千切屋治兵衛の着尺「雪の結晶」の帯合わせ

第三千四百九十回目は、千切屋治兵衛の着尺「雪の結晶」の帯合わせです。

今日は染め帯で合わせてみます。雪からイメージするものを選んで帯合わせをしてみました。雪どうし、雪うさぎ、冬に渡って行かない雀です。

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いちばん上の写真は、千切屋治兵衛の染めの名古屋帯「雪輪」を合わせてみました。実際に制作したのは藤岡さんです。雪に雪を重ねる帯合わせです。顕微鏡で細部を観察したという科学的な雪の結晶と、簡略化が美しい伝統意匠の雪輪という、同じものをテーマにしながら対照的な組み合わせです。また、雪輪は大きく面的に広がり、雪の結晶は小さくポイント的、それもまた対照的ですね。

同じテーマを重ねる時は、同じテーマの中でも対照をつくるのがコツですね。

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写真2番目は、秀雅の東京刺繍の名古屋帯を合わせてみました。手刺繍と堰出しの疋田を合わせたもので、このような作風はかつて千代田染繍が超高額な黒留袖として制作し北秀が卸していました。現在は、元々の千代田の職人さんたちやその周辺の人たちにより、東京の刺繍として制作されているようです。

これは雪輪ですが、市松や三角取りなどいろいろなパターンが作られています。私は、中途半端な友禅より良いなあと思っています。

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写真3番目は、藤井絞の名古屋帯を合わせてみました。うさぎの形を絞りで表現した帯です。絞り方を工夫して具象的な形を表すのは辻が花の原理ですから、辻が花の現代版というところでしょう。

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写真4番目は、千切屋治兵衛の染めの名古屋帯「恵比寿大黒」を合わせてみました。実際に制作したのは藤岡さんです。江戸時代の絵に、大黒様を鼠で表現したものがあります。鼠が来るのは倉に米が豊富譜にある証拠ということで、縁起物としての鼠のモチーフがあったんですね。私はうさぎの方が好きなので、うさぎに替えてみました。腹文の恵比寿様もうさぎです。鼠の耳を長くすると兎になっちゃいますね。

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写真5番目は、菱一がかつて制作した押絵の名古屋帯を合わせてみました。10年以上前に押絵の名古屋帯が流行ったことがあり、これはそのごく初期のものです。昔話などをテーマに複数制作された1本で、仲間はきものサロンなどに出ていたこともありました。

この帯に出会ったときに、とても新鮮で魅力的に見えたのでとりあえず1本買ってみたのですが、その後あちこちで制作され、さらにはカルチャーセンターで制作して趣味のサークルで販売されるようにもなり、私は販売する気を亡くし仕舞い込んでしまいました。押絵というのは、優れた伝統工芸ではありますが、元々趣味でやっている人も多いんですね。そういう人たちが、帯にもできるということを思いついてしまい、次々とつくられるようになって、商品としての価値が???となってしまったわけです。

伝統工芸の分野では、プロとアマの差が出やすい分野と出にくい分野があるように思います。そしてプロしか作れない分野が、プロの業者が扱うべき分野です。カルチャーセンターで次々作られてはお店で売れませんものね。

たとえば、友禅は手描きという人間の基本動作によるもので誰でもできそうですが、意外とプロとアマの差が出ます。箔についてはアマチュアでするという人はまずいないでしょう。刺繍については、子供のために御砂場着にクマちゃんの刺繍をする人もいるぐらいで、アマも参入しやすい分野ですが、その一方で倉部さんのような本物の京繍は誰にもできないものです。

この押絵の帯については、プロらしくセンスや配色も良いですし、なにより最近はあまり押絵の帯を作る人もいないので、まあいいかなと思っています。もちろん原価を割って売っていますけど。
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[ 2016/08/31 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛の着尺「雪の結晶」

第三千四百八十九回目の作品として、千切屋治兵衛の着尺「雪の結晶」を紹介します。

雪の結晶というテーマは人気があります。科学的なテーマということで、モダンな図案にも思いますが、江戸時代にすでにオランダから輸入した顕微鏡で観察し本にした人がいます。「雪華図説」という本で、下総古河藩の藩主、土井利位という人ですね。

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いちばん上の写真は、反物の幅を写真の幅として撮ってみました。写真で見る通り、模様の大きさはわりと小さく、模様の数は割と多いです。写真の幅は反物の幅、すなわち37cmですから、それで写真に写っている反物の長さを推定してみてください。50~60cmの間に模様が5個あるということになります。

飛び柄の小紋でも、小さい模様がたくさんある意匠のものは、背が小さい人でも十分模様が出ますから、仕立屋さんは気を使わないで済みますね。

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写真2番目は、反物の幅を写真の幅として撮ってみました。少しずらして撮ってみました。飛び柄の小紋は、模様がすぐに一巡して、同じ模様が近くに現れてしまうものと、模様がなかなか一巡せず、同じ模様が遠くの方まで現れないものとがあります。野口や岡重の高級な飛び柄小紋は、同じ模様が現れるまで2m間隔があるものが多いです。そうなると同じ模様が同時に視界に入ることは滅多にありませんから、訪問着と同じですねえ。

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写真3番目は、模様に近接してみました。模様が2つ近接している場所を撮ってみました。

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写真4番目は、模様に近接してみました。模様が2つ近接している場所を撮ってみました。

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写真5番目は、もっと模様に近接してみました。

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写真6番目は、もっと模様に近接してみました。雪の結晶は本来は白いものですが、この作品では遠慮なく多彩に仕上げています。特にこの模様は赤を思い切り使っていますが、これは模様自体が小さいからできることですね。この写真は近接で大きく見えていますが、実際には小さいのでご安心ください。

藤井絞の振袖の帯合わせ

第三千四百八十八回目は、藤井絞の振袖の帯合わせです。

昨日は補色(反対色)の帯を合わせ、帯が際立つ帯合わせをしましたが、今日は同系または逆らわない色の帯合わせをして、帯と着物を馴染ませます。

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いちばん上の写真は、織悦の袋帯「雪輪くくり入」を合わせてみました。朱色に朱色を合わせるのは、予想外だったでしょうか。私はいつかこういうのを実際に試してみたいです。振袖では、共感してくれるお客さまはいそうにないですが、黒留袖に黒い帯を合わせるのは、普通にありますよね。模様だけが浮き上がって面白いものです。

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写真2番目は、紋屋井関の袋帯「御寮織」シリーズの1本を合わせてみました。聖武天皇の碁石入れである「銀平脱の合子」をテーマにしたもので、模様は象と鸚哥で個性的ですが、色は全体が明るい金色(緯糸が金糸、経糸が白い糸で織られている)で、上品で大人しい印象です。

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写真3番目は、大西勇の袋帯を合わせてみました。全面的に金糸使いで、模様の色も華やかで振袖向きのようですが、模様の大きさは細かいので、振袖以外にも普通に使えそうな帯です。

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写真4番目は、織悦の袋帯「東大寺花文」を合わせてみました。東大寺花文、すなわち正倉院に所蔵されている唐花文の裂ということですね。

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写真5番目は、織悦の袋帯「インド華文更紗」を合わせてみました。更紗というのは、あまりフォーマル感の無いテーマですし、金糸使いというほど金糸は使ってないですし、普通では振袖用には使わないでしょう。でもこんな合わせ方が、洗練されているという見方はないですか。

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写真6番目は、龍村の袋帯「王朝華映錦」を合わせてみました。今日は、今まで帯合わせをやってきて、なんだかメインディッシュを食べ忘れたみたいな感じだったので、帯が着物に馴染むという趣旨とは違うかもしれませんが、この帯に出て来てもらいました。
[ 2016/08/29 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

