大羊居の付下げ「菱取華文」の帯合わせ

三千百六十回目は、大羊居の付下げ「菱取華文」の帯合わせです。

IMG_61291.jpg
いちばん上の写真は、織悦の袋帯「印度更紗」を合わせてみました。帯合わせをするときは、優しい色の着物にはっきりした色の帯を合わせてメリハリを付けるということがよくあります。しかし、くっきりした色の着物に淡い色の帯を合わせるという、メリハリのつけ方は滅多にありませんよね。今回滅多にやらないのを試してみました。帯の地色は桜色です。

IMG_61281.jpg
写真2番目は、織悦の袋帯「厳島花鳥蝶華文」を合わせてみました。今回も花鳥画パターンを作ってみました。訪問着というのは、たいてい草花が描いてあるものですから、鳥のいる帯というのは便利なはずです。

IMG_61261.jpg
写真3番目は、おび弘の袋帯を合わせてみました。いつも便利に使っている万能の帯です。シンプルでモダン、伝統とは関係ないようなデザインですが、本金引き箔を手織りしたものですから、素材と技法は完全に西陣の伝統という帯です。

IMG_65421.jpg
写真4番目は、紫絋の袋帯「ポピー」を合わせてみました。この帯は最近仕入れたもので、後日紹介しようと思っています。紫絋の社長ではなくお嬢さまが制作したもので、フランスのデザインに取材しています。たいていの人は、「すごく綺麗、でも赤いから着られない」と言うのではないでしょうか。でも色を着る人の年代に合わせてくすませたら、作品の意義もくすんじゃうんですよね。
スポンサーサイト
[ 2015/07/31 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

大羊居の付下げ「菱取華文」の帯合わせ

三千百五十九回目は、大羊居の付下げ「菱取華文」の帯合わせです。

今日は龍村の名古屋帯で合わせてみました。

IMG_61331.jpg
いちばん上の写真は、龍村の名古屋帯「印金牡丹唐草文」を合わせてみました。龍村の丸帯や袋帯ではとても有名ですが、名古屋帯でもあります。とてもフォーマルな雰囲気なので、名古屋帯として出番があるか、悩むところです。まあこういう時はちょうど良いですね。

名物裂の「印金」は生地に金箔を貼りつけたもので、日本の摺箔に似たものです。摺箔の方が金箔が薄く衣装に向いています。印金は金箔が厚く豪華ですが、衣服のように自由に動いて折りたたまないといけないものには向かず、仏具など使われていました。一方、金糸を織り込んで模様表現をするのは「金襴」です。龍村の「印金牡丹唐草文」は織物ですから金襴ですが、意匠は名物裂の「印金」に取材しているので、タイトルは「印金…文」となっています。

IMG_61351.jpg
写真2番目は、龍村の名古屋帯「花韻」を合わせてみました。「花が発する音」というような意味の作品でしょうか。花の模様から音波のような孤の形の模様が出ています。オレンジや緑を使った、とてもきれいな作品ですね。

IMG_61411.jpg
写真3番目は、龍村の名古屋帯「シャンパシーン」を合わせてみました。タイをテーマにした作品展のときに発表されたものです。一見、とても合うように思いますが、菱形が重なりますね。気にしなければ構わないですが、意外な陥穽があるものです。

IMG_61341.jpg
写真4番目は、龍村の名古屋帯「双鳥繍文」を合わせてみました。花鳥画の伝統にしたがって、花の着物には鳥の帯を合わせてみました。「・・・繍文」というタイトルから、元絵が刺繍作品であることがわかります。織物を元にした織物作品には、織物らしい繰り返し的なパターンがありますが、刺繍を元にした織物作品は、図案が自由で織物的でない雰囲気がありますね。

IMG_61391.jpg
写真5番目は、龍村の名古屋帯「薫雅」を合わせてみました。これは販売済みで営業的な期待に応えられませんが、花鳥画のパターンとして良く合うので、撮り置きの写真を使ってみました。正倉院に取材しているので、日本の古典でありながら大陸的なおおらかさがありますね。

IMG_61431.jpg
写真6番目は、龍村の名古屋帯「投壺矢」を合わせてみました。壺に矢を投げ入れて得点を競うゲームをテーマにしたものです。矢のような人も殺せるモチーフを扱うときは、「投壺矢」「破魔矢」「鏑矢」のようなテーマにして、殺生には関係ないということを示すのが図案のテクニックですね。ここでは純粋和モノでもOKか試してみました。
[ 2015/07/30 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

大羊居の付下げ「菱取華文」の帯合わせ

三千百五十八回目は、大羊居の付下げ「菱取華文」の帯合わせです。

今日は、エキゾチック系の袋帯で合わせてみます。

IMG_61091.jpg
いちばん上の写真は、龍村の袋帯「騎馬陶楽文」を合わせてみました。着物の意匠が、洋花と西欧的な文様の組み合わせですから、帯もエキゾチック系で合わせています。こういう場合は、帯のテーマは西欧にかぎらず、インドから西ぐらいならなんとなく合うものです。

この帯は、シリアやイラン(あるいはイスラム圏の西端であったスペインまで)で出土するイスラム陶器に取材したものですが、元が皿絵なので丸取りであるということで選んでみました。菱取りに対抗させるのにちょうど良いですから。

IMG_61141.jpg
写真2番目は、龍村の袋帯「瑞鳥遊園錦」を合わせてみました。ローマ時代の遺跡のモザイクに取材したものです。ローマ時代の遺跡には床や壁が一面にこのようなモザイクで装飾されているのがありますね。本国イタリアよりも、植民市があったチュニジアに多く残っています。先日、テロがあったのもチュニジアのモザイクの博物館ですよね。

モザイクというのは、色を塗るのではなく色石を集めてきて作画するものです。色石を集めてくるよりも顔料で塗ってしまった方が早いように思いますが、完成直後は同じでも、数百年たつと塗った色は退色してしまい元の石の色だけが残ります。今、遺跡が見られるのは彼らがインチキしないでくれたおかげですね。塩野七生さんの本によるとルネサンス時代のヴェネツィアのモザイクでは、微妙な色のトーンは塗ったものがあったようで、作家が訴えられた裁判記録があるそうです。

今回選んでみたのは、鳥がいるからです。着物が花なら帯は鳥にして「花鳥画」にするのが日本のルールでもありますよね。

IMG_61191.jpg
写真3番目は、帯屋捨松の袋帯「ヴィクトリア花文」を合わせてみました。タイトルから、ヴィクトリア時代の壁画かカーテンか壁紙の装飾文様に取材したのだろうと思います。西欧どうしの組み合わせです。帯合わせというのは、全く関係ないものを合わせると、教養が無いように思われてしまいますが、同じ系統すぎるものを合わせると、頭が固くて想像力が無いように思われてしまいます。この帯合わせについては、後者の危険がありますね。まあでも同じ文様はないのでセーフかな。

IMG_61311.jpg
写真4番目は、帯屋捨松の袋帯「桃」を合わせてみました。桃というのは、西王母の神話(道教の一部なのかな)に基づく長寿を願う文様ですから、中国的とも言えますね。深読みすれば、中国的と西欧的で、決めたばかりの「インドから西」のルールに背くのですが、まあいいか、というところ。
[ 2015/07/29 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

大羊居の付下げ「菱取華文」の続き

三千百五十七回目は、大羊居の付下げ「菱取華文」の続きです。

今日は後姿の模様の近接です。

IMG_60511.jpg
いちばん上の写真は、メインの大きい菱取りの中の模様の近接です。前姿の意匠と同じパターンで、大きな菱取りに写生的な植物文、付属する小さい菱取りに装飾的な模様が描かれています。花の種類は、おそらくコスモスでしょう。前姿がチューリップで、春の花、後姿がコスモスで秋の花という組み合わせになっているのだと思われます。

1年中着られるということで、ユーザーにとってはありがたいです。

IMG_60531.jpg
写真2番目は、さらに近接してみました。油絵風の濃厚なタッチです。

IMG_60491.jpg
写真3番目は、メインの菱取りの付属する小さい菱取りの近接です。後姿の模様は、メインの菱取りの下左右に小さい菱取りが付属していますが、その左側です。簡素な装飾に見えて、しっかりと刺繍もしています。

