野口の振袖の続き

第三千七百一回目は、野口の振袖の続きです。

今日は個別の花の丸を近接して撮ってみます。今回のような古典通りの花の丸をパーツとして並べた作品は、全体としての意匠には意味がないわけですから、個別の花の丸を絵として鑑賞するしかないですね。

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いちばん上の写真は、左の外袖の模様です。躍動感のある絵として上手な牡丹だと思います。下のそれぞれの花の丸ですが、菊は高貴ですし、桜はかわいいし、楓にはモダンな雰囲気があります。それぞれの花の長所をちゃんと描きこんでいるんですね。下手な絵というのは、花は種類によって、かわいいとか、高貴とか、それぞれの長所があるはずですが、その描き分けが出来ていないものです。

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写真2番目は、右の外袖の模様です。2つあるうちの上の方です。

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写真3番目は、右の外袖の模様です。2つあるうちの下の方です。

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写真4番目は、肩にある模様です。この桜を見ると、あくまでかわいいのであって高貴とは感じないですよね。牡丹とか菊とはちゃんと描き分けてあるんですね。

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写真5番目は、内袖に有って、今回の全体の写真では見えません。

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写真6番目は、内袖に有って、今回の全体の写真では見えません。

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写真7番目は参考図版です。江戸時代の小袖にも花の丸模様を配した作品はありました。現代の振袖よりむしろ花直丸が大きいぐらいの大胆なものです。刺繍が多用されていますが、現在の作品では残念ながら省略されています。疋田については継承されていますね。
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[ 2017/03/31 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

野口の振袖

第三千七百回目の作品として、野口の振袖を紹介します。

しぼの大きい縮緬を使った手描き友禅の振袖です。しぼの大きい縮緬の生地は、染料の含みが大きいためか、京友禅のイメージどおりの深い色を表現するのにふさわしい素材だと思います。これまで野口と岡重の作品の多くがしぼの大きい縮緬を使っていて、それが両社の京都らしさになっていました。

しかしながら一昨年あたりからしぼの大きい縮緬の生産が減ったのか、野口の着尺が別の生地になってしまったんですね。新しい生地は地紋のある生地で、それはそれで悪くはないのですが、色の深みという点で劣る気がします。この振袖は今まで通りのしぼの大きい縮緬を使っています。貴重になってしまった生地は通常の着尺に使わず、高く売れる振袖に重点的に回したのだろうと思います。

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いちばん上の写真は全体です。江戸時代の小袖にもある花の丸模様です。写真で見えているのは9個ですが、全体を数えてみると全部で13個あり、花の種類は牡丹、桜、楓、菊、梅の5種類ですが、1つの丸には1種類というようにちゃんと整理されています。

図案としてつくる場合は、パーツとしてつくり、組み立てることができるので合理的ですね。最近製造業の話で、自動車のように各パーツを擦り合わせないと性能が発揮できないものと、パソコンのように性能の良いパーツさえ調達すれば高性能なものができるものとがあって、後者は新興国でもできてしまうから日本の強みが発揮できないということが言われます。

この図案はそのようなもので、江戸時代の小袖の花の丸の図案を上手に並べればできますし、並べ替えると何種類もできるんですね。一方、波が全身につながるような図案は、すり合わせが大事な技術に似ていますね。

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写真2番目は、マエミとオクミにまたがるメインの模様です。菊です。

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写真3番目は、メインの模様の下にある模様です。ほぼオクミにあります。花の丸というより、四角い配置になっています。桜です。

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写真4番目は、マエミの下の方にある模様です。中央にある縫い目は、脇縫いです。牡丹です。

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写真5番目は、後姿の模様です。縫い目は背中心です。牡丹です。

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写真6番目は、下前の模様です。梅で、私は気に入っているのですが、残念ながら着ると見えないんですね。

花也の友禅の名古屋帯「市松取り笹に桜」の帯合わせ

第三千六百九十九回目は、花也の友禅の名古屋帯「市松取り笹に桜」の帯合わせです。

今日は付下げに合わせてみました。今回の帯は、紬~小紋~付下げまで広く使います。友禅、箔、刺繍などを使った重加飾の染め帯は、結城紬のように高価だけど色が地味で一般人には気づいてもらえないという着物に合わせるとちょうど良いですが、そのまま付下げまで使えてしまいます。ただ、たいていの着付けの教科書には「金の付いた帯は紬に使えない」と書いてありますから、それを信じる初心者にはこのような考えは通じません。

友禅の付下げには具象的な模様がついています。具象的な模様には必ず意味があり、桜との相性が問題になります。「意味」というのは全然違うのも変ですが、同じ過ぎるのも模様が競争してつぶし合うようで変ですから厄介なものです。

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いちばん上の写真は、花也の付下げ「千鳥」を合わせてみました。千鳥だけを配した軽い付下げです。元は「波に千鳥」の付下げで、そこから波を外したものです。一方、千鳥を外して波だけの付下げも作られています。着物の意匠でも帯の意匠でも、いちばん多いのは植物文です。鳥だけの模様は、そういう着物や帯と合わせて花鳥が作れますから意外と便利なものです。

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写真2番目は、一の橋の付下げ「宝飾リング」を合わせてみました。実際に制作したのは倉部さんです。箔と金糸の刺繍によって宝飾リングを描いたもので、桜とも季節とも無関係という関係になります。ただ関係があるとすれば、おしゃれというだけですね。

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写真3番目は、一の橋の付下げ「羊歯と笛袋」を合わせてみました。シダは枯れないということで縁起が良いとされているわけですから、羊歯文には季節はありません。また植物としても地味ですから桜と干渉しあうことはありません。笛袋は桜とは直接関係が無く、ただ雅な組み合わせにすぎません。この着物と帯の組み合わせは、当たり障りなく付き合える関係ですね。

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写真4番目は、一の橋の付下げ「市松取り華文」を合わせてみました。着物に使われている華文は古代のユーラシアから変わらない文様で、季節はなく、桜と干渉しあうことはありません。一方、市松取りは共通でシンクロしあう関係です。模様の中味は違うが模様の枠組みは同じという関係です。

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写真5番目は、一の橋の付下げ「柳に蹴鞠」を合わせてみました。雲形の中に黄緑の柳、さらに蹴鞠という雅な組み合わせです。雲形は霞を思わせるグラデーションで、季節としては春を暗示します(春霞)。意匠は全体に大きく、おおらかな雰囲気です。
[ 2017/03/29 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の友禅の名古屋帯「市松取り笹に桜」の帯合わせ

第三千六百九十八回目は、花也の友禅の名古屋帯「市松取り笹に桜」の帯合わせです。

今日は紬の着尺に合わせてみました。

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いちばん上の写真は、牛首紬の着尺を合わせてみました。桜と言えばピンクですが、この帯は桜の花弁をピンクで染めるようなことはしていません。むしろピンクを外して通俗的な雰囲気になるのを避けています。そこでここでは作者の思いを忖度し、思い切りピンクの着物を合わせてみました。

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写真2番目は、菱一のオリジナルブランド「つるばみ紬」を合わせてみました。実際に織っているのは小千谷だと思います。経糸が淡いグレーの玉糸、緯糸は真綿糸で、ピンクやクリーム、グレーなど各色の糸を横段に配したものです。緯糸の色はさまざまですが、経糸はずっと淡いグレーなので色が半分共通し全体で調和の有る配色になっています。また色の変わる部分はグラデーションになるように糸が配置されています。

経糸が淡いグレー、緯糸がピンクの部分は結果として抑制されたピンクになり、ちょうど「桜を思う」ぐらいの感じになっていますね。桜の帯を合わせなくても、桜に時期に良い着物です。

