花也の単衣から夏の染め帯の細部と拡大

三千九十九回目は、花也の単衣から夏の染め帯の細部と拡大です。

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いちばん上の写真は、撫子の花の近接です。

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写真2番目は上の写真の3つの撫子のうちの刺繍の有る花の拡大です。生地が胡粉仕上げであること、金彩の細い線はきれいですが、拡大してみると手描きの凹凸がはっきりわかって、あまりきれいなものではないということ、金糸の刺繍はすごく繊細で美しいものだということがわかりますね。

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写真3番目は紗のような組織の部分の拡大です。作家モノの織物みたいですが、普通に生地として織れてしまうんですね。金彩が頼りなげに乗っています。

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写真4番目は花織のような組織の部分の拡大です。これも作家モノの織物みたいですね。
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[ 2015/05/31 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

花也の単衣から夏の染め帯

三千九十八回目の作品として、花也の単衣から夏の染め帯を紹介します。

単衣用とも夏用とも思える生地を使った、友禅の帯です。花也がオリジナルの生地として織らせているもので、ロットが30本だそうです。花也が自分の意思と自分の資金でやっていることですから、花也が単衣用だと言えば単衣用、夏用だと言えば夏用で、他人が決めつけることではないでしょう。

平織に横段状に2種類の紋織が混ざっています。1つは紗のような組織(模紗織というべきか)で、もう1つは花織の感じです。こんな織物を作家モノの手織りとして見たことがあります。作家の作品として買えば数十万円ですが、生地屋さんが織機で織って商品化すれば、普通の白生地の値段になってしまいます。

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いちばん上の写真はお太鼓です。横段に変わり織が入った生地を利用して、横段のパターンで友禅の模様を入れたものです。生地と染めを連携させているわけです。

辛子色地に焦げ茶色の山型の取り方を描き、その取り方に全然収まらない草花を描いています。模様が収まってこその取り方ですが、これは模様が収まらないパターンで、伸び伸びした雰囲気になりますね。模様と取り方の関係は、律義に収めるパターンと、収めないパターン、その中間に植物の穂先だけが取り方からはみ出すパターン、植物文は取り方の中にあって、鳥や蝶だけが取り方から飛び出していくパターンなどがありますね。

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写真2番目は腹文です。描かれた植物文は、萩、蔦、女郎花、撫子で、お太鼓と同じですが、こちらは取り方がありますね。

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写真3番目は近接です。地色と取り方の色は個性的ですが、模様自体は白揚げです。模様の色も個性があったら野暮でしょうね。

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写真4番目はもっと近接です。生地のパターンも少しわかりますね。明日は拡大もお見せします。
[ 2015/05/30 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

藤井絞の女児のお宮参りの着物

三千九十七回目は、藤井絞の女児のお宮参りの着物を紹介します。

現在はお宮参りの着物は、アカチャン本舗や西松屋チェーンでも売っています。模様も型染なのでだいたい決まっていますし、サイズも同じで工場で縫製してあるのですから、販売するのに専門知識も要らず、呉服店で販売する必要もないのです。

逆に言えば、呉服店で販売するためには、チェーン店で販売できないような量産品でないものでないといけないわけです。そういうものは多くないですが、藤井絞は男児用でも女児用でもチャレンジしています。これはその一点で、全体を絞りで大きく染め分け、すべて絞りで梅、桜などを表現しています。

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いちばん上の写真は全体です。絞りによる半円型の大胆な染分けです。色はモダンなピンクとグレーです。

辻が花など近世以前の絞りは、帽子絞には竹の皮を被せたので、竹の円周を超える面積は桶絞りで染めました。現在は竹の皮の代わりにフィルムを使えるので、面積に制約がなくなり、本来桶絞りでしかできない大きな染分けも帽子絞りで出来るようになりました。桶絞りの職人さんは、そういうのをニセモノと言いますけどね。

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写真2番目は近接です。

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写真3番目は近接です。

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写真4番目はもっと近接してみました。

花也の付下げ「千鳥」の帯合わせ

三千九十六回目は、花也の付下げ「千鳥」の帯合わせです。

今日は染めの名古屋帯を合わせてみました。

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いちばん上の写真は、花也の名古屋帯「霞に羊歯文」を合わせてみました。友禅と箔と刺繍を使った作品で、技法的には中井さんがやりそうなものなので、中井系の下職を使っていると思われます。

霞の茶色の部分は、驚くほどきつい赤茶色で友禅されており、その上から金加工して茶色に見えているのです。友禅の色は全部同じですから、茶色に濃淡があるのは金加工の厚みの違いです。金色というのは派手なものですが、京友禅では色を押さえて地味にするために金を使うこともあるのです。

描かれているのは霞ですが、見方によっては上空から見た州浜にも見えます。入り組んだ海岸線と勘違いしてくれれば、千鳥の模様にとっては幸運です。

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写真2番目は、花也の名古屋帯「霞取りに色紙模様」を合わせてみました。霞取りの中に波があり、それが取り方になって、その中に色紙があります。さらにその中には、楓・槇・流水・蛇籠という琳派の屏風に有りそうな風景が広がっています。凝った入れ子構造が重厚な雰囲気になっているんですね。

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写真3番目は、加賀友禅作家百貫華峰の名古屋帯を合わせてみました。加賀友禅作家の最高峰というのは、普通は石川県無形文化財でもある加賀友禅技術保存会の正会員になることですが、百貫華峰というのは日展で入選を重ねた作家です。でも日展に出品するものと加賀友禅作家として売るものとは作風がかなり違うんですよね。私は日展の方を帯にしてみたら面白いと思うんですけどね。

着物の意匠は友禅ながら千鳥のみで、あまり絵画性は高くないですから、それを補う意味で絵画性の高い友禅の帯を合わせるのもアリかなと思います。

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写真4番目は、京正の名古屋帯「瑞葉」を合わせてみました。実際に制作したのは中井淳夫さんです。金と銀が境がはっきりわからないまま切り替わるような高度な金彩のテクニックを使っていて、中井さんらしい作品だと思います。西陣の袋帯に比べれば軽く見え、しかし重みもあるような、なんとなく何でも使えてしまう帯ですね。
[ 2015/05/28 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の付下げ「千鳥」の帯合わせ

三千九十五回目は、花也の付下げ「千鳥」の帯合わせです。

今日は、意味のある帯合わせをする、などとは考えず、雰囲気の合いそうな西陣の袋帯を合わせてみました。

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いちばん上の写真は、織悦の袋帯「業平菱」を合わせてみました。着物が動きのある模様なので、帯はがちっと堅固な構造を持った意匠のものを選んでみました。雰囲気としては、あっさりした軽い袋帯で、しかも色も明るいのですが、古典中の古典である有職文様でもあります。

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写真2番目は、織悦の袋帯「柴垣秋草文尽」を合わせてみました。飛ぶ千鳥の模様は、それほど季節に限定されず着ることができるのが良いところです。季節感を演出したい場合は、帯を選べば良いと思います。この写真は、秋に着る設定で、秋草文を合わせてみました。

