堰出の疋田と刺繍の帯の帯合わせ

第二千八百八十九回目は、堰出の疋田と刺繍の帯の帯合わせです。

今日は紬に合わせてみます。今回の堰出の疋田と刺繍の帯は、染めの名古屋帯の中では比較的フォーマルな印象がありますが、紬にも合うか試してみます。

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いちばん上の写真は、山下八百子の黄八丈を合わせてみました。人気作家の高価な紬ですが、このような紬に帯を合わせるときは、帯合わせは値段を合わせるわけではないとは言いながら、値段的に釣り合う帯を合わせたくなるものではないでしょうか。

今回の帯は、山下八百子の黄八丈よりはるかに安いですが、なんとなくのフォーマル感から釣り合っているようにも見えます。

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写真2番目は、読谷花織を合わせてみました。きれいな紫色です。

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写真3番目は、かつての重要無形文化財の要件を満たす結城紬を合わせてみました。個性の強いきりっとした縞の結城です。堰出の疋田と刺繍の帯が持つ典雅な雰囲気によって、縞の粋な雰囲気が緩和されていると言えるでしょうか。

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写真4番目は、かつての重要無形文化財の要件を満たさない結城紬を合わせてみました。茨城県の証紙のある無地で、きれいなピンクです。ピンクと黒の配色は基本ですね。
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[ 2014/10/31 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

堰出の疋田と刺繍の帯の帯合わせ

第二千八百八十八回目は、堰出の疋田と刺繍の帯の帯合わせです。

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いちばん上の写真は、野口の着尺を合わせてみました。茶系に青を少し入れた格子で、年輩者も着られる程度に地味でいて都会的、粋とも雅とも言えてしまいそうな着尺です。どんな帯とも合ってしまいそうな着物ですから、合わせ甲斐もないのですが、とりあえず基本として試してみました。

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写真2番目は、千切屋治兵衛の着尺を合わせてみました。実際に制作したのは大和さんです。飛び柄の着尺ですが、テーマは栗鼠です。飛び柄も合わせやすいですね。

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写真3番目は、野口の着尺を合わせてみました。今回の帯は、刺繍と疋田で絵画的な友禅がないですから、着物は思い切り絵画的な友禅模様を合わせてみました。

このような着物は帯合わせは難しいですね。模様どうしが重なって花模様の帯は合わせられないですし、着物に訪問着のような存在感があるためにカジュアルな帯も使えません。結局、西陣の袋帯でシンプルな意匠のものを探すしかないというわけで、たまたまそういう帯を持っていないと悩みますね。

この帯は、花模様も刺繍ですし、模様の大部分は疋田、しかもけっこう存在感があるということで、このような着物にも使えますね。

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写真4番目は、野口の着尺を合わせてみました。きれいな黄緑色の更紗です。実際に身にまとったら綺麗だろうなあと思いますが、そういう着物というのは帯合わせが難しいものですね。黒地で、存在感がありつつ、余白のあるこういう帯は貴重ですね。
[ 2014/10/30 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

堰出の疋田と刺繍の帯

第二千八百八十七回目の作品して、堰出の疋田と刺繍の帯を紹介します。

東京の工房によって制作された、堰出の疋田と刺繍を組み合わせた作品です。このような様式は、元々は千代田染繍が製作していたものだと思います。千代田染繍の作品は北秀で扱っていましたが、多くは黒留袖で200万円~350万円でした。

今日紹介する帯は、そのミニチュアみたいな作品です。東京のどこかでつくられていますが、工房は正確にはわかりません。千代田染繍もそうでしたが、1つの工房に職人が集まって作業をしているわけではなく、多くの工程が外注で成り立っているからです。京都の悉皆屋のシステムと同じですね。

刺繍というのは、門戸が広いですね。友禅に比べて設備もいらないですし、一般の人が徐々に習うことができます。そして仕事の習熟度に応じて仕事を請け負うことができるからです。制作者は、自分が制作しようとする作品にちょうど良いレベルの刺繍作家を選べば、徒にコストが高くなることはありません。

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いちばん上の写真は、お太鼓です。このような三角形の取り方を「湊取り」といいます。意味は、岬と入江の形ということのようです。

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写真2番目は、腹文です。堰出の疋田は両側にありますが、刺繍は片側のみです。

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写真3番目は、お太鼓の近接です。疋田の多くは複数の型をつかう型疋田ですが、これは手描き友禅の疋田です。糸目を置くのではなく堰出友禅のように面(塊)で防染するので、堰出の疋田といいます。整然と並んでいるようでいて、微妙に揺らぎがありますね。また1つ1つの形も微妙に異なります。

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写真4番目は、お太鼓の近接です。


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写真5番目は、腹文の近接です。



[ 2014/10/29 ] 繍箔 | TB(0) | CM(0)

花也の付下げ「白川女」の帯合わせ

第二千八百八十六回目は、花也の付下げ「白川女」の帯合わせです。

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いちばん上の写真は、龍村の袋帯「錦秀遺宝文」を合わせてみました。反っくり返った鹿があることで、テーマは平家納経だとわかります。俵屋宗達が修復して付け加えた表紙部分ですよね。タイトルには「錦秀」とありますが、これを見た人の脳内では、平家納経→安藝の宮島→錦秋とつながります。龍村のタイトルを付ける人はすごい人だと思います。

色彩豊かな帯の雰囲気で、着物の凄味が緩和されています。その一方で、龍村の重厚感もあるので、着物帯トータルの存在感は凄味一方よりむしろ深みを増しているのでは。

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写真2番目は、織悦の袋帯「彩悦錦・亀甲菊枝文」を合わせてみました。喜多川俵二が得意とするような有職織の二陪織物ですね。喜多川俵二の二陪織物と違うところは、模様が6色になって華やかになったところです。しかし、強い規則性を持った意匠なので、有職文のもつ格式の高さは失なわれていません。格式で着物の凄味に対抗出来ているように思います。

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写真3番目は、大西勇の袋帯「有栖川錦龍文」を合わせてみました。前田家伝来の格式の高い名物裂の一部を意匠としたものです。龍というモチーフはフォーマル感が強いはずですが、この帯は地が真綿のような質感のためか、あまり堅苦しい感じが無く、付下げでも使えますね。

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写真4番目は、龍村の袋帯「海老殻間道手」を合わせてみました。最後はこの万能の帯です。一生に1本しか帯を買ってはいけないと言われたらこれを買うと良いと思います。
[ 2014/10/28 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の付下げ「白川女」の帯合わせ

第二千八百八十五回目は、花也の付下げ「白川女」の帯合わせです。

今回の着物は、糊糸目に凄味さえ感じる作品ですが、それに合わせる帯を考える時、同じように凄味を持った帯を合わせるか、凄味を緩和する帯を合わせるか、どちらかのように思います。