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写真3番目は、新田機業の紅花紬を合わせてみました。紅花というのはオレンジ色の花ですが、黄色と赤の色素から成っています。水に浸けるとまず水溶性の黄色の染料が得られ、その後に赤が出ます。昔は赤を染料や頬紅などとして販売し、黄色は自分で着るものを染めていたとも言いますね。

紅花紬には赤以外のいろんな色が有って不思議な気がしますが、紅花から得られた赤と黄色に藍染を合わせると三原色になって、理論上あらゆる色がつくれるからです。この作品は、ピンクとクリームと薄墨色のグラデーションの縞です。これも桜の帯を合わせなくても、桜をイメージさせる良い着物です。

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写真4番目は、読谷花織を合わせてみました。読谷花織は、浮織(裏に渡り糸が有る)と手結の絣を合わせた高度な織物です。これは地色が珍しい紫で、浮織部分は紫に合う上手な配色になっています。紫色というのはピンクと相性が良いので、桜の下で紫の着物を着てみるのはいいかもしれません。

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写真5番目は、久米島紬を合わせてみました。格子模様は市松に通じるところが有り、模様がシンクロ風になります。久米島紬は泥染めの焦げ茶色で、これも桜のピンクと相性が良いですよね。

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写真6番目は、黄八丈を合わせてみました。やはり格子模様を合わせてみました。黄色と黒でちょっと尖った帯合わせになりますね。

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写真7番目は、石下紬を合わせてみました。重要無形文化財でない結城紬と石下紬はどう違うのか、同じ県内で同じ条件を織っていれば実質違うことはないと思いますが、出荷する組合が違うのだと思います。今回はきりっとした青みがかったグレーの縞です。色気のある紫や温かみのある茶系やかわいいピンクばかりでなく、きりっと系の着物にも合うか試してみました。
[ 2017/03/28 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の友禅の名古屋帯「市松取り笹に桜」の帯合わせ

第三千六百九十七回目は、花也の友禅の名古屋帯「市松取り笹に桜」の帯合わせです。

今日は染めの着尺に合わせてみました。桜がテーマの帯にはどんな着物を合わせたらいいでしょうか。幾何学模様や亀甲などの伝統的なパターンなら大丈夫ですが、具象的なテーマは意外と難しいです。桜に梅や杜若を合わせて競争させるわけにもいきませんしね。

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いちばん上の写真は、野口の着尺を合わせてみました。手描きの蝋染の格子を合わせてみました。このような幾何学模様は合わせやすいですね。桜の背景として青空をイメージして合わせてみました。

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写真2番目は、野口の着尺を合わせてみました。こちらも上と同じく手描きの蝋染の格子を合わせてみました。上の例は桜と青空というクリアな組み合わせでしたが、こちらは江戸の粋みたいな茶と鼠を合わせてみました。

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写真3番目は、野口の着尺を合わせてみました。飛び柄の花模様を合わせてみました。花は型染で、周囲がぼかしになっています。しぼの大きい縮緬なので暈しが効果的です。花の種類は特定できず季節もわからないので、帯の桜に対して干渉することはないと思います。

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写真4番目は、千切屋治兵衛の着尺を合わせてみました。実際に制作したのは大和さんです。雪輪を合わせてみました。季節の流れとしては、雪→梅→桜ですが、雪輪はどの季節でも許されるモチーフで、雪輪と桜を直接並べた意匠もありますね。

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写真5番目は、南部古代型染の着尺を合わせてみました。盛岡の蛭子屋(小野さん)が染める藍染の着尺です。蛭子屋さんは南部藩の御用染として江戸初期に京都から招へいされた染屋さんです。江戸時代は藍で裃の模様など染めていたのでしょうが、明治以後は藩の庇護を失い、かわって女性用の着物を染めるようになりました。現在は、優れた伝統工芸品として江戸時代以来の意匠の型紙を使って制作しています。
[ 2017/03/27 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の友禅の名古屋帯「市松取り笹に桜」の細部

第三千六百九十六回目は、花也の友禅の名古屋帯「市松取り笹に桜」の細部です。

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いちばん上の写真は、あしらいのある赤い笹に近接してみました。

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写真2番目は、あしらいのある赤い笹をルーペで見てみました。金駒(金糸の駒繍)は、留め糸どうしの間隔の狭さや均等かどうかを見ると、上手いか下手か検討が付きます。金駒は模様の形をきちんと辿っているのが良いわけですが、留め糸の間隔が狭ければきちんと辿れるわけですから。

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写真3番目は、あしらいのある緑の笹をルーペに近接してみました。赤い色の笹とぶつかるポイントで、緑の笹は後ろにあることがわかります。意外なことにあしらいのある側(強調したい側)が後ろ側なんですね。

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写真4番目は、あしらいのある緑の笹をルーペで見てみました。

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写真5番目は、桜の花弁に近接してみました。友禅による防染と色挿しをした花弁と、金描きで輪郭だけでなく中の筋も描いた花弁とがあります。両者が重なるときは友禅の方が前にあるように描かれていますので、友禅が主文のようです。花弁の形は格調高い古典でもなく写実でもなく、意外におおらかな表現です。

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写真6番目は、生地の地紋部分に近接してみました。見た目は沖縄の花織によく似ていますが、裏を見ると全然違うので、組織としては違うようです。

この作品では糸が浮いた地紋とそうでない地紋を並べることで市松模様を作り、糸の浮かない場所に友禅で模様を付けています。しかし糸の浮いた部分に友禅を描くことによって立体的な絵画に見せるという選択肢もあったと思います。
[ 2017/03/26 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

花也の友禅の名古屋帯「市松取り笹に桜」

第三千六百九十五回目の作品として、花也の友禅の名古屋帯「市松取り笹に桜」を紹介します。

寒いと思っていたらもうそんな時期ですね。

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いちばん上の写真はお太鼓です。市松模様に見える地紋の生地を使い、それを生かして友禅で模様を付けています。模様は市松の配置でお太鼓に6個です。

桜の花弁を背景に笹が描かれていますが、笹は赤が5個、緑が2個です。6個の模様のうち5個に赤があって、残り1つだけが緑です。中央部分にある模様には赤緑両方描いてあります。1つの取り方に1つの笹を配し、赤と緑を3個ずつにすると模様に動きが無くなって平板な印象になるので、微妙にバランスを崩す配置が大事なのです。

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写真2番目は腹文です。模様はどちら側を表に出しても2個ずつです。こちらは赤緑均等ですね。しかしながら、片側は赤だけ、片側は緑だけにして、着る人の年齢やその時の着物の色により選んでもらうというアイディアもあります。純粋な絵画にはできない着物ならではのデザインのノウハウです。

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写真3番目はお太鼓の近接です。図案としてみれば、前側にある笹が主文、後ろ側にある桜の花弁が副文ですね。しかしこれを実際に締める人にとっては桜が主文ということになると思います。桜は季節のイメージが強力過ぎてごまかせませんものね。しかし副文にしたメリットもあって、それは花弁だけにしたことです(主文にするには花や枝が必要)。散る桜ということで4月半ばまで着られます。

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写真4番目は、お太鼓にもっと近接してみました。お太鼓にあしらい(友禅模様の一部を強調するための刺繍)は2か所です。笹の葉の周りを完全に金糸が囲むパターンです。

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写真5番目は、お太鼓にもっと近接してみました。緑の笹のあしらいに近接してみました。
[ 2017/03/25 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛の着尺の帯合わせ

