龍村の袋帯「八橋螺鈿錦」の帯合わせ

第三千三百十一回目は、龍村の袋帯「八橋螺鈿錦」の帯合わせです。

今日は付下げに合わせてみます。付下げといっても、マーケティング的な理由で訪問着にされず反物で販売されたもので、実質的には訪問着であるものですね。

IMG_05781.jpg
いちばん上の写真は、野口の付下げを合わせてみました。実際に制作したのは倉部さんで花籠をテーマに思い切り刺繍しています。作品の重さで龍村の袋帯と釣り合うことを意識した帯合わせです。

IMG_05931.jpg
写真2番目は、千切屋治兵衛の付下げを合わせてみました。実際に制作したのは中井亮さんです。琳派様式に流水に蛇籠(本来防災施設であるものを着物の意匠に取り込んだものです。)と紅葉を描いたものです。

IMG_97081.jpg
写真3番目は、千切屋治兵衛の付下げを合わせてみました。実際に制作したのは倉部さんです。琳派風の金描きの芒と地紙、地紙の中に四季花を入れています。箔と刺繍の他に友禅も併用しています。

IMG_05881.jpg
写真4番目は、花也の付下げ「和本」合わせてみました。「光悦の謡本」など開いた和本をモチーフにした小袖は江戸時代からあります。モチーフの和本は、多くのばあい絵本という設定になっていて、それが友禅模様の見せ場になっているのですが、この作品の和本はすべて文字の代わりの型疋田になって、絵画的要素の少ない作品になっています。

意匠的には和本を斜めに配するのみで、松竹梅を添えて余白を埋めるような小賢しいことはしていません。糊糸目の友禅がウリの花也としては、自分の得意技を封印しているわけで、思い切った作品とも言えますね。

IMG_09881.jpg
写真5番目は、一の橋の付下げを合わせてみました。実際に制作したのは倉部さんです。慶長小袖に取材しています。現代の京友禅の多くは、御所解など江戸後期の小袖に取材したものが多いので、江戸初期の様式に取材したものは斬新に見えるのではないでしょうか。

IMG_09901.jpg
写真6番目は、同じ付下げで帯を置く位置を変えてみました。上の写真は、龍村の帯と刺繍の扇面の組み合わせとして見えますが、実際にはその下の紫の取り方と相性が良いと思われるので、帯の位置をずらしてみました。
スポンサーサイト
[ 2016/02/29 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

龍村の袋帯「八橋螺鈿錦」の帯合わせ

第三千三百十回目は、龍村の袋帯「八橋螺鈿錦」の帯合わせです。

今日は加賀友禅で合わせてみました。

IMG_97711.jpg
いちばん上の写真は、中町博志の色留袖「松そよぎ」に合わせてみました。松林の中を透り抜ける風というテーマで、透明な風がイラストのように可視化されています。それでも通俗的にならず、風があくまで透明に見えるのは気品のためでしょうか。

IMG_97741.jpg
写真2番目は、能川光陽の訪問着に合わせてみました。能川光陽という人は長命であるだけでなく、晩年まで力が衰えることなく制作していたので制作年代が長く、いつの作家だったか勘違いしてしまうことがあります。これは90年代の初めごろではないかと思います。

松と雀を描いていますが、花木のほかに鳥も大好きだったということで、作者の得意分野そのもののような作品です。写生とイラストの境目のような雀がかわいいです。雨山の世代の加賀友禅作家は、友禅の師匠の他に日本画の師匠を持っていたものですが、雅号に「光」を持つ作家は琳派の師匠をもち、その作風にも琳派の意識がありますね。

IMG_97751.jpg
写真3番目は、毎田仁郎の色留袖に合わせてみました。「松島図」に取材していますが、模様は小付けで霞取りにしてあります。霞取りは京友禅でもよくつかわれますが、この作品では一方から風が吹いているような霞の形になっているところに個性がありますね。

千鳥は、霞取りをはるかに超えて飛んでいくので、分離した取り方どうしを有機的に結び付けて1つの意匠に見せる機能を果たしています。

IMG_97791.jpg
写真4番目は、毎田仁郎の色留袖に合わせてみました。竹と菊を描いたもので、30年か40年ぐらい前に仕入れたものです。竹の葉の中に染料のムラやだみがわざと残してあります。今こんなことをしたら、B反と言われてしまうでしょうけど、若い時は実験的なこともしていたんですね。
[ 2016/02/28 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

龍村の袋帯「八橋螺鈿錦」の帯合わせ

第三千三百九回目は、龍村の袋帯「八橋螺鈿錦」の帯合わせです。



IMG_92851.jpg
千切屋治兵衛の商品として制作されたものです。元絵は色のある絵でしたが、ここでは無彩色である墨色の濃淡と金彩のみ、地色も白という単彩の作品になっています。

蔦は墨で描き上げたような演出がされていますが、きちんとした糊糸目の友禅です。地色が白いために糸目が見えないんですね。金についても金泥のように見えますが、勢いの載ったように見える線もじつは、縁蓋の技法を使って綿密に作られた線なのです。

墨の味わい、線の勢い、ついでに作者の枯淡の境地も、何もかも中井さんが下職に指示してやらせている演出です。

IMG_92831.jpg
写真2番目は、地紙をテーマにした訪問着に合わせてみました。千切屋治兵衛の商品として制作されたものです。金と銀の大きな地紙(扇子の紙だけ)と霞だけの作品です。金の地紙の友禅部分はベージュ、銀の地紙の友禅部分はグレーですから、もうとにかく色を使いたくない、っていうことなんでしょうね。

IMG_92751.jpg
写真3番目は、雲形を取り方として、琳派の草花と唐草模様を入れた訪問着に合わせてみました。千切屋治兵衛の商品として制作されたものです。雲と波の組合わせということになりますね。

IMG_97091.jpg
写真4番目は、平家波に切り箔を合わせた訪問着に合わせてみました。千切屋治兵衛の商品として制作されたものです。このような波の形は「平家波」といいます。「切り箔」は蒔絵や着物に使う金加工の一種で、生地に糊を塗っておき、上からこのような形に切った金箔を散らす(置く)ものです。

波の技法は、ダンマル描きで波を描いて、その上に金泥で描いたもの、切箔は友禅と金糸の刺繍です。

IMG_05651.jpg
写真5番目は、孔雀の羽根をテーマにした訪問着に合わせてみました。羽根の部分は糸目を消した友禅で、地色と同化して見えにくくなっていますので、羽根の先端の飾りだけが宝石が散らばったようにキラキラ見えます。普通の糸目友禅であれば白い糸目の線が目立つので、羽根がはっきりして、羽根の先端は羽根の先端にすぎず、散らばった宝石のように見えることはないでしょう。

糸目をわざわざ消しているのは、羽根の先端を散らばった宝石のように見せるためだろうと思います。
[ 2016/02/27 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

