龍村の絽の名古屋帯「秋涼」の帯合わせ

第三千三百九十九回目は、龍村の絽の名古屋帯「秋涼」の帯合わせです。

今日は紬とカジュアルを合わせてみます。

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いちばん上の写真は、夏塩沢を合わせてみました。強く撚りがかかった糸で紗の組織になっています。細い縞です。

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写真2番目は、夏久米島を合わせてみました。経緯とも手紡ぎの糸で織られた織物で、手触りは少しざらっとした感じで、風が通りそうです。手紡ぎの糸で織った織物というのは、顕微鏡で見ると、糸を撚ったというよりも束ねただけのように見えます。

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写真3番目は、小千谷縮を合わせてみました。現代のラミー糸による普及品ですが、珍しい絵絣です。今普通に販売されているラミー糸の小千谷縮は、無地、縞と格子、経絣までが多いですが、かつて「まつりばやし」というブランドで絵絣が制作されたことがありました。今もあると思いますが。

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写真4番目は、東郷織物の夏大島を合わせてみました。大島紬というのは、締め絣という技法で細かい蚊絣や亀甲絣をつくって手織りされたものが高いので、それ以外のものは高いわけではありません。これは格子ですので、10万円以下で販売されるものです。でもお洒落という視点では全然変わらないので、商品としては良いですよね。

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写真5番目は、絹紅梅を合わせてみました。紅梅というのは「勾配」の意味で、江戸の人の駄洒落です。江戸時代は現代よりも「かな」で表記していたので、駄洒落文化が発達しやすかったのでしょうね。太い糸と細い糸を併用して織ることで生地に「勾配」が生じるということですが、そうすることで生地が体にぴったりつかず風が通るから涼しいということです。

この着物は、絹紅梅の生地に藍染したものです。絹紅梅には藍による型染をして浴衣っぽくしたものと、多色に染めて正絹の小紋っぽくしたものがあり、加工次第でカジュアルにもフォーマルにもなるようです。
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[ 2016/05/31 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

龍村の絽の名古屋帯「秋涼」の帯合わせ

第三千三百九十八回目は、龍村の絽の名古屋帯「秋涼」の帯合わせです。

今日は染の着尺を合わせてみます。

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いちばん上の写真は、千切屋治兵衛の絽の着尺を合わせてみました。実際に制作したのは大和さんです。型疋田をつなげて縞のような意匠にしたものです。地色は焦げ茶色ですが、白い長襦袢の上に着ればもう少し淡い茶色になるでしょう。

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写真2番目は、千切屋治兵衛の立絽の着尺を合わせてみました。実際に制作したのは大和さんです。柴垣がテーマで地色は小豆色です。

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写真3番目は、野口の短冊模様の立絽の着尺を合わせてみました。短冊の模様は、墨描き濃淡を思わせるタッチです。

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写真4番目は、野口の雪輪と縞の模様の絽の着尺を合わせてみました。

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写真5番目は、更紗模様の紗の着尺を合わせてみました。この着尺はまだ紹介していませんでした。近日お見せする予定です。
[ 2016/05/30 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

龍村の絽の名古屋帯「秋涼」の帯合わせ

第三千三百九十七回目は、龍村の絽の名古屋帯「秋涼」の帯合わせです。

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いちばん上の写真は、花也の付下げを合わせてみました。生地は、紬のような風合いの絽で、模様は松皮菱取りです。取り方の中の植物は笹と榧です。

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写真2番目は、花也の付下げを合わせてみました。生地は変わり織の絽になっていて、絽のパターンの違いにより市松模様が浮き出るようになっています。その地紋に沿って連携するように友禅による市松の取り方が描かれています。描かれているのは初夏~初秋までの植物です。

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写真3番目は、野口の紗の付下げを合わせてみました。江戸後期の小袖に多く見られる意匠で、王朝時代の歌の主題の1つ「塩釜」をテーマにしています。百人一首の藤原定家の「来ぬ人をまつほの浦の夕なぎに焼くや藻塩の身も焦がれつつ」が一番知られていますね。いくつかの島が描かれていますが、それぞれの島に潮汲みの桶や薪、藻塩を焼くための臺が描かれています。

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写真4番目は、野口の紗の付下げを合わせてみました。小袖の意匠を写した菊です。着物と帯で、菊と萩の2種類の植物になります。このような帯合わせは季語が2つあるように見えてしまうでしょうか。どちらも青系で、色が調和してきれいなんですけどねえ。

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写真5番目は、千切屋治兵衛の付下げを合わせてみました。「絹芭蕉」という商標を持つ生地ですが、一般名は玉紬です。単衣用に作られた付下げで、描かれているのは京野菜です。
野菜は青の濃淡で描かれ、金彩の代わりに銀彩が使われています。夏を意識した配色です。

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写真6番目は、千切屋治兵衛の付下げを合わせてみました。絹芭蕉の生地を使った単衣用の付下げですが、芒と蜻蛉が描かれていて初秋専用ですね。
[ 2016/05/29 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

龍村の絽の名古屋帯「秋涼」

第三千三百九十六回目の作品として、龍村の絽の名古屋帯「秋涼」を紹介します。

連続して3点、龍村の絽の名古屋帯を紹介してきました。今回の「秋涼」は萩をテーマにしており、前の「かすみびし」と「風矢羽」にくらべて具象的で絵画的に鑑賞しやすいです。呉服の展示会などで作品が並んでいれば、どうしても絵画的に鑑賞できるものが買いたくなりますよね。実際に身に付けて買うならば、じつは抽象的な模様の方が使い勝手が良かった、なんて気づくこともありますが。

女性用の着物を着ることが無いおじさんの呉服屋さんが仕入れに行って、新作の並んだ発表会で仕入れをすると、どうしても絵画的に美しいものが多くなってしまうものです。

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いちばん上の写真はお太鼓です。風に秋を感じることが多くなった季節、その秋風に吹かれる萩の花、というテーマです。地の濃淡は秋風の表現でしょうか。夏後半にしか身に付けられない意匠ですが、夏の着物の時期は短いのにそれをさらに前半と後半に分けないといけないのは、仕入れなければいけない私、そして買う立場のユーザーにもつらいところです。

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写真2番目は、腹文です。秋風に吹かれていますねー。

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写真3番目は、お太鼓の近接です。模様は絵緯糸による表現ですが、糸の色の濃淡で奥行表現をしています。

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写真4番目は、お太鼓の近接です。萩の先端に行くにしたがって、糸の色は淡くなります。地の濃淡もそれに合わせて淡くなるので、模様と地の色が調和しているんですね。

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写真5番目は、お太鼓の拡大です。萩の葉の白い部分を拡大してみると、微妙に銀糸が混ぜられているのがわかります。陽が当たらない根元の方は青、陽が当たる葉先は白、さらに当たるところは銀糸を混ぜて輝きを演出しているのです。普通の写真で見ると銀糸が混ぜられているのは気が付かないので、拡大してわかる程度の混ぜ率なのです。仕掛けは分らないが、なんとなく明るく見える、というところを狙っているんですね。

