野口の手挿しの訪問着の帯合わせ

第三千七百二十九回目は、野口の手挿しの訪問着の帯合わせです。

今回の帯合わせの難しい点は、着物が2本の樹木として根元から梢までの絵として完成していることです。その完成した絵に対し帯で別の絵を加えることの是非ですね。昨日は、間道など意味のない文様を合わせて、絵を加えることを避けました。今日は、考えながら絵や意味のある帯を合わせてみたいと思います。

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いちばん上の写真は、織悦の袋帯「厳島花鳥蝶文錦」を合わせてみました。樹木だけを描いて絵として完成した着物に、もし不足するものがあるとしたら、それは梢にいるはずの鳥かな、ということで鳥の居る帯を合わせてみました。都合よく蝶もいますね。

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写真2番目は、龍村の名古屋帯「双鳥花文」を合わせてみました。これも樹木に鳥を止まらせるつもりで合わせてみました。

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写真3番目は、紫絋の袋帯「臈纈花鳥文」を合わせてみました。これも鳥狙いです。

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写真4番目は、大西勇の袋帯「有栖川龍文」を合わせてみました。江戸時代の小袖にある立木模様は、1本の樹木を根元から梢まで堂々と描いたものですが、この作品はその現代的翻案だと思います。しかし、江戸時代の立木模様はじつは、インドの「生命の樹」の翻案だそうです。元が宗教的な意味を含んだ神聖な木であれば、空には龍が飛んでいても良いか、ということで。

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写真5番目は、洛風林の袋帯「飾宝華文」を合わせてみました。「華文」「唐草」「更紗」のような、元が植物からインスピレーションを受けた文様は、樹木に対してどうでしょうか。もう文様になってしまったから関係ないのか、まだ植物どうしということで意味が重なるのか。

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写真6番目は、帯屋捨松の袋帯を合わせてみました。上の例をもう1度試してみました。こちらは配色にインパクトが有って、模様の中味は忘れてしまうかも。

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写真7番目は、大西勇の袋帯「正倉院象文」を合わせてみました。この帯の元絵は、「正倉院御物臈纈屏風」で、象と樹木からなっています。この帯の意匠はそれをそのまま写したものですが、樹木部分は帯として締めると隠れてしまいます。その隠れた樹木を着物の模様で復活させてみたという、芸の細かい帯合わせです。
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[ 2017/04/28 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

野口の手挿しの訪問着の帯合わせ

第三千七百二十八回目は、野口の手挿しの訪問着の帯合わせです。

テーマがはっきりして、1つの意味のある絵として完成しているような着物に対する帯合わせは、意外に難しいことがあります。理想を言えば、その完成した絵に足りないものを補完するような帯が有ればいいのですが、「完成」しているわけですから難しいですよね。

今日は間道のような純粋な文様で、それ自体に意味がないようなものを合わせます。着物の絵が意味的に完成しているので、意味を足さない帯合わせです。

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いちばん上の写真は、龍村の袋帯「郁芳間道」を合わせてみました。

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写真2番目は、龍村の袋帯「ちとせ間道」を合わせてみました。

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写真3番目は、龍村の名古屋帯「飛鳥間道」を合わせてみました。法隆寺の「蜀江小幡」の手の部分に使われてもいる裂で、龍村の商品名は「飛鳥間道」ですが、学芸員が使う一般語としては「山菱文錦」だと思います。

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写真4番目は、おび弘の袋帯を合わせてみました。少したわみのある車線で、グラフィックデザインのようですが、素材も技法も西陣の伝統そのもののような手織りの帯です。「おび弘」は池口さんで、あの「佐波理つづれ」と同じ証紙番号607です。

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写真5番目は、龍村の名古屋帯「シャムパーシン」を合わせてみました。龍村は国別にテーマを決めた展示会をしていたことがありましたが、これはタイやカンボジアをテーマにした展示会の時に発表されたものです。意味はあるのでしょうが、私にもたいていの日本人にも分からないので、意味を足さない帯として使ってみました。
[ 2017/04/27 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

野口の手挿しの訪問着の続き

第三千七百二十七回目は、野口の手挿しの訪問着の続きです。

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いちばん上の写真は袖です。袖の裾から枝が出て、弧を描くように伸びています。この訪問着で描かれているのは、前姿1本、後姿1本、計2本の樹木だけですし、その種類も同じです。葉はなく花だけですし、その花も全部同じ向きです。とてもシンプルな図案なんですね。

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写真2番目は、前姿の上の方の花の多いところです。裾から伸びてきた幹は一度オクミの方に曲がって、オクミとマエミの縫い目をまたいだメインの模様になります。普通の付下げの模様は、マエミ、オクミというように別の模様が有るわけですが、1本の樹木をテーマにしていると、模様を置きたい場所に幹が曲がっていって、そこで花をつける図案になるわけです。

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写真3番目は、前姿の下の方の花の多いところです。普通の付下げでもマエミの下の方に模様が有りますが、その役割を果たす枝が生えています。太い幹よりも細い枝の方が色が濃いんですね。この方が模様が締まるんでしょうか、図案のテクニックなんでしょうね。

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写真4番目は、後姿の模様の花の多いところです。花は同じ形のようですが、縁取りが有るものとそうでないものがあり、強弱感が有ります。花は全部前を向いていて、子供が描くような形ですが、「下手な絵」なのではなく「装飾的な画面」なのです。

野口の手挿しの訪問着

第三千七百二十六回目の作品として、野口の手挿しの訪問着を紹介します。

手描き友禅と型染(現在はほとんどシルクスクリーン)の間に手挿しがあります。手挿しは型糸目ともいうのですが、糸目すなわち模様の輪郭線だけに型を使い、模様の内部は手描きするものです。手描きと型染を見分けるために、裏を見て染料が裏まで透っているか見ることがありますが、この方法では手挿しと手描きを見分けることはできません。色はどちらも手で挿しているわけですから。

どこが違うかというと、手挿しは複数生産を前提としているので、日本のどこかで、誰かが同じ模様の色違いを着ていることです。いきなり量産するのではなく、毎年1,2枚ずつ、流行が変わって売れなくなるまで作り続けるので、最終的に何枚作るかはわかりません。昔は数十枚作ったでしょうが、今では不人気なら数枚、人気でも十数枚でしょうか。