IMG_60501.jpg
写真4番目は、メインの菱取りの付属する小さい菱取りの近接です。後姿の模様は、メインの菱取りの下左右に小さい菱取りが付属していますが、その右側です。こちらも刺繍をしていますが、左側の装飾と同じく、紫の絹糸と金糸を混ぜた刺繍ですね。全体の模様は違うのに意外にも刺繍は同じです。見る人に気づかぬうちに統一感を感じさせる仕掛けかもしれませんね。
[ 2015/07/28 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

大羊居の付下げ「菱取華文」の続き

三千百五十六回目は、大羊居の付下げ「菱取華文」の続きです。

昨日、全体を紹介しましたので、今日は細部です。全体の構図としては、前後にメインになる大きな菱取りがあり、それぞれの菱取りの上下に小さい菱取りが付属しています。マエミには、独立した小さい菱取りがもう1つ、袖には各1つずつ菱取りがありますから、菱取りは全部で9つですね。

胸には、菱取りでない模様があります。取り方模様の着物のばあい、すべての模様を取り方に納めてしまうと、縮こまった印象になってしまうので、取り方でない自由に広がる模様を1つか2つ混ぜておくことが多いです。

IMG_64591.jpg
いちばん上の写真は、袖の片方です。昨日載せるつもりでしたが、写真を撮り忘れていて、今日撮りなおしました。

IMG_60411.jpg
写真2番目は、前姿のメインの模様の近接です。小さな菱取りには、装飾的な模様が納められていますが、メインの大きな菱取りには、写生風の模様になっていて、前姿はチューリップです。いかにも大彦や大羊居風の油絵のような濃厚なタッチです。

その模様が、ちょうどマエミとオクミの縫い目にかかっています。縫い目に模様があるばあい、縫い込まれて見えなくなる部分にも、余分に模様が描いてあるのが普通です。もったいないので、私は自分でつくる場合は、縫い目に重い模様を置かないのですが、大羊居は堂々と無駄をしています。模様をどこに置くかというときに、合理性より、芸術的要請を大事にしているのでしょうか。

IMG_60421.jpg
写真3番目は、メイン模様にさらに近接してみました。メインの花の花弁の周りに刺繍がしてありますが、京友禅のあしらいの金駒ような単なる強調ではなく、油絵に見えるような視覚効果に貢献しています。

IMG_60381.jpg
写真4番目は、メイン模様の上の菱取りです。副次的な模様のようですが、紫に金糸を混ぜた濃厚なあしらいもしています。模様自体は、何に取材しているか今のところよくわかりません。

IMG_60371.jpg
写真5番目は、メイン模様の下の菱取りです。この模様も、何に取材しているか今のところよくわかりません。菱取りの形に注目してみると、直線ですが多少の揺らぎがあります。手描きで糸目を置く場合のいちばん真っ直ぐな線というところでしょうか、この辺が他人の目にいちばん美しく見える線なのでしょうか。

IMG_60351.jpg
写真6番目は、マエミの下の方に独立してある菱取りです。この模様も何に取材しているか今のところよくわかりません。花模様ですが、西洋の紋章なような感じもありますねえ。
[ 2015/07/27 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

大羊居の付下げ「菱取華文」

三千百五十五回目の作品として、大羊居の付下げ「菱取華文」を紹介します。

世間では珍しい黄色い着物です。デジカメで捉えるのは難しくかなり修正しました。だいたい近い色が再現できたように思います。

IMG_60321.jpg
いちばん上の写真は、前姿(マエミ+オクミ)です。

IMG_60471.jpg
写真2番目は、後姿です。

IMG_60561.jpg
写真3番目は、袖の片方です。

IMG_60451.jpg
写真4番目は、胸です。

明日はもう片方の袖と細部を紹介します。
[ 2015/07/26 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

龍村の縦長の大きいバッグ

三千百五十四回目の作品として、龍村の縦長の大きいバッグを紹介します。

大きさは、タテ(把手含まず)×ヨコ×マチが42cm×29cm×11cmです。使われている裂は、天平狩猟文錦です。

IMG_64051.jpg
いちばん上の写真は正面です。

IMG_64061.jpg
写真2番目は、斜めから撮ってみました。

IMG_63861.jpg
写真3番目は、バッグが大きすぎて、モデルのチャツポンも持てませんでした。
[ 2015/07/25 ] 小物と小物合わせ | TB(0) | CM(0)

龍村のパーティー用のバッグ

三千百五十三回目の作品として、龍村のパーティー用のバッグを紹介します。

今回のパーティーバッグは、「咸陽宮鱗文」という裂を使用しています。咸陽宮というのは始皇帝の宮殿ですが、そんな2000年以上前の裂があるわけがないですよね。タイトルの意味は、細川家に伝来した美術品を保管している永青文庫にある「咸陽宮図」の表装に使われている裂を写したものということです。表装した人が、たまたまこの裂を選んだということで、裂のデザインと咸陽宮とはじつは関係がありません。絵は元時代に描かれたものということですが、表装は当初からのものなのか、明以降のものなのかわかりません。

IMG_64031.jpg
いちばん上の写真は、バッグ全体です。

IMG_64001.jpg
写真2番目は、モデルのポプちゃんに持ってもらいました。

IMG_63901.jpg
写真3番目は、ポプちゃんが使い勝手を試しています。

IMG_63941.jpg
写真4番目は、ポプちゃんのざわちんメイクです。
[ 2015/07/24 ] 小物と小物合わせ | TB(0) | CM(0)

博多の単衣の半幅(四寸)の帯の帯合わせ

三千百五十二回目は、博多の単衣の半幅(四寸)の帯の帯合わせです。

今日は多色の浴衣を使って帯合わせをしてみます。浴衣はすべて三勝です。単色系の浴衣ならば、まず補色(反対色)で合わせるか、同系色で合わせるかということで、コーディネートの性格付けをはっきりさせることができますが、多色の浴衣のばあいは、どんな色の帯を合わせても、補色でもあり同系色でもあるという関係になってしまいます。

その上で、帯を浴衣に馴染ませるか、くっきりさせてメリハリをつけるか、ですね。

IMG_62331.jpg
いちばん上の写真は、逆光の中で木立を見るような意匠の浴衣に青の濃淡の縞の帯を合わせてみました。青が場所によって濃淡になり、赤や紫が使われています。逆光で木立を見る時の光の悪戯のように見えますね。

帯は、多色とは言え主たる色である青と同系にしてみました。実際に木立の中に橋梁の鉄骨の柱でもあって、逆光で見れば同じく青に見えるんじゃないでしょうか。

IMG_62351.jpg
写真2番目は、やはり逆光の中で木立を見るような意匠の浴衣ですが、これは見上げるのではなく、目の高さで木立を見ているようですね。それに茶色の献上の帯を合わせてみました。

焦げ茶色の木が1本、茶色い木が2本、水色とピンクと黄緑の淡い色の木が1本です。おそらく遠近感の表現で、見る人のいちばん近くにあるのが焦げ茶の木、遠景が淡い木、中景が茶色の木なのでしょう。帯を茶色にしたのは視点を中景に合わせるという意味です。近くの焦げ茶に合わせれば近眼、遠くを意味する淡い色に合わせれば老眼、中景に合わせれば、1,2ぐらいの視力なんじゃないかと思います。

IMG_62451.jpg
写真3番目は、切り絵のように見える蝶の意匠です。影のように見えながら、やはり逆光の悪戯か、場所によって多色に演出されています。なんとなく、似た感じの色の組み合わせに見える帯を合わせてみました。ただし違うのは、着物の模様は染の淡い色で、帯は織の強い色というところです。この差がメリハリになっています。

IMG_62382.jpg
写真4番目は、青空を背景に、萩と蜻蛉を見ている意匠です。萩の葉の先端が色が薄くなっています。逆光で木の葉を見る時に、輪郭が滲んでこんな風に見えるものですね。夏空は優しい色で、そんなに厳しい暑さの気がしませんね。萩と蜻蛉ですから、夏はもう終わりの方で、過ごしやすいのかもしれませんね。

帯はミントで、優しい空の色と同系にしてみました。

IMG_62391.jpg
写真5番目は、同じ浴衣で、帯を青の濃淡の縞に変えてみました。きりっとしてメリハリが付きますね。着ている人もきりっとして見えます、どちらにするかは自分をどう見せたいかですね。
[ 2015/07/23 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

博多の単衣の半幅(四寸)の帯の帯合わせ

三千百五十一回目は、博多の単衣の半幅(四寸)の帯の帯合わせです。

今日は、三勝の浴衣を使って帯合わせをしてみました。

IMG_62421.jpg
いちばん上の写真は、暑苦しい色の紫陽花の浴衣に、オレンジと黄色の派手な帯を合わせてみました。浴衣といえば、涼しげに見えることが大事なので、紺と白のような寒色系が普通とも思います。しかし、「逆もまた真」で、やけたトタン屋根のような赤錆色に魅かれてしまうことがあります。えっ、そういうこと、ないですか?

