大羊居の付下げ「竹に雀」の帯合わせ

三千六十八回目は、大羊居の付下げ「竹に雀」の帯合わせです。

大羊居の付下げですから、とりあえず龍村の袋帯と合わせてみます。どんな帯でも合いそうな着物ですが、深く考え始めると迷宮に入り込んでしまうタイプの着物ですね。「竹に雀」というのは、動物と植物のシンプルにして完全な組み合わせであるために、帯の模様を介入させるのが難しいんじゃないかと思います。

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いちばん上の写真は、「海音光映錦」を合わせてみました。花も鳥も「竹に雀」という完全な着物の模様のバランスを崩してしまいますから、波にしてみました。「花鳥風月」のうち、花鳥は竹に雀で完了していますから、風月に逃げてみました。

駐車場の隅にでもありそうな竹に雀の景色に対して、大海原みたいな波はバランス悪いですかねえ。

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写真2番目は、「有朋文」を合わせてみました。身近にありそうな竹に雀に対して、ありえない架空の物語を合わせてみました。平安時代の国宝ですが、国宝といっても権威的なものではないので、大海原より合うかなあというところ。雀とうさぎと猿とキツネと蛙の5種類の動物の物語になったわけですが、なんだか着物が「雀のお宿」に見えてきますね。

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写真3番目は、「錦秀遺宝錦」」を合わせてみました。平家納経をテーマにした帯で、意外にも上と同じ平安時代の国宝ですね。こちらは平清盛が作らせたものですから、十分権威的なはずですが、公家文化の末期にあって上品と洗練を極めたためか、権威的ではないですね。俵屋宗達が加えた鹿がかわいくて、雀に合っているかも。

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写真4番目は、「西域舞踊錦」を合わせてみました。思い切って、全然関係のない外国のモチーフを合わせてみました。私は「梅に鶯」「桜に流水」のような、対になる日本伝統に組み合わせに、外国モチーフを介入させるが好きです。でも、雀に鸚哥をけしかけるのはまずいかな。
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[ 2015/04/30 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

3羽の雀以外の近接

三千六十七回目は、3羽の雀以外の近接です。

菊に花や笹の葉も魅力的なので、近接で撮ってみました。

この作品は、元々昔大羊居が制作した、雀と雪持ちの笹と菊が描かれた留袖でした。それをこのブログを読んでくれている方から頂いた古い図録で探し、模様を減らすと共に袖に笹を追加して付下げにしたものです。

その際に、季節限定になるのを避けるために雪持ちはやめました。雪というのは白く染める、あるいは白く染め残すわけですが、自分がもし絵具で雪を描くとして、白い絵具で塗るだけで雪に見えるのか、砂糖や塩と描き分けることができるのか悩んでしまいますよね。大羊居の元作品は、ちゃんと日本の湿潤な雪に見えていたので、それを捨ててしまうのはとても惜しかったのですが、商品性を重視させてもらいました。

菊の花については、無い方が四季に関わらず着られていいと思ったのですが、プレバトという番組で、順位をつける講師が根締めについて語っていたのを思い出し、生け花に敬意を表して残しました。

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いちばん上の写真は、オクミにある菊の近接です。

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写真2番目は、後姿にある菊の近接です。

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写真3番目は、オクミとマエミの縫い目辺りにある笹の葉の近接です。この作品の魅力は、雀のかわいらしさとともに、江戸っぽいすっきり感ですね。東京友禅である大羊居だからこそと思いますが、そのすっきり感の源泉は、この笹の表現から来ているのでしょう。

笹の葉に、青とか自然に無い色を使うのは、江戸時代の友禅小袖にも多用されているので、友禅の伝統的表現ともいうべきものでしょう。
[ 2015/04/29 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

3羽の雀の近接

三千六十六回目は、3羽の雀の近接です。

雀はどれもお腹がプクッと膨れていてかわいいです。かわいい動物を描いて成功するコツは、見る人が感情移入できるかどうかだと思います。図鑑のように写実的なだけでも、古画の様式にしたがうだけの粉本主義でも、見る人の感情移入を誘えません。しかし、かわいくなりすぎるとイラストっぽくなり、ファンシーショップで数百円で売っているグッズと差が無くなってしまいます。

見る人が思わず感情移入してしまうようなかわいい動物が描けると、ピカチュウみたいにキャラクター商品として大ヒットして億万長者になれるかもしれないし、永遠のテーマですね。

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いちばん上の写真は、マエミの下の方にいる雀の近接です。背中は紫、頭と翼端は茶色、腹は白、嘴は金です。友禅で染めた色と、その上にあしらった刺繍は必ず同系色で、色が連携しているのです。同系色に多少の濃淡が有ったり、刺繍糸に絹独特の光沢が有ったりして、それが雀の体のリアルな質感になっているんですね。

友禅における刺繍(あしらい)は、強調や装飾とされていますが、それに収まらず友禅と連携して写生をしているんですね。

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写真2番目は、後姿にいる雀の近接です。

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写真3番目は、マエミの上の方にいる雀の近接です。翼下面はなんと水色です。友禅による水色の彩色の上に水色の刺繍が有って、羽毛の質感になっています。

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写真4番目は、いちばん上の雀の翼の拡大です。刺繍の糸で、鳥の羽毛を表現しているわけですが、茶色について濃淡2色を使い、さらに金糸を加えています。金糸は羽毛が光を反射している表現でしょう  
[ 2015/04/28 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

大羊居の付下げ「竹に雀」

三千六十五回目の作品として、大羊居の付下げ「竹に雀」を紹介します。

大羊居には雪持ち笹と雀をテーマにした作品がありますが、雪というテーマは季節限定となり商品としては売りにくいので、今回は雪無しで注文してみました。

雀は前姿に2羽、後姿に1羽の合計3羽です。菊も描かれていますが、生け花でいう根締めみたいなものですね。菊があると季節が秋に限定されてしまいますから、商品としてはない方が良いかと思いましたが、生け花の伝統で「根締め」というのがある以上、やはり必要なのかな、ということで付けてみました。

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いちばん上の写真は、前姿(マエミ+オクミ)です。

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写真2番目は、後姿です。

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写真3番目は、袖です。

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写真4番目は、胸です。
[ 2015/04/27 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

野口の加工着尺をコートか長羽織にしたと仮定

三千六十四回目は、野口の加工着尺をコートか長羽織にしたと仮定してみました。

昨日は紬の着尺の上に着たと仮定しましたが、今日は、染の着尺で試してみました。

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いちばん上の写真は、野口の縞更紗の着尺の上に着たと仮定してみました。色も多彩、模様も豊富な更紗で、帯合わせにもちょっと悩むしつこい着物です。その相手としては淡くて透明感のある格子は良い組み合わせではないかと思います。

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写真2番目は、千切屋治兵衛の着尺の上に着たと仮定してみました。模様は比較的大きいのですが、色を押さえた着尺です。地味な色と淡くて透明感のある色との組み合わせです。