藤井絞の振袖の帯合わせ

第三千四百八十七回目は、藤井絞の振袖の帯合わせです。

帯合わせは、色を基準にしたり、模様の意味を基準にしたりしますが、着る人の教養に関わる模様の意味よりも、感性に関わる色の方が大事なように思います。色で合わせるばあいは、昔は補色(反対色)で合わせるのが常識でしたが、今は同系色でまとめる方がお洒落という評価を得やすいようです。

今回は、色を基準に帯合わせをしようと思いますが、とりあえず今日は、赤に対して黒、のような反対色で際立つ帯合わせをしようと思います。

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いちばん上の写真は、織悦の袋帯「楓桜大文桃山」を合わせてみました。とりあえず、もっとも合いそうな帯を合わせてみました。朱色と黄色の着物に対し、補色的な黒で境界をくっきりさせながら、中の模様は地色と同じ朱と黄色の代わりの金という、補色であり同系色でもあるという組み合わせです。

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写真2番目は、織悦の袋帯「流水紅葉」を合わせてみました。上の例と同じく黒地の織悦を合わせています。上の帯もこの帯も、振袖専用というわけではないので、後で使い勝手の良い方が良いと思います。

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写真3番目は、龍村の袋帯「瑞鳥遊園錦」を合わせてみました。チュニスなどに多く残るローマ時代のモザイクに取材したものです。カルタゴを滅ぼした後、ローマの退役兵が集団で入植し、ローマ様式の都市を建設したためにモザイクが多く残っているんですね。

個性が強くてどんな着物にも合わない帯ですが、存在感がある振袖には、存在感を戦わせるような気持ちで使ってみると意外に合います。

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写真4番目は、帯屋捨松の袋帯を合わせてみました。「帯屋捨松」のロゴが無い手織りバージョンです。立沸に花模様を合わせたもので、慶長時代の能衣装の写しでしょう。花には慶長時代の小袖独特の花弁の形に関係の無い色分けが見られます。

色に鮮やかなところが無く、普通なら振袖用には使いません。しかし、長く使うためにあえて振袖専用の帯を買わないという選択もあります。かわいくなくても存在感があれば、振袖の帯は務まることが多いです。

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写真5番目は、河合美術の袋帯「菊尽し」を合わせてみました。河合美術は普通のバージョンと手織りバージョンがあります。簡単な見分けの仕方は、手織りバージョンの方が変な模様が多いということです。おそらく手織りの方がロットが小さいので、みんなに好かれる必要が無いのだと思います。この帯だって、誰にでも好かれるという模様ではないでしょう。言い方を変えれば、通俗性が無い模様ということですね。

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写真6番目は、帯屋捨松の袋帯を合わせてみました。「帯屋捨松」のロゴがある標準的な捨松の袋帯です。全体に引き箔を使った軽くて締めやすいバージョンです。引き箔でないものは重いのでわかります。

着物の地色には全く異質の青を持ってきました。こういう合わせ方は、普通はあまりセンスが良いとは言われないと思いますが、成人式の女の子のエネルギーはそんなものは吸収してしまいます。

[ 2016/08/28 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

藤井絞の振袖の細部

第三千四百八十六回目は、藤井絞の振袖の細部です。

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いちばん上の写真は、背中心辺りの模様です。よく見ると、この作品の檜扇は全て要がありません。桶絞りによる染分けは流水を表していて、振袖の画面全体が扇面流しになっていて、要の部分は水没しているのです。檜扇は扇面流しするのか?なんて突っ込むこともできますが。

桶絞りの流水の中には、桜や花の形の絞りもあります。花の時期で、散った花弁も流れているんでしょうね。

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写真2番目は、檜扇の1つに近接してみました。檜扇の形が崩れていて、かなり水没していますね。檜扇の輪郭線が柔らかく、それが全体の雰囲気を優しくするのに貢献しています。檜扇が水没していなくて、輪郭がきちんとしていたら、全体が堅い雰囲気になったと思います。

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写真3番目は、別の檜扇の1つに近接してみました。檜扇の水没部分が変形しています。ちょうどそこに疋田の絞りがありますが、波か泡なんでしょうね。

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写真4番目は、別の檜扇の1つに近接してみました。

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写真5番目は、できるだけ近接してみました。檜扇は柔らかい輪郭線で表現されふわふわした感じですが、止め金具は金駒の刺繍で重厚感のある表現をしています。団子の串のような役割をしているんですね。串になる部分が無く、ふわふわだけであれば、ボケだけで突っ込みが無い漫才みたいになってしまうんでしょう。

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写真6番目は参考図版です。江戸時代の小袖「檜扇に夕顔小袖」の檜扇部分に近接してみました。こちらは、水没しているわけではないので、しっかり要までありますし、紐もあります。それだけでなく、檜扇の輪郭線自体も今回の作品より、カチッと描いてあるようで、そのためにかなり違う印象になっています。
[ 2016/08/27 ] 絞り | TB(0) | CM(0)

藤井絞の振袖

第三千四百八十五回目の作品として、藤井絞の振袖を紹介します。

NHKの海外向け放送の日本の伝統工芸を紹介する番組の、京都の絞りを取り上げた回で、制作工程が紹介された作品です。現在では、疋田絞りは中国など海外で制作されることが多いですが、この作品は制作工程が撮影されているので、京都で制作されています。また、本来桶絞りで制作されるべき大きな面積の絞りは、現在ではビニールのフィルムを使った帽子絞りで作られてしまいますが、この作品では撮影のため、本来の桶絞りで作っています。

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いちばん上の写真は全体です。

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写真2番目は、前姿(マエミ+オクミ)です。

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写真3番目は、モデルさんが着用したところです。夏毛のモデルさんでも似合います。

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写真4番目は、冬毛のモデルさんが着用したところです。写真を撮っている時は気が付かなかったのですが、モデルさんが1人倒れているのが気になります。

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写真5番目は参考図版で、この作品の元になった江戸時代後期の小袖「綸子地檜扇に夕顔模様小袖」です。夕顔は刺繍で表現されてますが、その部分が、今回の作品では桶絞りによる流水に変更されています。
[ 2016/08/26 ] 絞り | TB(0) | CM(0)

花也の夏の名古屋帯「渦巻」の帯合わせ

第三千四百八十四回目は、花也の夏の名古屋帯「渦巻」の帯合わせです。

今日は夏物の付下げに合わせてみました。フォーマル方向にどこまで使えるか試してみました。

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いちばん上の写真は、千切屋治兵衛のの絽の付下げを合わせてみました。実際に制作したのは中井淳夫さんです。描かれているのは杜若ですが、葉だけなのでよくわかりません。本来杜若は5、6月のモチーフで、単衣用にふさわしく絽には合わないと思うのですが、葉だけなので、水辺の風景ということで通りそうです。

技法はダンマル描きです。白い葉が防染だけの部分で、ダンマル描きのもつ半防染という特徴を生かして、白と地色の中間の色になってます。緑は濃淡2色ありますがそれが彩色部分で、その3色で陰影や遠近感を表現しています。着物全体が水面に見えるので、帯合わせによってその一部に渦巻があるというつながりのある情景になっています。

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写真2番目は、花也の絽の付下げを合わせてみました。絽の組織のパターン違いによって、市松模様が浮かぶようになっている生地です。その市松パターンを生かして、色紙取りを市松に配しています。地紋と友禅の模様を連携させた例です。

描かれているのは、初夏~初秋までの植物文で、夏の始まりから終わりまで気持ち良く着られるありがたい着物です。

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写真3番目は、野口の絽縮緬の付下げを合わせてみました。絽縮緬というのは、普通の絽より着る時期が長く、6月から9月まで着られるとされています。その代わり盛夏は避けるべきとされていましたが、近年は関係ないようです。