第三千六百九十四回目は、千切屋治兵衛の着尺の帯合わせです。

今日は龍村の名古屋帯で合わせてみます。特に光波帯(仕立て上がり名古屋帯)は龍村ブランドで、とりあえずヴィトンのバッグを持ったような安心感がありますし、価格もリーズナブルですし、小紋に合わせる帯として標準だと思います。

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いちばん上の写真は、龍村の名古屋帯「シャムパーシン」を合わせてみました。龍村では国ごとにテーマを決めて展示会をしたことがあったのですが、これはタイをテーマにした展示会の時に発表されたものです。

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写真2番目は、龍村の名古屋帯「飛鳥間道」を合わせてみました。色が合いすぎと思うぐらい合っています。

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写真3番目は、龍村の光波帯「日野間道」を合わせてみました。名物裂の日野間道は、平蔵ブランドの袋帯としても発売されています。

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写真4番目は、龍村の光波帯「太子間道」を合わせてみました。焦げ茶と水色のコントラストを狙っています。

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写真5番目は、龍村の光波帯「コプト異文」を合わせてみました。雪輪の丸い模様に対し、帯は四角い模様にしてみました。四角い枠の模様はコプトに取材していて、中の甲冑模様は近代のドイツの模様とのことです。異質なものを組み合わせた創作模様というのが、「異文」の意味ですね。
[ 2017/03/24 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛の着尺の帯合わせ

第三千六百九十三回目は、千切屋治兵衛の着尺の帯合わせです。

今日は単衣に仕立てて着ることを想定し、夏の名古屋帯を合わせてみます。

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いちばん上の写真は、龍村の絽の名古屋帯「夏蒐文」を合わせてみました。龍村の顧問である白川さんらしい教養がないとわからないタイトルですが、夏の名残を蒐集した、という意味でしょう。ここで蒐集された夏の名残は朝顔と萩ですが、朝顔はじつは秋の季語でもあり、夏を惜しむ時期、立秋過ぎから9月の途中までいかがでしょうか。9月になったらこの単衣で。

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写真2番目は、龍村の絽綴の名古屋帯「涼映文」を合わせてみました。絽綴は絽よりも前後に長く、単衣の時期に堂々と使えます。これは前半の単衣でしょうか。

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写真3番目は、龍村の絽綴の名古屋帯「彩葉楓」を合わせてみました。これは後半の単衣ですね。色の合わせが秋の色として決まりすぎで、絽綴でなければ晩秋のイメージになってしまいそうですね。

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写真4番目は、千切屋治兵衛の絽塩瀬の名古屋帯「鷺草」を合わせてみました。実際に制作したのは藤岡さんです。絽ではあるのですが、鷺草のイメージは6月でピッタリの感じですね。

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写真5番目は、千切屋治兵衛の絽塩瀬の名古屋帯「七夕」を合わせてみました。実際に制作したのは野村さんです。七夕は東京では7月7日ですから、6月のうちに着ないといけない感じがしますので、単衣で合わせてみました。

有名な仙台の七夕など地方は旧暦で8月ですから、堂々と夏物としても使えるテーマです。私の居る青梅市の近くでは福生の七夕祭りというのが大きいお祭りなのですが、やはり8月ですね。

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写真6番目は、藤井絞の辻が花写しの名古屋帯を合わせてみました。菱文を絞り、松が描き絵、蔦が絞りと描き絵の両方という後期の辻が花作品に取材したものです。菱の絞り部分は鋭角も含んでいますし、なにより絞り部分が白抜きでなく着色ですから、実際に染液に浸ける染めとしては難度の高いものです。

普通に生地を摘まんで防染して染液に浸ければ、模様部分が白抜きになるわけで、模様部分が着色されるパターンにはなりません。模様部分を着色するには、全体をビニールフィルムで防染して着色したいところだけフィルムの表に出して染液に浸けるという、非常に難度の高いことをします。染めている最中は全体が棒みたいな形になって、そこから布がちょびちょび出ているという状況になっているんですよ。

藤井絞はそれができますが、個人の辻が花作家(有名な人でも)はたいてい絞った後染液に浸けず筆で着彩しています。その辺の価値の違いを見抜いて欲しいところです。室町時代はビニールのフィルムがありませんから、竹の皮や油紙を使っていました。しかし竹の皮は竹の円周は超えず大きい面積は覆えませんから、桶絞りという技法が考案されたのです。
[ 2017/03/23 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛の着尺の帯合わせ

第三千六百九十二回目は、千切屋治兵衛の着尺の帯合わせです。

今日は染めの名古屋帯を合わせてみます。今回の着尺は、縮緬と比べれば薄手でありながら縮緬よりむしろしっかりした生地なので、単衣にも使えそうな気がしますが、その一方で晩秋にちょうど良いような焦げ茶です。チグハグとも言えますが、帯合わせで面白い使い方ができるとも言えますね。、

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いちばん上の写真は、野口の友禅の名古屋帯を合わせてみました。しぼの大きい縮緬地を使っています。秋に着ることを想定してみました。

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写真2番目は、一の橋の金、銀描きの名古屋帯を合わせてみました。本歌の作者は俵屋宗達で、光悦の謡本の下絵です。このばあいの「下絵」は和歌の下に描いてある絵です。銀描き部分は馬にも見えますが、安心してください、ちゃんと全部鹿です。鹿には季節はありませんが、楓とセットで描かれることが多いので秋のイメージですね。

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写真3番目は、千切屋治兵衛の友禅の名古屋帯を合わせてみました。実際に制作したのは野村さんで、生地は紬地です。

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写真4番目は、千切屋治兵衛の友禅の名古屋帯を合わせてみました。実際に制作したのは藤岡さんで、生地は塩瀬地です。描かれているのは柘榴と桑です。柘榴は花は初夏ですが実は秋です。輸入品が多いので意味がないかもしれませんが、八百屋で見るのは秋の後半ですね。

一方、桑は染織関係ではカイコの餌でしかないので、実について論じる人はいませんが、春だそうです。春と秋のコンビで季節に幅広く対応できる意匠だったのです。パッと目に入るのは柘榴のみですし、地色も秋っぽいので、秋が主、春はアリバイづくり程度でしょうか。

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写真5番目は、千切屋治兵衛の友禅の名古屋帯を合わせてみました。実際に制作したのは藤岡さんで、生地は塩瀬地です。焦げ茶色でも春用として使ってみました。ペパーミントグリーンと焦げ茶の配色は綺麗ですよね。

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写真6番目は、花也の友禅の名古屋帯を合わせてみました。これは春使用、水色と焦げ茶の配色です。

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写真7番目は、秀雅の友禅の名古屋帯を合わせてみました。実際に制作したのは大松です。花は菊が多く秋ということになりますが、綺麗な水色地で華やかな印象なので、吉祥としての菊で季節はないと言うことでしょう。
[ 2017/03/22 ] 繍箔 | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛の着尺の帯合わせ

第三千六百九十一回目は、千切屋治兵衛の着尺の帯合わせです。

今日は龍村の袋帯を合わせてみます。龍村の袋帯はフォーマルのイメージが強いですが、紬や小紋にも合うカジュアルなラインもあります。結城紬のような高価な伝統産地の紬や作家モノの織物などにも合います。

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いちばん上の写真は、龍村の袋帯「鳳遊更紗文」を合わせてみました。

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写真2番目は、龍村の袋帯「波兎遊跳文」を合わせてみました。

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写真3番目は、龍村の袋帯「有朋文」を合わせてみました。龍村には鳥獣戯画に取材した作品はいくつもあります。うさぎと蛙が友達という意味でこんなタイトルなんでしょうね。鳥獣戯画なんてありふれた図柄ですが、地色を黄色にするだけで特別な感じになるものですね。

