千切屋治兵衛の着尺の帯合わせ

第三千二百五十回目は、千切屋治兵衛の着尺の帯合わせです。

今日でこの着尺の帯合わせは最後にします。今日は使い残しの写真です。

IMG_80811.jpg
いちばん上の写真は、洛風林の袋帯「名物小枝文」を合わせてみました。「名物小枝文」は洛風林によるネーミングで、一般名は、名物裂である「大黒屋金襴」です。名物裂の金襴手には、多くの牡丹唐草文があって、花が大きかったり小さかったりしますが、これは小さな花に宝尽くしが合わせてあります。

「洛風林」というと個性的というイメージがありますが、この帯の意匠は名物裂に意外に忠実です。個性があるのはむしろ色で、白地に青と赤茶の3色だけという配色のおかげで、元の名物裂とは大きく違うイメージになっています。模様は赤茶と青で平等にシンプルに織られているように見えますが、じつは青色が絹なのに対し、赤茶はポリエステルのフィルムが使われていて、質感が大きく異なるのです。

常識なら、花がポリエステルで光沢を持ち、蔓や葉が絹で自然な質感で良いと思うんですけどね。それが逆というのは、洛風林でないと思いつきません。そういうところから個性が生まれるんでしょうね。

IMG_80831.jpg
写真2番目は、龍村の名古屋帯「春秋宴」を合わせてみました。「花下遊楽図」のような寛永ごろに流行った遊楽図をテーマにしているようです。元絵は、男女がお酒を飲んだり踊ったりしていますが、ここでは人物を全部省略し、幕の模様だけで場の雰囲気を表現しています。そのおかげで、華やかながら上品な雰囲気になっていますね。

「春秋」というのは、桜と楓が生えていることですが、これは金銀だけの表現です。幕は茶と緑と青が主役で、赤系を避けています。だから華やかでも派手にならないんですね。

IMG_70971.jpg
写真3番目は、花也の名古屋帯「横段文刺繍とアールヌーヴォー亀甲」を合わせてみました。横段模様はすべて刺繍、亀甲のような模様は防染によるものです。「アールヌーヴォー亀甲」は、明治大正ごろの友禅の図案集にある名前でしょう。当時の図案家は、西洋ではアールヌーボーというのが流行っているらしいと聞き、断片的な知識からこういうものを描いたんでしょうね。

うちにある明治末期の紋帳には、新しい家紋としてアールヌーヴォー調の家紋も載っていますので、言葉とおおまかな知識は、あまりタイムラグなく日本に入ってきているんですんね。

IMG_70871.jpg
写真4番目は、花也の友禅名古屋帯「四季花市松文」を合わせてみました。市松の地紋のある生地を生かして、その地紋に沿って友禅の模様を描いています。模様の一部分だけが白揚げ友禅で、意外に強い赤を色挿しし、金彩加工しています。その他の多くは線描きによる表現です。

友禅の糸目は模様の輪郭のための堤防ですが、線描きは絵画そのものですね。堤防である輪郭は正確なら良いわけですが、線描きはそれ自体が絵画ですから、正確なだけではなく芸術的である必要もあります。作者によって、かすれて美しい線描きもありますし、温かみのある線描きもあります。私は意外と、見ていて不安になる神経質な線描きも好きです。

IMG_70921.jpg
写真5番目は、花也のダンマル描き名古屋帯「苧環」を合わせてみました。ダンマルというのは、ダマールという地名がなまったものです。樹液から作ったゴムを揮発柚で溶かしたものです。筆で描いて防染しますが、薄く塗ると半防染効果があり、白と地色の中間の色ができますから、それを利用して陰影や遠近感を表現し、友禅よりも絵画的になります。

友禅に例えると、パラフィンによるホンモノの蝋染が糊糸目、ダンマル描きがゴム糸目という位置づけかもしれませんね。ダンマル描きの方が描きやすいですが、だから簡単とは言えません。描きやすいということは絵画に近いということであり、純粋な芸術として評価されてしまうからです。

この作者は、技術的なレベルは高いですが、職人らしい控えめな表現をしていて好感が持てます。「俺は画家だ」みたいな描き方をした着物の模様は、横山大観が余興で描いた、なんていうものでないかぎり、いやらしいですよね。
スポンサーサイト
[ 2015/10/31 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛の着尺の帯合わせ

第三千二百四十九回目は、千切屋治兵衛の着尺の帯合わせです。

今日は、植物文の着物に動物柄の帯を合わせ、動物と植物の組み合わせになるようにしました。

IMG_68761.jpg
いちばん上の写真は、藤井絞の名古屋帯を合わせてみました。絞りを人為的にコントロールして、具象的な模様を表現しているのですから、これも辻が花の歴史のの延長上にあるものですね。こういう意匠は、安易につくるとファンシーショップで売っている何百円かの商品と同じになってしまいます。縫い締めたときの針穴の痕跡や、絞り時のかすかな皺があることで、ファンシーショップの量産品とは違うホンモノ感がありますね。

IMG_68771.jpg
写真2番目は、千切屋治兵衛の友禅の名古屋帯を合わせてみました。実際の制作したのは藤岡さんで、糸目は糊です。恵比寿大黒をテーマに作ってみました。お太鼓は大黒様ですが、腹文は恵比寿様です。大黒様を動物で表現する場合はネズミが多いですが、あえてうさぎで作ってみました。ネズミの耳を長くしたらウサギになったんですけどね。

IMG_80801.jpg
写真3番目は、東京刺繍の名古屋帯を合わせてみました。仕入れた問屋は菱一ですが実際に作っているのは誰かはわかりません。

東京にはいくつか有名な刺繍工房がありますが、それ以外に多くの刺繍職人がいます。刺繍という技法の特長は、全く設備投資が要らないし、場所もアパートの一室でもできることから、決心しないでも始めることができるということです。多くの人が他に仕事をもったり専業主婦をしながら、それぞれ自分のペースとレベルで、刺繍をしているのではないかと思います。そのため、刺繍制作者が何人ぐらいいるのか、誰が作っているのかわかりません。

IMG_7095.jpg
写真4番目は、東京刺繍の名古屋帯を合わせてみました。これは千總で仕入れたものです。京都の友禅屋から東京の刺繍を仕入れるというのも変ですが、東京の誰かがどこかの家で作っているんでしょうね。
[ 2015/10/30 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛の着尺の帯合わせ

第三千二百四十八回目は、千切屋治兵衛の着尺の帯合わせです。

今日はなんとなく意味をつなげてみる帯合わせです。竹にちなむ慣用的な組み合わせを探してみました。竹に虎が組み合わせになっていたり、笹にうさぎが組み合わせになっていたり、竹というのは結構あるものですね。お遊び風の着方ならパンダの帯でも良いわけですし。

IMG_80841.jpg
いちばん上の写真は、織悦の名古屋帯「梅唐草」を合わせてみました。松竹梅を意識してみました。松が無いですが、別に無くても良いし、小物などで各自調達していただいても良しです。

IMG_80821.jpg
写真2番目は、龍村の名古屋帯「桐花文」を合わせてみました。桐竹鳳凰を意識してみました。鳳凰が無いですが、着る人が鳥の鳴きまねでもすればよいのでは。

IMG_68791.jpg
写真3番目は、加賀友禅作家、中町博志の友禅の名古屋帯「重陽」を合わせてみました。四君子(蘭、竹、菊、牡丹)を意識してみました。足らないものが2個になっちゃうと意味ないかも。

IMG_68821.jpg
写真4番目は、かつて菱一が制作した押絵の名古屋帯を合わせてみました。竹に雀を意識してみました。発売された時はすごく新鮮で、私も思わず仕入れました。この仲間が「美しいキモノ」に出ていたこともありました。出したのはもとじだったかな。