水辺の芦を描いていますが、野口らしく華やかな作品になっています。平凡な人は、華やかな着物を作ろうと思うと派手な着物になってしまい、若い人しか着られないことになってしまいます。派手と華やかを分けて、各年齢すべてに対応した華やかな着物を作るのは難しいのです。野口は地味でも華やかな着物が作れるので、年輩向けの華やかな着物が作れるんですね。

その仕掛けなのですが、この作品で見るように赤系を避けることなのです。野口は赤系を避けて、そのかわり紫と辛子色を効果的に使っています。

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写真4番目は、千切屋治兵衛のの絽の付下げを合わせてみました。実際に制作したのは市川さんです。市川和幸さんは琳派の華やかな着物を作るのが得意で、これこそ京友禅だ、と思わせるような画面を作ります。今は息子さんもやっていて、ブログも有って作風を見ることもできます。

この作品は水辺に生えることが多い柳を描いて、渦巻とも意味的につながります。この作品は、夏物ですから涼し気に見えるように余白の多い画面になっていますが、市川さんらしい配色で京友禅の濃厚な世界も味わえます。

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写真5番目は、千切屋治兵衛の絽の付下げを合わせてみました。実際に制作したのは中井淳夫さんです。琳派の杜若をスパっと斜め取りしていて、芸術的とも、都会的とも、お洒落とも、何でも言えてしまいそうな作品です。元絵はおそらく神坂雪佳でしょう。

ただ現代人に違和感があるのは、7,8月に着るべき絽の着物に、現実には6月に咲く杜若が描かれていることです。少々戸惑ってしまうところですが、江戸時代の絽の小袖にも杜若を描いたものがあって、それを踏襲しているんじゃないかと思います。
[ 2016/08/25 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の夏の名古屋帯「渦巻」の帯合わせ

第三千四百八十三回目は、花也の夏の名古屋帯「渦巻」の帯合わせです。

今日は染めの着尺に合わせてみました。昨日はカジュアル方向として紬に合わせ、明日はフォーマル方向として付下げに合わせるつもりですが、今日はいちばん基本の組み合わせと思われる染の着尺を合わせてみます。

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いちばん上の写真は、野口の紗の着尺を合わせてみました。わかりにくいですが、描かれているのは薔薇です。草間彌生風ですね。

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写真2番目は、絽の着尺を合わせてみました。縞状のデザインですが、1つ1つは型疋田の粒になっています。疋田繋ぎともいうべきデザインですね。夏に小豆色を着るというのは、大人っぽくていいと思います。

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写真3番目は、野口の紗の着尺を合わせてみました。洒脱なタッチで描かれた金魚と渦巻の着尺ですから、意味的につながる帯合わせです。帯合わせをしていると、意味的につなげてみたいという誘惑に駆られることがあります。帯と着物で1つの情景になったり、短歌の上の句と下の句になったりしたら素晴らしいですよねえ。

ただ、やりすぎると呉服メーカーがセットで企画したみたいになるので、無理はしない方がいいですね。

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写真4番目は、野口の立絽の着尺を合わせてみました。ベージュ地に墨色の濃淡だけの短冊模様です。色数が少ないのは涼しげに見えるということにつながりやすいです。模様のパターンは更紗ですが、更紗に含まれる花のモチーフは梅の形のような和様も多いです。

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写真5番目は、野口の着尺を合わせてみました。完全な夏物ではなく、普通の着物を単衣に仕立てたと想定して合わせてみました。今回の帯は、夏物として作られていますが、生地はそれほど隙間率が大きくないので、単衣用でも十分使えます。
[ 2016/08/24 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の夏の名古屋帯「渦巻」の帯合わせ

第三千四百八十二回目は、花也の夏の名古屋帯「渦巻」の帯合わせです。

そこそこカジュアルにも、そこそこフォーマルにも使える帯ですが、今日はとりあえずカジュアル方向として、夏の織物に合わせてみました。

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いちばん上の写真は、夏久米島紬を合わせてみました。「久米島つむぎ工房」によるもの。ザラッとした手触りで、手紡ぎの糸を使っているんだなあと思わせます。実際に顕微鏡で見ると、撚っているというより束ねているだけのような糸で織っています。

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写真2番目は、林宗平の越後上布を合わせてみました。織物の中で、宮古上布や芭蕉布とともにいちばん高い越後上布です。しかも第30回の伝統工芸展入選作。

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写真3番目は、夏琉球を合わせてみました。ラベルは「夏琉球」ですが、壁糸を使っていて琉球壁上布と言われるです。ザラッとした手触りがします。「壁糸」は検索すると、ちゃんと説明してくれているサイトがあります。

絣は手括りで、手織りもしているホンモノの沖縄織物としては値段も安く、夏の上質な絣織物を探している人にとってはとても良い商品だと思います。

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写真4番目は、粋紗絣に合わせてみました。越後の夏の織物ですが、ネットで安く売っていたり商売としては難しいところです。そういう時は安く売るしかないんですけどね。

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写真5番目は、「秦荘花織」に合わせてみました。もともと近江上布の産地であるこの地域(平成の大合併により、元の地名が残っていない)で織られている織物の1つ。近年、歴史のある「近江上布」の他に、「近江ちぢみ」「秦荘帯」などリーズナブルな織物を作っていて、夏にカジュアルの着物を着るユーザーにとってはありがたい産地です。これもお洒落なわりに安いんですよね。

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写真6番目は、東郷織物の夏大島を合わせてみました。大島というのは、独特の高度な技術である細かい絣(締め絣)をした織物は高価ですが、それ以外の縞などは高いものではありません。これは大島紬の代表的な織元の1つである東郷織物のもので、れっきとした産地の大島紬ですが、格子なので10万円以下です。私は高価な経緯絣の大島より、カジュアルとしてはお洒落に見えてしまう。
[ 2016/08/23 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の夏の名古屋帯「渦巻」の近接と拡大

第三千四百八十一回目は、花也の夏の名古屋帯「渦巻」の近接と拡大です。

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いちばん上の写真は、お太鼓部分を近接で撮ってみました。刺繍の立体性がわかるように斜めから撮っています。友禅の糊による防染で白揚げにした部分に刺繍をしています。京友禅における「あしらい」と呼ばれる刺繍は、模様の一部分を強調するという補助的な役割を担っていますが、この作品では、刺繍は模様の補助ではなく、白揚げの友禅が補助で刺繍が主役です。

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写真2番目は、お太鼓部分を近接で撮ってみました。刺繍の立体性がわかるように斜めから撮っています。刺繍はそれ自体が模様になっていて、それを見せるのがこの作品の目的みたいですね。

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写真3番目は、腹文の一部に使われている刺繍の拡大です。タテが青と紫、ヨコが白糸による格子の模様です。

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写真4番目は、お太鼓の渦の一部に使われている刺繍の拡大で、赤と紫色による格子、交わる部分に水色の糸で襷掛けのようにしています。

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写真5番目は、お太鼓の渦の外側の方に使われている刺繍の拡大で、ヨコ方向の水色にクリーム色の糸で襷掛けのようにしています。

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写真6番目は、お太鼓の渦の一部に使われている刺繍の拡大で、赤と白色による格子、交わる部分に紫色の糸で襷掛けのようにしています。
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写真7番目は、帯の生地の拡大です。変わり織ですが、首里の花織のような組織になっていて、生地が立体的になっています。この立体の上の刺繍をして、さらに立体感を演出しているわけです。渦巻というのは単純な意匠ですから、立体感こそがこの作品の目的ですね。
[ 2016/08/22 ] 繍箔 | TB(0) | CM(0)

花也の夏の名古屋帯「渦巻」

第三千四百八十回目は、花也の夏の名古屋帯「渦巻」を紹介します。

生地屋さんに特注したオリジナルの変わり織の生地に、友禅による白揚げと変わり刺繍で渦巻を描いた夏用の帯です。

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いちばん上の写真は、お太鼓の全体です。

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写真2番目は、お太鼓の近接です。

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写真3番目は、もっと近接です。

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写真4番目は、腹文の全体です。

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写真5番目は、腹文の片側です。折って実際に出る部分です。もちろん反対側も出せます。
[ 2016/08/21 ] 繍箔 | TB(0) | CM(0)

