大城広四郎の琉球絣の帯合わせ

第三千二百二十回目は、大城広四郎の琉球絣の帯合わせです。

今日は、藤井絞の辻が花写しの帯を合わせてみました。生地は4点とも生紬(玉紬)で、着物を袷に仕立てても使えますし、単衣に仕立てても使えます。この着物は単衣でも使えますので、両方使える帯ということも考えてみました。

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いちばん上の写真は、生紬地で六通の辻が花写しの帯を合わせてみました。描き絵と絞りのバランスもよく、みんながとりあえずイメージする辻が花ですね。

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写真2番目は、生紬地で波と千鳥の帯を合わせてみました。描き絵はなく、絞りだけで具象的な表現をする後期タイプの写しです。

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写真3番目は、生紬地で描き絵部分の多い辻が花の帯を合わせてみました。絞りが少ないと思うかもしれませんが、生地が白地ですから、模様以外のすべてを絞っていることになります。

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写真4番目は、生紬地で描き絵と疋田絞りのある辻が花の帯を合わせてみました。鶺鴒をテーマにしたもので、有名な作品の写しです。
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[ 2015/11/30 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

大城広四郎の琉球絣の帯合わせ

第三千二百七十九回目は、大城広四郎の琉球絣の帯合わせです。

地方の文化である紬や絣の織物に対する帯合わせは、やはり同じような民芸的織物を合わせることもできます。しかし同じ織物でも、中央の文化である京都西陣の精緻で華やかな帯を合わせることもできます。今日は龍村の名古屋帯を合わせてみました。

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いちばん上の写真は、龍村の名古屋帯「スウェーデンの鳥」を合わせてみました。スウェーデン刺繍のモチーフを織で表現したものです。もともと刺繍で表現するのにふさわしいデザインであるはずですが、織でも表現できてしまうという趣旨ですね。

西陣の帯の模様の多くは、生地の強度に貢献しない模様表現のためだけの緯糸(絵緯糸)で表現されているため、もともと刺繍に似ているのかもしれませんね。よく考えてみると、完成した生地に後から別の色糸を差し入れるのが刺繍、織の途中で別の色糸を差し入れるのが絵緯糸ですから、時間がずれているだけとも言えます。

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写真2番目は、龍村の名古屋帯「アンデスの神」を合わせてみました。アンデスの国家といえば、インカ帝国が有名ですが、インカ以前にも多くの国家や文明があり、発掘してはじめてわかるようなものもありますから、ひとまとめにプレインカということもあります。これはチャビンとかチャンカイとかそういう文明のものでしょう。

これは雨ごいの神さまみたいですね。ペルーというのはエルニーニョの震源地ですから、いつもは砂漠でエルニーニョの年だけ大豪雨ということもあるそうですね。

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写真3番目は、龍村の名古屋帯「バティック」を合わせてみました。龍村には諸国漫遊的なシリーズがあって、このブログでも、今日紹介している3点以外にエジプトやバイキングを紹介しています。面白いなあと思ったのは、女の子が牛に乗った意匠で、ギリシア代表のエウロペなんでしょうね。国ごとにテーマを決めて展示会をしていたことがあるからですが、今後もいろんな諸国漫遊シリーズを紹介したいと思っています。

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写真4番目は、龍村の仕立て上がり名古屋帯を合わせてみました。普通の仕立て上がり名古屋帯(光波帯)は、経錦として織られていますが、これは絵緯糸で模様表現されたスペシャルバージョンです。どのような理由で制作されたのかわかりませんが、再び織られる可能性は極めて低い珍しいものです。

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写真2番目は、龍村の光波帯「サンチャペルの犬」を合わせてみました。基本の経錦(複数の色糸の経糸が浮沈して模様表現をする古代からの基本の錦)によるものです。過去の戌年に、干支の裂として制作されたものです。
[ 2015/11/29 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

大城広四郎の琉球絣

第三千二百七十八回目の作品として、大城広四郎の琉球絣を紹介します。

反物の端の「本場琉球」という文字が織り込んでありますが、その真ん中に○の中に「コ」の文字があります。それが大城広四郎織物工場のマークです。大城広四郎さんの工房は南風原にありますが、今は代が替わって息子さんが運営しています。

制作年代によって複数のラベルがあるので、だいたいの制作年代は分るのですが、この作品は残念ながらラベルが失われており正確にはわかりません。しかし、ラベルが失われていること自体、かなり古いものだと推測されます。

生地は紬というよりさらっとした絹の手触りです。

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いちばん上の写真は、反物の幅を写真の幅として撮ったものです。 模様は格子(沖縄ではグバン(碁盤)ですね)のように見えますが、よく見ると四角形が重なる図案です。四角形が重なるパターンも伝統的な模様単位にあるのでしょうか。

四角形の中に白い4つ玉、四角形の間に黄色い1つの玉があります。4つ玉は「鍋敷」という意味もあるそうですが、4つ玉も1つ玉もまた伝統ある模様単位かもしれません。

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写真2番目は、近接です。四角形はちゃんとした形ではなく、走り書きのような洒脱なタッチです。4つ玉の1つ玉も微妙にずれていて形がさまざまです。そこがまさに作品の意義で、正確な四角と点では安物の機械織りみたいに見えてしまうでしょうね。正確な四角形ではなく洒脱なタッチにすることに手間をかけているんだろうと思います。

色は藍染でしょうが、青ではなくちょっと緑がかって見えます。それもまたこの作品の特長ですね。黄色い玉ともよく調和しています。

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写真3番目は、絣が交わる部分の拡大です。緑がかった不思議な色は、経糸、緯糸で違う2色の藍色から生じていたことがわかります。こうすると、緑がかって見えるんでしょうか、不思議ですね。

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写真4番目は、4つの白い玉の絣の拡大です。絣の微妙なズレが洒脱な形を生んでいます。自然体に見えますが、作者はそういうことをちゃんと計算しているんですよね。

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写真5番目は、1つの黄色い玉の絣の拡大です。黄色い玉の形の絣の周囲がちょっと緑に見えますね。藍と黄色が重なって生じたのでしょう。手括りの絣のうれしい証拠です。でもそれもまた作者の計算かもしれません。
[ 2015/11/28 ] 各地の絣・紬 | TB(0) | CM(0)

花也の付下げ「サンテティエンヌリボン」の帯合わせ

第三千二百七十七回目は、花也の付下げ「サンテティエンヌリボン」の帯合わせです。

今日は友禅の染め帯を合わせてみました。もともと刺繍を主役にした作品ですし、モチーフは多彩ですが繰り返しが多いですから、あまり絵画性や物語性が高いとは言えません。そこで友禅の帯を合わせて、絵画性や物語性を補完します。

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いちばん上の写真は、加賀友禅作家百貫華峰の名古屋帯を合わせてみました。百貫華峰は、伝統的な加賀友禅の作家であるとともに、日展に連続入選している創作家としても有名です。絵画性を補完するという意味で、風景画のような作品を選んでみました。

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写真2番目は、一の橋の友禅の帯を合わせてみました。中井淳夫さんの作風によく似ていますが、同じ下職を使っているのでしょうね。作品の存在感は西陣の袋帯に勝るものがあるので、フォーマルとしてもつかえます。しかし中井の色は、フランス風の明快な色とは全く違うということがよくわかってしまいますね。

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写真3番目は、花也の琳派の帯を合わせてみました。いちばん外側の模様は霞で、その中に波があり、その中に色紙があり、その中に蛇籠と川辺の風景が入っているという入れ子構造になっている重厚な作品です。琳派の屏風のような金地ですが、着物の地色に対しては、光るか光らないかの違いだけで同系色でもあります。

