花也の付下げ「市松取り秋草文」

第三千五百八十回目は、花也の付下げ「市松取り秋草文」を紹介します。

市松模様に見える地紋を生かし、色紙取りになった模様を配した付下げです。描かれているのは、接ぎと楓絵秋のテーマですね。作者から指定はありませんが、生地が薄手の手触り(手触りだけ、本当は薄手ではない)ながらとてもしっかりしているので、単衣に使うとピッタリな気がします。

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いちばん上の写真は、前姿(マエミ+オクミ)です。色紙取りは9個です。いちばん下の過去の作品は7個ですから、少し華やかになっています。

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写真2番目は後姿です。よく見ると、斜線2つの配置に見えます。

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写真3番目は袖です。

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写真4番目は、もう片方の袖です。

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写真5番目は胸です。水色ということは、顔の近くにきれいな色を持ってきているということです。

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写真6番目は、過去の作品です。じつは同じ図案で過去に制作されていました。その時の作品は、ほぼ白揚げで、糊糸目による線描きの美しさを見せることを主目的にした作品でした。今回も線描きを見せる作品ですが、同時に茶色と水色と黄緑色の配色の美しさも見どころになっています。

多色になったのは、本人の心境の変化だけでなく世間の趣味の変化かもしれません。少し昔は地色はグレーにしておけば安全だったのですが、最近は綺麗な色が好まれるようになり、グレーに偏ることがリスクになりました。
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[ 2016/11/30 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

龍村の名古屋帯「双鳥繍華文」の帯合わせ


第三千五百七十九回目は、龍村の名古屋帯「双鳥繍華文」の帯合わせです。

今日は紬を合わせてみます。

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ちばん上の写真は、山口良子さんの首里織に合わせてみました。福木で染められた糸で織った着尺です。草木染と言えば滋味な色のイメージで、それを草木染らしい色なんて言っちゃたりしますが、成功した草木染というのはこんな輝くような色になるものと言う例です。

組織としては、地の糸が変化して紋織を形成する花織と、地に別の色糸を差し入れて紋織を形成する浮織を併用しています。どちらも首里織として伝来する組織ですね。花織部分は当然黄色ですが、浮織部分は藤色です。

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写真2番目は、仲井間香代子さんのロートン織を合わせてみました。ロートン織は両緞織と表記しますが、裏表両面とも経糸が浮いて紋織を形成し全く同じに見える不思議な織物です。種明かしをすれば、経糸を2つに分けてその間を緯糸が通っているんですね。

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写真3番目は、与那国花織を合わせてみました。首里織と同じく、地の糸が変化して紋織を形成する花織が特徴です。花織は、紋織部分の色と地色とはグラデーション関係になりますが、与那国花織は、特にグラデーション効果を生みやすいデザインになっています。

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写真4番目は、小岩井工房の上田紬を合わせてみました。草木染で手織りの紬で、そう書くと素朴なイメージですが、実際は写真で見るとおり洗練されたイメージです。民芸調の織物の帯より、洛風林みたいな都会的な帯が合いそうですが、龍村のエキゾチックものも合いそうですよね。

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写真5番目は、かつての重要無形文化財の証紙がある結城紬を合わせてみました。基本の藍染で蚊絣の着尺です。結城紬はかつては重要無形文化財で、文化庁の証紙があったわけですが、今はグレーの組合の証紙だけです。無形文化財の要件によれば、絣は手括りの防染によらなければいけなかったわけですが、そのばあい、濃い地に薄い色の絣ならいいのですが、薄い地色に濃い色の絣はできないはずです。

しかし、ユーザーからすれば淡い地色の結城紬も欲しいです。産地はお客さまを大事にし過ぎたというところでしょうか。今回のように藍染で、細かい亀甲でない絣の結城だけ負っていれば問題なかったと思います。

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写真6番目は、織悦の着尺を合わせてみました。西陣織と言えば、現在は袋帯がメインですが、元々は着尺を織っていました。これは織悦という帯の人気ブランドが織った着尺というところが魅力です。組織は経錦です。
[ 2016/11/29 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

龍村の名古屋帯「双鳥繍華文」の帯合わせ

第三千五百七十八回目は、龍村の名古屋帯「双鳥繍華文」の帯合わせです。

今日は染めの着尺(小紋)に合わせてみます。

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いちばん上の写真は、野口の着尺に合わせてみました。蝋染めの手描きの格子で、これはたいていの帯に合いますから、とりあえず失敗のない帯合わせです。

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写真2番目は、野口の着尺に合わせてみました。蔓に鳥がいるという更紗風の曲線模様の帯ですから、更紗の着物に合わせるのは、柄を重ねることになってタブーだと思います。ここでは縞更紗を合わせてみました。更紗でも曲線ではないんです。

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写真3番目は、千切屋治兵衛の着尺に合わせてみました。実際に制作したのは大和さんです。ここではタブーである曲線模様どうしを重ねてみました。更紗模様が飛び柄になった着尺で、帯の周囲はかなりの面積が余白になります。これで少しは緩和されたでしょうか。

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写真4番目は、野口の着尺に合わせてみました。大きい模様でしかも余白の無い総柄の着尺です。しかも葡萄という蔓植物。言葉で書くと絶対ダメという気がしますが、写真を見ると、そこそこ許せるかという気もします。

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写真5番目は、千切屋治兵衛の着尺に合わせてみました。実際に制作したのは大和さんです。「横棒霞」です。

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写真6番目は、千切屋治兵衛の着尺に合わせてみました。実際に制作したのは大和さんです。「花菱入霞」です。この2反を比較すると、私は「横棒霞」の方が存在意義がはっきりして打て好きですが、帯合わせをして見ると「花菱入霞」の方が使い勝手が良いですね。
[ 2016/11/28 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

龍村の名古屋帯「双鳥繍華文」の帯合わせ

第三千五百七十七回目は、龍村の名古屋帯「双鳥繍華文」の帯合わせです。

私は龍村の名古屋帯は、セミフォーマルからカジュアルまで(付下げ~小紋~紬)、幅広く合わせることにしています。今日は付下げです。

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いちばん上の写真は、大羊居の付下げ「菱取り花文」を合わせてみました。高島屋か松坂屋で展示会をするときは、かならず「大羊居龍村展」と合同でしますから、それに倣って大羊居を合わせてみました。帯は鳥と曲線ですから、それを避けて直線と花にしてみました。

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写真2番目は、花也の付下げ「槇」を合わせてみました。俵屋宗達の「槇檜図屏風」に取材した着物は数多いですが、これもその1枚で、白揚げの友禅で薪を縦長に描いています。槇というのは針葉樹で直線的ですから、帯の曲線模様との取り合わせは良いと思います。

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写真3番目は、千切屋治兵衛の付下げ「吹寄せ」を合わせてみました。実際に制作したのは倉部さんです。着物は小付けの刺繍であっさり上品ですから、「多色+曲線+動物」という濃厚なテーマの帯と合わせてみました。

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写真4番目は、一の橋の付下げ「正倉院螺鈿華文」を合わせてみました。実際に制作したのは倉部さんです。倉部さんの箔の技術で正倉院の螺鈿細工に迫ってみました。本歌は漆と貝と瑪瑙ですが、金箔と顔料で写しています。

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写真2番目は、花也の付下げ「雪輪取りサンテチエンヌリボン」を合わせてみました。雪輪は友禅で、雪輪内部が刺繍と箔です。サンテチエンヌはフランス内陸部の県でリボンの産地として知られています。そのリボンの伝統的なデザインに取材した刺繍です。「サンテチエンヌ  リボン」で検索してみると、犬のリードを売っているサイトが出ますね。