龍村の袋帯「八橋螺鈿錦」の帯合わせ

第三千三百八回目は、龍村の袋帯「八橋螺鈿錦」の帯合わせです。
今日は、大羊居と大松の色留袖に合わせてみます。当店は、私の見込み違いにより大量の色留袖を持っていますので、安売りをしています。今、色留袖を買ってくださるお客さまは、黒留袖と同格の着物として着るのではなく、洒落紋を付けて、上半身に模様の無い訪問着として着ているようですね。

IMG_92891.jpg
いちばん上の写真は、「雪庭」というタイトルの色留袖に合わせてみました。鑑賞するだけならこんなに素晴らしい着物はないですね。着る機会は普通の人にはないですけどね。

IMG_09581.jpg
写真2番目は、「松景」というタイトルの色留袖に合わせてみました。松に見えて「寿」の文字になっているだまし絵のような模様。

a href="http://shirokiyagofukuten.blog.fc2.com/img/IMG_09301.jpg/" target="_blank">IMG_09301.jpg
写真3番目は、「磯の賑わい」というタイトルの色留袖に合わせてみました。うちに有る大羊居の中でもっとも古い在庫。

IMG_09471.jpg
写真4番目は、「波取りに名物裂」というタイトルの色留袖に合わせてみました。うさぎの首がやや長く感じますが、これはタイトルにもあるとおり、名物裂の「角倉金襴」を写したため。

IMG_05961.jpg
写真5番目は、北秀の色留袖に合わせてみました。実際に制作したのは大彦・大羊居の本家に当たる大松です。蓬莱島をテーマにしたもので、江戸時代の小袖にもありますね。

IMG_92911.jpg
写真6番目は、北村芳嗣の個展で発表された色留袖に合わせてみました。北村芳嗣さんは北秀の社長。北秀の個性をさらに強めた作風でした。実際に制作したのは大彦・大羊居の本家に当たる大松です。
[ 2016/02/26 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

龍村の袋帯「八橋螺鈿錦」の帯合わせ

第三千三百七回目は、龍村の袋帯「八橋螺鈿錦」の帯合わせです。

龍村といちばん相性が良い着物として、大羊居の訪問着を合わせてみました。

IMG_97381.jpg
いちばん上の写真は「麗日大観」というタイトルの御所解模様の小袖に取材した訪問着に合わせてみました。御所解模様は、現代の京友禅でもたくさん作られていますが、それを大羊居が作るとこんな感じ、ということでしょう。

IMG_97411.jpg
写真2番目は、「長谷路の春」というタイトルの訪問着に合わせてみました。奈良の長谷寺は「花の御寺」とも呼ばれるぐらいいろいろな花が咲くのですが牡丹でも有名で、それがこの訪問着の下半分の主題です。一方、上半分の主題はシャクナゲですが、それは室生寺を暗示するのだろうと思います。両寺はハイキングコースとしてつながってもいるので、それが「長谷路」というタイトルの意味でしょう。

IMG_97451.jpg
写真3番目は、「飛鶴瑞祥」というタイトルの訪問着に合わせてみました。1つ1つの模様は大羊居としては小付けですが、それを松皮取りを思わせる大胆な鋭角に切りとった意匠にしています。その周りを複数の鶴が飛び回っていますが、大型の鳥である鶴が小さいことで、全体の画面が雄大に感じます。

IMG_97521.jpg
写真4番目は、「四君子文」というタイトルの訪問着に合わせてみました。梅の幹をみると毛筆の飛白(かすれ)のようなタッチになっていて、中国の南画に取材した作品だとわかります。

IMG_97641.jpg
写真5番目は、「新様更紗」というタイトルの訪問着と合わせてみました。[新様」という言葉は、言葉通りとれば「新しい様式」という意味ですが、言葉自体は古いイメージがあります。ここでいう「新様」とは大正から昭和の初めごろの新しいスタイルという意味でしょう。当時の三越の公募作品や始まったばかりの美展の作品を見ると、エキゾチックな雰囲気の更紗などが大胆に取り入れられています。
[ 2016/02/25 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

龍村の袋帯「八橋螺鈿錦」の帯合わせ

第三千三百六回目は、龍村の袋帯「八橋螺鈿錦」の帯合わせです。

IMG_9230.jpg
いちばん上の写真はタイトル部分です。「八橋螺鈿」といえば、国宝の尾形光琳作「八橋蒔絵螺鈿硯箱」を思い浮かべるのが普通です(検索するとすぐ見られます)。八つ橋に杜若を合わせたものですが、八つ橋というのはもともと実用的な橋ではなく、アヤメや菖蒲や杜若を鑑賞するための橋ですよね。

ここではそれが波濤渦巻く海の波に替えられています。これが龍村による改変なのか、小袖の図案としてこのようなものが有ったのか、それはまだわかりません。

IMG_9702.jpg
写真2番目は、千切屋治兵衛の訪問着を合わせてみました。実際に制作したのは中井淳夫さんです。

IMG_9704.jpg
写真3番目は、上の写真の実際の後姿を意識して近接してみました。帯合わせによって、龍村による八つ橋の意匠を、国宝の「八橋蒔絵螺鈿硯箱」の意匠に近づけてみました。帯合わせというのは、こんな美術史的な遊びができるんですね。

IMG_08091.jpg
写真4番目は参考図版で、実在する江戸時代の小袖の意匠です。杜若と燕が合わせてあるのは、杜若は「燕子花」とも書くからということで納得しますが、一方で、本来、杜若は八つ橋と合わせるべきなのに、ここでは海の波と合わせてあります。海の塩水のコンビは自然ではありませんが、今回の帯と見比べてみると、海の波を間に挟んで八つ橋と杜若を2つに分けたように見えます。

2代平蔵である龍村謙さんが「日本のきもの」という本を出しているのですが、じつはその本の口絵のカラー写真にこの小袖が使われています。本業の織物とは関係の無いこの作品を、十二単から近代までの日本のきものの通史を書いた本の口絵写真に使うとは、よほど思い入れがあったのかとも思います。龍村のは現在、この意匠を使った名古屋帯もありますしね。

IMG_9691.jpg
写真5番目は、京正の訪問着と合わせてみました。実際に制作したのは安田です。八つ橋の下に逆巻く海の波をそのまま着物全体に広げてみました。


[ 2016/02/24 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

龍村の袋帯「八橋螺鈿錦」の細部

第三千三百五回目は、龍村の袋帯「八橋螺鈿錦」の細部です。

今日は腹文の細部です。

IMG_92281.jpg
いちばん上の写真は腹文の近接です。帯の腹文の模様は、着物のマエミとオクミの模様と上下に並びます。着物のオクミとマエミは着物の模様のメインで、そこには作品の意味が込められていますから、腹文の模様との間に矛盾が生じることが多いです。この帯は重厚な作品で着物と合わすのは難しいように感じますが、腹文は波だけにして使いやすさに配慮をしているのです。いです。姿は、

