奥順の結城紬の無地の帯合わせ

第三千六百四十二回目は、奥順の結城紬の無地の帯合わせです。

今日は自由に帯合わせをしてみました。

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いちばん上の写真は、織悦の袋帯「能衣間道」を合わせてみました。歌舞伎の幕のような配色ですが、能衣装に使われている名物裂の間道ということのようです。あえてパステルカラーで合わせる発想から離れてみました。

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写真2番目は、龍村の名古屋帯「アンデスの神」を合わせてみました。インカ文明と思われているものの多くは、じつはプレインカ文明とひとまとめに呼ばれるインカ以前の文明です。このモチーフは12世紀ごろのチャンカイ文明の織物ではないかと思います。アタカマ砂漠はすごく乾燥しているので裂も残るんですね。、

無地の紬を着る時は、帯に意味を持たせて遊びたい、そんな気持ちにこたえる帯です。オレンジ系が使われていてペパーミントの地色には逆らいますが、あまり色を揃えすぎると帯合わせが小さくまとまるすぎてしまうので、こんな色合わせも有っていいかと思います。

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写真3番目は、龍村の光波帯「サンシャペルの犬」を合わせてみました。サンシャペルはシテ島にあるルイ9世が建立した教会です。その協会のどこかに使われている装飾に取材したということですが、あえて犬なのは、当初干支の裂として戌年に発売されたためです。赤、青、緑で国旗のようなクリアな色の帯ですが、透明感があって綺麗に合いました。

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写真4番目は、深石美穂の川平織の名古屋帯を合わせてみました。絣で表現した円模様でグラフィックデザインみたいな雰囲気です。こういう作品は美大出身の作家のイメージがありますね。この作品は格子の交わる部分に花織がされており、とても凝ったものです。

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写真5番目は、藤井絞の名古屋帯を合わせてみました。友禅と絞りを併用した作品で、全体の白場は絞りで作り、更紗は友禅と金彩で描いています。地色は透明感も何もない茶系の色で全然合わないですが、模様の更紗が青系でわずかですが色の関連性を維持しています。

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写真6番目は、藤井絞の名古屋帯を合わせてみました。絞り方を意図的にコントロールしてうさぎという具象的な形を表現したものです。辻が花の発想を継承するものですね。昨日までは色で合わせてきましたが、ここではパステルカラーのイメージに合うテーマはうさぎということで合わせています。

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写真7番目は、藤井絞の名古屋帯を合わせてみました。室町~桃山にかけての辻が花は、前期は絞りの技法が未発達だったので、絞りは大まかで描き絵で補っていました。後期になると絞りだけでかなり具象的な形を絞るようになり描き絵の比率は減っていきました。この作品はわりと前期の描き絵の多い様式の写しです。

この帯合わせをするにあたり、色で合わせることは全く考えなかったですが、色で小細工しなくてもまあそれなりに合っていると思います。
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[ 2017/01/31 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

奥順の結城紬の無地の帯合わせ

第三千六百四十一回目は、奥順の結城紬の無地の帯合わせです。

昨日は全身でパステルカラーになるような帯合わせをしてみました。ベストな組み合わせになるはずでしたが、実際にしてみると物足りない印象だったのではないでしょうか。今日は少しメリハリのある色も入れてみました。いろいろやってみてわかったのですが、ベストな組み合わせを作るには、色はパステルカラーである必要はなく原色であっても良いが、透明感のある色が良いということでした。

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いちばん上の写真は、紫絋の袋帯を合わせてみました。ウィリアムモリスのシリーズの1本です。葉の色が着物の地色に対して、同系色の濃い色という関係です。

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写真2番目は、洛風林の袋帯「名物小枝文」を合わせてみました。小付けの唐草文と宝尽くしを合わせた「大黒屋金襴」という名物裂に取材したものです。本歌は「金襴」ですから金糸で模様が織り出されていますが、色は全面的に改変されています。

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写真3番目は、織悦の袋帯「柴垣秋草文尽し」を合わせてみました。織悦の色はいつも透明感がありますね。

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写真4番目は、桝屋高尾の袋帯を合わせてみました。少し昔はこんな刺繍の帯も作っていました。使われている技法の数が多いので、中国製ではなく日本製だとわかります。

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写真5番目は、加賀友禅作家、百貫華峰の名古屋帯を合わせてみました。それぞれの地色が同系色濃淡の関係になります。

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写真6番目は、ルバース吟子さんの浮織(綜絖花織)の名古屋帯を合わせてみました。花織(地の糸が変化して紋織を形成する)や浮織(別の色糸を差し入れる)は、紋織部分の糸の色と地色との関係が全てです。コントラストで美しいか、グラデーションで美しいか、どちらかでなければいけません。ルバース吟子さんの作品は、両方の要素があるし、糸の色にも透明感があります。

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写真7番目は、龍村の光波帯「太子菱繋文錦」を合わせてみました。法隆寺伝来の蜀江小幡に使われている裂の色をモダンにして商品化したものです。色がクリアで透明感があります。
[ 2017/01/30 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

奥順の結城紬の無地の帯合わせ

第三千六百四十回目は、奥順の結城紬の無地の帯合わせです。

文化財の要件を満たさない結城紬の無地などというものは、たとえ奥順ブランドであっても、それほど稀少でもありがたいものでもありません。それでも今回取り上げたのは、ペパーミントの色が綺麗で帯合わせが面白そうだったからです。今回はペパーミント色の雰囲気を最大限に生かせるよう全体をパステルカラーでまとめてみました。

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いちばん上の写真は、龍村の名古屋帯「飛鳥間道」を合わせてみました。

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写真2番目は、龍村の名古屋帯「芳彩」を合わせてみました。

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写真3番目は、織悦の袋帯「シャム印金段文」を合わせてみました。

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写真4番目は、深石美穂さんの川平織の名古屋帯を合わせてみました。深石美穂さんは沖縄染織のいろんな技法ができてしまいますが、これは手花織といわれる綜絖を使わない浮織です。

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写真5番目は、新垣みどりさんのロートン織の名古屋帯を合わせてみました。

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写真6番目は、藤井絞の名古屋帯を合わせてみました。真ん中で直線的に色分けがしてある意匠ですが、それも縫い締め絞りでされています。絞るという行為の基本は指でつまむことですから、花の形は簡単でも直線を絞るというのは難しそうですね。

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写真7番目は、中町博志の加賀友禅の名古屋帯「砕」を合わせてみました。

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写真8番目は、洛風林の袋帯「印度七宝文」を合わせてみました。
[ 2017/01/29 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

奥順の結城紬の無地(文化財の要件を満たすものではない)

第三千六百三十九回目の作品として、奥順の結城紬の無地を紹介します。文化財の要件を満たすものではありません。

結城紬は、かつては地元に検査所があって、①糸は手紬真綿(手紡機さえも使わないので、手紡ぎでなく手紬と表記する)、②絣は手括り、③織りは地機、という要件を満たすものに重要無形文化財の証紙を貼っていました。しかしあの事件(ホームページ本体に詳述)以後、文化庁の指定はされなくなり、そのかわり組合が認定するグレーの証紙を貼るようになりました。

かつての文化庁の証紙と現在の組合の証紙が証明する内容は上記①~③で同じです。今回紹介する結城の無地は、それらの要件を満たすものではないですが、その下の格ともいうべき茨城県の証紙が付いています。そんなに珍しいものでも自慢するものでないですが、色がペパーミントグリーンで綺麗なので仕入れてみました。なお奥順というのは、○の中に一のマークです。

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いちばん上の写真は、反物の幅を写真の幅として撮ったものです。

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写真2番目は近接です。

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写真3番目は拡大です。
[ 2017/01/28 ] 各地の絣・紬 | TB(0) | CM(0)