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写真4番目は、秀雅の友禅と刺繍の名古屋帯を合わせてみました。東京の千代田染繍または千代田周辺の職人を使った重厚な作品です。作風と技法は、北秀の最高級品であった千代田染繍の黒留袖をミニチュア化して帯のお太鼓した感じですね。北秀の元社員が運営していた秀雅ならではの作品です。

能衣装の鬘帯のようなテープ状の模様で、着物のテーマと一緒ですが、大小の違いがあって、着物の模様が帯で近接して飛び出してきたような錯覚を狙っています。貞子がテレビから出てくるシーンをイメージしてみたんですけどね、そう見えるでしょうか。

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写真5番目は、大松の塩瀬地の袋帯を合わせてみました。大松の先祖は大幸(大黒屋幸吉)で、幸吉の長男の松三郎が大松(大黒屋松三郎)、長女の幸の夫で婿養子の彦兵衛が大彦(大黒屋彦兵衛)です。ついでながら、大羊居は大幸をもじったものです。作風も似ていますね。貞子で気分を悪くされた方のために、最後はまともな帯合わせにしてみました。
[ 2015/11/27 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の付下げ「サンテティエンヌリボン」の帯合わせ

第三千二百七十六回目は、花也の付下げ「サンテティエンヌリボン」の帯合わせです。

今日は名古屋帯を合わせてみました。フォーマルな使い方をしますから、それにふさわしく喜多川俵二と龍村を使っています。

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いちばん上の写真は、喜多川俵二の名古屋帯「厚板格子」を合わせてみました。「厚板」という言葉は能装束のタイトルの一部として見ることが多い言葉ですが、中世に中国から輸入された裂が厚板に巻かれていたことに由来します。

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写真2番目は、喜多川俵二の名古屋帯「角繋ぎ」を合わせてみました。喜多川平朗、俵二の帯は、有職文と唐織で典雅な古典文様のイメージを持っている方は、こういうのを見ると意外に思うかもしれません。実際に帯合わせの素材として使っていると、使い勝手が良くすごく気に入ってきます。

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写真3番目は、喜多川俵二の名古屋帯「小牡丹唐草」を合わせてみました。名物裂の代表のような牡丹唐草文の1つです。帯と着物が同系色というのを試してみました。

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写真4番目は、龍村の名古屋帯「花韻」を合わせてみました。花が音を発していて、花弁の周りに音波が広がっていくという意匠です。目に見えないものを描いていて、アニメの表現みたいですね。配色が、黄緑とオレンジに組み合わせでまとまっているのが個性ですね。世間によくあるかわいい配色は、ピンクと水色ですものね。

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写真5番目は、龍村の名古屋帯「清釉文」を合わせてみました。タイトルの意味が分かりにくいのですが、色が白地で模様が染付の青であれば、明代の官窯のデザインですね。「釉」の文字は、釉薬の意味だろうと思います。

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写真6番目は、龍村の光波帯「太子菱繋文錦」を合わせてみました。光波帯は仕立て上がりの名古屋帯で、龍村ブランドの帯としてはもっとも安いものです。着物の模様のクリアな色彩を意識して、色を合わせてみました。
[ 2015/11/26 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の付下げ「サンテティエンヌリボン」の帯合わせ

第三千二百七十五回目は、花也の付下げ「サンテティエンヌリボン」の帯合わせです。

昨日は着物がサンテティエンヌリボンということを意識して、エキゾティック系の袋帯を合わせてみましたが、着物と帯の模様の関係は国籍を合わせないといけないというわけではないでしょう。今日は日本的な模様を合わせてみます。

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いちばん上の写真は、洛風林の亀甲模様の袋帯を合わせてみました。実際に織ったのは、当時洛風林同人だった帯屋捨松です。日本の伝統文様の基本である亀甲が並んでいるだけですし、亀甲模様が特にお洒落とも思いませんが、洛風林がつくるとお洒落に見えてしまいます。

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写真2番目は、織悦の龍田川の袋帯を合わせてみました。黒地と辛子色地に組み合わせは綺麗ですね。小物の刺繍の模様は小付けですが、帯の模様の楓は大きいです。

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写真3番目は、織悦の籠目の袋帯を合わせてみました。帯は金地ですが、着物の辛子色とは光るか光らないかの違いで、実質同系色ですね。模様は多彩ですが、模様本来の色は緯糸だけで経糸は地の組織に白色です。そのため色が全て中間色で優しい雰囲気になっています。

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写真4番目は、織悦の琳派の秋草模様の袋帯を合わせてみました。着物の辛子色に対して白地を合わせてみました。模様は多色で、優しくもくっきりした配色です。これまでのところ、和様の模様でも違和感はないですね、模様の意味よりも色の方が大事だからかもしれません。洋物は洋物しか合わせないという発想より、和洋混ぜて自分の世界を作った方が面白いですね。

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写真5番目は、帯屋捨松の桃の袋帯を合わせてみました。桃の模様は中国の西王母を連想させますから、神仙思想に基づくものかと思いますが、日本の伝統文様といっても起源が中国というのはたくさんありますね。黒の引き箔地に紅い桃という意匠ですね。
[ 2015/11/25 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の付下げ「サンテティエンヌリボン」の帯合わせ

第三千二百七十四回目は、花也の付下げ「サンテティエンヌリボン」の帯合わせです。

今日は西陣の袋帯を合わせてみますが、着物の模様のテーマがサンテティエンヌということなので、帯の模様もエキゾティックなテーマにしてみました。

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いちばん上の写真は、洛風林の袋帯「飾宝華文」を合わせてみました。華文は日本の文様の歴史の中にもありますが、古代に伝来して正倉院にあるものですから、もともとはインターナショナルなものですね。これは10年以上前の仕入れですが、当時は帯屋捨松も洛風林の同人だったので、これは洛風林のロゴ入りの捨松の帯です。

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写真2番目は、帯屋捨松の袋帯「ヴィクトリア花文」を合わせてみました。捨松の手織りの高級バージョンです。現在の捨松の手織りは中国工場のものですが、これは10年以上前の仕入れなので、当時は日本製だったろうと思います。

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写真3番目は、紫絋の袋帯「ポピー」を合わせてみました。着物の模様の色がフランス刺繍を思わせるクリアな色なので、帯の色も同じイメージで合わせてみました。この帯は、結城紬のように高品質だが地味という紬に合わせても良いと思いますが、この帯合わせのように帯と着物でイメージを貫徹することも可能ですね。

私はこのような着方をしている人を見たら尊敬しますが、帯締め帯揚げも草履もバッグもイメージを合わせなくては、と思うと着る人は覚悟が要りますね。半衿は白で良いと思いますけど。

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写真4番目は、山鹿清華の袋帯「孔雀文」を合わせてみました。山鹿清華の本人作の作品は「手織錦」といいますが、これはじゅらくによるライセンス商品です。ライセンスとはいえ、本作品と同じ技法も使ってすごく良く出来ています。残念ながら地色が変なので、あまり出番が無いですが、今回はどうにか使えるかなあというところ。

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写真5番目は、大西勇の袋帯「正倉院臈纈屏風」を合わせてみました。フランスに象はどうかなあとも思いましたが、エキゾチックどうしということでまとめてみました。辛子色と紫色の対比を狙ってみました。
[ 2015/11/24 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の付下げ「サンテティエンヌリボン」の細部

第三千二百七十三回目は、花也の付下げ「サンテティエンヌリボン」の細部です。

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いちばん上の写真はマエミの近接です。この刺繍の意匠が、サンテティエンヌのリボンのデザインに取材したものだと思います。植物文でしょうが、種類は分らないですねえ。

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写真2番目は、オクミの近接です。花はスノードロップでしょうか。実際に似ているというよりは、ガレやドームナンシーに多いですから。