着物も帯も日本の花鳥はたいてい季節がありますから、季節感を演出するのは楽です。しかし、着物と帯双方に季節がある場合、チグハグになることもありますし、俳句に季語が2個あるような、重なりすぎてしつこくなることもあります。だからこの着物のように季節感の少ないもののほうが役に立ちますね。

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写真3番目は、織悦の袋帯「彩籠目」を合わせてみました。上質でありながら主張しすぎない便利な帯ですが、今回は千鳥を籠に入れちゃいそうでちょっと不安。自由に生きる人の足を引っ張る意味かとも見えて、本来主張しすぎない帯なのに、波風立てる稀な例ですね。

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写真4番目は、龍村の袋帯「彩香間道」を合わせてみました。万能の間道の帯を2例合わせてみました。

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写真5番目は、龍村の袋帯「海老殻間道」を合わせてみました。



[ 2015/05/27 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の付下げ「千鳥」の帯合わせ

三千九十四回目は、花也の付下げ「千鳥」の帯合わせです。

今回紹介している付下げは、元々「波に千鳥」だった付下げの波を外して作ったわけですが、そのような着物の帯合わせのテクニックとしては、帯合わせを通して原初の姿に戻すというやり方があります。ドラマやゲームのストーリーとしては、未知のものを得るために旅に出るというのもありますが、それと同じぐらい、失われたものを取り戻すために旅に出るという設定もありますね。

着物が趣味という人は、たいてい子供の時に母親が着ていて、それを見ていたという場合が多いです。結局、大人になってから子供の時に持っていたものを取り戻そうとしているのかもしれませんね。

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いちばん上の写真は、龍村の袋帯「海音光映錦」を合わせてみました。波の帯を合わせて、「波に千鳥」に戻してみました。でもちょっと波が激しすぎ。向かい風に飛ぶにしても千鳥の試練が大きすぎですね。この帯は、龍村の袋帯の中でも高い方の、織りこまれた糸の種類がそのまま迫力になるような帯なのです。

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写真2番目は、織悦の袋帯「光琳水」を合わせてみました。このぐらいの波の方が千鳥とのバランスは良いようです。でも「光琳水」すなわち「紅白梅図」の中央の水の流れは、川の流れを表したもので、海ではありませんね。残念!

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写真3番目は、龍村の名古屋帯「芦映錦」を合わせてみました。芦が水面に映っている情景を意匠化したものです。上下する波の光っているところが金糸で表現してあります。金糸部分は波の光の表現で節ではないのですが、なんとなく「難波潟 みじかき芦の ふしの間も 逢はでこの世を 過ぐしてよとや」を連想してしまいますよね。「潟」だから、千鳥のいる環境であることは確かです。

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写真4番目は、京正の名古屋帯を合わせてみました。制作したのは安田です。京正というのは、中井や安田の名品を、コストを惜しまず、自分勝手なアレンジをせず、ちゃんと世の中に伝えた会社だと思います。これはすごく昔に仕入れた作品ですが、自分の教材として無理に売らずに保管しておきました。工芸とはこうあるべきでしょう。

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写真5番目は、龍村の名古屋帯「バルト海遊文」を合わせてみました。海というテーマをバルト海まで拡張してみました。古典の枠の中で考える必要はないという発想ですね。
[ 2015/05/26 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(2)

花也の付下げ「波に千鳥」

三千九十三回目の作品として、花也の付下げ「波に千鳥」を紹介します。

多摩ケーブル時代のブログで紹介したことがある付下げです。千鳥が同じなので、同じ下職さんによってつくられたのだと思います。昨年か一昨年に制作されたものなので、今回のような「千鳥」の着物に波を加えたのではなく、「波に千鳥」の着物から波を抜いて、今回の「千鳥」ができたということです。つまり着物の意匠は、写生からスタートして必要なものを足すのではなく、伝統文様からスタートして余分なものを省くのだとわかります。

波の有る無しで、立派な古典柄から趣味的な着物になるわけで、着る場も変わりますね。

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いちばん上の写真は、前姿(マエミ+オクミ)です。千鳥は9羽ですから、こちらの方が多いですね。全部、左を向いて飛んでいます。波の形から風にの向きがわかりますが、風に向かって飛んでいるようですね。公式な場に出る着物の模様は、本来倫理的なものですから、模様の鳥は向かい風に逆らって飛ばなくてはいけませんね。

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写真2番目は後姿です。千鳥は5羽ですから、やはりこちらの方が多いですね。

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写真3番目は近接です。

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写真4番目は近接です。
[ 2015/05/25 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

花也の付下げ「千鳥」の細部

三千九十二回目は、花也の付下げ「千鳥」の細部です。

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いちばん上の写真は、昨日1羽だけ紹介した千鳥とは別のポーズの千鳥を撮ってみました。

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写真2番目も、別のポーズの千鳥を撮ってみました。


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写真3番目は、昨日1羽だけ紹介した千鳥と同じポーズですが、輪郭を金彩で括っていない千鳥を撮ってみました。糊糸目だけの千鳥です。糊糸目は細密なのですが、鳥も小さいですから、一部がくっきりしていません。見ようによっては少し遠くを飛んでいる鳥を空気遠近法で表現したようにも見え、多少メリハリがついています。もともと単純な意匠の作品ですから、これぐらいのメリハリでさえ貴重なんでしょう。

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写真4番目は参考図版で、江戸時代の小袖における千鳥の表現を撮ってみました。よく見ると千鳥はすべて同じ格好をしていて、角度が変えてあるだけです。1羽だけが嘴を開いているのが唯一の違いでしょうか。写生ではなく粉本主義で描かれているんですね。
[ 2015/05/24 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

花也の付下げ「千鳥」

三千九十一回目として、花也の付下げ「千鳥」を紹介します。

波など周辺のものは描かず、千鳥だけを描いた付下げです。友禅というのは、絵画的な表現に長けた技法ですから、周辺の風景を描いて状況を説明したくなるものですが、その気持ちを押さえて千鳥だけにしたもので、こういう図案の方が珍しいですよね。

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いちばん上の写真は、前姿(マエミ+オクミ)です。前姿に6羽いますね。意外にたくさんいるので寂しくはないです。

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写真2番目は後姿です。後姿は3羽です。

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写真3番目は袖です。袖は2羽ですね。

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写真4番目は、一羽を近接で撮ってみました。
[ 2015/05/23 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

現在制作中の作品

三千九十回目は、現在制作中の作品の紹介です。

先日紹介した孔雀の付下げの次回作として制作している付下げです。孔雀と同じく制作は一の橋、実際の制作は倉部さんです。倉部さんの作品の商品としての欠点は、製造コストが高すぎることから、売れ筋の価格ゾーンで作ろうとすると模様面積が小さくなってしまい、パーティー会場では柄が見えない着物になってしまうことです。

その対策としては、茶室のような小さいスペース専用の着物にするか、金に糸目を付けず模様をたくさん付けることですね。それ以外の現実的な対策としては、箔と刺繍で構成する作品のうち、箔の割合を増やして刺繍の割合を減らすということ、ぼかしをつかって模様面積を水増しすることです。