どんな帯が凄味がある帯で、どんな帯が緩和する帯なのか、ということですが、おそらく答えは、優れた作品は凄味と温かみがあって、だめな作品は両方ともないということでしょう。この着物は良い帯しか合いそうもありませんね。今回は客観的な基準として、色を基準とし、色数を増やす帯と増やさない帯を合わせてみたいと思います。今日は増やさない方です。

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いちばん上の写真は、龍村の袋帯「海音光映錦」を合わせてみました。龍村の上の方のランクの帯で、着物に負けない凄味があります。凄味のあるどうしの組み合わせを考えてみました。

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写真2番目は、北尾の綴の袋帯「金繍本願寺道長文」を合わせてみました。北尾の綴は、地は綴組織ですが、模様は絵緯糸による表現をしていますから、裏に渡り糸があります。金と無彩色のみの都会的な配色の帯なので、色数を増やさない帯合わせですね。

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写真3番目は、梅垣の袋帯「蒔絵花鳥文」を合わせてみました。タイトルから本歌は蒔き絵と推測できます。地は蒔き絵と見まごうような極細の本金の引き箔の糸です。

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写真4番目は、帯屋捨松の袋帯「牡丹唐草文」を合わせてみました。太い引き箔で名物裂の牡丹唐草を表現したシンプルな意匠ですが、地の部分の緯糸全体に細い引き箔の糸が織り込まれていて、重厚な雰囲気になっています。また白とピンクのグラデーションになっているので、名物裂の格調の高さと共に優しさもあります。
[ 2014/10/27 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

龍村の干支のぬいぐるみ

第二千八百八十四回目の作品として、龍村の干支のぬいぐるみを紹介します。

毎年この時期になると、龍村から来年の干支のマスコットが発表されます。今年は羊ですね。いずれあちこちで見ることになるでしょうから、早く掲載します。マスコットは2種類で、ぬいぐるみと木目込みで、木目込みの方が少し高いです。私はぬいぐるみが好きなので、いつもぬいぐるみ派です。

いつも龍村裂を使った半天を着ているために座ったポーズでしたが、今年は動物風に4つ足になりました。

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いちばん上の写真は、グラビアアイドル風にポーズをとってもらいました。

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写真2番目は、昔のアイドルのレコードジャケット風に撮ってみました。ちゃんとした写真は龍村の公式サイトで見てくださいね。
[ 2014/10/26 ] 小物と小物合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の付下げ「白川女」の細部

第二千八百八十三回目は、花也の付下げ「白川女」の細部です。

この作品の唯一最大の見どころは糊糸目なので、今日はできるだけ近接してみました。糸目の本来の機能は、染料が滲まないための堤防ですが、それを芸術的に進化させて、毛筆のように作画してしまったのがこの作品です。花也の糊糸目には4通りあります。糸目の細くなる部分でかすれて美しいもの、細い部分もかすれないのが見事なもの、ゴムとは違う糊の温かみがあるもの、そして凄味のあるものですね。

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いちばん上の写真はオクミの近接です。

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写真2番目は、マエミの近接です。

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写真3番目は、後ろ見頃の近接です。

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写真4番目はさらに近接です。糊糸目の歴史は、友禅が発明されて以来300年以上経つわけですが、これが最終形態でしょうね。江戸時代の小袖の名品といわれるものでも、こういうことをした人はいませんね。
[ 2014/10/25 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

花也の付下げ「白川女」

第二千八百八十二回目の作品として、花也の付下げ「白川女」を紹介します。

以前にも「白川女」と題された花也の付下げを紹介したことがありましたが、今回は、ほぼ同じテーマながら別の職人さんによる作品です。今回のタイトルは私が適当に付けたのですが、京都には「白川女」以外にも「大原女」「桂女」という女性の行商人がいますよね。それぞれの産地により、「白川女」は花、「大原女」は薪と野菜、「桂女」は鮎と売るものは別で、伝統的な衣装を着けて売るものを頭に載せています。今は本当に売っているのではなく観光用ですが、こういうことは私より詳しい人がいて、ブログなどで書いているでしょう。

今回の作品は、白川女(大原女?)をそのまま描くのではなく、頭に載せるものだけ描いて象徴的に表現しています。描かれているのは花なのか、薪が描かれていて意匠として四季の花が加えられているのか、よくわからないですが、糊糸目の凄さを示すならこの意匠だと思います。

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いちばん上の写真は、前姿(マエミ+オクミ)です。

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写真2番目は後姿です。

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写真3番目は袖です。

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写真4番目は胸です。今回の作品は糊糸目そのものが見どころです。もう線描きなんてレベルではなく、糸目そのものが作品ですね。明日、細部を。
[ 2014/10/24 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

菱一のオリジナル結城紬の帯合わせ

第二千八百八十一回目は、菱一のオリジナル結城紬の帯合わせです。

昨日の続きです。今日は西陣の織物ではなく、友禅や刺繍の帯を合わせてみます。紬の着物にはカジュアルな帯を合わせて普段に着るのが本来ですが、今日はできるだけフォーマルっぽい帯を合わせて、パーティっぽい感じにします。淡い色の無地の紬ですから、条件を付けなければ帯合わせが簡単すぎますからね。

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いちばん上の写真は、刺繍だけで加工された名古屋帯です。製作したのは菱一ですが、実際に作業をした刺繍の職人さんはわかりません。テーマは名物裂の荒磯緞子に登場するモチーフです。荒磯緞子は足利義政以前の古い時代に渡来した「古渡」といわれるものですから、名物裂の中でも特に格の高い意匠ということになると思います。

荒い波の中で躍動する鯉をモチーフにしたものですが、日本の名物裂としては「荒磯」とネーミングされているので、海の魚みたいですよね。元は織物ですから同じ形の鯉が並んでいますが、この作品では荒波は省略され、鯉だけが大小の差をつけて表現されています。親子のようにも見え、同じ大きさの鯉が並んでいる本歌より親しみがわきますから、紬に合いやすいかもしれませんね。

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写真2番目は、木下冬彦の東京友禅の袋帯を合わせてみました。木下冬彦さんは、熊谷好博子の弟子で細密な友禅を描く作家です。加賀友禅や京友禅の工房をテレビなどで見ると、1人の師に対して多くの弟子がいて共同で仕事をしていることが多いです。しかし、熊谷好博子は1度に1人しか弟子を取らず、しかも20年ほどの修業期間を課したと言われます。だから生涯に弟子は2人か3人しかいないはず。その1人がこの人ですね。

おそらく師と弟子は向かい合って仕事をしていて、そこには20年にわたって濃密な時間が流れていたと思われます(私は苦手)。そんなことを思わせるような濃密な友禅ですね。値段も濃密です。

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写真3番目は、大松の友禅の袋帯を合わせてみました。大松は大黒屋松三郎の略で大彦(大黒屋彦兵衛)の本家に当たります。私は、大松の特長である鮮やかで都会的、そして透明感のある配色が好きです。丸にインコのモチーフは、正倉院の銀平脱の合子の鸚哥さんチームの碁石入れから出発しているんでしょうね。