次に推奨しない例で、模様を重ねるとどうなるか試してみました。

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上は鳥を重ねる例で、まあどうかなというところ。

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下は曲線を重ねる例で、これはダメですね。
[ 2016/11/27 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

龍村の名古屋帯「双鳥繍華文」の細部

第三千五百七十六回目は、龍村の名古屋帯「双鳥繍華文」の細部です。

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いちばん上の写真は裏側です。模様部分の周辺に渡り糸が有ったり無かったりしています。織物で表現しやすいデザインであれば、裏は全面的に渡り糸が渡るような状態になるのでしょうが、この作品は元のデザインが刺繍であるため、絵緯糸がつながらず、糸の配置が効率が悪そうな状態になっています。

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写真2番目は、この作品の見どころの部分の近接です。デザイン的には鳥の部分に目が行きますが、織りの組織としてはこの部分がいちばん力が入っているのではないでしょうか。こんな多色は自然素材ではありえないので、もちろんポリエステルフィルムです。一つ間違えば下品になってしまいそうな配色です。

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写真3番目は、裏側を見てみました。1本のポリエステルフィルムの色が途中で変わっているのか。

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写真4番目は、さらに近接してみました。1本のポリエステルフィルムが何色にも染分けられているのです。こんなものが普通に売られているとは思えないので、特注でしょうか。世間では、絹や金はホンモノで高いもの、ポリエステルはニセモノで安いものというイメージですが、ポリエステルでもわざわざ特注すれば、金や絹より高いのではないでしょうか。

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写真5番目は拡大です。色を並べる順番も、下手にすれば色が濁るので気を使っているでしょう。

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写真6番目は、品質表示です。指定外繊維(紙)の2%が本金糸、ポリエステル(金属糸風)5%が上の多色のフィルムです。レーヨン3%がそれらの芯糸ですが、上の多色のフィルムは平糸ですから芯糸はないわけです。
[ 2016/11/26 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

龍村の名古屋帯「双鳥繍華文」

第三千五百七十五回目の作品として、龍村の名古屋帯「双鳥繍華文」を紹介します。

以前、黒地を紹介したことがあります。今年は白地が発売されました。

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いちばん上の写真は、お太鼓です。帯の幅を写真の幅として撮ってみました。お太鼓の模様は結構長いので、締めたときは上端と下端の模様は見えなくなります。

今回の作品は、タイトルの中に「繍」の文字があるので、本歌は刺繍作品なのでしょう。とすればこの作品は、もともと刺繍である作品を織りで再現していることになります。

織で表現することを前提にデザインされた作品は、模様にパターンがあって一定の法則で繰り返したり、ガチっとした構成を持つことが多いですが、刺繍は繰り返しなどの制約が無く、もっと自由なデザインが多いものです。織あるいは刺繍という技法の違いは、デザインの違いとしても現れるんですね。

そういう目でこの作品を見ると、デザインは繰り返すこともなく、ガチっとした構成を持つこともありません。織りにふさわしくないデザインを織りで表現しているというとになります。

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写真2番目は、腹文の全体です。全体をよく見ていると、じつは2つの同じ模様が反転して並んでいることに気が付きます。流麗な曲線模様なので、自由なデザインに見えてだまされてしまいますが、本当は繰り返しのデザインでもあって、織りで表現しやすい特徴があるのです。

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写真3番目は、腹文を折って、着たときに実際に見えるところです。折ると、2つの同じ模様の1つが現れるのではなく、2つの模様の半分ずつが現れます。名古屋帯にするために折って仕立ててしまうと、もう反転した同じ模様が2つあると気づくことはないでしょう。

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写真4番目は、お太鼓の鳥の近接です。

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写真5番目は、お太鼓のもう1羽の鳥の近接です。鳥の模様も反転しているようですが、尾の部分がちょっと違いますね。
[ 2016/11/25 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛の付下げ「吹寄せ」(実際の制作は倉部さん)の帯合わせ

第三千五百七十四回目は、千切屋治兵衛の付下げ「吹寄せ」(実際の制作は倉部さん)の帯合わせです。

今日は友禅の名古屋帯を合わせてみます。着物は地紋に刺繍だけで、色も単彩ですし絵画性も高くないので、絵画性の高い友禅の帯を補完的に使ってみます。

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いちばん上の写真は、千切屋治兵衛の名古屋帯「楓」を合わせてみました。実際に制作したのは野村さんです。糊糸目の手描きの友禅と型疋田を併用したもので、地色が黒いこともあり、時代劇に出てくるお姉さん(じつは隠密)みたいな粋な印象ですね。

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写真2番目は、一の橋の名古屋帯「薬玉」を合わせてみました。重厚な友禅ですが、ほぼ中井淳夫さんの下職を使って作られた作品です。

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写真3番目は、花也の名古屋帯「色紙取りに霞、楓に流水模様」を合わせてみました。霞取りの中に加山又造を思わせる波があり、その中に色紙があり、さらにそれが取り方になって、中に琳派の流水と槇と楓と蛇籠という川辺の模様があるという、マトリョーシカのような構造になった意匠です。

重厚な友禅ですが、これも中井淳夫さんの下職が使われています。中井淳夫さんの遺産は大きいですね。

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写真4番目は、秀雅の名古屋帯「楓取り海浜模様」を合わせてみました。実際に制作したのは大松です。今回の帯合わせは黄色と黒の組み合わせばかりになってしまいましたが、ここでは水色を試してみました。大松らしい洗練された多色の作品です。1枚の葉の中に世界が納まったような錯覚に陥る意匠です。大きいものの中に小さいものがあったらただの写生ですから、小さいものの中に大きいものがあってこそ意匠ですよね。

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写真5番目は、加賀友禅作家、中町博志の名古屋帯「重陽」を合わせてみました。今回、いちばん気に入っている帯合わせです。中町さんの友禅というのは、職人らしい真面目さを軽く突き抜けて、やはり作品だと思います。これに比べると普通の友禅模様の乱菊は、いくら生懸命描いてあっても地面を這いまわっているだけのような気がします。
[ 2016/11/24 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛の付下げ「吹寄せ」(実際の制作は倉部さん)の帯合わせ

第三千五百七十三回目は、千切屋治兵衛の付下げ「吹寄せ」(実際の制作は倉部さん)の帯合わせです。

今日は西陣の袋帯を合わせてみます。今回は明るい山吹色地の着物で華やかには見えますが、模様の大きさは小付けですし、刺繍は金糸と白糸だけで単彩主義の着物でもあるんですね。このような着物は、華やかでも上品で、年齢幅も意外と広かったりします。帯合わせとしては、色を加えてさらに華やかにしてしまうか、金地にして単彩主義を通すかですね。

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いちばん上の写真は、龍村の袋帯「王朝華映錦」を合わせてみました。龍村の鎧シリーズでは、平蔵ブランドの「威毛錦」が有名ですが、これは「たつむら」ブランドの手織りバージョンで、六通なので振袖にも使えます。

今回の着物は地色は華やかだが、模様と色が不足している、と考えて、帯で模様と色を足してみました。着物を帯の背景に使っているようでもあり、華やかなパーティー向きですね。

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写真2番目は、織悦の袋帯「柴垣秋草文尽」を合わせてみました。琳派の秋草文に登場する秋草のモチーフを小細工なく並べただけのような意匠です。色についても小細工を感じないですが、それぞれの色に透明感があって綺麗で、それが織悦のデザインと色の特徴なのだろうと思います。