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いちばん上の写真は前姿です。この作品は反物で制作され、指定された箇所で裁つと模様がつながって訪問着になるようになっています。

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写真2番目は前姿ですが、おはしょりや帯の裏になって見えないところです。前姿の下から生えてきた樹木は、付下げであれば帯の下で梢まで描いて一度終わるところですが、この帯の裏を通り抜けていきます。訪問着的な構成ですね。

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写真3番目は胸です。裾から変えてきた樹木は帯の裏を突き抜けて胸にまで達し、そこに梢があります。

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写真4番目は後姿です。左側の枝は前姿の樹木から繋がってきている枝です。後姿の裾からも1本樹木が生えてきています。

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写真5番目は、後姿を縦の写真で撮ったものです。後姿の樹木もけっこう上まで伸びていて横の写真では入りきらないので、縦の写真で撮りなおしてみました。

龍村の絽の名古屋帯「花音」の帯合わせ

第三千七百二十五回目は、龍村の絽の名古屋帯「花音」の帯合わせです。

今日は思い切りカジュアルに合わせてみます。普通は龍村の帯はこんな風に使わないかもしれないですね。帯合わせにおいてフォーマルとカジュアルとでギャップのあるものを合わせると、バランスが悪いとも言えますが、着て行ける場が広くなるとも言えます。どちらになるか、色やデザインを上手く合わせればなにもかも上手く行くものです。

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いちばん上の写真は、ポーラを合わせてみました。ポーラは、poralの意味で、ウールのうち撚りの強い梳毛糸 (そもうし)で平織りにした織物を言います。さらさらとした手触りで通気性がある夏物のウールです。梳毛糸というのは、長くて良く揃った羊毛を紡績工程でよくくしけずって繊維を直線状に引伸ばしたものです。

日本語の「ポーラ」というのは、おそらく商標登録されたネーミングで、その会社はすでに生産を中止しているのではないかと思います。今もポーラの相当する着物はいくつかのメーカーから出ている」ようですが、サマーウールの仲間として別の商品名になっています。「サマーウール」という言葉が一般語なのか、誰かの商標であったのかその辺はわかりません。

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写真2番目は、ポーラを合わせてみました。ここで紹介しているポーラは、商標を持つメーカーのポーラです。昨年、高梨という問屋で掘り出し物としてまとめて買ったので、本来のメーカーは生産中止していると知った次第です。そのようなものは、早く処分すべき無用なものと考える人と、確保しておかないともう見られない希少なもの考える人がいます。無用なものと考える人から買い、希少なものと考える人に売るのが商人の仕事ですよね。

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写真3番目は、小千谷縮を合わせてみました。ラミーで織られたお洒落な夏の着物です。無地、縞、格子、経絣、経緯絣が有って、値段も段階になっています。これは縞のようですが、縞が途切れているのでその場所を防染しているわけですから経絣ですね。

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写真4番目は、小千谷縮を合わせてみました。これは白、淡いベージュ、ベージュの3色の麻の糸を使った格子です。経緯の糸を、白×白、淡いベージュ×淡いベージュ、淡いベージュ×ベージュ、ベージュ×ベージュと組み合わせることで4つの色の面ができます。写真で見える4つの面がそれですが、それを意匠にしているわけです。織物を意匠を考えることは図形の問題を解くような感jですね。

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写真5番目は、近江ちぢみを合わせてみました。小千谷縮と同じラミーで織られた夏のカジュアルです。織っているのは、愛荘町にあって近江上布の織元である川口織物です。小千谷縮より少し安いですね。どちらが良いかと言えば、お洒落なカジュアルですからデザインで選べば良いと思います。

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写真6番目は、奥順の「結城手織ウール紬」を合わせてみました。奥順というのは、結城紬のいちばん有名な織元ですが、かつてウールを織っていたことがあったとは、相当着物に詳しい人でも知らなかったのではないでしょうか。小幅で経緯の絣を合わせた織物ですから、そんなものを機械で大量生産したとは考えにくく、本当にウールを手織りしたんだと思います。文化財の結城を織らせることができない初心者の織り手を使ったのか、当時の状況はわかりませんが、ウールの結城紬があると言ったらオーパーツですよね。

[ 2017/04/24 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

龍村の絽の名古屋帯「花音」の帯合わせ

第三千七百二十四回目は、龍村の絽の名古屋帯「花音」の帯合わせです。

今日は付下げに合わせてみます。フォーマル方向の使い方ですね。

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いちばん上の写真は、野口の絽ちりめん地の付下げ「芦」に合わせてみました。流水の中に芦の葉が揺れるというテーマです。芦の葉が、紫、紺、辛子い色、緑という野口のテーマカラーともいうべき色で染められています。この色の組み合わせは野口作品でよく当時するので、この配色を見ると野口だなとわかります。色とデザインだけで、商標を見なくてもどこの商品かわかる、というように自社のアイデンティティを持つというのは、現代のマークティングが教えるところです。野口はテーマカラーを持っている数少ない着物メーカーですね。

配色の特徴は朱が入っていないことです。朱が入っていると若向きになって年輩者が着られなくなってしまいます。朱を使わないことで、年輩者向きでありながら華やかな着物が作れるのです。

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写真2番目は、野口の紗の付下げ「柴垣秋草文」に合わせてみました。花の種類を見ると、菊・萩などわりと秋に偏っているので、夏後半のイメージでしょうか。たいていの人は夏のフォーマルなんて、買うとしても1枚だと思います。そのばあいは波の文様にしておけばずっと着られます。植物文のばあいは、後半に合わせた方が良いでしょう。秋草というのはなんとなく生えている感じで、夏前半でもそれほど気にならないものです。

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写真3番目は、千切屋治兵衛の絽の付下げ「撫子」に合わせてみました。実際に制作したのは中井淳夫さんです。墨で自然体で描かれたような大きな葉がありますが、葉の交わるところを見ると、ちゃんと糸目の痕跡があります。無意識で描かれているように見えるのは演出で、じつは綿密に計算して糸目で輪郭を取ってあるのです。

撫子の花は細い金糸で名人技のようなあしらいを入れていますし、夏後半の、ちょっとだけ初秋を思わせる風が吹くかなあという空気を感じる情緒的な作品に見えて、小細工満載な中井さんらしい作品です。