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写真3番目は、千切屋治兵衛の着尺の上に着たと仮定してみました。上の着尺とは反対に、模様が小さ目で色が派手な着尺です。明るい色どうしの組み合わせであるとともに、模様としては丸い雪輪と四角い格子という反対の組み合わせでもあります。

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写真4番目は、野口の着尺の上に着たと仮定してみました。野口らしい大胆な横段の着尺です。同じ野口どうしということで、色の雰囲気もあっている気がします。

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写真5番目は、藤井絞の着尺の上に着たと仮定してみました。楓がテーマで全身総柄の絞りです。よく見るとわかるのですが、楓を絞るのではなく楓でないところを絞っているんですね。

野口の加工着尺をコートか長羽織にしたと仮定

第三千六十三回目は、野口の加工着尺をコートか長羽織にしたと仮定してみました。

今回紹介している野口の着尺は、コート地か長羽織地として利用することも可能です。今日は、紬の着物の上に着たと仮定してみました。

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いちばん上の写真は、佐藤トシの南部紬の上に着たと仮定してみました。佐藤トシさんはかつて植物染料で染めた手織りの紬を織っていました。これはその中でも特別なもので、岩手県内で採取した紫根で染めた糸で織っています。もちろん、着物一反分の糸を染める量があるわけがなく、糸染めに5年かけたそうです。

毎年、山菜採りのおじさんに頼んで紫根を採取してもらって染め、それを5年繰り返したら紫の色に染まったということです。私は欲しくて買ったわけではなく、近藤伝の会長から、5年間に注文されたものを納めに来ました、と言われ、5年前に言ってしまったのなら仕方がない、ということで買ったのです。しかしほんとうは、青山みともが高くて受け取りを拒否したので、私に押し付けたのだろうと思います。

仕入れて数年は漢方薬のような匂いがしていました。だから信じて買ったわけですが、最近は流石に匂いが無くなってきました。合わせ方としては、紫の無地ですから当然合いますよね。

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写真2番目は、久米島紬の上に着たと仮定してみました。久米島紬は普通のものは、経糸が玉糸、緯糸が真綿糸で織られていますが、これはモロといわれる経糸緯糸ともに真綿糸のものです。値段は通常品の3倍ぐらいします。真綿糸だから高いというよりも、幅が37cmにすぎない緯糸ならば真綿糸でも問題ないが、12mある経糸が真綿糸であると絣が合いにくいので織るのが難しいということだと思います。

沖縄では、大城織物工場や大城広四郎工房も、経糸緯糸共に真綿糸のスペシャルバージョンを作ったことがありますが、やはり値段は3倍ぐらいでした。しかし無形文化財の結城紬は常に経緯真綿で、あの細かい絣を合わせているのですから、やはりすごいんですね。

泥染の濃い焦げ茶ですが、淡い格子とはコントラストの強い組み合わせになります。

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写真3番目は、藍染の久米島紬の上に着たと仮定してみました。佐藤昭人の阿波藍で染めた糸で織った久米島紬です。現在はこういうものはありません。久米島紬は重要無形文化財ですから、わざわざ伝統を曲げるようなモノをつくっても仕方がないですものね。これは70年代に試みられたものです。

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写真4番目は、深石美穂の川平織の上に着たと仮定してみました。御絵図帳にあるような沖縄らしいおおらかな絣の着尺です。タテ縞に見えるのはじつはロートン織の組織です。川平の色は沖縄の植物による染ですが、透明感が有ってきれいですから、このきれいな格子の色にも合いますね。

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写真5番目は、大城カメの南風原の紬の上に着たと仮定してみました。おそらく晩年のもので、手縞の様式に凝った絣も加えたものです。綺麗な色の格子という、着物とコートまたは長羽織が同じパターンの濃淡で、重なることになります。全身チェックといえば、チェッカーズのギザギザハートの子守唄の時の衣装と同じですね。これもまた「2度目は茶番として」というブリュメール18日風の例えでしょうか。

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写真6番目は、「つるばみ紬」とネーミングされた菱一のオリジナル紬の上に着たと仮定してみました。菱一は小千谷や十日町でオリジナル商品を創っている数少ない問屋です。上の例では、同じような模様パターンを合わせてみましたが、今度は同じような色を合わせてみました。これはダメですねえ。

野口の加工着尺の帯合わせ

第三千六十二回は野口の加工着尺の帯合わせです。

今日は龍村の名古屋帯を合わせてみます。この着尺の優れているところは、格子の色が交わって重なった部分の色が濁っていないところです。もうそれだけが存在意義と言っていいと思います。そして見事に成功しているのですが、染物にとって難しいこのミッションも、じつは織物では簡単にできてしまうんですね。だからこの着物の最大のライバルは織物の着尺だと思います。

織物では、経緯の糸の色を変えて格子を織る場合、交わる部分はその中間の色になります。経糸が赤で緯糸が青なら交わる部分は紫です。しかし、赤と青は交っているだけで混じっていません。両者はじつは並んでいるだけで、人間の目が勝手に混ぜてみているのです。染のばあい、色を混ぜると双方の濃さがプラスされて明度が下がって暗くなりますが、織のばあいは、両者の明度はその平均になるのです。

そのことに気付いて最初に実践したのは、画家の世界ではスーラですからけっこう遅いですね。織物の世界では自明のことだったでしょうし、古代のモザイク作家も知っていたでしょうね。


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いちばん上の写真は、「花韻」を合わせてみました。今日の帯合わせのテーマは、着尺の色の美しさを阻害しないということで、色の美しい帯を合わせてみました。花といえば、普通は「色」か「香り」ですが、この作品では花の「音」をテーマにしています。花の周りの弧は音の波動でしょうか。作者のイマジネーションに敬意。

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写真2番目は、「芦映」を合わせてみました。水に映る芦で波に揺らいでいます。波の光を反射する部分が金、その間の暗い部分が紫だと思いますが、この歌があるために、芦の節かと思ってしまいます。
「難波潟 短き蘆のふしの間も 逢はでこのよを過ぐしてよとや」

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写真3番目は、「ほかけ」を合わせてみました。朱系の色を使っていないので年輩対応ですが、派手でなくても綺麗な色を集めています。

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写真4番目は、「花宝」を合わせてみました。上の「ほかけ」もこの作品も、模様が整列しているパターンなので、格子模様に対してよく馴染んで見えますね。
[ 2015/04/24 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

野口の加工着尺の帯合わせ

第三千六十一回は野口の加工着尺の帯合わせです。

今回のような着物は、技法よりもセンスが全てですよね。作り手にとってセンスが全ての着物ということは、着る人にとっては帯合わせが全てということでしょう。

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いちばん上の写真は、橋村重彦の友禅の顎や帯を合わせてみました。この格子の着物の印象をそのまま具象画にしてみたら、こんな花が咲き乱れる風景かなということで、この帯を合わせてみました。