一の橋の名古屋帯「鹿下絵」の帯合わせ

第三千四百七十九回目は、一の橋の名古屋帯「鹿下絵」の帯合わせです。

今日は、織物に合わせてみます。いちばんカジュアルな使い方ですね。

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いちばん上の写真は、格子の久米島紬に合わせてみました。伝統的な紬には、上質だけど地味で、高いお金を出したのによほど着物好きな人以外、気が付いてもらえないということはよくあるものですが、そういうときは素人にも綺麗と分る帯を合わせてやると良いですね。

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写真2番目は、山口良子の首里織の着尺を合わせてみました。鮮やかな黄色ですが、福木で染めたホンモノの草木染です。成功した草木染というのは、草木染らしい滋味な色ではなく、器楽染料みたいな鮮やかな色が出るものだと思います。草木染しかない江戸時代の人は小袖にできるだけ鮮やかな色を求めて、職人はそれに答えていたはずなので。

花織と浮織を併用したもので、王朝時代ならば中国伝来の最新技術を多用して織ったハイテク織物ということであったでしょう。用途はもちろん王宮内の官服で、本土でいえば正倉院御物や有職織物だと思います。沖縄の織物というのは、着物本で紹介するときは結城紬などと一緒に高級だけどカジュアルということで紹介してしまいますが、本来の意味はフォーマルで逆ですね。だからこのような帯合わせはすんなりいくはず。

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写真3番目は、佐藤トシの南部紬を合わせてみました。南部紬は、藍と地元岩手で採れる素材で草木染めした糸で織っていましたが、これは紫根染の糸を使っています。紫根は漢方薬でもあり、現在多くの紫根染の素材は中国から輸入していますが、これは岩手の山で山菜採りのおじいさんに依頼し採取したもので染めています。1年分ではとても足りず、5年間染め重ねてこの色になったということです。

企画したのは近藤伝で、青山みともに売ろうと思ったら失敗し、私に押し付けたものです。そのときは、あなたが5年前に注文した紫根染がやっと出来上がりました、というので、責任を取って買い取ったのですが、5年前ということで注文した記憶も曖昧で、後日、みともの尻拭いをさせられたのではないかと思うようになりました。ホンモノの岩手産の証拠として、紫根の根なども焼酎につけて保管してあります。飲むと肝臓に効くらしいです。

今回は、紫と金の配色の美しさを狙ってみました。

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写真4番目は、紺仁の片貝紬に合わせてみました。真綿で手織りですから、思い切り素朴な紬を金使いの帯に合わせてみた例です。着付けの教科書では絶対ダメな例ですが、現実にはどうでしょうか。私は、ドカジュアルをそこそこフォーマルで中和して、そこそこカジュアルにできると思っているんですけどね。

紺仁の片貝木綿は人気のカジュアルで、2万円ぐらいで買えるお洒落な着物です。これは木綿を機械で織ったものです。しかし、そのような便利着物には、値段的にあまり便利でない本物バージョンが用意されていて、それがこの片貝紬なんだと思います。

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写真4番目は、秦荘紬を合わせてみました。秦荘紬は、近江上布の産地で織られている絹の織物で、越後上布と塩沢紬のような関係でしょうか。ここでは、水色と金の配色を狙っています。

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写真6番目は、林宗平の塩沢紬を合わせてみました。鹿を重ねており、まあ普通の人はこういうことはしませんよね。この鹿のモチーフは、有栖川錦に由来するもので、地方の優れた文化の例である林宗平の越後上布や塩沢紬が、中央の文化である名物裂の意匠を取り入れているのはそぐわないように思うかもしれません。しかしそれは近代の民芸思想以後の価値観の影響を受けてしまっています。「北越雪譜」には、魚沼の織物を京都の錦に負けないようにする、と両者を同じ土俵で競争すべきものと考えています。
[ 2016/08/20 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

一の橋の名古屋帯「鹿下絵」の帯合わせ

第三千四百七十八回目は、一の橋の名古屋帯「鹿下絵」の帯合わせです。

今日は、染の着尺に合わせてみます。

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いちばん上の写真は、野口の着尺を合わせてみました。無地部分が紫の横段模様で、模様部分は干菓子をテーマにしています。干菓子というテーマは、花でも鳥でもうさぎでも、かわいいものがなんでも入れられるので便利です。色の変わり目がぼかしになっていて、優しい雰囲気になっています。

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写真2番目は、野口の着尺を合わせてみました。蝋防染をつかった手描きの格子です。金とトルコ石を組み合わせたアクセサリーは配色がとても綺麗ですが、それを意識して帯合わせをしてみました。

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写真3番目は、千切屋治兵衛の着尺を合わせてみました。実際に制作したのは野村さんで、手描きの着尺です。今回の帯の本歌である鹿下絵は、本阿弥光悦が歌を書くための下地の絵ですが、着物のテーマも光悦垣ですし、鹿と同じ琳派の洒脱なタッチなので、ちょっと合いすぎる感じもします。

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写真4番目は、野口の着尺を合わせてみました。葡萄の蔓をテーマにしていますが、余白の無い総柄の大きな模様で、帯合わせには苦労するタイプの着物です。今回の鹿下絵は、余白がありつつ存在感があるので、こんな着物に対しては救世主ですね。

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写真5番目は、藤井絞の絞の着尺を合わせてみました。総柄の存在感抜群の着尺です。絞りには、辻が花のように京都で絞って模様面積は部分的なものと、総鹿子の振袖のように海外で絞って模様面積は全体のものとがありますが、これは辻が花的な模様づくりが全身に及んだものですから、京都で絞って模様面積が全体のものです。存在感は値段の重みでもありますね。

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写真6番目は、千切屋治兵衛の着尺を合わせてみました。生地は紬で、実際に制作したのは大和さんです。楓の飛び柄で、帯の模様とはつながりすぎるかとも思いますが、まあとりあえずやってみる安全な帯合わせですね。
[ 2016/08/19 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

一の橋の名古屋帯「鹿下絵」の帯合わせ

第三千四百七十七回目は、一の橋の名古屋帯「鹿下絵」の帯合わせです。

今回のような箔づかいの名古屋帯は、カジュアルかフォーマルかわからず広い用途に使えます。使いづらい、という人もいるかもしれませんが、「使いづらい」と「広い用途に使える」というのはじつは同じ状況を指していて、心の持ちようなのです。そういうときは「広い用途に使える」と考える人の方が、人生で成功する確率が高いと思います。

今日はフォーマル方向に解釈して付下げを合わせてみます。

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いちばん上の写真は、一の橋の付下げを合わせてみました。楓と芒という、ポスターのような大きくてシンプルな作品です。模様も大きさというのは時代により変遷していて、小付けの時代が続くとその反動として大きな模様が現れるように思います。今まで30年ぐらいは小付け優位の時代ですから、そろそろ反動があってもいいのではないかと思い、当社はそれに備えて大きくてシンプルな模様の比率を増やしています。

もう1つ問題なのこの色です。魅力的なんですけどね、売りにくいなあ。

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写真2番目は、千切屋治兵衛の付下げ「山帰来」を合わせてみました。実際に制作したのは藤岡さんです。山帰来は、植物図鑑ではサルトリイバラとして載っています。赤い実が綺麗でクリスマスのリースに使われますから、秋草というよりお正月すぎても綺麗なままの植物ですね。