これも単彩主義の着物に色を補う帯合わせです。上の例はど押しつけがましくないです。

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写真3番目は、織悦の袋帯「流水紅葉」を合わせてみました。龍田川と言われる意匠で、これも流水と紅葉という材料を素直に並べています。上と同じく色を足す帯合わせですが、地色を黒にして、黄色と黒の色合わせにしてみました。

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写真4番目は、帯屋捨松の袋帯を合わせてみました。籠目をベースに雲形を置き、さらに菊模様を置いたものです。この写真では見えませんが、牡丹と菊が交互に並んでいて春秋になっています。お太鼓が菊なら腹文は牡丹が出ると思います。

地色が金色で、地色の山吹色とは同系色です。金と黄色は光るか光らないかの違いですから。金地の帯には多少の色はありますが、着物の単彩主義をなるべく邪魔しない帯合わせです。

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写真5番目は、龍村の袋帯「錦秀遺芳文」を合わせてみました。これも着物の地色と同系色にも見える金地の帯です。帯の模様は多色でも色調に統一感もあり、この辺がいちばん華やかも上品さもあって、順当な帯合わせではないでしょうか。
[ 2016/11/23 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛の付下げ「吹寄せ」(実際の制作は倉部さん)の細部

第三千五百七十二回目は、千切屋治兵衛の付下げ「吹寄せ」(実際の制作は倉部さん)の細部です。

地紋は、古典模様の吹寄せで小細工はありませんし、刺繍はその吹寄せの一部を模様の形どおりに繍っただけですから、意匠的には特に論じるほどのことはありません。ということならば、見どころは倉部さんの刺繍の技ですね。今日は細部を紹介します。

申し訳ないですが、今日も地色はちゃんと撮れていません。実際は綺麗な山吹色です。

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いちばん上の写真は、マエミの上の方の模様の近接です。刺繍が4つ集中しています。縫い目を越えたオクミ部分にもう1つ梅がありますから、近辺で5つですね。色は金糸と白糸のみです。松葉はまつい繍、楓と梅は緯糸に沿って生地に密着させて面を埋める刺繍、銀杏は輪郭と葉脈のみの表現でまつい繍しています。どのモチーフについても、面を埋める表現と輪郭のみの表現が両方使われ、メリハリが効いています。

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写真2番目は、マエミの下の方の模様の近接です。刺繍が3つです。上の写真とは反対で、梅が輪郭のみの表現、銀杏は面を埋める表現になっています。

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写真3番目は、後姿の近接です。刺繍が3つです。葉が輪郭のみの表現、銀杏は面を埋める表現になっています。

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写真4番目は、後姿の近接で、背中心の反対側です。刺繍が2つです。梅が輪郭のみの表現、葉は面を埋める表現になっています。

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写真5番目は、マエミを斜めから撮ってみました。地紋の立体感と刺繍の立体感がわかりやすい角度から撮ってみました。
[ 2016/11/22 ] 繍箔 | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛の付下げ「吹寄せ」(実際の制作は倉部さん)

第三千五百七十一回目の作品として、千切屋治兵衛の付下げ「吹寄せ」を紹介します。実際に制作したのは倉部さんです。

吹寄せの地紋の生地を使い、付下げの模様配置になるように、地紋の一部を刺繍で起こしたものです。制作したのが倉部さんなので、刺繍はとてもきれいです。地色は黄色ですが、デジカメで撮ると色が写らないですし、補正もまた難しく、色がまちまちになってしまっています。

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いちばん上の写真は、前姿(マエミ+オクミ)です。

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写真2番目は後姿です。

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写真3番目は袖です。

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写真4番目は胸です。

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写真5番目は、地紋だけの部分です。
[ 2016/11/21 ] 繍箔 | TB(0) | CM(0)

龍村の名古屋帯「瑞典星菱文」の帯合わせ

第三千五百七十回目は、龍村の名古屋帯「瑞典星菱文」の帯合わせです。

今日は付下げに合わせてみました。金糸を使っていない帯は紬用で、金糸を使っている帯はフォーマル用だ、と思っている方は、今夏の帯を付下げに合わせることはしないと思います。しかし、合わせてみてなんとなく違和感が無ければ、それは良い帯合わせなのではないでしょうか。

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いちばん上の写真は、大羊居の付下げ「菱取り花文」を合わせてみました。帯が「星菱」なので、着物も菱取りにして、星の中は花にして星に対抗させてみました。

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写真2番目は、大羊居の付下げ「花唐草」を合わせてみました。上の例では、着物の模様の輪郭は菱で同じ、模様は星と花で対抗させてみたのですが、この例では曲線模様である唐草を持ってきて、形も中味も対抗させてみました。

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写真3番目は、一の橋の付下げ「正倉院螺鈿花文」を合わせてみました。実際に制作したのは倉部さんです。正倉院御物の螺鈿の箱の装飾に取材したものです。正倉院の模様は、日本最古の古典でありつつ、シルクロードを通って渡って来たものもあることから、エキゾチックな模様でもあります。

今回、帯はスウェーデンの模様に取材していて、もっとも遠いエキゾチックですが、それに合わせる着物はやはりエキゾチックにすべきか、和風でいいか迷うところです。正倉院模様は、日本の古典でもありエキゾチックでもあり、曖昧な使い方ができますね。

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写真4番目は、花也の付下げ「湊取りシダ文」を合わせてみました。和風を合わせてみました。湊取りというのは、三角定規のような鋭角の三角形で、菱ですから、和洋で対抗した分、形で共通性を探ってみました。

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写真5番目は、花也の付下げ「菱取り菊柳文」を合わせてみました。これも和風を合わせたので、和洋で対抗した分、形で共通性を探ってみました。

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写真6番目は、千切屋治兵衛の付下げ「色紙取り更紗模様」を合わせてみました。実際に制作したのは倉部さんです。倉部さんの金糸の刺繍のみの付下げです。模様は少なめですが、高価な刺繍の存在感があります。
[ 2016/11/20 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

龍村の名古屋帯「瑞典星菱文」の帯合わせ

第三千五百六十九回目は、龍村の名古屋帯「瑞典星菱文」の帯合わせです。

今日は染めの着尺(小紋)に合わせてみました。

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いちばん上の写真は、千切屋治兵衛の着尺「花菱入横霞」を合わせてみました。実際に制作したのは大和さんです。帯の「星菱」に対し、着物は「花菱」にしてみました。

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写真2番目は、千切屋治兵衛の着尺「雪の結晶」を合わせてみました。実際に制作したのは大和さんです。星に形が似ているものとして雪の結晶を選んでみました。実際に着ているところを他人が見ると、「星」をテーマに全身まとめたのかなあ、と思い近づいてみると「雪」でした、だまされた、って感じになると思います。スウェーデンの星は8菱、雪の結晶は6菱なんですねえ。

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写真3番目は、千切屋治兵衛の着尺「鱗」を合わせてみました。実際に制作したのは大和さんです。「菱」をテーマに合わせてみました。三角形はそれ自体「菱」ですよねえ。

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写真4番目は、野口の着尺を合わせてみました。インドネシアなどの更紗模様のうち、動物文を集めて飛び柄にしたものです。濃淡のある水彩画のようなタッチです。帯の織による強い表現とは反対です。

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写真5番目は、、野口の着尺を合わせてみました。多色の細かい更紗です。個性が強く帯合わせしにくい着物の1つだと思いますが、さらに個性の強い帯を合わせることで、黙りそうですね。

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写真6番目は、野口の着尺を合わせてみました。手描きの蝋染による格子模様です。帯合わせしやすい着尺ですから、最後に口直しのつもりで選んでみました。
[ 2016/11/19 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