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写真2番目は、加賀友禅作家中町博志の友禅の名古屋帯「砕」を合わせてみました。着物の美しいグラデーションを帯でもう1度繰り返してみました。「二の舞」とか「2度目は茶番として」なんていう言葉も思い浮かんでしまいますから、こういう合わせ方をする人は、皮肉屋かもしれませんね。

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写真3番目は、藤井絞の名古屋帯を合わせてみました。淡いグラデーションの格子の着物は「かわいい着物」かもしれませんね。この着物を「かわいい着物」と解釈したばあいは、こういう帯合わせがありうると思います。

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写真4番目は、藤井絞の名古屋帯を合わせてみました。淡くて爽やかな色の幾何学模様というテーマで合わせてみました。この着物を見たときに、淡い、爽やか、光、かわいい、明るい、花園を渡る風のような色、などさまざまな印象が浮かびます。そのうち特に自分が強く感じたものを帯合わせに生かしてみるといいのだと思います。
[ 2015/04/23 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

野口の加工着尺

第三千六十回目の作品は野口の加工着尺です。

淡い色の格子の着尺です。使われている色は5色で爽やかな印象ですね。技法的には、しけ染のようにも見えますが、反物の端から端まで揺らぎなく染められていますし、ハンドペイント感もないので、やはり型(シルクスクリーン)なのでしょう。型継ぎがあるかと思いましたが、全く分かりません。こういう着物はセンスが全てですが、技法を考えると意外と不思議だったりします。

全体はごく淡いクリーク色で引き染されていて、その上から染められています。複数の色が重なると、それぞれの明度が加算されるので色は暗くなりますし、配色によっては濁ることもあります。なるべく暗くしない、そして絶対に濁らせない配色で染める、というのがこの作品のメインテーマだと思います。

色はとても淡くて物足りないぐらいですが、そうでないと格子が交わって色が重なったときに色が濁ってしまうんですね。非常に上手く計算されていると思います。

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いちばん鵺の写真は、反物の幅を写真の幅として撮ったものです。

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写真2番目は近接です。

紫絋の袋帯「正倉院臘纈文」の帯合わせ

第三千五十九回目は紫絋の袋帯「正倉院臘纈文」の帯合わせです。

今日は倉部さんの刺繍と箔の作品に合わせてみます。倉部さんはあらゆる京繍の技法を使いますが、倉部さんらしい作品といえば金糸を使った精緻な刺繍です。色としては金色どうしで、色数を押さえた都会的な要素もありますし、金色ということで華やかさもあります。

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いちばん上の写真は、千切屋治兵衛の付下げに合わせてみました。実際に制作したのは倉部さんです。長方形の取り方の中に更紗模様を入れたものです。長方形の取り方は前姿に3つ、後姿に2つ、袖に1つ、胸には取り方でない更紗が1つですが、取り方の長方形はすべて真っ直ぐ立っているため、静的な印象の意匠です。

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写真2番目は、千切屋治兵衛の付下げに合わせてみました。実際に制作したのは倉部さんです。梅をメインにした松竹梅の意匠です。色紙散しのパターンですが、色紙の中に松竹梅が有って、色紙の外側に金描きで梅の枝が描かれています。色紙は散りつつあるわけですから斜めになっていますし、梅の枝も枝垂れていて、上とは反対に動きのある図案ですね。

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写真3番目は、千切屋治兵衛の付下げに合わせてみました。実際に制作したのは倉部さんです。刺繍と金描きの併用で(マエミと後姿はほとんど刺繍、袖と胸は金描き)、短冊形の中に幾何学模様を入れた豪華な作品です。

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写真4番目は、千切屋治兵衛の付下げに合わせてみました。実際に制作したのは倉部さんです。
桜の花と枝を刺繍と金描きで描いた作品です。私は、倉部さんの作品は、金色が引き立つという理由で濃い地色のものを買ったり、注文したりしますが、これは淡い地色です。濃い地色ほど金の色が引き立ちませんが、これもまた上品ですね。濃い地と淡い地の中間ぐらいで、金色を目立たなくしてしまう色がありますから、注文するときは注意が必要ですね。
[ 2015/04/21 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

紫絋の袋帯「正倉院臘纈文」の帯合わせ

第三千五十八回目は紫絋の袋帯「正倉院臘纈文」の帯合わせです。

今日は、紫絋の袋帯「正倉院臘纈文」を紬に合わせてみます。本来は黒留袖に合わせるべき金地に正倉院模様の帯ですが、万能性を証明するため紬に合わせてみます。黒留袖に合わせる帯が、紬にも合わせられたらすごいことですね。

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いちばん上の写真は、秋山真和の藍染の花織の訪問着に合わせてみました。藍染と花織という、秋山さんらしテーマが2つ合わさったような作品ですが、さらに絣が一定のパターンで入っているので、絵羽として設計されたようです。

いきなり金地の正倉院模様の帯を、素朴な紬に合わせるわけにもいかないので、作家モノの創作的な作品に合わせてみました。このような織物を本当に普段に着る人はいないので、パーティー着という扱いですね。会場では青と金が綺麗なんじゃないでしょうか。

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写真2番目は、秋山真和の創作的な絵羽の訪問着に合わせてみました。絣と花織が併用されていて、いかにも作家モノといった感じの絵羽の織物作品です。

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写真3番目は、秋山真和の沖縄的な紬に合わせてみました。19世紀に織られたものとして、博物館に収蔵されている紬を再現したものです。緯絣の作り方において、手結と絵図法の違いはあるかもしれませんが(本歌は仕立ててあるので耳は確認できない)、見た目はそっくりに再現されています。

色はとても鮮やかな焦げ茶ですが、これは百数十年の退色を考慮したもので、本歌も元は鮮やかだったのでしょう。御絵図帳にある織物は琉球王家の宮廷衣装のはずですから、金地の正倉院模様と同格で良いわけですよね。

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写真3番目は、山口良子の首里織の紬に合わせてみました。縞と花織を合わせた作品で、横段は一定間隔で入っているので、絵羽というわけではないですが、仮絵羽の際の配慮で絵羽のように構成されてます。

首里織はもともと琉球王家の宮廷があったところで、そのための織物ですから、金地の正倉院模様も合うだろういう発想で、合わせてみました。

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写真4番目は、琉球美絣と合わせてみました。真栄城さんという一族が大正時代から織っている木綿の絣織物です。明治時代の後期、日露戦争に準備を契機として沖縄でも地租改正が行われ、貢納布制度が廃止され現金で納税するようになりました。これが沖縄における近代のはじめで、職業を自由に選択して、織り手にとっては自分の織りたいものを織れるようになったはじめですから、大正時代に創始ということは、もっとも古い創作織物とも言えるわけですね。