IMG_62441.jpg
写真2番目は、暑苦しい色の紫陽花の浴衣に、茶とグレーと白と黄色と黒の帯を合わせてみました。上の帯合わせは若い人を想定していましたが、今回は帯で年齢幅を広くしてみました。帯で補色の水色など持ってきて暑さを緩和しようとするよりも、同系色の赤や茶色を生かして、赤錆色の浴衣の世界観を貫いた方が潔いですよね。

IMG_62281.jpg
写真3番目は、涼しさの欠片もない茶色の浴衣に黄色とミント色の帯を合わせてみました。茶色というと年輩向きをイメージしますが、デザインがイラスト風の葉っぱで、かわいさがあります。こういうのは本物の年輩者は着にくいですよね。じつは若い人が着ているという設定で、ミント色の帯を合わせてみました。着物の茶色と合わせてチョコミントのアイス風です。

IMG_62301.jpg
写真4番目は、涼しさの欠片もない茶色の浴衣に青の濃淡の縞の帯を合わせてみました。すぐ上で、「帯で補色の水色など持ってきて暑さを緩和しようとするよりも、・・・浴衣の世界観を貫いた方が潔い」と言ったばかりですが、さっそく裏切ってしまいました。帯合わせは思想ではありませんから、理想も信念も無くていいのです。

IMG_62511.jpg
写真5番目は、グレー地に茶色の大きな花の浴衣に、茶色の献上の帯を合わせてみました。浴衣は色だけ見るとグレーと茶色で年輩者向きではありますが、大きなお花がかわいくで、色と模様がチグハグです。こういうのはやはり若い人の浴衣ですね。しかし、帯は茶色でしかも伝統柄で、年輩向きにしてみました。若い人で、こういう色の浴衣を選ぶ人は、コーディネートで色数を増やしたがらないと思うのです。だから、茶色かグレーということで。


IMG_6241.jpg
写真6番目は、黒に近い濃紺と白だけの粋な浴衣に、青の献上を合わせてみました。もうこの浴衣にはこの帯しかないですよね。紺かグレーの献上でも良いですが、少し明るい青にしたのが、微妙な色気です。
[ 2015/07/22 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

博多の単衣の半幅(四寸)の帯の帯合わせ

三千百五十回目は、博多の単衣の半幅(四寸)の帯の帯合わせです。

今日は、初山一之助の長板正藍染の浴衣に合わせてみました。伝統的な藍と白だけの浴衣に対する帯合わせです。昔だったら若い女の子は朱色の帯を合わせるのが常識だったのではないでしょうか。

IMG_62851.jpg
いちばん上の写真は、菖蒲の模様の浴衣に青系濃淡の縞の帯を合わせてみました。青に青の帯合わせです。

IMG_62891.jpg
写真2番目は、菖蒲の模様の浴衣に青系の献上柄の帯を合わせてみました。青に青の帯合わせですが、こちらは伝統的な献上柄です。

IMG_62871.jpg
写真3番目は、波の模様の浴衣に黄色とミントの帯を合わせてみました。

IMG_62911.jpg
写真4番目は、扇面風の模様の浴衣に茶とグレーと黄色と黒の縞の帯を合わせてみました。

IMG_62901.jpg
写真5番目は、細かい模様の浴衣に茶色の献上柄の帯を合わせてみました。こういう浴衣の模様は年輩者向きとされることが多いので、帯も年輩者向きにしてみました。
[ 2015/07/21 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

博多の単衣の半幅(四寸)の帯と、浴衣の帯合わせ

三千百四十九回目は、博多の単衣の半幅(四寸)の帯と、浴衣の帯合わせです。

IMG_62171.jpg
いちばん上の写真は、最近仕入れた博多の単衣用の半幅(四寸)の帯です。

IMG_62521.jpg
写真2番目は、青と黄色の雪花絞に青の縞を合わせてみました。モダンな雰囲気ですが、青の縞のグラデーションですから、伝統的な鰹縞とも言えますね。帯と着物の関係については、昔の人は必ず補色関係にしたものです。おてもやんが、藍の木綿の絣に朱色の帯をしている感じですね。今は、この帯合わせのように、同色系を合わせて濃淡関係にすることも多いです。

IMG_62531.jpg
写真3番目は、青と黄色の雪花絞に黄色にミントの縞の帯を合わせてみました。チョコミントのアイスみたいな色ですね。着物は青と黄色ですが、黄色の比率の方が少し少ないです。着物と帯の関係を補色関係にする代わり、少数派の色の同系色にするという方法もありますね。

IMG_62551.jpg
写真4番目は、緑とオレンジの雪花絞に、黄色にミントの縞の帯を合わせてみました。着物の色よりも帯の色を淡くして合わせた例です。

IMG_62561.jpg
写真5番目は、緑とオレンジの雪花絞に、赤と青緑と藤色と黒の縞の帯を合わせてみました。黒の線が入っているために強い印象です。着物の色よりも帯の色を強くして合わせた例です。

IMG_62601.jpg
写真6番目は、青と緑の雪花絞に、伝統的な献上柄の博多帯を合わせてみました。着物と帯を同系色にするというモダンな帯合わせをしつつ、帯は産地の伝統柄にしてみました。
[ 2015/07/20 ] カジュアル | TB(0) | CM(0)

一の橋の付下げ「正倉院螺鈿華文」の帯合わせ

三千百四十八回目は、一の橋の付下げ「正倉院螺鈿華文」の帯合わせです。

今回の倉部さんの付下げは、私の意思で作ったもので、すごく思い入れがありますから、ついたくさんの帯合わせをしてしまいました。今日でもう終わりにしますが、最後に使い残した画像を紹介します。

IMG_59071.jpg
いちばん上の写真は、龍村の袋帯「錦秀遺宝文」を合わせてみました。反っくり返った鹿があるので、平家納経がテーマだとわかります。福島正則が平家納経を修復したときに、俵屋宗達が実際の作業を担当し、見返しに描いたものです。元は平安時代の作であり、そのうち宗達が直した部分に取材したということは、王朝文化と琳派の初めてが混ざった状態ということになるのでしょうか。それで着物は正倉院ですから、何百年かずつ間をおいて、日本の美術史が歩いているような感じですね。ですね。

IMG_62691.jpg
写真2番目は、龍村の名古屋帯「平泉遺宝文」を合わせてみました。タイトルに「平泉」とあるので、中尊寺金色堂がテーマだとわかります。堂内にある国宝の金銅華鬘の1つを、ほとんどそのまま織りで表現したものです。上の例で、平清盛の厳島神社を取り上げたので、奥州藤原氏の中尊寺も取り上げてみました。龍村も対になるようなタイトルを付けていますね。

IMG_58941.jpg
写真3番目は、しょうざんの徳田義三ブランドの1本「花兎文」を合わせてみました。名物裂の「角倉金襴」に取材したものです。金の地色に金糸で模様を表現し、微妙な色の違いと糸の形状の違いによる凹凸だけで作画しているという、いかにも徳田義三というクリエイター的図案家の作品だなあと感じさせるものですね。

着物の模様も金色のみ、帯も金色のみということで、色数を抑えて、内容芳醇でありながらすっきりした帯合わせです。

IMG_59081.jpg
写真4番目は、じゅらくの「帝王紫」シリーズの1本を合わせてみました。貝紫の再現でも有名な吉岡常雄は、じゅらくと組んで作品を発表していましたが、そのときのブランドが「帝王紫」です。ローマの皇帝もインカの皇帝も貝紫で染めたマントを着ていたという故事にちなんだものです。