龍村の名古屋帯「瑞典星菱文」の帯合わせ

第三千五百六十八回目は、龍村の名古屋帯「瑞典星菱文」の帯合わせです。

今日は紬に合わせてみました。金糸を使わないタイプなので、基本は紬だと思います。明日以降、染の着尺や付下げにも合わせてみます。

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いちばん上の写真は、黄八丈に合わせてみました。黄色と鳶色の細かい格子で、実際に着やすいのではないでしょうか。

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写真2番目は、大城カメの琉球絣を合わせてみました。大城カメの晩年の作品で、手縞ですが、絣部分は極めて凝った精緻な絣です。

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写真3番目は、小岩井工房の上田紬を合わせてみました。小岩井工房は、通常の呉服業界の流通経路ではなく、工房で直接販売しています。信州旅行を兼ねて購入する方が多いようです。都会的なセンスの紬で、池内淳子さんとか女優さんのユーザーが多かったことでも知られています。この作品もすごく洗練されています。

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写真4番目は、林宗平の塩沢紬(当時は「古代紬」というブランドでした)を合わせてみました。有栖川錦の鹿文をデザインしたものですが、鹿の形は偶然ながらスウェーデンのニットのセーターにありそうですよね。そんな理由で選んでみました。

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写真5番目は、読谷花織を合わせてみました。読谷花織は、技法の分類では花織ではなく浮織ですが、その浮織のデザインが、なんとなくスウェーデンの星のデザインの似ているので選んでみました。

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写真6番目は、織悦の着尺を合わせてみました。西陣織は現在は袋帯が主流ですが、もともとは着尺も織られていました。これは、いつも袋帯を織っている西陣織の人気ブランドが着尺を織ったものです。タイトルは「カント絣」というもので、中国南部の広東(カントン)の意味でしょう。絣はインドの発明といわれますが、中国南部も日本への伝播ルートです。

この作品は、タイトルは「絣」ですが、実際の技法は絣ではなく経錦です。模様がスウェーデンの星と同じ2つずつ4つで計8つの菱を持つ星のように見えるので、選んでみました。
[ 2016/11/18 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

龍村の名古屋帯「瑞典星菱文」

第三千五百六十七回目の作品として、龍村の名古屋帯「瑞典星菱文」を紹介します。

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いちばん上の写真はお太鼓です。じつは腹文も全く同じ模様です。実際に締めると、模様は腹文では横倒しになりますし、半分だけが見えるわけですから、じつは模様が全く同じとは気が付かないでしょう。お太鼓と腹文が同じ模様で済めば、紋紙(あるいはプログラム)が1つで済みますよね。

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写真2番目は近接です。模様の右部分ですが、実際に締めると腹文はこんな風に見えるはずです。腹文の模様として収まりが良く、紋紙を兼用しているようには見えません。

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写真3番目も近接です。星の模様は菱が8個あります。これはスウェーデンの伝統的な星の文様なんでしょうか。「スウェーデン 星 模様」で検索してみると、スウェーデンの刺繍(ナーベルソム刺繍)やスウェーデンのニットといわれるものに、2つずつセットの4つの計8つの菱のある星模様がありました。

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写真4番目も近接です。

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写真5番目はタイトル部分です。スウェーデンの星の文様ということでしょう。

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写真6番目は、裏側です。模様の裏だけ渡り糸がぎっしりです。

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写真7番目は品質表示です。絹100%ということで、ポリエステル、レーヨンあるいは指定外繊維(紙)という表示がないので、金糸が使ってないということがわかります。紬にも合わせやすいということですね。品質表示は、品質が良いとか悪いとか言うことだけではなく、帯の性質もわかるということです。

たとえば、ポリエステル、レーヨンあるいは指定外繊維(紙)の割合が極めて多い場合、金糸の割合が高いわけですから、帯は金ぴかだろうと想像されます。すると実物を見なくても、黒留袖用のドフォーマルな帯だろうわかるわけです。
[ 2016/11/17 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

大城永光の琉球絣の夏物の帯合わせ

第三千五百六十六回目は、大城永光の琉球絣の夏物の帯合わせです。

今日は龍村の名古屋帯を合わせてみます。これまで各地の紬・絣の帯や、友禅の帯を合わせてきましたが、今日の龍村の名古屋がいちばんフォーマルということになりますね。絣の着物は本来カジュアルなものですが、フォーマル傾向の帯を合わせることで、全体として格上げの方向に向かうことになります。

みんなが小紋や軽い付下げを着てくる場所に紬で行きたい時、今日のような帯を合わせれば、多少は格が揃う感じがします。

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いちばん上の写真は、龍村の夏の名古屋帯「清山文」を合わせてみました。古典模様である「遠山霞」からスタートした意匠ですが、綺麗な多色のパステルカラーで表現されています。多色でも爽やかな雰囲気なのは、色に透明感があるからと思います。今回は着物の色も綺麗な青なので、全体を綺麗な多色にしてみました。

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写真2番目は、龍村の夏の名古屋帯「風矢羽」を合わせてみました。上の例では、綺麗な多色を狙ってみましたが、今度は反対に、帯と着物を同系色濃淡の関係にしてみました。

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写真3番目は、龍村の夏の名古屋帯「ちどり」を合わせてみました。これも同系色濃淡にしてみました。帯の意匠はシンプル、色も単彩主義で、こういう帯は合わせやすいですね。

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写真4番目は、龍村の夏の名古屋帯「涼流文」を合わせてみました。睡蓮の池に鯉が泳ぐという絵画的なテーマです。上の「ちどり」とは反対に、幾何絣に絵画的要素を足す帯合わせです。

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写真5番目は、龍村の夏の名古屋帯「夏蒐文」を合わせてみました。今回の絣は青が美しくて綺麗ですが、その一方、縞が太くて強いのが着にくいかなあと気になります。帯に丸い模様を持ってきて、縞と対照にしてみました。

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写真6番目は、龍村の絽綴の名古屋帯「花流水」を合わせてみました。絽綴というのは、本来高級品で、お洒落の極みのようなものです。しかし20年ぐらい前、中国で量産されて1万円ぐらいで売られるような事態が起こり、価値観が狂ってしまいました。以来、絽綴を見ると、これは高級な日本製か、量産された中国製か、なんて考えながら仕入れなければなりません。

ヤフオクで中古を買う人など、さらに切実ですよね。中古が5千円で売っていても、それが新品時代に日本製として30万円で売られたものか、中国製として1万円で売られたものか、見抜かないといけません。その点、龍村の落款の付いた絽綴は良いですよね。日本製として疑いようがないですから。ブランドはありがたいものです。
[ 2016/11/16 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

大城永光の琉球絣の夏物の帯合わせ

第三千五百六十五回目は、大城永光の琉球絣の夏物の帯合わせです。

今日は染めの帯を合わせてみます。沖縄の絣は絵絣ではなく幾何絣ですから、そこに不足している絵画性をプラスしてみる、という発想です。

沖縄の絣は、鳥の形など見ると絵絣のようにも思いますが、それは「トィグアー」と言われる伝統的な模様単位ですから、幾何学模様ということになります。法が美を守る」という柳宗悦の言葉がありますが、もともと沖縄の絣は手結で作るわけですから、その技法上の制約により絵絣は生まれにくいということだと思います。絵絣というのは絵の面白さも狙うので、普遍的な美しさを持ったものでないものもありますから。

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いちばん上の写真は、野口の夏の名古屋帯を合わせてみました。紗の生地ですが、わりと隙間の少ない生地を使っています。隙間の多い生地は、染めたと思ってもその隙間の部分は筆が空振りし染まっていないわけですから、深い発色が得られない場合があります。この作品は、ベージュの地色も模様の青も綺麗に発色して見えますが、きちんと生地が染料を受け止めているからです。