IMG_92511.jpg
写真2番目は腹文のさらに近接です。

IMG_92481.jpg
写真3番目は拡大です。上の写真の位置とずれてしまいましたが、凝った部分です。

IMG_92531.jpg
写真4番目は腹文の端の方です。模様が徐々に消えていくという部分で、友禅であれば刷毛でグラデーションにするのでしょうが、西陣の織物では絵緯糸の表に出ている部分の比率を下げていくという方法で表現しています。

IMG_9243.jpg
写真5番目は上の部分の拡大です。波が点々になって消えていく部分を拡大するとこんな風に見えます。
[ 2016/02/23 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

龍村の袋帯「八橋螺鈿錦」の細部

第三千三百四回目は、龍村の袋帯「八橋螺鈿錦」の細部です。

IMG_92181.jpg
いちばん上の写真はお太鼓の上の方の橋の近接です。

IMG_92221.jpg
写真2番目は上の写真の上の方にある橋の拡大です。ベージュの絹糸に撚金糸が混ぜてあります。絹糸には自然な光沢があり、撚金糸(ポリエステルフィルム)は特撮的に光っています。絹糸の自然な感触は木材を表現し、ポリエステルの反射光は太陽光を表現し、両者が混ざってリアルな表現を追求しています。

IMG_92371.jpg
写真3番目はいちばん上の下の方の橋を中心にさらに近接してみました。

IMG_92381.jpg
写真4番目は橋の木の板の拡大です。上の橋に比べると絹糸よりポリエステルフィルムの比率が高いです。しかし、ポリエステルフィルムは金だけでなく紫もあって光るだけではなく、日陰も表現しているようです。

IMG_92501.jpg
写真5番目は橋桁の拡大です。青扱われているのは水が映っているのでしょうか。

IMG_92411.jpg
写真6番目も橋桁の拡大です。水が映っているのでしょうか。木材なのでしょうが、青くも光っているようです。
[ 2016/02/22 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

龍村の袋帯「八橋螺鈿錦」の細部

第三千三百三回目は、龍村の袋帯「八橋螺鈿錦」の細部です。

この作品は、お太鼓が長いので、写真の幅を帯の幅にすると上下が入りきりません。昨日の全体写真は、離れて撮って左右をトリミングしていました。それで細部がわかりにくかったので、今日は細部を見せします。

IMG_92141.jpg
いちばん上の写真はお太鼓の下半分です。

IMG_92151.jpg
写真2番目はお太鼓の上半分です。

IMG_92161.jpg
写真3番目は螺鈿を思わせる橋の近接です。八つ橋をテーマにした蒔絵と螺鈿の作品に取材し、それを西陣独特の織の技法で表現した作品です。もっとも目立つ青く光る橋は、夜光貝を嵌め込んだものでしょうが、それは西陣らしくポリエステルフィルムで表現しています。剥がれた部分もあるようで、それは金糸などで表現しているようです。

IMG_92191.jpg
写真4番目はさらに近接です。剥がれた部分は金糸だけでなく、絹糸で表現された部分もありますね。下の写真ではその部分をさらに近接してみます。

IMG_92211.jpg
写真5番目はさらに近接です。剥がれた部分は、白(淡い紫?)、細い撚金糸、撚ったポリエステルの糸(水色と紫色)などを併用して使っています。結局、西陣の織物というのは、リアルに見えれば何をしても良い特撮みたいなものですね。「伝統にしたがって××を使う」なんてことにこだわらず、作者がやりたいようにやって良いのですから、真に創作的なものなのだと思います。

IMG_92331.jpg
写真6番目は、拡大です。拡大してみればポリエステルであることは隠しようがありません。ポリエステルに対する現代人の印象は、下賤な量産品にすぎませんが、それで芸術レベルのものができているわけで、西陣織って本当は前衛アートなのかもしれませんね。
[ 2016/02/21 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

龍村の袋帯「八橋螺鈿錦」

第三千三百二回目の作品として、龍村の袋帯「八橋螺鈿錦」を紹介します。

龍村の手織りの袋帯です。商品ラインの中では高級バージョンですね。最近、龍村は結構値上げしています。百貨店で価格をチェックする習慣が無い人でも、「きもの市場」を見ているとわかりますよね。

IMG_92111.jpg
いちばん上の写真は、お太鼓です。

IMG_92071.jpg
写真2番目は、裏太鼓です。

龍村の帯には裏太鼓といわれる部分がありますが、裏太鼓ってなんでしょうか。帯を締めたときのお太鼓の裏側に当たる部分で、丸帯の名残とも言えるものです。実際には、締める人の体格により、ちゃんとお太鼓の裏に裏太鼓が来るとは限りませんし、そもそも裏側を覗きこんで、丸帯と勘違いしてくれる人がいるでしょうか。

しかし裏太鼓にこだわることが、丸帯で歴史を築いてきた龍村のプライドなんでしょうね。たいていの裏太鼓は、本当のお太鼓より少し模様を簡略化していて、この作品では波を省略しています。

実際に制作することを考えると、たとえ簡略化でも模様を変更すれば紋紙(現在はプログラムでしょう)を作り直さなければなりません。同じ模様を繰り返す方が安上がりなんですね。あえてコストを高い方にしているこだわりは何でしょうか。

IMG_92261.jpg
写真3番目は、腹文です。

[ 2016/02/20 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

一の橋の付下げ「琳派梅」の帯合わせ

第三千三百一回目は、一の橋の付下げ「琳派梅」の帯合わせです。

今日で埋めの付下げの帯合わせは最後にします。今日は使い残し画像です。

IMG_04391.jpg
いちばん上の写真は、織悦の袋帯「光琳水」を合わせてみました。梅と流水を合わせて尾形光琳の「紅白梅図」を作ってみました。帯と着物を使って、美術史で有名な作品をつくるというのは、帯合わせの教科書のようなものですね。

IMG_01931.jpg
写真2番目は、織悦の袋帯「業平菱」を合わせてみました。有職文様の1つです。梅というテーマを邪魔しない帯ということで、シンプルに合わせてみました。ただし、在原業平の歌は「世の中にたえて桜のなかりせば・・・」だからちょっと居心地が悪い。

他の歌を考えてみると「ちはやぶる・・・」→紅葉、「忘れては・・・」→雪、「からころも・・・」→杜若、「名にし負はば・・・」→都鳥、「月やあらぬ・・・」→月、すみません、梅が無いんですけど。