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写真6番目は、お太鼓の近接です。この帯の模様の中で唯一の赤です。効き色として使われています。赤は一か所だけなので効き色効果は大きいですね。

映画の演出で、血が飛び散るシーンで観客に衝撃を与えたい時は、そのシーンの前の数分間は画面に赤い色が写らないようにするそうです。そう思ってから、いちばん上のお太鼓全体の写真を見ると、やはり同じ原理の演出がされていることがわかります。

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写真7番目は、同じ部分の拡大です。留め糸にも赤が使われています。徹底して効き色効果を狙っているのです。

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写真8番目はタイトル部分です。こう書かれちゃうと、8月後半まで身に付けられませんね。迷惑タイトルかも。
[ 2016/05/28 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

龍村の絽の名古屋帯「風矢羽」の帯合わせ

第三千三百九十五回目は、龍村の絽の名古屋帯「風矢羽」の帯合わせです。

今日は織物とカジュアルを合わせてみます。

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いちばん上の写真は、首里織の作家、伊藤峯子の花倉織を合わせてみました。花倉織は、花織と絽織を組み合わせた複雑な織物です。こちらは首里織なので、ちゃんと「花倉織」と名乗ることができるものです。

着物を分類するときに、京都など中央で制作される友禅はフォーマル、絣など地方で織られる織物はカジュアルという区別がありますが、首里は日本の地方ではなく琉球王国の首都ですし、その織物は王家の官服ですから、理屈で言えばフォーマルですよね。だからといって結婚式で着ろと言うわけではないですが、龍村の名古屋を合わせる相手にはちょうど良いように思います。

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写真2番目は、夏琉球を合わせてみました。琉球壁上布ともいわれますが、壁糸を緯糸に使っているためにそういわれるのだと思います。壁糸については、検索していただいた方が早いですが、強く撚りをかけた糸を、芯糸にする細い糸に巻きつけるように撚りあわせた糸です。

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写真3番目は、真栄城興茂の琉球美絣を合わせてみました。木綿地で藍の色の濃淡が美しい作品です。


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写真4番目は、齋藤頴さんの舘山唐桟を合わせてみました。唐桟は近世初期に東インド会社経由で輸入されたものですが、江戸中期には国産化され、川越がいちばん有名な産地で川唐と呼ばれました。

明治の初期に士族に生活手段を与えるため、各地に授産所が作られましたが、舘山の唐桟も授産所を通して川唐の技術が伝授されたものです。当時授産所で木綿の縞を織る技術を修得した士族は他にもあったでしょうが、手織りとして継続しているのは舘山だけです。一度失われて、美大などの出身者が作家として木綿の縞を復興させた例はいくつかあり、現在は川唐もそのようにして復興しています。

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写真5番目は、藤井絞の雪花絞の浴衣を合わせてみました。これも先日紹介したものと同じ、藤井絞が有松絞の工房に外注して作ったものです。本家の有松が木綿であるのに対し、藤井絞は麻が50%混じった生地を使っています。

麻が混じると生地に光沢が生じ、雪花絞を江戸切子のように見えますね。
[ 2016/05/27 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

龍村の絽の名古屋帯「風矢羽」の帯合わせ

第三千三百九十四回目は、龍村の絽の名古屋帯「風矢羽」の帯合わせです。

今日は夏の小紋(染めの着尺)を合わせてみます。「風矢羽」というテーマはシンプルで物語性や絵画的な面白さやに欠けますが(矢羽が風に吹かれているところをアニメ的に表現をしているところがちょっと面白いが)、その代わり合わせる着物に制約が無いという良さがあります。

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いちばん上の写真は、野口の絽の着尺を合わせてみました。笹の模様ですが、小袖にある意匠を小紋用にアレンジしたものです。笹の葉の一部が型疋田になっているのも小袖の意匠を引き継いでいるからです。

小袖の意匠を写したということであれば、小紋の中でもフォーマル要素の強い着物ということになります。小紋ではカジュアルすぎる、付下げではフォーマルすぎるという時の着物だと思います。たとえば、着物を着て食事会という時に、他の参加者は小紋で来るのかなあ、付下げで来るのかなあ、なんて迷う時です。

帯もまた、ドフォーマルイメージの龍村の名古屋帯ということで、中途半端感が合っていると思います。

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写真2番目は、野口の絽の着尺を合わせてみました。これもまた小袖にある意匠を小紋用にアレンジしたものです。花と葉の一部が型疋田になっているのも小袖の意匠を引き継いでいるからです。

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写真3番目は、千切屋治兵衛の絽の小紋を合わせてみました。これは付下げ小紋といって、仕立てる時に指定された場所で裁つと、模様が全て上を向くというものです。本来は人物や建物の模様が多いですが、この小紋ではどうでもいいように思うのですが楓が上を向いています。

肩山で上下が切り替わるところは、よく見えるわけですから不自然に模様が途切れたらおかしいです。この着物は実に巧みに気が付かないうちに模様が切り替わります。いつか機会が有ったらお見せしますね。

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写真4番目は、知念貞夫の紅型の着尺を合わせてみました。生紬(「生紬」はしょうざんの商標で一般語は「玉紬」だが、現実には「生紬」という言葉の方が使われている)の生地を使っていて、単衣に向いています。
[ 2016/05/26 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

龍村の絽の名古屋帯「風矢羽」の帯合わせ

第三千三百九十三回目は、龍村の絽の名古屋帯「風矢羽」の帯合わせです。

名古屋帯だからカジュアルにも使えますが、フォーマルのイメージが強い龍村ブランドですからフォーマルにも使えます。結局、幅広く使える便利な帯ということで、まず今日は付下げを合わせてみます。

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いちばん上の写真は、千切屋治兵衛の絽の付下げ「有職柳」を合わせてみました。実際に制作したのは市川さんです。市川さんは「染匠いちかわ」という屋号で、市川和幸さんといいます。

私は千切屋治兵衛の商品としてずっと扱っていますが、現在はメーカーや問屋を通さない商売もしているようで、息子さんがブログを書いています。作品も見ることができますね。色はこんな感じで、華やかで上品でありつつ、京友禅らしい朱色や緑も堂々と使って、今の流れに媚びないですよね。(今だったらピンクや水色でパステルカラーっぽくまとめたがるでしょう)

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写真2番目は、野口の絽縮緬の付下げを合わせてみました。絽縮緬なので、普通の絽よりも着られる期間は長いです。そのかわり盛夏は避けるべき、と昔は言われましたが、今はずっと着て良いことになったようです。着付け教室のテキストなどを見てもそういうことに変わっています。

描かれているのは水辺の芦で、流れとともに描かれています。芦であれば初夏でも初秋でも通用するので、絽縮緬のシーズンとも合っています。色は野口らしく紫や辛子色が効果的に使われていて、派手でないのに華やかです。華やかにしようと思って朱色を使うと派手になって若向けになってしまうんですね。朱色の代わりに紫と辛子色を使うことで年輩者が着られる華やかな着物にしています。