龍村の名古屋帯「飛鳥間道」の帯合わせ

第三千六百三十八回目は、龍村の名古屋帯「飛鳥間道」の帯合わせです。

今日は付下げに合わせてみます。

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いちばん上の写真は、花也の紬地の付下げを合わせてみました。淡いピンク地で、ペパーミントグリーンの繧繝の帯とパステルカラーどうしの組み合わせにしてみました。

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写真2番目は、花也の付下げを合わせてみました。利久ともいわれる緑系の地色で、帯との関係については同系色濃淡になります。「利久」という色は、千利休にちなんだものですが江戸時代にあらわれたものです。今はこの着物のような緑系の色をさす場合が多いですが、江戸時代は「利久茶」「利久鼠」など「利久」を冠したいろんな色がありました。昔の有名人の名前を利用して商品を売ろうという商人の知恵ですが、今に匹敵するようなマーケティング知識が有ったということです。

笹の形にダンマル描きをして、その中に糊糸目の友禅で萩と楓を描き、一部に赤と金を挿しています。

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写真3番目は、花也の付下げ「竹」を合わせてみました。緑系の地色で、帯との関係については同系色濃淡になります。本来この地色は竹の色ですが、竹は別の色で描き、竹以外の地の部分を竹の色にしています。見る人は、竹が竹色であったような錯覚をします。また全体が竹色なので、竹は少ししか描いていないのに竹林の模様を見たような錯覚もすると思います。

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写真4番目は、花也の付下げ「菊の葉の丸」を合わせてみました。菊の葉だけを丸紋にしたものです。地色は濃緑色で模様の菊の葉と同系色の関係になっていますから、線描き部分は濃い緑の葉とも見えるわけですね。帯の色と着物の地色も同系色濃淡を狙っています。

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写真5番目は、花也の付下げ「市松取り桜」を合わせてみました。市松模様に見える地紋を生かして、友禅模様を配した付下げです。模様部分は、桜の花と散った花弁ですが、帯は葉桜を連想させる色でもあるので、さくらの時期後半にも着られないでしょうか。

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写真6番目は、秀雅の付下げを合わせてみました。千代田染繍またはその周辺の作品です。抑制された友禅、多めの刺繍が特徴ですね。

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写真7番目は、一の橋の付下げを合わせてみました。紬地で斜め取りの更紗模様です。更紗は曲線模様ですが、それを直線の取り方に閉じ込めた感じが、この作品の面白味だと思います。紬地の付下げは、普通の付下げよりちょっとカジュアル感が有りますから名古屋帯は使いやすいのではないでしょうか。
[ 2017/01/27 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

龍村の名古屋帯「飛鳥間道」の帯合わせ

第三千六百三十七回目は、龍村の名古屋帯「飛鳥間道」の帯合わせです。

今日は染めの着尺(小紋)に合わせてみます。染めの着物は、織りの着物よりも色も模様もバリエーションがありますから、考えることは多いです。

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いちばん上の写真は、野口の着尺を合わせてみました。色を同系にしてみました。帯の制作者はペパーミントグリーンのさわやかさを狙っているわけですから、着物でその世界観を壊すことのないようにしてみました。模様については、帯の繧繝の直線に対し、更紗の曲線を持ってきて対抗させてみました。

政府の経済政策というのは、金融緩和なら緊縮財政というように反対のものをミックスするものですが、帯合わせもそのようなもので、色が同系なら形は曲線に対し直線というような反対のものをミックスするものですね。

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写真2番目は、野口の着尺を合わせてみました。横段模様の着尺で、細かく並んで見えるのは梅の花です。地色はしぼの大きい縮緬地に、染料をたっぷり含んだように見える重い水色です。爽やかで透明感のある水色なのですが、なぜか重く感じるんですね。それはしぼの大きい縮緬の効果なんでしょうか。

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写真3番目は、藤井絞の絞の着尺を合わせてみました。楓模様の全体の絞です。作品をじっと見ていると気が付くのですが、楓を絞っているのではなく、楓の透き間を絞っているんですよね。その形を見ると、角がくっきりしていますし鋭角もあります。そういうところが絞りの技術の見どころですね。

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写真4番目は、野口の着尺を合わせてみました。意匠は、世間では大胆ながら野口では普通の市松パターンです。しぼの大きい縮緬をつかった濃厚な色彩の着尺で、この重い色が京都の文化の一部である老舗野口のイメージですね。

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写真5番目は、千切屋治兵衛の着尺を合わせてみました。生地は紬地で、笹模様を市松のパターンに配した着尺です。地色は年輩者向きですし、笹模様も古典ですから平凡ですが、市松パターンということで多少の冒険もあり、ちょうど良いバランスだと思います。

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写真6番目は、千切屋治兵衛の着尺を合わせてみました。帯に対して着物の地色は補色関係、着物の模様は同系色としてみました。
[ 2017/01/26 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

龍村の名古屋帯「飛鳥間道」の帯合わせ

第三千六百三十六回目は、龍村の名古屋帯「飛鳥間道」の帯合わせです。

今日は紬に合わせてみます。法隆寺の幡に使われている裂ということで、本来の意味はカジュアルではないと思いますが、見た目は金糸も使っていない縞模様でもあるので、紬に合わせてカジュアルな使い方をしてみます。

今回の帯は、淡いグリーンのグラデーションが綺麗な帯です、正倉院風に言うなら「緑地繧繝文様」ということになるでしょう。ですから、その緑の繧繝を生かすべく、色合わせを中心に考えてみます。紬は絵画である友禅と違って意匠的には限定されており、帯合わせの際に意匠の意味を意識するほどのすごい意匠はありません。ただ縞が重ならないようにすればよいだけです。

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いちばん上の写真は、秋山真和さんの「綾の手紬」を合わせてみました。緑地に赤の絣です。緑を合わせる例ですね。

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写真2番目は、林宗平さんの「越後繭布」を合わせてみました。塩沢紬の仲間ですが、玉糸で織ってあります。透明感のある青を合わせる例です。

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写真3番目は、横山俊一郎さんの「みさやま紬」を合わせてみました。三才山地区は松本市内の地名です。

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写真4番目は、読谷花織を合わせてみました。紫色を合わせる例です。

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写真5番目は、大城広四郎さんの南風原の絣を合わせてみました。沖縄では格子のことを「グバン(碁盤)」といいますが、その交わるところが絣になった凝った意匠です。福木からとった辛子色の例です。

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写真6番目は、おそらく十日町の大胆な格子の紬を合わせてみました。鮮やかな茶色の例です。

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写真7番目は、松枝哲哉さんの久留米絣を合わせてみました。藍の色の例です。
[ 2017/01/25 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

龍村の名古屋帯「飛鳥間道」

第三千六百三十五回目の作品として、龍村の名古屋帯「飛鳥間道」を紹介します。

龍村の名古屋帯「飛鳥間道」を紹介します。「飛鳥間道」というのは龍村の商標で、一般的には、法隆寺に伝来する蜀江小幡の手と言われる部分に使われている裂です。「飛鳥間道」自体は、かつてこのブログで紹介したこともあり、今回は色違いのバージョンです。

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いちばん上の写真は、帯の幅を写真の幅として撮ってみました。

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写真2番目は、お太鼓部分の近接です。

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写真3番目は裏側です。模様部分は絵緯糸であるため、裏には渡り糸が有ります。

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写真4番目は、絵緯糸の部分を拡大してみました。いちばん上の写真で見ると、絵緯糸の部分が輝いて見えるので金糸と勘違いしてしまうほどですが、拡大してみれば普通の絹糸で、輝いて見えるのは絹の自然な光沢です。