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写真4番目は、北秀の繍箔の袋帯を合わせてみました。当時北秀が取引していた、東京の刺繍と箔の工房が製作した作品です。東京でいちばんセンスの良い問屋であった北秀の作風が良く伝わってくる作品だと思います。
[ 2014/10/23 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

菱一のオリジナル結城紬の帯合わせ

第二千八百八十回目は、菱一のオリジナル結城紬の帯合わせです。

淡い色の無地の紬の帯合わせを考えるということであれば、どんな帯でも合ってしまうので、わざわざブログで取り上げるまでもありません。元々どんな帯でも合う着易い着物、ということで企画されたものですしね。

今回は少しハードルを上げて、袋帯を合わせてパーティーでも着られるようなお洒落な着方をするというテーマにしてみました。

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いちばん上の写真は、大西の袋帯を合わせてみました。本歌は正倉院御物の蝋染の屏風です。古代の蝋染は、版のようなものを使って蝋を置いて防染したのか、手描きで蝋を置いたのか、両方の説があるのですが、形としてはかなり稚拙でそれが作品の魅力になっています。

この作品は、本歌の素朴な雰囲気を生かすような素材と技法を使って織物として再現しています。すなわち真綿のように見える素材を使って紬のような地にしているんですね。それが稚拙の見える象の形にマッチしているのですが、同時に紬の着物にも合う雰囲気になっています。

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写真2番目は、山鹿清華の袋帯「孔雀」を合わせてみました。山鹿清華の作品は、本人によって「手織錦」とネーミングされ、装飾用の巨大なタピスリーが中心です。それ以外にライセンス商品としてつくられた帯があり、これもその一点です。本人作とライセンス商品は落款により区別できます。ライセンス商品は、意匠だけでなく手織錦特有の技法も踏襲しているので、落款が無ければ私には全く分かりません。

この帯は私は大好きですが、派手はレンガ色のような地色のために今迄売れ残っているのでしょうね。この色は昭和そのものだと思います。まあでも今日の白茶の無地の紬はどんな帯でも合ってしまう着物ですから、こんな地色の帯でも何とかなってしまいます。

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写真3番目は、桝屋高尾の袋帯を合わせてみました。現在の現在の桝屋高尾は「捻金の帯」で有名ですよね。ネットショップで出会う桝屋高尾はすべて「捻金の帯」だと思います。しかし、少し昔はこんなエキゾチックな意匠の総刺繍の袋帯もつくっていました。ヨーロッパの騎士が使う紋章のようなイメージですね。

使われている刺繍の技法がバリエーションに富んでいるので日本製だと思います。中国やベトナムのような外国の刺繍と日本の刺繍の見分けの仕方は、上手い下手ではありません。外国にも器用な人はいるし、日本にも不器用な人はいますから。それより確実な見分けのポイントは、使われている技法の種類です。器用な外国人に日本の刺繍を速習させ商品化しようと思えば、単一の技法を教え込むのが早いですからね。

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写真4番目は、洛風林の袋帯を合わせてみました。名物裂の梅と牡丹(椿のようにも見えますが)の唐草模様です。宝尽くしも見えますが、小牡丹と宝尽くしの組み合わせは「大黒屋金襴」の意匠ですね。

本来は格調高い名物裂ですが、白地に青と茶色の配色にしたことで、とてもモダンでおしゃれな雰囲気になっています。いかにも洛風林だと思います。

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写真5番目は、捨松の袋帯を合わせてみました。地は黒ですが、緯糸が全て引き箔のため、黒が真っ黒ではなく、重さも軽く締めやすくなっています。
[ 2014/10/22 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

菱一のオリジナル結城紬

第二千八百七十九回目の作品として、菱一のオリジナル結城紬を紹介します。


菱一の注文により、結城紬の産地問屋(現地では伝統的に「縞屋」というんですね。)の1つである小倉さんが菱一オリジナルとして制作したものです。少し昔の問屋は、産地に注文して自分の会社のオリジナル商品を創っていました。「別織」「別染」「別誂」などと表示されているものですね。

しかし、現在ではそんな甲斐性のある問屋は少なく、たいていは産地がつくったものを仕入れるだけです。自社のオリジナルを創る場合は、最低ロット数があって、それを売りこなす自信が無ければできませんが、産地がすでにつくったものを仕入れるだけならば、気に入ったものだけを買うことができますから。菱一は自分でリスクを取る数少ない問屋なのです。

はなはだしい場合は、産地から仕入れず、展示会に合わせて借りるだけの問屋もあります。そんな問屋は世の中に必要ないですね。小売店でもユーザーでも何時間か新幹線に乗ればどんな産地でも行かれるのですから。

今日紹介するのは、かつての重要無形文化財の要件を満たすものではありません。でも白茶の無地で、誰でも着やすい、帯合わせもしやすい着物です。菱一のオリジナルは、技を披露する着物ではなく、値段も含めて現実に着易い着物ですね。

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いちばん上の写真は、反物の幅を写真の幅として撮ったものです。

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写真2番目は拡大です。経緯共に真綿の糸のようですね。また緯糸には、ところどころに太い真綿糸が織りこまれていて(写真の上の方)、民芸っぽい味わいになっています。もちろん、かつての重要無形文化財に相当するものではないですから、手紬ではありません。
[ 2014/10/21 ] 各地の絣・紬 | TB(0) | CM(0)

紋紗の白生地

第二千八百七十八回目の作品として、紋紗の白生地を紹介します。

お暇な方は「月別アーカイブ」を使って、過去の記事を検索してみてください。2014年6月8日と6月7日の藤井絞の紗のコート地(羽織地)の記事、4月11日と4月10日の野口の紗のコート地(羽織地)の記事です。藤井絞のものは、紗の生地にホタル絞をしていて、野口のものは紗に生地に燕の刺繍をしていますが、ベースの紗の生地はじつは同じものでしょう。今の呉服業界で、着物の幅の紋紗を織るメーカーはおそらく1社しかないでしょうから。

今回、藤井絞にお願いして、元の白生地を譲ってもらいました。過去の紹介ではすべてコート地または長羽織地のしていますが、これは12mの長さがあるので、着物にもなります。

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いちばん上の写真は、唐花文様で正倉院風の鳥もいます。

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写真2番目は、幾何学文様ですね。

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写真3番目は、市松模様で芒ですね。

いずれも無地染するだけで、夏の着物にもコートにもなります。私は、いちばん下の芒の模様には、蜻蛉の刺繍を飛ばしてみたいと思っています。またそのうち加工をしたら紹介します。