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写真3番目は、袖の近接です。袖にもかなり豪華に刺繍してあります。色も濁りの無い明快な色で、モダンというかフランス刺繍風というか、現代のユーザーの好みをよく考えていますね。

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写真4番目は、マエミのオクミの縫い目辺りです。リボンが接近する部分ですね。紐状のモチーフは、形を自由に変えられるので、作者の意図により意匠の自由度が大きいわけですが、この作品では、リボンは折れても重ならないし、交差もしないし、輪になることもありません。

「七色の谷をーこえて」という歌では、リボンは「輪になって、輪になって」という展開をしていきます。たいていの人はリボンは輪になるイメージのはずですが、この作品では輪になるどころか、かなり直線っぽいところもあって、緊張感を保っています。そのためにかわいい色やデザインでも、通俗的にならない感じですね。
[ 2015/11/23 ] 繍箔 | TB(0) | CM(0)

花也の付下げ「サンテティエンヌリボン」

第三千二百七十二回目の作品として、花也の付下げ「サンテティエンヌリボン」を紹介します。

花也の作品といえば、糊糸目の美しさを競う作品がメインのイメージですが、これは刺繍をメインにした作品です。タイトルから、伝統の京繍ではなく、フランス刺繍のデザインを意識した作品だとわかります。サンテティエンヌは、フランスの中部ロワール県の県庁所在地です。フランスで初めてリボンが織られた地であり、日本に初めて輸入されたリボンもサンテティエンヌ製だったそうです。

紐状のモチーフは、能装束の桂帯を名乗ることもありますし、単にテープ模様ということもありますが、着物の意匠としては自由に形を変えられるところが良いですね。長く伸ばして体をグルグル巻く意匠にしても良いですし、直線の斜線にしても良いです。あるいは縛ったり丸めてしまうこともできますね。

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いちばん上の写真は、前姿(マエミ+オクミ)です。

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写真2番目は後姿です。前姿の写真の右端が、後姿の写真の左端につながります。

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写真3番目は、下前の写真です。後姿の写真の右端からつながります。

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写真4番目は、袖の写真です。

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写真5番目は、もう片袖の写真です。




[ 2015/11/22 ] 繍箔 | TB(0) | CM(0)

藤井絞の名古屋帯「ビーンズ」の帯合わせ

第三千二百七十一回目は、藤井絞の名古屋帯「ビーンズ」の帯合わせです。

今日は紅型の着尺に合わせてみます。紅型は、もっとも帯合わせしにくい着物だと思うので、このブログでは常に「紅型に合いやすい帯」を探しています。今回の帯は、模様の周りに余白があり(しかも彩色である黒)、模様は原色で存在感がありつつシンプル、と紅型に合う条件がそろっているので、期待しています。

元々、なぜ紅型の帯合わせが難しいかといえば、まず模様が多色で余白が無いからです。帯の模様とつながってしまうんですね。普通は、織と染であれば織の方が存在感があるため、その質感の違いから帯と着物の模様がつながってしまうということはないのですが、紅型の模様は染料ではなく顔料なので存在感があり、織と差が付きにくいのです。

無地の帯なら良いのですが、織というのは模様表現に技術もコストもかかるので、無地の帯というのは安いものであることが多いのです。値段が安いから悪いという発想は下品で幼稚ですが、もともと人というのは下品で幼稚なものです。紅型はとても高いものであるため、人はどうしてもアンバランスな感じがしてしまうんですね。

というわけで、紅型に合う帯は、存在感のある模様があるが、その周りに余白があって紅型の模様と直接接しないものということになります。本場の沖縄の人はどうしていたの?という疑問を持つ方もいらっしゃるでしょうが、伝統的な琉装は帯は使わないので、参考にならないのです。

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いちばん上の写真は、城間栄喜の紅型の着尺を合わせてみました。

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写真2番目は、城間栄順の紅型の着尺を合わせてみました。

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写真3番目は、藤村玲子の紅型の着尺を合わせてみました。

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写真4番目は、知念貞夫の紅型の着尺を合わせてみました。
[ 2015/11/21 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

藤井絞の名古屋帯「ビーンズ」の帯合わせ

第三千二百七十回目は、藤井絞の名古屋帯「ビーンズ」の帯合わせです。

今日は小紋(染の着尺)を合わせてみます。

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いちばん上の写真は、野口の更紗の着尺を合わせてみました。余白の全くない多色の縞更紗で、帯合わせしにくい着物の1つです。帯の模様が、シンプルでありながら原色で存在感があって、しかも余白もありますから、着物の個性と正反対で、良く拮抗しています。

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写真2番目は、野口の格子の着尺を合わせてみました。手描きのように見えるよろけ格子で、地味というより粋、このような着物は帯合わせしやすいですよね。江戸の粋を思わせる茶、鼠、紺の配色の着物に、原色の帯という本来合わない色の合わせですが、まあでも何とかなっている、というところでしょうか。

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写真3番目は、野口の四角い取り方の飛び柄着尺を合わせてみました。取り方の内部の模様は、七宝文や型疋田などです。四角い模様の着物に半円型の模様の帯の組み合わせです。形の違いは救いですが、合っているような気はしないし、この帯は染めどうしでは難しいのかなあという気がしてきました。

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写真4番目は、野口の吹寄せの着尺を合わせてみました。伝統的な吹寄せ模様に対し、徹底的に逆らう帯合わせですね。合っていると思う人はいないでしょうねえ。

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写真5番目は、千切屋治兵衛の源氏香の着尺を合わせてみました。これも伝統模様で、色や形が合っているとは思いませんが、四角と半円の形の違いは救いだし、外人が見ればどちらも幾何学模様の組合わせで、意外に許されるかもしれませんね。
[ 2015/11/20 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

藤井絞の名古屋帯「ビーンズ」の帯合わせ

第三千二百六十九回目は、藤井絞の名古屋帯「ビーンズ」も帯合わせです。

昨日は、藍染の紬に合わせましたから、今日はそれ以外の紬を合わせてみます。

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いちばん上の写真は、大城織物工場(大城カメの工房)の琉球絣に合わせてみました。格子(沖縄ではグバン(碁盤)と言います)に絣の組み合わせで、手縞といわれる沖縄織物独特の意匠です。

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写真2番目は、山下八百子の黄八丈に合わせてみました。山下さんらしい綾織りに縞を合わせたものです。

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写真3番目は、かつての重要無形文化財に相当する結城紬に合わせてみました。百亀甲総柄です。思い切り土着的な雰囲気の結城紬を選んで、モダンな原色デザインの帯と対比させてみました。すごくチグハグな雰囲気になってお勧めできないですね。

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写真4番目は、斉藤頴さんの館山の唐桟を合わせてみました。江戸時代後期から関東各地で木綿の縞が織られ始め、その中心が川唐(川越唐桟、野田双子)でした。舘山の唐桟は、明治の初期に川唐に習って始めたものですが、そのまま手織りで継承されています。今は代が替わっていますが、すごく人気がありますね。

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写真5番目は、織悦の着尺を合わせてみました。西陣織と言えば今は帯のイメージですが、歴史的には着尺が織られていたわけで、今も織られています。これは織悦という帯の人気ブランドが織っている着尺というのがウリですね。

西陣の着尺は、歴史や技術から言えば、結城紬と同じように重要無形文化財であるべきと思いますが、織物文化の中心でありすぎる京都という地の宿命で、進歩しすぎていろいろなものがありすぎるのだと思います。1800年ごろまでさかのぼれば、糸をずらして作る経絣で、今もそれしかなければ重要無形文化財になって、みんなが憧れていたと思います。
[ 2015/11/19 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