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写真5番目は、これまで発売されていたバージョンです。

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写真6番目は、龍村の光波帯「太子菱繋文錦」です。色も技法も全然違いますし、タイトルも違うので、ちょっと見ただけでは気が付きませんが、よく見ると全く同じ意匠です。

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写真7番目は、法隆寺に伝来する蜀江小幡です。幡の手の部分がこの裂の本歌です。龍村の手により復元も行われており、その復元裂は東京国立博物館法隆寺館にあります。本歌と復元裂は緯錦ですが、名古屋帯の模様表現は絵緯糸、光波帯は経錦で織られています。また、胴の部分の裂と縁の部分の裂も光波帯として発売されています。
[ 2017/01/24 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

花也の付下げ「羊歯文京繍霞」の帯合わせ

第三千六百三十四回目は、花也の付下げ「羊歯文京繍霞」の帯合わせです。

今日は染め帯で合わせてみます。今回の付下げは、友禅も使われていますが、単純なシダの形を白揚げで表現しているだけで彩色もありません。絵画性もあまり高くないですし、友禅という技法が重なってしつこくなることもないので、友禅の帯を合わせてみようと思います。

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いちばん上の写真は、羽田登喜男の友禅の名古屋帯「水仙」を合わせてみました。昭和の終わりから平成の初めごろ、人間国宝羽田登喜男の鴛鴦がすごく流行り、高額な訪問着の意匠のダイジェスト版のような鴛鴦の名古屋帯がすごく売れました。いまでも中古品がネットで出ていますが、当時の名残です。

当時、鴛鴦以外のモチーフも制作されていて、この水仙や下の蕨がそれです。中古で出回るのは鴛鴦ばかりですから、今はそれ以外の方が良いかもしれませんね。

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写真2番目は、羽田登喜男の友禅の名古屋帯「蕨」を合わせてみました。

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写真3番目は、千切屋治兵衛の友禅の名古屋帯「ザクロ」を合わせてみました。実際に制作したのは藤岡さんです。糊糸目による作品で、写生性と意匠性のバランスの良い藤岡さんの植物シリーズの1本です。多くのユーザーは着物の模様について、リアルな写生画を求めてもいないし、古典の繰り返しも求めていないのではないかと思います。人の好みに合うのはその中間の、こんなスタイルではないでしょうか。

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写真4番目は、千切屋治兵衛の友禅の名古屋帯「麦」を合わせてみました。実際に制作したのは中井亮さんです。麦の収穫期をあらわす「麦秋」という言葉は、九州で5月、北海道で7月、平均で6月ですから、着物で言えばちょうど単衣の時期になります。単衣で着ること想定した帯合わせです。

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写真5番目は、花也の友禅の名古屋帯「地紙に羊歯」を合わせてみました。着物のテーマは羊歯ですから、全身羊歯ということになります。そう書くとじめじめしているようで気味が悪いですが、実際にはそう感じないのは、色に透明感があることと、羊歯の形が違いすぎて同じ植物だと気が付かないことですね。

よく「シダ類」といいますが、「類」は「界門綱目科属」のどれでもないですから、科学的な分類ではないんですね。シダ類はじつは茎や葉や根を持ちながら種子や球根をつくらない植物を言っているにすぎず、門にまたがる大きなグループですから、形はさまざまなのです。季節はないし形も自由で縁起が良い、という呉服業界のためにあるような植物です。

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写真6番目は、成謙の名古屋帯を合わせてみました。友禅は仕上げ工程として、模様の輪郭を金線でくくったりしますが、そのような脇役の職人さんを主役に持ってきた作品です。私が子供のころ、2つの丸い定規を使って花のような幾何学模様を描く玩具がありましたが、それを思い出しました。

金線主体の作j品は、金色が引き立つ地色を選ぶ必要があります。濃い地色にして金線をくっきり目立たせるのが普通ですが、これはあえて淡い地色にしています。
[ 2017/01/23 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の付下げ「羊歯文京繍霞」の帯合わせ

第三千六百三十三回目は、花也の付下げ「羊歯文京繍霞」の帯合わせです。

今回の付下げは爽やかで涼しげで、単衣に着てもよさそうですね。今日は6月か9月に着るという想定で帯合わせをしてみます。

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いちばん上の写真は、龍村の絽の袋帯を合わせてみました。鍋島の皿の縁の部分を重ねた意匠です。磁器という優れた工芸を、織物というまた別の工芸で表現するというのも妙ですが、龍村の帯の意匠には伊万里の名品をテーマにしたものがいくつもありますね。龍村の夏の帯は組織としては絽ですが、地厚なので単衣用としてもちょうど良いぐらいです。

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写真2番目は、今河織物(西陣の証紙番号101)の紗の袋帯「若人の詩」を合わせてみました。タイトルの良し悪しはよくわからないし、夏帯のテーマとしてどうかとも思いますが、テーマは若松です。季節テーマというより縁起の良いテーマですね。袋帯ですから、季節モノとして着るより夏の結婚式などに着ることを想定しているのでしょう。すっと伸びている植物は、季節モノとして着ると芒と勘違いしそうです。じつは私もそれで仕入れました。

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写真3番目は、紫絋の紗の袋帯「撫子」を合わせてみました。統一感のある色調が上手だなあと感心してしまう作品。夏物としてはこれぐらいが使いやすいですよね。色が無いようでいて、撫子の花の色は現実を超えて多彩だったりもするので、かわいさもあります。

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写真4番目は、龍村の絽の名古屋帯「清山文」を合わせてみました。霞と遠山という伝統的な文様に取材していますが、多彩な色で表現された山々が透明感があって、夏の山の朝のように爽やかです。優れた作品というのは、色に濁りが無いですよね、それは織物でも油絵でも同じではないかと思います。

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写真5番目は、龍村の絽の名古屋帯「ひしつなぎ」を合わせてみました。花菱文がつながっているような意匠ですが、模様が水平方向に揺らいで水に映っているようにも見えます。どういう趣旨かよくわからないですが、それによって模様に動きが出て面白くなっているのは確か。着物の霞というテーマには合いそうですね。

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写真6番目は、龍村の絽の名古屋帯「涼流文」を合わせてみました。夏の池の水面という具象的なテーマ。光る水面を銀糸の絵緯糸で表現したり、濃淡のある魚影が水の深さを表したり、けっこう芸が細かいです。着物が絵画性が高くないので、帯で写生的な世界を加えても良いのかと。
[ 2017/01/23 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の付下げ「羊歯文京繍霞」の帯合わせ

第三千六百三十二回目は、花也の付下げ「羊歯文京繍霞」の帯合わせです。

今回の付下げは、透明感のある地色とグラデーションの組み合わせが美しく、洗練の極みにあるような作品です。美しいと言われるものにはいろんな種類が有って、力強いものも揺るぎないものもありますが、この着物が持つ洗練の美というのは、とても揺らぎやすいもののように思えます。帯合わせをするときに、一片でも野暮が混じったらすべて地に落ちてしまうんじゃないでしょうか。

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いちばん上の写真は、織悦の袋帯「シャム七宝段文」を合わせてみました。一片の野暮も混じらないもの、ということで、織悦のシンプルな帯を3点選んでみました。

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写真2番目は、織悦の袋帯「光琳水」を合わせてみました。

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写真3番目は、織悦の袋帯「業平菱」を合わせてみました。

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写真4番目は、おび弘の袋帯を合わせてみました。おび弘は、名門池口のブランドです。モダンに見えるデザインですが、引き箔を多用した手織りで、技術的には西陣の伝統そのものです。

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写真5番目は、洛風林の袋帯「印度七宝文」を合わせてみました。一片の野暮も混じらぬもの、ということで洛風林。