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写真4番目は、龍村の袋帯「甲比丹縞格子」を合わせてみました。近世に東インド会社経由で輸入されたモールをイメージした作品です。インドのモールは、薄い金の板を撚りつけた金糸を織り込んであるということで、マハラジャに買持てないような高級品です。東博の東洋館では見られますが、手に取って見ていいわけではないので、どんな感じに金が撚り付けてあるのかは見られません。

日本の常識では、金糸というのは金箔を貼った和紙を細く裁断しそれを芯糸に巻くのですが、インドでは芯糸に金板を直に巻くらしいのです。それだと金をたくさん使うことになりすごい高級品になりますよね。1204年の第4回十字軍のコンスタンチノープル攻略の際、十字軍兵士がタピスリーの金糸の房を切り取ったという叙述があり、金箔が薄いと知っている日本人としては理解できなかったのですが、日本以外の金糸が金板が直接巻いてあるものであったなら切り取る価値がありますよね。いずれにせよ実物を顕微鏡で見たいものです。

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写真5番目は、龍村の袋帯「彩香間道」を合わせてみました。

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写真6番目は、龍村の袋帯「ちとせ間道」を合わせてみました。
[ 2017/03/21 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛の着尺(実際の制作は大和さん)

第三千六百九十回目は、千切屋治兵衛の着尺を紹介します。実際に制作したのは大和さんです。

前回紹介した着尺と同じ飛び柄の雪輪ですが、全然雰囲気が違います。前回は雪輪の中は型疋田でしたが、今回は「中太雪輪」というタイトルで輪郭のみの表現になっています。また、生地の地紋が縞になっており、しっかりしていますが縮緬より薄手の雰囲気なので単衣にも使えそうです。単衣に使うばあい、色が焦げ茶で暑苦しいと感じられるかもしれませんが、夏に焦げ茶を着こなすのは大人っぽいですね。

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いちばん上の写真は、反物の幅を写真の幅として撮ってみました。

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写真2番目は、反物の幅を写真の幅として撮ってみました。上とこの写真の2枚で模様が一巡します。

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写真3番目は近接です。

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写真4番目は近接です。

第三千六百八十九回目は、千切屋治兵衛の着尺の帯合わせです。

今回の着尺は、爽やかな色と雪輪の模様で単衣用としても使えます。今日は単衣に仕立てて着ることを想定し、夏帯を合わせてみます。

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いちばん上の写真は、龍村の絽の名古屋帯「ひしつなぎ」を合わせてみました。絽ということで、教科書的には7,8月の帯ということになりますが、龍村の夏帯は地厚なので単衣でも使えそうな気がします。パステルカラーで合わせてみました。

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写真2番目は、龍村の絽の名古屋帯「風矢羽」を合わせてみました。青系濃淡で合わせてみました。

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写真3番目は、龍村の絽綴の名古屋帯「光浪文」を合わせてみました。絽綴は絽よりも少し時期が長く、単衣時期に着ても教科書通りですね。

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写真4番目は、藤井絞の辻が花写しの名古屋帯「波に千鳥」を合わせてみました。後期の辻が花の様式で、実際に有る裂の写しです。

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写真5番目は、花也の友禅の名古屋帯「葡萄」を合わせてみました。平織と紗で縞になった生地です。夏物の生地ともいえますし、夏の紗と平織が併存しているので平均して単衣とも言えます。

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写真6番目は、花也の友禅の名古屋帯「かたくり」を合わせてみました。カタクリは4月の花なので、なぜ夏物の生地に染めてしまったのか謎の帯です。先日紹介した絽の生地に藤を染めた付下げと同じですが、あちらは藤間流の人に売ることはできますが、これはどうしたものでしょうか。

私としては、絵としては花也の作品中でも特に上手く描けていたので仕入れてみたんですけどね。
[ 2017/03/19 ] 未分類 | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛の着尺の帯合わせ

第三千六百八十八回目は、千切屋治兵衛の着尺の帯合わせです。

今日は染め帯を合わせてみます。

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いちばん上の写真は、東京刺繍の名古屋帯を合わせてみました。東京の刺繍と堰出しの疋田を合わせた作品です。このような作風は千代田染繍によって超高額な黒留袖としてつくられ、北秀を通して販売されていたものです。現在は別の東京の作者により名古屋帯として制作されています。当時のダイジェスト版みたいな感じですね。

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写真2番目は、秀雅の友禅の名古屋帯を合わせてみました。千ぐさまたは千ぐさ系の友禅作品です。千ぐさの作品ということで仕入れていますが、その後、秀雅が破産してしまったので確認できなくなってしまいました。


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写真3番目は、秀雅の友禅の名古屋帯を合わせてみました。千ぐさまたは千ぐさ系の友禅作品です。千ぐさの作品ということで仕入れていますが、その後、秀雅が破産してしまったので確認できなくなってしまいました。

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写真4番目は、花也のダンマル描きの名古屋帯を合わせてみました。ダンマルの語源は地名のダマールで、ゴムのような樹液を揮発柚で薄めながら描くものです。常温で固形であるという蝋の定義には外れますが、蝋染の仲間ということになりますね。特徴は蝋と同じ半防染です。友禅は染めるところを染めないところしかないですが、この技法だと半防染効果で中間色を作れますから、それを写生的な表現に生かすのです。

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写真5番目は、藤井絞の絞と友禅を併用した名古屋帯を合わせてみました。友禅と一部の花が絞りである更紗もかわいいですが、タテの直線の染分けを縫い締め絞りでしているということに驚きます。

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写真6番目は、藤井絞の名古屋帯を合わせてみました。絞りには2つの原理があって、1つは辻が花のように具象的なテーマを決めてそれに向けて絞り方を工夫するもの、もう1つは有松絞のように絞り方をいろいろ試してみて、偶発的に面白いデザインが出来たらそれをレパートリーに加えるものです。

これはその両方を兼ねた究極とも思える絞りで、意図せず生まれたと見える模様のパターンが、菊の花という具象的なデザインになっているんですね。藤井絞のものとしては珍しく作家名がありますが、まさに作家の名前を知らせるべき作品だと思います。

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写真7番目は、千切屋治兵衛の友禅と型疋田の名古屋帯を合わせてみました。雪輪を重ねた帯合わせで、こういう組み合わせが良いか悪いか私もわかりません。しかし、雪に関係するイベントとか、歌舞伎などで雪に関わる演目を観に行くときには面白いかなあ、とも思います。
[ 2017/03/18 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛の着尺の帯合わせ

第三千六百八十七回目は、千切屋治兵衛の着尺の帯合わせです。

今回の着尺は水色がとてもきれいです。今日の帯合わせは、綺麗な色合わせをテーマにしてみました。

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いちばん上の写真は、龍村の袋帯「郁芳間道」を合わせてみました。

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写真2番目は、織悦の袋帯「彩悦錦菊枝吉向文」を合わせてみました。有職織物の二陪織物に取材したものです。

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写真3番目は、織悦の袋帯「彩籠目」を合わせてみました。

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写真4番目は、洛風林の袋帯「名物小枝文」を合わせてみました。名物裂の大黒屋金襴に取材したものです。

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写真5番目は、大西勇の袋帯「正倉院象文」を合わせてみました。正倉院御物である臈纈屏風に取材したものです。紫と水色の配色は意外と綺麗ですね。

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写真6番目は、洛風林の袋帯「印度七宝文」を合わせてみました。

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写真7番目は、織悦の袋帯「柴垣秋草文尽」を合わせてみました。