これはごく初期のまだ吉岡常雄の生前のものです。下絵も本人のものでした。いまでも、じゅらくの「帝王紫」シリーズは続いていますが、いまさら吉岡常雄のイメージと結びつけて考える人もいないでしょうし、マニアが欲しがるような感じではないですよね。

IMG_62731.jpg
写真5番目は、大羊居の名古屋帯「楽園」を合わせてみました。今回初めて染め帯で合わせてみました。色彩も絵画的展開にも乏しい着物なので、友禅の帯を合わせて色彩と絵画性を補ってみました。さすが大羊居で、西陣の袋帯にも負けない存在感がありますね。いろも紫に対して青で、刺激的です。
[ 2015/07/19 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

一の橋の付下げ「正倉院螺鈿華文」の帯合わせ

三千百四十七回目は、一の橋の付下げ「正倉院螺鈿華文」の帯合わせです。

今回の付下げは、倉部さんの加工であることと、予算の範囲内で出来るだけ模様面積を大きくすることに重点を置きましたが、その反面、同じモチーフを前、後ろ、袖と3回も繰り返し使うなど、絵画的な展開には無関心な作風になってしまいました。

着物の絵画性の不足については、帯で絵画性を補うということで、昨日まで、鸚哥や象の居る帯合わせをしてきましたが、今日は、絵画性の少なさをすっきりした美として積極的に考えて、帯で絵画性を加えない帯あわせをしてみました。着物と帯トータルでは、無地系のコーディネートということになりますね。

IMG_59021.jpg
いちばん上の写真は、龍村の袋帯「海老殻間道手」を合わせてみました。龍村はいくつかの名物裂の間道類を商品化しており、どれも美しいのですが、残念ながら多くが高島屋専売となっています。「海老殻」は数少ない自由に販売できるものです。私も、龍村の間道類は、見れば仕入れるようにしているので、後日、別のものも紹介できると思います。

IMG_62671.jpg
写真2番目は、龍村の名古屋帯「飛鳥間道」を合わせてみました。「飛鳥間道」は龍村の商品としてのネーミングで、ほんとうは法隆寺が所蔵する幡に使われている裂を再現したものです。本歌に忠実の復元されたものは、東京国立博物館法隆寺館に有るのですが、そちらは赤く、こちらは着やすい色に変えてあるので、ちょっと見ただけでは同じものとは気が付かないと思います。

IMG_62661.jpg
写真3番目は、龍村の仕立て上がり名古屋帯(光波帯)「日野間道手」を合わせてみました。名物裂の間道類でも人気の高い日野間道は、東京国立博物館東洋館で見ることができると思いますが(展示替がどうなっているかわからない)、間道というより、波のようなよろけのある横段です。

龍村の高島屋専売の「日野間道手」袋帯は高額ですが、よろけも再現されています。こちらの安価な光波帯シリーズの「日野間道手」はまっすぐな縞ですね。色はどちらも同じです。

IMG_58931.jpg
写真4番目は、おび弘の袋帯を合わせてみました。おび弘は、どういう事情でそういうブランドになったのか知りませんが、西陣の証紙番号607ですから、佐波理綴で有名な池口ですよね。これはシンプルながら、本金の引き箔を使った手織りの高級品です。
[ 2015/07/18 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

一の橋の付下げ「正倉院螺鈿華文」の帯合わせ

三千百四十六回目は、一の橋の付下げ「正倉院螺鈿華文」の帯合わせです。

昨日は、正倉院というテーマを重ねる帯合わせをしてみましたが、正倉院には象などエキゾチックなモチーフが多くあります。今日は正倉院文様以外で、エキゾチックなテーマを探してみました。

IMG_59001.jpg
いちばん上の写真は、織悦の袋帯「厳島花鳥蝶文」を合わせてみました。タイトルに「厳島」とあることから、平家納経に取材したものと分ります。昨日の正倉院をテーマにした「薫雅」とよく似ていますね。正倉院はエキゾチック、平安時代は国風文化と思えば、エキゾチックで似ているというというのは矛盾する気がします。

私たちが思う「梅に鶯」のような和風イメージは、もっと後の時代のものなんでしょうね。「薫雅」と「厳島花鳥蝶文」は、おおらかな雰囲気が似ているのだと思います。大陸風のおおらかさ、貴族文化のおおらかさ、ですね。

IMG_58981.jpg
写真2番目は、帯屋捨松の袋帯「豊公花鳥文」を合わせてみました。タイトルに「豊公」とあるところから、豊臣秀吉が南蛮人から買ったペルシア絨毯を陣羽織に仕立てたものだろうと見当が付きますね。正真正銘のエキゾチックですね。

IMG_59061.jpg
写真3番目は、龍村の「騎馬陶楽文」を合わせてみました。イスラム陶器に取材したもので、「ミナイー手」とか「ラスター彩」という言葉でおなじみのジャンルですね。本来、日本とは全く交流のない文化ではありますが、加藤卓男がラスター彩の再現に成功して日本でも人気があります。

IMG_59041.jpg
写真4番目は、龍村の「西域舞踊錦」を合わせてみました。岡重が大正時代に染めた羽裏の中に西域のモチーフがあります。戦前に大谷探検隊がシルクロードを探検したために、日本でも西域の図像に触れるチャンスがあって、それを岡重がいち早く取り入れたのかもしれませんね。

戦後、日本人が西域の図像を知ったのは、井上靖の小説とNHK特集「シルクロード」のおかげかと思います。そういえば最近、ネットの宣伝で「狼災記」という映画の予告編を見ましたが、井上靖の若いころの西域ネタの小説が原作で、オダギリジョーとニキータの人が主演とのことでしたが、仮面ライダーとニキータの組み合わせは珍品だよなあ。
[ 2015/07/17 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

一の橋の付下げ「正倉院螺鈿華文」の帯合わせ

三千百四十五回目は、一の橋の付下げ「正倉院螺鈿華文」の帯合わせです。

今回の付下げは、正倉院御物の螺鈿箱に取材したものですから、意味的な関連性を重視して、同じ正倉院模様の帯を合わせてみました。

IMG_58921.jpg
いちばん上の写真は、紫絋の袋帯「臈纈花鳥文」を合わせてみました。タイトルは「臈纈・・・」ですが、実際には、挟纈、刺繍など正倉院に伝わるすべての染織品に取材した帯です。

IMG_58991.jpg
写真2番目は、大西勇の袋帯「正倉院の合子」を合わせてみました。正倉院御物である「銀平脱の合子」と呼ばれる碁石の容器に取材したものです。本歌は銀平脱という技法で作られています。木を彫って箱にしたのではなく、木をテープ状にして何重にも巻いて箱にして、銀を彫って作った模様を貼り付け、その上に漆を厚く塗って、再び削り出すという、とんでもなく面倒な技法でつくられています。手間もコストもかかりすぎて、国家事業としてしか作れなかったために、古代の正倉院にしかないんじゃないでしょうか。

模様は、現代人でさえエキゾチックと感じる象と鸚哥の2種類があって、それで聖武天皇が碁をしていたと思えば、古代ってすごいなあと思います。

IMG_59111.jpg
写真3番目は、大西勇の袋帯「正倉院臈纈屏風文」を合わせてみました。いちばん上の写真の帯は、名前だけの「臈纈」ですが、こちらは純粋な臈纈作品である「臈纈屏風」に取材したものです。象がちょっと不恰好な素朴な形ですが、これが古代の臈纈のタッチですね。古代の臈は蜜蝋なので、聖武天皇が亡くなって蜂蜜を食べる人がいなくなるとともに、日本には臈纈はなくなりました。復活するのは大正時代です。

IMG_59101.jpg
写真4番目は、坂下織物の袋帯「御門綴」シリーズの1本「正倉院華文」を合わせてみました。一見、正統な正倉院文様に見えますが、じつは正倉院にある螺鈿や染織などあらゆるデザインをコラージュして作り上げたものです。不自然に見えなければ、図案家の手腕ですね。