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写真6番目は、紋屋井関の袋帯「正倉院象文」を合わせてみました。聖武天皇の碁石入れである銀平脱の合子をテーマにしたもの。金地に金糸の模様ですが、地の金色は、経糸が白、緯糸が金のため、明るい金色に見えます。
[ 2017/01/21 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の付下げ「羊歯文京繍霞」のつづき

第三千六百三十一回目は、花也の付下げ「羊歯文京繍霞」のつづきです。

全体の写真で見ると、淡い地色と暈しの組み合わせで、霧がかかったようなぼやっとして着物にしか見えませんので、今日は細部を撮ってみました。

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いちばん上の写真は前姿の近接です。淡い地色と暈しに加え、羊歯の茎と葉を表す乳白色の糊糸目もまたグラデーションの仲間です。それに対し、霞の芯のような京繍と、濃いめの緑の葉の彩色がくっきりの仲間です。グラデーション部分が団子ならば、くっきり部分は団子の串ですね。両者が有って、夢幻的な美しさもメリハリの美しさもある作品になっています。

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写真2番目は、マエミトオクミの縫い目辺りをさらに近接してみました。

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写真3番目は、斜めから撮ってみました。羊歯の葉の表現には、緑の彩色だけではなく、金彩部分もありますね。金彩部分は陽光が当たっているように見え、絵に立体感を与えています。一方、葉の表現には緑の糸の刺繍も使われていて、本当の立体になっています。

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写真4番目も斜めから撮ってみました。

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写真5番目も斜めから撮ってみました。

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写真6番目は裏側を撮ってみました。刺繍部分がよくわかります。複雑な技法は使ってないですが、量はけっこう多いです。
[ 2017/01/20 ] 繍箔 | TB(0) | CM(0)

花也の付下げ「羊歯文京繍霞」

第三千六百三十回目は、花也の付下げ「羊歯文京繍霞」を紹介します。

友禅と刺繍を、同じ割合ぐらい併用した作品です。羊歯の部分は友禅による表現ですが、淡い地色に糊防染し、淡い地色の上に乳白色の糸目という、グラデーションのようなはっきりしない関係になっています。霞の部分は、ぼかしの中に刺繍です。刺繍は意外にも直線的な表現で、霞の芯みたいな不思議な表現ですね。

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いちばん上の写真は、前姿(マエミ+オクミ)です。全体がグラデーションのような表現で、この写真では作品の趣旨がよくわからないかもしれません。全体としては霞みたいで、細部を見ると繊細な表現が楽しめる、といった趣旨の作品でしょうか。

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写真2番目は後姿です。

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写真3番目は袖です。

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写真4番目は胸です。明日は細部をお見せしますね。
[ 2017/01/19 ] 繍箔 | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛の付下げ「小付け桜楓の丸」の帯合わせ

第三千六百二十九回目は、千切屋治兵衛の付下げ「小付け桜楓の丸」の帯合わせです。

今日は染め帯で合わせてみます。友禅というのは絵画性が高いですから、友禅の帯に友禅の着物を合わせると、絵画的な模様どうしが重なってしつこくなってしまいます。今回の付下げのように、刺繍だけ、テーマも桜と楓だけでほとんど展開していかない、ということであれば絵画性は低いですから、友禅の帯で絵画性を補完してやることで、バランスのとれたコーディネートになる可能性が高いです。

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いちばん上の写真は、橋村重彦さんの玉紬のような生地の名古屋帯を合わせてみました。琳派様式の四季の花を並べた帯です。橋村さんはいろんな作品に琳派の草花図に取材した植物文を描いていますが、それらの植物文のうち、私が気に入ったものを並べて描いてもらったものです。複数の作品のいいとこどりをした作品ですね。本来なら真っ先に売れるはずですが、意外に残っているのが不思議。

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写真2番目は、加賀友禅作家、中町博志さんの塩瀬地の名古屋帯「野蒜」を合わせてみました。上手い絵というのは、対象を描きつつその場の空気や湿度も描いてしまうものだと思います。この野蒜は葉が自然な緑でなく、小袖の伝統的な色彩表現を採用していて、その点では写生的とも言えないのですが、爽やかな空気が流れてくるような気がします。

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写真3番目は、野口の縮緬地の名古屋帯「貝桶」を合わせてみました。実際に制作したのは橋村重彦さんです。江戸時代の小袖や袱紗に描かれた貝桶模様に取材したもので、当時の豪華な雰囲気をかなり忠実に伝える重厚な友禅です。絵画的には美しいですが、1つの貝は1つにしか合わないという貝桶のテーマは「夫婦仲良く、絶対不倫なんかしないよ」ということですから、背負って歩くのはちょっと照れ臭い?、

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写真4番目は、花也の塩瀬の名古屋帯「流れに槇」を合わせてみました。槇はダンマル描きと金彩と金糸の刺繍で描かれています。暈しとダンマル描きを併用することで、夢幻的な雰囲気になっていますが、その一方、砂の表現は小さい点々でありながら、糊糸目の友禅でくっきり防染されているので、全体を引き締める役割をしています。

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写真5番目は、花也の塩瀬の名古屋帯「半円取り柳に笹」を合わせてみました。柳の葉は線描き友禅で、糊による飛白を楽しむ様式ですね。
[ 2017/01/18 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛の付下げ「小付け桜楓の丸」の帯合わせ

第三千六百二十八回目は、千切屋治兵衛の付下げ「小付け桜楓の丸」の帯合わせです。

今日は袋帯、名古屋帯を問わず、西陣織の帯を合わせてみます。

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いちばん上の写真は、龍村の袋帯「錦秀遺宝錦」を合わせてみました。模様の少ないあっさり系の着物に対し、重厚な模様の帯を合わせた例です。他人から見ると、まず帯が目立って、その後よく見たら、アラ良い刺繍ね、ということになるのでしょう。

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写真2番目は、織悦の袋帯「楽園」を合わせてみました。今回の着物は錆ローズですが、茶色系の帯を合わせれば年輩者向けの配色になりますね。帯は、南国の鳥やお馬さんが居てかわいい意匠です。地味な色+かわいい模様の組み合わせは、年齢幅が広く使い勝手が良いです。

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写真3番目は、織悦の袋帯「シャム印金段文」を合わせてみました。織悦の横段模様は、袋帯のシリーズの中でも価格的にリーズナブルですが、使い勝手はすごく良いです。着物を着なれている感じがします。

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写真4番目は、龍村の名古屋帯「花宝」を合わせてみました。この帯は六通柄で、3種類の花が反復して並ぶ意匠です。龍村の名古屋帯には、六通柄とお太鼓柄があります。六通柄の方が模様の面積が広いですから高そうですが、実際は同じ値段です。六通柄は、この帯のように反復連続して美しい意匠のものが多く、お太鼓柄は、単一で個性がある模様が多いですね。

個性はないが上品な帯合わせになりました。

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写真5番目は、龍村の名古屋帯「寄せ裂」を合わせてみました。牡丹唐草金襴、角倉金襴、笹蔓金襴あるいは鶏頭金襴などの名物裂を貼り混ぜたように見せるデザインです。もちろん本当に貼り混ぜているわけではなく1つの織物です。
[ 2017/01/17 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛の付下げ「小付け桜楓の丸」の帯合わせ

第三千六百二十七回目は、千切屋治兵衛の付下げ「小付け桜楓の丸」の帯合わせです。

今日は袋帯を合わせてみます。

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いちばん上の写真は、織悦の袋帯「光琳水」を合わせてみました。「光琳水」というタイトルは、尾形光琳の「紅白梅図屏風」の中央に描かれている川の流れの水のパターンのことを言っているのでしょう。琳派の絵らしく川の流れの表現が装飾的なパターンになっていますが、そのパターンをそのまま帯の意匠にしています。この帯を梅の着物に合わせれば、紅白梅図びゅうぶが再現できるわけですね。