藤井絞の名古屋帯「ビーンズ」も帯合わせ

第三千二百六十八回目は、藤井絞の名古屋帯「ビーンズ」も帯合わせです。

今日は帯の模様の色(ピンク、茶色、紫)とは関係の無い地色の紬を合わせてみました。とりあえず日本の伝統的な色である藍染の紬で合わせてみました。近世の日本の染色は、9割ぐらい藍染だったのではないでしょうか。ドーデの「盲目の皇帝」にも「日本は青い国」として出てきますものね。伝統的な染織と合わせる帯であれば、藍が生み出す色と合わなくては役目を果たさないことになりますね。

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いちばん上の写真は、かつての重要無形文化財に相当する結城紬の縞を合わせてみました。色は、模様の色に無くても青も合いますね。デザインとしては、帯の半円形vs着物の縞の直線ですから異質で組み合わせとしては良いでしょう。

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写真2番目は、大城広四郎の琉球絣を合わせてみました。大城広四郎の死の直後に、「遺作」と表示して販売されたものです。値段は通常品の2、5倍ぐらいでした。どこが違うかというと「本人が死んだ、生きた」という問題ではなく、糸で、経緯とも真綿を使っています。本物の真綿でありながら細く、精緻な絣がぴちっと合っている、織物とはかくあるべし、という作品です。

色は藍染ですが黒に近い色です。黒い帯とはあまり差が無く同系色にも見えます。模様は伝統的な沖縄の模様単位です。日本人が見るとモダンと伝統の違いに見えますが、外人が見たら同じ幾何学模様にすぎないかも。

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写真3番目は、林宗平の塩沢紬(林宗平のブランドとしては「古代紬」でした)に合わせてみました。どちらも藍染である紺と水色の濃淡で、有栖川錦の鹿をテーマにがちっと構成した意匠です。絣を合わせるのが大変そうですね。有栖川錦は林宗平が好んだモチーフです。「北越雪譜」によれば、江戸時代の魚沼の織物は京都の錦に負けないことを目標にした織物ですから、地方色のあるデザインよりも名物裂を真似たデザインの方が歴史に忠実なのです。

これも名物裂を知っている日本人が見るとモダンと伝統の違いに見えますが、外人が見たらどちらもモダンにすぎないかも。

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写真4番目は、青戸柚美江の出雲織を合わせてみました。十字絣を星座に見立てたものです。地色が黒に近い藍染でありながら、透明感のある色なので本当に宇宙に見えます。藍に夾雑物が少ないので透明感があるんでしょうね。このような模様は、形は基本すぎてモダンも伝統もなく、意味は「星座」でモダンです。また、帯は面の模様、着物は線の模様ですから組み合わせとしては良いでしょう。

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写真5番目は、秋山真和の花織の着尺を合わせてみました。ものすごく綺麗な、そしてホンモノの藍染です。模様がモダンというよりも、色自体がモダンで、全体がグラフィックデザインみたいでピッタリですね。
[ 2015/11/18 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

藤井絞の名古屋帯「ビーンズ」も帯合わせ

第三千二百六十七回目は、藤井絞の名古屋帯「ビーンズ」も帯合わせです。

この帯に合う着物は、紬か小紋ですね。さすがにフォーマルには使えません。帯合わせをする際に考えることは2つ。まず色で、模様に使われているショッキングピンク、紫、茶色の3色のいずれかに同調させるか、全く関係なくするかです。形については、帯の模様はグラフィックのようなデザインですから、それに合わせて着物もモダンな模様にするか、全く関係なく伝統的な模様にするかですね。

今日は、模様に使われているショッキングピンク、紫、茶色の3色を意識した帯合わせをしてみます。

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いちばん上の写真は、佐藤トシさんの南部紬を合わせてみました。岩手の紫根で先染めしたものです。山菜採りの人に依頼して地元の山で採取したものですが、1年分では足りず、5年かけて糸を染めて織っています。仕入れて10年以上経ちますが、まだ桐箱の中で漢方薬のような匂いがしています。本物の証拠ではありますね。

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写真2番目は読谷花織を合わせてみました。地色が紫で、浮織の糸は朱、ピンク、黄色です。

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写真3番目は、佐藤トシさんの南部紬を合わせてみました。茜と玉葱で先染めしたものです。綺麗すぎるピンクで売りにくいのですが、色合わせに使ってみました。

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写真4番目は、大城永光の琉球絣を合わせてみました。縞に伝統的な模様単位である絣を合わせた「綾の中」と言われる意匠です。臙脂の地色です。赤系は売りにくいですが、こういう時の色合わせには使えますね。

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写真5番目は、牛首紬を合わせてみました。錆朱のように見えますが、実際はもう少し濃く赤紫のような色です。今回は原色のような帯の色と草木染の優しい着物の色のバランスのためか、デジカメの色の調整が難しいです。

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写真6番目は、大城カメの琉球絣を合わせてみました。帯の模様の茶色に合わせています。縞と模様単位による片身替わりになっています。
[ 2015/11/17 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

藤井絞の名古屋帯「ビーンズ」

第三千二百六十六回目の作品として、藤井絞の名古屋帯「ビーンズ」を紹介します。

最初からビーンズを描こうと思って絞ったわけではなく、幾何学的なデザインを絞っていて、後になって「ビーンズ」という設定にしたということのようです。直線と半円形から成るシンプルなデザインですが、絞りという技術の特性を考えるとかなり難易度の高いものだと思います。

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いちばん上の写真はお太鼓です。半円形の綺麗な孤、直線、直線の色分け、絞りにとっては難易度の高いことの連続です。絞りの工程を思い浮かべると、ビーンズ内部の直線で色が変わっているところなど、どうやって絞っているんだろうなんて考えてしまいます。よくある辻が花の花模様なんて、きっとこれに比べれば簡単なんだろうなあ。

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写真2番目は、腹文です。

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写真3番目以後は近接で、あちこち適当に撮ってみました。型染で作ればいちばん簡単な模様ですよね。型染との違いはどこか、と考えれば、模様の輪郭線です。型染であればくっきり単純な線ですが、絞りであれば微妙な凹凸やグラデーションができるわけです。

その細かなポイントのために値段が数倍になっているので、その価値を認めるのでなければ、型染で安く作れば良いということになりますね。

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オレンジ色のハートのような形の凹部は細いところまでくっきりしています。絞りで表現していると思えば驚きますね。
[ 2015/11/16 ] 絞り | TB(0) | CM(0)

龍村の間道を紅型に合わせてみる

第三千二百六十五回目は、龍村の間道を紅型に合わせてみます。

昨日まで数日かけて、龍村の間道は紬から黒留袖まで合わせることのできる万能の帯だということを証明してきました。しかし本当に万能というには、もっとも帯合わせしにくい着物である紅型にも合わせられることを証明しなければいけませんね。

なぜ紅型は帯合わせしにくいのか、総柄で余白が無く、色が多色で、染料ではなく顔料なので色が強いからです。人間に例えれば、押しが強くて、口うるさく、しょっちゅう気分が変わるので言うことが違う人という感じですね。紅型に合う帯とは、そんな人と一緒に暮らせる人ということです。龍村の間道とは、人に例えれば野村監督みたいな人ですね。

自分の着物のコレクションに龍村の間道を加えることは、チームの監督に野村さんを迎えるってことになるんですかね。自分のコレクションがまとまりが悪くて低迷していると思っている人はいいんじゃないですか。

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いちばん上の写真は、伊差川洋子の紅型の着尺に「郁芳間道」を合わせてみました。

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写真2番目は、宮城里子の紅型の着尺に「清風間道」を合わせてみました。これは緑系の同系色を意識しています。