IMG_59151.jpg
写真5番目は、龍村の名古屋帯「薫雅」を合わせてみました。異国の鳥が優雅に飛ぶ、おおらかな正倉院文様の代表みたいなイメージです。普通の着物をパーティー着にしてしまう高級感のある帯ですね。申し訳ないですが、この帯は、写真を撮ってから今日掲載するまでの間に売約済になっています。
[ 2015/07/16 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

一の橋の付下げ「正倉院螺鈿華文」の細部

三千百四十四回目は、一の橋の付下げ「正倉院螺鈿華文」の細部です。

IMG_58631.jpg
いちばん上の写真は、マエミとオクミにまたがる模様の近接です。

IMG_58721.jpg
写真2番目はさらに近接してみました。

IMG_58621.jpg
写真3番目は、マエミの下の方の模様です。

IMG_58671.jpg
写真4番目はさらに近接してみました。端正な倉部さんの作風ですが、画像がぼける限界まで近接すると、意外とハンドペイントっぽい歪みがあります。しかし、他の丸い花の形は歪んでいないので、下手で歪んでいるのではなく演出で歪んでいるんだと思います。
[ 2015/07/15 ] 繍箔 | TB(0) | CM(0)

一の橋の付下げ「正倉院螺鈿華文」

三千百四十三回目の作品として、一の橋の付下げ「正倉院螺鈿華文」を紹介します。実際に制作したのは倉部さんです。

第三千九十回目(2015年5月22日)で紹介した計画中の着物が完成しました。お暇がありましたら、以前の記事と見比べてください。こんな風に着物は作られるという例です。

倉部さんの作品は、刺繍も箔もコストが高いので、普通の訪問着のように目一杯模様を付けてしまうと、売値は数百万円になってしまいます。それでは商売にならないので、普通は模様面積を小さくしてつくります。だから倉部さんの着物というのは、近くで見ると素晴らしいがパーティーでは目立たない、集合写真ではただの地味な着物になってしまうのです。

そこで今回の作品のテーマは、模様を大きくするということにしてみました。普通は、模様を大きくするということは、複雑になることでもありますが、それではコストが上がってしまうので、本来は小さな模様を拡大コピーするような気持ちで、出来るだけ大きくしてみました。

精緻な模様も、単純に拡大すれば粗が目立つようになるものです。ちょうどワープロの文字のフォントを大きくしていくとギザギザになるような感じですね。今回はその限界を見極めてみました。今回の作品の模様の大きさは、これ以上大きくしたら粗が見えてしまうという限界です。

IMG_58591.jpg
いちばん上の写真は、前姿(マエミ+オクミ)です。シンプルで大きく、というテーマで作っています。模様の数は最低限ということで2つです。

IMG_58711.jpg
写真2番目は後姿です。模様は縫い目に1つです。

IMG_58651.jpg
写真3番目は袖です。シンプルな繰り返しということがテーマなので、前姿の上の模様と、後姿の模様と、片袖の模様は同じパターンです。

IMG_58731.jpg
写真4番目はもう片方の袖です。

IMG_58691.jpg
写真5番目は胸です。

[ 2015/07/14 ] 繍箔 | TB(0) | CM(0)

花也の金描きと型疋田の名古屋帯「道長取りに又造波」の帯合わせ

三千百四十二回目は、花也の金描きと型疋田の名古屋帯「道長取りに又造波」の帯合わせです。

今日は小紋に合わせてみます。染めの名古屋帯ですから、世間的には付下げより小紋に合わせる方が普通ですね。

IMG_59391.jpg
いちばん上の写真は、千切屋治兵衛の飛び柄の小紋(着尺)を合わせてみました。今いちばん普通で、帯合わせもしやすい飛び柄の小紋です。使いやすい小紋ですが、フォーマル感の強い帯と合わせることで、パーティーにも出られるような雰囲気になりますね。

IMG_59351.jpg
写真2番目は、野口の飛び柄の小紋(着尺)を合わせてみました。実際に制作したのは岡重です。手挿しの大きな模様の飛び柄です。模様が大きくなれば余白も大きくなります。しかも手挿しですから、小紋の中でも訪問着に近い着物ということになります。昨日までの付下げとの帯合わせに近いですね。

IMG_59361.jpg
写真3番目は、野口の飛び柄の小紋(着尺)を合わせてみました。実際に制作したのは岡重です。こちらも上の例に近い、菊をテーマにした着尺です。同じ時期に制作されたものです。

IMG_59371.jpg
写真4番目は、野口の総柄の小紋(着尺)を合わせてみました。総柄で多色、しかも模様も大きい、葡萄ということで季節も限定という、帯合わせの難しい要素を4つも揃えた着物です。こういう着物には、色も季節もないこういう帯しか合いませんね。総柄の訪問着のような雰囲気で、パーティー着として着たいです。

IMG_59331.jpg
写真5番目は、野口の横段の小紋(着尺)を合わせてみました。野口は横段の着物を普通に制作していますが、世間では大胆で珍しいものでもあります。横段というのは、ずらして仕立てればそれほど着にくい着物でもないですし、普通の小紋よりパーティー着っぽくていいです。ただ、帯合わせは難しいですね。こういう時、この帯は万能ですね。
[ 2015/07/13 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の金描きと型疋田の名古屋帯「道長取りに又造波」の帯合わせ

三千百四十一回目は、花也の金描きと型疋田の名古屋帯「道長取りに又造波」の帯合わせです。

今日も付下げを合わせてみました。

IMG_58421.jpg
いちばん上の写真は、野口の付下げを合わせてみました。実際に制作したのは岡本等さんです。岡本等さんは、もう亡くなって久しいですが、モダンな色彩と繊細なゴム糸目を合わせたものでした。この作品は、実質的には訪問着で、松竹梅に菊や萩を水平に流れるように配しています。

IMG_58441.jpg
写真2番目は、野口の付下げを合わせてみました。花籠を描いた、いかにも友禅模様といった風情の付下げです。こういうのは安物に真似されやすい意匠なので、それが残念なところですね。実物はとてもきれいです。

IMG_58411.jpg
写真3番目は、野口の付下げを合わせてみました。実際に制作したのは、橋村重彦さんです。上の2作品と同じく、絵画性が高い着物を、古典パターンである道長取りに合わせてみるという趣旨で選んでみました。流水模様があるのが、道長取りに重なりますが、影響があるか試してみました。

IMG_58321.jpg
写真4番目は、花也の付下げを合わせてみました。八重葎をテーマにしたものです。八重葎は着物の模様として喜ばれるような華やかな植物とも言えませんが、源氏物語の帚木の「雨の夜の品定め」のところにちょっと登場しますね。この作品では、斜線のように直線的に意匠化されているので、曲線模様の道長取りに対比してみました。

IMG_58451.jpg
写真5番目は、秀雅の付下げを合わせてみました。実際に制作したのは、千代田染繍かその周辺の作者です。千代田の作風は、刺繍が多く友禅彩色は限定されています。帯に色が少ないから、着物はそれを補うように多色にするという発想もありますが、反対し、帯の作者が色が限定された作品の美しさを追求したのだから、着物もそれに逆らわないようにしようという発想もありますね。
[ 2015/07/12 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の金描きと型疋田の名古屋帯「道長取りに又造波」の帯合わせ

三千百四十回目は、花也の金描きと型疋田の名古屋帯「道長取りに又造波」の帯合わせです。

今日は付下げを合わせてみます。このようなフォーマルな雰囲気の名古屋帯は、紬に合わせることはできません。たいていの場合は、小紋に合わせますが、小紋にフォーマルすぎる名古屋帯を合わせることで、全体のコーディネートをフォーマル方向に持って行くことができます。訪問着か小紋か迷うようなパーティーでは、中庸を得てちょうど良いということがありますね。

付下げに合わせることもできます。フォーマルの中ではいちばんカジュアルな付下げを、さらにカジュアルに見せるという効果があり、仰々しいと言われたくないときに良いと思います。しかし、付下げに名古屋帯を選ぶ人の、いちばん多い動機は、軽くて楽ということですね。