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写真3番目は、千切屋治兵衛の付下げ「蔦」を合わせてみました。実際に制作したのは中井淳夫さんで、生地は紬を使っています。動物模様の帯というのは個性があって、買うのに勇気が要りそうですが、着物の模様というのは植物模様が圧倒的に多いですから、組み合わせとしてじつは意外に便利です。むしろ植物模様の帯の方が、着物と重なって、これで良いのかと疑心暗鬼になることがありますね。

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写真4番目は、千切屋治兵衛の付下げ「果実」を合わせてみました。実際に制作したのは藤岡さんです。植物文の着物はたくさんありますが、たいていは花は葉で果実は少ないのではないでしょうか。果実は有っても、たいていは葡萄唐草文や秋草文の烏瓜のように古典文様からスタートしたもので、自由に写生したものではありません。

これは自由にいろんな果実を描いたもので、テーマに新鮮味があります。帯の鹿が食べるのかな、なんて思わせることができれば帯合わせとしては大成功ですね。

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写真5番目は、花也の付下げ「羊歯と華文」を合わせてみました。冬に枯れないという意味で縁起が良いとされる羊歯と華文を組み合わせた意匠です。羊歯は2種類描かれていますが、形がかなり違うので、模様としては単調にならずに済んでいます。

羊歯以外の植物を描くと季節が生じてしまうので、羊歯だけをテーマにした方が着物の模様としては便利なのです。シダ類というのは、シダ門とヒカゲノカズラ門という2つの門にまたがる大きなグループなので、いろいろな形があり、羊歯だけで模様が作れるというありがたいものなのです。

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写真6番目は、一の橋の付下げ「霞取り割付文」を合わせてみました。直線的に水平な霞模様です。細くて長くて直線ですから、シャープな印象です。その霞を取り方にして、中に割り付け文を入れています。割付文のような意匠はゴム糸目で精緻に描くと安っぽくなりますね。単純で繰り返しだからこそ糊糸目で不自由しながら一生懸命描いた感がないといけません。

このような具象性に乏しい意匠の着物は、帯合わせはとても楽です。季節もないですし、今は「無地系の着物=都会的」などと思われてもてはやされていますしね。付下げを1枚しか買わないならこういうのが良いのではないかと思います。
[ 2016/08/18 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

一の橋の名古屋帯「鹿下絵」

第三千四百七十六回目の作品として、一の橋の名古屋帯を紹介します。

俵屋宗達が絵を描き、本阿弥光悦が歌を書いた「鹿下絵新古今集和歌巻断簡」を写した作品です。MOA美術館に所蔵されているもので、「鹿下絵新古今集和歌巻断簡」で検索していただくと本歌を見ることができます。断簡は複数あるので、これにそっくりなのを探してみてください。

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いちばん上の写真は、お太鼓の全体です。角が無い鹿は馬に見えるので、馬鹿みたいですが、本歌がこうなっているので仕方がないんです。

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写真2番目は、腹文の全体です。枝だけの楓か、太い幹のある楓か選べます。どちらも琳派でおなじみのモチーフですね。

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写真3番目は、お太鼓の近接です。金は金ですが、銀は雲母を使っています。以前、梅の帯と付下げを紹介したことがありましたが、一の橋には雲母を使える下職さんがいるんですね。

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写真4番目は、お太鼓のもっと近接です。金の鹿の輪郭線はくっきりして美しく、縁蓋(プラスティックのシートをカッターで切って防染する)を切っているように見えます。

雲母はどうでしょうか。線はくっきりしているので縁蓋かと思いますが、線の形は筆でさらっと描いたように流麗で、カッターで切った硬さが無いです。そう見せるのも技術なのでしょうか。顔料や箔というのはよくわからないことが多いです。

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写真5番目は、腹文の片側の近接です。

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写真6番目は、腹文のもう片側の近接です。
[ 2016/08/17 ] 繍箔 | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛の着尺「どんぐり」の帯合わせ

第三千四百七十五回目は、千切屋治兵衛の着尺「どんぐり」の帯合わせです。

今日は、9月に単衣で着ると想定して帯合わせをしてみます。

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いちばん上の写真は、龍村の絽の名古屋帯「秋涼」を合わせてみました。教科書的には絽の帯は8月末までですが、龍村の絽は地が厚く、9月でも違和感はないです。テーマは萩ですから、秋の植物どうしの組み合わせですね。

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写真2番目は、龍村の絽の名古屋帯「夏蒐文」を合わせてみました。朝顔と萩を輪にして並べて「夏を蒐集する」というネーミングにした作品です。季語としては朝顔も秋ですし、初秋の雰囲気で。9月前半ぐらいなら。

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写真3番目は、野口の夏の名古屋帯を集めてみました。楓と菊の丸紋に波頭を合わせた意匠ですが、これは実際にある小袖の写しです。本歌は多色の重厚な表現ですが、こちらは夏らしい涼しげな表現になっています。本来は盛夏に着られる帯ですが、菊と楓ですし、ちょっとはみ出して9月前半に使ってみます。

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写真4番目は、藤井絞の辻が花写しの名古屋帯を合わせてみました。おおまかな絞りによる染分けと、精緻な墨描きを組み合わせた辻が花前半の様式を写したものです。生紬っぽい生地を使った単衣っぽい感じもある帯です。作品のテーマは純粋な辻が花の写しで、単衣限定の要素はないので、いつ使っても悪くはないのですが。

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写真5番目は、藤井絞の辻が花写しの名古屋帯を合わせてみました。実在する辻が花裂の写しですが、波頭の複雑な形を巧みに絞りだけで表現しており、辻が花後半の様式です。生紬っぽい生地で、春の後半でも秋の前半でも中途半端な時期に広く使えます。

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写真6番目は、野口の織りと刺繍の名古屋帯を合わせてみました。織物の格子に刺繍を合わせた帯です。刺繍はおそらくベトナム製で、ふだん紹介している倉部さんのものなどとは全然違いますが、配色やデザインが洗練されていて、とてもお洒落に見えます。技術勝負ではなくデザイン勝負の作品で、こういうものづくりの上手さは野口がいちばんですね。普通の帯で、単衣用でも夏用でもないですが、色が淡く雰囲気が涼しげなので、単衣に合わせて使えそうです。
[ 2016/08/16 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛の着尺「どんぐり」の帯合わせ

第三千四百七十四回目は、千切屋治兵衛の着尺「どんぐり」の帯合わせです。

今日は西陣の織の帯で合わせてみます。

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いちばん上の写真は、織悦の袋帯「繍文栗」を合わせてみました。栗の実とドングリの実を並べても仕方がないとも思えますが、なんとなく納得して見てしまうのではないでしょうか。帯合わせは、科学の論文ではないので、1つ1つの事実が論理的に整合性を保つ必要があるわけではない、なんとなくでいいということもありますね。

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写真2番目は、河合康幸の袋帯を合わせてみました。松葉と松ぼっくりをテーマにした帯で、ドングリも松ぼっくりも同じように公園に落ちているかもしれません。しかしそれ以外に関係ないですよねえ。これもなんとなくの帯合わせですねえ。

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写真3番目は、洛風林の袋帯「名物小枝文」を合わせてみました。名物裂の「大黒屋金襴」に取材したもので、唐草文に宝尽しを合わせているのが特徴です。「金襴」ですから、本歌は金糸で織り出してあるのですが、ここでは、白地に青と臙脂という洛風林でないと考えつかないようなモダンな色に変換してあります。

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写真4番目は、織悦の袋帯「インド更紗文」を合わせてみました。上の名物裂や、この更紗文というのは、季節もなく、どんなものにもなんとなく合わせられるというのが強みですね。

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写真5番目は、龍村の名古屋帯「鳥獣戯画」を合わせてみました。山の動物にドングリという、子供が思いつくような組み合わせにしていました。