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写真4番目は、千切屋治兵衛の絽の付下げ「芦」に合わせてみました。実際に制作したのは中井淳夫さんです。着物全身を水面に見立てて、ところどころ芦が顔を出しているといった意匠です。波の表現はダンマルを使って水の透明感を演出しています。

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写真5番目は、花也の紋紗の付下げ「色紙取り波に草花文」に合わせてみました。市松模様に見える紋紗の生地の地紋を生かすように、色紙取りをした意匠です。色紙取りの中味は、初夏~初秋の草花と伝統的な波文が合わせてあります。糊糸目の美しい線がたくさん見られて、お金を出した甲斐が有った、と思わせる作品です。商品には「ありがたみ」ということも大事なんです。中井さんはそういうことはあまり気にしなかったのですが。
[ 2017/04/23 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

龍村の絽の名古屋帯「花音」の帯合わせ

第三千七百二十三回目は、龍村の絽の名古屋帯「花音」の帯合わせです。

今日は染めの着尺(小紋)に合わせてみます。

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いちばん上の写真は、野口の着尺を合わせてみました。紋紗の生地(平織部分と紗部分が模様配置になっている生地、この作品では市松)の一部を手挿し加工してポップな模様を付けたものです。紗の部分は隙間が多くて染めても色が乗らないですから、平織の部分を加工しています。

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写真2番目は、野口の着尺を合わせてみました。絹紅梅の生地(細い糸と太い糸で格子状に織ったもの)に型染で格子状の模様を付け、さらに暈しで市松模様を染めたもの。生地の組織と型染と暈しで、3重の四角い模様が重なっているという視覚的な面白さを狙った作品です。絹紅梅は、細い糸が絹で太い糸が木綿であるのが本来だと思いますが、これは全部絹です。

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写真3番目は、野口の着尺を合わせてみました。夏の絽や紗の着物には涼し気な模様を付けるべきと思いますが、これは重厚な小袖風の模様を絽の生地に付けたものです。波の模様は有りますが、涼しさという点ではあまり期待できません。しかし、夏のシーズンでもフォーマルっぽい小紋が必要な時もあるでしょう。

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写真4番目は、野口の着尺を合わせてみました。小千谷製の夏の生地を使っています。白地に茶色の更紗模様ですが、爽やかさもありますね。

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写真5番目は、千切屋治兵衛の着尺を合わせてみました。絽の生地で市松取りで、型絵染風の模様が付いています。白地にグレーの濃淡という無彩色だけの組み合わせで、夏の小紋の基本みたいな雰囲気です。

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写真6番目は、千切屋治兵衛の着尺を合わせてみました。疋田繋ぎといわれる、型疋田を1粒か2粒ずつ繋げて縞状にした模様です。水色地で、模様の一部に補色関係にある小豆色を使っています。
[ 2017/04/22 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

龍村の絽の名古屋帯「花音」の帯合わせ

第三千七百二十二回目は、龍村の絽の名古屋帯「花音」の帯合わせです。

龍村の名古屋帯は、「龍村」世いうブランドのフォーマルなイメージから付下げに使うこともありますし、名古屋帯ということで紬に使うこともあります。

この作品についていえば、夏の楽しい行事である花火がテーマということで、正倉院や有職文様に比べてカジュアルと言えますから紬に使えます。一方、花火は豪華な金銀糸使いであり、フォーマルということで付下げにも使えます。今回は両方試してみますが、まずは夏の織物からです。

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いちばん上の写真は、東郷織物の夏大島を合わせてみました。大島紬の織元として有名な東郷織物が制作している夏大島です。大島紬と言えば、マルキなどの言葉で表される精巧な締め絣が価値があるわけですが、これは絣を伴わない格子ですから、意外に安価です。これは黒の着物に黒の帯を合わせた例で、お洒落というのは、絣が細かいから高いという話でもないですよね。

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写真2番目は、東郷織物の夏大島を合わせてみました。これも大島紬としては安価な格子の大島です。真夏の茶色、あるいは小豆色というのは、大人の着こなしですよね。黒と茶色の組み合わせは鉄板です。

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写真3番目は、夏琉球を合わせてみました。表示は「夏琉球」ですが、壁糸で織られているという意味で壁上布と言われることもあります。沖縄の織物は高価なイメージがありますが、手織りの織物として比較的リーズナブルです。着やすさやホンモノ感も含めて良い織物ですよね。

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写真4番目は、首里織の作家、伊藤峯子さんの花倉織を合わせてみました。首里の織物というのは、琉球王家の官服でもあり、日本本土の地方の織物である紬や絣の仲間にしてしまうのは意味が違うのかもしれませんね。そういう点では龍村はちょうど良いかもしれません。

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写真5番目は、林宗平の越後上布を合わせてみました。宮古上布、芭蕉布とともに日本でいちばん高価な織物です。
[ 2017/04/21 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

龍村の絽の名古屋帯「花音」の細部で

第三千七百二十一回目は、龍村の絽の名古屋帯「花音」の細部です。

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いちばん上の写真は、金の花火と銀の花火の近接です。

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写真2番目は、金の花火をルーペで撮ってみました。

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写真3番目は、もっと拡大してみました。金の花火は、ベージュの絹糸の中に細い撚り金糸を混ぜて表現してありました。絹糸が持つ自然の光沢に金糸で輝きを補充している感じです。他に平銀糸も併用してあります。また、金の花火には、地味な色の糸も併用してあって、奥行きが表現されていますが、その地味な色の糸は地と同じような色でありながら、光沢だけで見えています。

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写真4番目は、銀の花火をルーペで撮ってみました。こちらはグレーの絹糸の中に細い撚り銀糸が混ぜてあります。また平銀糸も併用されています。奥行表現的な地味な糸は使ってありません。

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写真5番目は、背後から光を当てて地の組織を撮ってみました。3本絽であることがよくわかります。3本絽は絽の中でいちばん隙間率が高いはずですが、龍村のばあいは緯糸が太く撚った糸であるためか、あまり隙間があるように感じないんですけどね。
[ 2017/04/20 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

龍村の絽の名古屋帯「花音」

第三千七百二十回目の作品として、龍村の絽の名古屋帯「花音」を紹介します。

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いちばん上の写真はお太鼓です。黒地に金と銀だけの花のような模様です。花火でしょうか。