今回は、コストを増やさず模様面積を増やす方法として、虫めがねで見るように単純に模様を大きくしてみようと思っています。間が抜けたデザインになる可能性もありますね。この作品の制作を通じ、どのくらいまで可能なのか試してみようと思っています。

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いちばん上の写真は、前姿の模様の下絵(部分)です。下絵としては最終稿である実物大下絵です。

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写真2番目は同じ模様を生地に下描きしたものです。友禅では、白生地に青花で下絵を描きますが、刺繍と箔の作品ではまず地染めをし金描きで下絵を描きます。

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写真3番目も下絵(部分)です。実物大下絵を描いているのは一の橋が契約している下絵師ですが、絵が縮こまっていなくてやっぱり本業の画家なんだなあと思います。

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写真4番目は同じ模様を生地に下描きしたものです。

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写真5番目は元になった正倉院御物の螺鈿です。
[ 2015/05/22 ] 繍箔 | TB(0) | CM(0)

藤井絞の紋紗の雪花絞の着尺の帯合わせ

三千八十九回目は、藤井絞の紋紗の雪花絞の着尺の帯合わせです。

今日は西陣ブランドの織の帯で合わせてみます。浴衣であるフォーマル方向

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いちばん上の写真は、龍村の絽の名古屋帯「清山文」を合わせてみました。伝統文様である遠山文様を思わせる意匠です。龍村としての特長は、多彩で表現された山の色の透明感だと思います。今回の着物も快晴の日の青すぎる空のような色ですから、山と空という意味で選んでみました。

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写真2番目は、龍村の絽の名古屋帯「風矢羽」を合わせてみました。矢羽が風に吹かれているのか、矢羽が空気を切り裂いて飛んでいるのか、矢羽がマンガでスピード感を表すような表現になっています。鏃を描くと殺人にも使える武器になってしまいますから、そこは表現していませんね。地色は紺で、着物と濃淡関係にしてみました。

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写真3番目は、龍村の絽の名古屋帯「夏蒐文」を合わせてみました。萩と朝顔を丸紋にした意匠で、タイトルとの関連が気になってしまいます。「蒐」の文字は「蒐集」で使われますから、夏らしい花を蒐めてみました、というような意味でしょうか。色については、水色のグラデーションに対して黒を対比させてみて、形については、多角の着物の模様に対して丸紋を対比させてみました。

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写真4番目は、龍村の絽綴の名古屋帯「花流水」を合わせてみました。今日、いちばん真面目に考えた帯合わせです。色も意匠も自然につながるように考えてみました。

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写真5番目は、河村織物の絽綴の名古屋帯「燕」を合わせてみました。白と銀だけの色のない、そして模様の量も最低限な帯です。使い勝手はすごく良いです。
[ 2015/05/21 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

藤井絞の紋紗の雪花絞の着尺の帯合わせ

三千八十八回目は、藤井絞の紋紗の雪花絞の着尺の帯合わせです。

正絹の紋紗の生地はフォーマルな雰囲気ですが、雪花絞は浴衣のイメージでカジュアルな雰囲気があります。こういう着物を批評するときに、両方の性格を持っているから使い道が広いと言う人もいるし、どちらに対しても中途半端だから使い道が無いと言う人もいます。

こういう着物に遭遇した時に、フォーマルかカジュアルか悩むのは凡人、どちらでもなるのだから自分に選ぶチャンスが与えられた、と考えるのはビジネスで成功する人ですね。中度半端でどちらにも使えないと思う人は、家に籠っていればいいです。

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いちばん上の写真は、千切屋治兵衛の絽塩瀬地の名古屋帯「斜取波模様」を合わせてみました。実際に制作したのは藤岡さんです。力強い意匠ですが、じつは繊細な糊糸目で輪郭を取っています。こういう帯は単体で鑑賞すると絵画的な面白味はないですが、着物に合わせると帯として素晴らしく機能しますね。

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写真2番目は、野口の立て絽の名古屋帯「朝顔」を合わせてみました。着物と帯がほぼ同色濃淡になるような帯合わせをしてみました。夏物ですから、涼しい風になれるような色合わせを狙っています。

帯地は、かなり隙間の多い絽の生地でとても涼しげなのですが、隙間の多い生地は隙間部分は染めることはできないので、ちゃんと染めたつもりでも離れて見ると色がぼけてしまうという欠点があります。この帯のばあい、それを計算してかなりきつい色で朝顔を描いています。離れて見るとちょうど良くなるんですね。

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写真3番目は、藤井絞の玉紬地の名古屋帯「辻が花写し、流れに鶺鴒」を合わせてみました。現在は裂として部分的に伝わっている辻が花の名品のほぼ写しです。絞りというより、ほとんど描き絵ですね。友禅は糊ですから失敗したら流せますが、墨描きは消せないので一発勝負の技法です(消せるような素材で描いてあったら洗濯できないですものね)。

墨描きの帯に遭遇したらよく見てください。けっこう下手なのが流通しています。辻が花の人気作家というのは、じつは単純な絞りしかできない人もいますし、空絞りをしている人もいますが、でも例外なく墨描きは上手いものです。

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写真4番目は、千切屋治兵衛のパイナップル地の名古屋帯「椿模様」を合わせてみました。一見、型絵染に見えますが、じつは手描きです。友禅というより筒描きの雰囲気で、友禅に比べるとカジュアルな扱いですね。

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写真5番目は、野口の麻の名古屋帯を合わせてみました。紋紗ながらカジュアルな着こなしを考えてみました。本来の木綿の浴衣の雪花絞でも使えそうな麻の帯です。この帯については後日紹介します。
[ 2015/05/20 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

藤井絞の正絹の紗の生地を使った雪花絞の着尺

三千八十七回目の作品として、藤井絞の正絹の紋紗の生地を使った雪花絞の着尺を紹介します。

ここ数年、高級浴衣として流行している雪花絞です。雪花絞は、有松で明治時代に量産のための簡便な技法として発明されたものです。有松というのは東海道の宿場ですが、東海道53次である鳴海が近いので宿泊する客は無く、沿道で絞りを売ることで栄えていました。しかし鉄道が開通すると沿道では商売できなくなっってしまいました。しかしその一方、鉄道の普及により販路が広がったので卸売業が盛んになり、本来の縫い絞りだけでなく量産品が必要になったのです。

雪花絞を制作する実際の作業をサイトなどで見ると、量産どころか、非常に精緻な手間のかかる手作業で一点ずつ作られているように見えます。明治時代の基準では「量産」でも現代の基準では「手作業による一品制作」なのです。有松には他にも「機械××絞」などと呼ばれている技法がありますが、それも明治時代のネーミングで、現代人の目で見ると機械ではなく器具なんですね。明治時代は今と価値観が逆で、「機械××」と言った方が高品質というイメージだったのではないかと思います。

雪花絞は有松の技法ですので、藤井絞で売っている雪花絞も有松の下請けが作っています。当然、藤井絞の方が割高ですが、有松が木綿100%なのに対し、藤井絞は小千谷製の麻混など生地にバリエーションがあります。また、色のセンスが名古屋でなくて京都になりますね。