「美絣」を名乗るぐらい絣のグラデーションが綺麗なのが特長なのですが、普通は反物で販売されるので気が付きません。このように絵羽にしてみると特長がよくわかりますね。
[ 2015/04/20 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

紫絋の袋帯「正倉院臘纈文」の帯合わせ

第三千五十七回目は紫絋の袋帯「正倉院臘纈文」の帯合わせです。

今日も合わせにくそうな着物を選んでみました。4点とも訪問着で、私はどれも大好きですが、みんな自分の世界を持ちすぎているというか、人間でいえば才能が有りすぎて、それに見合った配偶者がいない感じですね。

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いちばん上の写真は、花也の訪問着を合わせてみました。ダンマル描きで桜の花(枝はない)を描いた訪問着で、極めて緻密に描きつつも、ダンマル描き特有の半防染効果も使っています。花弁が散るのではなく、花のままで散っているので、写生というより装飾的なのですが、夕暮時に花弁が散るのを見たらこんな感じかと信じさせるような心情的な写実性もあります。

合わせる帯で悩む代表のような着物ではありますね。普通であれば、喜多川俵二の有職文様の帯でお茶を濁すしかないでしょう。

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写真2番目は、千切屋治兵衛の訪問着を合わせてみました。実際に制作したのは中井淳夫さんです。神坂雪佳の図案集に載っている蔦の絵に取材したものです。雪佳の図案は多色ですが、金と墨色だけにしたのは中井さんの創作で、そのために凄味が出ています。

この作品自体が色数を絞って、金の外には無彩色しか使っていないわけですから、帯で色数を増やしていいのか悩みます。この帯は金地なので悩まないで済みますね。

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写真3番目は、千切屋治兵衛の訪問着を合わせてみました。実際に制作したのは中井淳夫さんです。油絵のような濃厚な色彩で蔦を描いたものですが、過剰なまでに描き込まれ、蔦の蔓に絡み取られてしまうような錯覚に陥ります。糸目友禅ですが、地色と模様の間の糸目は隠されています。糸目があると友禅らしくなりますが、それを隠すことで絵画風になり油絵風の色彩が生きてくるのでしょう。蔦の実が青いのですが、この青が中井特有の青ですね。

油絵風の強い色に着物には金地の帯が合うことが多いです。色どうし競争させても共倒れになってしまいますし、たいてい油絵には金の縁の額がついているものですよね。

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写真4番目は、中井淳夫の訪問着を合わせてみました。濃い地色に友禅と箔で蔦を描いたものです。友禅で描かれた葉は、きっちり濃淡が描き込まれ、空気遠近法的な表現がされています。そしていちばん近景の陽光があたった葉が金箔による表現になっているようです。この作品も糸目は隠され絵画的な雰囲気が強いですが、箔を広い面積で使っているのを見ると、また装飾に引き戻されますね。

金どうしが反応するような帯合わせです。
[ 2015/04/19 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

紫絋の袋帯「正倉院臘纈文」の帯合わせ

第三千五十六回目は紫絋の袋帯「正倉院臘纈文」の帯合わせです。

非常に帯合わせをしやすい帯で、たいていの着物に合ってしまうので、ブログを書く身としては、見せ場が無くてつまらないです。なぜ帯合わせがしやすいのかと考えてみれば、もともとが古典中の古典である正倉院模様ですし、金糸が多用されていてフォーマル感が強く黒留袖にも合わせられる一方、当時すでに完成されていた織物ではなく、近世の友禅に比べると素朴感のある天平の三纈をテーマにしているため、微妙に間が抜けたところがあって、完全にフォーマルな感じではないため、使用レンジが広いのだと思います。


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いちばん上の写真は、千切屋治兵衛の付下げ「梅」を合わせてみました。制作したのは中井亮さんです。どんな着物でもあってしまうので、今日は少しハードルを上げ、単体で季節の花を描いた付下げを合わせてみました。帯合わせを考える際、もっとも難しいのは、単体の花を描いた季節ものだからです。

梅を描いた着物には、どんな帯を合わせればいいのか、「梅に鶯」というから、鶯の帯かなあ、なんて考え始めたら、もう迷宮に入り込んでしまいますね。迷宮から出るには、有職模様のように、伝統があって上品、ということしか意味がない帯を合わせるしかありませんね。

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写真2番目は、花也の付下げ「市松取り桜」を合わせてみました。

桜を描いた着物には、どんな帯を合わせればいいのか、「桜に流水」にちなんで流水の帯を合わせていたらかっこいいですが、でもそれをやってしまうと、もうその着物と帯は一生セット絵使わないといけなくなってしまいますね。

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写真3番目は、野口の付下げ「牡丹」を合わせてみました。

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いちばん上の写真は、千切屋治兵衛の付下げ「蛇籠と楓」を合わせてみました。制作したのは中井亮さんです。どんな季節の着物に対しても、意味が有るような無いような、なんとなく合ってしまいます。そういうのが帯合わせしやすい帯ということですね。
[ 2015/04/18 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

紫絋の袋帯「正倉院臘纈文」の細部の拡大

第三千五十五回目は紫絋の袋帯「正倉院臘纈文」の細部の拡大です。

昨日は、模様を近接してみました。昨日の近接写真の印象は、模様が色彩豊かでありながら、全体が金色の光で軟らかく包まれているような雰囲気です。また、模様のタッチもその軟らかい色に相応しくヘタウマみたいな温かみのある雰囲気になっています。今日はその辺をさらに分析してみます。

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いちばん上の写真は、帯の裏側です。宇あらは渡り糸が大量に通っています。模様を表現する絵緯糸として、鮮やかな色糸をたくさん使っているのがわかります。

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写真2番目は、帯の裏側の耳の部分を露出させてみました。➡の部分です。細い本金の引き箔の糸が緯糸として全面に使われていることがわかります。この帯は、模様部分は絵緯糸として色糸が多様に使われていますが、それと同じ画面で、並行して金糸も使われているということです。

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写真3番目は拡大です。「鮮やかな色が金の光に包まれて軟らかく光る」ということの仕掛けが分かります。鮮やかな色糸と、本金の平金糸とが共に緯糸として並んで模様表現しているのです。金の光に包まれているのではなく、金の光と並んでいるんですね。

西陣の織物が美しく見える時、そこには必ず即物的な仕掛けがあります。映画のSFX効果のようなものですね。

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写真4番目は拡大です。

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写真5番目は、参考図版です。この帯の鳥の模様と似た模様を正倉院裂の本の中から探してみました。この鳥が近いようですが、これは技法的には臘纈ではなく夾纈です。

この帯のタイトルは、「正倉院臘纈文」ですが、実際には纐纈や夾纈や刺繍で表現された模様も含まれているようですから、天平の三纈を中心に染物全部がテーマのようですね。この時代の染物は、織物に比べて素朴な表現が多いですから、帯全体もほのぼのとした雰囲気になっています。帯は織物ですが、あえて織物ではなく染物の真似をしたということが、この帯の創作的要素なんだと思います。
[ 2015/04/17 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