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写真8番目は、織悦の袋帯「印度更紗」を合わせてみました。
[ 2017/03/17 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛の着尺(実際の制作は大和さん)

第三千六百八十六回目の作品として、千切屋治兵衛の着尺を紹介します。実際に制作したのは大和さんです。

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いちばん上の写真は、反物の幅を写真の幅として撮ったものです。

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写真2番目は、模様の近接です。

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写真3番目は、模様の近接です。同じに見える雪輪が飛び柄になっている着尺は、全部同じ形の雪輪というわけでないというところを撮ってみました。型の長さが2尺あって、その間の数個は別の形のようです。

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写真4番目は、模様の近接です。型疋田の雪輪が主文として、副文的な淡い消えそうな雪輪もあります。

奥順のウールの絣の着物の帯合わせ

第三千六百八十五回目は、奥順のウールの絣の着物の帯合わせです。

今日は友禅の染め帯で合わせてみます。

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いちばん上の写真は、千切屋治兵衛の友禅と箔の名古屋帯「麦」を合わせてみました。実際に制作したのは中井亮さんです。麦の収穫時期を麦秋といいますが、主な産地である九州で5月、丹波で6月、北海道で7月、平均して6月というところです。ちょうど単衣の時期と重なるわけですね。

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写真2番目は、加賀友禅作家、中町博志の友禅の名古屋帯「野蒜」を合わせてみました。種子、球根、ムカゴという3つの方法で子孫を残す植物です。この作品でも花のすぐ下にムカゴが描かれています。旬の時期は3月~5月ということなので、少し早い単衣として春に着る時の帯合わせです。

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写真3番目は、千切屋治兵衛の友禅の名古屋帯「ねずみの大黒天」を合わせてみました。実際に制作したのは藤岡さんです。米の入っていない蔵には鼠も来てくれないということで、ネズミは縁起の良いモチーフとされていました。江戸時代には縁起物として、米俵に乗った大国天の周りに鼠を描いた絵がありますが、これはさらに両者をウーッて言ってくっつけたものですね。かわいい動物のモチーフでありつつ江戸時代の図像の歴史を引き継いでいるというわけです。

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写真4番目は、花也の友禅の名古屋帯「輪繋ぎ」を合わせてみました。フォーマルともカジュアルとも言えない季節もない便利なモチーフであるとともに、柔らかくて流れるような雰囲気です。友禅として彩色した輪もありますが、線描きの輪もあって、簡単な絵に見えますが友禅の技法をいろいろ見せてくれています。

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写真5番目は、花也の友禅の名古屋帯「羊歯」を合わせてみました。枯れないという意味で縁起の良い羊歯です。葉の表現は糊筒を調節して描いていますから、線描きの進化形とも言え難度の高い技法です。

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写真6番目は、花也の友禅の名古屋帯「椿」を合わせてみました。椿を通常の友禅と線描きを使って描いています。線描きは通常の糸目より難度が高いですから、私はこのような作品については主役の花ではなく脇役の線描きの葉ばかり見てしまいます。

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写真7番目は、野口の友禅の名古屋帯を合わせてみました。青手が美しい更紗です。ウールに合わせるという意味で、このぐらいのカジュアルな雰囲気の帯が本来かもしれませんね。とてもバランスのいい感じです。
[ 2017/03/15 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

奥順のウールの絣の着物の帯合わせ

第三千六百八十四回目は、奥順のウールの絣の着物の帯合わせです。

今日は龍村の帯で合わせてみます。龍村というのはフォーマルのイメージが強いのですが、名古屋帯もありますし、高級な紬に合わせてもらうことを念頭に開発したものもあります。今回は龍村=高級、フォーマルのイメージを生かして、ウール着物の格上げを狙います。

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いちばん上の写真は、龍村の絽の名古屋帯「ちどり」を合わせてみました。本来、絽は7月と8月とされていますが、実際には単衣の時期でも30度になることもありますから、単衣の着物に夏帯を合わせることもあります。千鳥というテーマは6月でも9月でも大丈夫ですね。

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写真2番目は、龍村の絽の名古屋帯「秋涼」を合わせてみました。これも単衣の時期に着ることを想定していますが、9月だけです。

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写真3番目は、龍村の絽綴の名古屋帯「花流水」を合わせてみました。絽綴は絽よりも長く6月も9月も良いとされていますから、近年は温暖化だから云々と理屈を言わなくても堂々と着ることができます。ただ、織られているモチーフが夏前半か後半かで分かれるばあい、6月から9月までずっと着るというわけにはいかない場合があります。露草は前半のイメージですね。

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写真4番目は、龍村の絽綴の名古屋帯「彩葉楓」を合わせてみました。上の露草の例は夏前半のイメージだったので、後半イメージの代表として楓を合わせてみました。

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写真5番目は、龍村の名古屋帯「アンデスの神」を合わせてみました。単衣として仕立てても、ウールですから4月ぐらいから着られます。そのばあいは普通の帯(秋~冬~春の帯)のうちでも、比較的厚手でないものを合わせることになります。具体的には、真綿っぽい捨松の八寸や糸が浮いて厚みのある唐織を避けることですね。

この帯は「アンデスの神」ということですが、プレインカ文明の1つで12世紀ごろのチャンカイのモチーフでしょう。アタカマ砂漠は世界でもっとも乾燥している地域ですから雨ごいの神さまではないでしょうか。乾燥注意報や空梅雨予報が出る年であれば、そんな意味を持たせて締めても良いです。

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写真6番目は、龍村の名古屋帯「飛鳥間道」を合わせてみました。単衣の時期かそれに近い5月を想定し、涼し気なグラデーションを合わせてみました。

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写真7番目は、龍村の名古屋帯「獅噛鳥獣文錦」を合わせてみました。龍村の仕立て上がり名古屋帯である光波帯を合わせてみました。本来、着物の値段や格を考えると、このぐらいがちょうどいいかなと思います。着物の地色と帯の地色が同系色で、模様だけ多彩という組み合わせは、帯と着物の境界がはっきりせず、模様だけが綺麗に浮き上がる感じになります。

そういう雰囲気もなかなか面白いのですが、なによりのメリットは帯の円周がわかりにくいので、細すぎるとか太すぎるとか体形を気にしている方に向いているのです。
[ 2017/03/14 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

奥順のウールの絣の着物の帯合わせ

第三千六百八十三回目は、奥順のウールの絣の着物の帯合わせです。

薄手のウールの生地ですから、単衣で仕立てて4月ごろから着るのが良いと思います。単衣の時期でも良いですが、完全にサマーウールというわけでもないので、もう少し前から単衣で着ても大丈夫そうです。

帯合わせとしては、季節としては、普通の帯のうち厚手のものを避けて5月ごろまで着るばあいと、夏帯を合わせて単衣の時期に着るばあいの両方が可能だと思います。帯の格としては、ウールの相応しいカジュアルな帯を合わせるのが普通かもしれませんが、龍村など合わせてお洒落に着ても良いです。素材がウールというだけで、作っているメーカーも技法も意匠も色も結城紬なのですから、結城紬と思って帯を合わせても良いです。

今日は、結城紬をカジュアルに着る感じで合わせています。こういう時は帯屋捨松の八寸の名古屋帯が便利ですが、厚手なので避けています。

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いちばん上の写真は、紫紘の八寸の名古屋「テンガナン菱文」を合わせてみました。テンガナンというのはバリ島にある村で経緯絣を織れる場所です。世界の絣文化の中では日本以外で経緯絣が織れるというのはすごく珍しいのです。

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写真2番目は、金谷織物の八寸の名古屋帯「経絣」を合わせてみました。金谷織物というのは、スクイの帯で有名なまこと織物の分家だそうです。