テーマは更紗ですが桜の花も見えて和風の趣もあります。桜の更紗は、以前、岡重のバッグによくつかわれた意匠でもあり、それが今になって野口の夏帯として現れたところを見ると、京友禅の本当の作者というのは分らないなあと思います。

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写真2番目は、野口の夏の名古屋帯を合わせてみました。非常に隙間の多い立絽の生地を使っています。このような生地は夏物として涼しげでいいですが、染料を受け止めてくれる生地(美術では支持体といいますね)が少ないため、綺麗な色が出にくいです。

そのため、この作品の朝顔は、かなりきつい色で描かれています。目を近づけてみると、相当ケバイのですが、離れて見るとちょうど良い色に見えます。ちゃんと計算しているんですね。

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写真3番目は、花也の夏の名古屋帯を合わせてみました。沖縄の花織や花絽織を思わせる生地を使っていますが、これは花也が特注したオリジナルの夏用の帯地です。一定のロットに達すると生地屋さんが特注に応じてくれるようです。

意匠は三角の取り方で、初夏~初秋二かけての草花が繊細な糊糸目で描かれています。また疋田もつかわれています。花也の疋田には、描き疋田と型疋田の両方があって、花也本人によれば、描き疋田の方が温かみがあって美しいということですが、私はどちらも同じように見えてしまいます。型疋田も温かみがありますし、描き疋田の精緻ですしね。

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写真4番目は、野口の夏の名古屋帯を合わせてみました。絽塩瀬の生地を使い、刺繍も多用したフォーマル要素の強い帯です。テーマも塩釜で、格調高い古典です。炬燵のように見えるのは、海岸に作られる古代の製塩設備です。藤原定家の「来ぬ人をまつほの浦の夕なぎに 焼くや藻塩の身も焦がれつつ」のように、何度も和歌に登場した歌枕ですね。

じつは江戸時代の小袖の意匠をほぼそのまま写したものです。江戸時代の後期は小袖のデザインとして文芸趣味が流行りました。この作品の元になった小袖も、元の意味が分かるかどうかで教養を測ったのではないでしょうか。「炬燵ですか」なんていったら×で、関連する歌を2つか3つ言えたら○だったのでしょう。

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写真5番目は、加賀友禅作家、高平良隆さんの夏の名古屋帯を合わせてみました。高平さんは数多い加賀友禅作家のうち7人ぐらいが成れる加賀友禅保存会の正会員で石川県の無形文化財保持者ですから、加賀友禅界のトップということになります。その人が描いた加賀友禅でない作品です。

友禅作家というのは、子供のときから友禅作家になりたいという人は稀で、たいていは画家になりたくて美大を出て、純粋な芸術家では生活が不安定なので、少し妥協して友禅作家になるものではないでしょうか。たぶんこれは画家としても高平さんの作品なのだと思います。中途半端な絵は価値がないですが、加賀友禅界のトップを極めた人の絵ならいいんじゃないか、なんて思っちゃいますけどね。

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写真6番目は、千切屋治兵衛の友禅の夏の名古屋帯を合わせてみました。一応千切屋治兵衛の商品ですが、作者はわかりません。民芸調の筒描き作品です。デザインからすると型染にも見えますが、色違いの作品と微妙に形が違うので、型紙を使ってないようです。生地はパイナップルの繊維で作った記事を使っています。
[ 2016/11/15 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

大城永光の琉球絣の夏物の帯合わせ

第三千五百六十五回目は、大城永光の琉球絣の夏物の帯合わせです。

いろんな帯合わせのパターンが考えられますが、今日はいちばん普通に伝統工芸的な織りの帯を合わせてみます。

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いちばん上の写真は、小河正義さんの越後上布の八寸の名古屋帯を合わせてみました。重要無形文化財の証紙のある苧麻の越後上布です。かがるだけで着られる八寸の帯なので、糸は太いです。

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写真2番目は、新垣幸子さんの八重山上布の九寸の名古屋帯を合わせてみました。八重山上布の人気作家ですよね。黄色と緑と藍染のモダン芸術みたいな意匠です。緑は福木と藍の重ね染めですから、藍と福木の2種類の染料で出来ていることになりますね。

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写真3番目は、新垣幸子さんの八重山上布の九寸の名古屋帯を合わせてみました。雑誌で見たこともあるので、新垣さんの帯の中でいちばん人気のあるパターンだと思います。全体は経糸が藍の縞で、濃い青の部分は、経緯とも藍の絣、緑の部分は経が藍、緯が福木の絣です。織物の意匠は、複雑に見えても数学的な図形のパターンで考えるとすんなり理解できるものです。

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写真4番目は、首里織の作家伊藤峯子さんの花倉織の九寸の名古屋帯を合わせてみました。花倉織は、王家時代は首里城内で織られ、純粋な宮廷衣装だったということなので、理論的には本土の正倉院や有職文様のようなフォーマル衣裳ということになりますよね。

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写真5番目は、喜如嘉の芭蕉布の九寸の名古屋帯を合わせてみました。値段だけが問題の人気の芭蕉布です。

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写真6番目は、丹波布の八寸の名古屋帯を合わせてみました。これは夏物ではないですが、単衣時期に着ることを想定してみました。木綿の織物ですが、限定的に絹糸も使ってあります。
[ 2016/11/14 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

大城永光の琉球絣の夏物の細部

第三千五百六十四回目は、大城永光の琉球絣の夏物の細部です。

今日は縞と絣を顕微鏡で見てみます。

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いちばん上の写真は、七色の縞と絣(模様単位)の部分の近接です。沖縄の海のような美しい青と白い絣が美しいですが、縞の部分はパステルカラーの意外なほどの多色です。

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写真2番目は、七色の縞の部分の拡大です。拡大してみると、経糸は肉眼で見る以上にきれいなパステルカラーでした。緯糸はすべて同じ青ですから、パステルカラーと青が混じって地色に中和した多色に見えています。

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写真3番目は、地味な縞と絣の部分の近接です。縞の部分は、地味な黄色で地色と同じ青で格子になっているように見えますねえ。いったいどうなっているのでしょうか。

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写真4番目は、地味な縞の部分の拡大です。経糸はパステルカラーと地色の青が1本おきに交互にならんでいます。緯糸はすべて同じ青ですが、1本おきにパステルカラーの経糸が被って見えなくなりますから、経緯ともに1本おきの幅の青の格子が現れるのです。

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写真5番目は、絣の部分の拡大です。経絣と緯絣があって、両者が交わって経緯絣の部分ができます。写真では、真っ白な部分ですね。青と白の鮮やかな色の対比も美しいですが、白は完全な四角ではなく青が浸食して形を崩しています。絣のズレを演出したもので、このようなズレの演出が無ければ、手織り・手括りではなく、安っぽい機械織りに見えてしまうわけです。
[ 2016/11/13 ] 各地の絣・紬 | TB(0) | CM(0)

大城永光の琉球絣の夏物

第三千五百六十三回目の作品として、大城永光の琉球絣の夏物を紹介します。

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いちばん上の写真は、反物の端、ラベルのある部分です。ラベルに「琉球かすり」とありますが、沖縄県に産する平織の絣織物を「琉球絣」ということになっています。その90%ぐらいは南風原だと思います。

反物の端に「本場(永)琉球」とありますが、(永)が大城永光さんの工房の印しです。有名なものとしては、(中)は大城織物工場、(コ)は大城広四郎工房です。個人で織っていて自分の印しを持っていない場合は(本)です。