今回の付下げは桜楓ですから、流水パターンの帯を合わせれば、「桜に流水」と「龍田川」がつくれるわけです。意味で合わせる帯合わせですね。

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写真2番目は、織悦の袋帯「遠山桜楓」を合わせてみました。着物が桜楓なので、帯も桜楓にしてみました。着物の桜楓が友禅で大きく描かれていたら、しつこくて頭の悪そうな帯合わせになったと思います。しかし、着物の模様が小さくて遠くからではわからない程度なので、しつこさは感じないかも。着物と帯の関係は反復拡大ということになりますね。

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写真3番目は、華陽の袋帯「菊桜」を合わせてみました。着物の桜楓は春でも秋でも通用する伝統パターンですが、菊桜もまた同じような春秋通用の伝統パターンです。便利ものどうしを合わせてみました。しかし帯の菊が大きいので、秋に着る時が良いですね。

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写真4番目は、織悦の袋帯「霞に扇子」を合わせてみました。霞と扇子という一見差障りの無いテーマを合わせてみました。しかし霞は「さくらさくら」の歌詞で桜が霞に例えられるように、春と桜につながるイメージですから、上と反対に春に着る時の帯合わせが良いですね。

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写真5番目は、名前を忘れてしまった小機屋さんの袋帯「結び」を合わせてみました。カジュアルっぽく感じる意匠ですが、じつは絡まって離れないという意味で、結婚式に参列するのにふさわしい模様でもあります。
[ 2017/01/16 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛の付下げ「小付け桜楓の丸」の続き(実際の制作は倉部さん)

第三千六百二十六回目は、千切屋治兵衛の付下げ「小付け桜楓の丸」の続きです。実際に制作したのは倉部さんです。

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いちばん上の写真は、個別の模様の近接の続きです。

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写真2番目は、個別の模様の近接の続きです。

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写真3番目は、個別の模様の近接の続きです。

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写真4番目は、個別の模様の近接の続きです。

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写真5番目は、上の写真の模様を裏側を撮ってみました。ぴったり合うように左右反転させてあります。
[ 2017/01/15 ] 繍箔 | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛の付下げ「小付け桜楓の丸」(実際の制作は倉部さん)

第三千六百二十五回目の作品として、千切屋治兵衛の付下げ「小付け桜楓の丸」を紹介します。実際に制作したのは倉部さんです。

倉部さんの金糸の刺繍を配した付下げで、刺繍の数は全部で8個です。倉部さんの刺繍は綺麗ですが高価ですから、なるべく少ない数で、たくさんあるように見える配置を考えるのがコツです。私も何度かつくったことがありますが、前姿に3個、後姿に1個、袖に各1個、胸に1個の計7個で、付下げとしての最低限の配置になります。一方の袖に2個付けて、もう片方は無しにするという方法もあります。また後姿を2個にして、袖は片方に1個だけということもあります。

その上で、刺繍の手間は同じでなるべく面積が広く見えるものを考えたり、刺繍の周囲にぼかしや箔をつけて、模様の面積を水増しすることを考えます。

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いちばん上の写真は、前姿(マエミ+オクミ)です。マエミに3個、オクミに1個で合計4個です。マエミ2個、オクミ1個の3個でも成り立つので、1個サービスですね。それ以外の場所は、後姿に1個、袖に各1個、胸に1個の計8個で、マエミに1個多い以外は、オーソドックスな配置です。暈しや箔の小細工はありません。

全体の意匠としては論じるほどのことはないので、以下は個別の模様の近接です。

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写真2番目は個別の模様の近接です。桜の枝を丸くして丸紋にしていますが、4分の1が開いているオープンな意匠で、閉じた丸紋より柔らかさや動きが有りますね。

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写真3番目は個別の模様の近接です。桜の花の形が歪んでいるところもありますが、実はとても小さいものなのです。

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写真4番目は個別の模様の近接です。楓の太い枝は、細かいながら力強さを感じます。

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写真5番目は個別の模様の近接です。上の模様はすべて、枝は駒繍でしたが、ここだけは枝がまつい繍ですね。なぜかわかりません。優しく弱く感じます。
[ 2017/01/14 ] 繍箔 | TB(0) | CM(0)

都織物の袋帯「向かい鳳凰」の帯合わせ

第三千六百二十四回目は、都織物の袋帯「向かい鳳凰」の帯合わせです。

今日は色留袖に合わせてみます。昨日までは振袖に合わせましたが、この帯は大人も使える帯です。今日は色留袖に合わせることで、50代でも60代でも使える帯だということを証明したいと思います。70代以降については証明しません。

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いちばん上の写真は、北村芳嗣さんの個展で発表された色留袖を合わせてみました。北村芳嗣の作品ということで、「yk」の落款があります。実際に制作したのは大松です。大松は、大黒屋松三郎の略で、大彦(大黒屋彦兵衛)の本家筋(大黒屋の長男が大松、娘婿が大彦だった)に当たります。

かつて北秀の社長だった北村芳嗣さんは、会社とは別に自分の個人の落款を付けた作品を発表していました。作風は北秀の作風をさらに濃くしたもので、個性が強すぎて一般の商品としては無理かなあ、というようなものを作っていました。「北秀すぎる北秀」ともいうべきもので、北秀が好きすぎる人が買っていました。

そのなかでもさらに個性が強く個展で売れ残ったものが、北秀の決算市に出品されることがあり、私はそれを買っていました。これもこんな一品で、大松がアイキャッチポイントとしてするような重厚な加工を全面にしてしまったもの。

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写真2番目は、大松の色留袖を合わせてみました。上の作品からすれば穏当な普通の大松です。

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写真3番目は、大松の色留袖を合わせてみました。松竹梅をテーマにしています。それぞれのモチーフは小袖にあるものですが、並べ方も面白いし、雰囲気はすっかり大松の様式です。

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写真4番目は、大松の色留袖を合わせてみました。鸚哥と葡萄というテーマです。大松の個性は、油絵風とも思える重厚な色彩にもありますが、その色は重いだけでなく都会的でもあるんですね。鸚哥と葡萄というのは、その色の特徴が発揮されやすいテーマで、鸚哥の青緑や葡萄の紫が綺麗です。

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写真5番目は、野口の色留袖を合わせてみました。野口の本社が室町に有ったころ、祇園祭の山鉾の会長を務めていました。その山鉾の懸装品がこのイリアッドです。教皇がバチカンに飾るために注文し、ラファエロが下絵を描き、ブラッセルで織られたもので、ヨーロッパの至宝とも言えるものですが、なぜかバチカンから持ち出され出島にもたらされ、京都の町衆と加賀の前田家が分担して購入したとされています。

パリスの父であるプリアモス王が会見する場面ですが、ラファエロの時代は時代考証というのはないので、プリアモス王が中世の王様のような衣装を身に付けています。

友禅作品ですが、織物の重厚感を出すために、箔剥がしの技法を使っています。箔剥がしは、友禅をした後に箔を貼り、それを剥がすという技法です。

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写真6番目は、千切屋治兵衛の色留袖を合わせてみました。実際に制作したのは安田です。これぞ安田ともいうべき、安田らしい意匠、安田らしい加工の作品です。
[ 2017/01/13 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

都織物の袋帯「向かい鳳凰」の帯合わせ

第三千六百二十三回目は、都織物の袋帯「向かい鳳凰」の帯合わせです。

今日も振袖に合わせてみました。最近意外と振袖が売れるので、今日は帯合わせを口実に宣伝させてください。これで全部ではないですが、お客さまがいらして商品を広げたときに、ただ片付けるだけではもったいないので。写真を撮ってから片付けました。