調べてみると、「梅の花 香をのみ袖にとどめおきて わが思う人は おとずれもせぬ」というのがあるんですね。知らなかったですが。

IMG_02981.jpg
写真3番目は、洛風林の袋帯「印度七宝」を合わせてみました。「印度七宝」ということで、私はインドの美術史の本など探してみましたが、このモチーフの出典はわかりませんでした。ヒトデのような形状はぬったりした感じですが、白地に淡いピンクと紫という配色のために毒気は感じません。爽やかな色どうしを合わせるつもりで合わせてみました。

IMG_01831.jpg
写真4番目は、華陽の綴の袋帯を合わせてみました。四季の花と鴛鴦という照れくさくなるようなベタな模様ですが、帯の制作者もまた照れくさかったのか、屏風の絵という設定にしています。

洗練の極みであるような梅の着物に対し、みんなにわかりやすい四季花と鴛鴦の帯を合わせ、通俗の世界に戻ってきました。着物を着る場によっては、こういう帯合わせでないと誉めてもらえないことがありますよね。

IMG_04371.jpg
写真5番目は、北秀の友禅の袋帯を合わせてみました。実際に制作したのは、大彦や大羊居の本家として知られる大松です。作風は大彦っぽいですよね。梅に鶯と言いたいところですが、これは梅に鸚哥、水戸の偕楽園と伊豆のシャボテン公園が合併した感じですね。
[ 2016/02/19 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(4)

一の橋の付下げ「琳派梅」の帯合わせ

第三千三百回目は、一の橋の付下げ「琳派梅」の帯合わせです。

今日は染の帯で合わせてみます。色数も少ないですし、梅が描いてあるだけで、物語として展開しているわけではないので、絵画性の高い染めを帯として追加しても大丈夫でしょう。

IMG_02001.jpg
いちばん上の写真は、花也のダンマル描きと箔と刺繍の名古屋帯「松笹重ね」を合わせてみました。着物の梅と合わせて松竹梅が完成します。着物が梅で、帯が松、帯留が竹みたいなコーディネートは、誰もが考えることですね。しかし松竹梅が揃った着物や帯はたくさんありますが、ちょうど良く欠けているものは少ないから、滅多にできませんね。

IMG_02041.jpg
写真2番目は、秀雅の刺繍と堰出しの疋田の名古屋帯を合わせてみました。この帯合わせは、雪輪と梅を合わせたもので、まだ体感としては冬の気温の初釜ごろに梅の着物を着るパートナーとして雪輪を選んでみました。

IMG_02061.jpg
写真3番目は、一の橋の名古屋帯「薬玉」を合わせてみました。薬玉というのを起源までたどって厳密に考えると6月の梅雨時のモチーフかもしれませんね。七五三の着物にも多く使われているのは、子供が病気にならないように守るイメージでしょうか。

しかし模様の意味について原理主義的に考えると、薬玉も単衣用になってしまって友禅師も作りづらいですね。ここでは豪華さがフォーマルに釣り合うという意味で合わせています。

IMG_02071.jpg
写真4番目は、野口の絞りの「日月」を合わせてみました。梅と天体ショーという壮大な組み合わせです。

元作品は根津美術館にある辻が花裂ですが、すでに全体は失われ裂であるために上下はわかりません。丸を上、孤を下と考えれば、平凡な草花模様になります。反対に丸を下、孤を上と考えれば、太陽と三日月が同時に現れた神秘的な日月模様になります。

本当のところ、丸い絞の中には花弁のような模様が描かれていたようなので、草花模様なのではないかと思いますが、すでに全体が失われた現在、この部分だけを独立した作品とみれば、神秘的な天体ショーと見た方が楽しいですね。野口はそのような解釈で、孤を上にして帯にしています。

IMG_02091.jpg
写真5番目は、北秀の箔と刺繍の袋帯を合わせてみました。梅の着物は色数が少ない単彩主義の着物ですから、その趣旨を生かし帯で色を足さない帯合わせをしてみました。単彩主義の着物に対しては、帯で色を足すという発想もありますが、作者は単彩で着こなして欲しかったのではないかと斟酌し、帯も単彩にするという発想もありますね。
[ 2016/02/18 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

一の橋の付下げ「琳派梅」の帯合わせ

第三千二百九十九回目は、一の橋の付下げ「琳派梅」の帯合わせです。

今日は、少し意味も考えつつ、帯合わせをしてみました。早春の梅は条件なく美しいもので、無理に意味を加えようとするとつまらなくなりそうですが、まあ何とか考えてみました。普通は「梅に鶯」なんて考えますが、たいていは帯だけで梅と鶯が完結してしまっているもので、梅が重なってしまいますねえ。

IMG_02361.jpg
いちばん上の写真は、織悦の袋帯「彩雪輪」を合わせてみました。冬から春にかけての着物を考えてみると、新年の初釜辺りから梅の着物を着始める人が現れますが、そうしたら、雪の着物はひっこめなければなりません。やがて桜の着物を着た人が現れたら梅の着物はひっこめなければなりません。

この帯合わせは、雪輪と梅を合わせたもので、まだ体感としては冬の気温の初釜ごろに梅の着物を着るパートナーとして雪輪を選んでみました。

IMG_02381.jpg
写真2番目は、織悦の袋帯「霞に扇子」を合わせてみました。霞といえば春霞のイメージですから、季節が進んで梅の時期の後半のパートナーとして選んでみました。

IMG_01941.jpg
写真3番目は、織悦の袋帯「道長取り」を合わせてみました。桜が武士のイメージなら梅は平安貴族のイメージか、ということで選んでみました。そう言ってしまうと、昨日の龍村の鎧の帯には逆らってしまいますが。(しかし龍村の帯は鎧でも「王朝・・・」でした。)

IMG_01841.jpg
写真4番目は、華陽の袋帯「笛と笛袋」を合わせてみました。具体的に意味がつながるわけではないですが、なんとなくイメージが合いますね。

IMG_01891.jpg
写真5番目は、捨松のペルシア風の意匠の袋帯を合わせてみました。捨松のペルシア模様は万能、というのを証明してみました。
[ 2016/02/17 ] 絞り | TB(0) | CM(0)

一の橋の付下げ「琳派梅」の帯合わせ

第三千二百九十八回目は、一の橋の付下げ「琳派梅」の帯合わせです。

昨日は、絵画として完結している梅の模様に対して、帯で意味を加えないという意味で、間道を合わせてみました。今日は普通に袋帯を合わせてみます。今回の梅の付下げは結構高価なものですから、そのパートナーも自然と豪華なものになりますね。

梅の美しさを満喫すべきときに、帯で他の植物を加えれば感動の焦点がぼけてしまうので、植物文は避けています。

IMG_01751.jpg
いちばん上の写真は、龍村の袋帯「八橋螺鈿錦」を合わせてみました。この帯はまだ紹介していませんでした。そのうち改めて紹介しますね。

IMG_02401.jpg
写真2番目は、龍村の袋帯「王朝華映錦」を合わせてみました。単彩の梅の着物に対して、華麗な色彩を加えてみます。

IMG_02891.jpg
写真3番目は、龍村の袋帯「海音光映錦」を合わせてみました。色は地味なのに存在感がある帯ですから、華やかさを失わないまま地味にできます。