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写真2番目は、反物の幅を写真の幅として撮ってみました。琉球絣の夏物と言えば、壁上布の方が知られています。大城永光さんも壁上布を織っていますし。壁上布は手触りがざらざらですが、これはさらさらです。私は、青の色がすごく綺麗、という理由だけで仕入れました。

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写真3番目は近接です。絣は、沖縄に伝統的に伝わり、300種あるとも500種あるとも言われる模様単位です。模様単位の起源は、豚の餌箱のような卑近なものも星のような美しいものもあり、絣で表現できるぐらいのシンプルなパターンとして何百年も受け継がれています。この作品は、縞と模様単位である絣の組み合わせですから、「綾の中」といわれる沖縄伝統の意匠です。

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写真4番目は、もっと近接です。縞部分は、七色の派手な縞と青の格子が見えるやや地味な縞が交互になっているようです。

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写真5番目は、今回の作品の七色の縞部分の拡大です。強く撚りがかかった糸で、紗の組織として織られています。

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写真6番目は、大城永光の琉球壁上布の拡大です。今回の作品と比べるために掲載してみました。上の今回の作品は素直な紗ですが、壁上布は経糸が2本セットで緯糸と絡んでいます。それで生地に凹凸が生じているように見えます。それがざらざらの手触りの正体でしょう。

生地にはそれぞれ手触りがありますが、その違いは、糸の撚り方や組み合わせ方の違いとして、拡大すれば目に見えるはずなんですね。疑問に思ったらなんでも拡大して見れば理由がわかるものです。
[ 2016/11/12 ] 各地の絣・紬 | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛の着尺「線霞」の帯合わせ

第三千五百六十二回目は、千切屋治兵衛の着尺「線霞」の帯合わせです。

今日は西陣織の帯を合わせてみました。前回の「花菱入霞」に西陣の帯を合わせたときは、同じ横段模様を合わせてシンクロ的な統一感のある世界を作りました。今回も横段模様でシンクロ的な世界を作りますが、同時にそれを壊すような帯合わせもしてみます。

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いちばん上の写真は、龍村の袋帯「西域舞踊錦」を合わせてみました。豪華ですが、あまり金糸などが使われていないですし、意匠も日本の伝統的な権威に関わるものではないので、紬などカジュアルにも使いやすいです。模様はエキゾチックな西域の踊り子さん、ということで大胆でもあるのですが、その一方で、着物の横段にシンクロすることで安定感のある横段模様でもあります。

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写真2番目は、織悦の袋帯「金更紗蔓花」を合わせてみました。織悦の更紗模様です。横段模様によるシンクロをやめてみました。墨色に対して緑系というのは合いますね。

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写真3番目は、龍村の袋帯「波兎遊跳文」を合わせてみました。フォーマルのイメージの強い龍村の中で、紬にも使えるシリーズの1本です。横段によるシンクロ模様を止め、うさぎが跳ねるという動きのあるテーマにしてみました。

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写真4番目は、桝屋高尾の刺繍の袋帯を合わせてみました。西洋の騎士の紋章をテーマにしたものです。もともと楯に描かれた模様なので、ベースは楯の形をしています。日本の家紋はシンプルですが、西洋の紋章は模様を追加することで、家系がわかるような仕組みになっているので、複雑なものが多いですね。この紋章はイメージで創ったものか、実在の歴史上の人物のものかわかりません。

刺繍の技法を見ると、きわめて多様でホンモノの京繍だとわかります。中国刺繍は、精巧に繍われていても技法にバリエーションが無いのです。それは日本の刺繍と中国の刺繍を見分けるポイントの1つです。

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写真5番目は、龍村の名古屋帯「投壺矢」を合わせてみました。「投壺矢」というのは、壺の中に矢を入れるダーツのような遊びです。弓矢のような殺生につながる道具を模様にすると、お祝いの席で誤解を招きそうですし、茶事でも嫌われそうです。そこで矢は描いても鏃は描かず「投壺矢」というゲームだということにしているのだと思います。

矢の配置が、着物と同じ互い違いの横段になっていて、模様としてシンクロしています。

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写真6番目は、龍村の名古屋帯「葉麗花」を合わせてみました。「葉麗花」というのはおそらくグアバのことでしょう。織物の意匠というのは繰り返すことが多いので、横段としてシンクロしてしまうことが多く、前回の「花菱入霞」に合わせた龍村はすべてシンクロ模様でしたが、今回はあえて違うパターンを選んでみました。

逆もまた真なり、ということで、シンクロに安定した美があれば、その逆には変化のある美がありますね。
[ 2016/11/11 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛の着尺「線霞」の帯合わせ

第三千五百六十一回目は、千切屋治兵衛の着尺「線霞」の帯合わせです。

今日は染めの名古屋帯を合わせてみました。今回の着物は、地色も模様の色も無彩色で、模様は単純な直線のみで具象でもなく意味もありません。そういう着物はたいていつまらないものですが、これは個性の強いところがすごいですね。

一方、帯合わせで考えると、色は無彩色で模様は抽象なわけですから、合わせる帯でいろいろ遊べそうですね。この着物のすごいところは、個性があるのに帯合わせも楽という、相反する要素を両立させているところではないかと思います。

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いちばん上の写真は、花也の名古屋帯「輪繋ぎ」を合わせてみました。着物は直線の模様ですから、帯は対照的な丸い模様にしてみました。

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写真2番目は、千切屋治兵衛の名古屋帯「斜線と丸」を合わせてみました。実際に制作したのは中井亮さんです。赤茶色の斜線部分は、金彩で亀裂模様を入れるなど凝ったことをしています。金箔に亀裂を入れる技法はありますが、金彩の亀裂を入れる技法というのは滅多にないように思います。着物が単色で単純な幾何学模様なので、帯はさらに激しい幾何学模様にしてみました。

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写真3番目は、大羊居の名古屋帯「八つ手」を合わせてみました。具象的な草花模様を合わせてみました。豊かな色と豊かな造形をもつ大羊居を使ってみました。

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写真4番目は、花也の名古屋帯「苧環」を合わせてみました。ダンマル描きによる作画です。ダンマル描きは蝋染と同じ半防染効果がありますが、それを利用して中間色をつくり写生的なタッチにしています。結果として大人しい雰囲気になって、上の大羊居とは対照的ですが、どちらが合うか好き好きですね。

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写真5番目は、藤井絞の名古屋帯「波と千鳥」を合わせてみました。辻が花裂にある意匠で、ほぼそのまま写したものです。本来の染液に浸ける絞りです。波頭と千鳥の距離が近いですが、染液に浸ける絞りでは、そういうことも難易度に関係します。

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写真6番目は、藤井絞の名古屋帯「六葉花」を合わせてみました。絞りで具象的な模様を表現するという意味で、辻が花の系譜に属する作品です。しかし、これは絞った後に筆で着彩しており染液に浸けていません。上の本物の絞りに比べると、絵画に自由度が高くレベルの高い表現ができています。染液に浸けるということは、表現上の大きな制約になるということがわかります。

現代の辻が花作家の多くは染液に浸けていませんが、藤井絞は本来通り染液に浸けています。この作品は試しに浸けない技法で作ってみたということですが、ふだん浸けている作家が浸けないで作ると、より上手くなるということがわかりました。
[ 2016/11/10 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛の着尺「線霞」

第三千五百六十回目の作品として、千切屋治兵衛の着尺「線霞」を紹介します。

昨日まで紹介していた「花菱入霞」とおそらく同時に作られた同じ発想の作品です。「花菱入霞」は伝統的な文様であり、家紋でもある「花菱」をテーマにした水平模様でしたが、今回は線だけです。