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いちばん上の写真は、野口です。

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写真2番目は、大羊居です。

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写真3番目は、岡重です。

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写真4番目は、岡重です。

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写真5番目は、竹田庄九郎です。

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写真6番目は、佐藤昭人の阿波藍をつかった竹田庄九郎です。

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写真7番目は、千切屋治兵衛です。

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写真8目は、岡重です。

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写真9番目は、千切屋治兵衛です。

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写真10番目は、作者はわかりませんンが京友禅です。

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写真11番目は、松井青々です。

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写真12番目は、千切屋治兵衛です。

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写真13番目は、千總です。

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写真14番目は、千總です。

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写真15番目は、千總です。

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写真16番目は、竹田庄九郎です。

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写真17番目は、千切屋治兵衛です。

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写真18番目は藤井絞です。
[ 2017/01/12 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

都織物の袋帯「向かい鳳凰」の帯合わせ

第三千六百二十二回目は、都織物の袋帯「向かい鳳凰」の帯合わせです。

今日は、この帯本来の華やかさを生かして振袖に合わせてみます。

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いちばん上の写真は、加賀友禅作家、前川哲さんの振袖に合わせてみました。黒地に花筏の意匠です。四季の花が盛りだくさんの豪華な作品ですが、平面で見ると模様の配置がよく整理できているので、模様が渋滞しないで洗練されて見えるんですね。図案が上手いなあと思います。

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写真2番目は、岡重の手描きの振袖に合わせてみました。梅の花だけがテーマですが、一般の人にわかってもらおうとか好きになってもらおうとか、そういう媚びたところが全然ない感じがするので、私には芸術性が高く見えます。でも大きな梅の花がゆるキャラ風にも見えるんですよね。

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写真3番目は、千切屋治兵衛の振袖に合わせてみました。古いもので、札が取れてしまっているので実際に制作したのはわかりません。中井淳夫さんか野村さんか藤岡さんだと思います。わからないのは、昔は中井さんレベルの仕事をする悉皆屋さんが何人もいたということです。伝統的な桐鳳凰文で、豪華すぎて成人式よりも披露宴で色打掛の代わりに着た方が合いそうですね。問題は、花嫁の衣装を白無垢からお色直しをするときに、色打掛なら羽織るだけで済むのですが、振袖にすると着替えるようなので、お客さまを待たせてしまうんですね。

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写真4番目は、京正の振袖に合わせてみました。実際に制作したのは安田です。現在ではおそらく作られることはない本物の安田の振袖です。安田調といわれるものは、京都でも十日町でもたくさん作られていますが。

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写真5番目は、岡重のカチン染の更紗を振袖にしたものです。カチン染めというのは、輪郭線が白い糸目の線ではなく墨描きの黒い線のものを言います。歴史的な更紗の多くがカチンの黒い輪郭線を持ちますから、それをちゃんと受け継げばこのような雰囲気になります。また辻が花の小袖など友禅が発明される以前にはよく使われていました。
[ 2017/01/11 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

都織物の袋帯「向かい鳳凰」の帯合わせ

第三千六百二十一回目は、都織物の袋帯「向かい鳳凰」の帯合わせです。

今日も付下げに合わせてみます。今日は帯と同じぐらい華やかな着物に合わせてみます。

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いちばん上の写真は、大羊居の付下げ「流麗華文」に合わせてみました。黒地の多色の大きな植物文です。多色の友禅の上に、金彩や金糸の刺繍を遠慮なく載せています。金色の働きとしては、ただの強調ではなく、花弁に陽光が当たって輝いているように見せています。

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写真2番目は、大羊居の付下げ「紅葉の庭」に合わせてみました。紅葉と言っても紅に限らず水色など自由に色を使って写生というより装飾的な画面にしています。このように自然のものに反自然的な色を付けるのは、江戸時代の小袖以来の伝統でもありますね。

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写真3番目は、大羊居の付下げ「華折り紙」に合わせてみました。折り紙をテーマにして四季の花を合わせたもの。別の場所には杜若などもあって、けっこう見どころのある着物です。

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写真4番目は、野口の付下げに合わせてみました。実際に制作したのは岡本等さんです。岡本等さんはわりと若くして亡くなったので、もう市場で作品を見ることはありません。京友禅らしい朱色系の色を使わずモダンな雰囲気なのですが、どことなく雅な雰囲気があります。

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写真5番目は、野口の付下げに合わせてみました。実際に制作したのは岡本等さんです。上の作品は洋花ですが、これは和花をテーマにしています。岡本等の特徴は、ゴム糸目による繊細でクリアな輪郭線、モダンな色彩、要所に使われる色糊ですね。色糊は、必ず染色と同系の淡い色を使っています。そういう配慮が雅な雰囲気につながっているのかもしれませんね。

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写真6番目は、千切屋治兵衛の付下げ「」を合わせてみました。実際に制作したのは中井亮さんです。濃い地色に紅い楓が散る描写は美しいですが、この写真の画面からはみ出す下辺りには、流水や蛇籠が描かれていて絵画的な要素が強い作品になっています。そのために舞台衣装のように見えてしまうかも。
[ 2017/01/10 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

都織物の袋帯「向かい鳳凰」の帯合わせ

第三千六百二十回目は、都織物の袋帯「向かい鳳凰」の帯合わせです。

華やかで六通ですから、振袖用にちょうど良い帯だと思います。振袖に使う帯には、派手で振袖にしか使えない帯もありますし、派手気味で振袖にも使えるがそれ以外にも使える帯とがあります。この帯は派手気味な方でどちらも使えるでしょう。理想を言うなら振袖に合わせて買って、その後も60歳ぐらいまで使い続けることですね、そうすればとても経済的です。

今日は倉部さんの付下げに合わせてみました。倉部さんの作品は刺繍と箔で、単位面積で言えば友禅よりはるかに高額ですから、模様は少なめです。ですからあまり派手でも華やかでもないのですが、振袖用とも見える帯との相性も良いというところを見せたいです。

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いちばん上の写真は、千切屋治兵衛の付下げを合わせてみました。色紙散しの様式で、色紙の中味は金糸の刺繍で松竹梅、色紙の背景は金描きで枝垂れ梅です。色紙散しの様式は、色紙を散らすだけの意匠もありますが、外側に広がりのある模様を描いて、色紙どうしを1つの模様として有機的につなげる役割をさせるばあいもあります。

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写真2番目は、千切屋治兵衛の付下げを合わせてみました。描かれているのは徳利と稲穂です。徳利は刺繍、稲穂は金描きです。酒飲みみたいなテーマですが、お酒を飲むのは人間ではなく神さまで、秋の収穫祭をテーマにしています。

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写真3番目は、千切屋治兵衛の付下げを合わせてみました。「霞取り更紗」というタイトルです。金描きによって更紗模様を描き、主要な部分を金糸の刺繍にしています。輪郭線はありませんが、霞取りにしてあります。

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写真4番目は、千切屋治兵衛の付下げを合わせてみました。いちばん上の作品と同じく、色紙取りと背景の金描きを合わせたものです。色紙だけだと飛び柄のようですが、背景に金描きの模様を置くことで、模様が有機的につながり堂々たる訪問着になっています。色紙の内部は俵屋宗達の鹿と波、背景は若松です。鹿の周りの植物は槇で、刺繍で表現されています。

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写真5番目は、一の橋の付下げを合わせてみました。孔雀はもともとは帯留のデザインでした。本歌は小さいものとしてデザインされているはずですが、着物の模様として無理のない程度に引き伸ばしています。
[ 2017/01/09 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