この作品は、紗の生地と平織とが市松模様になった正絹の生地を使っていますが、市松模様も模様ですから紋紗ですね。正絹が持つ光沢と雪花絞のグラデーションが共鳴して、木綿の雪花絞より綺麗に見えます。

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いちばん上の写真は、反物の幅を写真の幅として撮ったものです。

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写真2番目は近接です。

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写真3番目は、フローリングの床に置いて撮ってみました。紗の生地なので床が透けて見えるのは当然ですが、そこに雪花絞で生じるグラデーションが重なることでホログラムみたいな不思議な視覚効果があります。
[ 2015/05/19 ] 絞り | TB(0) | CM(0)

花也の染めと刺繍の帯「蹴鞠」の帯合わせ

三千八十六回目は、花也の染めと刺繍の帯「蹴鞠」の帯合わせです。

今日は染の着尺(小紋)を合わせてみます。5通り試してみますが、すべて野口の着尺を使っています。

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いちばん上の写真は、もっとも帯合わせしやすい飛び柄の小紋を合わせてみました。濃い紫地に飛び柄の小紋です。飛び柄の周囲がぼかしになっていて、京友禅っぽい軟らかい印象になっています。

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写真2番目は、これも帯合わせしやすいものとして格子柄の小紋を合わせてみました。地味な地色の格子ですが、北斎の美人画でこんな着物を着た絵があります。「地味」というより江戸の粋なのかもしれませんね。

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写真3番目は、縞の小紋を合わせてみました。普通は縞というのは格子と同じで合わせやすいものですが、ちょっとハードルを上げて多色のよろけ縞にしてみました。縞の地紋の生地の上に、蝋染で縞が描いてあります。いかにも手描きとわかるよろけ縞です。

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写真4番目は、帯合わせが難しい例として、横段の着尺を合わせてみました。一般には非常に大胆ですが、野口ではよくある横段の着尺です。帯が接する場所が、無地か模様かで雰囲気が変わります。上手く無地に接すれば帯合わせしやすいですが、必ずしもそうはいきませんしね。写真では、最悪の事態を想定し、帯の上下とも模様と接するようにしてみました。これで大丈夫なら何があっても大丈夫です。

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写真5番目は、色が強くて模様も大きい着尺を合わせてみました。これはもっとも帯合わせしにくい例だと思います。着物と帯のバランスとして、着物の柄や色が大人しく、帯の柄と色がはっきりしている場合は、合わせやすいと思います。おそらく面積比の問題で、面積の小さい帯が質感が強い方がバランスが取れるのでしょう。

この例は、着物の帯の色と柄が強く、帯の色と柄が大人しいパターンです。こういうのは合わせにくいですが、もし合うとしたら刺繡の立体感のおかげですね。
[ 2015/05/18 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の染めと刺繍の帯「蹴鞠」の帯合わせ

三千八十五回目は、花也の染めと刺繍の帯「蹴鞠」の帯合わせです。

染めと刺繍の名古屋帯ですから、合わせる着物は紬と小紋(染の着尺)です。今日は紬に合わせてみます。

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いちばん上の写真は、弓浜絣と合わせてみました。弓浜絣というのは、北九州と山陰と四国の一部に広がる木綿の絵絣文化の1つです。木綿の絵絣の文化は、江戸時代の後期に久留米に始まり、婚姻などを通じて山陰などに伝搬しました。明治以後、工場を建てて産業化し、やがて滅んだ地域もありますし、産業化に失敗し現在まで手仕事として続いている地域もありますし、1度滅んで最近になって美大を出た女性が復活させた地域もあります。

因幡や伯耆の国というのは砂地があって木綿栽培に向いていたために、江戸時代中期から木綿が生産されていたようです。そこに藍染と絣の技術が加わって、木綿の絵絣の文化が栄えました。弓浜絣の特長は、絵画性の高い図案を緯絣だけで表現していることです。緯絣だけというとレベルが低そうですが、そこに平明な美があることに気づいていて、あえて経緯絣へと進化させないのでしょう。その代わり図案の面白さという点では進化していますね。

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写真2番目は、秋山真和の「綾の手紬」と合わせてみました。帯の地色に合わせて、緑系の紬を合わせてみました。緑色って珍しいですね。秋山真和のお父さんは、戦前に沖縄で織物の指導をしつつ、沖縄織物の伝統を取り入れて「琉球古典紬」というネーミングで創作活動もした人です。秋山真和さんも沖縄織物の技術と文化を引き継いでいますが、宮崎県綾町を拠点に「綾の手紬」というネーミングで活動しています。

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写真3番目は、郡上紬に合わせてみました。手紡ぎ真綿糸を草木染して手織りするという、伝統工芸愛好者が求める条件がそろった紬です。でもそれだけでなく、どことなく洗練されていて都会的なところも人気の理由なのだと思います。

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写真4番目は、「織の会ヌヌナス」のロートン織を合わせてみました。ロートン織は、沖縄の織物の中でも、宮廷の有った首里で織られていた織物です。生地の表裏共に経糸が浮いているという、ちょっと不思議な織物です。織の組織は同じでも、作家によって作品の雰囲気は違います。これは「織の会ヌヌナス」によるものです。

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写真5番目は、結城紬を合わせてみました。かつての重要無形文化財の証紙のある手紬真綿糸をつかって地織したものです。縞結城といわれるもので、縞自体は幅が広いのですが、同系色なので大胆ではないですね。青系のグラデーションなので鰹縞ということになるのでしょうが、細い縞も併用していて、むしろ個性の緩和をしています。
[ 2015/05/17 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の染めと刺繍の帯「蹴鞠」の細部と拡大

三千八十四回目は、花也の染めと刺繍の帯「蹴鞠」の細部と拡大です。

2月7日と19日に対する3番目の作品ということで、刺繍も多彩になり技法もバリエーションが増えました。

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いちばん上の写真は、お太鼓の蹴鞠にさらに近接してみました。友禅の着物に対して行われる刺繍(あしらい)は補助的で、友禅の模様と連携しているものです。しかしこの作品では、友禅の模様は土台にすぎず、刺繍の模様は独自に展開しています。

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写真2番目は刺繍部分の拡大です。

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写真3番目は刺繍部分の拡大です。

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写真4番目は刺繍部分の拡大です。

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写真5番目は、腹文の刺繍部分の拡大です。花の芯の部分の刺繍の拡大です。花の芯だけに刺繍をするというのは、京繍のあしらいとしてはよくありますが、普通は単純に金糸で埋めるもので、こういうパターンはありませんね。
[ 2015/05/16 ] 繍箔 | TB(0) | CM(0)

花也の染めと刺繍の帯「蹴鞠」

三千八十三回目の作品として、花也の染めと刺繍の帯「蹴鞠」を紹介します。

2015年2月7日と2月19日に紹介した花也の染めと刺繍の帯の第3弾です。花也の作品といえば、糊糸目を主役とし、それに必要最低限の色挿しをしたものが多いです。しかし花也本人は他のいろんな作風にもチャレンジしていて、これは刺繍を主役にしたシリーズです。