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写真2番目は腹文です。

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写真3番目は、お太鼓の近接です。

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写真4番目は、腹文の近接です。

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写真5番目はタイトル部分です。「花音」とありますが、花は音は出しません。音を出す花と言えば唯一花火で、絽にふさわしい夏の風物がテーマというわけです。

本来織物というのは、色や形を表現できても音は表現できないわけですが、龍村の帯のタイトルには意外に音に関係するものがあります。このブログで過去に紹介した作品では「花韻」や「颯音」がありました。「颯音」は1枚の楓の葉が散っている図案で、林の中を吹き抜ける爽やかな風の音を聴け、という意味だったと思います。今回の作品で言えば、ドンという花火の音が聞こえてきて
夏の夜の涼しさを感じたら成功というところですね。
[ 2017/04/19 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

野口の振袖の帯合わせの続き

第三千七百十九回目は、野口の振袖の帯合わせの続きです。

昨日は、青や緑の地色に合わせる帯の色として定番的な白地と金地を合わせてみました。今日はそれ以外の色を合わせてみます。

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いちばん上の写真は、帯屋捨松の袋帯「ビクトリア花文」を合わせてみました。手織りのシリーズです。

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写真2番目は、しょうざんの徳田義三シリーズの袋帯を合わせてみました。紫地です。

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写真3番目は、織悦の袋帯「印度華文更紗」を合わせてみました。桜色地です。

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写真4番目は、帯屋捨松の袋帯を合わせてみました。手織りのシリーズです。

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写真5番目は、帯屋捨松の袋帯を合わせてみました。同系色の青ですがどうでしょうか。
[ 2017/04/18 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

野口の振袖の帯合わせ

第三千七百十八回目は、野口の振袖の帯合わせです。

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いちばん上の写真は、織悦の袋帯「二重蔓牡丹印金」をあわせてみました。青や緑には白地は合うので(白大島に青や緑の帯を合わせることは可能)、白に金色だけの帯を合わせています。

牡丹唐草は名物裂の代表のように作例の多い意匠ですが、金糸を織り込んだ織物である金襴と、無地の生地に金箔を押しつけた印金とがあります。この作品はタイトルは「印金」ですが、実際には織物ですから金襴です。印金での作例があるデザインを金襴で織ったという、どこにでもある牡丹唐草文様なのに変なひねりのある作品です。

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写真2番目は、洛風林の袋帯「印度七宝」を合わせてみました。上の作品は、日本の伝統文化の一部である名物裂をそのまま引き継いだ意匠ですが、こちらはインドというエキゾチックなテーマを持ち込んでみました。着物の意匠は西洋楽器ですが、それに対し和モノを合わせるかエキゾチックものを合わせるか、というところです。

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写真3番目は、紋屋井関の「御寮織」シリーズの1本「正倉院象唐草文」を合わせてみました。正倉院御物の銀平脱の合子に取材したものです。聖武天皇の碁石入れで象と鸚哥の2つがあります。それを並べた意匠です。青や緑に対して、上2つの例では白を合わせましたが、普通は金ですよね。ここから下3つは金地の帯を合わせています。

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写真4番目は、都織物の袋帯「向かい鳳凰」を合わせてみました。伝統的な意匠ながら、パステルカラーを思わせる配色でモダンな雰囲気があります。都織物の作風でもありますね。

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写真5番目は、織悦の袋帯「東大寺花文」をあわせてみました。基本の正倉院の唐華文ですが、「東大寺花文」というよくわからない名前が付いています。東大寺→正倉院、花文→唐華文というわけで、じつは回りくどく言っているだけなのです。西陣の帯のタイトルにはよくあることで、商標登録のためでしょう。上の「正倉院象唐草文」という素人臭いネーミングもそのためで、全部承知した上で付けているのだと思います。

さて帯の意匠ですが、唐華文は主文と副文からなっています。普通の図案家は主文を中心に模様を作りますが、この帯は副文を中心にして、主文はすべて欠けているんです。それだけで非凡な感じがします。
[ 2017/04/17 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

野口の振袖の続き

第三千七百十七回目は、野口の振袖の続きです。

私はものづくりをするときに、模様が大胆な時は色は平凡(グレーかベージュ)にします。経済政策にたとえれば、金融緩和と財政緊縮をミックスするのと同じ原理です。しかし野口は違う原理で作ってるみたいですね。色と模様で大胆どうしを組み合わせています。

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いちばん上の写真は、マエミにあるメインの模様です。振袖にピアノといえば、中村大三郎の代表作を連想します。「中村大三郎 ピアノ」で画像検索するとすぐ見られます。あちらは振袖にピアノが描いてあるのではなく、振袖を着た人がピアノを弾いているんですけどね。

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写真2番目以降は、各楽器を撮ってみました。けっこう意外な楽器や地味な楽器もあります。京友禅の図案で器物模様にした場合、器物を取り方にして中に植物文や吉祥文を入れたりするものですが、この作品では本当に器物を描いています。ただ、ハープにだけは桜唐草文様が入っていて、やや取り方的な使い方をしています(写真5番目)。色については自由にやってますね。

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野口の振袖

第三千七百十六回目の作品として、野口の振袖を紹介します。

染料をたっぷりと含みそうな、しぼの大きい縮緬地に染められた振袖です。以前このタイプの振袖で、宝尽し文様のものを紹介したことがありましたが、今年(制作は昨年)はその派生型か、個性的なバージョンになって現れました。

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いちばん上の写真は全体です。

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写真2番目は、前姿(マエミ+オクミ)です。

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写真3番目は、後ろ姿です。

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写真4番目は、袖の一部です。

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写真5番目は、左の胸から肩です。衿は無地です。衿にごちゃごちゃ柄が無い方が良いという判断でしょう。顔の周りはすっきりしている方が良いという人は多いですね。

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写真6番目は、首の後ろ辺りです。顔の周りのごちゃごちゃしていない代わり、顔の後ろは意外に模様が有ります。家紋を入れる場所ではありますが、このタイプの振袖に家紋を入れる人は少数派という判断でしょう。

小千谷縮の帯合わせ

第三千七百十五回目は、小千谷縮の帯合わせです。

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いちばん上の写真は、花也の紋紗のような変わり織の生地の名古屋帯「短冊取り草花文」を合わせてみました。紗と平織が縞状になっている生地です。正確に言えば紋紗でその模様が縞ということでしょう。その生地を短冊の形の取り方にして、その中に7月から9月ごろ(初夏~初秋)までの草花を描いた帯です。