第三千六百十九回目のおまけ

第三千六百十九回目のおまけです。

上代裂の模様の輪廻について、龍村の裂で説明してみます。

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いちばん上は、主文と副文が同じぐらいの大きさで差が無い例です(天平相華文錦)。

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写真2番目は、主文が膨張しと副文と差が生じた例です(天平狩猟文錦)。今回の帯はこのパターンですね。ただし主文が2種類あります。主文が2種類あるものは上代裂にもあり、有名なのは「円文白虎朱雀錦」です。

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写真3番目は、「円文白虎朱雀錦」です。主文が膨張しすぎて副文はつぶれそうです。

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写真3番目は、主文が膨張しすぎて崩壊しつつある例です(山羊花卉文錦)。 これが進むとただの散し模様になり、やがてそれぞれの模様に大小の差がついて、主文と副文が生まれます。
[ 2017/01/08 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

都織物の袋帯「向かい鳳凰」

第三千六百十九回目の作品として、都織物の袋帯「向かい鳳凰」を紹介します。

都織物は、西陣織物工業組合証紙番号385です。この作品は、向かい鶴ならぬ向かい鳳凰、華文、花菱文という伝統意匠から成っていますが、配色がパステルカラーを思わせ、モダンな雰囲気になっています。都織物の帯は、マイセンとかヘレンドとか洋食器の配色を思わせるものが多いですよね。

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いちばん上の写真は、帯の幅を写真の幅として撮ったものです。鳳凰が向かい合っている模様と華文とがあって、それが交互に丸紋として並んでいます。その丸紋の並びによって生じる隙間を、花菱文がぴったりと埋めています。このような意匠は、上代裂(正倉院裂と法隆寺裂がほとんど)によく見られるパターンです。主要な丸紋を主文、隙間を埋める菱文を副文と言います。

古代の織物の意匠の変遷を見ると、主文と副文が同じぐらいの大きさのものもありますが、主文だけが膨張して副文が衰退してしまったものもあり、さらに主文が膨張しすぎて崩壊し、副文と混じってただの散し模様になってしまったものもあります。その後は、散し模様の各要素に大小の差がついて、再び主文と副文が生まれ、模様のパターンが輪廻するのだと思われます。

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写真2番目は、主文に当たる向かい鶴の模様に近接してみました。向かい鳳凰は金糸と白のみ、周りはパステル調のカラーで桜唐草・梅唐草・菊唐草・青海波という和模様が囲んでいます。色はすっきりしていますが、模様は盛りだくさんです。

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写真3番目は、主文に当たる華文の模様に近接してみました。華文は金糸と白のみ、周りはパステル調のカラーで七宝や松など4つの和模様が囲んでいます。向かい鳳凰の模様と同じパターンですね。

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写真4番目は、副文に当たる花菱文に近接してみました。周囲を囲む4つの丸紋からできるスペースを使って、花菱文を形成しています。花の周りの放射線は羊歯文のようにも見えます。もともと隙間を生かした模様ですが、隙間さえも重層的に使っています。

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写真5番目は、向かい鳳凰にさらに近接してみました。鳳凰模様の核心部分は金糸と少しの白糸だけで織られていますが、金だけで色が無くても模様が識別できるのは、金の色の違い(より黄色っぽいところと白っぽいところ)、撚り金糸と平金糸という糸の形状の違い、撚り金糸の太さと密度の違い、この3つの違いがあるからです。金糸は形状が違えば光の反射の仕方が違い、色も違うように見えるんですね。

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写真5番目は、向かい鳳凰の近接を拡大してみました。撚り金糸が嵐のように使われています。色や太さが違うものも使われています。

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写真5番目は、向かい鳳凰の近接を拡大してみました。平金糸と撚り金糸の違いです。
[ 2017/01/08 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

一の橋の名古屋帯「丸取枝桜」の帯合わせ

第三千六百十八回目は、一の橋の名古屋帯「丸取枝桜」の帯合わせです。

今日も付下げに合わせてみました。桜というのはテーマがはっきりしているので、帯合わせは難しいと思いましたが、意外に展開余地があって面白いので、もう1回だけお付き合いください。

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いちばん上の写真は、野口の付下げ「霞に松」を合わせてみました。実際に制作したのは倉部さんです。「花のほかには松ばかり」とつい言いたくなってしまう帯合わせをしてみました。霞は春のイメージですし。

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写真2番目は、千切屋治兵衛の付下げ「槇」を合わせてみました。実際に制作したのは倉部さんです。宗達の「槇檜図屏風」はいろいろな着物に写されていますが、これは倉部さんバージョンです。高貴だが花の無い着物の模様に、帯で花を添える帯合わせです。

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写真3番目は、花也の付下げ「四君子の丸」を合わせてみました。四君子とは中国の縁起物で、梅・竹・菊・蘭です。そこに日本代表の桜がお邪魔する感じです。どちらも丸取で、普通に考えれば、同じ形を重ねるのは避けるべき組み合わせですが、場合によっては形がシンクロして面白くなる場合があります。

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写真4番目は、花也の付下げ「雪輪取りサンテチエンヌリボン」を合わせてみました。雪輪と桜の組み合わせです。季節としては冬なのか春なのかというところですが、着物の模様の組み合わせとしてはよくあるものです。丸形どうしの組み合わせでシンクロ狙いですが、形を重ねる野暮さはないのでは。

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写真5番目は、花也の付下げ「白川女」を合わせてみました。京都には白川女、大原女というのがあって、京野菜や花や薪を頭に載せて行商をしていました。現在は京都の風物として観光用に行っていたり、観光客がコスプレとして行っているのがありますね。この付下げは頭に載せるものだけを意匠化して、白川女あるいは大原女を暗示しています。糊糸目による線描き表現が見せ場ですね。

組合わせとしては、桜と白川女あるいは大原女ですから、春の観光シーズンの京都、というところでしょうか。
[ 2017/01/07 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

一の橋の名古屋帯「丸取枝桜」の帯合わせ

第三千六百十七回目は、一の橋の名古屋帯「丸取枝桜」の帯合わせです。

今日も付下げに合わせてみました。昨日は「波」という便利な脇役に逃げましたが、今日は違うテーマにチャレンジしてみます。

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いちばん上の写真は、花也の付下げ「竹林」を合わせてみました。竹林をテーマにしていますが、葉が全くなく、実質的には直線を並べた幾何学模様といえるかもしれません。竹は白揚げで、竹の節は多色の糸の刺繍です。

帯合わせとしては、意味的には竹と桜という花のある植物と花の無い植物の組み合わせ、形状的には丸と直線の組み合わせということになります。

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写真2番目は、野口の付下げ「花簪」を合わせてみました。実際に制作したのは倉部さんです。花簪というのは、簪に生花を付けたものを意味することもありますが、京都の伝統文化であるつまみ簪をイメージしたものだと思います。単価の高い倉部さんの刺繍作品ですから、美しいけれど模様面積は広くなく、小さな刺繍模様が飛び柄になっている作品です。帯の桜で華やかさやエンタメ性を加えています。

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写真3番目は、一の橋の付下げ「孔雀」を合わせてみました。実際に制作したのは倉部さんです。これも単価の高い倉部さんの作品なので、美しいけれど模様面積は広くありません。このような作品は、分る人には分かりますが、パーティーで引き立つようなエンタメ性がないですね。その部分を帯に補完してもらいました。孔雀と桜という組み合わせは定番ではないですが、一応花鳥ということで。

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写真4番目は、一の橋の付下げ「柳に蹴鞠」を合わせてみました。写真でも生地の地紋が見えますか?複雑な地紋のおかげで、染料の浸み込みに差が生じ、それがグラデーション面積を広くしています。作品の主役は、柔らかい色とグラデーションが生み出す夢幻的な雰囲気です。桜と柳の組み合わせは、土佐光起の屏風にも有るので、正統な組み合わせなんじゃないかと思います。