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写真3番目は、城間栄喜の紅型の着尺に「清風間道」を合わせてみました。私のいつものやり方である同系色の帯合わせをするなら、青系の郁芳間道を合わせるべきでしょうが、あえて逆らってみました。

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写真4番目は、玉那覇有公の紅型の着尺に「郁芳間道」を合わせてみました。どちらもクリーム色と紺のスカ色風の組み合わせですから、本当の同系色の帯合わせですね。

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写真5番目は、藤村玲子の紅型の着尺に「郁芳間道」を合わせてみました。
[ 2015/11/15 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

龍村の袋帯「清風間道」の帯合わせ

第三千二百六十四回目は、龍村の袋帯「清風間道」の帯合わせです。

今日は絵羽の着物に合わせてみます。紬と合わせるとピッタリ合うのでカジュアル向きな気もしますが、フォーマル系でも使えることを証明します。

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いちばん上の写真は、藤井絞の絞りの訪問着に合わせてみました。全体に蔦の模様が絞ってあるのですが、全ての模様が縫い目で完全につながっています。絞りでありながら縫い目で模様を全てつなげるのは凄いと思いますが、その一方、柄合わせが厳密で、体形太った人や痩せた人は着にくいという問題もありますね。

このような、テーマが1つではっきりした着物の帯合わせは悩みます。帯の模様に意味が有ると、蔦にもう1つの意味を足すことになるわけですが、それが蛇足になりかねないからです。その点、間道は意味が無くていいですね。ただし、色は緑系を意識して合わせています。

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写真2番目は、千切屋治兵衛の訪問着を合わせてみました。実際に制作したのは中井淳夫さんです。無線友禅とダンマル描きを併用して、深山幽谷の風景を描いたものです。ポイントになる箇所にダンマル描きで樹木を描いています。山の全景と近接の風景を同時に描いた意匠です。中井さんが緑しか使っていないのには理由があると思い、帯で色数を増やさないという趣旨です。

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写真3番目は、一の橋の単衣の訪問着を合わせてみました。新緑の風景を描いていますが、爽やかな風さえ感じる作品です。空気感まで写し取るのに成功しているのですから、上手い絵といえるのではないでしょうか。じつはこれは友禅ではなく画家系の作家による描き絵です。山の稜線や木の枝や葉は縁蓋を使ってくっきりした線を描き、山はグラデーションを多用し、両者の対比で見せています。

単衣を6月と思えば、新緑で単衣というのもずれている気がしますが、今は5月でも単衣を着ますから問題ないでしょう。裾回しを付けて袷にしても良いですし。

これも、余計な色や余計な意味を加えたくない作品ですね。着物だけで世界観が完結しているような作品は、間道みたいな帯が良いのかもしれませんね。

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写真4番目は、橋村重彦さんの訪問着「麦秋」を合わせていました。「麦秋」すなわち麦の収穫時期は、九州では5月、北海道では7月、平均して6月ぐらいですから、初夏の単衣の着物ということになりますね。これも余計な意味や余計な色を足さないことを意識して間道にしています。

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写真5番目は、千切屋治兵衛の色留袖を合わせてみました。実際に制作したのは藤岡さんで、糊糸目の作品です。模様のテーマは、江戸時代に小袖の意匠として流行した瀧模様です。正真正銘のフォーマルにも合うか試してみました。こうしてみると、間道は上流の趣味である名物裂だなあと思いますね。松の緑との色の一致が綺麗。
[ 2015/11/14 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

龍村の袋帯「清風間道」の帯合わせ

第三千二百六十三回目は、龍村の袋帯「清風間道」の帯合わせです。

今日は紬の続きです。

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いちばん上の写真は、かつての重要無形文化財の結城紬と合わせてみました。同系色濃淡を意識した暗緑色です。間道とシンクロするような1本の筋で、色がグラデーションで変わっていくような絣です。

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写真2番目は、秋山真和の綾の手紬と合わせてみました。同系色濃淡を意識した緑と赤の経緯絣です。緑と赤という絣としては激しい配色ですが、赤に濃淡をつけることで緩和しています。。


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写真3番目は、久米島紬と合わせてみました。泥染の黒に近い濃い地に合わせてみました。黒は安全ですね。

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写真4番目は、「木曽紬」というラベルのある真綿の紬と合わせてみました。経産省の伝産マークでは長野県の紬は、「信州紬」という枠で登録されているのですが、そこに「木曽紬」はありません。しかし、経緯とも真綿のおそらく手織りのとても良い紬でニセモノとも言えません。おそらく十日町製ではないかと思います。赤も結構あいますね。

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写真5番目は、林宗平の塩沢紬と合わせてみました。伝統的な染料の基本は藍ですから、色としては紺が多いわけで、紺に合わない帯では紬に合わせやすいとはいえません。
[ 2015/11/13 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

龍村の袋帯「清風間道」の帯合わせ

第三千二百六十二回目は、龍村の袋帯「清風間道」の帯合わせです。

今日は紬を合わせてみます。

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いちばん上の写真は、大城永光の琉球絣に合わせてみました。沖縄伝統の模様単位を並べた真綿の紬です。同系色濃淡を意識して合わせてみました。

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写真2番目は、山下八百子さんの黄八丈を合わせてみました。前回の「郁芳間道」では黄色い首里織と合わせたので、今回も黄色を試してみました。

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写真3番目は、黄八丈(黒八丈)の細かい縞を合わせてみました。帯の間道と着物の縞が重なったばあいどうなるか試してみました。このばあいは、縞の幅がかなり違うので違和感はないですが、同じ幅だったらまずいかも。

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写真4番目は、みさやま紬を合わせてみました。松本市の三才山地区で横山さんという作家がつくる紬で、おもに室町の加納が扱っています。一見地味な格子のようですが、よく見ると、草木染で染められた透明で鮮やかな複数の色の細い線が格子を作っています。それが作品の深みになるとともに、作家モノらしさも感じさせます。

さて格子に対する帯合わせですが、意外に合うかなというところ。帯の間道に使われている色と同じような色が、着物の格子に隠れているからかもしれません。

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写真5番目は、郡上紬に合わせてみました。横段の模様ですが、段がつながらず途中で途切れているところもあるので、緯絣でもあるんですね。龍村も郡上紬もどちらも由緒正しい名品ですが、さすがにこれはダメですよね。
[ 2015/11/12 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

龍村の袋帯「清風間道」の帯合わせ

第三千二百六十一回目は、龍村の袋帯「清風間道」の帯合わせです。

今日はフォーマルな着物に帯合わせしてみるということで、付下げに合わせてみます。

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いちばん上の写真は、野口の付下げ「つまみ簪」を合わせてみました。実際に制作したのは倉部さんです。刺繍だけでつまみ簪を表現しているわけですが、細工部分は金糸の駒繍、菅繍などの技法を多用して立体的な表現をしています。海外の安い刺繍は、刺繍職人を促成するため技法が少ないのです。そのため刺繍の面積は大きくても1つか2つの技法しか使われていないため、平面的に見えるのが多いですね。そこが見分けの1つのポイントです。

また、この作品は、花の細工部分と金属部分の質感の違いも表現してます。どちらも刺繍なのに、形だけでなく素材の質感まで表現できていて、留金部分は金属の感じがします。

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写真2番目は、野口の付下げ「源氏香」を合わせてみました。実際に制作したのは倉部さんです。源氏香を扇面のように変形して、花を添えた意匠です。源氏香部分は箔、植物部分は刺繍です。