うちで売れ残った理由は、類似品が多く発売されてしまったからです。押絵というのは、それ自体は立派な芸術分野だと思いますが、カルチャーセンターなどで趣味で習うことができるものでもあるんですね。かえって普通の友禅の方が、素人がいきなり始めるのはハードルが高いのです。一時、良く出回っていた押絵の帯ももう一巡して終わったようなので、安くすれば売れるかなと思って、在庫処分セールに出しています。
[ 2015/10/29 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛の着尺の帯合わせ

第三千二百四十七回目は、千切屋治兵衛の着尺の帯合わせです。

IMG_70621.jpg
いちばん上の写真は、龍村の光波帯「日野間道」を合わせてみました。名物裂の日野間道は東京国立博物館にあって、間道というより段文みたいな裂です。日野肩衝の仕覆に使われていたのでこの名があります。龍村では、高島屋で販売する平蔵ブランドの袋帯とこの光波帯の2種類が販売されています。値段は全然違いますが、色はほぼ同じ、意匠は平蔵ブランドの方がジグザグが大きいかなあ。

IMG_70651.jpg
写真2番目は、龍村の光波帯「円文白虎朱雀文」を合わせてみました。法隆寺に伝来(東京国立博物館法隆寺館)する蜀江小幡に使われている裂に取材したものです。蜀江小幡は3種類の裂で出来ていて、これは幡の本体に使われている裂です。法隆寺裂ですから飛鳥時代のもので。正倉院裂より古いものです。様式はササン朝の雰囲気ですよね。、


IMG_70821.jpg
写真3番目は、龍村の光波帯「花鳥梅花文錦」を合わせてみました。正倉院裂としては後期のもの、そして日本国内で制作されたものと言われます。それはなんとなく和様の雰囲気があること、遺品の数が多いということからのようです。龍村の正倉院裂のシリーズとしても人気で、龍村裂の代表のように使われていますね。色も何種類かありますが、これはいちばん地味なのでは。

IMG_70721.jpg
写真4番目は、龍村の光波帯「太子菱繋文錦」を合わせてみました。色彩がモダンに変更されているので、ちょっと見ただけだと気が付かないですが、法隆寺に伝来(東京国立博物館法隆寺館)する蜀江小幡に使われている裂に取材したものです。

IMG_70811.jpg
写真5番目は、龍村の光波帯「遠州七宝」を合わせてみました。龍村のネーミングは「遠州七宝」ですが、一般名は「遠州緞子」です。わざわざオリジナルの商品名を付けるのは、商標登録のためでしょうか。遠州七宝は、経錦ではなく絵緯糸で模様を表現するタイプの帯のため、少し値段が高いです。

今日の帯合わせでは、地味派手具合を考えても、この遠州七宝がいちばん合っているように思います。
[ 2015/10/28 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛の着尺「笹取更紗」

第三千二百四十六回目の作品として、千切屋治兵衛の着尺(飛び柄の小紋)を紹介します。

千切屋治兵衛の着尺(飛び柄の小紋)で、タイトルは「笹取更紗」です。笹の形を取り方として、中に更紗模様を入れたものです。「取り方」というのは、模様の容器のようなものです。2つの相反するテーマを描くばあい、一方を容器に閉じ込めてしまうことで、絵画としての矛盾を防ぐ、という友禅の意匠の手法です。

たとえば、着物の模様として、春秋両方の草花が描いてあれば1年中着られる着物として便利ですが、絵画としては不自然なものになります。そういう時に、一方または両方を取り方に閉じ込めてしまえば不自然さが無くなるという手法です。ドラマで言えばホームドラマとSFを両方作りたい場合、ホームドラマの主人公が宇宙人の夢を見てベッドから落ちるという設定にすれば両方作れるでしょう。この場合、夢が取り方で、宇宙人をその取り方に閉じ込めて、本来のドラマに影響させないようにしているわけです。そんなものですね。

取り方の代表は、色紙、雪輪、湊などですが、作ろうと思えば何でも作れますね。日本的な笹の中にエキゾチックな更紗を入れるというのも許されてしまうというのも、取り方という様式のすごいところだと思います。

IMG_67261.jpg
いちばん上の写真は、反物幅を写真の幅として撮ったものです。

IMG_67281.jpg
写真2番目は近接です。金彩の縁取りだけの白揚げの笹模様が影のように描かれています。

IMG_67301.jpg
写真3番目は別の場所の近接です。

奥順のシルクウールの帯合わせ

第三千二百四十五回目は、奥順のシルクウールの帯合わせです。

今回は龍村の光波帯を合わせてみました。「光波」というのは、初代龍村平蔵の雅号です。代々の龍村の平蔵やその周辺の人は「光」の文字が付く雅号を持っていたようですね。光波帯は、仕立て上がりの名古屋帯で、龍村ブランドの帯としてはいちばんベーシックなものです。しかし意外にブランド管理が厳しく、単発で安売りするネット業者は有っても、継続して安売りしている業者はないんですよ。

IMG_79131.jpg
いちばん上の写真は、無地のウールに龍村の光波帯「獅噛鳥獣文錦」を合わせてみました。豊臣秀吉が来ていた陣羽織の意匠を帯にしたものです。もともとはペルシア絨毯で、南蛮人から買ったものでしょう。

IMG_79151.jpg
写真2番目は、無地のウールに龍村の光波帯「獅噛太子」を合わせてみました。「獅噛太子」というのは、商標登録のための龍村によるネーミングで、一般名は太子間道です。

法隆寺に伝来する有名な裂ですね。組織としては経絣なのですが、古代から法隆寺にあったとすると、インドで絣が発明されたとされる時代より古いものということになってしまいます。だから、もっと遅い時代に伝来したか、絣の歴史自体が書き換えられるべきかどちらかということになりますが、どちらにしても謎の多い裂です。

IMG_79161.jpg
写真3番目は、無地のウールに龍村の光波帯「サンシャペルの犬」を合わせてみました。サンシャペルというのは、十字軍に失敗してもめげず聖王と言われたルイ9世がシテ島内に建立した教会です。ステンドグラスがすごく綺麗ということで、行ったことのある方も多いのでは。その床面タイルの模様に取材したということです。

干支の裂として、過去のいつかの戌年に発売されたものです。

IMG_79201.jpg
写真4番目は、絣のウールに龍村の光波帯「グァテマラの鶏」を合わせてみました。これも上と同じく、干支の裂として、過去のいつかの酉年に発売されたものです。龍村の裂と言えば古典のイメージが強いですが、「干支の経錦」シリーズは外国の珍しいものを多く取り入れています。

IMG_79221.jpg
写真5番目は、絣のウールに龍村の光波帯「ペルシア佳人」を合わせてみました。これはどういう企画であったかわからないのですが、上代裂でなく、名物裂でもなく、干支の経錦でもない、ペルシアのミニアチュールに取材したもののようです。私は好きなのですが、赤系でない大人の色が有ればいいのになあといつも思っています。

さて結論ですが、今までいろいろやってきましたが、このシルクウールには結局、龍村の光波帯がいちばん合うんじゃないかと思いました。龍村の光波帯は使い勝手が良く、迷ったらそれでいいように思います。
[ 2015/10/26 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(2)

奥順のシルクウールの帯合わせ

第三千二百四十四回目は、奥順のシルクウールの帯合わせです。

今日は、単衣の時期に着ると想定し夏帯を合わせてみました。龍村の帯は重厚感があるので、織物の組織としては絽ですが、感覚的には単衣でもちょうど良いような気がします。

IMG_78911.jpg
いちばん上の写真は、龍村の絽の名古屋帯「風矢羽」を合わせてみました。このほかに同じ柄で白地のものがあり、そちらは紹介したことがありますが、この薄紫色バージョンはまだ紹介したことが無かったですね。紫色のウールと合わせて同系色濃淡を作ってみました。

IMG_78921.jpg
写真2番目は、龍村の絽の名古屋帯「かすみびし」を合わせてみました。これも今年の夏用に仕入れたものですが、まだ紹介したことが無かったですね。いずれ改めて細部を紹介したいと思います。夏にも前半と後半があって、微妙に植物の種類が違うものですが、こういう模様はいつでも着られて便利です。

