倉部さんの付下げ「色紙更紗花」の細部

第二千七百六十五回目は倉部さんの付下げ「色紙更紗花」の細部です。

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いちばん上の写真は、マエミにある色紙の近接です。すべての糸が生地の緯糸に沿って繍われていますが、生地を完全に埋めるように刺繍されている部分と、一針足ごとに一目あけて刺繍されている部分があります。このように一目あける技法を菅繍といいます。

菅繍は生地に織り込んであるように見えるので立体感がなく、普通の生地を埋める刺繍と合わせると遠近感の表現ができます。そのために、すべての刺繍が生地の緯糸に沿って同じ方向に繍われているのにも関わらず単調になっていないのです。

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写真2番目は、上の写真の中で斜め格子の部分の拡大です。菅繍の上に斜め格子の形に上に刺繍糸を渡したもので、割り付け文様繍という技法です。

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写真3番目は、後姿にある色紙の近接です。

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写真4番目は、上の写真の左下辺りにある葉の模様の拡大です。一目あけた菅繍で表現された葉の中に、三角形の形を繋げるように地を埋める刺繍をすることで、立体的な模様に見せています。
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[ 2014/06/30 ] 繍箔 | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛の付下げ「色紙更紗花」(制作は倉部)

第二千七百六十四回目は千切屋治兵衛の付下げ「色紙更紗花」を紹介します。実際に制作したのは倉部さんです。

金糸の刺繍のみによる作品で、色は同じながら繍い方を変えて遠近感など表現しています。次回は細部を紹介しますが、細部の拡大を見ると遠近感を演出する仕掛けがわかります。

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いちばん上の写真は前姿(マエミ+オクミ)です。色紙はマエミに2個、オクミに1個で、前姿合計3個です。

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写真2番目は後姿です。色紙は背中心を挟んで2個です。

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写真3番目は袖です。片袖に1個です。倉部さんの刺繍は高コストなので、付下げの模様の配置としては必要最低限しかありません。しかし、それで十分な存在感があります。

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写真4番目は胸の模様です。胸だけは更紗模様が色紙で隔離されていません。着る人の顔の周りは硬い四角形を避けているのでしょう。
[ 2014/06/29 ] 繍箔 | TB(0) | CM(0)

喜多川俵二の「穀紗双龍文」の帯合わせ

第二千七百六十三回目は喜多川俵二の「穀紗双龍文」の帯合わせです。

昨日は付下げと合わせましたが、今日はさらにフォーマルというわけで絵羽物と合わせます。色留袖まで合わせていますが、名古屋帯なのにまったく違和感が無いです。

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いちばん上の写真は、単衣用の訪問着を合わせてみました。北秀の商品ですが、実際に制作したのは「にしきや」です。百合なので6月の単衣ですね。単衣には6月と9月がありますが、植物文であると、夏の前か後かで植物の種類が大きく変わり兼用するのが難しいですね、しかし単衣の訪問着を2枚持つのは経済的ではない、悩むところです。

着物の模様の水流が紫なので、きれいに合っています。

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写真2番目は、一の橋の単衣の訪問着に合わせてみました。爽やかな風が吹いてきそうな涼しげな模様の着物です。帯の紫と着物の模様の黄緑が、杜若のような配色なので、なんとなく単衣の時期を連想させますね。

着物の模様の色が若草を連想させ、早春の着物と勘違いしてしまいそうですが、本来、単衣用としてつくられたものです。あえて勘違いして袷にするのも可能なように思います。

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野口の紗の訪問着を合わせてみました。黒地に干し網と沢瀉を描いた作品ですが、模様が大きいですね。ここ30年ほどは小付け(模様が小さい)が主流なので、そのうち反動が来ると思い、当店では大きい模様の着物を増やしています。

地色は黒ですが、紗なので下に知り長襦袢を着るとグレーの着物になります。写真は背景が畳ですから、これよりもっと薄いグレーになるわけですね、着物と帯の色の関係はグレーと紫です。

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大松の色留袖を合わせてみました。北秀の商品として製作されたものです。中国風の装飾のある大きな帆船、船を引くのは唐子、背景は中国風の塔を持つ都市が描かれています。鄭和の大遠征が行われたころの中国の大航海時代がテーマと思われます。

水色の着物に紫の帯、涼しげで色鮮やかですね。着物は水色地に対し海が同系色の青ですから、袖に海を重ねて染められそうですから、訪問着に改造可能ですね。
[ 2014/06/28 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

喜多川俵二の「穀紗双龍文」の帯合わせ

第二千七百六十二回目は喜多川俵二の「穀紗双龍文」の帯合わせです。

「穀」は、薄物の装束などに使われたl格の高い織物なので、名古屋帯ですがフォーマル方向に使ってみます。とりあえず絽や紗の付下げに合わせてみると、あらゆるものに合ってしまいます。これ一本あれば、夏のフォーマル帯はもう必要ないというぐらいの帯ですね。

今回は、どんな模様でも合うので地色を4色変えて試してみました。

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いちばん上の写真は、千切屋治兵衛の絽の付下げを合わせてみました。制作したのは中井淳夫さんで、斜め取りの琳派の燕子花、地色はグレーです。