IMG_02421.jpg
写真4番目は、龍村の袋帯「七宝連華錦」を合わせてみました。このようなモチーフは万能です。フォーマルは1本か2本しか買わないという人は、こういうのが良いですね。

IMG_01871.jpg
写真5番目は、大西勇の袋帯「有栖川龍文」を合わせてみました。梅→菅原道真→天神さま、残念!龍神さまじゃない。
[ 2016/02/16 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

一の橋の付下げ「琳派梅」の帯合わせ

第三千二百九十七回目は、一の橋の付下げ「琳派梅」の帯合わせです。

今日は、梅の付下げの帯合わせを考えてみます。早春の季節にぴったり合わせて梅の訪問着を着ることは素晴らしいですが、それだけでテーマが完結しているような着物の帯合わせは難しいですね。

桜とか菊とか他の植物文の帯を合わせてしまえば、「早春の梅」というせっかくの素晴らしいテーマの焦点がぼけてしまいます。だからといって梅の模様を重ねるのも野暮に感じます。同じことを2度言う鈴木奈々みたいですしね。

結局、上品なだけで意味のない模様を合わせるしかないのかとも思います。となると縞か格子か有職文様でしょうか。とりあえず今日は間道を合わせてみます。

IMG_01771.jpg
いちばん上の写真は、龍村の袋帯「海老殻間道手」を合わせてみました。間道を合わせるときりっとして粋になりますね。

IMG_01731.jpg
写真2番目は、龍村の袋帯「郁芳間道」を合わせてみました。

IMG_01791.jpg
写真3番目は、龍村の袋帯「ちとせ間道」を合わせてみました。

IMG_01811.jpg
写真4番目は、龍村の光波帯「日野間道手」を合わせてみました。

IMG_01861.jpg
写真5番目は、池口定男の佐波理綴の袋帯を合わせてみました。このように身に付けると間道ですが、模様の全体は御簾になっています。
[ 2016/02/15 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

一の橋の付下げ「琳派梅」の細部

第三千二百九十六回目は、一の橋の付下げ「琳派梅」の細部です。

今日は、各部を近接、拡大してみました。

IMG_00931.jpg
いちばん上の写真は近接です。梅の枝という1つのテーマから成る作品ですから、どこもこんな感じですね。

IMG_00821.jpg
写真2番目はもっと近接です。

IMG_02321.jpg
写真3番目は雲母で加工した部分に出来るだけ近接してみました。2つの梅の花が重なる部分を見ると、くっきり分かれているのがわかります。元絵の光琳の梅の花部分は薄墨で洒脱に描いてあり、その部分を雲母に置き換えているためその置き方は不均等ですが、元絵と違いその輪郭は縁蓋によって厳密にコントロールしていることがわかります。

光琳は心から洒脱に描いているとしても、その作風を写す染色作家は、厳密に洒脱を演出しているのです。縁蓋とはプラスティックのシートを生地の上に置き、模様の輪郭をカッターで切って防染するものです。プラスティックですから完全に防染出来てくっきりした輪郭が演出できるのです。

IMG_02341.jpg
写真4番目は雲母で加工した部分の拡大です。キラキラ光る部分が雲母ですが、生地に雲母の粉末を接着する接着剤が必要です。そのために多少ちりめんの生地が変質していますが、手で触って不自然さがあるほどではないです。

img939-thumbnail2[1]
写真5番目は参考図版として、光琳梅の元絵です。今回、雲母で表現されている梅の花は元絵では薄墨です。梅の花のタッチは同じですが、その輪郭は元絵はそのまま自然なのに、今回の作品はくっきりしています。
[ 2016/02/14 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

一の橋の付下げ「横段楽器」

第三千二百九十五回目の作品として、一の橋の付下げ「琳派梅」を紹介します。

今回紹介するのは、12月28日(三千二百四十八回)に紹介した、一の橋の友禅と雲母の名古屋帯「琳派梅」の付下げバージョンです。最初は塩瀬の名古屋帯として仕入れましたが、全身を包んでも十分に鑑賞に堪える作品なので、付下げあるいは訪問着に改作するように注文していました。

まだ出来上がったばかりですが、もう2月半ばで、帯合わせなど紹介しているうちに梅の季節になってしまうので、先に紹介します。
技法などの解説は名古屋帯の記事を参考にしてください。梅の花は雲母による加工です。

IMG_00721.jpg
いちばん上の写真は前姿(マエミ+オクミ)です。

IMG_00791.jpg
写真2番目は後姿です。

IMG_00941.jpg
写真3番目は袖です。付下げとして反物で制作しましたが、袖の模様の量を見ると、実質的に訪問着だとわかります。

IMG_00751.jpg
写真4番目は胸です。

明日は細部です。
[ 2016/02/13 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

龍村の名古屋帯「風華」の帯合わせ

第三千二百九十四回目は、龍村の名古屋帯「風華」の帯合わせです。

今日もフォーマル方向でつかってみました。、着物は更紗以外でまとめてみました。

IMG_01071.jpg
いちばん上の写真は、野口の付下げを合わせてみました。四角い取り方を、色紙のように散らさず、縦に整列させた意匠です。取り方の中の模様は唐花文ということなので、更紗とは違います。模様にしてしまえば同じような感じですが。

このような取り方模様は、余白部分に模様(波や蔓など)を描いて、取り方どうしを連携させれば訪問着的になり、余白のまま放置すれば付下げ的になりますね。

IMG_01091.jpg
写真2番目は、千切屋治兵衛の付下げを合わせてみました。実際に制作したのは中井淳夫さんで、生地は紬を使っています。陶画をテーマにしたものです。中井さんがあえて「陶画」とタイトルを付けた意味は、素朴な陶器に描かれた洒脱なタッチの絵に取材したもので、磁器にする精緻で多彩な色絵とは反対のものという意味でしょう。紬の風合いを陶器の地肌に見立てているのだと思います。

IMG_95311.jpg
写真3番目は、花也の付下げを合わせてみました。一見、笛にも見えますが、よく見ると笛ではなく小さな横棒です。それを散らした飛び柄の付下げですね。帯の更紗模様はお太鼓の上下が横段模様になっていますので、横の直線どうし共鳴し合う帯合わせになっています。

IMG_01671.jpg
写真4番目は、千切屋治兵衛の訪問着を合わせてみました。実際に制作したのは中井淳夫さんです。深山幽谷を連想させる、湿潤な気候のためにどこまでも森が続く熊野地方のような訪問着です。