菱文が横方向に揺れて霞んでいるような模様で、「かすみびし」ということでしょう。菱紋であれば堅い文様ですが、それが揺れて少し柔らかくなっているということですから、ウールでも行けるかなというところ。

IMG_78941.jpg
写真3番目は、龍村の絽の名古屋帯「秋涼」を合わせてみました。これも今年の夏用に仕入れたものですが、まだ紹介したことが無かったですね。いずれ改めて細部を紹介したいと思います。これは夏後半のてーまで、夏でもお盆過ぎに着るんでしょうね。今回は単衣用として9月か10月の始めに着ているという設定です。

帯の地は薄青で着物は紺ですから、濃淡関係にしてあります。

IMG_79011.jpg
写真4番目は、龍村の絽の名古屋帯「夏蒐文」を合わせてみました。「夏蒐文」というのは、さすが龍村でわかりにくいタイトルですね。夏の名残を蒐集してみた、という意味でしょうか。朝顔も萩も秋の季語ですから、夏後半から秋の単衣用ですね。花の丸紋ということを意識して、角ばった亀甲文に合わせてみました。

IMG_78951.jpg
写真5番目は、龍村の絽綴の名古屋帯「彩葉楓」を合わせてみました。楓というのは、青楓ならば春物ともいいますね。これは青と茶が混じっていますから、都合良く解釈して6月の単衣にも9月の単衣にも、そしてもちろん夏にも使いましょう。着物は、これは紺のウールに合わせて青系有利にしていますが、茶の着物に合わせて茶系有利にすれば秋になるかも。
[ 2015/10/25 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

奥順のシルクウールの帯合わせ

第三千二百四十三回目は、奥順のシルクウールの帯合わせです。

今日は、龍村と捨松の名古屋帯を合わせてみました。普通ならウールに龍村という組み合わせはあまりイメージしないと思います。しかし、着物と帯の関係というのは、相手を変えることで意図的に格を上げたり下げたりできるものなんですね。

IMG_79031.jpg
いちばん上の写真は、絣のウールに龍村の名古屋帯「スウェーデンの鳥」を合わせてみました。スウェーデン刺繍を代表するデザインを織で表現したものです。1つの染織技法で完成しているものを、わざわざ別の染織技法で再現していると考えると、何のために? という気もしますが、色鍋島のように陶芸として完成しているモノを織ってみたり、結構そういうものってあるんですね。

IMG_79061.jpg
写真2番目は、絣のウールに龍村の名古屋帯「アンデスの神」を合わせてみました。アンデスと言えばインカ帝国ですが、インカ帝国の存続期間はじつは長くなく、インカと言われて思い浮かぶイメージは、実はそれ以前のチャビンとかチャンカイであることが多いです。これらはひとまとめにプレインカと呼ばれます。チャンカイでは綴も織られていて乾燥気候のため良く残っています。西陣の帯の意匠では実はかなりお世話になっています。

IMG_79081.jpg
写真3番目は、無地のウールに龍村の袋帯「波兎遊跳文」を合わせてみました。龍村の袋帯には、高級な紬に合うシリーズも作られています。国画会などの作家の創作織物に合わせる帯として、同じような創作系ではなく、伝統ブランドを合わせる那覇かっこいいと思うんですけどね。

IMG_79111.jpg
写真4番目は、無地のウールに龍村の袋帯「鳳遊更紗文」を合わせてみました。これも高級紬に合わせる龍村のシリーズの1本です。

IMG_79231.jpg
写真5番目は、無地のウールに捨松の八寸の名古屋帯を合わせてみました。紬に合わせるお洒落な西陣帯と言えば、龍村よりも捨松の八寸の帯のシリーズの方が有名ですね。捨松らしいペルシア風のデザインで、手慣れた安定感がありますね。
[ 2015/10/24 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

奥順のシルクウールの帯合わせ

第三千二百四十二回目は、奥順のシルクウールの帯合わせです。

今日は織物の帯を合わせてみます。着物については、結城縮に準ずるということにして単衣の時期に着ることを想定しています。

IMG_72951.jpg
いちばん上の写真は、深石美穂さんの川平織の名古屋帯を合わせてみました。川平織は、生繭を使っていて手で触ると吸い付くような感触があります。この帯は格子のように見えますが、よくみると横縞と見えるものが、途中で一部分が消えています。つまり、単純な格子と見せて、じつは面倒な工程が必要な絣なんですね。

しかも、消える部分はくっきり消えるのではなく、グラデーションを作りつつふわっと消えて、ふわっと現れるのです。絣にした糸を束ねて防染して染液に浸けるわけですが、防染するために糸を括るとき、グラデーションを生じるような加減をして括っているわけです。

IMG_73081.jpg
写真2番目も、深石美穂さんの川平織の名古屋帯を合わせてみました。これも生繭の吸い付くような手触りがあるものです。絣模様はモダンなグラフィックのようです。黄色い経線は、なんと縞ではなくてロートン織です。深石さんは東京の美大を出て沖縄に行った人で、沖縄で生まれた人ではないのですが、花織でも浮織でもロートンでも、沖縄の染織技法はほとんどできちゃうんですよ。

IMG_72961.jpg
写真3番目は、川口良三さんのカジュアルな八寸の帯です。グレーとピンクのモダンな配色で、格子のようですが、途中で切れていますから、緯糸については絣ですね。川口良三さんは近江上布の作家ですが、秦荘紬や秦荘帯も織っています。これは麻ではなく紬の帯です。

IMG_72941.jpg
写真4番目は、野口の格子に刺繍の帯を合わせてみました。ベージュの格子の帯で、交わるところに丸い形の刺繍をしています。格子の織物は組織としては簡単で機械でも織れますし、刺繍もそれほど難易度の高いものではなく、ベトナムでもできるでしょう。しかし、格子と刺繍の色が同系色という配色や、四角い格子に丸い刺繍の組み合わせ、格子のパターンに合わせた刺繍の配置な<ど、企画やデザインはさすが野口だと思います。
[ 2015/10/23 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

奥順のシルクウールの帯合わせ

第三千二百四十一回目は、奥順のシルクウールの帯合わせです。

カジュアルの織物に対する帯合わせです。ウールはカジュアルな着物だからカジュアルな帯を合わせるという発想もありますし、ウールの着物と言ってもシルクウールだから、フォーマルな帯を締めてフォーマルっぽい着こなしができるという発想もあります。どちらも試してみたいですね。また、結城縮のウールバージョンと考えれば、結城縮のように単衣で着たらかっこいいのではないかとも思います。

今回は、まず染の名古屋帯で試してみます。

IMG_72931.jpg
いちばん上の写真は、藤井絞の辻が花写しの名古屋帯を合わせてみました。野趣のある玉紬の生地に染められ、単衣用としても夏用としても使えそうです。絞りの技法としては菱形の鋭角の部分も綺麗に絞っていますし、蔦の葉の形も上手に表現しているので、難易度の高い技に挑戦して成功している作品だと思います。

しかも模様に色がついていますから、地の部分を絞ってフィルムでカバーしているんでしょうね。絞っても染液に浸けない空絞りではないということなので、パズルを解くような絞り方をしているはずです。

IMG_73001.jpg
写真2番目は、加賀友禅作家、高平良隆さんの素描の名古屋帯を合わせてみました。玉紬の生地に、加賀友禅の作家が、本業の友禅ではなく、筆で描いた絵を帯にしたものです。

友禅作家というのは、子供の時から友禅作家になりたかったという人は稀ではないでしょうか。たいていの人は画家になりたくて美大に行き、純粋な芸術家である画家では生活できないということで、多少妥協して友禅作家になるものだと思います。だから、こういうものがありえるんですね。

当店にはこの人の本業の友禅作品もありますが、陰影や濃淡のつけ方が友禅の時とは全く違うので、友禅作家の余技というより、本当は画家になりたかったように見えますね。こういう作品は、すごく有名作家のものでないと意味がないですが、高平さんは石川県の重要無形文化財でもあるので、持って意味が有るのではないかと思います。