普通は派手と華やかを同一のものと思ってしまいますが、それが別のものだと気が付いて、年輩者が着られる華やかな着物を作った、それが野口の得意技なのだと思います。
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写真3番目は、野口の紗の付下げを合わせてみました。菊を描いた作品ですが、小袖の意匠をほぼ写したものです。青が効き色になっていて、とても美しいです。これが野口のセンスですね。

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写真4番目は、花也の紗の付下げを合わせてみました。ワインをテーマに裾に葡萄の蔓を描いた単衣の時期も盛夏も着られる着物です。糊糸目で描かれた葡萄の蔓が上手です、この辺が下絵師の技ですね。

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写真5番目は、野口の紗の付下げを合わせてみました。菊や萩など秋の花を大きく描いた華やかな着物です。呉服業界はこの30年、小付けの模様をやってきましたから、もうそろそろ反動で、大柄が流行るんじゃないかと思っています。
[ 2016/05/25 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

龍村の絽の名古屋帯「風矢羽」

第三千三百九十二回目の作品として、龍村の絽の名古屋帯「風矢羽」を紹介します。

以前、紺色地を紹介したことがありますが、今日紹介するのは薄紫色地です。

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いちばん上の写真はお太鼓です。

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写真2番目は腹文です。

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写真3番目は近接です。たまたま綺麗に撮れた腹文の矢羽を掲載したので、生地の絽の目が縦に見えています。

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写真4番目は、さらに近接です。地が絽で、矢羽の模様は絵緯糸で表現しているのがわかります。矢羽の先端は、色に濃淡があり、しかも端が凹凸になっています。スピード感の表現ですが、アニメみたいな手法ですね。

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写真5番目は、矢羽の軸の金糸部分を拡大してみました。輝度の高い撚金糸を束にして使っています。立体感もあるしすごく力強い表現です。

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写真6番目は、タイトル部分です。
[ 2016/05/24 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

大羊居の付下げの帯合わせ

第三千三百九十一回目は、大羊居の付下げの帯合わせです。



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いちばん上の写真は、龍村の袋帯「王朝華映錦」を合わせてみました。色彩も物語性も満載の大羊居の付下げなので、それに負けないように華屋かな帯を合わせてみました。

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写真2番目は、帯屋捨松の袋帯を合わせてみました。捨松の帯の意匠にはいろいろありますが、ペルシア模様のイメージ強いですね。着物において中東に取材した具象的なテーマ(人物)が描かれていますから、帯では同じ地域の抽象的な模様を合わせています。こういうのは帯合わせの基本パターンの1つで、例えば着物が更紗模様のパターンであれば、帯はその地域の具象的なモチーフである象や鸚哥ということがありますね。

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写真3番目は、帯屋捨松の袋帯を合わせてみました。これも上と同じ発想によるもので、色を地味にしてみました。でも模様自体は大きくなっているんですよ。

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写真4番目は、織屋がわからない袋帯を合わせてみました。「織屋がわからない」というのは理由があって、問屋さんから「洛風林同人によって織られた実質的に洛風林の帯です。」と言われて仕入れたからです。最近はないですが、少し昔は「実質的に洛風林」、「本来洛風林ブランドで販売されるものが横流しされた」なんていうふれこみの帯がよくありました。

洛風林というのは織屋ではなく問屋というカテゴリーになっていて、「洛風林同人」という別の人たちによって織られると公表されているので、流通過程で「実質的に・・・」というような話が生まれてしまうわけです。小売店からユーザーに販売されるときに「実質的に」という言葉が消えて、「洛風林」になってしまうと悪徳商法になってしまいますね。

この帯については、本金の引き箔も多用されていますし、微妙な光沢を得るために地に一定の割合でラメ糸を織り込むなど凝ったことをしています。その他にも仕掛けがあって、複雑なプログラムを組んで機械で織るより手織りした方が合理的な感じです。「洛風林」でなくても魅力的な帯ですね。

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写真5番目は、おび弘の袋帯を合わせてみました。モダンでシンプルな帯をわせたらどうか、ということで試してみました。呉服屋さんとしてはいきなりは勧めないですが、自分だったらするかもしれない帯合わせですね。
[ 2016/05/23 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

大羊居の付下げ

第三千三百九十回目の作品として、大羊居の付下げを紹介します。

写真を撮ってからブログに掲載するまでの間に売れてしまいました。これは販売のためのブログなので、宣伝してもしょうがないのですが、せっかく帯合わせまでしたのですし、とても魅力的な作品なので、さらっと紹介します。

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いちばん上の写真は、前姿です。アラビアンナイトの世界を思わせるエキゾティックなテーマの作品です。このようなテーマを友禅の世界に持ち込んだのは、おそらく大彦の野口真造でしょう。今の大羊居の社長のお父さんですよね。

ミニアチュールから題材を取ったと思われる人物に、イスラム建築を思わせる幾何学模様、アジアが原産地である薔薇の組み合わせです。

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写真2番目は、後ろ姿です。前姿が男女のカップルであるのに対し、後姿は女性1人です。これもミニアチュールに取材しているのでしょうが、物思いにふけっているように見えます。浮世絵でも同じようなポーズの「太夫物思いの図」というのがよくありますから、日本人も中東人も同じような感性があるんですね。

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写真3番目は、袖です。

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写真4番目は、もう片袖です。

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写真5番目は、前姿の人物の近接です。

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写真6番目は、後姿の人物の近接です。
[ 2016/05/22 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

龍村の絽の名古屋帯「かすみびし」の帯合わせ

第三千三百八十九回目は、龍村の絽の名古屋帯「かすみびし」の帯合わせです。

今日は紬とカジュアルを合わせてみます。

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いちばん上の写真は、林宗平の越後上布を合わせてみました。手績みの苧麻を使った越後上布は、宮古上布とともに夏物の最高級品です。

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写真2番目は、大城永光の花絽織を合わせてみました。これは少し昔の制作されたもののためラベルには「花倉織」とありますが、現在は首里織以外の産地で織られたものは「花倉織」と表示できないことになったため、花絽織といいます。

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写真3番目は、真栄城興茂の琉球美絣を合わせてみました。木綿地で藍の色の濃淡と福木の黄色の配置が美しい作品です。両者が重なると緑色になるんですね。日本の地租改正は明治の始めでそこから近代が始まりますが、沖縄の地租改正は明治の後半で、それまでは貢納布制度といってすべての織物を年貢として納めていたのです。

地租改正後、人は自由に織物を織りそれを売って得た現金を納税するようになりました。すると技術やセンスによって収入に差が生じます。さらに自分の作品をブランド化して売ったらさらに収入が増えます。こうして生まれた最初期の作品が大正期に創始されたこの「琉球美絣」です。

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写真4番目は、小千谷縮の格子を合わせてみました。重要無形文化財の小千谷縮は手績みの苧麻を使った越後上布と同格の高価な織物ですが、これはラミーを使った普及品です。とてもお洒落です。