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写真5番目は、花也の付下げ「一方付けシダ文」を合わせてみました。もともと羊歯模様が一方付けの地紋になった地紋無地の着物でしたが、その地紋に沿って手描きで糊置きして白揚げ友禅とし、さらに主要箇所に刺繍を加えた作品です。地色は淡いピンクで、帯の桜に不足しているピンクを着物で補うようにしています。
[ 2017/01/06 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

一の橋の名古屋帯「丸取枝桜」の帯合わせ

第三千六百十六回目は、一の橋の名古屋帯「丸取枝桜」の帯合わせです。

今日は付下げに合わせてみます。主役しかできない女優さんみたいな帯なので、パートナーには悩みます。小紋や紬であれば、縞や格子という手がありますが、付下げの模様はたいてい具象画で意味が有りますから。今日は、波をテーマにしてみました。「波」というのは立派に助演俳優を務めてくれるので、こういうときはありがたいです。、

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いちばん上の写真は、花也の付下げ「さざ波」を合わせてみました。墨色の地に白揚げだけで波が描かれています。波頭の一部に金糸であしらい刺繍がしてありますが、単なる強調ではなく、陽が波に当たって光が反射しているようにも見えます。

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写真2番目は、一の橋の付下げ「波尽し」を合わせてみました。焦げ茶色の地に白揚げの波です。濃い地色+白揚げの波という点では、上の作品と同じですが、こちらの方が波がさらに意匠化されています。あしらい刺繍は、丸い飛沫部分にされています。

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写真3番目は、花也の付下げ「波に松」を合わせてみました。いちばん上の作品の波の意匠に対し、松や四季花を加えたもの。点々に見えるのは海浜の砂。波の模様はレゴブロックみたいなもので、バリエーションが加えやすいです。鳥を加えれば「波に千鳥」ですしね。

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写真4番目は、花也の付下げ「波の丸」を合わせてみました。波を丸紋にしてみました。帯の桜も丸紋ですから、丸文どうしのシンクロになります。

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写真5番目は、千切屋治兵衛の付下げ「竹生島」を合わせてみました。実際に制作したのは倉部さんです。波と兎を合わせた模様は、謡曲「竹生島」のワンシーンに取材したものです。竹生島に渡る舟から見える景色で、月に照らされた波頭が、兎が奔っているように見えるというところです。

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写真2番目は、一の橋の付下げ「丸紋波兎」を合わせてみました。実際に制作したのは安田です。上と同じ謡曲「竹生島」に由来する模様で丸紋化されたものと思います。しかし似たような模様で、うさぎの周りを花が囲った丸紋は、名物裂である「角倉金襴」に由来するものですから、模様の研究というのは面白いものですね。
[ 2017/01/05 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

一の橋の名古屋帯「丸取枝桜」の帯合わせ

第三千六百十五回目は、一の橋の名古屋帯「丸取枝桜」の帯合わせです。

昨日は染めの着尺に合わせてみましたから、今日は紬に合わせてみます。

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いちばん上の写真は、結城紬の無地を合わせてみました。文化財の要件を満たすものではありません。桜と言えばピンクのイメージですが、この気品ある帯は、安易にピンクなんか使っていませんよね。そこで着物をピンクにしてみました。

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写真2番目は、新田機業の紅花紬を合わせてみました。紅花もピンクのイメージですが、紅花は、紅の他に水溶性の黄色の染料も持っています。それに藍染を合わせると色の三原色を得ることができます。それで理論上、全ての色がつくれるわけです。紅花紬を名乗る紬で、緑や黒や焦げ茶があるのはそのためです。

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写真3番目は、佐藤トシの南部紬を合わせてみました。岩手県岩泉町で織られていた草木染で手織りの紬です。今も織られているか、近年作品を見ないのでよくわかりませんン。この作品は胡桃と藍を使っています。

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写真4番目は、小岩井工房の上田紬を合わせてみました。草木染で手織りの紬で、そう書くと素朴なイメージですが、実際は写真で見るとおり洗練されたイメージです。

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写真5番目は、秦荘紬を合わせてみました。秦荘町の名を取っていますが、今は合併で愛荘町になっています。秦荘町もまたそれ以前に合併でできた町で、もともとは秦川村です。「秦」の地があると帰化人を連想させ、古代からの織物の里、という感じがします。近江上布の産地で、その技術で紬を織ったのが秦荘紬でしょう。

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写真6番目は、大城広四郎の琉球絣を合わせてみました。帯の金彩に対して、沖縄の福木の黄色を合わせてみました。

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写真7番目は、郡上紬を合わせてみました。草木染で手織りの紬ですが、洗練された作品が多いです。着物も帯も洗練どうしの組み合わせです。
[ 2017/01/04 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

一の橋の名古屋帯「丸取枝桜」の帯合わせ

第三千六百十四回目は、一の橋の名古屋帯「丸取枝桜」の帯合わせです。

今回の帯は、形式的にカジュアル的な名古屋帯で、中身の模様はフォーマル的な金彩の桜模様です。このような帯は、カジュアルかフォーマルかわからなくて使いづらいとも言えますが、カジュアル要素もフォーマル要素もあって幅広く使えるとも言えます。人生で成功するのは、後者のような考え方をする人ですよね。今回もそんな発想で、紬にも小紋(染めの着尺)にも付下げにも合わせます。

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いちばん上の写真は、野口の着尺を合わせてみました。手描きの蝋染の格子です。綺麗な桜の模様というのは、主役しかできない女優さんのようなもので、パートナーを選ぶのは難しいです。色が綺麗で価値のある加工をしていて、模様に意味がないのが良いですね。

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写真2番目は、野口の着尺を合わせてみました。短冊模様の飛び柄で、金彩の幾何学模様が染められています。これも「色が綺麗で価値のある加工をしていて、模様に意味がない」という基準で選んでみました。

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写真3番目は、野口の着尺を合わせてみました。鮫小紋模様と宝尽くし模様の石畳模様(市松模様)です。色が綺麗という点では、基準から外れるかもしれませんが、桜の帯の微妙な灰桜を引き立てる色を選んでみました。模様に季節や意味はないですが、市松模様や鮫小紋という要素が加わって、個性はありますね。

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写真4番目は、野口の着尺を合わせてみました。横段に干菓子の模様です。「丸取枝桜」は気品がありますが、お高くとまった美人といった感じで、親しみやすさがありません。一方この野口の着尺は、横段の紫はグラデーションで色気がありますし、干菓子の模様は雀や兎もあってかわいらしいです。ルックス担当とバラエティ担当がいるアイドルのグループをイメージしてみました。

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写真5番目は、千切屋治兵衛の着尺を合わせてみました。実際に制作したのは大和さんです。源氏香の総柄です。意味は無いけど、上品で常識的な組み合わせを考えてみました。

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写真6番目は、千切屋治兵衛の着尺を合わせてみました。実際に制作したのは野村さんです。野村さんは手描き友禅の染匠で、型染の小紋は作りません。これは飛び柄の小紋ですが、手描きで作っています。描かれているのは光悦垣で、枝桜に対して意味がつながってるようでもあり、無いようでもあり、ですね。

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写真7番目は、千切屋治兵衛の着尺を合わせてみました。実際に制作したのは大和さんです。青楓です。日本の伝統文様には桜楓というのがありますが、それを着物と帯で作ってみました。楓は青楓なので春秋とも言えません。季節がずれてしまったときに、どうしてもこの桜の帯を身に付けたいという時にどうでしょうか。
[ 2017/01/03 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)