IMG_01631.jpg
写真5番目は、一の橋の訪問着を合わせてみました。5月の新緑をテーマにしたもので、ゴールデンウィークの前後、あるいは梅雨の前の短い初夏に少し早い単衣として着れば爽やかな風が吹いてくるように見える着物です。一方の帯は更紗で日本の情緒に馴染まないですが、でも合わせてみると結構あってしまいます。明るい黄色の地色のおかげでしょうか。

大事なのは知識の伴う模様の意味より、感覚にすぎない色かもしれませんね。
[ 2016/02/12 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

龍村の名古屋帯「風華」の帯合わせ

第三千二百九十三回目は、龍村の名古屋帯「風華」の帯合わせです。

本来、名古屋帯はカジュアルとして小紋ぐらいまでの着物に合わせることが多いですが、龍村というブランドの力を借りてフォーマルにも使ってみます。今日は更紗を意識して、着物も更紗風でまとめてみました。

IMG_01121.jpg
いちばん上の写真は、野口の付下げを合わせてみました。実際に制作したのは岡本等さんです。更紗的な植物文ですが、華文に見える模様も合わせてあります。更紗、唐草、華文など模様の起源や日本への伝播はそれぞれですが、合わせると同じように見えてしまうこともありますね。

IMG_01081.jpg
写真2番目は、野口の付下げを合わせてみました。実際に制作したのは岡本等さんです。城か教会の窓から牧歌的な農村の風景が見えるというテーマで、窓が取り方の役割をしています。

取り方内部の模様は「窓から見える風景」ということになっていますから、模様は取り方をはみ出すことはありません。そのかわり、取り方の上に更紗風の植物文が絡めてあって、それは自由に伸びています。その植物文が取り方の間の余白を埋めて、各取り方を模様として連携させています。

IMG_01131.jpg
写真3番目は、花也の付下げを合わせてみました。小さな更紗裂を散らした飛び柄の付下げです。テーマは更紗でも、色は大人しげですし、更紗を意識せず軽い付下げとして着ても良いと思います。

IMG_01151.jpg
写真4番目は、花也の付下げを合わせてみました。全体の模様構成は、「額縁取り」といわれるもので、前姿(マエミ+オクミ)にⅬ字形に模様が配されています。袖については袖口を模様が一回転するようになっています。

IMG_01691.jpg
写真5番目は、北秀の裾模様の着物を合わせてみました。実際に制作したのは千ぐさです。私が象のワンポイント柄の着物としてつくったものですが、千ぐささんがおせっかいで、鹿や植物を付け加えたため、色留袖と誤解されるようなわけのわからない着物になってしまいました。

更紗の帯に対し、更紗と同じ産地で更紗を連想させる動物模様を合わせたもので、組み合わせとしては絶妙ですが、更紗を連想させるような象の着物というのはあまりないので、滅多にできないですよね。
[ 2016/02/11 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

龍村の名古屋帯「風華」の帯合わせ

第三千二百九十二回目は、龍村の名古屋帯「風華」の帯合わせです。

昨日は、更紗の帯に更紗の着尺を合わせるという危険な実験をしてみました。なぜ危険か、更紗というもともと濃いテーマが集まりすぎて臨界に達してしまうからでしょう。今日は縞も含めて、もっといろいろな染の着尺を合わせてみます。

IMG_96471.jpg
いちばん上の写真は、野口の着尺を合わせてみました。更紗を合わせない代わり、多様性のある更紗の特徴の1つである曲線を合わせてみました。ちょっとアールヌーボー風の雰囲気ですね。

IMG_96641.jpg
写真2番目は、野口の手描きの着尺を合わせてみました。縞や格子を合わせてみようと思いました。格子の変奏ともいうべきデザインです。蝋防染の手描きなので、線が揺らいで柔らかい雰囲気があります。手描きか手描風の型の違いは、型継ぎの有無で見分けます。このような揺らいだ線では、型をぴったり合わせるのは難しいですから。

IMG_01712.jpg
写真3番目は、野口の手描きの着尺を合わせてみました。この着尺も蝋防染の手描きです。線が揺らいで柔らかい雰囲気があります。本当の直線の縞より使い勝手が良い時もありますね。

IMG_96601.jpg
写真4番目は、野口の短冊模様の着尺を合わせてみました。短冊は茶色とグレー地、中の唐花模様は金線です。短冊は直線模様の変形にも見えますね。

IMG_96531.jpg
写真5番目は、動物模様の訪問着を合わせてみました。インドネシア風の孔雀や象で、おそらく更紗模様から抜き取ったものでしょう。更紗も動物文だけにすれば、帯の植物文の更紗とちょうど補完関係になり、是t妙な組み合わせになりますね。
[ 2016/02/10 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

龍村の名古屋帯「風華」の帯合わせです

第三千二百九十一回目は、龍村の名古屋帯「風華」の帯合わせです。

今日は染の着尺を合わせてみますが、更紗の帯に更紗の着物を合わせることが可能かどうか試してみました。着物と帯を同じパターンにするというのは、普通はしないですよね。私は、チェッカーズが「ギザギザハートの子守唄」を歌っていたときに全身チェックの衣装だったことなど思い出してしまいます。

IMG_00991.jpg
いちばん上の写真は、更甚の更紗の着尺を合わせてみました。牛首紬の生地を使っています。

IMG_01721.jpg
写真2番目は、野口の更紗の着尺を合わせてみました。

IMG_96451.jpg
写真3番目は、野口の更紗の着尺の色違いを合わせてみました。

IMG_96571.jpg
写真4番目は、野口の更紗の着尺を合わせてみました。これは目が疲れそうですね。帯のお太鼓の上下の模様のパターンと着物の模様のパターンが似ているので、目が混乱してしまうのでしょう。

IMG_01051.jpg
写真5番目は、野口の更紗の訪問着を合わせてみました。上の更紗の着尺の型を応用して作った訪問着です。制作工程から言えば訪問着と着尺の中間のようなもので、用途については、訪問着を着て行くべきか小紋を着て行くべきか迷うようなときに着て行くと思えば、意外に出番があると思います。

写真4番目の帯合わせは変ですが、同じ模様でも中央に無地場を設け、帯の模様と着物の模様が直接接しないようにすれば違和感はありません。
[ 2016/02/09 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

龍村の名古屋帯「風華」の帯合わせ

第三千二百九十回目は、龍村の名古屋帯「風華」の帯合わせです。

昨日まで、黄色と藍の色をテーマにしてきましたが、今日はその他の色を自由に合わせてみます。

IMG_94951.jpg
いちばん上の写真は、大城広四郎の琉球絣を合わせてみました。意匠は、沖縄独特の伝統的な模様単位です。すべて意味が有りますが、これはそのうち調べておきます。