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写真5番目は、藤井絞の雪花絞の浴衣を合わせてみました。雪花絞は本来有松絞の一技法で、これも有松の下請けで作られたものですが、本家の有松が木綿であるのに対し、藤井絞は麻が50%混じった生地を使っています。

麻が混じると涼しいと思うところですが、藤井絞が麻混の生地を使った理由はそれだけでなく、生地の光沢を求めてのことだと思います。麻を混ぜると木綿だけのばあいより光沢が生じ、雪花絞を江戸切子のように見せるのです。
[ 2016/05/21 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

龍村の絽の名古屋帯「かすみびし」の帯合わせ

第三千三百八十八回目は、龍村の絽の名古屋帯「かすみびし」の帯合わせです。

今日は小紋(染めの着尺)を合わせてみます。

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いちばん上の写真は、千切屋治兵衛の絽の着尺を合わせてみました。手描きのように見える(実際は型染)よろけた縞の小紋です。帯の意匠が、格の高い家紋がよろけたように見える「かすみびし」で、着物の意匠が、本来直線である縞がよろけたものですから、似たものどうしに組み合わせとも言えますね。

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写真2番目は、野口の夏の着尺を合わせてみました。太い絹糸と細い絹糸を併用した絹紅梅のような組織の生地を使っています。絹紅梅ですから、生地は枡の形がならんだようですが、それに対して四角が並んだような模様を型染し、さらに大きな市松模様の暈しを付けた、3つの四角の入れ子構造になっています。

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写真3番目は、千切屋治兵衛の絽の着尺を合わせてみました。市松模様で、その中には稲垣稔次郎を思わせる型染による型染らしい模様が入っています。

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写真4番目は、野口の紗の着尺に合わせてみました。草間彌生のドットのようにも見える薔薇の飛び柄です。

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写真5番目は、絽の江戸小紋に合わせてみました。地色は紫、模様は「波に千鳥」で、作者は広瀬雄望さんです。
[ 2016/05/20 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

龍村の絽の名古屋帯「かすみびし」の帯合わせ

第三千三百八十七回目は、龍村の絽の名古屋帯「かすみびし」の帯合わせです。

この帯は、付下げから小紋、紬まで幅広く使えそうです。その理由は、名古屋帯ながらフォーマルのイメージが強い龍村ブランドであること、意匠の菱文自体は、有職文の業平菱や大名の家紋である武田菱や三階菱を連想させフォーマル感が強いが、それが揺らいだ形になっていて柔らかみがあること、などです。

今日はフォーマル方向で、絽や紗の付下げに合わせてみます。

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いちばん上の写真は、千切屋治兵衛の絽の付下げ「鏡裏文」を合わせてみました。実際に制作したのは野村さんで、糊糸目の友禅です。昔の鏡は銀製で裏に装飾が施されてあり、そちら側に美術的な価値がありました。それを着物の意匠にしたものです。鏡自体が庶民の持ち物ではありませんでしたから、模様にしたばあいもフォーマル感があるでしょうね。

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写真2番目は、野口の紗の付下げを合わせてみました。青楓をテーマにしたものです。この写真には見えませんが、若葉のような浅葱色の葉もある一方、やや黄色く枯れた葉もあります。青楓は春、紅葉は秋ではありますが、微妙にいろんな色を混ぜてくれると夏の前半でも後半でも着易いのでありがたいです。

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写真3番目は、千切屋治兵衛の絽の付下げを合わせてみました。実際に制作したのは村田さんで、糊糸目ですね。一般には雪輪は冬、破れ雪輪は早春ですが、夏物のモチーフとして使われることがあります。35度ぐらいの日が続くと正反対の模様を希求するようになるのでしょう。ケーブルテレビの日本映画専門チャンネルをよく見るのですが、毎夏、「八甲田山死の彷徨」をやってる気がします。要望が多いのでしょうか。

地色は小豆色です。真夏の小豆色は意外にありますね。お洒落の上級者の気がします。

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写真4番目は、千切屋治兵衛の絽の付下げを合わせてみました。実際に制作したのは市川さんです。萩がテーマですが、縦長の模様配置で、オクミに模様が多いです。

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写真5番目は、千切屋治兵衛の絽の付下げ「棒霞」を合わせてみました。実際に制作したのは藤岡さんで糊糸目ですが糸目は消してあります。「霞」ですから、背景の色と模様の色は自然につながっているべきで、白い糸目の輪郭線があっては無粋なのでしょうね。

このような模様は幾何学模様のようでもあり、季節も広いし意味もなく、帯合わせは楽ですね。
[ 2016/05/19 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

龍村の絽の名古屋帯「かすみびし」

第三千三百八十六回目として、龍村の絽の名古屋帯「かすみびし」を紹介します。

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いちばん上の写真はお太鼓です。

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写真2番目は腹文です。よく見るとお太鼓と同じですから、実際に締めると模様が横倒しになるわけです。お太鼓が2個ある感じですが、制作側の都合を考えると紋紙(プログラム)が共通なので1つで済むわけです。

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写真3番目から5番目までは、お太鼓の模様の近接です。菱文が霞がかかったように横に揺らいでいるという意匠です。揺らいだ菱文には光が当たっているように見えますが、金糸が使われているのでなく黄色の糸がその役割をしています。これが金糸だったらどんなふうに見えるか、などとも考えますが、意匠としていろいろ試した結果、金糸を使わないのがお洒落ということになったのだと思います。

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写真6番目は、タイトル部分です。夏物の生地には、一定の間隔で生地に隙間がある絽と、すべての糸の間に隙間がある紗がありますが、これは絽ですね。絽には、三本絽(3本に1本隙間がある)、五本絽、七本絽というように、風が通る隙間の比率が違いますが、龍村の絽は隙間の比率が少ない方です。あまり涼しげではないが、模様表現は重厚にできるという性質があるということですね。
[ 2016/05/18 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

一の橋の絵羽コートに合う羽裏

第三千三百八十五回目は、一の橋の絵羽コートに合う羽裏を考えてみます。

左側に表地、右側に裏地を並べてみました。

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いちばん上の写真は、岡重の羽裏「京野菜」を合わせてみました。岡重が大正時代に型染で制作していた羽裏を復刻したシリーズの1枚です。当時の型染はすでに技術的に頂点に達しており、写真のような細密な表現も可能でした。この「京野菜」はその代表的な一点です。今の人はそんなことは知りませんでしたから、岡重の復刻版を見たときはびっくり、各地の美術館で展覧され大きな話題になりました。

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写真2番目は、岡重の羽裏「天使」を合わせてみました。これも大正時代の復刻版の1枚です。

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写真3番目は、野口の羽裏を合わせてみました。野口らしいセンスの良い格子です。格子ですからシンプルと言いたいところですが、多色で制作工程を考えると結構コストがかかっているかもしれませんね。

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写真4番目は、うちに以前からある羽裏を合わせてみました。かつては裏地専門の染屋さんがあって、安い値段で色数が限定されたものをつくっていました。しかし販売数量が減るとともに採算が悪くなりほとんど廃業してしまいました。そのかわりに岡重や野口の多色で高級な羽裏が現れたわけです。岡重や野口の羽裏は、表地を染める染屋が染めているためにレベルが高いですが、値段も表地と同じになってしまいます。