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写真6番目は、龍村の光波帯「コプト花杯文」を合わせてみました。コプトはエジプトの意味で、コプト織というのは、カルケドン公会議で敗れたキリスト単性論者が、エジプトの砂漠に逃れ修行を兼ねて織ったもの、というイメージがあります。技法としては、手間はかかるが織機は簡単な綴組織なので、砂漠での修行にふさわしいなあと思ってしまいます。しかし、この帯が元とした作品は、それ以前のプトレマイオス朝のものだそうです。まだキリストも生まれてないし、イメージで決めつけちゃあいけませんね。
[ 2016/08/15 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛の着尺「どんぐり」の帯合わせ

第三千四百七十三回目は、千切屋治兵衛の着尺「どんぐり」の帯合わせです。

今日は染め帯で合わせてみました。

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いちばん上の写真は、千切屋治兵衛の友禅の名古屋帯を合わせてみました。実際に制作したのは藤岡さんで、糊糸目です。開きかけの窓を思わせる取り方のなかに、笹とフクロウです。ドングリが落ちているブナの森には、フクロウもいるだろうという合わせ方です。

腹文は、やはり四角い取り方の中に笹とフクロウの羽根が描かれています。

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写真2番目は、花也の名古屋帯「槇に流水」を合わせてみました。槇は、ダンマル描きの上に一部金加工、さらに一部を金糸で刺繍をしています。ダンマル描きだけ、+金加工、+金刺繍、と段階を付けることで遠近感を出しています。砂子は白いので、ダンマルではなく友禅の糊による防染でしょうか。

槇からドングリが落ちるわけではないですが、木の模様の下に実の模様が有ると、木から落ちたという意味かと錯覚しますね。

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写真3番目は、藤井絞の名古屋帯「六葉花」を合わせてみました。6枚の花弁の花は家紋や瓦の模様としては有名ですが、実際には珍しいようで、私はこの植物の本当の名前がわかりません。ハナニラも花弁は6枚ですが、木の花じゃないですしね。

絞りの技法としては、浸けない邪道の絞りです。絞りというのは絞った後に染液に浸けるのが本当ですが、絞った後に筆で着彩するだけの絞りもあります。有名な個人作家のものは、じつはたいていこのような絞りで、藤井絞にいるような本当の絞り職人からすれば邪道なのですが、この作品では邪道をしています。結果は、ホンモノの職人がニセモノを作ると、さらに上手くなる、ということでした。

ホンモノの浸ける絞りは、技術的に制約があるので色数やデザインにも制約があるのです。浸けないで済めばデザインの制約が少ないので、思い通りの色数やデザインができるということです。

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写真4番目は、藤井絞の名古屋帯を合わせてみました。お太鼓部分を縦に半分に染め分けていますがその境界線は縫締絞りを思わせる凹凸があります。絞りによる染分けは、その実際の工程を考えると、直線というのは花のような丸い形より難しいわけですね。そのために絞りの痕跡である凹凸がありがたいわけですね。

更紗部分は友禅や金線も併用していますが、主要な花のいくつかは絞りなんですよ。

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写真5番目は、花也の名古屋帯を合わせてみました。着物の模様が、華やかさ無い堅い実だけなので、帯で思い切り華やかな多色の花にしてみました。
[ 2016/08/14 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛の着尺「どんぐり」

第三千四百七十二回目の作品として、千切屋治兵衛の着尺「どんぐり」を紹介します。

ドングリを知らない人はいないですが、子供のころ校庭でよく拾ったドングリがなんの木の実であったかは今もわかりません。wikiによれば、ブナ科の木の実の総称で、ドングリそのものから木の種類を特定するのは難しいそうです。「属」までは分るということですが。

着物の模様としては、気になるのは季節ですよね。リスやクマなど冬眠する動物が食溜めするわけですから秋から冬でしょう。季節を先取りするということで、秋の単衣でも使えると思えば用途は広がります。

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いちばん上の写真は、反物の幅を写真の幅として撮ったものです。ドングリは、1個、2個あるいは3個をグループにした飛び柄です。デザインは、細部を省略した輪郭のみの表現。白揚げで、一部を彩色していますが、色のパターンは一定ではないですし、グラデーションを多用していますから、手彩色の方が合理的でしょうね。色は自然の色を考慮せず、青や緑を自由に使って装飾的です。

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写真2番目は、少しずらして反物の幅を写真の幅として撮ったものです。これでだいたい模様が一巡するのではないでしょうか。

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写真3番目は、近接です。

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写真4番目は、近接です。

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写真5番目も近接ですが、上と同じ模様ですね。型が一巡するたびに同じ模様が出てきますが、そのたびに色を変えているようです。

音丸耕堂の帯留「椿」の帯合わせ

第三千四百七十一回目は、音丸耕堂の帯留「椿」の帯合わせです。

今日は織の帯と合わせてみました。それぞれの腹文の上に載せています。

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いちばん上の写真は、紫絋の8寸の名古屋帯「テンガナン菱文」を合わせてみました。紫絋でも名古屋帯が織られていました。テンガナンとはバリ島にある村で、経緯の絣が織れるところだそうです。経緯の絣が織れるのは、日本とテンガナンだけじゃないでしょうか。

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写真2番目は、帯屋捨松の8寸の名古屋帯「菱市松」を合わせてみました。人気の帯屋捨松の8寸です。私は大好きですが、ネットショップでも売られているので、価格競争になりがちなのが商売人としては辛いところ。ユーザーはネットでいちばん安いところで買えば良いでしょう、どうせ同じなので。

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写真3番目は、8寸の名古屋帯「献上市松絣」を合わせてみました。金谷という西陣の織屋が制作したものですが、「まことのすくい」で有名なまこと織物の分家のようです。大きい証紙番号の織屋が良い帯を作っている場合、たいてい番号の若い老舗の分家ですね。西陣の帯ですが、地方の紬のような素朴な経絣です。

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写真4番目は、秋山真和の8寸の浮織の名古屋帯を合わせてみました。沖縄の伝統の浮織で織っています。首里の工房で制作したものでしょうか。

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写真5番目は、越後上布の8寸の名古屋帯を合わせてみました。苧麻によるホンモノの証紙付きの越後上布です。

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写真6番目は、千葉よしのの藍で染めた8寸の名古屋帯を合わせてみました。海みたいな青が良いですよね。
[ 2016/08/12 ] 小物と小物合わせ | TB(0) | CM(0)

音丸耕堂の帯留「椿」の帯合わせ

第三千四百七十回目は、音丸耕堂の帯留「椿」の帯合わせです。

今日は染めの帯と合わせてみました。それぞれの腹文の上に載せています。

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いちばん上の写真は、花也の友禅の染め帯「羊歯」に合わせてみました。友禅の糊を置く糊筒の先端は口金がついていますが、金属である口金を絵筆のように操って、羊歯の葉を描くという名人芸的な作品です。友禅の蒸しの工程により、糊糸目は赤っぽく変色しています。(本来は乳白色になるところですが、それを超えてしまっているんですね。)そのために堆朱の色と合うようです。

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写真2番目は、花也の友禅の染め帯「斜め取り椿」に合わせてみました。平面の友禅の椿と、立体の帯留の椿をだまし絵的に重ねる組み合わせで、帯留の使い方のテクニックの1つですが、質感が違いすぎて騙し絵になってないですね。

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写真3番目は、野口の友禅の染め帯「貝桶」に合わせてみました。実際に制作したのは橋村重彦さんです。先日も紹介した帯の腹文です。中井淳夫を引き継ぐ重厚な色彩と堆朱の重い赤は相性が良いです。

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写真4番目は、野口の友禅の染め帯「花車」に合わせてみました。友禅の糸目というよりも筒描きを思わせるような素朴な輪郭線を持つ作品です。技術的に高いレベルを持つ作品とは全然思わないですが、これも味わいですね。

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写真5番目は、江戸刺繍の名古屋帯に合わせてみました。堰出しの疋田と江戸刺繍の帯です。刺繍の立体感と帯留の立体感の組み合わせです。