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写真3番目は、花也の付下げ「笹に楓」を合わせてみました。糊糸目とダンマル描きの併用です。ダンマルは、生地に薄く置くと半防染効果が働いて、白ではなく、生地の色と白の中間色になります。一方、友禅の糊は完全に防染しますから白抜きになります。この性質の違いを利用して、半透明の笹の中に白いくっきりした線の楓を描いて、重層的な表現をしています。一部分に赤と金の目が覚めるような装飾をしていますが、それによってダンマルが持つ写生的な雰囲気から離れ、雅であるべき着物の柄に戻ってきますね。

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写真4番目は、岡重の付下げを合わせてみました。前姿に巨大な半円型の雪輪が描かれ、その中に岡重らしい気楽なお花が入っています。なんとも華やかな着物ですが、地色は意外に地味、後姿や袖は白い輪郭だけの雪輪があるだけで、ほとんど無地です。全身華やかにしてしまえば子供の着物にすぎず、全体的にバランスよく模様を配すれば京都の良い着物にすぎません。模様配置にアンバランスを作りだしているところが芸術っぽさだと思います。それが仇になって売れないのかもしれませんが。

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写真5番目は、野口の付下げを合わせてみました。実際に制作したのは橋村重彦さんです。三角の取り方の中に、琳派風のモチーフと、自分が住む花背の風景を入れたものです。伝統的な模様をモダンな入れ物にいれるいう意匠で、「新しい酒は新しい革袋に入れよ」とういう聖書の例えに逆らったものです。伝統工芸の意匠の成功例は、ほとんどこのパターンですね。

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写真6番目は、一の橋の付下げ「斜め取更紗」を合わせてみました。今まですべて、同系色を意識して緑系で合わせてきましたが、今回はちょっと変えてみました。グレーと茶色の中間のような色で、紬地の付下げです。意匠は、曲線模様の更紗を直線の斜線に閉じ込めたものです。直線と曲線の緊張関係にある着物ですが、帯が直線の見方をして、ちょっと均衡を崩してみました。
[ 2015/11/11 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

龍村の袋帯「清風間道」の帯合わせ

第三千二百六十回目は、龍村の袋帯「清風間道」の帯合わせです。

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いちばん上の写真は、野口の着尺を合わせてみました。大きな模様の飛び柄で、模様も大きく余白も十分にあるという着尺です。模様が縫い目でつながれば訪問着に見えてしまう着物ですから、普通の小紋よりもフォーマル方向です。パーティー着というカテゴリーで説明することもありますが、小紋よりフォーマル、付下げよりカジュアルな中間的な着物ともいえます。

帯は、縞という粋でカジュアルかもしれない帯でありながら、一方でフォーマルの極致のイメージの龍村の袋帯ですから、やはり中間的な性格を持つということで、中間の性別どうしのカップルですね。

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写真2番目は、野口の着尺を合わせてみました。同系色の黄緑色の更紗模様です。色は同系でありながら、形は間道の直線に対し更紗の曲線で対照的です。類似と対照を含んだカップルで、そういうのがいちばん深みがあって良いですね。

刑事ドラマでコンビを組む刑事さんも、立場が反対の人はじつは性格が似ていて、立場が同じ同僚は性格が反対という設定になっているものですよね。

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写真3番目は、千切屋治兵衛の着尺を合わせてみました。飛び柄ですが、模様が比較的小さく、数はたくさんあります。こういう意匠の着物は仕立て易く、着易いものです。色は暖色でかわいらしいですが、雪輪が寒色だとほんとに寒そうになってしまうからでしょうね。水色の雪輪というのは、夏物に多いのではないでしょうか。

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写真4番目は、岡重の着尺を合わせてみました。岡重の着尺と野口の着尺はどこが違うのか、と思われるかもしれません。野口の着尺の一部は岡重で作られています。野口で販売する岡重の着尺は止め柄として、岡重自身は一定期間は販売できない契約にしているようです。値段はたいてい野口経由の方が高いと思います。しかし野口がチェックしたものの方が売れるんですよね。

この着尺は笹舟をテーマにしたもので、模様も余白も大きいパーティー着的な着物です。しぼの大きい縮緬に染められていますが、単衣用の生地に染めれば良かったのにと思っています。私が注文したならそうしましたが、たまたま見かけて問屋で買ったもので。

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写真5番目は、千切屋治兵衛の着尺を合わせてみました。乱菊をテーマにしたもので、こういう着物は、単彩で模様も単純ですから反物状態で絵画的に楽しむことはできないですが、季節さえ気を付ければ、着易くて帯合わせもしやすい良い着物です。コートや長羽織にも使えますね。この組み合わせが特に合っているとも思わないですが、悪くはありません。
[ 2015/11/10 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

龍村の袋帯「清風間道」

第三千二百五十九回目の作品として、龍村の袋帯「清風間道」を紹介します。

現代ではこういう模様を「縞」と言いますが、「縞」と呼ばれた理由は、近世にインドから輸入されたために、島を経由してきたというイメージで付けられたということです。南蛮人や紅毛人がインドの木綿の縞をもたらす近世以前には、縞は間道と呼ばれていました。中世から近世までの期間に名物裂として輸入されたものです。

名物裂の文化が始まる前、すなわち古代における縞模様は、繧繝と長斑と呼ばれていました。似た色を並べてグラデーション効果を狙ったものは繧繝、違う色を並べてくっきりさせたのが長斑といいます、古代人は同じ縞模様でも、配色によって別のものとして区別していたんですね。

「間道」とか「縞」とか名付けた人が、それが古代における「繧繝」または「長斑」に当たるものであると知っていたかといえば、知らなかったと思います。古代の裂はほとんどが正倉院に封じられていて、それが公開されたのは正倉院の歴史からすればごく最近の「正倉院展」が始まってからのことですから。

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いちばん上の写真は、帯の幅を写真の幅として撮ったものです。

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写真2番目は、全体を撮ってみました。

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写真3番目は、近接で撮ってみました。

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写真4番目は、タイトル部分を撮ってみました。間道というのは、たいてい名物裂を写しているものですが、「清風」というあまり意味のないタイトルがついている場合、複数の間道を合わせた創作か、すでに正式名称を付けた類似品が高島屋で売られていて、それに遠慮して、わざとぼかしたタイトルを付けている場合があります。

この間道にも元作品があるのだろうと思い、いろいろ本を調べてみましたがわかりません。ただ「高木間道」と呼ばれるものの中に、こんな緑を使ったものはあります。また細縞としてこんな赤や緑を含む間道はありますね。

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写真5番目は、拡大して見ました。組織としては平織の変形である畝織ですね。
[ 2015/11/09 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

龍村の袋帯「郁芳間道」の帯合わせ

第三千二百五十八回目は、龍村の袋帯「郁芳間道」の帯合わせです。

今日は黒留袖と色留袖に合わせてみます。昨日、紬に合わせていた帯が黒留袖に合うものでしょうか。私にとっては今日が本番で、昨日までは前座だったと思っています。

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いちばん上の写真は、千切屋治兵衛の黒留袖を合わせてみました。実際に制作したのは本社です。まだ本社が実際に制作していたころの作品です。その後、本社工場はリストラされ全品外注になるのです。もっとも京友禅は悉皆屋のシステムの中で作られるのが主流ですから、特にマイナスの意味はないです。

今はちゃんと黒留袖を着て出席しないといけない結婚式は少なくなりつつあり、貸衣装で済ますのが普通になりました。うちも黒留袖は滅多に売れません。今から自前の黒留袖を買うという人がいたら、こんな感じどうでしょうか。

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写真2番目は、千切屋治兵衛の色留袖を合わせてみました。実際に制作したのは藤沢です。藤沢さんは刺繍屋さんで、これは桂昌院(綱吉の母ですよね)が作らせた袱紗の1つを、色留袖としてかなり高い精度で再現したものです。地色は個性がありますが、それもまた再現なんですね。