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写真3番目は、川口良三の八寸の名古屋帯を合わせてみました。川口織物は愛荘町(かつての秦荘町)にある近江上布の織元です。

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写真4番目は、東郷織物の手織木綿の八寸の名古屋帯を合わせてみました。東郷織物は大島紬と薩摩絣の織元です。

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写真5番目は、丹波布の八寸の名古屋帯を合わせてみました。丹波布は木綿で少し絹が混じっている手織りの織物です。

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写真6番目は、新垣幸子さんの八重山上布の名古屋帯(九寸)を合わせてみました。夏に近い単衣の時期を想定しています。藍と福木の黄色で染められた絣です。両者が接する部分の四角形は福木と藍を重ね染めして緑になっています。着物の絣の意匠の四角形と帯の絣の四角形をシンクロさせてみました。、

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写真7番目は、小河正義さんの越後上布の八寸の名古屋帯を合わせてみました。夏に近い単衣の時期を想定しています。
[ 2017/03/13 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

奥順のウールの絣の着物を拡大して撮ってみた

第三千六百八十二回目は、奥順のウールの絣の着物を拡大して撮ってみました。

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いちばん上の写真は、反物の幅を写真の幅として撮ってみました。

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写真2番目は、絣がわかるように近接してみました。経緯の絣です。

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写真3番目は、陽に透かして見てみました。けっこう隙間がある織物で、サマーウールとして単衣の時期辺りに着ると良さそうです。

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写真4番目は、ルーペで拡大してみました。経は2本、緯は1本の絣がぶつかるようになっていることがわかります。

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写真5番目は、ライトスコープで拡大してみました。

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写真6番目は、経糸だけをルーペで見てみました。

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写真7番目は、経糸だけをライトスコープで見てみました。いろいろ試してきましたが、ここまですると無地の糸と絣糸の違いがやっと分かりますね。絣糸の方が細くて色も濃いです。絣糸が絹で無地の糸がウールのようです。表示にある絹20%というのは絣糸の比率が20%ということになるのでしょう。
[ 2017/03/12 ] 各地の絣・紬 | TB(0) | CM(0)

奥順のウールの絣の着物

第三千六百八十一回目の作品として、奥順のウールの絣の着物を紹介します。

2015年10月21日(三千二百四十回)で、1反だけ紹介していますが、今回複数反仕入れたのでまた紹介します。普段着の着物としてウールの着物が流行ったのは昭和30年代~40年代でしょうか。当時はすごくバリエーションがあって、染織史的にはハイレベルである多色の絣の高級品も織られていました。現在ではウールで着尺を織っていた工場もほとんど廃業して珍しいものになりました。無地ならなだ入手できるでしょうが、絣模様でお洒落なウールが欲しいなんて言われたらたいていの呉服屋さんは困るでしょうね。

今日紹介するのは、結城紬でいちばん有名なメーカーである奥順がかつて織ったウールの絣です。前回と同じく奥順の倉庫に有ったらしいもので、、高梨が発掘してきたものです。織られたのはいつだかわかりませんが、昭和50年より前じゃないかと思います。沖縄の復帰は昭和48年でまだ芭蕉布とか宮古上布なんてものは見たことが無い時代でしたから、呉服業界では結城紬が圧倒的な高級品だったのです。その時代にそのいちばん有名なメーカーが、「結城・・・」というネーミングでウールを販売したというのは、ポルシェの自転車みたいなものだったのではないでしょうか。


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いちばん上の写真は、反物の幅を写真の幅として撮ってみました。

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写真2番目は、別の作品を反物の幅を写真の幅として撮ってみました。

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写真3番目は、別の作品を反物の幅を写真の幅として撮ってみました。

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写真4番目は、別の作品を反物の幅を写真の幅として撮ってみました。

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写真5番目はラベルの近接です。こういう作品の紹介をするときはラベルがいちばん大事ですね。○に一が奥順のマークです。手織りであること、ウールの織物ですが絹が20%含まれてシルクウールであることがわかります。「手織り」は嘘ではないでしょう。機械にすれば簡単で儲かるなんていうのは、工場を経営したことのない人の発想で、機械を導入するコストを考えればいつもの職人さんに織らせてしまった方が楽ですしね。

ブランドだけ自社で、織るのは機械を所有する人に生産委託ということもありえますが、他人に現金を払うより、訓練を兼ねて自前の育成途中の職人さんに織らせた方が得だったでしょう。
[ 2017/03/11 ] 各地の絣・紬 | TB(0) | CM(0)

女児のお宮参りの着物

第三千六百八十回目の作品として、女児のお宮参りの着物を紹介します。

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いちばん上の写真は全体です。

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写真2番目は、背中の模様で、おばあちゃんが孫を抱いて掛けた時にいちばん見える場所です。

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写真3番目は、普通の着物で言えばマエミにあたる場所ですが、掛け着としての本来の用途では特に意味のある場所ではありません。七五三の着物に流用する場合は前姿のいちばん大事な場所になりますね。昨日の小倉貞右のお宮参りの着物も七五三に流用すればちょうど良い模様配置になります。

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写真4番目は袖です。どこの場所も同じ模様のように見えますが、鶴のポーズも若松の形も全部違います。決して型を繰り返し使っているわけではありません。技法としては手描きか手挿しだと思います。

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写真5番目は、背中の裾の方です。

女児のお宮参りの着物(作者は小倉貞右さん)

第三千六百七十九回目の作品として、女児のお宮参りの着物を紹介します。作者は小倉貞右さんです。

昨日は女児のお宮参りの紹介をする際に、お宮参りの着物というのは千治や野口のような友禅メーカーではなく、専業メーカーによって作られるので、私はお宮参りの制作者も工程も知らないと書きました。しかしながら、何かの事実があれば必ずその反対があるもので、今日はお宮参りの専業メーカーではなく、友禅作家によってつくられたお宮参りの着物を紹介します。

東京の友禅作家である小倉貞右さんのもので、今は息子さんの隆さんが活躍していますよね。百貨店で本人登場の個展をされることもありますし、それが人気ブロガーのブログに取材されることもあります。

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いちばん上の写真は全体です。着物の上半分は桜楓、下半分は糸巻です。糸巻というと染織用品みたいですが、柄が有って回転するようになっているので凧の糸巻ですね。お正月に使うので縁起物として良いし、遊び道具なので子供の着物モチーフにちょうど良いということです。

注目すべきは、着物の上半分と下半分で模様が違うことです。本来なら着物の上下は帯で分断されるところですが、お宮参りの着物なので帯はしません。お宮参りの着物というのは、おばあちゃんが孫を抱いてその上に掛けることを想定し、背中辺りにメインの模様を付けるのですが、この着物では大人の訪問着と同じように裾にメインの模様が有って、しかもマエミ辺りに比重がありますね。

孫を抱いて掛けたときにいちばん良く見える箇所はサブメインの模様ともいうべき桜で、お宮参りの着物の専業メーカーから見れば勘違いのように思えるのではないでしょうか。しかしながら、桜楓がとても魅力的なので、これで良いような気もします。それは友禅作家としての力ですね。友禅作家としては一流で、お宮参りの着物の制作者としては素人の人がつくったというのが、これほどはっきりわかるのも珍しいです。

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写真2番目は、裾の方の模様です。糸巻は5つですが、梅、桜、橘、杜若、楓という5つの植物文が描かれています。

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写真3番目は、背中の中ほどの模様です。裾グループのメインのモチーフの1つですが、大人の着物ならおはしょりの中になってしまう辺りです。