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いちばん上の写真はお太鼓です。2月7日と2月19日の作品と見比べてみると、創作というのは、最初は単色でシンプルですが、だんだん複雑になってくるものですね。それは正常な進歩ですが、時には魅力を失うときもあります。今回はどうでしょうか。

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写真2番目は腹文です。

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写真3番目は、お太鼓の近接です。

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写真4番目は、お太鼓の近接です。

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写真5番目は、腹文の近接です。
[ 2015/05/15 ] 繍箔 | TB(0) | CM(0)

野口の長襦袢

三千八十二回目は、野口の長襦袢を紹介します。

走るうさぎを丸紋にした模様を飛び柄に配した長襦袢です。野口の定番商品として作られていてます。模様は地紋として織りで表現されていますが、部分的に彩色されています。

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いちばん上の写真は、反物の幅を写真の幅として撮ったものです。地紋のうさぎは2つ見えますね。1つは地紋に沿って彩色されています。

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写真2番目は近接です。彩色された方のうさぎの模様を近接で撮ってみました。彩色は手加工で行われていると思います。手で彩色しているというと、手間のかかった高級品の印象ですが、地紋に沿って染めるだけなら、芸術的才能は必要ないですし、地紋に合わせて型を作るというのもかえって効率が悪い気がしますから。

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写真3番目は、もっと近接です。

一の橋の付下げ「金彩孔雀唐花」の帯合わせ

三千八十一回目は、一の橋の付下げ「金彩孔雀唐花」の帯合わせです。

今日は、「金彩孔雀唐花」の帯合わせも最後ということで、世間の人はこの帯合わせはしないだろう、というような帯合わせをしたいと思います。私は失敗した帯合わせが好きですね、世間の人がみんな笑うような帯合わせが見たいです。テレビのバラエティ番組で取り上げる人生も、たいてい失敗した人生ですしね。

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いちばん上の写真は、中町博志の加賀友禅の名古屋帯「重陽」を合わせてみました。菊の花というテーマは着物や帯の柄としてはありふれていますが、そんなありふれたテーマが、この作家の手にかかると見事に創作になっています。このような存在感のある作品のオーナーになるのは気持ちの良いことではありますが、どこにいても主役になってしまうので、無地や江戸小紋ぐらいにしか合わせられないという問題の当事者になることでもありますね。

たまにはこの帯合わせのように、何にも考えないでいちばん気に入っている帯と着物を合わせちゃった、というのがあっても良いのではないかと思います。

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写真2番目は、花也の友禅の名古屋帯を合わせてみました。花也といえば個性のある糊糸目に個性の無い彩色(というか、ほとんど白揚げ)を合わせたイメージですが、この作品は色彩豊かで輪郭線はすべて金彩で、糸目は見えないという正反対の作風です。くわ垣さん自身は「糊糸目+白揚げとわずかな色挿し」が正解と思っているわけではなく、いつも試行錯誤をしているのです。

あまり深く考えない帯合わせの例です。理屈っぽいのは飽きますからね。

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写真3番目は、龍村の名古屋帯「印金牡丹文」を合わせてみました。龍村といえば、だれでも思い浮かべる意匠です。振袖にもピッタリという感じがしますが、じつはこれ名古屋帯なのです。なんでこんな龍村のフォーマル文化の極致みたいな帯に名古屋帯バージョンがあるんでしょうね。重すぎる小紋や中途半端な付下げにはちょうど良いかなあというところ。

「印金」というのは名物裂の1ジャンルで、生地に金箔を貼ったものです。同じ牡丹文でも金箔を金糸にして生地に織り込んだものは「金襴」です。舶来である印金は日本の摺箔に似ています。両者の違いは、摺箔は着るのが目的の小袖に施されるので、生地の風合いが変わらないように箔が薄いのです。一方、印金は仏具などに使われ、人が着るわけではないので生地の風合いを気にする必要が無く、箔が厚いのです。

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写真4番目は、紫絋の袋帯「正倉院臈纈文」を合わせてみました。タイトルは「臈纈文」となっていますが、実際には他の天平の三纈や刺繍作品の意匠も含んでいます。

とても良く合っていますが、残念なところは帯にも鳥がいて、孔雀と重なることですね。模様どうしが競合するのは良くないですが、ディズニーと雪の女王みたいにダブルヒロインが当たったりするので、そういう理屈で良いことにしますか。
[ 2015/05/13 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(2)

一の橋の付下げ「金彩孔雀唐花」の帯合わせ

三千八十回目は、一の橋の付下げ「金彩孔雀唐花」の帯合わせです。

今日は友禅染の名古屋帯を合わせてみました。倉部さんの作品は、箔と刺繍だけで友禅を使っていませんから、絵画性、物語性には欠けます。そのために友禅の帯を合わせて絵画性、物語性をプラスするという発想の帯合わせもできます。

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いちばん上の写真は、大羊居の名古屋帯「舞踏会」を合わせてみました。舞踏会の会場のシャンデリアを模様にしたものです。かつて大彦の訪問着として、同じタイトルで複数のシャンデリアを描いたものが作られたことがあります。舞踏会の会場の装飾品の1つを描くことで、西欧の貴族やその生活を連想させるという作品でした。

この帯はそのダイジェスト版ともいうべきものでしょうか。インド原産の孔雀と西欧の貴族では、国も文化もずれていますが、エキゾチックというテーマでまとめるばあい、この程度のずれが有った方がテーマが縮こまらなくていいですね。

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写真2番目は、大羊居の名古屋帯「更紗遊苑」を合わせてみました。これもエキゾチックというまとめですね。更紗と孔雀はインド原産どうしですから、インドの花鳥という組み合わせになります。しかしこのばあいなによりも、金色しかない着物に対して、友禅の多彩な色をプラスしたということが大事だと思います。

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写真3番目は、大羊居の名古屋帯「寿桃」を合わせてみました。この帯合わせも、テーマよりも色をプラスすることに意義がある帯合わせですね。友禅染は、絵画性、物語性だけでなく小袖を多彩にしたとも言えますね。

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写真4番目は、秀雅の名古屋帯「裂取更紗」を合わせてみました。実際に制作したのは、千ぐさとのことですが、もしかしたら「千ぐさ系」ともいうべきもの(元職人とか下職とか)かもしれません。名物裂というのは、裂をコレクションする文化です。人間にはモノを集めるタイプと集めることに関心が無いタイプの2通りありますね。「私は旅行が趣味でモノは集めない」なんていう人でも、「あと何か国で世界の国全部行ったことになる」なんて思うとき、その人はやはり集めるタイプなんだと思います。

名物裂という文化は日本独自のものですが、そのおかげで中国やインドの歴史的な裂が、現地でも無いような良い状態で保存されたので、世界に貢献していますね。更紗の裂は、江戸時代はあまり茶道で使われなくなったために、かえって裂の状態でよく保存されているようです。かつて仕覆だったものが展開された状態で保存されていたりしますね。この帯は、そんな更紗裂を並べた意匠です。昔からあるデザインのパターンですが、最初に考案した人は、コレクションを並べて見せたかったんでしょうね。