IMG_73021.jpg
写真3番目は、千切屋治兵衛の友禅の名古屋帯を合わせてみました。実際に制作したのは藤岡さんで、糸目は糊糸目、生地は玉紬、テーマ的に9月には合わないですから前半だけの単衣用ですね。

IMG_73091.jpg
写真4番目は、千切屋治兵衛の名古屋帯を合わせてみました。パイナップルの繊維で織った生地を使ったもので、しっかりしている割に薄い生地です。木の繊維で作る生地ですから、日本で言えば、葛布、シナ、芭蕉布の仲間ですね。色は2色あって、型染風のデザインですが、2点とも少しずつ形が違うので、型染ではなく筒描きのようです。

IMG_73111.jpg
写真5番目は、千切屋治兵衛の名古屋帯を合わせてみました。上と同じものの黄色バージョン。作者は不明だが、千切屋治兵衛の下職にはこんな人はいないので、たまたま企画したものか。
[ 2015/10/22 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

奥順のシルクウールの絣の着尺

第三千二百四十回目の作品として、奥順のシルクウールの絣の着尺を紹介します。

昨日から紹介している奥順のウールの続きです。今日は絣です。ウールの着物はカジュアルで価格もリーズナブルなイメージですが、盛んにつくられていた時代には、結構上下もあり、絣で多色で絵画的な模様を表現したのは結構高級品だったはずです。その代表的なブランドが、しょうざんウールだったんですね。

東京近辺では、八王子もウールの産地だったのですが、私の知る限り操業しているところはありません(輸入している会社はあるかも)。日舞のお稽古用などとして需要はあるのですが、仕入れをする立場としては、ウールは希少で仕入れるのはすごく難しいです。一方、古着屋の買い取り広告を見ると、「ウールは除く」なんて書いてありますね。私はその辺が理解できないのですが。

IMG_68141.jpg
いちばん上の写真は、反物の幅を写真の幅として撮ったものです。本格的な経緯の絣です。

IMG_78881.jpg
写真2番目は、近接です。ちゃんとした絣です。

IMG_78861.jpg
写真3番目は、ラベルを含む近接です。

IMG_68161.jpg
写真4番目は、絣の部分を拡大してみました。糸は強い撚りがかかっているのがわかります。結城縮のウールバージョンとしてつくられたのでしょう。そのためとても軽く、サマーウールとして単衣の時期に着られる感触があるのです。
[ 2015/10/21 ] 各地の絣・紬 | TB(0) | CM(2)

奥順のサマーウールの着尺

第三千二百三十九回目の作品として、奥順のサマーウールの着尺を紹介します。

ウールの着物というのは、日本の伝統的な系統にはないわけで(単発的には作られただろう)、それを商品化して大々的に売り出したのは、しょうざんだと思います。昭和30年代か40年代の話ですよね。それは大ヒットして、銘仙が衰退する一因になったかもしれません。ウールのブームの後、しょうざんは生紬をヒットさせ、その後はレジャーランド、それから不動産業ですから、事業家の鑑のような会社ですね。

しかしその事業で成功しているイメージは、着物好きにとってはありがたくないですね。ウールならともかく、しょうざんの訪問着とか袋帯はマニアにはありがたみが無い。着物好きは、時代錯誤的に手織りしているような不器用さを求めるからです。たとえば、頑固なおじいさんが、1人で手織りしているから1年に1反しか織れないというようなイメージですね。それがたとえフィクションであったとしてもです。

今日紹介するのは、なんとあの重要無形文化財の結城紬の代表的メーカー奥順のサマーウールです。奥順は結城紬一筋のメーカーですから上の例とは全く反対ですね。ありがたみ爆発です。

高級品のブランドが庶民的な商品を創ると、ヒットする確率が高いですよね。超高級車のメルセデスが初めてコンパクトカーを作ったときもヒットしました。ケーキ屋の作るパンは、なんとなくパン屋のパンより高級な気がするということだと思います。この奥順のサマーウールもそんなもので、超高級品の結城紬のメーカーが庶民的なウールを作ってくれた、というありがたみを感じます。

IMG_68091.jpg
いちばん上の写真は、紫の着尺を反物の幅を写真の幅として撮ってみました。

IMG_68121.jpg
写真2番目は、紺の着尺を反物の幅を写真の幅として撮ってみました。他にも色が有ったのですが、仕入れてから今日掲載するまでにかなり売れてしまいました。

IMG_72381.jpg
写真3番目は、ラベルを撮ってみました。やはり気になるのはこの部分ですね。文化財の結城には「結」、それ以外には「紬」がついていますが、これにも「紬」が付くんですね。ウールの「ウ」ではない?

IMG_72391.jpg
写真4番目は、ラベルに近接して撮ってみました。「手織ウール」とあります、期待が高まりますね。素材はウールだけでなく、絹も20%含まれていると表示されています。「ウール紬」ということでしょうか。
[ 2015/10/20 ] 各地の絣・紬 | TB(0) | CM(2)

一の橋の付下げ(実際に制作したのは安田)の帯合わせ

第三千二百三十八回目は、一の橋の付下げ(実際に制作したのは安田)の帯合わせです。

都合により1回延長です。今日は青い帯というテーマで合わせてみました。雲の藍色と呼応させるという趣旨ですが、青い帯というのは割合に無いものですし、普通では着物の地色にも合わせにくいですよね。

IMG_77571.jpg
いちばん上の写真は、捨松の袋帯を合わせてみました。捨松らしいペルシア風の意匠です。珍しい紺色地です。

IMG_77501.jpg
写真2番目は、捨松の袋帯を合わせてみました。これも上と同じようなパターンの意匠です。綺麗な青で、濃淡関係にしてみました。

IMG_77521.jpg
写真3番目は、織悦の袋帯「若松」を合わせてみました。縁起の良い根引松ですが、対象物を素直に並べたシンプルな意匠です。こういうのを見ると、意匠なんて小細工せず、これで良いんだと思えて来ちゃいます。

IMG_77611.jpg
写真4番目は、龍村の名古屋帯「石畳文」を合わせてみました。青地ということで選んでみましたが、雲の曲線に対して直線の方形であり、龍村らしい質感もあり、色も加えて、結構気に入っている組み合わせです。

IMG_77561.jpg
写真5番目は、龍村の絽の袋帯「彩簾錦」を合わせてみました。これは夏帯なので、着物を単衣に仕立てたという前提の帯合わせです。龍村の夏の袋帯は、組織としてはたしかに絽ではあるのですが、実際には厚みのある重厚な織物であり、某ネットの古着ショップでは夏物と表示せず売っていたので、冬物と勘違いしているんでしょうね。

IMG_77541.jpg
写真5番目は、龍村の絽の袋帯「古伊万里扇」を合わせてみました。これも絽です。皿の縁の模様を帯の意匠として並べたものです。鍋島の皿を並べただけのようですが、縁だけ重ねるということ自体かなり斬新?
[ 2015/10/19 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

一の橋の付下げ(実際に制作したのは安田)の帯合わせ

第三千二百三十七回目は、一の橋の付下げ(実際に制作したのは安田)の帯合わせです。

今日は染め帯を合わせてみます。着物は友禅の作品ですが、具象的な形としては雲の輪郭だけで、それ以外は装飾文様だけですから絵画性は低いといえます。その不足している絵画性を補う意味で、友禅を中心とした染め帯を合わせるというやり方もアリですね。

IMG_77381.jpg
いちばん上の写真は、花也の友禅の名古屋帯「琳派流水模様」を合わせてみました。よく見ると、いちばん外側に霞の輪郭があり、その中に波(加山又造を思わせる波ですね)があり、さらにその中に色紙があって、そこに蛇籠や楓がある川の流れの風景が描いてある、という入れ子構造になっています。