IMG_95181.jpg
写真2番目は、読谷花織を合わせてみました。読谷花織は、「花織」と言いますが、生地に別の糸を差し入れて紋織にする織物ですから分類上は「浮織」です。生地の糸自体が変化して紋織を形成する花織と違い、糸を自由に選ぶことができます。

そのため、配色の上手さが作品の良し悪しを決定するのですが、たいていはくっきりしたコントラストになっています。この作品のばあい、黒の地色に対し紋織部分は赤系2色と黄色系になっています。

IMG_95211.jpg
写真3番目は、黄八丈(黒八丈)を合わせてみました。黒地に細い黄色の縞です。

IMG_94911.jpg
写真4番目は、白鷹紬を合わせてみました。本塩沢と同じような風合いの白鷹お召が知られていますが、近年、手紡ぎの真綿で織った白鷹紬も織られています。

IMG_95171.jpg
写真5番目は、新田機業の紅花紬を合わせてみました。経産省の伝産マークでは、紅花紬と白鷹紬は同じ「置賜郡の紬」という分類になります。
[ 2016/02/08 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

龍村の名古屋帯「風華」の帯合わせ

第三千二百八十九回目は、龍村の名古屋帯「風華」の帯合わせです。

今日は藍染の紬に合わせてみます。日本の伝統色は藍ですから、紬に合わせる帯は、藍に合わなければ使い勝手が悪いですよね。

IMG_94961.jpg
いちばん上の写真は、かつての重要無形文化財の結城紬の縞を合わせてみました。縞を藍の濃淡になるように並べたものですから鰹縞ということになるでしょう。

IMG_95021.jpg
写真2番目は、林宗平の古代紬を合わせてみました。林織物の先代の林宗平時代のもので、当時は「古代紬」というネーミングでしたが、一般的には塩沢紬と言われる手織りの真綿の織物です。意匠は有栖川錦に取材していて、現代人から見れば、土俗的であってほしい地方の手工芸品が中央の文化である京都の真似をして嫌だなあとも思うのですが、「北越雪譜」に書いてある、魚沼の織物人の「京の錦に負けない織物を作る」という志を具現化したものだと思います。

IMG_95031.jpg
写真3番目も、林宗平の古代紬を合わせてみました。これも林織物の先代の林宗平時代のものです。横段の飛び柄で模様表現をしていますが、帯の模様の上下にも横段があり、横段どうしシンクロして良い感じではないかと思います。

IMG_94931.jpg
写真4番目は、弓浜絣を合わせてみました。割と太い木綿の糸で、基本の緯絣(大島でいえばヨコソウですね、ちなみにヨコソウは緯総と書きます。)だけで表現した織物です。弓浜絣というのは、技法的なレベルが低いのではなく、平明な美を追求していると考えるべきでしょう。

IMG_95151.jpg
写真5番目は、真栄城興茂の琉球美絣を合わせてみました。日本では地租改正は明治5年ですが、沖縄では1903年でした。それまでは織物は年貢として物納していたのが、この時から自由に織ってそれを売って、現金で納税することになったのです。
[ 2016/02/07 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

龍村の名古屋帯「風華」の帯合わせ

第三千二百八十八回目は、龍村の名古屋帯「風華」の帯合わせです。

今回の龍村の名古屋帯は、インド更紗の意匠が特長ですが、今日は地色の明るい黄色に着目し、着物も黄色の同系色で合わせてみたいと思います。今の織物の人気作家は、明るい黄色を良く使いこなしています。伝統的な織物の世界で明るい黄色と言えば、沖縄の福木や八丈島の苅安が黄色ですね。

IMG_00961.jpg
いちばん上の写真は、山口良子さんの首里織を合わせてみました。キンキンするほど輝くような黄色で、これが伝統的な福木による染かと思うと驚きますが、成功している草木染というのはこういうものなのでしょう。草木染しかなかった時代の人は、草木染らしい滋味な色で満足していたわけではなく、より鮮やかな色を目指していたのでしょうから。

この作品は、地糸が変化して紋織になる花織と、地に他の糸を差し入れる浮織を併用しています。花織も浮織も首里織の伝統的な技法です。

IMG_00971.jpg
写真2番目は、仲井間香代子さんのロートン織を合わせてみました。ロートン織は両段織や道屯織などと表記されます。経糸が浮く紋織ですが、裏表とも同じように経糸が浮いて両面そっくりなのが不思議な織物で、それが「両段織」という表記の意味だと思います。

IMG_95001.jpg
写真3番目は、大城広四郎の琉球絣を合わせてみました。格子の意匠ですが、沖縄では格子のことをグバン(碁盤)といいます。グバンの経緯が交わるところに絣を配するという凝った意匠です。

IMG_00981.jpg
写真4番目は、与那国花織を合わせてみました。グバンと花織を合わせた意匠の織物で、グラデーション表現が特長の美しい織物です。

IMG_01021.jpg
写真5番目は、山下八百子の黄八丈を合わせてみました。
[ 2016/02/06 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

龍村の名古屋帯「風華」の続き

第三千二百八十七回目は、龍村の名古屋帯「風華」の続きです。

今日は各部分を近接と拡大で撮ってみました。

IMG_91581.jpg
写真いちばん上はお太鼓のメインの模様の近接です。

IMG_91561.jpg
写真2番目はお太鼓の上下の模様の近接です。

IMG_91621.jpg
写真3番目は腹文の模様の近接です。

IMG_91641.jpg
写真4番目は拡大です。茶色の糸は木の幹と枝、青の糸は花を現しています。どちらも模様表現のための緯糸(絵緯糸)ですね。茶色の糸の方が留め糸が多いので、生地にぴったりくっついて平面的な感じがし、白い糸の方が留め糸が少ないので、生地から浮いて立体的な感じがします。それがちょうど木の幹と花の関係になるんですね。立体的な表現をしたいときには、絵画では陰影を付けたりするものですが、西陣の織物では留め糸の数の多少で調節するという手段もあるわけです。

IMG_91651.jpg
写真5番目も拡大です。茶色の糸は木の幹と枝、白・赤・黄糸は花を現しています。やはり留め糸の間隔の違いを表現手段として使っています。
[ 2016/02/05 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

龍村の名古屋帯「風華」

第三千二百八十六回目の作品として、龍村の名古屋帯「風華」を紹介します。

インド更紗に取材した作品です。木綿の染物である更紗裂の意匠だけ借りて、西陣の織物で表現していることになります。元のインド更紗では、このような意匠は大きな更紗裂の縁取りの連続する模様として使われていることが多いです。その部分を主役にしてお太鼓に持ってきているんですね。