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写真5番目は、秀雅の名古屋帯「レース模様」を合わせてみました。実際に制作したのは安田です。これは昔私が更紗として紹介したら、読者の人からレースではないかと指摘されたものです。まさにそのとおりで、レースの角のところを素直に意匠に取り入れているんですね。

安田の友禅は、色も少なく上品なだけのように思いますが、このぐらいの面積になると、やはりすごい迫力で西陣の袋帯にも負けませんから、付下げ相手でも大丈夫ですね。
[ 2015/05/12 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

一の橋の付下げ「金彩孔雀唐花」の帯合わせ

三千七十九回目は、一の橋の付下げ「金彩孔雀唐花」の帯合わせです。

昨日は、孔雀に合わせてエキゾチックな袋帯ということで更紗をテーマにしてみましたが、エキゾチックでないと合わせられない、というものではない、ということを証明するために、今日は普通の日本のモチーフやありふれた名物裂を合わせたいと思います。

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いちばん上の写真は、洛風林風の袋帯を合わせてみました。洛風林の同人が洛風林を通さず出したものだろうと思います。昔は「これは実質的に洛風林ですよ」というような帯が有ったのです。松や菊がテーマの帯ですが、七宝繋ぎと亀甲が地の模様になっています。

色目がしつこいですが、こういうのは関東好みではないですが、私のような関東の人間は、たまにこういうのを見ると目新しくて惹かれてしまいます。写真を撮るときに帯を逆向きにおいていますね、まあご愛嬌で。

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写真2番目は、織悦の袋帯を合わせてみました。龍田川をテーマにした帯です。単純化されたモチーフの繰り返しですが、織悦の色はどんな時でも透明感が有ってきれいです。

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写真3番目は、織悦の袋帯を合わせてみました。亀甲を地にした枝菊文で、喜多川俵二が得意とするような有職織物のパターンですね。織悦らしい個性といえば、やはり色でしょう。地は経糸が青、緯糸が金で、意外と感じてしまうような輝き方をしています。模様は形が単純な繰り返しのわりに、色は多彩です。

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写真4番目は、捨松の袋帯を合わせてみました。「帯屋捨松」のロゴのない手織り高級バージョンです。もっとも有名な名物裂である牡丹唐草を太い平金糸で表現した単純な模様ですが、地が凝っていて、経糸が近世の能衣装のような〆切(絣の前史を成すような技法ですね)によるピンクと白、緯糸は非常に細く裁断された本物の引き箔です。

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写真5番目は、龍村の「海老殻間道」を合わせてみました。何でも合ってしまう優等性の帯ですが、それでも十分個性があります。個性がある癖に成績の良い奴って、人間だとちょっと嫌味ですね。
[ 2015/05/11 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

一の橋の付下げ「金彩孔雀唐花」の帯合わせ

三千七十八回目は、一の橋の付下げ「金彩孔雀唐花」の帯合わせです。

孔雀というモチーフに合わせて、更紗の袋帯を合わせてみました。西陣の織物には更紗のモチーフがとても多いですね。エキゾチックなデザインとして着ても良いですし、更紗のデザインは、近世以前に日本に流入してきて、和文化とも融合しているので、和モノと合わせることもできます。

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いちばん上の写真は、捨松の袋帯を合わせてみました。「帯屋捨松」のロゴのある標準的な作品ですが、全体が引き箔になっているものです。捨松の帯は、同じようなデザインで、普通の絹の織物と全体が引き箔になっているものとがあります。全体が引き箔のものは、見た目より軽いのでわかります。

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写真2番目は、捨松の袋帯「ヴィクトリア花文」を合わせてみました。「帯屋捨松」のロゴのない手織りの高級バージョンです。古いものは、西陣手織協会の「西陣手織の証」がついています。

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写真3番目は、織悦の袋帯「金更紗蔓花」を合わせてみました。

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写真4番目は、織悦の袋帯「ペルシア巻花蔓」を合わせてみました。地色は「タバコ茶」で、金を光らなくしたような色ですよね。模様も細かいですし、年輩向きの着こなしになると思います。

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写真5番目は、織悦の袋帯「印度更紗文」を合わせてみました。上の例とは対照的に、大きな更紗模様を合わせてみました。地色は「桜色」です。
[ 2015/05/10 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

一の橋の付下げ「金彩孔雀唐花」を斜めから撮ってみた

三千七十七回目は、一の橋の付下げ「金彩孔雀唐花」を斜めから撮ってみました。

元のブローチ着物だった時の孔雀は、金描きの上に盛り上がるような刺繍がしてありました。着物の柄なのか本当のブローチなのか見間違うような、騙し絵的な演出だったのです。今回、模様の量を何倍かに増やして、普通の付下げとしてつくったわけですが、刺繍の量をそのままにするととんでもない高い着物になってしまうので、刺繍の量を普通の京友禅のあしらい程度に減らす必要がありました。

しかし、せっかくの倉部さんの着物を、普通の着物にしてしまってはもったいないですから、コストをにらみながらなるべく効果的な個所に刺繍をしています。斜めから撮ると刺繍の立体感がよくわかりますね。

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いちばん上の写真は、マエミの孔雀を斜めから撮ったところです。孔雀の体の輪郭を金糸の駒繍で刺繍をしていますが、よく見ると完全に一周はしていません。メリハリをつける意味もありますし、完全に括らない方が絵が伸び伸びするという要素もありますが、コスト節約という理由が大きいですね。お金が使い放題であれば、私は完全に括っただろうと思います。

あしらい(模様の一部を強調したり補完したりする刺繍)は、見る人が当然期待する部分を、わざと反らしてすることがあります。例えばこの孔雀では、鶏冠にはあしらいがありますが目にはありません。羽根の模様に対するあしらいも均等ではありませんね。

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写真2番目は、後姿の孔雀を斜めから撮ったところです。後ろ姿なので、マエミの孔雀よりもあしらいが減らしてあります。孔雀本体にはあしらいはせず、口にくわえた花にしています。これも期待を反らすやり方ですね。

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写真3番目は、唐花模様を斜めから撮ったところです。花の芯だけにあしらいをしています。
[ 2015/05/09 ] 繍箔 | TB(0) | CM(0)

一の橋の付下げ「金彩孔雀唐花」の細部

三千七十六回目は、一の橋の付下げ「金彩孔雀唐花」の細部です。

今回の作品は、私が染め出したものですが、元々の孔雀のモチーフは、一の橋が作ったブローチ着物です。アンティークのブローチとしてこの孔雀のデザインがあり、それを一の橋が胸の部分に1つだけ付けて、他の部分は無地としてブローチのような着物として売ったものです。

制作したのは倉部さんなので、小さな模様1つでもそれなりの値段がしたのですが、それを模様を水増ししつつ付下げとしました。孔雀を2羽とし、羽根と唐花を加えて付下げとしての体裁を整えましたが、コストをにらみながらびくびくしてつくっています。