私は最近、当社で昔から在庫としてある羽裏の調査を行い、ネット上で一覧表を作りました。昔は切り売りが常識だったため、中途半端に残っている生地が沢山あったのです。それを1反ずつ長さを測って使えるかどうか調べたんですよ。これはその時に確認した1点です。1尺1000円で売っています。

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写真5番目は、千切屋治兵衛の羽裏「雪輪」を合わせてみました。これはシンプルに見えますが、近年、表地の染屋によって染められたものです。ちょっと見では、表地も裏地も同じような丸紋にも見えますから、表地の模様を裏地でシンプルにしたパターンに見えますね。

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写真6番目は、藤井絞の羽裏「正倉院御物五弦の琵琶」を合わせてみました。上の5点は型染で連続して繰り返す模様ですが、これは絵羽の羽裏です。琵琶の形と梅の花の形は絞りによる表現、弦と草花模様は金描きによる表現です。コートというのは、パーティー会場に入るときに脱ぎますから、見せるチャンスもあります。いきなりクロークに預けてしまうとホテルの従業員にしか自慢できませんから、みんなが集まってから脱ぐ必要がありますね。

一の橋の絵羽コートの続き

第三千三百八十四回目は、一の橋の絵羽コートの続きです。

今日は個々の模様を斜めから撮ってみました。金線がゆがむ絵が重力波の説明みたいで面白いです。金線というのは本来、友禅作品の仕上げ工程において、模様の一部を強調したり装飾したりするものです。その場合の金線は、独自に模様を形成するのではなく、友禅の模様の輪郭をたどるだけです。

しかしながら、その友禅工程で下働きのような金線の作業を主役にしてみようという発想が現れたのです。この作品では金線の形が先に設計され、その金線に合わせて隙間になる部分に友禅彩色したように見えますね。

このような発想の作品は、一の橋以外でもいくつかの京友禅のメーカーで作られていて、昔流行った円形の定規を使って花のような幾何学模様を描く遊びを思い出させます。今回、この絵羽コートを仕入れるにあたって、金線で幾何学模様を描くという発想は誰が始めたものか訊いてみました。すると、なんと中井淳夫さんだというのです。

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一の橋の絵羽コート

第三千三百八十三回目の作品として、一の橋の絵羽コートを紹介します。

飛び柄のコートは、飛び柄の着尺から作るのが合理的です。野口や岡重の重厚な飛び柄小紋を利用してコートや長羽織にすれば、かなり今日の絵羽コートに似たものができます。それでもあえて飛び柄のコートを絵羽としてつくる理由は、型染である小紋からスタートすると全部同じ模様になるが、絵羽は手描きであるため模様が全部違うということ、型よりも手描きの方が模様に重みがありますしね。

模様の数は、着尺を流用するよりも少なくて済みます。あらかじめ合理的に模様配置を決められるので、視覚的に効果的なところにだけ描けばいいからです。さらに視覚的に重要なところには刺繍(あしらい)もします。作り手としては、値段が安い方が売りやすいですから、なるべく少ない数で出来るだけ立派に見える配置を考えるでしょうね。

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いちばん上の写真は全体です。

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写真2番目も全体ですが、反対方向から撮ってみました。光の当たり方で地色もずいぶん違って見えますね。

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写真3番目以後は近接です。個々の模様がこの作品の存在意義ですから、よく見てくださいね。

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三勝の浴衣

第三千三百八十二回目の作品として、三勝の浴衣を紹介します。

今はスーパーで仕立て上がりの浴衣が3800円ぐらいで売られているぐらいですから、呉服屋さんが浴衣を売るのも難しいですね。マーケティング的な発想で言えば、スーパーで売っているものとは差別化すればよいということになりますが、実際に、昔の日本人が長く着物文化を続けて来てくれたおかげで、差別化の材料はいっぱいあります。

今日紹介するのは、伝統的な浴衣専業メーカーの三勝の浴衣です。それぞれの浴衣には、正絹の単衣の四寸(半幅)の博多帯を合わせています。

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いちばん上の写真は、水色地の燕柄に黄緑の無地の博多を合わせています。

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写真2番目は、ちょっと年輩を意識した組み合わせをしてみました。スーパーの既製品の浴衣で上品な年輩向けを探すのは難しいのではないでしょうか。

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写真3番目は菊の模様です。今回は写真として掲載して目を引くような帯合わせをしていますが、実際に着る時は帯をもう少し地味にしたら幅広く着られそうですね。

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写真4番目は、大胆な色の幾何学模様です。意外とこういうのが先に売れたりするんですよね。

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写真5番目は、歌舞伎の演目にもある里見八犬伝の「芳流閣の決闘」のシーンをテーマにしたものです。正絹の訪問着であれば暗示的な表現にするかもしれないですが、カジュアルですから大きく具象的に描いています。地色は夏なのに涼し気にする気はないみたいです。せめて色数を増やさないように同系色にしてみました。
[ 2016/05/14 ] カジュアル | TB(0) | CM(0)

,中井亮さんの帯

コメントでリクエストがあったので、中井亮さんの帯を紹介します。

写真を掲載したいので、コメント欄ではなく本文を利用しました。

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お太鼓の近接写真です。金の丸は、ただの丸ではなくてこのような表現になっていました。繰り返し使える型をつかったのか、一回ごとに使い捨てするプラスティックのシート(縁蓋)をつかったのかわかりにくいところです。しかし、3つの丸をよく見ると微妙に違うので、縁蓋かもしれませんね。金に厚みがあり、近世の小袖に使われる摺箔よりも、中国から輸入された名物裂の印金に近い表現です。

斜線の茶色の部分にある金の亀裂のような表現は、どのような技法によるのかわかりません。亀裂という表現は、普通は2通りあって、1つは生地に綿を置いてから金加工をし、後で綿を剥がすと亀裂模様が現れるというもの、もう1つは金彩した後で生地を揉んで箔を剥がすというものです。しかしどちらのばあいも、地が金箔で亀裂が地色になります。

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この写真の箔の部分のような感じですね。このばあいは、解した綿を置いてから金箔加工をし、後で綿を撤去したのだろうと見当が付きます。しかし今回の作品は、亀裂の形に金が残っているので反対ですね。

私が思うに、この茶色は友禅でなく樹脂系の顔料(たいていはアクリル絵の具)ではないかと思うのです。じつはこの斜線全体が金箔加工してあって、その上にアクリル絵の具を塗り、後に亀裂を生じさせて金を露出させたのではないかと思います。生地を揉んだら箔も剥がれてしまうのと思うので、綿を置いたのかもしれませんね。

普通は貴重な金は、染料の上に置くものですが、ここでは下地に使って塗りつぶしてしまっていますし、友禅作家でありながら本来の友禅ではなく邪道のアクリルを使っているわけです。すべては創作という目的のためなのでしょう。京友禅の作者でありながら、友禅の技法や常識を犠牲にしているんですね。
[ 2016/05/14 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