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写真2番目は、千切屋治兵衛の絽縮緬の名古屋帯「丸取りスノードロップ文」を合わせてみました。実際に制作したのは藤岡さんで糊の糸目による作品です。

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写真3番目は、花也の変わり織の生地の名古屋帯「渦巻」を合わせてみました。沖縄の花絽織のようにも見える変わり織の生地に、渦巻の形に白抜きの防染をし、さらに刺繍を加えた作品です。

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写真4番目は、加賀友禅作家、高平良隆の名古屋帯を合わせてみました。加賀友禅作家の中で7人だけの加賀友禅技術保存会の正会員で、石川県無形文化財の保持者でもある高平良隆さんが、本業の友禅ではなく絵画として描いた作品です。加賀友禅作家として頂点を極めた人は画家としても上手いですね。というか、友禅作家というのは元々は画家になりたくて、途中で進路変更して友禅作家になるものなんでしょうから、当然ですが。

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写真5番目は、野口の絞の名古屋帯を合わせてみました。朝顔と雀という具象的なデザインを絞ったもので、辻が花の技法によるものです。

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写真6番目は、野口の絞の名古屋帯を合わせてみました。生地を折りたたんだ状態で圧力をかけて防染して丸い形を表現した絞りです。折りたたんで圧力をかけるのは専用の器具が必要で、そのようなものは明治時代に有松出身の鈴木金蔵という発明家によって考案されたものが多いです。当時としては縫い絞りに対する量産技法だったようです。

折りたたんだことによる格子形の染料の溜まりのムラも、模様として取り込んだデザインになっています。今日紹介する中では、いちばんカジュアルな雰囲気ですね。


[ 2017/04/14 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

小千谷縮の帯合わせ

第三千七百十四回目は、小千谷縮の帯合わせです。

今日は龍村の名古屋帯を合わせています。龍村と言えばフォーマルのイメージが強いですから、それと組み合わせることで着物の格を上げてみます。

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いちばん上の写真は、龍村の絽の名古屋帯「清山文」をあわせてみました。

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写真2番目は、龍村の絽の名古屋帯「夏蒐文」をあわせてみました。

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写真3番目は、龍村の絽の名古屋帯「風矢羽」をあわせてみました。

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写真4番目は、龍村の絽の名古屋帯「かすみびし」をあわせてみました。

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写真5番目は、龍村の絽の名古屋帯「ちどり」をあわせてみました。

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写真6番目は、龍村の絽綴の名古屋帯「彩葉楓」をあわせてみました。

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写真7番目は、龍村の絽綴の名古屋帯「花流水」をあわせてみました。

[ 2017/04/13 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

小千谷縮の帯合わせ

第三千七百十三回目は、小千谷縮の帯合わせです。

着物の格としてはカジュアルの仲間になります。夏の着物としては浴衣の上というところでしょうか。夏のお茶事で、着物のばあいは浴衣禁止と言われたらこれを着る人もいますね。浴衣より上と言われる夏のカジュアルで、小千谷縮と上下関係が近い着物としては、浴衣の中でも高価な長板中型や絹紅梅がありますね。夏大島や夏結城や明石縮のような正絹モノも近い関係ですが、ちょっと上という感覚になるでしょうか。

しかし合わせる帯によって、格を上げたり下げたりすることもあります。私なら格を上げたい時は龍村の夏物なども合わせてしまいますし、下げたい時は浴衣に合わせるつもりで帯を合わせます。今日は格としてはちょうど良いところだが、高級感を出すということで、伝統工芸品を合わせてみます。

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いちばん上の写真は、喜如嘉の芭蕉布をあわせてみました。九寸の名古屋帯です。重要無形文化財で高いと思われている帯を合わせることで、小千谷縮にも高級感を出してみました。

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写真2番目は、新垣幸子さんの八重山上布をあわせてみました。九寸の名古屋帯です。

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写真3番目は、新垣幸子さんの八重山上布をあわせてみました。九寸の名古屋帯です。

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写真4番目は、小河将義さんの越後上布をあわせてみました。八寸の名古屋帯です。重要無形文化財のものです。

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写真5番目は、丹波布をあわせてみました。八寸の名古屋帯です。夏帯というより単衣に合う帯です。初夏のイメージで合わせてみました。
[ 2017/04/12 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

小千谷縮

第三千七百十二回目の作品として、小千谷縮を紹介します。

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いちばん上の写真は、反物の幅を写真の幅として撮ってみました。白からベージュまでの同系濃淡の複数の糸を経緯に組み合わせてグラフィックデザイン風の意匠にした作品です。

「同系濃淡の複数の糸」と書きましたが、実際には何色でしょうか。よく見ると、白、淡いベージュ、普通のベージュの3色にすぎないですね。しかし織物というのは、経緯の糸の組み合わせで出来ていますから、白×白、白×淡いベージュ、白×普通のベージュ、淡いベージュ×淡いベージュ、淡いベージュ×普通のベージュ、普通のベージュ×普通のベージュ・・・という組み合わせが成り立ち6通りの色ができます。

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写真2番目は近接です。6つの色の面の中に、白と普通のベージュの格子が入っています。それで複雑に見えるグラフィックが完成しているわけです。

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写真3番目はもっと近接です。格子が揺らいでよろけ格子になっているのは、特殊な組織になっているのではなく、ただ縮み織の表面の形状にしたがっているだけです。

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写真4番目は、ルーペで拡大してみました。白×淡いベージュの部分、すなわち2番目に淡い面を撮っています。格子の経糸はベージュ、格子の緯糸は白だとわかります。

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写真5番目は、ライトスコープで拡大してみました。経糸と緯糸の糸の撚り方の強さの違いが分かります。緯糸に強撚糸を使うのが縮みです。もっと写真が鮮明ならば1本ごとに撚りが反対向きになり、戻ろうとする藩動力で縮みが生じているところをはっきりお見せできるんですけどね。
[ 2017/04/11 ] 各地の絣・紬 | TB(0) | CM(0)

小千谷縮

第三千七百十一回目の作品として、小千谷縮を紹介します。

重要無形文化財の小千谷縮は、手績みの苧麻で手織りしたものですが、今日紹介する小千谷縮はラミーで織った普及品です。ラミーというのは、麻を英語で言ったものだと思っていたので外人にそう言ったら、レイミーだと直されました。ラミーというのは英語というよりも、機械紡績した麻の糸を意味する日本の染織用語のようですね。