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いちばん上の写真は、マエミの孔雀の近接です。

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写真2番目は、後姿の孔雀の近接です。

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写真3番目は、孔雀の羽根の近接です。
[ 2015/05/08 ] 繍箔 | TB(0) | CM(0)

一の橋の付下げ「金彩孔雀唐花」(制作は倉部)

三千七十五回目の作品として、一の橋の付下げ「金彩孔雀唐花」を紹介します。実際に制作したのは倉部さんです。

倉部さんの縫箔の作品です。現代の着物は友禅が主流ですが、友禅が普及したのは江戸時代の中期で、しかも富裕な町人の間だけです。それ以前の小袖は刺繍と箔で出来ており、友禅普及後においても、武家は刺繍と箔の小袖を着ていました。刺繍と箔の小袖を「縫箔」というのですが、刺繍と箔なら「繍箔」だろうと思います。しかし、美術史では慣例的に「縫箔」っていうんですね。図録でも美術館の展示の解説でもそうなっています。

倉部さんには刺繍だけの作品と箔を併用した作品があります。また箔だけの作品もあります。刺繍の人間国宝である福田喜重もまた、箔だけの作品もありますね。金箔と刺繍は技術的に全く関連が無いのに、なぜ同一人物(工房)がする必要があるのだろうと思いますが、江戸時代以来の縫箔の伝統に基づいているんですね。江戸時代に小袖を制作する職業は縫箔屋とも言われていました。

こういう作品を見ると、江戸時代の縫箔小袖とは、全く違うもののように思いますが、技術や精神は伝統を引き継いています。倉部さんの刺繍と箔の作品は、江戸時代の縫箔小袖が現代まで正常進化したら、こんな感じじゃないかと思わせるものです。

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いちばん上の写真は、前姿(マエミ+オクミ)です。倉部さんの欠点は、コストが高いため、模様が小さく余白が大きい物しか作れないことです。そのため茶室のような狭いスペースでは着物の良さがよくわかるが、大きな宴会場では模様が見えないなんて言われてしまいます。

その対策としては、模様面積が小さくても、大きく見えるようなデザインを考える、ということですね。ぼかしを併用して模様面積を水増しすることもありますし、個性のある模様を考えて、他の場所に目が行かないように視線を集中させるという手もあります。この作品は、孔雀がすごくかわいく、他の場所に目が行かないようにしています。孔雀の近接は明日お見せしますね。

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写真2番目は後姿です。

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写真3番目は胸です。孔雀というのは洋物か和物か、インド原産ですからエキゾチックものですが、正倉院以来、日本の伝統的な画題でもありますね。というわけで、添え物の草花も正倉院以来の唐花を選びました。

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写真4番目は袖です。
[ 2015/05/07 ] 繍箔 | TB(0) | CM(0)

野口の夏の着尺の帯合わせ

三千七十四回目は、野口の夏の着尺の帯合わせです。

今日は、染の名古屋帯を合わせてみます。昨日は、西陣の帯を合わせてフォーマル方向の演出をしましたから、今日はその反対ということで、カジュアル方向か、といいたいところですが、実際にはモチーフの選び方などでカジュアルとは言えない雰囲気にもなります。まあ、おおざっぱにフォーマルまたはカジュアルの「方向」という程度の区分けです。

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いちばん上の写真は、花也の友禅染の名古屋帯「千鳥に波の丸」を合わせてみました。単衣に向いた玉紬の生地と盛夏に向いた紗の生地が、交互に縞状になった花也オリジナルの生地です。単衣用としても夏用としても広く解釈してよいという便利な生地だと思います。

水色に対して黒というくっきりした帯合わせです。また着物の格子柄の四角に対して、波の丸い模様を合わせたところや、3重の格子というガチっとした建築のような構造の着物の柄に対し、飛ぶ千鳥という動きのある柄を合わせたところも対照的です。色も形も雰囲気も反対物だらけの対照尽しともいうべき帯合わせです。

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写真2番目は、花也の友禅染の名古屋帯「楕円取り柳に笹」を合わせてみました。生地は絽縮緬を使っています。絽縮緬は、普通の絽よりも前後に着用期間が長くてよいとされています。その代わり、盛夏の2週間ぐらいは避けるべきともいいますが、それは無視している人が多いです。

呉服業界の立場としては、着物の着用期間のルールを細かく言うと、着る人がいなくなってしまうので、なるべきゆるく解釈すべきということになっています。ですから盛夏も着ている人がいれば、それもOKにしようということになっています。

花の丸や鳥の丸に飽きた人のための楕円取りです。柳の模様が、本来の防染をした友禅の部分と線描きの部分とで、市松模様の配置になっています。一見、着物の市松模様が透けているのかと錯覚してしまいますが、だまし絵的な効果を狙った帯合わせです。

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写真3番目は、千切屋治兵衛の名古屋帯「豌豆」を合わせてみました。絽の生地を使っています。西陣の高価な袋帯は一生モノですが、染めの名古屋帯というのは季節ごとに取り換えるべきものとされています(お洒落の世界では)。その典型のような帯ですね。上の2つの帯に比べるとカジュアル感があります。

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写真4番目は、千切屋治兵衛の名古屋帯「七夕」を合わせてみました。七夕を7月7日と考えれば、7月7日を最終日と考えて着用する絽の帯ということになりますから、理論上、1週間しか使えません。しかし、旧暦で七夕を考えれば8月までいいことになりますね。実際に着用する人は、自分が有利な方に解釈すればいいと思います。
[ 2015/05/06 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

野口の夏の着尺の帯合わせ

三千七十三回目は、野口の夏の着尺の帯合わせです。

染の着尺は、合わせる帯によってフォーマル方向にしたりカジュアル方向にしたり、用途を微妙に変えることができます。今日は西陣の帯を合わせることで、フォーマル方向にしてみます。

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いちばん上の写真は、織悦の袋帯「菊に流水」を合わせてみました。四角い格子模様の着物に対し、丸い菊の花模様という組み合わせです。

織悦の帯の色というのは、地味な帯も派手な帯も、色にすべて透明感が有って爽やかです。上手い絵というのは、油絵でも何でも色が濁っていないものです。色彩設計が上手いんでしょうね。

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写真2番目は、織悦の袋帯「芒」を合わせてみました。色も模様もはっきりしない、でもなんとなく上品で涼しげ、という帯です。こういうのは使い勝手がいいですね。

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写真3番目は、龍村の名古屋帯「矢絣」を合わせてみました。水色の着物に、白地に紫の帯という組み合わせですが、配色はとてもきれいです。水色に紫というのは合いますね。秩序だった格子の模様の着物に対し、繰り返しパターンの帯の模様で、安定感のある帯合わせだと思います。

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写真4番目は、龍村の名古屋帯「彩波」を合わせてみました。この帯は、「いろは」と読ませるのでしょうね。文字から受ける印象は、私がいつか見たいと思っている「彩雲」で、その水バージョンのイメージでしょうか。

今まで白っぽい帯ばかりを合わせて来たので、黒で引き締めてみました。この模様は自由に流れているようでいて、水平方向に秩序があり、やはり秩序のある格子の着物とは安定感のある組み合わせだと思います。