花也の付下げ「貝桶」の帯合わせ

第三千三百八十一回目は、花也の付下げ「貝桶」の帯合わせです。

今日は友禅の染め帯を合わせてみました。

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いちばん上の写真は、木下冬彦さんの塩瀬の袋帯を合わせてみました。木下冬彦さんは熊谷好博子の弟子で、細密な友禅を描きました。今日は2点帯合わせをしていますが、どちらにするか決められなかったので、両方載せてしまいました。江戸解模様とか海浜模様とかいわれるものですね。

江戸解模様というのは御所解模様という言葉とセットで使われますね。言葉の雰囲気だけから考えると、江戸解というのは武家の模様、御所解というのは公家の模様、なんて勘違いしてしまいますが、実際は江戸時代にはそのような言葉はなく、明治以降に古着屋さんが作った言葉のようです。古着屋さんが扱うから、洗い張りがしてあるということで「解く」がつくのでしょう。

江戸解模様と御所解模様はどうちがうのかということですが、美術館などで小袖の展示をみれば学芸員がそれぞれタイトルを付けて展示していますが、定義、と言うほどの厳密性はないと思います。

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写真2番目も、木下冬彦さんの塩瀬の袋帯を合わせてみました。帯合わせとしては、着物は貝桶が並ぶだけで物語的な展開の無いのですから、絵に動きがあって、絵画的な見どころの多い海景を合わせるのは、ちょうどバランスが良いと思います。

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写真3番目は、橋村重彦の友禅の名古屋帯を合わせてみました。琳派模様は橋村さんの得意分野ですが、その琳派の草花模様を四季のバランスが取れるようにならべて帯にしたものです。作家の意思で作ったものではなく、私が注文したもので、創作性よりも既存のモチーフを都合よくアレンジするというのは商売人の発想ですよね。

私は特に杜若の青が気に入っています。この青は中井さんの色ですよね。腹文は、この写真では見えませんが、片側が赤い椿、もう片側が白い菊にしてあります。締める方向で、春か秋か、若いか年輩か、選べるようにしています。

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写真4番目は、千切屋治兵衛の友禅の名古屋帯を合わせてみました。実際に制作したのは、中井亮さんです。模様は斜線と丸、斜線には亀裂、色は黒と茶と金、ということで、世間に挑戦するような作品ですね。世間の人全てから誉められそうな上品な花也と、あえて合わせてみました。

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写真5番目は、花也の名古屋帯を合わせてみました。ダンマルと箔と刺繍による作品です。難易度もコストも高い、系統としては倉部さんに近い作風ですね。存在感は増すが、色数は増やさないという方針で合わせてみました。
[ 2016/05/13 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(1)

花也の付下げ「貝桶」の帯合わせ

第三千三百八十回目は、花也の付下げ「貝桶」の帯合わせです。

今日は名古屋帯を合わせてみました。

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いちばん上の写真は、龍村の名古屋帯「花宝」を合わせてみました。龍村の名古屋帯のシリーズとしては少数派の六通です。龍村の名古屋帯は個性派が多いですが、六通は締める時に体形に影響されず便利な反面、意匠は常識派が多いですね。この帯も、赤、白、緑の花を持つ木が繰り返す、いかにも織物らしいパターンです。

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写真2番目は、龍村の名古屋帯「麗葉果」を合わせてみました。西洋の油彩画を意識したタッチを織物で表現した、上の例とは正反対の個性派です。第一、テーマも「グアバ」ですしね。もちろんお太鼓柄です。

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写真3番目は、喜多川俵二の名古屋帯「鳥襷丸文」を合わせてみました。人間国宝の喜多川俵二らしい有職文様の帯です。このシリーズは名古屋帯でも袋帯に負けない品格があって、フォーマルに使えますから便利です。

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写真4番目は、喜多川俵二の名古屋帯「小牡丹唐草」を合わせてみました。上と同じ人間国宝の喜多川俵二の名物裂の帯です。実際に使う時は、有職織物も名物裂も変わらないですね。

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写真5番目は、喜多川俵二の名古屋帯「角繋ぎ」を合わせてみました。模様が大きくてシンプルな繰り返しであるため、一見カジュアルな雰囲気もありますが、これも伝統的な意匠でフォーマルに使えないということはありません。朱と紫と緑の繰り返しで、この例では緑を出して地色と合わせていますが、締める人の体形によりこのようにできるかわかりません。
[ 2016/05/12 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の付下げ「貝桶」の帯合わせ

第三千三百七十九回目は、花也の付下げ「貝桶」の帯合わせです。

今日も袋帯を合わせてみました。

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いちばん上の写真は、龍村の袋帯「王朝華映錦」を合わせてみました。高島屋専用ロゴである「龍村平蔵」に「威毛錦」という鎧をモチーフにした袋帯があって人気ですが、その「たつむら」バージョンとして織られたものでしょうね。こちらは同じ手織りでも六通で、振袖でも使えます。糊糸目の線描き表現が美しい単彩主義の着物ですが、色彩あふれる龍村ワールドもちゃんと受け入れられるようですね。

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写真2番目は、龍村の袋帯「有朋文」を合わせてみました。同じ模様の貝桶ばかりが並ぶ物語性の無い着物なので、物語そのものである鳥獣戯画の帯を合わせてみました。もし着物が物語的な展開のある意匠であったら、そこへ動物乱入ということになってしまい、収拾のつかない帯合わせになってしまうでしょうね。

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写真3番目は、龍村の袋帯「七宝連花錦」を合わせてみました。振袖で使える龍村の華やかな帯ですが、振袖以外でも使えることを実証してみました。龍村というのは百貨店で買えば高いですが、ネットで丹念に探せば安く買えることもあります。それを成人式で買い、その後50歳ぐらいまで使えばコスパが高いですね。

この帯に関しては、この写真を撮ってから今日掲載するまでの間に、親戚の子の成人式用に売ってしまいましたが、今後も同様のものを引き続き仕入れていくつもりです。

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写真4番目は、龍村の袋帯「海老殻間道」を合わせてみました。いつもながら龍村の間道を合わせてみました。間道の欠点は、万能すぎて他の帯が売れなくなっちゃうことですね。

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写真5番目は、河合康幸の袋帯を合わせてみました。松というのは、植物文の中でもいちばんフォーマル度が高いです。着物の模様にかぎらず実際の松も、ちゃんと剪定してあると庭が立派な日本庭園みたいに見えますよね。この帯は、松をテーマにしつつも立派な幹や枝ぶりは描かず松葉と松ぼっくりだけにして、フォーマル感を避けています。

フォーマル感とお洒落感というのは二者択一ではないはずですが、フォーマルでありつつお洒落というのは難しいものですね。フォーマルでない帯を「洒落帯」なんて言いますし。ここではフォーマル感を避けることでお洒落になっているのではないでしょうか。
[ 2016/05/11 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の付下げ「貝桶」の帯合わせ