線は人類共通の模様でもあり、自然の造形でもあって、家紋でもある花菱に比べると日本の伝統とか古典とかいう枠の中に入っていないですから、ワイルドでカジュアルな印象になります。それは着物として着たときの雰囲気の違いとして現れるし、帯合わせにも影響を与えるでしょう。

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いちばん上の写真は、模様が一巡するように撮ってみました。型の長さということですね。

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写真2番目は、反物の幅を写真の幅として撮ってみました。

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写真3番目は近接です。

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写真4番目は、別の場所の近接です。線の終わるところを見ると、だんだん細くなって終わるわけですが、1本1本に人の手で描いたような個性があります。普通、型と言えば均質な繰り返しのイメージですから、こういう演出された個性を見ると、京都の型染というのはなんでも表現できてしまうんだなあと感心してしまいます。

千切屋治兵衛の着尺「花菱入霞」の帯合わせ

第三千五百五十九回目は、千切屋治兵衛の着尺「花菱入霞」の帯合わせです。

今日は西陣織の帯を合わせてみます。なんとなく龍村ばかりになってしまいました。

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いちばん上の写真は、龍村の袋帯「印度耀花」を合わせてみました。龍村というのはフォーマルがメインのイメージですが、紬に向く帯も作っています。産地の証紙のある高価な紬や織物作家の創作的な作品には、龍村というステイタスのあるブランドも合うと思います。

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写真2番目は、龍村の袋帯「カピタン縞格子」を合わせてみました。近世に東インド会社経由で輸入された裂は、唐桟と呼ばれる木綿の縞と金糸を織り込んだモールです。唐桟も輸入品として高価なものだったでしょうが、モールは現地ではマハラジャしか着られないようなものすごく高価なものだったと思います。今は東京国立博物館東洋館で見ることができると思います(展示替えのサイクルはわかりません)。

これはモールを写したもので、金糸部分は、今西陣で使われる普通のものですが、インド製の本歌は日本のように和紙に金箔を貼って裁断して芯糸に巻き付けたものではなく、芯糸に金の板を直接巻き付けたものらしいです。とんでもない高いものだったでしょうね。

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写真3番目は、龍村の名古屋帯「花韻」を合わせてみました。花から音が出ているというテーマです。花の形から音波が出ているよな意匠で、アニメっぽい発想で面白いです。

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写真4番目は、龍村の名古屋帯「花の宝」を合わせてみました。ピンク、緑、白の色替わりの草花模様が並んでいる意匠です。今回の帯合わせは、着物が水平方向の模様であることを考慮し、帯もシンクロするように水平方向に並んでいる模様ばかり合わせています。堅くてつまらない帯合わせとも言えますが、安全確実に綺麗に見えますよね。

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写真5番目は、龍村の名古屋帯「芳彩」を合わせてみました。オレンジ、水色、紫、黄緑の色変わりの花模様ですが、色がパステルカラーに統一してあって、金糸の輝きと混じってモダンな美しさがあります。花の列の余白部分に金糸で鳥が織り出してあります。
[ 2016/11/08 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛の着尺「花菱入霞」の帯合わせ

第三千五百五十八回目は、千切屋治兵衛の着尺「花菱入霞」の帯合わせです。

今日は染めの名古屋帯を合わせてみます。

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いちばん上の写真は、花也の名古屋帯を合わせてみました。帯の生地は地紋が市松になっていますが、その地紋を生かすように友禅の線描きで市松模様が描かれ、さらに四季の植物が入れられています。線描きは、それ自体が芸術性を伴う絵画ですから、防染のための輪郭線にすぎない通常の糸目より難度が高いです。

防染のための糸目は、染料を堰き止めるダムですから、擦れたらそこから染料が滲んで絵になりません。なにより正確で擦れないことが大事です。しかし線描きは、それ自体が絵画として鑑賞されてしまうものですから、正確であればいいというものではなく、ときには擦れて美しいということもあります。「芸術性」が絡むところが、線描きの難しいところです。

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写真2番目は、花也の名古屋帯を合わせてみました。糊糸目友禅による作品ですが、糊筒から絞り出す糊を手でコントロールして羊歯の葉の形を描いたものです。これも線描きの一種で、さらに応用編ですね。

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写真3番目は、千切屋治兵衛の名古屋帯を合わせてみました。実際の制作したのは藤岡さんです。楓をテーマにしているように見えますが、全体の形としては梅の花になっていて、春秋対応になっています。

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写真4番目は、藤井絞の辻が花の帯を合わせてみました。玉紬(本来はしょうざんの商標にすぎない「生紬」という言葉の方が有名ですね。)の生地で、袷でも単衣でも使えます。絞りと共に描き絵も多用していて、前期の辻が花の様式を写しています。

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写真5番目は、大羊居の名古屋帯「更紗の苑」を合わせてみました。作品として圧倒的な存在感のある大羊居の帯です。こういうのを買う人は、何かの着物に合わせるために買うのではなく、独立した作品として惚れ込んで買うんでしょうね。

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写真6番目は、藤井絞の辻が花の帯を合わせてみました。神坂雪佳の金魚玉という作品を写したものです。絞り方をコントロールして具象的な形を表現しているわけですから、辻が花に属する作品です。

ただし、写真4番目の作品のように、絞った後に染液に浸けているのではなく、絞った状態で筆で着彩しています。じつは現代の辻が花作家は、伝統工芸展に入選している有名作家も含めてそういう簡易な技法をしているのですが、もしかしたら室町時代の作者もそうしていたかもしれないですね。

藤井絞は、ふだんは理論通りちゃんと染液に浸けていますが、このように簡易な作り方をするとさらに上手くなるということがわかりました。
[ 2016/11/07 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛の着尺「花菱入霞」

第三千五百五十七回目の作品として、千切屋治兵衛の着尺「花菱入霞」を紹介します。

型染の着尺で、実際に制作したのは大和さんです。

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いちばん上の写真は、反物の幅を写真の幅として撮ったものです。

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写真2番目は近接です。

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写真3番目は、もっと近接です。

千切屋治兵衛の名古屋帯「色紙重ね」の帯合わせ

第三千五百五十六回目は、千切屋治兵衛の名古屋帯「色紙重ね」の帯合わせです。

今日は紬を合わせてみます。

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いちばん上の写真は、山口良子さんの首里織を合わせてみました。生地の糸が変化して紋織を構成する花織と生地に別の糸を差し入れて紋織を構成する浮織を併用した作品です。色は鮮やかな黄色ですが、福木で染められているというところがすごいです。花織部分はもちろん生地と同じ黄色ですが、浮織として差し入れられた色は藤色です。

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写真2番目は、仲井間香代子さんのロートン織を合わせてみました。仲井間さんも首里織の作家です。やはり草木染のみで鮮やかな色に染められた糸で織られています。今回の帯は、雅な色と金箔を多用していて、土俗的な紬には合わないのではないか、という気もしたので、上とこの例は、とりあえず琉球王家の御用達であった首里織に合わせてみました。

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写真3番目は、郡上紬を合わせてみました。経緯とも真綿糸を使い、色は草木染、そして手織りという素朴に徹した紬ではありますが、値段は素朴ではありませんし、センスの良い配色でじつは都会的という郡上紬と合わせてみました。

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写真4番目は、大城永光の琉球絣を合わせてみました。琉球絣の中でも大城永光の作品は、展覧会に飾ってみんなを驚かすようなものではなく、実際に着易くてセンスが良いものが多いように思います。

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写真5番目は、田中キヨ子さんの久留米絣を合わせてみました。藍染は森山虎雄で、重要無形文化財の要件を満たすものであることを示す赤いラベルがついています。稀少な作品でも木綿ですからカジュアルな雰囲気ですが、雅な帯が合うか試してみました。模様の形は四角で、色紙重ねにシンクロさせてみました。