林班の金屏風のような雰囲気ですが、雲だけの付下げに絵画性を加えてみました。

IMG_77411.jpg
写真2番目は、大松の友禅の名古屋帯「楓取り海浜模様」を合わせてみました。大きなものの中に小さな模様があるのは写生ですが、小さなもの中に大きなものがあるのは意匠です。この作品では1枚の楓の葉の中に世界が詰まっています。これも着物に不足している絵画性を、帯で補う例です。

IMG_77391.jpg
写真3番目は、京正の名古屋帯「瑞葉」を合わせてみました。実際に制作したのは中井淳夫さんです。これは友禅ではなく箔によるものです。縁蓋を切っているのでしょうが、金から銀に境界なく変わっていくようにも見え、どういう箔なんだろうとも思います。これは絵画性を加える例にはなりませんが、私はこれを選ぶかも。

IMG_77431.jpg
写真4番目は、京正の名古屋帯「波」を合わせてみました。実際に制作したのは安田です。私が友禅の技術の参考のために無理に売らず保管している作品です。工芸における絵画的作品というのは、このようなものであるべきだと思います。完璧な形状とともに、手描き作品にあるべき揺らぎもあります。テーマはもちろん「空と海」ですね。

IMG_77451.jpg
写真5番目は、加賀友禅作家、木村雨山の友禅の名古屋帯「立山連峰」を合わせてみました。色が合っていると言ってしまったら、もう白内障の手術をしないとダメですね。でもその辺は、木村雨山の天才で吹き飛ばしてもらいます。雲の中に浮かぶ立山連峰の情景です。
[ 2015/10/18 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

一の橋の付下げ(実際に制作したのは安田)の帯合わせ

第三千二百三十六回目は、一の橋の付下げ(実際に制作したのは安田)の帯合わせです。

今日は、雲に対して意味的なつながりを求めて、鳥のテーマで合わせてみました。

IMG_77331.jpg
いちばん上の写真は、織悦の袋帯「厳島花鳥蝶華文」を合わせてみました。平家納経に取材した作品です。平家納経というのは、平清盛が作らせたものですから、平安時代の最後、王朝文化の最終形態ですね。なんとなく極楽の風景のような雰囲気で、鳥が無防備に飛んでいるのはそのためでしょう。

IMG_77341.jpg
写真2番目は、紫絋の袋帯「天平臈纈文」を合わせてみました。正倉院に残る多様な染織品をコラージュ的に合わせた作品です。タイトルでは「臈纈」と言っていますが、挟纈や刺繍も含んでいます。天平というとおおらかなデザインのイメージがあるので、雲と相性が良いかなあということで選んでみました。

IMG_66261.jpg
写真3番目は、華陽の袋帯「彦根花鳥屏風」を合わせてみました。いわゆる彦根屏風は風俗画だと思うので、どの部分に取材したのかわかりません。中身は花鳥でありながら、屏風の絵であるという設定にした意匠です。図像としては、鴛鴦がいて四季の花が咲き誇るという、照れくさくなるぐらいお気楽なものです。作者としては、照れ隠しで「これは屏風の絵を写したもので私の絵ではない」と言いたかったのかもしれません。

全くお気楽でない、深刻すぎる安田の雲との組み合わせですが、かえって中和し合って良いかもしれません。

IMG_66321.jpg
写真4番目は、龍村の名古屋帯「平泉遺宝錦」を合わせてみました。平泉の中尊寺金色堂の内陣に飾られている金銅華鬘に取材したものです。鳳凰が向かい合っているデザインです。数日前に販売しましたが、たまたまそのちょっと前に写真を撮っていました。

IMG_77371.jpg
写真5番目は、大西勇の袋帯「」を合わせてみました。象と鳥を並べたもので、エキゾチックな雰囲気です。たぶん、お太鼓には象が出ると思いますが、腹文では青い鳥を選ぶこともできます。華文がカクカクしているので、元絵は綴だろうと思います。エキゾチックな図像の綴と言えば、コプト裂ですね。

IMG_77301.jpg
写真6番目は、織悦の袋帯「彩籠目」を合わせてみました。テーマは「不在」。今主役はどこかで飛んでいるというのが、今日のオチ。
[ 2015/10/17 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

一の橋の付下げ(実際に制作したのは安田)の帯合わせ

第三千二百三十五回目は、一の橋の付下げ(実際に制作したのは安田)の帯合わせです。

今日は喜多川俵二の名古屋帯を合わせてみました。有職文様というのは、普遍的な美があるというか、突っ込んだ意味がないというか、どんなものにも合いやすいです。一方の雲のモチーフも相性の悪い相手というのは少ないですから、両者を合わせるのは絶対に失敗がないはずです。

IMG_66341.jpg
いちばん上の写真は、「小牡丹唐草」を合わせてみました。これは有職文様というより、名物裂の代表のような牡丹唐草文です。いろんな種類が伝世しており、牡丹の花の大きさもさまざまです。これは小さいので、「小牡丹・・・」という名前がついている裂を写したものです。

IMG_66351.jpg
写真2番目は、有職文様の「鳥襷文」を合わせてみました。よく見ると鳳凰のような鳥がいるのでさがしてください。

IMG_66371.jpg
写真3番目は、「厚板格子」を合わせてみました。能衣装の唐織などでタイトルに「厚板」という言葉が使われている作品が多くありますが、これは中国から輸入される際に、厚い板に巻かれていたことに由来します。タイトルは、中世以降に輸入された裂を写したという意味でしょう。

IMG_66331.jpg
写真4番目は、有職文様の「雲鶴文」を合わせてみました。普遍的な美があって、個別の意味に陥らない有職文様のはずですが、つい個別の意味に耽溺したくなり、雲に鳥を合わせて情景を作ってしまいました。
[ 2015/10/16 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

一の橋の付下げ(実際に制作したのは安田)の帯合わせ

第三千二百三十四回目は、一の橋の付下げ(実際に制作したのは安田)の帯合わせです。

雲というのは、それほど意味も個性もなく、季節もない、帯合わせには便利なモチーフだと思います。何を合わせても合ってしまうので、帯合わせの張り合いもないですが、それでも意味ありげな帯合わせを考えてみました。

IMG_66301.jpg
いちばん上の写真は、大西勇の袋帯「有栖川龍文」を合わせてみました。加賀前田家に伝来する有栖川裂のうち龍文部分です。近世に輸入されたものですが、制作地については、龍が織り出されているので中国だろうという程度にしかわかっていません。前田家が所有するのに「有栖川」と呼ばれる理由もわかりません。私が読んだ本の中ではその説明に出会ったことがありません。

それはともかく、やはりいちばん最初に考えるのは、この帯合わせですよね。龍は雲の中をゆったり飛んでいてくれますし、意味的にぴったり重なると思います。

IMG_66251.jpg
写真2番目は、梅垣の袋帯「格天井」を合わせてみました。地が綴の組織で、模様は絵緯糸で表現されています。いずれも圃場に細い糸で織られていて、綴の地も自然な手触りです。今回は、どちらも上を見上げるものという意味で合わせてみました。それと雲の曲線に対し、格天井の直線を対比させてみようという意図もあります。

IMG_66281.jpg
写真3番目は、河村織物の「栄昌綴」の1本を合わせてみました。この帯も地が綴の組織で、横段の中の七宝文が絵緯糸で表現されています。雲の曲線に対し、横段の直線を対比させています。

IMG_66271.jpg
写真4番目は、華陽の袋帯「笛」を合わせてみました。笛と笛袋または笛箱というテーマです。笛袋や笛箱は、織や蒔絵で具象的な模様が描かれていますから、帯や着物の模様としてしばしば登場します。横に並べた笛は水平な直線ですから、雲の曲線に対し、横段の直線を対比させることになります。
[ 2015/10/15 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