花也の付下げ「八重葎(やえむぐら)」の帯合わせ

第二千八百七十七回目は、花也の付下げ「八重葎(やえむぐら)」の帯合わせです。

今日は昨日の続きで袋帯を合わせてみます。今回の作品は反物状態で付下げとして販売していますが、模様の面積から言えば、堂々たる訪問着です。重葎という一種類の植物だけの単一モチーフですし、配置の全体が斜線、色も黒に見える濃紺という尖った作品です。こういう着物は、宝塚の男役みたいな生き方をしている人が、洛風林のような個性のある帯を合わせて着るもの、と思ってしまいがちです。しかし、着物の着こなしというのはそんなに厳しいものではなく、もっと普通の人が普通に着られるべきだとも思います。

今回は、平凡な人が平凡に着るための帯合わせと都会派を目指した帯合わせを、両方試してみます。

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いちばん上の写真は、紫紘の袋帯「懐紙入れ」を合わせてみました。銀糸の引き箔の地の中に、懐紙入れの模様を織り出したものです。一見、器物模様ですが、懐紙入れには模様の容器の役割を果たし、中に華やかな琳派模様などが入っています。

普通の奥様が使う普通に高級な袋帯です。こうして合わせてみると、個性的な着物だから個性的な帯が必要ということはなくて、普通に高級な帯でも使えるということがわかります。

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写真2番目は、かのう幸の袋帯「雪持ち笹能衣装文」を合わせてみました。個性的な意匠ですが、これは実在する能衣装をほぼそのまま帯の形式にしたものです。本歌は胴が雪持ち笹、袖が菱文ですね。

帯も個性的とはいえ、八重葎の着物とは全く違う方向です。両者が混じると結構普通の高級品ですね。

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写真3番目は、洛風林の袋帯「インド七宝文」を合わせてみました。足がくにゃくにゃした模様と渦巻き模様の組み合わせです。渦巻き模様は水を表すものとして縄文土器にもありますね。足がくにゃくにゃした模様は、私が知る限り3本から7本までバリエーションがあり、世界各地に散見されます。いずれも古代の諸民族が所有していた象徴ですね。

この帯合わせは、バシッと決めた状態ですね。美しい組み合わせだと思いますが、こういう帯合わせだけが良い帯合わせだと思うと、少人数参加のものになってしまい着物文化が痩せてしまいますね。

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写真4番目は、織悦の「枝栗繍文」を合わせてみました。地色が金色に見えますが、これは経糸が錆草色(抹茶色みたいな色)、緯糸が本金の平金糸の組み合わせから生じる色です。栗を大きく描いた自由な意匠ですが、なぜ自由に見えるのか、その意味はタイトルに隠れています。「枝栗繍文」すなわち本歌は刺繍なんですね。だから織と違ってパターンに繰り返しの制約がなく自由なのです。

帯合わせの方も、何も考えていないと思わせるような天然の組み合わせです。テレビタレントでも天然がウリの人も多いですし、私はこういう組み合わせもあっていいと思います。

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写真5番目は、洛風林の袋帯「飾宝華文」を合わせてみました。最後はいちばんちゃんとした帯合わせにしました。高級感もあり、洗練されていて、マニアにも尊敬されつつ常識的でもある帯あわせですね。
[ 2014/10/19 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の付下げ「八重葎(やえむぐら)」の帯合わせ

第二千八百七十六回目は、花也の付下げ「八重葎(やえむぐら)」の帯合わせです。

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いちばん上の写真は、「交繍文」というタイトルの袋帯を合わせてみました。織ったのは小機屋で織屋の名前はよくわかりません。着物の模様が直線的なので、帯は対照的な曲線模様にして対比させてみました。カジュアルな雰囲気もある帯ですが、途切れないでつながっていく模様ということで、意味的には結婚式にも合うということになります。

繰り返しの単純な意匠のようですが、絵緯糸を使って一部を刺繍のように見せるという仕掛けもしています。それがタイトルの「交繍文」の意味ですね。

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写真2番目は、大庭の袋帯を合わせてみました。これは昭和の終わりごろの古い在庫で、本金の引き箔を全体に使って、もちろん手織りというとても良いものです。扇というフォーマルを連想させるモチーフ、直線的なデザイン、上の帯とは逆の発想の帯ですね。

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写真3番目は、龍村の袋帯「海老殻間道手」を合わせてみました。帯合わせでは万能な龍村の間道は、この着物に対しても有効ですね。縞といえば粋というイメージがあってカジュアルな雰囲気ですが、間道といえば由緒ある名物裂ですから、カジュアルにもフォーマルにも何となく対応してしまうのでしょう。

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写真4番目は、織悦の袋帯「彩悦錦・遠山立沸文」を合わせてみました。織悦を使った帯合わせは、どんな時も都会的ですね。
[ 2014/10/18 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の付下げ「八重葎(やえむぐら)」の細部と比較

第二千八百七十五回目は、花也の付下げ「八重葎(やえむぐら)」の細部と比較です。

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いちばん上の写真は、花也の付下げ「八重葎」の近接です。今回の着物の地色は、皆様の液晶画面ではかなり青っぽく見えているかもしれません。実際には黒に近い色で微妙に青みがある程度です。

黒に近いすっきりした色に、斜線が連なる意匠ですから、女性的な色気や優しさよりも、宝塚の男役みたいな雰囲気を目指している方に向く感じですね。直線に見える線は、細部を見ると手描きの線の歪みがあります。微妙な途切れやかすれもありますし、さらに蔓の突起部分を見ると、線の端にわずかな膨らみがあって、糊筒がどちらの方向から動いたかわかります。

これが糊糸目の職人の手作業の温かみで、これが無いと安いプリントものに見えてしまいます。また、歪みがありすぎると、ただの下手な職人の作品か、素人がカルチャーセンターで描いた友禅のようになってしまいます。そこが兼ね合いですね。職人が最高に精緻な仕事をし、それでも人間の限界で微妙な歪みが出てしまう、という状況が工芸の理想ですね。

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写真2番目は、中井淳夫の付下げ「八重葎」の前姿(マエミ+オクミ)です。製作は千切屋治兵衛です。比較のために、中井さんの同じテーマの作品を掲載してみました。私はどちらも存在意義のある作品と思いますし、どちらが似合うかは人それぞれだと思いますが、やはり天才と秀才ぐらいの違いはありますね。お金を惜しまず優れた職人を集めれば花也の着物の真似はできる気がします。しかし中井の着物は、本人の死後はニセモノさえ作れませんね。

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写真3番目は、中井淳夫の付下げ「八重葎」の近接です。
[ 2014/10/17 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

花也の付下げ「八重葎(やえむぐら)」

第二千八百七十四回目の作品は、花也の付下げ「八重葎(やえむぐら)」を紹介します。

八重葎は道端に生えている雑草のイメージです。蔓植物で、八枚ぐらいの葉が輪のように出ていて、「ひっつき虫」の性質があります。青梅は、遠足といえば山歩きばかりだったので、こっそり友達のセーターの背中に付けておく悪戯が懐かしいです。