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いちばん上の写真は、反物の幅を写真の幅として撮ってみました。水色の地に加賀五彩を思わせるような配色の経糸を加えたものです。ただし、ただの縞ではなく途中で途切れている部分もありますから、手間のかかった絣なんですね。制作工程を考えると、ただの縞と途中で色が途切れる絣とでは全く手間が違います。

縞はよろけ縞で、途中で色が途切れる要素も含めて、カジュアル感があります。お洒落感といった方が良いでしょうか。しかし、よろけているのは縮り織の生地の影響を受けているからで、よろけるように織っているわけではありません。

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写真2番目は近接です。

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写真3番目はもっと近接です。

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写真4番目は、ルーペで拡大したものです。経糸はあまり撚りがかかっていなくてふわっとした感じもありますが、緯糸は強く撚りがかかっていてその結果として生地にしぼが生じています。これが縮み織りですね。

絣糸を見ると、その絣足部分(色が途切れるところ)を見ると、グラデーションになっていることが分かります。絣足がグラデーションであることは絣にとって至高の価値があります。絣の作り方には防染して染液に浸けるのと、直接染める捺染がありますが、いちばん価値が有るホンモノは木綿糸など自然素材による手括り防染で、その特長は染液が微妙に浸透することによって生じるグラデーションだからです。

もちろんせいぜい数万円で売られるこの小千谷縮にそんな贅沢な技法が使われているわけではないですから、絣を作る工程で演出されているのだと思います。
[ 2017/04/10 ] 各地の絣・紬 | TB(0) | CM(0)

花也の刺繍と白揚げ友禅の名古屋帯の帯合わせ

第三千七百十回目は、花也の刺繍と白揚げ友禅の名古屋帯の帯合わせです。

今日は付下げに合わせてみます。

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いちばん上の写真は、一の橋の付下げ「市松取り華文」をあわせてみました。帯の石畳のような長方形と着物の市松模様、帯の寿蔵文と着物の華文がそれぞれシンクロし合う関係を狙ってみました。

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写真2番目は、千切屋治兵衛の付下げ「枝蝶に桜」をあわせてみました。実際に制作したのは倉部さんで、刺繍と箔による作品です。刺繍と箔で描かれた枝桜と、蝶に見立てた葉、春霞を思わせる暈しからなる作品です。コストの高い倉部さんの作品にしては加工面積が大きいので、お得感が有ります。

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写真3番目は、藤井絞の付下げをあわせてみました。絞りと友禅による更紗模様です。絞りで白抜きにして大きく模様の場を作り、そのなかに絞りと友禅を併用して更紗模様を描いたものです。絞りで模様の場を大きく作ることにより、付下げというより訪問着的な構成になっています。

このブログで紹介する作品は友禅でも刺繍でも、見る人にも真面目な鑑賞態度を要求するような精緻なものが多いですが、この作品はおおらかで気を抜いて見ることができます。癒し系ということで、それもまた優れた特長ですね。

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写真4番目は、千切屋治兵衛の付下げ「春の草花模様」をあわせてみました。実際に制作したのは中井亮さんです。桜を中心に土筆、蒲公英、菫などを描いています。幾何学模様の帯と自然描写の組み合わせとも見えますし、お寺の境内の石畳の道とその周囲の草花とも見えますね。

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写真5番目は、花也の付下げ「榧」をあわせてみました。糊糸目の通常の友禅と線描きを併用して榧を描いています。榧の葉は線描き、榧の実とその周辺だけ彩色した友禅です。

糊糸目とゴム糸目の違いですが、一般にはゴム糸目がシャープで糊糸目は温かいというイメージがあります。しかしそれは正確ではなく、ゴム糸目は一定以上の腕前が有ればだれでも綺麗な線が置けるが、糊糸目は作家によって個性が出やすいということだと思います。上手下手だけでなく、神経質であるとか職人さんの性格が出ます。この作品の糊糸目の職人さんはゴム糸目より細くて端正な線を置きますね。

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写真6番目は、花也の付下げ「枝花に糸目笹の葉」をあわせてみました。描かれている花は、菊、梅、蘭、竹の四君子です。それが糸目友禅の線描きで描かれた笹の葉の上に載っているという意匠です。笹の葉は水平に引き伸ばされて菖蒲の葉のように見えますが、この笹の葉+四君子のシリーズは丸紋にしたりレの字にしたり、いろいろやっていますので、その水平バージョンだから、水平に引き伸ばしたというだけです。
[ 2017/04/09 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

昨日の夜と今日の昼

昨日の夜と今日の昼に梅岩寺に行って、しだれ桜の巨樹を撮ってきました。

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いちばん上の写真は、2本あるうちの1本を月を入れて撮ってみました。

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写真2番目は、もう1本を月を入れて撮ってみました。

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写真3番目は近接です。普通の桜よりピンクが濃いのがわかりますか

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写真4番目は、2本あるうちの1本の今日の昼の写真です。昨夜の月の周囲には不穏な雲が写っていますが、朝には雨になり、午後は止みました。空が白いのでピンクの濃いのが映えて見えます。

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写真5番目は、もう1本の今日の昼の写真です。人間の大きさと比較してみてください。
[ 2017/04/08 ] 未分類 | TB(0) | CM(0)

花也の刺繍と白揚げ友禅の名古屋帯の帯合わせ

第三千七百九回目は、花也の刺繍と白揚げ友禅の名古屋帯の帯合わせです。

今日も紬を合わせてみます。

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いちばん上の写真は、郡上紬を合わせてみました。郡上紬は良心的なお店でも50万円ぐらいするけっこう高価な紬です。その理由は、糸は経緯とも手紡ぎの真綿、染は草木染、織りは手織りと織物ファンが求めるホンモノの要件を全部満たしている紬だからです。さらに郡上という地方で織られながらセンスは意外と都会的なんですね。

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写真2番目は、黄八丈を合わせてみました。黄色と鳶色のわりと細かい格子の黄八丈です。今回は、帯の長方形が並ぶ模様と微妙にシンクロさせることを狙い格子柄を合わせています。