一の橋の付下げ(実際に制作したのは安田)の細部

第三千二百三十三回目は、一の橋の付下げ(実際に制作したのは安田)の細部です。

雲は10種類に分類されますが、このような塊の雲は積雲といいます。発生する高度によって巻積雲(いわし雲)、高積雲(ひつじ雲)、積雲(わた雲)の3つに分類され、平面に広がる層雲(高度によって巻層雲、高層雲、層雲)に対する言葉です。地表が温められ上昇気流が生じると上に発達しますが、それが積雲で、夏には巨大な積乱雲になって夕立を降らせます。夕方になって気温が下がり、上昇気流が弱まると、雲は平たくなり層雲に近くなっていきます。

この着物に描かれた雲は、対流によって育ちつつある積雲で、そのために雲の内部で何重にも重なっているのです。京友禅における金糸のあしらいは、たいていは輪郭だけですが、この作品では雲の内部に入りこんで、盛り上がるように見えます。これが大気の循環のダイナミズムの表現ですね。

雲の表現としては、友禅の割り付け文、友禅の波、摺箔、描き疋田など多様です。実際の雲の正体は水滴で、上部では氷、下部では水ですが、空気中の細かい塵を核として集まったものです。太陽の光できらきら輝くこともありますし、雲底が下がってくると光が当たらず黒く見えたりしますね。このように実際の雲の見え方も多様ですが、その多様性を多様な京友禅の技法駆使して表現しているのです。

IMG_77191.jpg

IMG_77171.jpg

IMG_77131.jpg

IMG_77121.jpg

IMG_77061.jpg



[ 2015/10/14 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

一の橋の付下げ(実際に制作したのは安田)の細部

第三千二百三十二回目は、一の橋の付下げ(実際に制作したのは安田)の細部です。

昨日、前姿のいちばん上の、マエミトオクミの縫い目模様して紹介した写真は、後姿の模様の間違いでした。縫い目は背中心だったんですね。同じ雲のモチーフの変奏なので、持ち主の私でもどれがどれだかわからなくなってしまいます。本当はどの模様がどの場所にあるのかお知らせしたいところですが、今日からは諦めて一覧で見ていただきます。

IMG_77071.jpg

IMG_77091.jpg

IMG_77101.jpg

IMG_77111.jpg
[ 2015/10/13 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

一の橋の付下げ(実際の制作は安田)

第三千二百三十一回目の作品として、一の橋の付下げを紹介しています。実際に制作したのは安田です。

ひさびさの安田本体の作品です。安田が確立した様式というのは人気がありすぎて、たくさんの類似品が制作されました。類似品の中には、糸目型で制作される十日町の訪問着のように、ただ様式だけを真似たものもありますし、花也のように安田の元職人を使って糊糸目で制作し、技法も素材も作業者も同じ、ちがうのは安田本人が居ないだけ、というのもあります。

安田の様式が真似されやすいのは、人気があるというだけでなく、様式が確立されすぎて真似しやすいということもあるでしょう。安田の様式で作れば、京都以外の場所で作ってもそれなりに上手に見えてしまうんですね。十日町の糸目型の訪問着だって、ホンモノの安田と比較さえしなければとても美しいものです。

そのような状況から、中井は創造的だが安田は糊糸目が綺麗なだけ、と勘違いしてしまうこともあります。しかし、類似品が多く出て見飽きた感じになってしまったのは、真似された安田の責任ではなく、真似をした人の責任ですよね。また安田に創作性が無いと感じる人は、安田の類似品を見過ぎて、ホンモノの安田を忘れているんじゃないかと思います。

私は今回、ひさしぶりに安田のホンモノを仕入れてみたら、類似品とは違うゾクゾクする感じがありますし、雲の意匠も十分に創作的だと思いました。安田というのは、ホンモノを見る機会は少なすぎ、類似品を見る機会は多すぎますねえ。なお花也については、創業した時は安田にちょっとでも近づこうと努力していましたが、最近は花也の様式を確立しつつ足りますね。昔の売れ残りを見て安田の高級な類似品だと思うのは間違いです。

IMG_65051.jpg
いちばん上の写真は、前姿(マエミ+オクミ)です。今回の作品は、全部で11個の雲があります。前姿は4個です。

IMG_65181.jpg
写真2番目は後姿です。後姿は3個です。袖には各1個ずつ、胸に1個(衿の縫い目をまたぐ)です。

IMG_77151.jpg
写真3番目は近接です。前姿のいちばん上、マエミとオクミの縫い目の上にある模様です。

IMG_77081.jpg
写真4番目は近接です。前姿の2番目、マエミにある模様です。明日も近接で、個別の模様を紹介します。
[ 2015/10/12 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

藤井絞の絞りの浴衣の帯合わせ

第三千二百三十回目は、藤井絞の絞りの浴衣の帯合わせです。

今日はオレンジの浴衣の帯合わせを考えてみました。使用する帯は、今日も博多の四寸の単衣の帯です。

IMG_74821.jpg
いちばん上の写真は、黄色の帯を合わせてみました。まず同系色濃淡で合わせてみようと思いましたが、オレンジ系の博多帯って珍しいですし、有っても仕入れませんねえ。というわけで、黄色で試してみました。とても合っているので、オレンジ色にとっての同系色濃淡は、黄色から朱色ぐらいの間ということでしょうか。

IMG_74811.jpg
写真2番目は、赤系の帯を合わせてみました。朱色とも桃色ともつかない色なので、赤系と言ってみました。同系色濃淡と言っていいかわかりませんが、まあそんなに悪くない?

IMG_74851.jpg
写真3番目は、茶色の献上柄の帯を合わせてみました。このオレンジの浴衣を選ぶのは、20代前半ぐらいまでだろうと思いますが、そこに年輩者向けの帯を合わせてみました。色も年輩者向けですし、模様も献上柄という昔からある博多の基本模様ですね。
若向けに年輩者向けを合わせるという正反対のことをしているわけですが、オレンジと茶色は同系色濃淡と言えないこともありません。対立物を含みながら調和している感じを狙っています。

IMG_74801.jpg
写真4番目は、粋な白黒のストライプの帯を合わせてみました。オレンジ色がもつ温かな雰囲気に水をぶっかけるような粋な白黒を合わせてみました。補色関係を試すということで、青や紺色の帯を合わせてみましたが気に入らなかったので、色の反対でなく雰囲気の反対で合わせてみました。
[ 2015/10/11 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

藤井絞の絞りの浴衣の帯合わせ

第三千二百二十九回目は、藤井絞の絞りの浴衣の帯合わせです。

普通の木綿地に注染の浴衣に比べれば、値段も高いですし、雰囲気も普通の着物っぽいので、八寸の長屋帯を締めてもいいのですが、今日は浴衣らしく博多の半幅帯(四寸の帯)を合わせてみます。博多の四寸の帯には、裏地のある袷と1枚ぴらっとした単衣があります。浴衣に袷を使っても世間にはばれませんが、出来れば夏専用の単衣を用意した方がかっこいいですね。

IMG_74781.jpg
いちばん上の写真は、青地の浴衣に同系色濃淡関係になるように、紺地の帯を合わせてみました。模様は、博多帯の基本の献上柄です。

IMG_74701.jpg
写真2番目は、水色地の浴衣に同系色濃淡関係になるように、紺~白の帯を合わせてみました。模様は、濃淡ストライプで、博多帯のモダン柄はだいたいこんな感じですね。帯と着物の関係も同系色濃淡ですし、帯自体も同系色濃淡という二重の関係になります。

IMG_74771.jpg
写真3番目は、青地の浴衣に補色関係になるように、赤・緑・黄色の帯を合わせてみました。上で同系色を試したので、反対色も試してみました。「逆もまた真なり」で、同系色で成功したら反対色でも成功するものです。

IMG_74711.jpg
写真4番目は、水色地の浴衣に補色関係になるように、茶色の帯を合わせてみました。模様は、博多帯の基本の献上柄です。反対色の帯合わせですが、上の例は反対色で派手にした場合、この例は反対色で地味にした場合です。この浴衣は水色で、特に若向けですが、あえてそれに特に年配者向け(茶色で献上柄)という面白さを狙ってみました。