紫絋の袋帯「正倉院臘纈文」の細部

第三千五十四回目は、紫絋の袋帯「正倉院臘纈文」の細部です。

今回紹介している帯は、段文で、各段の中にそれぞれ異なるパターンが並んだ意匠です。それぞれの段内の模様の特徴的な部分を近接してみました。

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いちばん上の写真は、鳥の模様部分の近接です。

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写真2番目は、花の模様の近接です。

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写真3番目は、花のモチーフと連珠文の組み合わせのように見えます。

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写真4番目は、花のモチーフと業平菱と織物のパターンの組み合わせのように見えます。本歌を調べてみたところ、平成4年の正倉院展の図録にありました。じつは刺繍作品でした。臈纈でないばかりでなく、天平の三纈でさえなかったです。創作は自由なのか、タイトルがいい加減なのか、どちらかですね。
[ 2015/04/16 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

紫絋の袋帯「正倉院臘纈文」

第三千五十三回目は、紫絋の袋帯「正倉院臘纈文」を紹介します。

日本の染色の歴史について書いた本は、必ず「天平の三纈」から説き始めます。「天平の三纈」とは、中国から伝来した模様染の技法で、「臘纈(ろうけち)」「纐纈(こうけち)」「夾纈(きょうけち)」の3つです。それ以前に染色が無かったわけではないですが、それは無地染か、描き絵のように防染工程のない模様染でした。染色の最初はおそらく偶発的で、洗濯するたびに消えていったのではないでしょうか。

臘纈はロウケツ染の意味ですが、古代の蝋は蜜蝋だったので、聖武天皇以外の日本人は蜂蜜は食べなかったためにすぐに絶えて、山形駒太郎、河合英二らによって大正時代になってようやく復活します。纐纈は絞り染の意味ですが、室町時代に辻が花として華々しく復活します。夾纈は板締絞りの意味ですが、3つの技法の中でもっとも不合理(難しくて成功率が低い)なものらしく、今でも個人作家が散発的に行っている程度です。古代の板締めは生地を板で挟んで防染するものですが、近代の絣の技法として、絣をつくるために糸を板で挟んで防染するものも板締めというので勘違いする場合もあります。

古代には染色技法の三纈の外に、経錦、緯錦などの織物の技法も伝来します。織物は古代のものでも完成度は高いですが、染物は素朴な雰囲気のものが多いです。古代の日本人には中国伝来の技術で織られた織物はハイテク製品に見えたに違いありません。しかし染物はどうだったのでしょうか。現代人には素朴に見えても古代人にとってはやはりハイテクに見えたのでしょうか。それとも個性を楽しむ余裕があったのでしょうか。

さて今回の帯ですが、織物でありながら、タイトルで「臘纈」をテーマにしたと宣言しています。つまり精緻なものを目指さない、素朴や個性を目指すんだ、と宣言していることです。それを念頭に置いて鑑賞してください。

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いちばん上の写真は、お太鼓の全体です。

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写真2番目は、少し近接してみました。

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写真3番目は腹文です。お太鼓と同じでした。帯として締めた場合には、模様が横倒しになって半分出るだけですね。

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写真4番目は帯の端、締めた場合はたれの部分ですね。

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写真5番目は腹文の近接です。
[ 2015/04/15 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

花也の付下げ「流水に丸紋」の帯合わせ

第三千五十二回目は、花也の付下げ「流水に丸紋」の帯合わせです。

今回の付下げは、生地に地紋があります。数日前の模様を近接で撮った写真を見ていただくとわかるのですが、地紋と言ってもよくある古典模様みたいな地紋では無くて、市松のような幾何学模様のような地紋です。この生地は触った感じが縮緬より薄いわりにしっかりしていて、しゃきっとしているので、単衣に兼用できそうです。  

模様についても、四季花とは言いながら萩や楓は単衣用にも良く使われますし  そこで、6月とか9月を想定し、龍村の夏帯の袋帯を合わせてみました。 龍村の夏帯の袋帯というのは、一応組織としては絽なのですが、けっこう地厚で盛夏だと暑そうなので、単衣でも良いような気がします。

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いちばん上の写真は、龍村の絽の袋帯「古伊万里扇」を合わせてみました。青磁と染付を併用した鍋島の逸品の大皿の縁の部分を重ねた意匠です。古伊万里と言っても、その中でもっとも貴重で高価な官窯である鍋島をテーマにしたものです。工芸として完成されているものを、さらに織物という別の工芸で写しているわけで、妙な気もしますが、鍋島+龍村というのも成り立つわけですね。

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写真2番目は、龍村の絽の袋帯「水衣若松文」を合わせてみました。黒地に銀糸で水の流れが表現され、ギラギラする水面が結構個性的です。

初代平蔵には黒地に銀糸の流水だけのもあるということで、最近持っている方に見せてもらいました。この作品は若松がメインになって、ギラギラ水面が背景になっているので、初代のギラギラ水面が主役のものより一般に親しみやすくなっていると思います。

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写真は、龍村の絽の袋帯「彩簾文」を合わせてみました。簾だけというテーマは珍しいかもしれませんが、お太鼓の意匠だけ見れば、間道のバリエーションとも言え、じつは結構使いやすいのです。
[ 2015/04/14 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の付下げ「流水に丸紋」の帯合わせ

第三千五十一回目は、花也の付下げ「流水に丸紋」の帯合わせです。

今日は名古屋帯を合わせてみます。このような付下げは、訪問着として親戚や友人の結婚式に出席することもできますし、軽いフォーマルとして観劇や食事会に着ることもできます。今日はフォーマルとしては軽い使い方として名古屋帯を合わせてみます。

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いちばん上の写真は、龍村の名古屋帯「ほかけ」を合わせてみました。シンプルなモチーフを等間隔に展開した意匠で、丸紋に凝縮した付下げの意匠とは対照的ですから、帯合わせの組み合わせとしては基本ですね。

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写真2番目は、、龍村の名古屋帯「木画狩猟文錦」を合わせてみました。「木画」は種類の違う木を嵌め込んで作画する象嵌のことです。正倉院御物の琵琶の装飾としてあるもので、この模様は「韃靼人狩猟図」などとして日本人に好まれ、近世まで繰り返し描かれました。

上と同じく、付下げの丸紋模様の凝縮型に対し、帯の狩猟文は散し型ですから対照的ですね。しかし上の例では、シンプルなモチーフを等間隔に並べているだけですが、こちらは躍動的な意匠です。全体的な雰囲気はかなり違ってくると思いますが、着る人の好き好きでしょう。