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写真3番目は、本塩沢を合わせてみました。塩沢というのは、もともと越後上布の産地であったものが、近代になって素材を絹に変えて商品としたものです。お召である本塩沢と真綿である塩沢紬とがあり、本塩沢はシャリ感が有るので単衣向き、塩沢紬は真綿なので袷向きですね。これは技法的には経絣で、絣の配置によって意匠的には市松模様に出来るわけです。

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写真4番目は、与那国花織を合わせてみました。沖縄では格子のことがグバンと言います。碁盤の意味です。グバンの中に首里織と同じ花織が入っているのが与那国花織のパターンです。花織というのは、地を構成する糸が紋織になるため地と模様の間には必ずグラデーション効果が生じますが、それを最大限生かそうとするのが与那国花織の特長で、それによって生じる美が存在意義だと思います。

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写真5番目は、結城紬を合わせてみました。もともとの重要無形文化財の要件の1つである「絣は手括りであること」に抵触する淡い地色の結城紬です。このような作品が、重要無形文化財の証紙が貼れなくなる原因になったのです。しかし濃紺地の結城しかないときに、こんな淡い地色が有ったら都会的でお洒落に見えますから、消費者は買いますよね。

これは桔梗のような丸い花の意匠で、帯の刺繍の模様にシンクロさせてみました。

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写真6番目は、石下紬を合わせてみました。わりと男性的なきりっとした縞模様です。
[ 2017/04/08 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の刺繍と白揚げ友禅の名古屋帯の帯合わせ

第三千七百八回目は、花也の刺繍と白揚げ友禅の名古屋帯の帯合わせです。

今日は紬を合わせてみます。

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いちばん上の写真は、久米島紬を合わせてみました。創作的な雰囲気のある久米島紬です。横段模様に鳥に見える模様単位である幾何絣(トィグアーっていうんですよね)を合わせたものです。意匠的には創作に見えますが、技法的には久米島紬の伝統の中で出来ることですよね。伝統工芸における創作ってそういうことかと思います。

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写真2番目は、結城紬を合わせてみました。かつての重要無形文化財の要件を満たす作品で、八十亀甲の総柄です。

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写真3番目は、牛首紬を合わせてみました。鰹縞です。

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写真4番目は、秦荘紬を合わせてみました。現在の愛荘町で織られる紬です。昔からの近江上布の産地ですが、町村合併を経て、秦川村→秦荘町→愛荘町と変わっています。川口織物という工房で、金剛苑という施設もあります。

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写真5番目は、大城永光の琉球絣を合わせてみました。琉球絣とは、沖縄県に産する平織の絣と定義されています。南風原町がいちばん出荷額が多いです。大城永光さんは、すっきりした着やすい作品が多いですね。
[ 2017/04/07 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の刺繍と白揚げ友禅の名古屋帯の帯合わせ

第三千七百七回目は、花也の刺繍と白揚げ友禅の名古屋帯の帯合わせです。

今日は染めの着尺(小紋)と合わせてみます。

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いちばん上の写真は、野口の着尺を合わせてみました。幾何学的な意匠の帯に対し、対照的な曲線の更紗模様を合わせてみました。

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写真2番目は、野口の着尺を合わせてみました。格子模様は本来直線ですから曲線の更紗模様とは反対ですが、手描きのよろけた線で、曲線の軟らかさも持っています。

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写真3番目は、野口の着尺を合わせてみました。そこそこ大きく角ばった長方形の模様が点在する意匠です。こういう模様は、コート地にも向いていますね。中の模様は、割り付け文、七宝繋ぎ、型疋田です。長方形が並んでいるという意味で、ちょっとシンクロ的な効果を狙ってみました。

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写真4番目は、千切屋治兵衛の着尺を合わせてみました。雪輪模様ですが、破れ雪輪もあります。破れ雪輪は春の模様でもありますね。上の例は、長方形でちょっとシンクロ的ですが、こちらは丸模様でちょっとシンクロ的な効果を狙ってみました。

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写真5番目は、野口の着尺を合わせてみました。個性の強い染めの着尺で、普通の染めの帯では負けてしまいますから、帯屋捨松の袋帯などを合わせることが多いですね。今回は絞りもある帯なので袋帯に負けないかと思って合わせてみました。、

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写真6番目は、藤井絞の着尺を合わせてみました。絞の着尺はコストの制約で、余白の多い飛び柄になりがちです。この着尺も飛び柄なのですが、広がりのある模様なので模様の面積が広く感じ、お得感があります。
[ 2017/04/06 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の刺繍と白揚げ友禅の名古屋帯

第三千七百六回目の作品として、花也の刺繍と白揚げ友禅の名古屋帯を紹介します。

刺繍は、先日の付下げと同じ鹿児島寿蔵の人形の衣装に使われている模様に想を得たものです。白揚げ友禅は、寺などにある石畳を意匠化したものではないかと思います。ただ「石畳文」または「石畳模様」と言ってしまうと市松模様と同じ模様を意味することになってしまうので、名前を付けにくいです。

石畳文と市松模様は同じパターンですが、私のばあいは、遠州緞子のように佐野川市松より前のものに付いては「石畳文」、佐野川市松以後のものについては「市松模様」と分けて表記しています。

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いちばん上の写真はお太鼓です。刺繍は5個でお太鼓の中に納まりますが、石畳の模様はお太鼓をはみ出しています。無駄なようですが、お太鼓の中だけで納めようとすると絵が縮こまることがあるので、このようにはみ出す表現をしたのだと思います。ドガの競馬の絵でも、わざと馬が途中で途切れる表現をしたものがありますね。

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写真2番目は腹文です。刺繍は片側だけですね。実際に締める時は折るわけですが、友禅は見えないところに描いて無駄にしても、コストの高い刺繍は惜しいわけです。

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写真3番目は近接です。石畳部分を見ると、四角い模様の縁に乳白色の部分があります。ちゃんと糊糸目を置いているようです。

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写真4番目は近接です。

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写真5番目は近接です。他の箇所では刺繍と友禅が重なることはありませんでしたが、全体でここだけ模様が重なっています。模様を多く見せるには、重ねないで面積を稼ぐ方が良いですが、多少は面積を犠牲にしても模様を重ねた方が、意匠に遠近感が出て奥行きが生まれます。

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写真6番目は裏側です。刺繍の技法がわかります。
[ 2017/04/05 ] 繍箔 | TB(0) | CM(0)