IMG_74681.jpg
写真5番目は、水色の浴衣に、黄色とペパーミントのかわいい色の帯を合わせてみました。浴衣もかわいい色ですから、その世界観を伸長するように、よりかわいい色の帯を合わせてみました。

IMG_74791.jpg
写真6番目は、青い浴衣に、白黒のストライプの粋な帯を合わせてみました。浴衣の模様の縦の菱形は、きりっとした模様ですから、その「きりっ」をさらに伸長して白黒の粋路線でまとめてみました。
[ 2015/10/10 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

藤井絞の絞りの浴衣

第三千二百二十八回目の作品として、藤井絞の絞りの浴衣を紹介します。

今日紹介するのは、藤井絞の絞りの浴衣です。昨日まで紹介していた夏の着物と同じ麻と木綿半々の生地を使っています。同じ生地からスタートしながら、昨日まで紹介していた細かい飛び柄の着物は、正絹の小紋風につくったもの、今日紹介するのは、浴衣風につくったものですね。

いちばん上から3番目までの写真は、反物の幅を写真の幅として撮ったものです。同じ絞りの浴衣でも有松系(有松で企画して中国で絞っているものがおいので、「系」を付けた)の浴衣は、余白なく絞りで埋めているのに対し、京都の絞りは余白があって、飛び柄のように意味のある模様を絞っています。前者は有松的な発想の絞り、後者は辻が花的な発想の絞りです。

有松的な余白のない絞りの方が手間がかかるので、人件費の安い海外製になりがちであり、辻が花的な絞りの方が手間が少ないもののセンスが必要なので、京都市内で作業するのに向いています。今日紹介するのは、絞りの技法としては、縫締絞の帽子絞です。京都市内で作業するため、京友禅の作家たちに刺激を受けることが多く、有松絞よりも色が多様であるように思います。

IMG_69291.jpg

IMG_69311.jpg

IMG_69441.jpg

IMG_69451.jpg
写真4番目は3番目の浴衣の近接です。
[ 2015/10/09 ] カジュアル | TB(0) | CM(0)

藤井絞の絞りの夏の着物の帯合わせ

第三千二百二十七回目は、藤井絞の絞りの夏の着物の帯合わせです。

今日は、昨日より少しフォーマル方向ということで、正絹の夏または単衣時期用の九寸の名古屋帯を合わせてみます。

IMG_73231.jpg
いちばん上の写真は、野口の紗の名古屋帯を合わせてみました。紺地の着物に合わせてみました。花の色と共通性があるので、色数を増やさない帯合わせになっています。ただ、模様が同じぐらいの大きさの花どうしで重なってしまうのが残念ですね。

IMG_73241.jpg
写真2番目は、藤井絞の辻が花の名古屋帯を合わせてみました。描き絵だけの初期の辻が花を写した作品です。生地は玉紬(生紬という呼び方の方が有名ですね。)で、単衣用として着るとお洒落です。

IMG_73251.jpg
写真3番目は、千切屋治兵衛の絽の名古屋帯を合わせてみました。実際に制作したのは藤岡さんです。黒地の着物に合わせています。模様が重なることのないように、波の模様にしました。

IMG_73261.jpg
写真4番目は、千切屋治兵衛の絽の名古屋帯を合わせてみました。実際に制作したのは藤岡さんです。紺地の着物に合わせています。模様が重なることのないように、雲の模様にしました。
[ 2015/10/08 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(2)

藤井絞の絞りの夏の着物の帯合わせ

第三千二百二十六回目は、藤井絞の絞りの夏の着物の帯合わせです。

今回の藤井絞の絞りの夏の着物は、素材と技法を考えれば浴衣に近いカジュアル、模様とその配置を考えれば飛び柄小紋に近いセミフォーマルです。どちらにするも着る人の自由ですが、それは帯合わせによって表現されるものと思います。博多の半幅帯を合わせて完全な浴衣にすることもできますが、それはちょっともったいない。そこで今日は、麻の帯を合わせて、ややカジュアルにしてみます。

IMG_73161.jpg
いちばん上の写真は、西陣の証紙番号1393の七野・宮岸織物という織屋の麻の八寸名古屋帯を合わせてみました。表示によると、素材は麻100%(抑え糸を除く)となっています。模様は、西陣らしく絵緯糸による表現となています。価格はリーズナブルなのに真面目に織ってあって、ほんとうに織屋の採算が合っているのか心配になるぐらいです。

IMG_73141.jpg
写真2番目は、七野・宮岸織物の麻の八寸名古屋帯を合わせてみました。上と同じシリーズですが、着物の模様が花の形ですから、花を避けて流水と源氏車にしてみました。小袖の意匠としてもしばしば登場しますが、牛車の車輪は、メンテナンスとして川の水に浸ける必要があり、それを意匠化した文様ということです。

IMG_73181.jpg
写真3番目は、七野・宮岸織物の麻の八寸名古屋帯を合わせてみました。これは縞バージョンです。世間の常識では、模様より縞の方が安いものですが、このシリーズでは同じ値段です。もともとこれ以上安くできないという値付けをしているためでしょうか。グレーのような渋い色とオレンジのような明るい色がありますが、今回は明るい方を選んでみました。

IMG_73221.jpg
写真4番目は、千切屋治兵衛の麻の九寸の名古屋帯を合わせてみました。上の3本はかがるだけの八寸の帯ですが、こちらは芯を入れて仕立てる九寸の帯です。仕立て上がれば八寸ですが、ちょっとフォーマル方向になります。

模様は墨描きですが、墨描きというのは友禅の糊のように失敗したら洗い流せるものではない、一発勝負の技法です。それだけに難しさもあって、世間では下手な絵を恥ずかしげもなく売っているのがありますね。このようなものすべてについて、芸術的であれ、というわけにはいかないですが、職人として気持ちの良い仕事をしているのが良いですね。

IMG_73201.jpg
写真5番目は、千切屋治兵衛の麻の九寸の名古屋帯を合わせてみました。上と同じシリーズですが、着物と帯では名が重なるのを避け、扇面に鳥獣戯画にしてみました。
[ 2015/10/07 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

藤井絞の絞りの夏の着物

第三千二百二十五回目の作品として、藤井絞の絞りの夏の着物を紹介します。

小千谷製の麻と木綿が半々の生地に絞りをした作品です。たいていのものは、大きくてカジュアルな模様を絞って高級浴衣として販売されますが、これは飛び柄の小紋のような小さな模様を絞って、「夏の着物」のように販売されるものです。夏のお茶会で、浴衣禁止と言われた時に、夏の小紋として着ることもできます。たいていの人が、夏の観劇などで、浴衣では非常識だが浴衣以外着たくない、という時に着るのではないでしょうか。

IMG_69401.jpg
いちばん上の写真は、黒地の着物を反物の幅を写真の幅として撮ったものです。小さな模様の飛び柄小紋の形式ですね。

IMG_69341.jpg
写真2番目は、紺地の着物を反物の幅を写真の幅として撮ったものです。

IMG_69421.jpg
写真3番目は、黒地の反物の近接です。縫った痕跡である針の穴がないので、縫い締絞りではないことがわかります。何かの器具を使って挟んで防染したのでしょう。くっきりすべきところ、グラデーションになるべきところ、ちゃんと計算して防染しています。どんな器具を使って挟んだのか、絞りやさん自身が考案したものでしょうが、教えてもらえないでしょうね。

IMG_69381.jpg
写真4番目は、黒地の反物の近接です。緑色が挿してあります。これは絞った後に手で挿したのでしょうか。
[ 2015/10/06 ] カジュアル | TB(0) | CM(0)

龍村の名古屋帯「バティック」の帯合わせ

第三千二百二十四回目は、龍村の名古屋帯「バティック」の帯合わせです。

今日は付下げまたは訪問着に合わせてみました。今回の龍村の帯は、金糸が全く使われていないということもあり、カジュアルな使い方を念頭に置いて作られたのだろうと思います。そのため、まず紬から合わせ始めたのですが、今日はフォーマルの世界に行ってみようと思います。