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写真3番目は、龍村の名古屋帯「飛鳥間道」を合わせてみました。「飛鳥間道」は、(おそらく商標登録のための)龍村によるオリジナルのネーミングで、本来は法隆寺が所蔵する幡に使われている裂の1つです。間道の帯は昨日も合わせましたが、丸紋に直線模様の組み合わせになりとても合っていますね。

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写真4番目は、花也の友禅の名古屋帯「琳派霞取りに蛇籠と流水」を合わせてみました。霞取りの中に金屏風を思わせる琳派の様式的な波の文様があって、さらにその中に色紙取りがあって、その中に槇と楓と蛇籠と流水という、これもまた金屏風にありそうな琳派の様式的な風景が描かれています。

本来2つの帯に独立して描くべき意匠を、1つの帯に入れ子構造として描いているんですね。結果として重厚な装飾的な意匠となり、袋帯の代わりに使う名古屋帯に相応しいになっています。

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写真5番目は、一の橋の友禅の名古屋帯「薬玉」を合わせてみました。中井淳夫の作品を思わせる雰囲気がありますし、作品のレベルも高いので、中井から独立した元社員が制作したものと思われます。

気になるのは、薬玉も丸い形ですから、着物の丸紋と重なるかもしrないということですね。近くで見れば全く違うのですが、パーティーで離れた席から見たらどうかというところですね。ただあまり考えすぎると、宗教の戒律みたいになって着物を着ること自体が辛くなってしまいます。まあこのぐらいは良いことにしましょう。
[ 2015/04/13 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の付下げ「流水に丸紋」の帯合わせ

第三千五十回目は、花也の付下げ「流水に丸紋」の帯合わせです。

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いちばん上の写真は、洛風林の袋帯「彩亀甲」を合わせてみました。実際に織ったのは帯屋捨松です。昔は帯屋捨松も洛風林同人だったのです。亀甲という古典文様ですから合わないわけがありませんね。

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写真2番目は、織悦の袋帯「光悦柴垣と四季花」を合わせてみました。着物と帯が同じ柄というのは避けなければいけないですから、帯の柄に丸紋や流水は選びませんが、丸紋の中に入っている植物だったらどうでしょうか。菊と萩は共通していますね。見たところ違和感はないようです。

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写真3番目は、織悦の袋帯「龍田川」を合わせてみました。これも上の例と同じで、着物と帯で楓が共通になります。しかし着物のばあい、楓は丸紋にしっかり閉じ込められ静的なデザインであるのに対し、帯は波が相手で、動きのあるデザインになっています。これも違和感はないようです。

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写真4番目は、織悦の袋帯「印度更紗」を合わせてみました。上の例では、関連がありすぎるものの相性を試してみましたが、今度は、エキゾチック系の代表である印度更紗の帯を合わせて、関連がなさすぎるものの相性を試してみました。これも違和感はないようです。この着物は帯合わせが楽過ぎて、ブログとしてはやり甲斐が無いですねえ。

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写真5番目は、龍村の袋帯「彩光間道」を合わせてみました。着物の丸紋に対し、帯は直線代表の間道を合わせてみました。
[ 2015/04/12 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の付下げ「流水に丸紋」の帯合わせ

第三千四十九回目は、花也の付下げ「流水に丸紋」の帯合わせです。

今回の付下げは、丸紋、四季花、流水と、みんなに嫌われないものばかり集めた作品ですから、帯合わせも楽だと思われます。しかし、雪輪、花の丸など丸紋系の帯だけは避けるべきでしょう。また流水模様も避けた方が良いですね。

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いちばん上の写真は、北尾の袋帯「錦繍本願寺道長文」を合わせてみました。北尾というのは西陣の証紙番号7という老舗です。6が加納(加納幸の本家らしい)であることは知られていますが、1~5はまだ見たことが無いので廃業しているのかもしれません。

地が綴組織で模様が西陣らしく絵緯糸で表現してあるので、模様部分だけ裏に渡り糸があります。色の組み合わせが、グレーや茶色をメインにしていて、都会のお金持ちのおしゃれなお婆さんみたいな感じですね。今は若い人がこういう配色を好むのではないかと思います。

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写真2番目は、織悦の袋帯「織悦錦料紙文山川能宣集」を合わせてみました。作品のテーマについて、道長取りだなあと思う以外、現物を見ただけでは私にはわかりませんが、タイトルが親切なのでヒントになりますね。

「能宣集」というのは、36歌仙の1人大中臣能宣の家集です。私が知っている能宣の歌は、百人一首にある「みかきもり衛士のたく火の夜は燃え昼は消えつつ物をこそ思へ」だけですが。「料紙」は和歌などかな文字を使った作品を書くために装飾をした紙です。料紙文は、その装飾文様の意味でしょう。能宣集にある歌が書かれた料紙の模様ということでしょうね。

上の帯合わせとは同じ道長取りですが、色の対象年齢が違いますね。私は年齢で分けず趣味で分けていいと思います。

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写真3番目は、織悦の袋帯「楽園」を合わせてみました。更紗模様の1つです。かわいいお馬さんがいますが、色が抑えてあるので、ファンシーショップで売っているような安っぽさはありません。こういうのが似合うお婆さんってかっこいいですよね。でも実際に買いたがるのは若い人かな。

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写真4番目は龍村の袋帯「有朋文」を合わせてみました。2番目の織悦の帯は、どこのものともわからない道長取り文様ですが、タイトルがヒントになって、ほぼ見当がつくというものでした。しかしこの龍村の帯は、鳥獣戯画とすぐわかるのに、タイトルでかえって分からなくなる例ですね。

「有朋文」は、蛙とうさぎが友達で、仲良く遊んでいるという意味でしょう。龍村にはタイトルを付ける名人がいるのでしょう。
[ 2015/04/11 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の付下げ「流水に丸紋」の細部

第三千四十八回目は、花也の付下げ「流水に丸紋」の細部です。

花也作品を支える糊糸目の職人さんは数人いて、それぞれ個性があります。その個性は、通常の防染のための輪郭線でははっきりわかりませんが、線描きをすると際立ちます。この作品を担当している糸目の職人さんは、細くてきれいな線ですが、あくまで擦れることのない線です。鋭さよりも温かみを感じますね。

一般的には、ゴム糸目は鋭く、糊糸目は温かみがあるイメージですが、深い意味では違いますね。ゴム糸目は操作性が良くどの職人でもきれいな線が置けるのですが、糊糸目は職人によって個性が出るということだと思います。糊で限界まで細く線を置いて、限界を超えたところで擦れる糸目は凄味がありますが、この糸目は擦れるまでは細くしないので、温かみがあるのです。

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いちばん上の写真は、笹と椿です。

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写真2番目は、笹と牡丹です。

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写真3番目は、萩と菊です。

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写真4番目は、楓と椿です。
[ 2015/04/10 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