今日は、付下げに合わせてみます。帯には無彩色と金色しか色が無いわけですから、着物との関係では色を気にする必要がありません。また、模様も波と疋田ですから、季節や模様の意味の整合性も気にする必要が無いわけですから、どんな着物でも合わせられます。

IMG_58341.jpg
いちばん上の写真は、千切屋治兵衛の付下げ「大梅尽」を合わせてみました。実際に制作したのは中井亮さんです。今日は、どんな着物でも合わせられるということで、いちばん合わせにくい着物である季節限定の単一植物の着物を合わせています。これは、大きな梅の花だけ、枝もないという付下げです。大迫力で、訪問着と言っていいかもしれませんね。

名古屋帯ながら、訪問着でも負けてないですよね。

IMG_58401.jpg
写真2番目は、野口の付下げ「牡丹」を合わせてみました。無線友禅で牡丹を描いた付下げで、まじめな仕事ですが、なぜか昭和戦前の退廃的な雰囲気もあって面白い着物です。

IMG_58381.jpg
写真3番目は、一の橋の付下げを合わせてみました。楓と芒だけのシンプルで大きな模様です。地色も個性爆発って感じですが、こんな売れるか売れないかわからない着物をサラリーマンが作れるわけもなく、一の橋の会長が直々に指示して作ったそうです。こういうのは上司の居ない人にしか作れないですよね。

IMG_58371.jpg
写真4番目は花也の付下げ「菊枝葉」を合わせてみました。友禅の彩色はほとんど行われておらず、白揚げと箔が主体の着物です。重厚感があって、中井淳夫の作風を思わせますね。

IMG_58351.jpg
写真5番目は、大羊居の付下げ「稔りの里」を合わせてみました。普通は農村の風景があって、そこに稲穂があるわけですが、この作品では稲穂の中に農村の風景があります。意匠というものは、写生の対義語でもありますね。江戸時代の小袖を見ていると、奇想天外なデザインも友禅の特長とわかりますが、大彦・大羊居はそれをいちばん継承しているように思います。
[ 2015/07/11 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(4)

花也の金描きと型疋田の名古屋帯「道長取りに又造波」の細部

三千百三十九回目は、花也の金描きと型疋田の名古屋帯「道長取りに又造波」の細部です。

IMG_57031.jpg
いちばん上の写真は、お太鼓の近接です。金色の又造波に近接してみました。「加山又造」で検索すると、このような波がすぐ見られます。金描きをした上に、さらに厚く金描きしたような波の表現です。

IMG_57061.jpg
写真2番目は、同じ場所の拡大です。金色の波が書かれている部分の生地はこうなっているのですね。

IMG_57041.jpg
写真2番目は、お太鼓の近接です。銀の波を近接してみました。

IMG_57051.jpg
写真4番目は、同じ場所の拡大です。銀の波は、拡大すると、金ほどはっきり見えません。
[ 2015/07/10 ] 繍箔 | TB(0) | CM(0)

花也の金描きと型疋田の名古屋帯「道長取りに又造波」

三千百三十八回目の作品として、花也の金描きと型疋田の名古屋帯「道長取りに又造波」を紹介します。

「又造波」は、加山又造の絵にある波という意味です。加山又造さんは、現代の琳派の継承者とも言われるので、琳派の波でもありますね。

IMG_56921.jpg
いちばん上の写真はお太鼓です。2種類の色の箔と型疋田を道長取りの形に配しています。

IMG_56981.jpg
写真2番目は腹文です。着付ける時は半分に折りますから、外から見えるのは半分ですね。

IMG_57101.jpg
写真3番目は近接です。刺繍(あしらい)のあるところを撮ってみました。

IMG_57081.jpg
写真4番目は拡大です。上の写真と同じ場所を拡大で撮ってみました。斜めにずらすように繍いながら線を表現する「まつい繍」という技法です。
[ 2015/07/09 ] 繍箔 | TB(0) | CM(0)

花也の「蝋たたき」または「撒き蝋」の着尺の帯合わせ

三千百三十七回目は、花也の「蝋たたき」または「撒き蝋」の着尺の帯合わせです。

今日は綴の名古屋帯を合わせてみました。綴の帯は、単衣用として使うこともできます(というか、単衣用として使うとかっこいい)。綴には地だけが綴組織で、模様は絵緯糸によるものもありますが、今日紹介するのは、模様も綴の技法で表現した純粋な綴、すなわち爪掻綴といわれるものです。

IMG_61851.jpg
いちばん上の写真は、清原織物の爪掻綴の名古屋帯です。綴の産地は、昔は西陣とは別に御室に有ったとされていますが、今は御室と言えばオムロン発祥の地としての方が知られていますね。そのオムロンももう御室にはありません。清原織物の工房は現在は滋賀県にあります。ちゃんと国内で昔通りの技法で制作している無か工房で、作品には本来の紫のラベルが付いています。

IMG_61881.jpg
写真2番目は、清原織物の爪掻綴の名古屋帯です。普通の織の技法は、色が変わるときに不要な色は裏に潜りますが、綴の技法は、色が変わるときに糸が引き返します。そのために自由に絵画的な表現ができ、絵が複雑になっても重くならないのですが、その一方、縦一列に色が変わるような図案だと、そこに断裂が生じ、裂として成り立たなくなってしまいます。

それが綴組織の欠点で、意匠的な限界になるのですが、そういう目でこの作品を見てください。水平に広がるデザインで、縦一列に色が変わらないようになっています。雲の凹凸もじつは、断裂を避けるためなのです。綴の欠点をデザインでカバーしている例です。

IMG_61891.jpg
写真3番目は、清原織物の爪掻綴の名古屋帯です。金糸を多く織り込んだ作品で、そのためフォーマル感があります。上の作品に比べると、自由にデザインしているように見えますが、色紙が斜めに置いてあることも意味が有ります。真っ直ぐ置くと縦一列になってしまい断裂が生じてしまうんですね。

IMG_61911.jpg
写真4番目は、細見華岳の綴の名古屋帯「光彩」です。綴の人間国宝だった細見華岳の作品ですが、生前に伝統工芸展に出品していた作品は、みんなこんな感じの抽象的なものでした。一般の問屋向けには、具象画的なものもあったようですが、私は伝統工芸展らしい作風にこだわって仕入れていました。

IMG_61921.jpg
写真5番目は、上の作品とは対照的な伝統的なデザインの爪掻綴の名古屋帯です。意匠が古い気もしますが、それも味わいですね。
[ 2015/07/08 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の「蝋たたき」または「撒き蝋」の着尺の帯合わせ

三千百三十六回目は、花也の「蝋たたき」または「撒き蝋」の着尺の帯合わせです。

昨日は多色の友禅の帯を選んで合わせましたが、今日は色数の限定されたものを合わせてみようと思います。

IMG_59181.jpg
いちばん上の写真は、花也の名古屋帯「羊歯の丸」を合わせてみました。羊歯というのは、日陰のじめじめしたところを好む陰気な植物のイメージですが、枯れないという意味で縁起が良いとされています。枯れないのですから季節もありませんしね。

一般的には「シダ類」などと言いますが、「類」というのは科学的な分類にはありません。科学的な分類はあくまで「界門綱目科属」で、その分類にしたがえば「シダ類」というのは、門にまたがる大きなグループになります。そのため形もさまざまで、着物の意匠としてはとても都合が良いのです。この作品にも2種類のシダが描かれていて、一方は糊糸目で輪郭を取って防染した本来の友禅染、もう一方はさらに難易度の高い線描きで表現されており、とてもバランスが良いですが、どちらもシダなんですね。

IMG_59211.jpg
写真2番目は、野口の染め帯を合わせてみました。青系の濃淡を生かして、すっきりと更紗が描かれています。多色にしたら平凡な作品だと思いますが、青系の濃淡にしたことで、個性もありますしすっきりした美しさもあります。糸目はゴム糸目で、こういうときはくっきりすっきり仕上げるのが良いのでしょうね。

IMG_59321.jpg
写真3番目は、以前は秀雅から仕入れていましたが、今は千總から仕入れている東京の刺繍の帯です。全然、千總の作風とは違うし、なんで東京なんだと思われるかもしれませんが、このような作風は、本来は千代田染繍が制作し、北秀が販売していたのです。その北秀が破産して、元社員が秀雅になったり、千總に転職したためにあちこち広がったのです。