総刺繍で近江八景を表現した豪華な色留袖ですが、それに対しどういう帯を合わせるか悩みますよね。全て京繍という高級品に拮抗できるほど高価な帯でないといけないのかとも思いますが、それも荷が重いので、ここではすっきり間道に逃げてみました。

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写真3番目は、千切屋治兵衛の色留袖を合わせてみました。実際に制作したのは藤岡さんです。歌舞伎の「野崎村」をテーマにしたものです。ラストシーンで男女が籠と舟で分かれて帰るところを、人物を省いて表現しています。特徴は模様の位置で、裾の低い位置だけをぐるっと回っています。歌舞伎模様ということで、ちょっと粋なところもある作品ですが、間道の帯を合わせることで粋な雰囲気を強めてみました。

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写真4番目は、千切屋治兵衛の色留袖を合わせてみました。実際に制作したのは安田です。扇を取り方として友禅模様を入れて箔や刺繍も加えて重加飾する一方、取り方の外側は紐だけですっきりまとめています。典型的な安田様式で、類似品が大量につくられてしまったものですが、見比べると本物は全然違います。究極の豪華モノというべき作品ですが、この間道でなんとか合っちゃいますね。

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写真5番目は、北秀の色留袖を合わせてみました。実際に制作したのは大松です。大彦の本家筋にあたる染工房です。雰囲気も大彦に似て、濃厚な色があふれるような作品ですが、粋な単彩の間道でも合いますね。
[ 2015/11/08 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

龍村の袋帯「郁芳間道」の帯合わせ

第三千二百五十七回目は、龍村の袋帯「郁芳間道」の帯合わせです。

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いちばん上の写真は、重要無形文化財に指定されている久留米絣を合わせてみました。作者は小川内龍夫さんです。久留米絣には基本の緯絣だけのものも、この作品のように緯絣と経緯絣を併用して陰影を表現した精緻な作品もあります。このようなものは素朴な民芸ではなくコンクール用の作品という感じですね。

木綿の絣に龍村の袋帯を合わせる、と言葉で書けば、着物を知らない人のおぞましい着付のように思えますが、写真はそれほど違和感はないと思います。同系色の組み合わせですしね。

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写真2番目は、弓浜絣を合わせてみました。弓浜絣も創作的であり高度な技術を使って作られているものですが、使っている木綿糸は太く、絣も緯絣のみで、素朴な雰囲気を残しています。その気になれば、もっと細い糸を使って精緻な絣も作れるのでしょうし、経緯絣へと進歩することもできるのでしょうが、あえてオリジナルの味わいを演出しているのだと思います。そこに平明の美があるという思想なんでしょうね。その証拠に模様はとても絵画的で、創作的要素が強いものができるのです。

上と同じパターンですが、上の久留米絣は、細い糸の精緻な経緯絣、こちらは素朴を演出した太い糸の緯絣です。こちらの方が、龍村のパートナーとして不似合いなはずですが、着れば何とかなっちゃう、というところでしょうか。

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写真3番目は、かつての重要無形文化財に相当する結城紬を合わせてみました。百亀甲飛び柄です。地色は水色で、帯とは同系色濃淡になりますね。紬はカジュアルだからカジュアルな帯を締めるべき、というところですが、高い紬には貫禄のある帯を締めたいですね。そんな人の気持ちを考えて帯合わせしてみました。マニアには尊敬される帯合わせだと思います。

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写真4番目は、山口良子さんの首里織の着尺を合わせてみました。福木で黄色く染めた糸で織った花織ですが、地の糸が変化して紋織を作る花織と、地の糸とは別の糸を差し入れて織る浮織を併用しています。

沖縄伝統の福木による草木染なのに、キンキンするほど黄色い織物です。手紡ぎの糸そのものに美しい光沢があるからそう見えるのと、成功している草木染の色は鮮やかということなのです。化学染料の無い時代、人々は草木染だけで出来るだけ鮮やかな色を出そうと努力してきたにちがいありません。化学染料みたいな色こそ草木染の目標で、それに失敗すると草木染らしい滋味な色になったのではないでしょうか。

このような織物は、地方の珍しい織物ではなく、琉球王国の中心である首里城で着る官服です。琉装には帯はないですが、帯を締めるなら龍村の袋帯でちょうど良いと思います。

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写真5番目は、読谷花織を合わせてみました。読谷花織は「花織」という名前ですが、地の糸ではなく別の糸を差し入れて紋織を作る織物ですから、織物組織の分類では「浮織」ということになります。それに手結の絣を併用した精緻な織物で、これも元は琉球王家の官服ですね。格でいえば、帯を合わせるなら龍村で良いはずですが、どうでしょうか。
[ 2015/11/07 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

龍村の袋帯「郁芳間道」の帯合わせ

第三千二百五十六回目は、龍村の袋帯「郁芳間道」の帯合わせです。

今日は着尺(小紋)を合わせてみます。地味と派手、大きい柄と小さい柄、飛び柄と総柄、「小紋」と呼ばれる着物にはいろいろありますが、すべて試してみたいと思います。

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いちばん上の写真は、野口の着尺を合わせてみました。地味な地色で、色数も少ない、飛び柄の小紋です。模様は雪輪ですが、その雪輪は取り方になっています。いちばん着易い着物で、帯合わせも楽ですから、合うのも当然ですね。模様の形も、雪輪で丸いですから、間道とは対照的で良い組み合わせだと思います。

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写真2番目は、野口の着尺を合わせてみました。上とは対照的に、地色は緑と個性的で、大きい更紗模様、さらに総柄です。普通であれば、着にくい、帯合わせもしにくい着物だと思います。そういう着物こそ、間道が真価を発揮すると思います。間道の強みは、形が無い、意味がない、というところではないでしょうか。

意味は、普通の人にとっては「ない」、着物好きの仲間にとっては、「名物裂の高木間道という深い意味」があるのです。この場合は更紗の曲線と間道の直線が対照的で良い組み合わせになっています。

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写真3番目は、野口の着尺を合わせてみました。綺麗な地色に、半身だけ綺麗な総柄の模様が付いています。もう半身は余白ですね。着物として仕立てると、縦に模様がつながるようになりますから、帯の間道とシンクロするように見えるのではないでしょうか。

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写真4番目は、野口の着尺を合わせてみました。大柄で総柄、色も重くて存在感のある着物です。間道の帯でないとダメ、というぐらいの帯合わせですね。

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写真5番目は、野口の着尺を合わせてみました。上の着物と同じ系統の模様ですが、横段模様にすることで、半分が無地になることになります。大胆なようですが、全部が模様よりも、半分でも余白になる方が、着易くて帯合わせもしやすいのかなあとも思います。横段は、仕立て方によっては大きな市松模様でもあり、帯の間道は格子でもありますから。面白くシンクロしてくれるかもしれません。
[ 2015/11/06 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

龍村の袋帯「郁芳間道」の帯合わせ

第三千二百五十五回目は、龍村の袋帯「郁芳間道」の帯合わせです。

今日も付下げを合わせてみます。昨日は同系色または寒色どうしという条件で合わせましたが、今日は補色も含めていろいろな色を合わせます。

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いちばん上の写真は、花也の付下げ「笛袋」を合わせてみました。笛袋が取り方(模様の容器)の役割をしているという意匠です。笛袋の中身の模様は羊歯文です。私たちが普通に知っているシダの形はしていませんが、シダ類は科学の生物分類の門にまたがる大きなグループですから、形はさまざまです。京都の図案家はそれを都合よく使えるというわけです。