花也の付下げ「流水に丸紋」

第三千四十七回目の作品として、花也の付下げ「流水に丸紋」を紹介します。

流水文を背景に、丸紋を配しています。丸紋の中の植物は、椿、笹、萩、楓、菊などが見えますが、一応四季の花が揃っていて季節を気にしなくても良いようになっています。模様豊富な取り方+背景のあっさりした白揚げという組合わせの図案は、安田の基本的な様式ですが、取り方の模様部分が色彩豊かなこと、背景の白揚げがダンマル描きであるところに独自性がありますね。

ダンマル描きは、蝋染と同じように薄く置くと半防染効果がありますから、流れは白抜きではなく、地色との中間色になります。糊防染の白抜きで水を描くと装飾的になりますが、ダンマル描きで中間色で描くと写生的な感じになりますね。

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いちばん上の写真は、前姿(マエミ+オクミ)です。前姿に丸紋は5つです。地色とは補色になる焦げ茶色が3つ、地色に対し色が馴染む水色と黄緑が1つずつです。

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写真2番目は後姿です。後姿に丸紋は3つ、焦げ茶色、水色、黄緑が1つずつです。


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写真3番目は袖です。丸紋は2つで、補色と馴染む色が1つずつです。

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写真4番目は胸です。いちばん顔の近くですが、顔の近くはくっきりする補色ではなく、自然に馴染む配色にしていますね。明日は細部です。
[ 2015/04/09 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

野口の付下げ(制作は倉部さん)の帯合わせ

第三千四十六回目は、野口の付下げ(制作は倉部さん)の帯合わせです。

今日は名古屋帯を合わせてみます。織の帯も染の帯も試してみます。

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いちばん上の写真は、龍村の名古屋帯「春秋宴」を合わせてみました。楓と桜が織り出されていて、春秋ともに使える意匠になっていますが、このようなテーマは、近世初期風俗画の花見図を連想させますので、春のイメージがあります。有名なのは雲谷等顔のもので、満開の桜の中に幕を張って大勢の女性が踊ったり、男性がお酒を飲んだりしています。春というテーマでまとめた感じですね。

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写真2番目は、龍村の名古屋帯「平泉遺宝錦」を合わせてみました。中尊寺金色堂の中に荘厳具として飾られている華鬘をテーマにしたものです。実物は金銅製で国宝です。龍村の作品としては金銀だけで織られていますので、色数を増やさない帯合わせになりました。

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写真3番目は、野口の友禅の名古屋帯を合わせてみました。実際に制作したのは橋村重彦さんです。しぼの大きい縮緬地にたっぷりと染料を含んだ重厚な友禅に、箔も刺繍も加えた名古屋帯としては内容過多ともいうべき作品です。絵画性のない着物に絵画性を加える帯合わせだと思います。

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写真4番目は、加賀友禅作家、中町博志の名古屋帯「春蘭」を合わせてみました。これも着物にない絵画性や色彩を加える帯合わせですね。

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写真5番目は、花也の友禅の名古屋帯「硯に羊歯と笹文」を合わせてみました。花也の友禅は、糊糸目の技を見せつける一方、彩色は抑制されています。色数を増やさない帯合わせと色を加える帯合わせの中間に有って、この程度がホッとしますね。

絵画性についても、羊歯や笹を硯の形の取り方に閉じ込めることで抑制していますし、その硯も同じようなのを3つ並べるだけで、モチーフ自体を増やしていないわけですから、ほどほどの絵画性でちょうど良いんですね。
[ 2015/04/08 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

野口の付下げ(制作は倉部さん)の帯合わせ

第三千四十五回目は、野口の付下げ(制作は倉部さん)の帯合わせです。

今日も袋帯を合わせてみました。

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いちばん上の写真は、洛風林の袋帯「宝飾華文」を合わせてみました。着物や帯に限らず、「豪華」と「洗練」を両立させるということは難しいのですが、この帯は流石に洛風林で、豪華でありながら都会的な雰囲気もありますね。そのおかげで、付下げから留袖まで幅広く使える帯になっていると思います。

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写真2番目は、洛風林の袋帯「インド七宝」を合わせてみました。3本脚の「トリスケレス」を4本脚に変えたようなくねくねした文様や、縄文土器を思わせるよな渦巻があって、文化人類学的に意味がありそうな土俗的な文様です。しかし、白地にピンクを含む淡い色で表現されることで、土俗的要素は精製されてしまっていますね。

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写真3番目は、河合康幸の袋帯「能装四季花の丸文」を合わせてみました。昨日紹介した山口美術織物の花の丸の帯は、お嬢様・若奥様向けでしたが、この帯はほぼ同じような文様ながら、地色が個性のある紫のため、それほどお嬢様・若奥様感はないですね。

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写真4番目は織悦の袋帯「彩悦錦」シリーズの「しだれ桜彩入」を合わせてみました。蝶と葉の付下げは、春の風情を抑制された様式で表現したものですが、それに対し春爛漫を大声で叫ぶような帯を合わせてみました。懐石料理で、客が、味が薄くて物足りないと言ってソースをぶっかけた感じですね。それもまた良しです。

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写真5番目は、龍村の袋帯「海老殻間道」を合わせてみました。ピンクで蝶の柄といえば、お嬢さま系の着物か、と思いますが、間道の帯を合わせると、そんな雰囲気は消し飛んでしまいます。普通の人にとっては、こういう帯合わせをして着やすくするのが良いのでは、と思います。
[ 2015/04/07 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

野口の付下げ(制作は倉部さん)の帯合わせ

第三千四十四回目は、野口の付下げ(制作は倉部さん)の帯合わせです。

今回、帯合わせする付下げは、模様は蝶と葉が点在するのみですから、季節としては春だろうとはわかりますが、それ以上には展開しない意匠です。絵画性・物語性に乏しいわけですね。また、色としては金銀のみですから、色彩に乏しいとも言えます。

このような帯合わせは、絵画性や色彩に乏しいことをこの付下げの短所と考えて、帯によってそれらを補うという合わせ方と、絵画性も色彩に乏しいことをこの付下げの主張と考えて、帯もそれに従うという合わせ方があります。前者ならば、模様がいっぱいの西陣の帯のほか、友禅の染め帯を合わせることもあります。

後者ならば、金糸だけの帯にしたり、縞や格子やシンプルな古典模様の帯を合わせたりします。色数や模様のテーマを増やさない無地系のコーデに通じるものがありますね。実際の帯合わせは、たいていそれらの中間になるとは思いますが。

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いちばん上の写真は、織悦の袋帯「光琳水」を合わせてみました。シンプルな古典模様の帯を合わせた例ですから、テーマを増やさない方向の帯合わせだと思いますが、蝶が水を飲みに来るとも見えますから、物語性を加えているとも言えます。相反する2つの帯合わせを両立させてしまう帯合わせもあるわけですね。