フォーマルな着物の意匠になるからには、ただの雑草ではなく由緒あるものではないかと思ってしまいますね。古典文学に登場するものとしては、百人一首の恵慶法師の歌で、「八重葎(やへむぐら) しげれる宿の さびしきに 人こそ見えね 秋は来にけり」があります。でも着物のテーマとしてはどうでしょうか。華やかな場で着るのも変ですね。

また源氏物語の「帚木」の「雨夜の品定め」に、「「さびしくあはれたらむ葎の門に、思ひのほかにらうたげならん人の閉ぢられたらんこそ限りなくめづらしくはおぼえめ」というのもあります。門に八重葎が絡みつくほどさびれた屋敷の中に・・・ということですが、門を着物と思えば、その着物の中の人こそ「らうたげならん人」ということでしょう。これで初めて、雑草と女性の着物の意匠がつながります。

しかしながら、古典文学の解説を読むと、古典文学に登場する葎または八重葎は、現代の八重葎ではなく雑草の総称であるとありますね。または金葎とも。金葎は、八重葎より硬くて留守の家の門に絡むなど人間の生活を妨害し荒廃の象徴だと思います。その辺はあえて無視して、あるいは意味のズレを利用してモチーフとしているのでしょうか。

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いちばん上の写真は前姿(マエミ+オクミ)です。蔓植物といえば曲線模様ですが、この作品では直線模様となっています。

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写真2番目は後姿です。

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写真3番目は袖です。

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写真4番目は胸です。模様は縫い目を越えて衿につながります。
[ 2014/10/16 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

振袖を制作するというテーマ

第二千八百七十三回目は、振袖を制作するというテーマです。

私の長女が今度の1月に成人式をするので、現在振袖を制作しています。背が小さいために、既存の商品だと袖の柄が切れてしまうので、新しく制作することにしました。

動物が好きで大学の帰りに吉祥寺の鳥カフェに寄ることがあるというので、テーマは鳥にしました。記念になるように家族全員が制作に参加しようと思い、分業して下絵が描ける飛び柄にしました。また、小柄ということは体表面が小さいので、加工面積が少なくて済みます。だから加工に贅沢をすることが許されるので、友禅や箔は使わず総刺繍で制作します。

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いちばん上の写真は、実物大下絵の全体です。まず鳥のモチーフを描いて大きさを決め、複数コピーします。それを色鉛筆で塗り、切り離して、実物大の着物の形をした紙の上に置いて、数と配置を決めます。決まったらセロテープで貼って行きます。全体は30個で、帯下が20個、帯上が10個です。卒業式の時に袴姿で着るので、帯上も一定の数が必要ですね。

将来的に訪問着にできるように、朱色系は使わず色は地味目です。袖の柄は、袖を切ったときに捨ててしまう柄をなるべく少なくするように配置します。袖の下半分に全く柄が無いというのは変ですから、3個は犠牲にすることにしました。その3個には重複するモチーフを選びます。

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写真2番目は、少し近接してみました。長女は名前が柚子なので、下前に柚子のモチーフが入っています。

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写真3番目は、私が描いたメジロです。私は草稿だけ描き、清書と大きさの確定と色鉛筆による彩色は本業の下絵師が行っています。メジロと分らなかったようで勝手な色を塗っていますが、この後、黄緑色に修正しました。

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写真4番目は、インコ系の鳥ですが、福田平八郎の絵から拝借しています。今回の作品は、女の子が着てかわいいように柔らかいタッチを狙っていますが、あまりイラスト風になってしまうとファンシーグッズ的な雰囲気になってしまい、高級感がなくなってしまいます。格調があってとぼけた味、といえば、頼りになるのは福田平八郎ですよね。
[ 2014/10/15 ] 繍箔 | TB(0) | CM(2)

龍村のバッグ

第二千八百七十二回目の作品として龍村のバッグを紹介します。

「日野間道手」を使った龍村のバッグです。いつものモデルさんにお手伝いしてもらいました。

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いちばん上の写真は、ポプちゃんとチャツポンが、ショップチャンネル風に商品の紹介をしているところです。実際のバッグに手を入れて使い勝手も教えてくれています。

日野間道は、本歌は東京国立博物館にあって、波形に見える横段の名物裂です。龍村の再現裂としては、高島屋が独占的に販売している「龍村平蔵」ブランドの高額版の袋帯のほかに、「光波帯」(仕立て上がり名古屋帯)や小物に使う普及版の龍村裂としても販売されています。ただし龍村本社における在庫状況によって入手できないこともあります。

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写真2番目は、ポプちゃんが使い勝手を試しています。

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写真3番目は、チャツポンが使い勝手を試しています。それぞれのバッグは把手の部分の裂の取り方が違います。まあ好き好きですね。
[ 2014/10/14 ] 小物と小物合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の付下げの帯合わせ

第二千八百七十一回目は花也の付下げの帯合わせです。

昨日は西陣の織帯で合わせてみましたが、今日は友禅の染め帯で合わせてみます。今回のような軽い模様の付下げは、袋帯と合わせて柄の少ない訪問着として着ることもできますし、友禅の名古屋帯と合わせて、ちょっとおしゃれなカジュアルな着物として着ることもできますね。

今回も、着物にない絵画性をプラスするか、無地系を貫くか、それを意識して帯合わせをしますが、友禅というのは本来絵画性が高いものであり、絵画性をプラスする帯合わせが多くなるでしょう。

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いちばん上の写真は、加賀友禅作家、中町博志の「春蘭」を合わせてみました。絵画そのものである加賀友禅を合わせてみました。しかし、中町博志の作品はどの作品も洗練されているので、絵画性をプラスしたにもかかわらず全体の雰囲気は着物単体の雰囲気と変わらない気がします。

なぜかと考えたときに、無地系の着物というのは、無地であることが目的ではなく、洗練に至るための手段として無地を選んでいるからだと思います。絵画性をプラスしてもその絵画が洗練されていて、全体の洗練を損なわなければ、無地系を好む人の目標は達成されているのです。

別の見方をすれば、無地系の着物と帯を合わせたつもりでも、配色が野暮で、洗練されていなければ、無地系の着物の意義が無いわけですね。

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写真2番目は、野口の友禅の染め帯を合わせてみました。刺繍と箔を多用した重厚な名古屋帯です。あっさりした着物をあっさりさせない帯合わせです。人間の気分はさまざまで、ステーキが食べたい時も懐石が食べたい時もあります。あっさりした着物では物足りないと感じる時は、こういう帯を合わせると良いですね。

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写真3番目は、花也の友禅の染め帯と合わせてみました。菊、萩、楓が市松取りの中に描かれています。着物と帯で市松模様がシンクロさせてみました。普通は着物と帯で同じ市松模様という帯合わせはあり得ないですが、ここでは狙ってやっています。