疋田は型ではなく、堰出し友禅です。1粒ずつ手で置いているので、微妙な揺らぎがあるのが特長です。ただし、本家の千代田染繍のものは糊糸目であったのに対し、周辺のもの(千代田染繍の元職人が独立して始めた工房など、詳細はわからない)は、ゴム糸目が多いですね。

刺繍は東京の職人さんによる手刺繍です。刺繍というのは、友禅のような設備が要らないし、染料を垂れ流すようなこともないため、家の一室でもできます。分業する必要もない個人の作業ですから、上手い人もそうでない人も自分のペースで出来るんですね。そのため、プロと趣味の中間ぐらいでやっている人が東京でも結構いるのではないかと思います。

中国やベトナムに刺繍を発注するようなビジネスは、採算が合わなければ止めてしまいますが、東京で自分のペースでやっている個人は、経済環境の変化にも強く、染織文化の担い手として心強いのではないかと思います。

IMG_59301.jpg
写真4番目は、花也の京繍の名古屋帯を合わせてみました。淡い地色に淡い色で上品に華文を描いた作品です。華文の形に防染し、淡い黄色と水色を彩色し、さらに染色と同色で刺繍をして立体感を演出したものです。白い色の部分にも白い糸を使って刺繍がしてあります。

IMG_59281.jpg
写真5番目は、藤井絞の辻が花の染め帯を合わせてみました。鋭角が綺麗に染め分けられた松川菱ですね。本歌は瑞泉寺裂よ呼ばれるもので、瑞泉寺が江戸時代に入手したものということです。「江戸時代」とわざわざ言わないといけないのは、瑞泉寺は秀次の夫人たちを供養するために作られた寺だからです。怨みのこもった小袖の裂ではないんですね。
[ 2015/07/07 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の「蝋たたき」または「撒き蝋」の着尺の帯合わせ

三千百三十五回目は、花也の「蝋たたき」または「撒き蝋」の着尺の帯合わせです。

昨日の記事を読み直してみると、すごく誤変換があったので直しました。呉服屋さんの本来の仕事に支障をきたさないのが、毎日書くコツと思っているので、時間を極力かけないようにしています。そのため読み直ししない日もあるのです。

もう1つ、昨日書き忘れたことがあって、それはこの着尺がブラタクの糸を使っていることです。以前紹介したものよりちょっと高級化しているんですね。BRATACというのは、フランスやイタリアのブランド物が使っている糸を作っている製糸会社ですが、じつは日本語です。戦前、トータク(東洋拓殖、朝鮮)、マンタク(満州拓殖)、ナンタク(南洋群島)があったのですが、その1つのブラジル拓殖組合の繊維部門が独立したのが始まりです。

IMG_59161.jpg
いちばん上の写真は、加賀友禅作家、中町博志の名古屋帯「春蘭」を合わせてみました。今日は多色の友禅の帯を集めてみました。春らしいさわやかな感じで、帯合わせの教科書みたいですね。

元々、無地や江戸小紋や蝋たたきの着物というのは、具象的な模様が無いわけですから、帯合わせはしやすいのです。呉服屋さんで、「この帯は無地と江戸小紋に良く合います」なんていう人がいますが、それは人間に例えれば「私は無口な人と話が合う」というようなものです。

IMG_59191.jpg
写真2番目は、大松の名古屋帯を合わせてみました。楓を取り方として、中に風景模様を入れたものです。東屋や船や松がありますから海浜模様といってもいいですね。大きいものの中に小さいものがあるのは普通の写生ですが、楓という小さいものの中に風景という大きいものがあるがあるからこそ、意匠なのだと思います。

その差が大きいほど劇的ですが、これは1枚の葉の中に世界があるようなものなので、劇的の度合いが大きいですね。松や笹や芦の葉の先端が、取り方からはみ出していますが、そうすることで絵に動きが出ます。

IMG_59171.jpg
写真3番目は、橋村重彦の名古屋帯「四季花」を合わせてみました。橋村さんの作品に登場した琳派風の草花のうち、私が気に入ったものを並べて描いてもらった帯です。私は、青い杜若がいちばん気に入っていて、丈が短いのは渡辺始興の絵に取材しているからで、色が青いのは中井淳夫さんの色みたいですね。

橋村さんは、千總の高級品を作っていた高橋徳の職人→中井淳夫の下職→野口の専属作家→独立、という京友禅の良いところだけ歩いてきた経歴なのです。

IMG_59201.jpg
写真4番目は、橋村重彦の名古屋帯「貝桶」を合わせてみました。野口の専属作家だった時代に、野口の商品として制作されたものです。中井淳夫の色と野口の華やかさが混合しています。
[ 2015/07/06 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の「蝋たたき」または「撒き蝋」の着尺

三千百三十四回目は、花也の「蝋たたき」または「撒き蝋」の着尺を紹介します。

蝋による防染効果をつかって抽象的な模様を表現した着物です。このような技法は、独立した作品として使われることもありますし、友禅模様の背景として使われることもありますね。同じような点々の模様に見えても、技法の名前としては、撒き蝋(蒔蝋)、蝋たたき、蒔糊などがあります。ロウケツ染の蝋を使うか、友禅の糊を使うかで、蝋と糊が違うのはわかります。しかし、撒き蝋と称する作品と、蝋たたきと称する作品には、区別がつかないのもありますね。

撒き蝋というのは、筆の先に付けた蝋を振って撒くのだろうと思います。また、蝋たたきというのは、筆の先に付けた蝋を生地にたたきつけるのだろうと思います。しかし実際の作業は、作家ごとに違うでしょう。日々作業をしていれば、より美しく見えるように工夫するでしょうし、それを他の作家にばれないように企業秘密にすることもあるでしょうから。

ついでながら、「蒔糊」と言えば森口華弘ですが、「蒔糊」という言葉自体も森口華弘の造語です。糊を撒くのだから「撒き糊」ではないかと思いますが、「蒔絵」のイメージで「蒔糊」と名付けたそうです。撒き蝋については、「蒔糊」に影響を受けた「蒔蝋」と「撒き蝋」の両方の表記があるようです。蒔糊については、森口華弘の影響が絶対のようで、「撒き糊」という表記をする人は見たことはありません。

森口華弘の蒔糊というのは、糊が固まってから割って撒くということですが、撒き蝋のばあいは、筆の先に付けて飛ばすなら、まだ液状で、生地に定着してから固まることになります。その違いは大きいでしょう。固まってから割って撒けば、点々の先端は鋭角になることもあり得ますが、生地に落ちたときに液状ならば鋭角にはならないでしょうから。それだけで、完成した時の雰囲気は違うと思います。

IMG_57371.jpg
いちばん上の写真は、反物の幅を写真の幅として撮ってみました。こうしてみると、大事なのは配色だと思います。

IMG_57401.jpg
写真2番目は近接です。撒き蝋または蝋たたきは、筆に蝋を付けて飛ばしたり、たたきつけたりすることになっていますが、この作家は、手でハンドルを回すと、蝋が飛び出す竹製の道具を使っていると聞いたことがあります。それは、たぶん本人が工夫して制作した道具で、見せてくれることはないでしょう。

作家ごとにいろいろ工夫し、それを秘密にしているなら、撒き蝋とか蝋たたきとか定義しても無駄ですね。点々の粒は、大きさや配置が揃いすぎたら人工的になって面白くないですが、違いすぎても見ていて目が落ち着かないでしょう。それも全部計算して、人間の目に心地良いものを作るのが作家の仕事だと思います。

IMG_57421.jpg
写真3番目は、反物の端の近接です。反物の端を見ると、クリーム色、ピンク色、グレー色の3回引き染されていることがわかります。まず白生地に蝋を撒き、クリーム色を引き染し、また蝋を撒きピンク地を引き染し、また蝋を撒きグレー色を引き染するわけですね。最後に蝋を洗い流すと、蝋が撒かれた時の色の層により、白い点々、クリーム色の点々、ピンク色の点々が現れるわけです。