笛袋の紐に一部青が使われているところがあり(写真下方)、それだけの小さな関連性でも色を合わせるのに助けになりますね。

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写真2番目は、千切屋治兵衛の付下げ「果物」を合わせてみました。実際に制作したのは藤岡さんです。花ではなく実をテーマにしたところに個性がある作品です。地色はピンクベージュです。木の枝も果実も曲線模様で、帯の直線模様とは対照的になります。

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写真3番目は、藤井絞の更紗模様の付下げを合わせてみました。千治や花也の糸目は神経質なぐらい精密で、龍村の帯と合わせると、お互い緊張状態で気が抜けませんが、絞りというのは元々精密なものではないので、急にざっくばらんな感じになりますね。こういうのを見るとホッとしますが、絞りにはそういう効用もあるんだと思います。

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写真4番目は、中井淳夫の付下げ「ニリンソウ」を合わせてみました。ニリンソウは毒のある可憐な花ですが、ここではヒマワリみたいに大きく描かれています。1つのテーマで写生みたいに描いた着物って、意外に帯合わせ悩みますよね。蛇足的に意味を加えたくないですしね。というわけで間道です。

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写真5番目は、中井淳夫の付下げ「蒲」を合わせてみました。蒲の穂綿ですね。刺繍や友禅などの技法を縦横に使い、穂綿の質感や丸み(光の当たり方)を表現しています。全体の模様の形としては、蒲の生え方どおり直線模様で、龍村の間道とも連動します。
[ 2015/11/05 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

龍村の袋帯「郁芳間道」の帯合わせ

第三千二百五十四回目は、龍村の袋帯「郁芳間道」の帯合わせです。

「縞」と思えばフォーマルには使えない気もしますし、「龍村の袋帯」と思えばカジュアルには使えない気がします。しかし、中間的な性質を持ち、どっちつかずの帯というのは、使う人の知恵によってどちらにも幅広く使える帯にもなります。今回は、この帯を留袖から紬まで幅広く使いたいと思います。

今日は付下げに合わせてみます。紺とクリームの地色のうち紺を意識して、同系濃淡の寒色系の付下げを合わせてみます。

この「郁芳間道」とネーミングされた帯については、高木間道が元作品と思われますが、名物裂の本では元の色は「花と黄色」と書いてあります。「花」は藍の意味で紺、草木染で染めた黄色は時間が経って少し退色すればクリーム色だったでしょう。

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いちばん上の写真は、一の橋の付下げ「孔雀唐草文」と合わせてみました。実際に制作したのは倉部さんです。着物は青地に金の模様という配色で、帯の紺とクリームにつながります。一方模様の形は、丸い塊である着物の模様に対し、直線の格子である帯の模様は対照的です。色が同じで形が反対、あるいはその逆というのは、帯合わせの黄金律ではないでしょうか。

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写真2番目は、花也の付下げ「羊歯に華文」と合わせてみました。墨色の地色ですが、どちらかというと青みがかっていますので、同系色濃淡の仲間として選んでみました。着物の意匠は、安田様式ともいうべき、線描きの羊歯と濃厚な友禅の華文を合わせたものです。着物でお腹いっぱいなので、もうこれ以上意味も模様も要らないという意味で、間道も良いと思います。

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写真3番目は、花也の付下げ「波に千鳥」と合わせてみました。波と千鳥という言う慣用句のような模様は、それ自体完成しすぎていて、帯で模様を追加すると蛇足になりがちです。そういう時は間道という手もありますね。

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写真4番目は、千切屋治兵衛の付下げ「波」と合わせてみました。実際の制作したのは中井淳夫さんです。波だけの模様ですが、中井作品だけあって、深紅の波頭など手強いところもあります。触らぬ神に祟りなし、ということで、意味を加えないように間道の帯を。

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写真5番目は、花也の付下げ「市松取り桜」と合わせてみました。桜と間道、そういうの良いと思いませんか。それだけ言いたい帯合わせです。
[ 2015/11/04 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

龍村の袋帯「郁芳間道」の続き

第三千二百五十三回目は、龍村の袋帯「郁芳間道」の続きです。

今日は、「郁芳間道」の近接と拡大です。

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いちばん上の写真は、近接です。使われている糸の色は、クリーム色と紺色の2色だけです。織物というのは、じつはシンプルな物の組み合わせで、そのバリエーションで複雑さを演出しているんですね。不思議な模様だなあと思っても、数学の図形の問題のように考えて解明すると、なんだそんなことか、ということが多いです。

まず、紺とクリームという配色ですが、電車が好きな人から見ると「スカ色」ですよね。横須賀線の車両に使われていた配色です。横須賀線以外にもこの配色は結構使われていたので、よほど若い人以外はみんなどこかで記憶に残っているはず。紺とクリームの配色が美しいということに気が付いて、電車の車両のデザインに使った昔の国鉄の人は、名物裂の間道の配色(おそらく高木間道)を知っていたんでしょうね。

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写真2番目は、さらに近接です。

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写真3番目は、拡大です。この織物の構造がよくわかるところを拡大して撮ってみました。経糸、緯糸とも紺とクリームの2色が有るだけなのです。それが写真の左上から時計回りに、「経紺・緯紺」、「経紺・緯クリーム」、「経クリーム・緯クリーム」、「経クリーム・緯紺」の4パターンを作ります。その組み合わせが4つの色になってこの模様を作っているんですね。
[ 2015/11/03 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

龍村の袋帯「郁芳間道」

第三千二百五十二回目の作品として、龍村の袋帯「郁芳間道」を紹介します。

私の大好きな龍村の間道です。縞というのは錦や絣のように模様を織り出すことはないですから、組織が単純で、素材や技法にこだわらなければ安く織ることもできるでしょう。また、江戸時代のカジュアルである粋な木綿の縞のイメージもありますから、なんとなくフォーマルに使いづらい気もします。

ただ、龍村の間道だけは、龍村というブランドの高級感のおかげで、気持ち良く留袖や訪問着に使えます。それが私が龍村の間道が好きな理由です。

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いちばん上の写真は、帯の幅を写真の幅として撮ってみました。

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写真2番目は、帯の全体です。

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写真3番目は、近接です。

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写真4番目は、タイトル部分です。
[ 2015/11/02 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

龍村の干支ぬいぐるみ

第三千二百五十一回目の作品として、龍村の干支ぬいぐるみを紹介します。

早くも来年の干支を紹介する時期になりました。歳をとるにつれて1年が経つのが早くなりますね。

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いちばん上の写真は全身です。干支は、ぬいぐるみの販売を目的に決められた制度ではないので、蛇とかぬいぐるみにしにくい動物も含まれています。うさぎや犬は商売しやすいですが、猿は好き嫌いがありますね。私はあまり好きでない派ですが、このぬいぐるみはかわいい。

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写真2番目は、寝かせて撮ってみました。普通に置いて撮ると見下ろすアングルになりますが、真っ直ぐ撮ると意外に誇らしげな顔をしています。初めてランドセルを買ってもらった小学1年生みたいな表情ですね。

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写真3番目は、上目づかいで撮ってみました。

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写真4番目は、ぬいぐるみが着ている着物を近接で撮ってみました。龍村の干支ぬいぐるみは、毎回、干支にちなんだ龍村裂の着物を着ています。これが無ければただのポリエステルのぬいぐるみですものね。

さて今回は「繍花楽園文」ということですが、解説によると、17世紀のイギリスの女性のたしなみであった刺繍用の下絵に取材したということです。更紗のような蔓模様に実がなって、その実を鳥とうさぎと猿が食べているという図案です。私は17世紀のイギリスの刺繍というのは全然知らなかったのですが、この図案って、ウィリアムモリスを思わせますよねえ。17世紀のイギリスということは、モリスのデザインには地元の先輩がいたんですね。

その他のは、烏帽子として定番の「早雲時裂」が使われています。

[ 2015/11/01 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)