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写真6番目は、花也のダンマルと箔の染め帯「松笹文」に合わせてみました。ダンマル描きで防染した上に縁蓋を使って金加工したものです。美しいが光らない金と、美しいが鮮やかでない赤の組み合わせです。渋い名優どうしの演技みたいな感じですね。

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写真7番目は、蛭子屋の南部古代型染の染め帯に合わせてみました。紬地に藍染で牡丹唐草を型染したもので、素朴な雰囲気に合うか試してみました。
[ 2016/08/11 ] 小物と小物合わせ | TB(0) | CM(0)

音丸耕堂の帯留「椿」

第三千四百七十回目の作品として、音丸耕堂の帯留「椿」を紹介します。

古裂会のオークションで買ってみました。ものすごく存在感のある堆朱ですが、実際に帯に合わせるとどうなるでしょうか。

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いちばん上の写真は、正面からです。

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写真2番目は、裏を撮ってみました。落款は「耕堂」でよくあるもの。留金が貧弱なのがちょっと気がかり、古いものか。

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写真3番目は、漆の重なりがよくわかるように斜めから撮ってみました。地層のように重なっているところが、彫ることで模様として浮かび上がるんですね。

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写真4番目も、漆の重なりがよくわかるように斜めから撮ってみました。

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写真5番目は、箱の蓋の表側。

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写真6番目は、箱の蓋の裏側。
[ 2016/08/10 ] 小物と小物合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の付下げ「波」の帯合わせです

第三千四百六十九回目は、花也の付下げ「波」の帯合わせです。

今日は友禅の染め帯で合わせてみました。友禅というのは絵画性・物語性が高いのが特長で、それゆえに着物と帯の模様が友禅どうしだと相性が悪いのですが、今回の着物は波のみで絵画性や物語性が低いので、あまりぶつからないのではないかと思います。

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いちばん上の写真は、大羊居の名古屋帯「楽園」を合わせてみました。波だけの着物は、帯合わせの許容範囲が広いので、ふだん使いづらい個性の強い帯を使うチャンスですね。

この「楽園」は、野口真造の黒留袖「象のいる天国」のダイジェスト的な作品です。白い象は、釈迦生誕の直前に摩耶夫人が見た夢を連想させ、仏教的な感じがしますが、オリジナルの「象のいる天国」ではこの周りにさらに天使が飛び回っており、カオス的な魅力のある作品になっていました。私はそういうのが大好きなんですけどね。

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写真2番目は、大羊居の名古屋帯「寿桃」を合わせてみました。桃は大羊居の得意なモチーフで格の高い黒留袖などにも登場します。油絵のような濃厚なタッチで描かれつつ、東京友禅的なすっきり感もあります。これはおそらく、濃厚な色と色が直接接することなく、必ず間に白を挟んでいるからではないかと思います。そういう知恵やテクニックの有無が、野暮と洗練を分けるんじゃないでしょうか。

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写真3番目は、大松の名古屋帯「楓取り海浜風景」を合わせてみました。江戸時代の小袖にもあって、江戸解模様などとも言われる海浜風景をテーマにしたものですが、その雄大な風景を小さな1枚の楓の葉の中に閉じ込めています。友禅の意匠の基本である取り方のスタイルではありますが、小さいものの中に大きいものが入っているというナルニア的な面白さもありますね。

流体である波は取り方の中に大人しく納まっていますが、芦の葉や松や笹ははみ出しています。その辺に図案のテクニックがありますね。

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写真4番目は、野口の友禅の名古屋帯「貝桶」を合わせてみました。実際の制作したのは橋村重彦で、橋村さんの野口時代の最後ごろの作品ではないかと思います。貝桶は、江戸時代の小袖や袱紗にある模様で、それをほぼ踏襲していますし、それらの過去の名品と同じぐらいの存在感があります。江戸時代と同じ糊糸目で描かれているのですから、橋村さんは最盛期の友禅に匹敵する技量を持っていることの証拠でもありますね。

貝桶のテーマは夫婦を連想させますから、あまり歳をとると、今さら感もあって照れ臭いところもあります。知り合いの結婚式に着て行くのは良いですね。

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写真5番目は、野口の友禅の名古屋帯を合わせてみました。牡丹模様と花菱文をあわせていますが、江戸時代の小袖の模様をほぼ写して、帯のお太鼓に収まるようにアレンジしたものです。
[ 2016/08/09 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の付下げ「波」の帯合わせ

第三千四百六十八回目は、花也の付下げ「波」の帯合わせです。

今日は、意味など意識せず、すごくフォーマルからそこそこフォーマルまで、適当に合わせてみました。

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いちばん上の写真は、坂下織物の袋帯「御門綴」シリーズの1本「寿松彩重ね」を合わせてみました。坂下織物は10年以上前に廃業していますが、「御門綴」シリーズはスペシャルなフォーマルのシリーズでした。地の部分は綴組織で、模様は絵緯糸で表現しています。

この帯は黒留袖にもふさわしいフォーマル感のある作風ですが、この波の付下げと合わせると、友人や親戚の結婚式ぐらい行けそうですね。

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写真2番目は、織悦の袋帯「若松」を合わせてみました。同じ松のテーマでも、こちらは若松です。これから育つということで、「将来性」も加わった縁起の良いテーマです。坂下と織悦の雰囲気の違いでもありますが、上の作品がドフォーマルで権威的であるのに対し、こちらは都会的な洗練を感じます。

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写真3番目は、じゅらくの「帝王紫」シリーズの1本を合わせてみました。吉岡常雄の貝紫を使ったシリーズの、極初期の、まだ吉岡常雄本人が存命だったころのものです。同じような意匠の本人による染め帯もあるので、図案も本人によるものでしょう。

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写真4番目は、龍村の名古屋帯「竹屋町兎文」を合わせてみました。

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写真5番目は、龍村の袋帯「郁芳間道」を合わせてみました。波という文様は、いろんな組み合わせができるものなので、個性の強い帯を合わせることができますが、あえてなんでも合わせられる間道を合わせてみました。余裕のある帯合わせで、その「一生懸命でない感じ」が都会的に感じるのではないでしょうか。

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写真6番目は、龍村の袋帯「清風間道」を合わせてみました。
[ 2016/08/08 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の付下げ「波」の帯合わせ

第三千四百六十七回目は、花也の付下げ「波」の帯合わせです。

今日は、波というテーマを考えて、意味ありげな帯合わせを考えてみました。私は、帯合わせというのは「色」が大事で、「意味」で合わせるのはかっこいいが余興みたいなもの、と思っています。でも波というのは、意味が作りやすいですよね。例えば、ありふれた花模様を合わせても花筏のように見えますし。

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いちばん上の写真は、龍村の名古屋帯「ほかけ」を合わせてみました。海に船、という誰でも思いつく帯合わせです。しかし「船」というテーマは、海景にするよりも「船出」ということにして、入学式や卒業式に着る方がクレバーですね。

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写真2番目は、大西勇の袋帯「有栖川龍文」を合わせてみました。

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写真3番目は、龍村の袋帯「波兎遊跳文」を合わせてみました。謡曲「竹生島」を地で行くような帯合わせ。

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写真4番目は、織悦の袋帯「立沸遠山文」を合わせてみました。「立沸文」は有職文様で、海から水蒸気が上がっているという雄大なテーマ。さらに遠山を合わせることで、海と山という世界の全部みたいな帯合わせをしてみました。

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写真5番目は、洛風林の袋帯を合わせてみました。亀甲→海と海亀ということで。

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写真6番目は、花也の名古屋帯「千鳥と波の丸」を合わせてみました。紗の部分と平織の部分が縞状に半々になっている生地です。花也のオリジナルの生地ですから、他では見ないと思います。紗が使ってあるから夏物とも言えますし、紗と平織が半々だから平均して単衣用とも言えますね。