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写真5番目は、龍村の名古屋帯「颯音」を合わせてみました。黒の引き締めパターンをやってみました。楓がモチーフですが、「颯音」というタイトルですから、テーマは音なのです。爽やかな風に乗って落ちる葉の軌跡がマンガのような表現で描かれています。その曲線が、格子の着物の模様とは対照的です。
[ 2015/05/05 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

野口の夏の着尺

三千七十二回目の作品として、野口の夏の着尺を紹介します。

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いちばん上の写真は、反物の幅を写真の幅として撮ったものです。全体に細かい格子状の模様がついていて、その上にさらにぼかしで市松模様になっています。四角い模様が大小シンクロしているという意匠ですね。

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写真2番目は近接です。近接してみると細かい型染の模様の詳細がわかります。くっきりと染められています。それと同時に、じつは生地もまた絹紅梅のような組織で格子状の地紋が見えます。つまり、絹紅梅のような生地の格子と、細かいがくっきりした型染の格子と、大きなぼかしの市松の格子があって、3重のシンクロになっていることがわかります。

生地の織と型染とぼかしが3重に連携しているわけで、こういう作品は個々の職人の技術だけではつくれず、生地の購入から最終製品の完成までを仕切るリーダーが、センスとアイディアを持っていることが必要ですね。まさに野口の得意分野だと思います。

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写真3番目は拡大です。織物の組織としては紅梅織とタテ絽の組み合わせになっているようです。

紅梅は、細い糸に太い糸と一定の間隔で混ぜて織ることで、生地が肌にぴったりつかず、風が通るようにした織物です。糸の太さの違いで生地に傾斜があるという「勾配」の意味ですが、江戸時代の人が駄洒落として「紅梅」とネーミングしました。近世以前の文章はカナを多用するので、どちらも「こうはい」であり、駄洒落が生まれやすかったんですね。

紅梅織には、絹紅梅と綿紅梅がありますが、綿紅梅はすべて木綿、絹紅梅は細い糸は絹、太い糸は木綿であるばあいが多いですが、この作品では全部絹ですね。さらに細い糸は普通の紗ではなくタテ絽になっています。ではこの生地は「絹紅梅」なのか、そうではないのか、あるいは絹紅梅のバリエーションというカテゴリーに入るのか、などと考えてしまうのですが、そう考えること自体が勘違いです。生地のメーカーは生きている現代の産業であり、よく売れるように常に新しい商品を生み出しているのであって、学者が定義してそれからメーカーが作りはじめるわけではないのですから。

そんなの当り前だと思うかもしれませんが、そうでもないのです。珍しい織り方をした生地を見ると、これはなんという生地なのかと、珍しい色を見ると、これはなんという色なのかと、呉服屋に無理やり言わせようとする人がいますから。メーカーが良いと思って作ったんじゃないですか、というと、呉服屋のくせに織の組織も色の名前も知らないのか、という顔をしますしね。

大羊居の付下げ「竹に雀」の帯合わせ

三千七十一回目は、大羊居の付下げ「竹に雀」の帯合わせです。

今日は、縞や格子を合わせてみました。

「竹に雀」というシンプルかつ完全な組み合わせの着物に対する帯合わせは、意外に難しいことがわかりました。「雀」または「竹」に対して意味的なつながりを作ることができれば素晴らしいですが、個人の手持ちの帯でできたら、それは偶然だと思います。

結局、有職文様や名物裂に由来する文様のように、上品であるという以外特定の意味がない帯が合うということになります。そうであれば、いちばん合わせやすいのは、意味も季節もない純粋な幾何学パターンである縞と格子ということになるでしょう。

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いちばん上の写真は、龍村の袋帯「海老殻間道」を合わせてみました。名物裂の間道類に属する裂で、青木間道に似ています。青木間道の方が有名で、名物裂の本などで調べてみると、青木間道は写真付きで大きく出ていますが、海老殻間道は、写真無しで文中にチラッと名前が出る程度です。

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写真2番目は、龍村の袋帯「香彩間道」を合わせてみました。「香彩間道」とネーミングされているために、元が名物裂の間道としてあるのか、龍村のオリジナルデザインなのかわかりません。ただ帯合わせをしてみた感じでは、海老殻間道よりカジュアルな感じ(どちらかというと紬に合わせやすい方向性があるという意味)ですね。

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写真3番目は龍村の名古屋帯「飛鳥間道」を合わせてみました。飛鳥間道というのは、龍村のオリジナルのネーミングで、本当は、法隆寺に伝来する幡に使われている裂です。オリジナルの色は赤で、古代の赤の染料というのは、超贅沢品だったはずです。

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写真4番目は、喜多川俵二の名古屋帯「厚板格子」を合わせてみました。中世に中国から輸入された裂です。厚い板に巻かれて輸入されたためにこの名があります。能衣装に使われたものが多いので、能衣装のタイトルには「厚板・・・」というのがありますね。
[ 2015/05/03 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(4)

大羊居の付下げ「竹に雀」の帯合わせ

三千七十回目は、大羊居の付下げ「竹に雀」の帯合わせです。

今日は名古屋帯を使って帯合わせをしてみます。付下げまでなら名古屋帯でも対応できますし、同じメーカーの同じ品質の帯なら、袋帯より安く買えるのが良いですね。

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いちばん上の写真は、龍村の名古屋帯「投壺矢」を合わせてみました。投壺矢というのは、壺の中に矢を投げ入れるという昔のゲームです。矢というのは人も殺せる武器ですから茶事には使いにくいですが、鏃を描かずゲームの道具であることを示すことで、殺生に関わらないものだということを明らかにしています。

竹に雀というシンプルにして完全な花鳥文様に対して、関係の薄い器物文様を合わせた例ですね。

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写真2番目は、龍村の名古屋帯「桐花文」を合わせてみました。中国の思想に基づき、天皇の衣装でもあって最も格の高い文様に「桐竹鳳凰文」があります。今回は、「桐竹雀文」をつくって遊んでみました。実際にこういう帯合わせで出かけて、パロディだと気づいてくれる人がいるといいのですが。

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写真3番目は、龍村の名古屋帯「シャムパシーン」を合わせてみました。龍村は、毎回テーマを決めて展覧会をしていますが、これはタイをテーマにした時に制作されたものです。エキゾチックなテーマではあるのですが、なんとなく合ってしまう例。よく見ると、お太鼓の下端にタイっぽい模様の形がありますね。

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写真4番目は、龍村の名古屋帯「平泉遺宝文」を合わせてみました。中尊寺金色堂の中で荘厳具として使われている華鬘をテーマにしたもの。実物は金銅製で模様は鳳凰です。鳥が重なっているわけですが、たいていの人は気にならないと思います。

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写真5番目は、喜多川俵二の名古屋帯「鳥襷文」を合わせてみました。これも上と同じく鳳凰をテーマにした文様です。鳥が重なるわけですが、気にする人がいないどころか、鳥だと気が付く人もいないのではないかと思います。
[ 2015/05/02 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)