐華文ですが、国籍不明の模様で、全体に意味不明なところがメリットじゃないかと思います。現に帯合わせができているわけですし。

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写真4番目は、野口の付下げを合わせてみました。無線友禅による牡丹です。昭和初期のデカダン的な雰囲気があります。

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写真5番目は、花也の付下げを合わせてみました。市松取りに見える地紋を利用した意匠です。織りである着物の地紋と、染である着物の加工を連携させた例です。模様部分はダンマル描きをした上に金加工しています。

よく見ると立った地紋の上に模様が描いてあり、無地的な地紋の上は無地にしています。逆のように思いますが、立った地紋の上に模様を載せることで絵が立体に見えるというわけです。

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写真6番目は、千切屋治兵衛の付下げ「大楓」を合わせてみました。実際に制作したのは中井亮さんです。帯は細密な白揚げ友禅と刺繍ですから、着物はその反対の大きくてシンプルな意匠にしてみました。
[ 2017/07/03 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

東京友禅と刺繍の名古屋帯「御所解模様」の帯合わせ

第三千七百九十四回目は、東京友禅と刺繍の名古屋帯「御所解模様」の帯合わせです。

今日は染めの着尺を合わせてみます。染の着尺には、御所解模様のパターンを型染したものもあります。千總の小紋のイメージですね。そういう着物は絶対に合わせられないわけですが、そうでなくても染めの着尺は色もありますし、絵画的なものが多いです。どの辺まで合わせることが可能か、今日はそんなテーマで帯合わせをしてみます。

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いちばん上の写真は、藤井絞の飛び柄の絞の着尺を合わせてみました。飛び柄の着尺は帯合わせしやすいものですが、それは余白が多く模様どうしが接しないからでしょう。御所解の帯は菊が多いですが、これは小袖以来の様式を踏襲しているだけで季節を表しているわけではありません。梅の着尺を合わせて早春に着ても良いわけです。

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写真2番目は、千切屋治兵衛の飛び柄の着尺を合わせてみました。実際の制作したのは大和さんで、技法は糸目型(手挿し)です。一見地味な宝尽し模様の飛び柄の着尺です。模様は小さいながら手挿しであるため、存在感があって、重い帯に対してそれほどバランスが悪くありません。

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写真3番目は、野口の着尺を合わせてみました。鮫小紋柄と宝尽くしを市松取りに配した着尺です。単彩でも個性がある意匠なので、今回のような重い帯は相性が良いと思います。

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写真4番目は、千切屋治兵衛の市松取りの着尺を合わせてみました。実際に制作したのは大和さんです。紬地で単色の笹の模様です。紬地+単彩+花の無い植物文というわけで地味なイメージですが、大胆イメージの市松取りということで、けっこう存在感のある着物になっています。上の例と合わせt考えると、単彩で存在感がある、というのがベストな条件のように思います。

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写真5番目は、野口の着尺を合わせてみました。横段模様です。仕立て方で横段風にも市松風にもなります。模様部分は干菓子で、模様の境目は暈しです。きわめて個性があって、いつでも主役のような着尺ですから、帯合わせについては悩むところです。私はこういう時は、重い帯を合わせ力で押さえつける感じを考えますね。

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写真6番目は、野口の着尺を合わせてみました。横段模様です。仕立て方で横段風にも市松風にもなります。上と同じ野口の得意な横段ですが、こちらは模様部分は慶長小袖の豪華な刺繍を型染にしたものです。模様の境目は暈しになっていますが、上の例では模様が地の暈しに関係なくはみ出してもいますが、この例では模様がぼかしの線で終わっています。細かいことですが、それだけで大きく雰囲気が変わり、着物を作るときはこういうことが成功と失敗を分けたりします。
[ 2017/07/02 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)