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写真4番目は、秀雅の染め帯に合わせてみました。実際に制作したのは千代田染繍です。堰出の疋田と刺繍の組み合わせが千代田染繍の作風ですね。堰出の疋田は1粒ずつ糊筒で置くもので、極めて精緻でありながら微妙な手の温もりもあるのが特長です。上の例は、市松同士をシンクロさせましたが、ここでは雪輪の丸と市松の四角と対照的な組み合わせにしてみました。

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写真5番目は、花也の染め帯を合わせてみました。扇面に羊歯ですね。羊歯という具象テーマですが、モノトーンで、無地系の着物につながるような洗練重視の着姿を狙ってみました。寒色でまとめたい誘惑もありましたが、あえて錆朱も加えています。
[ 2014/10/13 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の付下げの帯合わせ

第二千八百七十回目は花也の付下げの帯合わせです。

今回の着物は、森田空美が有名した「無地系の着物」というカテゴリーに入る付下げです。このような着物の帯合わせには、2通りの発想があります。1つは着物と同じく無地系の帯を合わせて、全身で森田空美様式で完結させることです。こういう着方を都会的と感じる人も多いですよね。

もう1つは、無地系の着物は絵画性が不足していると考えて、帯で絵画性を補うという発想の帯合わせです。無地系の着こなしを都会的と感じる人がいる一方で、つまらない、それ自体は良いと思うがそればかりだといずれ飽きる、と考える人もいますね。

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いちばん上の写真は、織悦の横段の袋帯を合わせています。この横段のシリーズは、織悦の特長である洗練そのものであるように思いますが、じつは織悦の中でいちばん安いシリーズです。この帯を締めている人を見ると、お金に関わらずちゃんと自分のスタイルを持っている人だなあと尊敬します。無地系スタイルの例ですね。

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写真2番目は、捨松の袋帯「襷取り華文」を合わせています。捨松らしいペルシア風の更紗文様で、着物の無地系スタイルを否定してみました。エキゾチックな曲線模様であっても、捨松がつくると、洗練されて都会的な雰囲気を持っていますから、元の着物の洗練を損なうということはないですね。

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写真3番目は、織悦の袋帯「楽園」を合わせています。馬や鳥も登場する濃厚な更紗模様ですが、模様は細かく、色も抑えていますから、絵画的で無地系を否定しているようでもあり、無地系のカテゴリーに納まっているようでもあります。

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写真4番目は、織悦の袋帯「彩悦錦枝菊文」を合わせてみました。「彩悦錦」は、唐織のような絵緯糸を浮かした織悦のシリーズに付けられたネーミングです。多彩で枝菊自体は具象ではありますが、規則性をもって整然と並んだ有職文様であり、無地系スタイルを好む人も納得するような気もします。

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写真5番目は、織悦の袋帯「柴垣秋草文」を合わせてみました。琳派の秋草図屏風を分解して意匠として再構成したように見える模様です。上の例よりは絵画的ですから、無地系のスタイルを貫いた帯合わせとは言えません。しかし、都会的な洗練という点では十分に達成していますね。
[ 2014/10/12 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の付下げの各部の拡大

第二千八百六十九回目は花也の付下げの各部の拡大です。

昨日近接写真で紹介した刺繍の各部を拡大してみました。刺繍糸は撚糸で、このような糸は時間がたっても毛羽立ちにくいという利点があります。


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いちばん上の写真は、白糸を経、青糸を緯につかった模様の近接と拡大です。

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写真2番目は、青糸と銀糸を横段に使った模様の近接と拡大です。

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写真3番目は、4色の糸と銀糸の三角取りの模様の近接と拡大です。
[ 2014/10/11 ] 繍箔 | TB(0) | CM(0)

花也の付下げ

第二千八百六十八回目の作品として花也の付下げを紹介します。

シルバーグレー地の市松模様にも見える幾何学的な地紋に、付下げとしての標準的な配置で飛び柄の刺繍を加えたものです。

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いちばん上の写真は、前姿(マエミ+オクミ)です。

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写真2番目は、刺繍の1つの近接です。刺繍の意匠には同じものはありません。全部違うので、1つ1つ見ていく楽しみがありますね。色は地色のシルバーグレーに逆らわず、すべて寒色(青、水色、シルバーグレー、白、銀色)です。形は、やはり地紋に逆らわない幾何学模様ですね。そのため、森田空美風の無地系路線に似た感じになっています。

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写真3番目は、別の箇所の刺繍の近接です。マエミのいちばん目立つところにある刺繍ですね。

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写真4番目は、また別の箇所の刺繍の近接です。


[ 2014/10/10 ] 繍箔 | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛の着尺「鱗文」を長羽織またはコート地として使う

第二千八百六十七回目は千切屋治兵衛の着尺「鱗文」を長羽織またはコート地として使ったと想定してみます。

昔は羽織やコートは、8mの羽尺でつくりましたが、現在では羽尺というのはほとんど製造されず、着尺を羽織やコートに流用しています。着尺を流用することの利点は模様の選択肢が広いことですね。欠点は着物の模様には季節や個性がありますから、1枚ですべての着物に合うような羽織やコートがつくりにくいということです。

今回の着尺は、色は無彩色ですし、模様に季節もありませんから、羽織やコートとして、つまり他の着物のパートナーとして使い勝手が良いのではないでしょうか。

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いちばん上の写真は、野口の着尺を着物役にしてみました。道成寺を意識して桜の模様を選んでみました。ふだんは季節のない古典模様である鱗文ですが、桜の着物と合わせた時だけ道成寺という意味を持つことになります。

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写真2番目は、千切屋治兵衛の着尺を着物役にしてみました。道成寺を意識して桜の模様を選んでみました。上の例と同じ合わせ方ですが、同じ桜の表現でも、千治と野口でいかにもそれぞれの会社の雰囲気ですね。

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写真3番目は、野口の着尺を着物役にしてみました。染格子の着尺です。北斎の美人画でこれとそっくりの模様の着物を着ているのがありますね。

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写真4番目は、野口の着尺を着物役にしてみました。大胆な黄色の横段です。今回の鱗文は地味な着物ですが、派手な着物との組み合わせをしてみました。

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写真5番目は、重要無形文化財の結城紬の縞を着物役にしてみました。大きな幅の鰹縞というのは大胆な着物ということになりますが、色無し季節無しの長羽織またはコートで抑えてみました。

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写真6番目は、大城広四郎の琉球絣を着物役にしてみました。個性的な絣ですが、色無し季節無しの長羽織またはコートで抑えてみました。
[ 2014/10/09 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

喜多川俵二の名古屋帯「角繋ぎ」の帯合わせ

第二千八百六十六回目は喜多川俵二の名古屋帯「角繋ぎ」の帯合わせです。

昨日はカジュアルな合わせ方を試したので、今日はフォーマルを試したいと思います。

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いちばん上の写真は、藤井絞の訪問着(現在は反物状態)に合わせています。いままであまり藤井絞のフォーマルを帯合わせに使うことはなかったですが、先日のコメントで思い出して起用してみました。この作品は、全体を大きく絞り、その中に友禅と絞りを併用して模様を描いています。薄いピンクの地色に紫を中心にした更紗ですね。