第三千三百七十八回目は、花也の付下げ「貝桶」の帯合わせです。

今日は袋帯を合わせてみました。

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いちばん上の写真は、華陽の袋帯を合わせてみました。華陽は数年前に廃業しました。廃業後しばらくは滞留在庫らしきものが安値でネットで売られていましたが、最近は無くなってきましたね。華陽の帯というのは綴ですが、地は綴組織ですが模様は絵緯糸で表現した織物です。

着物の意匠は、貝桶が繰り返すだけで展開していくことが無く、物語性にも乏しいですから、帯で絵画的な模様を追加しても、コーディネート全体が五月蠅くなることはないですね。そこで、四季花が咲いて鴛鴦も居て、というちょっと通俗的な意匠の帯を合わせてみました。

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写真2番目は、大西勇の袋帯「有栖川龍文」を合わせてみました。名物裂の「有栖川裂」にはいろんなカクカクしたデザインの動物がいますが、龍の部分をテーマにしたものです。加賀前田家が所蔵していたという名物裂としての権威とかわいげのあるデザインが両立した、コーディネートに使いやすい龍ですよね。(龍は真面目に描くと不良に学ランの裏にいる龍みたいになってしまいます)

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写真3番目は、紋屋井関の袋帯「正倉院御物」を合わせてみました。聖武天皇が愛用した碁石入れで、「銀平脱合子」と呼ばれる物をテーマにしたものです。象と鸚哥の2種類で戦ったということでお洒落ですよね。ほぼ金糸で織られた帯で、色数を増やさない帯合わせです。

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写真4番目は、織悦の袋帯「龍田川」を合わせてみました。「ちはやぶる・・・」にちなむテーマで、秋そのものですね。着物の貝桶の取り方の中の植物は榧ということで、季節に関わりませんから、帯で季節感を表現しても良いと思います。季節感の無い植物をテーマにした着物というのは便利なことが多いですね。季節感のある着こなしをしたければ帯ですればよいのですから。

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写真5番目は、河合康幸の袋帯「花の丸」を合わせてみました。河合美術織物の分家です。紫の地色は個性的ですが、いろんな色の着物に会うことを証明してみました。
[ 2016/05/10 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の付下げ「貝桶」の細部

第三千三百七十七回目は、花也の付下げ「貝桶」の細部です。

実質的には堂々たる訪問着であるこの着物は、貝桶が前姿に3個、後姿に2個、袖に各1個ずつ、胸に1個描いてあります。それぞれの貝桶の大きさは、現代の着物の標準的な大きさからすれば、かなり大きいと思います。ここ30年ほどは、意匠の傾向としては小付けの時代ですからね。各模様は独立した器物文様なので、周りに大げさに紐を這わせて1つの模様に見えるようにしています。

それぞれの貝桶は中に植物文と割り付け文が入っていて、取り方の役割をしているので、重加飾の取り方+取り方外部のあっさりした模様(紐)の組み合わせとも言え、典型的な安田様式でもありますね。

今日は、前姿と後姿の貝桶5個の細部を紹介します。

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いちばん上の写真は、マエミの上の方の貝桶です。貝桶の榧(かや)の模様と割り付け文は、貝桶の六角形の角度に関係なく平面に描かれています。これは貝桶を描いた江戸時代の袱紗の有名な作品の様式に倣ったものです。それと同時に、これが模様のある貝桶を写生したものではなく、貝桶形の取り方の中の模様ということでもありますね。

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写真2番目は、オクミの貝桶です。紐には朱と白があって、前姿は朱が2本、白が1本、後姿は1本ずつですね。

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写真3番目は、マエミの下の方の貝桶です。

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写真4番目は、後姿の背中心右側の貝桶です。

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写真5番目は、後姿の背中心左側の貝桶です。

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写真6番目は、マエミの上の貝桶のさらに近接です。線描きの葉の表現はかすれはありません。精緻な糊糸目ですが、ちょっと柔らかい感じなので温かみがあります。花也の下職の糊糸目職人には、神経質な糸目を置く人や、毛筆のようなカスレをわざと作る人もいるので、糊糸目は防染するという機能だけではなく、それ自体が個性で作品なのです。
[ 2016/05/09 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

花也の付下げ「貝桶」

第三千三百七十六回目の作品として、花也の付下げ「貝桶」を紹介します。

反物状態で販売しているので、一応付下げとしましたが、実質的には堂々たる訪問着です。

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いちばん上の写真は、前姿です。貝桶3個ですが、小付けが多い現代の着物の模様と比較すればかなり大きいです。3つの貝桶はそれぞれ独立していますが、紐を周りには這わせることで有機的なつながりを持たせ、1つの模様に見えるようにしています。

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写真2番目は後姿です。貝桶は2つで、それだけでは飛び柄みたいですが、紐をおおげさに這わせることで1つの大きな模様のように見せています。

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写真3番目は袖です。
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写真4番目は胸です。

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写真5番目は、以前紹介した花也の作品です。地色と貝桶の模様が違います。少し昔は着物の地色は、人によって好みの異なる色を避け、グレーや墨色など無彩色にしておけば安心ということがありましたが、今は個性の無い色を染めることの方がリスクになりつつありますね。というわけで、今回はかなり綺麗な地色にしています。

貝桶の模様は、実際に貝桶に描いてあるの模様のようでもあり、貝桶形の取り方の中に入れられた友禅模様のようでもあります。以前の作品は羊歯でしたが、今回は榧(かや)です。取り方というのは、中の模様を自由に取り換えられます。
[ 2016/05/08 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

野口の着尺の帯合わせ

第三千三百七十五回目は、野口の着尺の帯合わせです。

今日は織悦の袋帯と合わせてみます。着物の模様は格子で「意味」はないですから、今回の帯合わせは、色だけで合わせています。

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いちばん上の写真は、「インド更紗」を合わせてみました。地色は「桜色」で着物の水色の地色を意識しています。

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写真2番目は、「琳派秋草柴垣文」を合わせてみました。テーマは古典の琳派模様ですが、地色は白地、模様の色も濁りの無いクリアな色で、水色地の着物と合っているように思います。

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写真3番目は、「霞に扇子」を合わせてみました。水色どうしの濃淡で合わせてみました。

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写真4番目は、更紗文様を合わせてみました。地色は「タバコ茶」ということで、着物の地色を意識して合わせてみました。

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写真5番目は、「繍文栗」を合わせてみました。「繍文」とは、元にした作品が刺繍だという意味です。元作品が織物であれば、一定のパターンで繰り返す意匠になるはずですが、元が刺繍なので自由な構図を思わせる意匠なのです。

金屏風のような地色ですが、経糸が緑の絹糸、緯糸が金糸という組み合わせになっています。経糸が着物と同系色なので調和して見えるのです。
[ 2016/05/07 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

野口の着尺の帯合わせ

第三千三百七十四回目は、野口の着尺の帯合わせです。

今日は龍村の名古屋帯と合わせてみます。

ところで、、この着尺を紹介した最初の日に、このような着尺には型染と手描きがあって、見分けがつきにくいことがあると書きました。本来であれば、型染の方が量産、手描きの方が希少な高級品であるわけですが、このような手描きの着尺が型染と同じような値段で売られているのは理由があります。