オリジナルの生地で、花也の顧客以外は持っていないのですから、着る時期は単衣時期から盛夏まで、都合のよいように自分で決めていいと思います。
[ 2016/08/07 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の付下げ「波」の細部

第三千四百六十六回目は、花也の付下げ「波」の細部です。

糊糸目で表現された波の形を近接で撮ってみます。

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いちばん上の写真は、マエミの近接で、あしらいがある部分です。波頭の一部が金糸のあしらいになっています。その場所を強調してアイキャッチポイントとするとともに、金糸であるために陽光を浴びて輝いているようにも見えます。

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写真2番目は、オクミの近接で、あしらいがある部分です。波の線の一部が金加工してあります。波の線の形を括るのではなく、上面のみを金線にしてあります。そのため単なる強調ではなく、波の上の面だけに陽光が当たっているという写生的な表現に見えます。

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写真3番目は、マエミの近接です。波の線に地染の暈しが重なると、海がうねっているように見えます。本当は、糸目の工程と地染めの工程は別なので、職人どうしが連携しているのか、偶然なのかよくわかりません。しかし、制作者や下絵師は地色のグラデーションの上に乳白色の糸目が乘る効果を計算しているでしょう。

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写真4番目は、背中心辺りの近接です。波の形は、写実というより日本画の伝統的な様式ですが、十分に動きも感じますし、心理的にはリアルですよね。
[ 2016/08/06 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

花也の付下げ「波」

第三千四百六十五回目の作品として、花也の付下げ「波」を紹介します。

全身が波だけの付下げです。波だけというと単純で物語性もなくつまらない気もしますが、よく見ると糊糸目で描かれた逆巻く海の波は結構ドラマティックで見どころがあります。そしてなにより帯合わせが楽ですよね。季節も場所も選ばないですが、津波の被災地だけは避けるべきかも。

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いちばん上の写真は、前姿(マエミ+オクミ)です。糊糸目なので、糸目の色は白ではなく乳白色です。地染は暈しでグラデーションになっていますが、グラデーションの上に乳白色の糸目の線が乘ると、波のうねりのように見えて、琳派の波でありながら写生の波のように見えます。

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写真2番目は後姿です。波はオクミの部分がいちばん高く、マエミからどんどん坂になって下がってきて、背中心を越え、下前の手前で裾にたどり着いて消えるという、大きな三角取りの意匠です。

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写真3番目は袖です。グラデーション効果+乳白色の糸目、の効果が出ています。

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写真4番目は胸です。


[ 2016/08/05 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛の振袖の帯合わせ

第三千四百六十四回目は、千切屋治兵衛の振袖の帯合わせです。

今日は金地以外の帯を合わせてみました。

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いちばん上の写真は、織悦の袋帯を合わせてみました。大きくてシンプルな桜と楓をモチーフにしたものですが、それぞれの意匠は慶長小袖にあるものですね。黒地で金と朱色なので、配色としては着物と一緒ですから、色数を増やさない帯合わせということになりますね。模様自体が大きくてシンプルなので、色が同じでも埋没しないのではないかと思います。

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写真2番目は、織悦の袋帯を合わせてみました。朱色の地に雪輪を並べたシンプルな意匠です。黒地に朱色という組み合わせは基本ですね。

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写真3番目は、帯屋捨松の袋帯を合わせてみました。帯屋捨松らしいペルシア風のテーマの作品です。地色も中東の青空のような色です。この振袖は、模様はいっぱいついていますが、色は黒と金と朱色だけと限定してつくってあるので、野暮にならないんですね。素の振袖に異質な青を合わせてみました。

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写真4番目は、大匠の袋帯を合わせてみました。太いポリエステルフィルムを多用した豪華絢爛な袋帯です。着物について中途半端な知識しかないと、本金や絹がホンモノでポリエステルがニセモノなんて思ってしまいますが、こういう作品を見ると、西陣の織物は素材を自由に選んで創る創作品なんだなあとわかります。

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写真5番目は、龍村の袋帯「王朝華映錦」を合わせてみました。龍村の帯の鎧モチーフといえば、「威毛錦」が有名ですが、その振袖にも使えるバージョンです。色数を増やす帯合わせになっていますが、上品さは変わらないですね。
[ 2016/08/04 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛の振袖の帯合わせ

第三千四百六十三回目は、千切屋治兵衛の振袖の帯合わせです。

今回の振袖は大女優みたいな着物ですよね。どんなドラマに出ても存在感がありすぎて主役しかできないから、かえって仕事を減らしてしまっているということもあります。そういう人が人生のパートナーを探すとなると、もっと難しい。大金持ちの超有名人でなければ元マネージャーということになるのでしょうか。売れてる芸人とかそこそこの人はダメみたいですよね。

今回の帯合わせもとても悩みました。基本的な考え方は、この振袖を屈服させるような豪華な帯がこの世にあるのか、無地系のあっさりした帯でありながら質的にこの帯に釣り合うようなものがあるのか、というところですね。とりあえず今日は金色の地の帯を集めてみました。色を足さない発想です。

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いちばん上の写真は、紋屋井関の「御寮織」の1本を合わせてみました。正倉院御物の「銀平脱の合子」で、象と鸚哥という個性のあるテーマですが、全体が明るい金色のみ(金糸と白の絹糸が経緯で交じる)で、よく見ると豪華ですが遠目にはあっさりと見えます。

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写真2番目は、大西勇の金地の袋帯を合わせてみました。地は流水、模様は華やかな多色の草花文ですが、個々の模様の大きさは小さく、意外と着物の模様と干渉しあわないですね。

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写真3番目は、織悦の金地の袋帯を合わせてみました。正倉院裂の意匠を代表するような唐花文です。正倉院の唐花文は主文と副文から成り、帯の意匠は普通は主文を主役にしますが、これはなんと副文を主役にして、主文は両端に半分ずつ織り出されています。模様に極めて近接しているために、全体の意匠としてシンプルで余白も多くなっています。

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写真4番目は、河合美術の手織りの袋帯を合わせてみました。河合美術は普通バージョンと手織りバージョンがあって、普通のものは気の利いた意匠ですが、手織りは馴染めない印象が強いです。私の気のせいでしょうか。たくさん織れてしまう機械織りは万人受けでなくてはならないが、少ししか織らない手織りは少数の人にだけ愛されれば良いということなんでしょうね。スタンダールが小説の最後にいつも英語で書いた「for the happy few」の心境なんでしょう。

この帯も、色は金と黒だけ、模様は菊の花が並んでいるだけというもので、良いデザインなのか悪いデザインなのかわかりません。ただ存在感だけはすごく有って、この振袖のパートナーは務まりそうですね。

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写真5番目は、かのう幸の袋帯を合わせてみました。近世に制作されて今も実在する「雪持ち柳胴服」に取材したものです。存在感のある唐織です。
[ 2016/08/03 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛の振袖の続き

第三千四百六十二回目は、千切屋治兵衛の振袖の続きです。

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いちばん上の写真は、鳳凰のいないところを撮ってみました。この作品は、鳳凰と桐がテーマですが、実際に着てみると金加工された鳳凰の尾羽がぐるぐる全身を取り巻くように描かれていて、実際に着てみると黒と金の曲線模様のようにも見えるかもしれません。モデルさんを使って、実際に着たらどんな風に見えるか試してみます。

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写真2番目は、モデルのポプちゃんに着てもらいました。

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写真3番目は、モデルのポプちゃんに着てもらいました。

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写真4番目は、モデルのチャツポンに着てもらいました。

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写真5番目は、鳳凰の顔を斜めから撮ってみました。刺繍の立体性がよくわかるように、斜めから撮ってみました。

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写真6番目は、鳳凰の体の刺繍の多めのところを斜めから撮ってみました。
[ 2016/08/02 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)