友禅の模様の一部にも絞りが併用されていて手間がかかっているのですが、地色が薄いのでわかりにくいです。地色を濃くすると絞りをした箇所がはっきりわかってありがたみが増すのですが。ものづくりには、上品でセンスがいいということだけでなく、そういう配慮が必要なこともありますね。

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写真2番目は、大羊居の付下げ「流麗文」を合わせてみました。黒地に派手な色で友禅し、その上に大胆に金彩を施し、さらに金糸の刺繍もした作品です。金彩は作品を華やかにしているともいえるし、友禅の鮮やかな色の上にかぶせることで抑制しているともいえるので視覚効果として面白いです。その面白さが、帯の経緯で違う色の糸を交わらせて位生まれる視覚効果にも通じ、全体として迷宮的な雰囲気になっています。」

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写真3番目は、千切屋治兵衛の付下げを合わせてみました。制作したのは倉部さんです。金描きと金糸の刺繍で槇を描いたものです。2本の槇に遠近感があり写生的な雰囲気です。金箔というのは通常は装飾につかわれるものであり、意匠も装飾的なものになりがちですが、ここではあえて写生的なテーマにチャレンジしたのでしょう。

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写真4番目は、藤井絞の訪問着を合わせてみました。全体に蔦の葉を絞った大作の訪問着です。絵羽の縫い目を見ると、しっかり蔦の葉の模様がつながっています。絞りと思えばすごいことです、つながるところは位置を合わせて半分ずつ絞っているわけですからね。私は地色の黄緑が気に入っています。いままで、きしや風の無彩色が多かったので、黄緑とか紫とか積極的に揃えてみたいですね。

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写真5番目は、中井淳夫の結城紬の訪問着を合わせてみました。無形文化財の結城紬に蝋染で秋草を描いたものです。ダンマル描きではなく、もっと使いづらいパラフィンのようです。ホンモノの結城の場合、生地に色を入れること自体大変なので、この作品もすらすら描いた感じではなく、力技で画面を創ったというような重い雰囲気があります。バブル時代に500万とか800万とかの値段がつけられていたものではないかと思います。

帯合わせについては、上の写真では、帯の柄の黄緑の部分をお太鼓に出していて、こちらは紫の部分をお太鼓に出すというような小技を使っています。実際に買った方はそこまでできないので、その辺はエア帯合わせですね。
[ 2014/10/08 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

喜多川俵二の名古屋帯「角繋ぎ」の帯合わせ

第二千八百六十五回目は喜多川俵二の名古屋帯「角繋ぎ」の帯合わせです。

私はフォーマルにもカジュアルにも使えるともいますが、ちょっと見の雰囲気はカジュアルなので、まずカジュアルな合わせ方をしてみようと思います。

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いちばん上の写真は、紬地の更紗の着尺に合わせています。昔、日本の商社がインドネシアとの貿易不均衡を少しでも解消するために(姿勢だけでも示すために)、日本から紬地を輸出して、ジャカルタの作家にチャンティンで染めさせ、また輸入したものです。当時の状況を考えると、現地の最高レベルの作家につくらせていると思います。

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写真2番目は、紺仁の片貝紬を合わせてみました。紺仁の片貝木綿は人気商品で、ネットの値段は18,000円ぐらいですが、じつはその手織り手紡ぎバージョンがあるのです。値段は10倍以上ですが。

帯の地は間道ですが、あえて着物も縞にしてみました。普通はおかしいですが、あえて試してみました。

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写真3番目は、久米島紬を合わせてみました。モロといわれる経緯共に手紡ぎ真綿を使った特別なものです。通常品の3倍ぐらいの値段です。帯の模様は角繋ぎですが、あえて着物も角がつながるような柄にしてみました。(沖縄独特のパターンですよね。)普通はおかしいですが、あえて試してみました。

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写真4番目は、大城カメの琉球絣を合わせてみました。今回の帯と着物は共に、経緯で違う色の糸を合わせて、いろいろな色のバリエーションを生み出す織物です。普通は似たパターンを合わせるというのはおかしいですが、あえて試してみました。

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写真5番目は、松枝哲哉の久留米絣を合わせてみました。

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写真6番目は、林宗平の塩沢紬を合わせてみました。
上の作品とこの作品は、ともに藍の色の綺麗なものを合わせてみました。上の作品は、織物ですから繰り返しではありますが、自由な絵画のような絵絣です。それに対して、この作品はガチっとした構成を持っていて、帯と同じですね。どちらが良い帯合わせといえるでしょうか。
[ 2014/10/07 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

喜多川俵二の名古屋帯「角繋ぎ」

第二千八百六十四回目の作品として喜多川俵二の名古屋帯「角繋ぎ」を紹介します。

喜多川俵二の帯を買おうという人は、有職文の上品さを求めているのだろうと思います。もっと正確に言えば、有職文であればだれからも上品と見られるだろうという、世間的な安全性ですね。この帯は、私は特に好きな1本ですが、そういう人の期待は裏切るでしょうね。

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いちばん上の写真は、帯の幅を写真の幅として撮ったものです。単純で大きな意匠です。こういう意匠は上品の逆になることが多いですね。しかし、作者はそうならないために配色に細心の注意を払っているように見えます。角繋ぎの色は、朱、紫、薄い緑の3色ですが、背景となる間道部分も巧みに同系色に合わせています。こういう作品は配色が大事で、地色の選択で少しでも杜撰なところがあれば、ただの下品な帯になってしまうでしょう。

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写真2番目は近接です。

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写真3番目は拡大です。拡大してみると、この帯の組織の構造がよくわかります。さきほど配色が上手と書きましたが、じつはその配色も組織の構造から必然的に生じていることがわかります。

まず地の意匠は間道ですから、経糸の色が一定のパターンで替えてあります。ベージュと水色の2種類だけですが、色が替わる境界はくっきり分かれているところと、グラデーションになっているところがあるので3色に見えます。一方、緯糸は角繋ぎの模様と同じですから、朱、紫、薄い緑の3色です。じつは使っている糸の色はこの5色だけなんですね。

地の間道の色は、経糸の3色に対し、緯糸の3色が交りますから9通りの色になります。拡大写真で見ると、この9通りの色は主に経糸が表に出ることでつくられています。一方、角繋ぎの模様の色は主に緯糸が表に出ることでつくられています。

織物って、数学の図形の問題みたいですよね。

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写真4番目は別の場所の拡大です。
[ 2014/10/06 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

藤井絞の男児の七五三の羽織

第二千八百六十三回目は藤井絞の男児の七五三の羽織を紹介します。

男児の五歳の七五三の衣装は、きものと羽織と袴でセットで販売されることが多いです。その場合、正絹と化繊があり、化繊はすべて仕立て上がりで鷹や兜のような模様がついています。正絹は無地と模様があり、無地は色が選べます。仕立て上がりで買うのが合理的ですが、生地から仕立てることもできます。