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写真6番目は、大城永光の琉球絣を合わせてみました。赤系の地色に合わせてみました。
[ 2016/11/05 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛の名古屋帯「色紙重ね」の帯合わせ

第三千五百五十五回目は、千切屋治兵衛の名古屋帯「色紙重ね」の帯合わせです。

今日は染めの着尺(小紋)を合わせてみます。

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いちばん上の写真は、野口の着尺を合わせてみました。野口らしい大胆な横段模様です。模様部分は慶長小袖にあるモチーフに取材したものです。刺繍を型染に置き換えるとともに、色も淡くしています。横段模様の境目はグラデーションになっていて、柔らかい印象です。

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写真2番目は、野口の着尺を合わせてみました。これも野口らしい大胆な横段模様です。横段模様の境目はくっきりしていて、横段という大胆な模様配置をさらに際立たせています。模様部分は模様が大きく、色も深いですね。

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写真3番目は、千切屋治兵衛の着尺を合わせてみました。細かい雪輪模様で、色は雪らしくない暖色。雪輪の形は丸いですから、四角い色紙と対比的です。

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写真4番目は、野口の着尺を合わせてみました。明るい黄緑色の更紗です。

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写真5番目は、野口の着尺を合わせてみました。手挿しで描かれた飛び柄の着尺で、テーマは気球です。

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写真6番目は、野口の着尺を合わせてみました。全身総柄でしかも大きな柄という、もっとも帯合わせしにくい着尺を合わせてみました。

[ 2016/11/04 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛の名古屋帯「色紙重ね」の帯合わせ

第三千五百五十四回目は、千切屋治兵衛の名古屋帯「色紙重ね」の帯合わせです。

今回の名古屋帯も、紬にも染の着尺(小紋)にも付下げにも合わせてみます。私は紬に着物にも関西の帯を合わせていいと思っていますし、付下げに染めの名古屋帯を合わせるのも結構流行っているからです。今日はまず付下げを合わせてみます。

今回の帯のテーマは「色紙」ですから、形は直線で単純ですから不足気味で、その一方で色は過剰な作品です。そのパートナーとしての着物は、形が過剰で色が不足しているものを選んでみたいと思います。

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いちばん上の写真は、一の橋の付下げ「正倉院鳳凰文」を合わせてみました。実際に制作したのは倉部さんです。縁蓋による金彩と金糸の刺繍による作品です。帯の色紙とは対照的で、形は具象で複雑、色は金彩のみで不足な作品です。

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写真2番目は、一の橋の付下げ「楓芒文」を合わせてみました。遠くから見ても言いたいことが一目でわかるポスターみたいな作品です。私はこういう大きくてシンプルな意匠が好きです。地色はちょっと激しいですけどね。楓は朱色と白、芒は白揚げで、色は赤系しかない感じです。

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写真3番目は、一の橋の付下げ「柳に蹴鞠」を合わせてみました。グラデーション効果を多用して、全体が夢の中にいるように感じる作品です。それにくっきり四角い色紙の帯をわせ、形の対比を作ってみました。色はどちらも黄緑野趣があって、共通性があります。

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写真4番目は、花也の付下げ「笛袋」を合わせてみました。花也の作品は友禅の糊糸目の美しさを堪能するため、白揚げで色が不足しているものが多いです。これは帯で色を足す帯合わせですが、その一方、着物の地色は帯の雅な色と妙に親和性がありますね。

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写真5番目は、千切屋治兵衛の付下げ「色紙取り松竹梅」を合わせてみました。実際に制作したのは倉部さんです。少しの金描きと重厚な金糸の刺繍による豪華な作品です。色以外なんでもあると思える倉部さんの付下げと、色以外ない藤岡さんの帯の組み合わせです。上の倉部さんの帯合わせとの違いは、どちらにも色紙という四角い形の共通性を持たせてみたところです。

人間関係では、共通性があって親近感を感じるばあいと、共通性が無さすぎて魅力を感じるばあいがありますね。帯合わせにも応用できる論理です。

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写真5番目は、千切屋治兵衛の付下げ「枝桜」を合わせてみました。実際に制作したのは倉部さんです。縁蓋による金彩と金糸の刺繍による作品です。桜の咲く春は、いろんな花が咲き、若葉が芽吹いて色豊かな季節のはずですが、倉部さんの作品は金のみで色がありません。その色を帯の色紙が補うという帯合わせです。
[ 2016/11/03 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛の名古屋帯「色紙重ね」

第三千五百五十三回目の作品として、千切屋治兵衛の名古屋帯「色紙重ね」を紹介します。実際に制作したのは藤岡さんです。

糊糸目の友禅と箔加工による名古屋帯です。

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いちばん上の写真は、お太鼓です。色紙取りの中に色紙が重なっているという意匠です。形は全て四角なわけですから、配色が大事ですが、朱色や黄緑など、私はなんとなく「京都の雅」という言葉を思い浮かべます。

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写真2番目は、お太鼓の近接です。色紙は金加工はベタ箔ではないです。

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写真3番目は腹文です。お太鼓の大きい色紙は、いちばん大きい面積は黄緑色、腹文の小さい色紙は、いちばん大きい面積は朱色です。バランスの良い色の割合だと思います。こういう作品は、色の面積の割合で着る人の対象年齢が違ってきたりしますから。

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写真4番目は、腹文の片側です。

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写真5番目は、腹文のもう片側です。
[ 2016/11/02 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

大羊居の付下げ「薬師遺宝」の帯合わせ

第三千五百五十二回目は、大羊居の付下げ「薬師遺宝」の帯合わせです。

薬師寺というテーマすなわち天平・白鳳時代のモチーフは、日本のデザインの歴史としてありながらエキゾチックでもありますから、和様にもエキゾチックにも解釈できます。今日は和様とエキゾチックの両方の帯を合わせてみます。

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いちばん上の写真は、龍村の袋帯「錦秀遺芳文」を合わせてみました。平家納経に取材した作品です。反っくり返った鹿は俵屋宗達が修復した有名な部分ですね。もともとの王朝文化の部分と近世の琳派の先駆けが混じった状態ということになるのでしょうか。

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写真2番目は、織悦の袋帯「厳島花鳥蝶花文」を合わせてみました。これも平家納経に取材した作品です。上の雰囲気と違うように思われますが、平家納経は31巻もあって、表紙や見返しなどいろいろな絵があるので、あちこちから取材できるのです。

この作品では鳥がゆったりと飛んでいて、王朝文化らしいおおらかさがあります。

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写真3番目は、喜多川俵二の名古屋帯「鳥襷丸文」を合わせてみました。有職文様の帯ですので、王朝文化に属する意匠ですね。

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写真4番目は、龍村の袋帯「清風間道」を合わせてみました。間道は名物裂として輸入されたものですから、中世以降の文化です。龍村の間道は何種類かありますが、「あおによし」ということで、緑と赤のある間道を選んでみました。

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写真5番目は、帯屋捨松の袋帯「ヴィクトリア花文」を合わせてみました。帯屋捨松の高級バージョンの手織りの帯です。タイトルからすると、ヴィクトリア時代の装飾に取材したもののようですが、エキゾチックを強めてみました。

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写真6番目は、龍村の袋帯「西域舞踊錦」を合わせてみました。正倉院の文様が、シルクロードを通って奈良まで伝わったというイメージで、西域の模様を選んでみました。着物には人物がいないですから、これに人物を加える帯合わせで、濃いものをさらに濃くする帯合わせですね。

[ 2016/11/01 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)