野口の長襦袢

第三千七百五回目の作品として、野口の長襦袢を紹介します。

絞と箔でうさぎを描いたものですが、地紋の違う2種類を紹介します。長襦袢の生地は、表地に使う生地より薄くて軽いのが普通ですが、それでも地紋があるものもあります。地紋によっては、それで着物の胴裏との間に摩擦が生じ、着付けの時に滑らないという効用があるときもありますね。着慣れた人ならどうでも良いことでしょうが、着付け教室の生徒にとっては大事なことだと思います。

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いちばん上の写真は、反物の幅を写真の幅として撮ってみました。

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写真2番目は近接です。先日紹介した桜と笹の名古屋帯の地紋と似た市松模様に見える地紋です。これは着物の胴裏との間で摩擦が生じてくれそうですね。

うさぎの形は平凡な楕円形ではなく、両端がちょっと尖っています。これだけのことでも形に感情が生まれるんだと思います。凡人なら、単純な楕円形にしてしまうか、耳の形まで正確に絞ろうと苦心してしまうか、どちらかだと思うのです。耳の表現はあっさりと諦めるかわり、人が考えないような箇所で気を使っているのです。

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写真3番目は、反物の幅を写真の幅として撮ってみました。こちらは霞の地紋です。

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写真4番目は近接です。縫い締めしたときの針の痕が見えます。

野口の長襦袢、男物。

第三千七百四回目の作品として、野口の長襦袢を紹介します。決まりはないですが男物ですね。

色と雰囲気から男物としてみましたが、お好きならどちらでも良いと思います。実際に野口でも色違いを売っているでしょうし、そちらは完全な女性用でしょう。この長襦袢についていえば、はっきりした黒も使っているので、淡い地色の着物の下に着たら透けてしまうこともありそうですね。単衣ならなおさらです。

紬地なら大丈夫でしょう。また男物として着るばあい、着物の地色は紺、焦げ茶、チャコールグレーが多いですから支障はないでしょうね。

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いちばん上の写真は、反物の幅を写真の幅として撮ってみました。

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写真2番目は近接です。

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写真3番目は、もっと近接してみました。

野口の振袖の帯合わせ

第三千七百三回目は、野口の振袖の帯合わせです。

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いちばん上の写真は、紫紘の袋帯を合わせてみました。黒地の着物に対して朱色の組み合わせです。赤と黒は基本の組み合わせですね。経糸が朱の絹糸、緯糸が金糸で、光が当たると金色、光が当たらないと朱色に見えます。ということはつまり、もう1つの基本の組み合わせである黒と金の組み合わせも成り立っているということですね。

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写真2番目は、河合康幸の袋帯を合わせてみました。黒地に紫という意外な組み合わせにしてみました。紫の帯というのは多くはないですが、意外と使い勝手が良いです。帯も花の丸ですから、花の丸どうしということになります。

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写真3番目は、服部の袋帯を合わせてみました。「こはく錦」シリーズの1本で当時の最上級ランク「24kオリエント錦」です。しっかりとした生地ですが意外に薄地です。引き箔が極細に裁断されて細密に織られており、他の糸もみなそれに合わせて細いからです。

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写真4番目は、龍村の袋帯「招福三友錦」を合わせてみました。クリーク色の地で、誰にも嫌われない万能な龍村です。高級な龍村にありがちな芸術的な毒の要素が無いからでしょうね。

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写真5番目は、龍村の袋帯「瑞鳥遊園錦」を合わせてみました。上と反対に毒の要素の多い龍村です。着物によっては全く合わないですが、何とか受け止めているんじゃないでしょうか。

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写真6番目は、大西勇の袋帯「春秋薫花文」を合わせてみました。黒と金の基本の組み合わせです。ラメ糸を多用し華やかな帯ですが、模様が細かいので振袖以外でも使えそうです。
[ 2017/04/02 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

野口の振袖の帯合わせ

第三千七百二回目は、野口の振袖の帯合わせです。

振袖の帯合わせは、振袖専用のものを使うばあいと、普通の帯のうち派手目のものを使うばあいがあります。高価なものを買うばあいは、専用にしてしまうより、将来的に使い回せるもののうちやや派手目のもの、ぐらいにした方が合理的だと思います。振袖専用でしかも高価、というものは単体で見ても美術品として美しいですが、そこまでしなくてもと思います。

現実の市場は、振袖はセットで販売されていることが多いでしょう。しかし私は問屋で商品をよく見ているので、38万円ぐらいまでのセットに入っている振袖用の帯はじつはばら売りすると1万円に満たない(卸値)ということも知っています。けっこう世知辛い話です。

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いちばん上の写真は、都の袋帯を合わせてみました。金地の帯というのは振袖の帯の基本でもありますね。この帯の意匠は「向かい鳳凰」で古典ですが、色がパステルカラーを思わせる組み合わせなので、モダンに感じます。

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写真2番目は、織悦の袋帯「流水紅葉」を合わせてみました。着物と同色である黒地ですが、全体が引き箔なので、真っ黒でなく光沢があります。帯と着物を同色にすると、模様だけが浮きだすことになり、視覚的な面白さがありますね。

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写真3番目は、織悦の袋帯「楓桜大文桃山」を合わせてみました。着物と同色である黒地で、桜と楓という大きくて単純な繰り返しの模様が織り出されています。色も濃淡などなくはっきりしていますね。

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写真4番目は、帯屋捨松の袋帯「ヴィクトリア花文」を合わせてみました。帯屋捨松の高級バージョンである手織りのシリーズです。近年はすべて中国で生産されているようですが、これは昔の日本製です。

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写真5番目は、洛風林の袋帯「彩亀甲文」を合わせてみました。パターンとしては単純な亀甲なのですが、配色が上手でお洒落な模様のように見えてしまいます。そこが洛風林なんでしょうね。

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写真6番目は、帯屋捨松の袋帯「牡丹唐草文」を合わせてみました。名物裂の大牡丹唐草金襴の意匠をそのまま写しただけの単純な織物ように見えますが、地の部分が非常に凝っていて、全体が細く裁断された引き箔で出来ているとともに、段替わりになっています。段替わりは室町時代の小袖にあるもので、技術的には「〆絣」ともいって絣の前史を成すものでもあります。

[ 2017/04/01 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)