貸衣装のばあいは、正絹の黒の無地の紋付羽織袴セットがいちばん人気なので、早めに予約した方が良いです。化繊の模様のあるものならば、貸衣装の基本スタイルですからたくさんあって、いつでも借りられると思います。

今日紹介するものは、藤井絞が七五三の羽織だけを辻が花も様式でつくったものです。着物と羽織は自分で調達する必要がありますが、そのばあいは正絹の黒の紋付の着物と袴を買えば良いです。交渉次第で、セットの羽織だけを抜いてもらうことも可能です。店の立場になれば化繊のセットだとセットを崩されたら困りますが、無地の黒の正絹なら着物と袴だけ補充できるでしょうから。

この羽織を買った場合の家紋は、金糸の1つ紋が良いでしょう。大きめにするのが良いと思いますが、まつい繍で上品にするも良いですし、駒繍で迫力のある紋にしても良いです。

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いちばん上の写真は全体です。全体を松皮菱の形に絞っています。現存する作例としては、小笠原家の家紋である三階菱を絞りで表現した旗差しものが知られていますが、それは辻が花の技法で染められたものです。辻が花の技法で大きな鋭角を染分けるのはかなりの高等技術だったはずです。

室町時代の帽子絞りは竹の皮で包んで防染するので、竹の円周を超える長さの面は防染できません。そのため、広い面積は桶絞をしていました。桶絞というのは、一見まだるっこしい技法のように思いますが、竹の円周という面積の制約のためにあったわけです。現在は竹の皮ではなくフィルムを使うので、広い面積も帽子絞りの技法を応用して防染できます。化学的な素材ができて面積の制約が無くなったとはいえ、菱のような鋭角をくっきり染め分けるというのは難しいでしょうね。

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写真2番目は近接です。描き絵が見どころです。


写真3番目は、以前紹介した藤井絞の七五三の羽織です。こちらは鷹の羽根でした。

千切屋治兵衛の着尺の帯合わせ

第二千八百六十二回目は千切屋治兵衛の着尺の帯合わせです。

昨日、「今回の着物は季節もなく色もなく」と書きました。でも一昨日、読者の方から「鱗文だから道成寺ね」というメールをいただいていました。マクベスの魔女の予言のような罠ですが、この着物は「季節もなく色もな」いが意味があるんですね。道成寺の冒頭は「花の外には松ばかり」ですから、まずは桜で。

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いちばん上の写真は、織悦の「彩悦錦」シリーズの「」を合わせてみました。「彩悦錦」は、唐織のように絵緯糸が浮いたシリーズです。糸の浮かないいつも織悦とは全く違いますが、色のセンスは共通ですね。振袖に合わせても良いぐらいの重い帯で、小紋に合わせるのはどうかとも思いますが、道成寺だよ!気づけよ!というノリです。

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写真2番目は、龍村の名古屋帯「春秋宴」を合わせてみました。銀糸が桜、金糸が楓です。趣旨からいえば楓が邪魔ですが、演目に合わせるにしても、必ず桜の時期に演ってくれるわけではなく、桜だけでは往き帰りが恥ずかしいというときはこれぐらいの帯かと思います。

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写真3番目は、織悦の「遠山桜楓」を合わせてみました。漆のように見える楓は、経糸が黒い絹糸、緯糸は平漆糸です。平漆糸は、和紙に漆または漆のような光沢のラッカーを塗り、裁断して糸にしたものですね。暗い金色に見える桜は、経糸が黒い絹糸、緯糸は平金糸です。

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写真4番目は、千切屋治兵衛の友禅の名古屋帯を合わせてみました。実際に制作したのは中井亮さんで、本歌は乾山の陶器の箱の絵です。道成寺の舞台の写真を見ると、背景は一面の桜ですが、松も何本か生えていますね。

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写真5番目は、織悦の袋帯「能衣間道」を合わせてみました。まあこれぐらいの、かすったかなあ、ぐらいの合わせ方もありますね。
[ 2014/10/04 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛の着尺の帯合わせ

第二千八百六十一回目は千切屋治兵衛の着尺の帯合わせです。

今回の着物は、季節もなく色もなく、どんな帯に対しても背景を務めてくれる帯だと思います。帯合わせの自由度が大きすぎて、かえって何をしたら受けるのかわからないところですが、とりあえず今日は龍村の名古屋帯を合わせてみます。

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いちばん上の写真は、龍村の名古屋帯「芦映文」を合わせてみました。

芦を直接描くのではなく、水に写った情景という設定で、植物文というよりも波に揺らいでただの曲線模様になっています。色も元の植物の色ではなく、水に写って彩度が減少した感じに表現されていて、西陣らしい金糸の織は波の光の反射の表現でしょう。どんな帯でも合う着物だからこそ、色も少なく模様も具象っぽくない帯を選んでみました。

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写真2番目は、龍村の名古屋帯「花宝文」を合わせてみました。龍村の名古屋帯としては珍しく六通です。

当たり障りのない帯合わせとはどんなものかと考えて実践してみました。面白くないのが欠点ですが、面白さを試せるのは、このブログがエア帯合わせだからで、実際に自分で買ってコーディネートするなら、こんな感じではないでしょうか。

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写真3番目は、龍村の光波帯「花鳥梅花文錦」を合わせてみました。本歌は正倉院御物で色は緑系です。裂の意匠に和様の趣があることから、正倉院の裂の中でも後期に収蔵された日本製のものといわれます。これはグレー地で、上品なおばあさんをイメージしてみました。

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写真3番目は、龍村の光波帯「花鳥梅花文錦」を合わせてみました。上の色違いです。赤系になると年齢が若くなるか、という実験です。この裂のシリーズには、本歌に近い緑を含めて3色あります。
[ 2014/10/03 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛の着尺

第二千八百六十回目の作品として千切屋治兵衛の着尺を紹介します。実際に制作したのは大和さんです。

鱗文がテーマの飛び柄で、生地は縮緬です。季節もないし、地色も墨色で無彩色ですから無いも同じ。使い勝手は着る人次第という出番が多い着物だと思います。

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いちばん上の写真は、反物の幅を写真の幅として撮ったものです。飛び柄で気になるのは柄の密度です。あまりにも密度の少ない着物は、仕立て屋さん泣かせです。仕立て屋さんとしては、マエミやオクミに1つでも多くの柄を出してあげようと苦労しますから。この着物のばあいは、反物の幅を基準として自然に撮って、5つも柄が入るので、かなり多いと言えます。仕立て屋さんも楽ですね。

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写真2番目は近接です。 墨色の地に寒色の直線模様ですから、色気も優しさも温かみもない感じです。ただ鱗の形のバリエーションのみがちょっとだけユーモラスではありますね。コーディネートし甲斐のある着物だと思います。