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写真2番目は、山口美術織物の「花の丸に松皮菱模様」の袋帯を合わせてみました。花の丸は多彩ですが抑制されており、地は着物の模様の色と同じ金地なので、上品に納まる感じの帯合わせです。お嬢さま・若奥さま系の帯合わせの基本形ですが、絶滅危惧種でもありますね。

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写真3番目は、織悦の袋帯「彩悦錦」シリーズの「立沸に遠山文」を合わせてみました。立沸も遠山も日本の伝統の代表のような古典文様で、それを合わせただけですから絵画性が高いとは言えませんが、飛ぶ蝶の背景と思えば、絵画的なつながりも感じます。

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写真4番目は織悦の袋帯「遠山に桜楓」を合わせてみました。淡いピンク地の着物に黒い帯を合わせるというくっきりした帯合わせをしてみました。明と暗、色もほぼ補色に近いというメリハリ系の帯合わせですが、模様は金と黒ですから、黒以外の色数は全く増やしていません。

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写真5番目は、捨松の袋帯を合わせてみました。引き箔の金地で籠目に牡丹と菊です。牡丹と菊は交互に現れるので、お太鼓が菊で腹文は牡丹だと思います。このブログの帯合わせは、マエミの柄に帯のお太鼓を合わせるという変則的なことをしているので、今回は腹文に出るであろう牡丹文をお太鼓のように合わせています。
[ 2015/04/06 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

野口の付下げ(制作は倉部さん)の細部

第三千四十三回目は、野口の付下げ(制作は倉部さん)の細部です。

今日は銀糸で刺繍された葉の表現に着目してみます。形としては同じような葉ですが、縫いの技法は3種類に分かれています。駒繍と菅繍と、緯糸に沿って地を埋めるように刺繍の3つです。駒繍は立体的で、菅繍()は生地に密着して平面的で、緯糸に沿って地を埋めるような刺繍(渡繍)はその中間です。この3つの技法を併用することで、遠近感が出るのです。ルネサンスの画家が透視遠近法を発明したように、倉部さんの刺繍には技法による遠近法が使われているのです。

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いちばん上の写真は、銀糸で刺繍された葉のうちの2枚を撮ってみました。駒繍と渡緯糸に沿って地を埋めるような刺繍の2つです。

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写真2番目は、銀糸の駒繍で表現された葉の拡大です。

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写真2番目は、銀糸で緯糸に沿って地を埋めるように刺繍された葉の拡大です。

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写真4番目は、銀糸の銀糸の菅繍で表現された葉の拡大です。
[ 2015/04/05 ] 繍箔 | TB(0) | CM(0)

野口の付下げ(制作は倉部さん)の細部

第三千四十二回目は、野口の付下げ(制作は倉部さん)の細部です。

蝶は全部少しずつ繍い方を変えて、単調にならないようにしています。今日は昨日の蝶以外のパターンを紹介します。

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いちばん上の写真は、マエミの下の方にいる蝶です。

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写真2番目は上の蝶の裏側です。オレンジ色の留め糸は、菅繍を留めるという役割を果たすためにあるわけですが、表面から見るとオレンジの点々に見えて蝶の翅の模様に見えます。本来は機能でしかないものが、装飾の役割もするように計算されているわけですね。さらに裏から見ると、オレンジの糸だらけで結構派手ですね。

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写真3番目は、後姿にいる蝶です。

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写真4番目は、オクミにいる蝶です。
[ 2015/04/04 ] 繍箔 | TB(0) | CM(0)

野口の付下げ(制作は倉部さん)の細部

第三千四十一回目は、野口の付下げ(制作は倉部さん)の細部です。

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いちばん上の写真は、斜めから撮ってみました。刺繍の立体感がわかりやすいです。

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写真2番目は裏側です。翅の表面は菅繍で、立体感がないですが、オレンジ色の留め糸が多くあるため、裏側は意外に糸が多いです。

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写真3番目は、後翅の駒繍の部分の拡大です。いちばん立体感のある部分ですね。

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写真4番目は、後翅の表面の菅繍と翅の輪郭の駒繍の拡大です。菅繍は、生地の緯糸に沿って1目ずつ空けて繍う技法です。生地に密着して織の一部のように見え、立体感が無いのが特徴です。

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写真5番目は、翅の表面と翅の筋状の模様の拡大です。

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写真6番目は触覚の拡大です。ほんとに昆虫みたいですね。私は虫が怖いので、気持ち悪いです。
[ 2015/04/03 ] 繍箔 | TB(0) | CM(0)

野口の付下げ(制作は倉部)

第三千四十回目は、野口の付下げを紹介します。制作したのは倉部さんです。

淡いピンク地に刺繍で蝶と葉を表現しています。蝶は金糸で全体で5頭、葉は銀糸で無数に散らされています。

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いちばん上の写真は、前姿(マエミ+オクミ)です。前姿に蝶は3頭、葉は8枚ですね。

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写真2番目は後姿です。後姿に蝶は1頭、葉は6枚ですね。

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写真3番目は袖です。外袖に蝶は1頭、葉は3枚ですね。

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写真4番目は近接です。このような作品は、刺繍1つ1つにすごくコストがかかっているので、通常販売できる価格帯で、その刺繍を何個することができるかということが勝負です。模様をさまざまに展開をするような余裕はありませんから、この作品でも、まあなんとか付下げと認められる程度の模様の量しかありません。同じ価格帯で、たくさん模様を付けたければ、中国かベトナムで作らないといけません。

精度の高い日本刺繍で意匠を楽しまないか、中国かベトナムの刺繍で意匠を楽しむか、という選択ですね。これは日本独特の精度の高いものですから、その「精度」を楽しんでください。翅の表面は菅繍で、オレンジ色の点々は留め糸です。触覚はまつい繍、翅の輪郭は駒繍、翅の模様は一部が駒繍、他は渡繍といった感じです。つまりこの狭い面積の中に4つの技法が使われているわけですね。
[ 2015/04/02 ] 繍箔 | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛の桜の小紋

第三千三十九回目は、千切屋治兵衛の桜の小紋です。

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いちばん上の写真は、境内のいちばん奥から2本の木が両方見えるように撮ってみました。鐘楼が光る桜を背景にシルエットとして浮かび上がるように撮っています。

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写真2番目は2本のうち老木の方です。普通に撮ったつもりですが、お地蔵様メインですね。境内には石碑などが多く、普通に夜桜を撮ると角度によってホラーっぽくなりますね。

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写真3番目は近接です。

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写真4番目は、千切屋治兵衛の「枝桜」というタイトルの着尺(小紋)です。霞が春っぽいイメージですが、夜の霞でしょうか、この時期らしく天気が急に変わるのかな。

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写真4番目は近接です。ブログ前半で夜桜の写真を載せているので、この着尺も夜桜がテーマだと思ってしまいます。でもこれは読者の心理を誘導しているだけです。じつはこの小紋は、元々色のバリエーションがあり、私が墨色を選んだだけなのです。色としては水色地がいちばん綺麗でした。