1つは、先日も書いたように、格子であれば手描きと言ってもそれほど精緻な作業は求められないこと、型染は型染なりに精緻な職人技が求められることです。もう1つは、予測される販売数量です。昔は小紋というのは全て、最低でも数十反多ければ百反以上売ったので量産効果が出やすかったのですが、現在は1つの柄がそんなに売れることはないので、量産のメリットが少なく、手描きや手挿しにした方がリスクが少ないということもあるのです。

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いちばん上の写真は、「芳光」を合わせてみました。水色の着尺には、どちらかというと若い色使いの帯、そして模様の中に水色が使ってあるものを選んでみました。

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写真2番目は、「寄せん裂」を合わせてみました。

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写真3目は、「花韻」を合わせてみました。

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写真4番目は、「木画狩猟錦」を合わせてみました。抹茶色の着尺には、どちらかというと年輩でも対応できる色使いの帯、そして模様の中に抹茶と合いそうな茶系の色が使ってあるものを選んでみました。この帯については、水色の着尺も合いましたが。

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写真5番目は、「シャムパーシン」を合わせてみました。

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写真6番目は、水色地の着尺に「ほかけ」を合わせてみました。
「ほかけ」は、水色の舟と抹茶色の舟があるので、どちらの着尺にも合います。おそらく、船の色にあわせて黄色や茶色や橙色の着物にも合うでしょう。ありがたい帯ですねえ。

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写真7番目は、抹茶色の地の着尺に「ほかけ」を合わせてみました。
[ 2016/05/06 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

野口の着尺の帯合わせ

第三千三百七十三回目は、野口の着尺の帯合わせです。

今日は龍村の光波帯を合わせてみます。光波帯は仕立て上がりの名古屋帯で、龍村の帯としてはいちばん安いものです。しかし、高い帯よりも価格の管理がしっかりしているようで、安売りを標榜しているネットショップでもこのシリーズだけは定価で販売していることが多いです。また、安くても貧乏臭くないのも特長で、茶事の着物の帯としてはパスポート的な使い方もできますね。

光波帯は、通常品は経錦で織られています。本歌が緯錦や絣であるばあいも経錦で織られているので、完全に再現というわけではありません。一部の帯は絵緯糸による模様表現が併用され、少し高い価格設定になっています。また「光波」というのは初代龍村平蔵の雅号で、代々の龍村の当主は「光」の付く雅号を持っているようです。

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いちばん上の写真は、「獅噛鳥獣文錦」を合わせてみました。豊臣秀吉が陣羽織として着ていたペルシア絨毯に取材したものです。一部に絵緯糸による模様表現が併用された、ちょっと高級バージョンです。

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写真2番目は、「獅噛鳥獣文錦」の色違いを合わせてみました。

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写真3番目は、仕立て上がりの名古屋帯を合わせてみました。これは経錦の光波帯ではなく、普通の西陣の袋帯のように絵緯糸で模様が表現された高級バージョンの帯です。

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写真4番目は、「円文白虎朱雀錦」を合わせてみました。上代裂と言われるものの99%は正倉院裂ですが、これは残り1%の法隆寺裂です。正倉院より少し古い作品です。

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写真5番目は、「サンシャペルの犬」を合わせてみました。シテ島のあるルイ9世が建立したサンシャペル礼拝堂の床の装飾に取材したものです。干支に合わせて制作される「干支の経錦」の1つで、いつかの戌年に織られたものでしょう。

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写真6番目は、「グアテマラの鶏」を合わせてみました。これも干支に合わせて制作される「干支の経錦」の1つで、いつかの酉年に織られたものでしょう。グアテマラはマヤ文明の有ったところで、現地の先住民の女性が着る貫頭衣「ウィピール」の意匠に取材したものだそうです。
[ 2016/05/05 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

野口の着尺の帯合わせ

第三千三百七十二回目は、野口の着尺の帯合わせです。

今日は友禅の染め帯を合わせてみます。

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いちばん上の写真は、塩瀬地の更紗の名古屋帯を合わせてみました。四角い格子の着物に対し、丸い曲線の更紗という対照的な組み合わせにしてみました。一方、色についてはどちらも同系色の青系で、形は反対という組み合わせです。

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写真2番目は、秀雅の塩瀬地の更紗の名古屋帯を合わせてみました。実際に制作したのは、廃業する前の千ぐさです。ただし、落款などはなく、取引先の証言と作風から判断するのみなので、千ぐさ本人ではなく千ぐさゆかりの作家かもしれません。更紗模様は取り方にしてあって、周りに余白があります。

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写真3番目は、加賀友禅作家、百貫華峰の塩瀬地の名古屋帯を合わせてみました。着物にはない絵画性を帯でプラスしてみました。

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写真4番目は、加賀友禅作家、中町博志の塩瀬地の名古屋帯「砕」を合わせてみました。着物で格子を着て、帯でそれを壊して見せるという趣旨にしてみました。

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写真5番目は、野口の縮緬地の名古屋帯を合わせてみました。これも帯で絵画性をプラスするパターンですね。

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写真6番目は、千切屋治兵衛の塩瀬地の名古屋帯を合わせてみました。実際に制作したのは、中井亮さんです。「麦秋」という言葉がありますが、九州では5月、北海道では7月、平均で6月というところでしょうか。単衣の時期になるので、着物の模様としては注意が必要です。
[ 2016/05/04 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

野口の着尺

第三千三百七十一回目として、野口の着尺を紹介します。

蝋染の着尺です。このような着尺には手描きのものと型染のものがあります。手描きのものは、ハンドペイントならではの「よろけ」あるいは「ゆらぎ」があります。それが人間の限界でもありますし、作品の目的でもあります。線が真っ直ぐだったら、普通の型染化プリントにしか見えませんものね。

さて見分けですが、型は繰り返すので「よろけ」や「ゆらぎ」も丹念に見ていくと、どこかに繰り返している箇所が見つかるということです。また、型のばあい型継ぎがありますが、型継ぎがわからないように型の天地を一致させている型もあり、それを上手な職人さんが染めると、全く分からない場合もあります。

型染と手描きとどのぐらい価値が違うのかということですが、この場合はあまり変わらないかもしれませんね。具象的な模様の訪問着であれば、手描きと型では雲泥の違いがありますが、今回のような作品では、手描きと言っても精緻な技より味の方が大事ですし、型染だって修業しないとできない職人技だからです。

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いちばん上の写真は、反物の幅を写真の幅として撮ったものです。

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写真2番目は、近接で撮ってみました。

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写真3番目は、反物の幅を写真の幅として撮ったものです。色違いです。明日から、帯合わせでどう違いが出るかお見せします。

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写真4番目は、近接で撮ってみました。

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写真5番目は拡大です。変わり織で、横段が見えるような織り方になっています。横段に見える生地に後染めで格子を染めることで、模様に立体感を感じる仕掛けになってるのです。