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写真4番目は、袖の模様です。てても魅力的な桜で、私は糸巻より気に入っていて、こちらの模様が上半身のよく見える箇所で良かったと思っています。

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写真5番目は、もう片方の袖の模様です。

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写真6番目は、本来なら家紋を付ける辺りの模様です。

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写真7番目は作者の落款です。

女児のお宮参りの着物

第三千六百七十八回目の作品として、女児のお宮参りの着物を紹介します。

お宮参りの着物(掛け着、熨斗目、お祝い着などとも言います)の制作者や工程について、私はほとんど知りません。友禅の着物の仲間でありながら、野口や千切屋治兵衛など友禅のメーカーでは制作していないからです。同じ冠婚葬祭の着物でも振袖や七五三とは違うんですね。おそらく喪服と同じように専業メーカーによってつくられているのでしょう。

なぜかと考えれば、やはり裏地も下着も付いた仕立て上がった状態で製品として完成するからでしょう。もし仕立て上がりでないお宮参りの着物があって、自分で別に仕立て代を払うとしたら数万円になるでしょうから、それだけで普及品の完成品と同じ値段になってしまい全く合理性がありません。お宮参りの着物というのは、高級品でも普及品でも海外に縫製工場を確保してはじめて成り立つアイテムなのです。

京都で友禅を極めようとする経営者であれば、海外で縫製工場を運営するなんて面倒なことはしたくないですから、やはり専業業者に任せるということになるのでしょう。当社はそのような専業メーカーと取引はないですから、室町や堀留の問屋を通して仕入れることになります。そのためどんな作り方をしているとか、手描きであればどの程度の作家が描いているとか、そんな情報も全くありません。

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いちばん上の写真は全体です。半円型の雪輪が重なって、そこに花と花車が描かれた意匠です。半円型の雪輪は「破れ雪輪」と言って、雪が溶けかかった状態を表したものです。早春のモチーフですね。そこに花が顔を出したということで、人生の始めにふさわしいデザインです。

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写真2番目は、実際に着用(掛けるだけですが)した時にメインに見える背中の部分です。メインの場所は富貴の花の牡丹です。

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写真3番目は、裾辺りの模様をなるべく広く撮ってみました。雪が溶けて顔を出す花に菊や萩はないと思いますが、そこは早春風景の写生ではなく、お祝いの意匠ですからね。花車の花は、上の牡丹と下の菊で対になっているのでしょう。

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写真4番目は袖の片方です。雪輪のモチーフは閉じた円なので問題ないですが、破れ雪輪はいちばん下はどうなるのか、と思いましたが、シルエット表現で処理していました。

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写真5番目は、糸目の状態がわかるように模様の一部を近接で撮ってみました。普及品のお宮参りの着物は、当然、型で制作され意匠もみんなに好まれるようなありきたりなものになっていますが、この着物はどうでしょうか。型やインクジェットのタッチではないですが、手描きか手挿し(輪郭だけ型で彩色は手作業)だろうと思いますが、なかなか見分けがつきません。

この写真ぐらい近接してみると、菊や桜の花弁の輪郭の糸目で不規則なところが有りますね。だから手描きかなあと思います。本当は同じ模様が2枚あると比べてわかるんですけどね。

花也の付下げ「斜め変わり波に寿蔵文」の帯合わせ

第三千六百七十七回目は、花也の付下げ「斜め変わり波に寿蔵文」の帯合わせです。

今日は織りの名古屋帯を合わせてみます。花也の付下げは淡くて透明感のある色でまとめられていますが、帯もその淡い色でまとめるか、ちょっと違う系統の色を入れてアイキャッチポイントにしてみるか、そういう基準を意識して帯合わせをします。

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いちばん上の写真は、龍村の名古屋帯「飛鳥間道」を合わせてみました。本歌である蜀江小幡は赤い裂ですが、この作品では爽やかな印象の白緑のグラデーションに変換され、淡くて透明感のある付下げの色に対し自然に馴染んで都会的な雰囲気になりました。

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写真2番目は、龍村の名古屋帯「飛鳥間道」を合わせてみました。上と同じ名古屋帯ですが、上の帯が発売される以前にこのような配色で販売されていました。初めは茶と緑と青の配色だったのが、白緑のグラデーションに変換されていたのでした。着物の地色である水色と帯の茶系とで補色的な関係もあり、同系色の馴染む関係から補色のコントラストの関係に変わっています。どちらが好きかはお好みで。

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写真3番目は、龍村の名古屋帯「芳彩」を合わせてみました。帯には朱、緑、水色、紫が使われていて多彩ですが、その色の中に金糸やポリエステルの糸が含まれていて、それによって輝くとともに色が原色でなく淡くなっています。それによって淡くて透明感のある着物のの色と調和が生じています。

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写真4番目は、龍村の名古屋帯「双鳥繍華文」を合わせてみました。タイトルの中に「繍」の字がありますが、それは本作は織物でも、本歌は刺繍作品であったという意味です。織というのは繰り返すものであり、そのために意匠に一定のパターンがあるものですが、刺繍はどこにしようと作り手の自由ですから意匠に繰り返しパターンが無いものです。それを織りで再現しているわけですね。このブログの上下の写真(「芳彩」と「ほかけ」)と見比べていただくと、パターンの違いというのが明らかですね。

この帯は地色が白ですから着物の地色とは馴染みますが、模様の色は限定された面積ながら鮮やかな色が使われていて、アイキャッチポイントになっています。

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写真5番目は、龍村の名古屋帯「ほかけ」を合わせてみました。船は吉祥文の1つですが、旅立ちのイメージもあり入学式や卒業式にふさわしいです。色は淡く寒色系でまとめられています。都会的な雰囲気で、着物には自然に馴染んでいます。

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写真6番目は、龍村の名古屋帯「寄せ裂」を合わせてみました。名物裂を貼り混ぜて1つの裂にするという文化は昔からありますし、今でも龍村裂の端布を縫い合わせて帯にしたりバッグにした作品はありますが、これは複数の裂を集めたように見せている1つの裂です。裂の色は多彩ですが、いずれも淡く着物の色ともよく馴染んでいます。

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写真7番目は、龍村の名古屋帯「桐花文」を合わせてみました。地色は黄土で水色の着物とは補色関係になります。その一方で模様の色は多くなく、これまでの合わせパターンとは違いますが、これもありですよね。

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写真8番目は、織悦の名古屋帯「梅唐草」を合わせてみました。多彩ですが透明感があってなんとなく都会的なのが織悦の色の特長ですね。
[ 2017/03/07 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の付下げ「斜め変わり波に寿蔵文」の帯合わせ

第三千六百七十六回目は、花也の付下げ「斜め変わり波に寿蔵文」の帯合わせです。

今日は染めの帯を合わせてみます。友禅染は絵画性が高いのが特長ですから、すっきりした着物に絵画性を加える帯合わせになりますね。

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いちばん上の写真は、橋村重彦の四季花を描いた名古屋帯を合わせてみました。糊糸目の友禅によるものです。腹文には椿があり、四季の花が揃うようになっています。花の形は写生というよりも琳派の植物文から抜き出したようです。

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写真2番目は、野口の友禅の名古屋帯を合わせてみました。琳派の菊模様です。

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写真3番目は、花也の友禅の名古屋帯を合わせてみました。市松に見える地紋の生地を利用して市松取りにした意匠です。糊糸目の友禅ですが、線描きを主体としています。模様の輪郭を取る通常の糸目よりも、線描きの方が難度が高いです。