バティックというテーマについては、本場のインドネシアでは神聖なもののはずですから、決してカジュアルという意味はないと思います。しかし、天皇を頂点とする日本の中央の文化というのは、中国由来のものを至高のものとして取り入れてきたため、龍や蜀江錦については格調高く感じ、中国由来でない更紗などについてはカジュアルにか感じるのではないかと思います。

IMG_76381.jpg
いちばん上の写真は、野口のカジュアルな訪問着を合わせてみました。小紋の型を応用して、訪問着のような模様配置にした作品です。形式としては訪問着、目を近づけて模様を見ると小紋という、中間的な(中途半端な)着物です。

中途半端というとネガティブなイメージですが、着る人の状況を考えてみると、昔は奥さまとかお嬢さまとか立場がはっきりしていたのに対し、今はお姉さんなのかおばさんなのかわからない人が多いです。また着る場所の状況を考えてみると、能やオペラや高級なレストランの食事会など紬では気が引けるが訪問着では大げさすぎる、というのが多いです。

そう考えると、野口は上手に商品づくりをしているんですね。

IMG_76401.jpg
写真2番目は、野口のカジュアルな訪問着を合わせてみました。上の作品は更紗の着尺の型を利用した訪問着、この作品は格子の着尺の型を利用して、武士の熨斗目の様式を思わせる模様配置の訪問着です。

IMG_76431.jpg
写真3番目は、野口のカジュアルな訪問着を合わせてみました。これも型染の更紗ですが、指示された箇所で裁って仕立てると模様が訪問着の配置になるという作品です。大きな植物模様の更紗の着物の上に、凝縮された動物模様の更紗の帯を載せた感じになりますね。

IMG_76561.jpg
写真4番目は、花也の飛び柄風の付下げを合わせてみました。葵の模様が飛び柄のように散らされた付下げです。帯のカジュアル感に留意して、訪問着のような付下げは避け、小紋のような付下げに合わせてみました。

IMG_76441.jpg
写真2番目は、野口の付下げを合わせてみました。実際に制作したのは、岡本等さんです。ちょっと思い切って、箔も多用したフォーマルな付下げを合わせてみました。模様は更紗ですが、いかがでしょうか。
[ 2015/10/05 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

龍村の名古屋帯「バティック」の帯合わせ

第三千二百二十三回目は、龍村の名古屋帯「バティック」の帯合わせです。

昨日まで紬に合わせてきましたが、今日は染の着尺(小紋)に合わせてみます。

IMG_76571.jpg
いちばん上の写真は、野口の着尺を合わせてみました。変わり格子のような意匠で、蝋染のような手描きタッチです。こういう意匠は、手描き風の型染なのか、蝋を使った手描きなのかわかりにくいところです。作り手の立場になれば、たくさん売れる自信があれば型染に、自信がなく、試しに1枚だけ作ってみるのであれば、手描きにするのではないでしょうか。

見分ける方法は、特徴のある部分を探し、それが繰り返すかチェックすることです。

IMG_76621.jpg
写真2番目は、野口の着尺を合わせてみました。シンプルな曲線模様です。更紗を思わせる曲線模様ですが、シンプルなものは合わせやすいですね。

IMG_76591.jpg
写真3番目は、野口の着尺を合わせてみました。更紗模様です。着物の更紗模様の上に、帯の更紗模様を重ねることになりますが、着物は更紗の中でも写生に近い草花模様、帯は更紗の仲間でも最も個性の濃い動物模様なので、模様に階層が生じて混ざることはないのではないかと思います。

IMG_76651.jpg
写真4番目は、野口の着尺を合わせてみました。普通は帯合わせしにくい多色で大きな模様を選んでみました。着物の模様も重いですが、帯の動物も重いので、それなりにバランスが取れている?

IMG_76701.jpg
写真5番目は、千切屋治兵衛の着尺を合わせてみました。大きな花の丸模様ですが、単彩で地味な色の作品です。着物に色が無いのは、帯合わせにはありがたいですね。
[ 2015/10/04 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

龍村の名古屋帯「バティック」の帯合わせ

第三千二百二十二回目は、龍村の名古屋帯「バティック」の帯合わせです。

今日は作家モノの織物に合わせてみました。作家モノの着物に作家モノの帯を合わせると、お金持ちが初めて展示会に行って着物を買ったみたいに見えてしまいます。そうならないためには、組み合わせの相手をちょっとずらして、今流行りの作家モノ+伝統ブランド、のような組み合わせにしてやると、ベテランっぽい感じになりますね。

今日の着物は、絵羽として設計されたものではないですが、仕立屋さんが配慮すれば、絵羽っぽい配置にすることができます。今日紹介するものは、仕立て屋さんが苦労しないように、あらかじめ仮絵羽にしてあります。


IMG_76461.jpg
いちばん上の写真は、首里織の作家、山口良子の花織を合わせてみました。花織を横段状に配置したものです。あらかじめ仮絵羽しているだけあって、オクミ(横段1個)とマエミ(横段2個)の関係などとても良いですね。」

IMG_76491.jpg
写真2番目は、秋山真和の創作的な織物を合わせてみました。横段と花織を合わせたものです。

IMG_76501.jpg
写真3番目は、秋山真和の藍の絣の織物を合わせてみました。藍染で、格子と絣を合わせたものです。綺麗なジグザグにするのは、仮絵羽にしておいてくれないと仕立て屋さんは悩むでしょうね。

IMG_76521.jpg
写真4番目は、真栄城興茂の琉球美絣を合わせてみました。絵羽にすると絣のグラデーションの美しさがよくわかります。絣というのはたいてい美しいものですが、その中で「美絣」とネーミングしている意味は、このグラデーションですね。
[ 2015/10/03 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

龍村の名古屋帯「バティック」の帯合わせ

第三千二百二十一回目は、龍村の名古屋帯「バティック」の帯合わせです。

昨日は、同系色の青をテーマにして合わせてみました。今日はいろいろな色を試してみたいと思います。

IMG_76351.jpg
いちばん上の写真は、白鷹紬を合わせてみました。白鷹町の織物は、経産省の伝産マークでは置賜郡の紬の1つという分類になり、白鷹お召が有名です。本塩沢によく似た織物ですね。これは、その白鷹町で作られる真綿の紬です。塩沢にお召の本塩沢と真綿の塩沢紬があるように、白鷹町にも両方あるのでしょう。表示によると糸は手紡ぎ真綿だそうです。色はベージュですが、いちばん合いやすい色ですね。

IMG_76311.jpg
写真2番目は、読谷花織を合わせてみました。青い色の帯に対し、紫の着物という変化球を投げてみました。読谷花織というのは、生地に対し、別の糸を差し入れる浮織ですから、地色と差し入れる糸の色の配色が作品の魅力を決めるといえます。この読谷花織のばあいは、補色の黄色、同系濃淡に見える藤色っぽいピンク、オレンジの3色が入っています。補色と同系色を両方入れることで、地色の紫がより奥深くなっています。

IMG_76301.jpg
写真3番目は、山口良子の首里織を合わせてみました。地に別の糸を差し入れる浮織と、地の糸が変化して紋織になる花織の両方を使った作品です。鮮やかな黄色ですが、染料は福木です。手紡ぎ糸で手織りされた生地に光沢があって、福木の黄色が鮮やかに見えるのだと思います。

IMG_76251.jpg
写真4番目は、大城永光の琉球絣を合わせてみました。年輩者もお洒落に見える配色を考えてみました。

IMG_76201.jpg
写真5番目は、弓浜絣を合わせてみました。普通の弓浜絣は、模様の緯糸を防染して藍甕に浸けますが、この作品は、模様でないところの緯糸を防染して藍甕に浸けたものですから、反転した模様になります。ますがから、藍色地に中間色の模様の着物になります。地色は防染して染めていない緯糸と藍で染めた経糸の組み合わせで、中間的な藍色になっているはずですが、青い色の帯と合わせると、色は合っていますが、意外とつまらないなあという印象です。
[ 2015/10/02 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)