IMG_91511.jpg
写真いちばん上はお太鼓です。

IMG_91591.jpg
写真2番目は腹文です。お太鼓の上下に使われている装飾模様ですが、腹文では縞更紗のように配されています。黄色の地色が効果的です。

IMG_91661.jpg
写真3番目は裏側です。裏を見ると渡り糸が多くあります。模様は絵緯糸で表現されていて、糸の量からかなり複雑であることがわかります。全く金糸が使われていないので、紬や小紋に合わせることを想定して企画された帯のようです。

sankou050.jpg
写真4番目は参考図版で、帯屋捨松の八寸の名古屋帯です。他社にも似たような作例があり、西陣では人気の意匠のようです。
[ 2016/02/04 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

藤井絞の辻が花系の絞の名古屋帯の帯合わせ

第三千二百八十五回目は、藤井絞の辻が花系の絞の名古屋帯の帯合わせです。

この帯は紬に対して合わせやすい、とくにグレーの縞のような無表情な紬に対して相性が良いと思います。しかし今日は染の着尺に合わせてみます。具象的な植物文のため、同じ植物文の着尺には合わせにくいように思いますがどうでしょうか。

IMG_00081.jpg
いちばん上の写真は、野口の格子の着尺を合わせてみました。良く合っていますが、織物の意匠を型染にして小紋にしただけのようで、結局、織物で上手くいった例を真似しているだけですね。

IMG_00101.jpg
写真2番目は、野口の蝋染風の着尺を合わせてみました。これも連続する模様ですから、意匠的に織物と全く違うとは言えません。ただ、模様のタッチが蝋染あるいは蝋染風になっていて、そこに多少の織物と違う個性がありますね。

IMG_00091.jpg
写真3番目は、千切屋治兵衛の紬地の着尺合わせてみました。竹の図案を市松の配したものです。帯と着物を同じ植物文にするというのもどうかと思いますので、少し遠慮して花の無い竹にしてみました。さらに市松模様にして、半分を無地にしてみました。

IMG_84411.jpg
写真4番目は、野口の着尺を合わせてみました。着物と帯が同じような植物模様だったらどの程度まずいか試してみました。帯の縁まで模様が有るために着物と帯の模様がつながってしまうんですね。同じ植物文でも、縁に余白があればもう少し合わせやすかったと思います。

この例では横段模様にして、着物と帯の間に無地場を設定しました。しかし、着付けによっていつも無地場ができるとは限りません。

IMG_00111.jpg
写真5番目は、千切屋治兵衛の紬地の着尺合わせてみました。植物文どうしにならないよう、動物模様にしてみました。さてこの植物が何かということですが、タイトルには「六葉花」とあります。

六葉花というのは、古代の瓦などにある文様を意味することが多いですが、現実の植物としては、ムベではないかと思います。学名を直訳すると六葉みたいな感じなので。ムベであればアケビ科ですから栗鼠が食べますよね。それでつながりが作れるように思います。
[ 2016/02/03 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

藤井絞の辻が花系の絞の名古屋帯の帯合わせ

第三千二百八十四回目は、藤井絞の辻が花系の絞の名古屋帯の帯合わせです。

今日はいろいろな色、いろいろな素材、いろいろな産地の織物を合わせてみます。

IMG_84571.jpg
いちばん上の写真は、郡上紬を合わせてみました。経糸・緯糸共に手紡ぎの真綿を使用し、染は草木染、織りは手織りですから、地方の紬としては最も高価なものの1つですね。素朴なもののはずなのにセンスは都会的に洗練されているのが良いところではないでしょうか。素朴な織物だから野暮いのがホンモノの証拠だ、なんていうのはダメですよね。

IMG_84481.jpg
写真2番目は、黄八丈(黒八丈)を合わせてみました。黒地の着物との帯合わせにチャレンジしてみました。伝統的な織物とはいえ、黒地に黄色の線ですからけっこう激しい配色ですよね。

IMG_84511.jpg
写真3番目は、新田機業の紅花紬を合わせてみました。ぽわっとした綺麗な色の織物との相性も試してみました。

IMG_84501.jpg
写真4番目は、久米島紬を合わせてみました。本来の絣ではなく縞だけの久米島紬です。価格は絣よりも安いです。

IMG_84651.jpg
写真5番目は、斉藤頴さんの舘山唐桟を合わせてみました。木綿の縞にも合わせてみました。木綿の縞といえばカジュアルに決まっていると思うでしょうが、思い切って作家モノの染色や西陣の高いブランドを合わせてみると、意外と合ってしまいます。それに、そういう着こなしをしていると、いかにも着物通みたいでかっこいいです。
[ 2016/02/02 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

藤井絞の辻が花系の絞の名古屋帯の帯合わせ

第三千二百八十三回目は、藤井絞の辻が花系の絞の名古屋帯の帯合わせです。

今日は、藍染の紺地の紬を合わせてみます。近世以前の日本の染料の9割以上は藍染ですから、日本人はほとんど青を着ていたはずです。ドーデの「月曜物語」の中でシーボルトが登場する「盲目の皇帝」では、日本は青い国と書いてありますしね。

伝統工芸の紬の産地や作家で藍の色に関わらないということはないでしょう。紬に合わせる帯なら紺色に合わないと使いみちは狭いということになりますね。また、今回の紬は青い花がアイキャッチポイントですから、青どうしが共鳴してくれるはずです。

IMG_84271.jpg
いちばん上の写真は、青戸柚美江の出雲織の着尺「垣の花」を合わせてみました。花の模様の帯に花の模様の着物を合わせるというのは、利口なやり方とは思えませんが、この着物の意匠が花と気づく人は少ないでしょう。

IMG_84591.jpg
写真2番目は、かつての重要無形文化財の結城紬を合わせてみました。結城紬の重要無形文化財指定のものについては、正確には「かつての」と書かなくてはいけないんでしょうね。これは古い茶色の証紙の最後のころのものです。

IMG_84561.jpg
写真3番目は、木綿の琉球絣を合わせてみました。沖縄県内で生産される平織の絣は、定義上、琉球絣と言います。これは珍しい木綿製です。

IMG_84241.jpg
写真4番目は、手織りの中で一番安い久留米絣を合わせてみました。糸が太くて絣も緯絣のみの、手織りとして一番安い久留米絣です。糸が太ければ織の工程も早く進みますし、絣の工程も少なく済むはずです。そのかわり昔のファックシミリみたいに絵がカクカクになるわけです。地方の実用的な絣織物の原型みたいな雰囲気があって、私はけっこう好きですよ。こういうのを着ている人を見ると、呉服屋の展示会でお世辞を言われて高い着物を買わされる人ではなく、自分の意思で買う本当に着物が好きな人なんだなあと思います。

IMG_84301.jpg
写真5番目は、十日町の紬の着尺を合わせてみました。フィーリングカップル5対5のように、5番目には他の4人とは違うタイプを呼んでみました。正反対の茶色ですが、けっこう良いですよね。
[ 2016/02/01 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)