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写真4番目は、花也の友禅の名古屋帯を合わせてみました。多彩で華やかな友禅です。いつもの花也の作品は白揚げを主体に抑制された彩色を加えた上品な作風ですが、この作品は友禅が本来持つ色鮮やかな美しさを追求したものです。

江戸時代の友禅の小袖の歴史を考えると、前期の奇想天外な意匠を多彩な色彩で描いた友禅と、後期の友禅の技法のうち糊防染だけを行った白揚げとがありますから、花也ではその両方を作っているわけですね。

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写真5番目は、花也の友禅の糊防染と刺繍の名古屋帯を合わせてみました。華文の形を防染して地染めをすることで白抜き状態を作り、その後で彩色と漆糸により刺繍をした作品です。作者が追求したテーマはグラデーション効果そのものだと思います。着物も丸い模様で、帯には大きい丸い模様があるので、ラスボスみたいに見えますね。
[ 2017/03/06 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の付下げ「斜め変わり波に寿蔵文」の帯合わせ

第三千六百七十五回目は、花也の付下げ「斜め変わり波に寿蔵文」の帯合わせです。

今日は袋帯を合わせてみました。今回の着物は、刺繍の量は多めながら、それぞれの刺繍の形は同じですし、それに波を加えただけですからすっきりしています。すっきりというと、模様の面積が少ない着物や使っている色数が少ない着物を思い浮かべがちですが、モチーフの種類が少ない着物もまたすっきりした印象になるようです。

すっきりした着物に対して、すっきりした帯を合わせ、全体をすっきりまとめると、着ている人間も含め洗練された都会的な印象になりますね。一方、すっきりした着物に対し内容過多の帯を合わせ、模様を補完するというコーディネートもあります。すっきりしたコーディネートも良いですが、そればかりだと飽きてきます。美術史でも曲線の時代と直線の時代が交互に来るものですから。

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いちばん上の写真は、織悦の袋帯「業平菱」を合わせてみました。とりあえずすっきり行ってみました。

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写真2番目は、帯屋捨松の袋帯「鳴子」を合わせてみました。手織りの高級バージョンです。現在このバージョンはすべて中国製ですが、これは昔の日本製で西陣手織協会の証紙があります。本金の引き箔の糸に加え、ラメ色に光る多彩なポリエステルフィルムの糸も多用しています。色彩も輝きも立体感も豊富です。

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写真3番目は、織悦の袋帯「若松彩文」を合わせてみました。縁起の良い根引松です。色は3色で明快ですし、並べ方も平明です。それもすっきりの要素ですね。

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写真4番目は、河合康幸の袋帯「花の丸文」を合わせてみました。太くふわっと撚った糸を緯糸として、浮かして模様を表現した唐織の様式です。唐織は立体感があるので、すっきりはしませんね。

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写真5番目は、龍村の袋帯「海老殻間道」を合わせてみました。すっきり派として間道を持ってきました。

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写真6番目は、織悦の袋帯「金更紗蔓花」を合わせてみました。金で縁取りした更紗の曲線模様はすっきりの反対ですが、これは色数も色調も抑えているので、中庸を得ているかというところ。

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写真7番目は、織悦の袋帯「栗枝繍文」を合わせてみました。私の好きな帯ですが、季節もテーマも限定されるためなかなか使うチャンスがありません。着物に意味がない時は、意味ありげな帯は使い放題ですね。
[ 2017/03/05 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の付下げ「斜め変わり波に寿蔵文」の細部

第三千六百七十四回目は、花也の付下げ「斜め変わり波に寿蔵文」の細部です。

いつも紹介している倉部さんの刺繍に比べれば、刺繍の量が多いわりに値段がリーズナブルで、お得感が強い作品です。ただし刺繍の量は多いですが全て同じ形で、後姿に珍しい技法を発見した、というような楽しみはありません。

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いちばん上の写真は、刺繍部分の近接です。

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写真2番目は、上の刺繍をルーペで見てみました。

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写真3番目は、銀糸も使った刺繍の近接です。

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写真4番目は、上の写真をルーペで見てみました。

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写真5番目はさらに拡大してみました。

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写真6番目は裏側です。
[ 2017/03/04 ] 繍箔 | TB(0) | CM(0)

花也の付下げ「斜め変わり波に寿蔵文」

第三千六百七十三回目の作品として、花也の付下げ「斜め変わり波に寿蔵文」を紹介します。

「変わり波」となっていますが、テープ模様のように見えます。このような意匠は、能衣装である「桂帯」というタイトルにして、テープ自体を取り方にして有職文様など入れることが多いですね。

「寿蔵文」というのは聞きなれない言葉だと思いますが、紙塑人形の人間国宝である鹿児島寿蔵の作品に使われている模様の一部に取材したものです。花也さんは律儀なので、タイトルで本歌を明かしてくれています。

着物、特に訪問着の意匠というのは、1つまたは2つのモチーフを繰り返すものと、次々に新しいモチーフが登場して物語的に展開していくものとがあります。この作品は前者ですね。このようなブログで各部の模様を解説していくときは、後者のような作品の方が楽しいですが、着てお洒落かどうかというのはまた別の問題です。私はモチーフは絞り込んだ方がすっきりして良いと思いますけどね。

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いちばん上の写真は、前姿(マエミ+オクミ)です。前姿に京繍8個と値段の割に気前が良いです。

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写真2番目は後姿です。後姿には京繍6個です。模様の形は全部同じで色だけが違うように思いますが、大きさも違うようですね。

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写真3番目は袖です。袖には京繍3個です。

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写真4番目は胸です。胸には京繍2個です。
[ 2017/03/03 ] 繍箔 | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛の絽の付下げの帯合わせ

第三千六百七十二回目は、千切屋治兵衛の絽の付下げの帯合わせです。

今日は自由に合わせてみました。植物文を重ねないことを考えつつ帯合わせをしてみました。

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いちばん上の写真は、橋本テルの夏の袋帯を合わせてみました。「芳玉」というタイトルの幾何学文で、植物文でないということで選んでみました。このような意匠は便利です。

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写真2番目は、喜多川俵二の夏の名古屋帯「連珠双龍文」を合わせてみました。「穀」といわれるものですが、目を近づけてみると糸が表側に浮いている部分が米粒のように見えるのでこの名があります。意匠は、スペインから奈良まで古代のユーラシア大陸に広く分布した連珠文です。

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写真3番目は、花也の夏の名古屋帯「霞文」を合わせてみました。平織と紗が半分ずつという変わり織の生地です。夏の紗と冬の平織が半々で、平均して単衣用とも解釈でき便利な生地です。植物文でなく気象文ですね。

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写真4番目は、花也の夏の名古屋帯「波」を合わせてみました。沖縄の花織にも見える変わり織の生地です。波の部分は防染により白揚げにされ、さらに刺繍がされています。花織的に糸が浮いた部分にさらに刺繍が加わり、複雑な立体になってだまし絵的になっています。植物文でなく上と同じく自然現象文ですね。

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写真5番目は、花也の夏の名古屋帯「波に千鳥丸文」を合わせてみました。平織と紗が半分ずつという変わり織の生地です。鳥は便利で、植物と合わせれば花鳥ということになりますね。

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写真6番目は、野口の絽の名古屋帯「塩釜」を合わせてみました。和歌で歌われる古代の製塩風景です。源氏物語の舞台でもある須磨明石も製塩の盛んな地で、風景や植物が描いてあっても風景文様や植物文様ではなく文芸をテーマにした文様です。

たびたび引用してしまいますが、百人一首でいえば、定家の「来ぬ人をまつほの浦の夕なぎに焼くや藻塩の身も焦がれつつ」ですね。
[ 2017/03/02 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)