3回蝋を撒いて、ちょうどバランス良くなるようにするわけですから、最初は撒きすぎちゃあいけないですよね。しかし、染料による浸食によって消えたり小さくなったりする点々もありますから、多めに撒いておく必要もあります。作家は日々の経験によって、バランスを体得していくのでしょう。

IMG_57451.jpg
写真4番目は拡大です。拡大しても、特にわかることもないですね。
[ 2015/07/05 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

花也の単衣~夏の刺繍の名古屋帯「投取横波京変繍」の帯合わせ

三千百三十三回目は、花也の単衣~夏の刺繍の名古屋帯「投取横波京変繍」の帯合わせです。

今日は付下げに合わせてみました。昨日は紬に合わせましたから、付下げにも合わせて、カジュアルからフォーマルまで用途のすごく広い帯ということを証明したいです。

IMG_60961.jpg
いちばん上の写真は、花也の付下げに合わせてみました。変わり織の絽の生地で、市松模様が浮いて出るように見える生地を使っています。その市松に見える地紋を利用して、友禅で四角い取り方を配した模様を付けています。取り方の中には、沢瀉や撫子など初夏~初秋の草花が描かれています。

着物というのはたいてい草花が描かれているものですから、帯は草花のない波だけ、というのは使いやすいです。また着物の四角い取り方に対し、帯は横方向の波の曲線というのもまた、良い取り合わせだと思います。

IMG_61001.jpg
写真2番目は千切屋治兵衛の絽の付下げを合わせてみました。実際に制作したのは中井淳夫さんです。葉だけの菖蒲ですが、花が無いので植物の種類がわからず、芦のような水辺の植物に見えます。わからないというのは便利なものですね。

菖蒲ですから、周囲は水辺でしょうが、水や波は描かれていません。その水の役割を波が受け持つことになり、良い組み合わせと言えます。着物で、菖蒲の周りに波が描かれていたら、帯合わせには邪魔だったでしょう。さすが中井さんの意匠で、ちょっと余剰よりちょっと不足を選んでいますね。

IMG_61041.jpg
写真3番目は千切屋治兵衛の絽の付下げを合わせてみました。実際に制作したのは市川和幸さんです。クリーム地に、しだれ手風になびく柳の枝と葉です。柳はたいてい水辺に生えているものですから、帯の横波とセットで、絵が完成します。帯合わせの理想は、絵として未完成な着物と帯が、出会ってようやく絵として完成することですね。滅多にできないですが。

IMG_61071.jpg
写真4番目は花也の変わり織の絽の付下げを合わせてみました。経糸がよろける立絽で、ちょっとカジュアルな雰囲気がありますね。テーマは葡萄です。帯は黒に見えますが、じつは濃紺です。着物は墨色ですが、白い長襦袢が透ければチャコールグレーに見えるかもしれません。濃い地色どうしの組み合わせになりますね。

IMG_61021.jpg
写真5番目は千切屋治兵衛の絽の付下げを合わせてみました。実際に制作したのは中井淳夫さんです。斜め取りの杜若で、元絵は琳派の蒔絵でしょう。単純化された杜若の花は、元絵と同じく金だけで平面的に表現されて、強い装飾性を感じます。
[ 2015/07/04 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の単衣~夏の刺繍の名古屋帯「投取横波京変繍」の帯合わせ

三千百三十二回目は、花也の単衣~夏の刺繍の名古屋帯「投取横波京変繍」の帯合わせです。

今日は織物に合わせてみました。この帯は、平織部分と花織的部分と絽織部分が横段状になっています。絽の部分があるので夏の帯であることは確かですが、平織の部分もあるので、平均して単衣用の帯と言えるかもしれません。元々、花也のオリジナルの生地で、花也のロット分しか世間に出ていないのですから、それを持っている少数の人が決めていいことだと思います。

今日は、盛夏の着物と単衣の着物の両方に合わせてみます。

IMG_60821.jpg
いちばん上の写真は、東郷織物の夏大島に合わせてみました。私の好きな、夏物にあえて暑苦しい茶色を使うパターンです。

東郷織物は大島紬の有名織元で、高い大島紬もつくっていますし、染下地用の機械織りの大島もつくっています。この夏大島は格子柄で、コストのかかる絣ではありませんから値段もリーズナブルです。

IMG_60841.jpg
写真2番目は、東郷織物の夏大島に合わせてみました。これもリーズナブルな価格の格子の夏大島です。黒に黒の帯合わせです。

IMG_60891.jpg
写真3番目は、小千谷縮に合わせてみました。格子柄です。小千谷縮は、無地、縞と格子、経絣、経緯絣とあって、値段は段階的に上がっていきます。正直とも言えますね。今回は、帯と着物の配色を合わせるように帯合わせしてみました。

IMG_58011.jpg
写真4番目は、林織物の本塩沢に合わせてみました。塩沢の織物には、お召である本塩沢と真綿である塩沢紬があります。たいてい同じメーカーで両方織っています。お召である本塩沢は袷にしても良いのですが、シャリ感があるので単衣で着るとかっこいいとされています。

IMG_58001.jpg
写真5番目は、菱一のオリジナル紬「橡紬」に合わせてみました。本来、問屋というのは産地にオリジナル商品を創らせて、自社ブランドで販売するものでした。しかし現代の問屋は、そんな甲斐性は無くて、産地で作ったものを買ったり借りたりするのが精いっぱいです。菱一は、数少ない自分でリスクを取って物づくりをする問屋です。

きれいな黄色の市松模様です。絣で市松を表現しているわけですが、絣の味わいはなんと言っても絣足のズレから生じるグラデーションです。それが無くて、くっきり色が分かれたら絣の存在意義が無いですね。この作品は、絣足のズレを多用していて、グラデーション効果の美を堪能できるようになっています。

IMG_57991.jpg
写真6番目は、菱一のオリジナル紬「橡紬」に合わせてみました。これも菱一ブランドの紬です。横段状に多色のグラデーションになっています。経糸は全部同じ色で、緯糸が段状に色が変わっているんですね。経糸が同じ色でそれが全体を貫いているので、緯糸に自由な多色を使っても、全体の色は調和しています。また緯糸の色を変える際にグラデーションになるようにしています。
[ 2015/07/03 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の単衣~夏の刺繍の名古屋帯「投取横波京変繍」の帯合わせ

三千百三十一回目は、花也の単衣~夏の刺繍の名古屋帯「投取横波京変繍」の帯合わせです。

IMG_57931.jpg
いちばん上の写真は、野口の着尺と合わせてみました。太い糸と細い糸が組合わせてあって、太い糸は格子状になっていますから、絹紅梅的な組織の生地です。「的な」というのは、細い糸がさらに絽の組織になっているからです。生地メーカーは変わり織を創作しますから、いろいろありますね。この生地は細かく見ると、紅梅なので格子状の地紋があるように見えますが、さらに四角い模様が染めてあって、さらにぼかしで市松になっているので、四角の模様が3段階にマトリョーシカしているんですね。

着物の四角い模様と、帯の波の模様は、形が対照的ですから相性がいいと思います。

IMG_57861.jpg
写真2番目は、野口の着尺と合わせてみました。草間彌生の南瓜のようなドット模様ですが、モチーフは薔薇です。青味の多い薔薇の模様で、帯とは色調が合いますね。着物の飛び柄と、帯の波の模様も、形が対照的ですから相性がいいと思います。

IMG_57811.jpg
写真3番目は、野口の着尺と合わせてみました。竹の模様で、総柄の小紋よりも、ややフォーマル感がありますね。あくまで「感」ですが。

IMG_57981.jpg
写真4番目は、野口の着尺と合わせてみました。波と植物文の組み合わせで、型疋田を多用しています。江戸時代の小袖にあるような意匠ですから、フォーマル感が強いですね。

IMG_57821.jpg
写真5番目は、千切屋治兵衛の着尺と合わせてみました。よろけ縞の着尺です。波もよろけ模様ですから、タテヨコ違いで同じ模様になってしまいそうで不安ですが、実際にはそれほどでもないかなあ。

IMG_57951.jpg
写真6番目は、野口の着尺と合わせてみました。写真2番目の着尺の色違いです。こちらは地色は焦げ茶色で、模様には暖色も。帯と色系統が反対ですが、いかがでしょうか。
[ 2015/07/02 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)