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写真2番目は、、千切屋治兵衛の絽の付下げを合わせてみました。こちらも制作したのは中井淳夫さんで、葉だけの燕子花、地色はクリーム~オレンジ色です。

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写真3番目は、野口の絽縮緬の付下げを合わせてみました。地色は白茶で、芦の葉に帯と同じ紫系が含まれています。

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写真4番目は、千切屋治兵衛の絽の付下げを合わせてみました。テーマは萩で、制作したのは市川和幸さん(染匠市川、息子さんかもしれない)、地色は水色ですね。
[ 2014/06/27 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

喜多川俵二の夏の名古屋帯「穀紗双龍文」

第二千七百六十一回目の作品として喜多川俵二の夏の名古屋帯「穀紗双龍文」を紹介します。

「穀(こく)」「穀織(こくおり、こめおり)」と表記されることが多いようですが、当店にあるものは「穀紗」と表記されています。有職織物の薄物に伝統的に使われてきた組織で、模様が穀物の粒のような点点で見えるから、この名があるようです。具体的にどのような組織なのかわかるように、今回は近接と拡大の写真を多くしました。

意匠は連珠文ですね。模様の周りを珠で囲む意匠で、ササン朝時代のペルシアが起源であり、そこから世界に広まりました。その痕跡は西はスペイン、東は法隆寺と正倉院まで残っています。もちろんスペインのものは、ヨーロッパを経由したわけではなく、イスラム圏を通って北アフリカ経由です。

法隆寺や正倉院のものについては、ササン朝で織られたのか、ササン朝のデザインで中国で織られたのか、それをさらに日本で模織したのか諸説あります。この帯の意匠のように龍がいるものについては、連珠というパターンだけがペルシア由来で、織られたのは中国かあるいはそれを日本で模織したものです。

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いちばん上の写真は帯の幅を写真の幅として撮ったものです。

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写真2番目は連珠部分の近接です。

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写真3番目は地の部分の拡大です。

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写真4番目は模様部分の拡大です。
[ 2014/06/26 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

花也の経絽の付下げの帯合わせ

第二千七百六十回目は花也の経絽の付下げの帯合わせです。

今日は織の名古屋帯で合わせてみます。染め帯はダメということはないですが、友禅というのはたいてい具象画で物語性がありますから、葡萄→ワイングラスの着物に合わせるなら、そのつもりで注文しなければ合いませんね。

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いちばん上の写真は、龍村の絽綴の名古屋帯「光浪文」を合わせてみました。戦前の展覧会で与謝野晶子の歌を添えて発表された作品を引き継いだものです。植物文を重ねるのを避けるために波にしました。

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写真2番目は龍村の絽の名古屋帯「清山文」を合わせてみました。単彩主義の着物に対し多色の帯を合わせ、色のある木姿を狙いました。

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写真3番目は、龍村の絽綴の名古屋帯「香芒文」を合わせてみました。芒の香り・・・私はあまり匂いに敏感ではないので味わうまでにはいかないですね。でも黒地に辛子色の組み合わせは大好きです。

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写真4番目は、喜多川俵二の夏帯を合わせてみました。この帯についてはまた後日取り上げます。意味ではなく色でワインのイメージにしてみました。
[ 2014/06/25 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の経絽の付下げの帯合わせ

第二千七百五十九回目は花也の経絽の付下げの帯合わせです。

前姿に葡萄の蔓、後姿にワイングラスということでテーマが一貫しています。その間に帯を差し挟まなければならないとすれば、それはどんな帯でしょうか。意味で合わせようとすると悩ましいので、色や雰囲気だけで考えた方が良いかもしれません。

帯合わせで考えることは、帯の色は着物の色と対照的な白や明るい色が良いのか、それとも同系の黒や暗い色が良いのか、帯の模様は着物と重なる植物文でも良いのか、それとも幾何学文や霞の方がいいのか、等々ですね。

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いちばん上の写真は、織悦の紗の袋帯を合わせてみました。芒と露がテーマということで、葡萄とワインに対し意味的なつながりを求めることは難しいですね。しかし、墨色の着物に対し白い帯というコントラストはきれいですし、模様もすっきりしていて良いのではないかと思います。帯合わせなんてそんなものでしょう、学術論文ではないのですから。

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写真2番目は、織悦の紗の袋帯を合わせてみました。菊と流水がテーマということで、上の作品以上に葡萄とワインに対し意味的なつながりを求めることは難しいですね。この着物を着てワインパーティーに行こうと思う人には、菊では雰囲気を壊すと思われるかもしれません。ここでの目的は、単彩主義の花也のこの作品に対し色を加えてみることです。織悦の色は透明感があるので、多色でも都会的ですね。

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写真3番目は龍村の絽の袋帯「彩簾文」を合わせてみました。濃い地色どうしの組み合わせです。同系色は大人っぽい雰囲気になりますね。模様は簾ですから、葡萄とワインに対して、意味的には合いもしませんが邪魔もせず、中立と言ったところでしょう。着物のいろいろな模様に対し、意味的に中立を保つ帯というのは便利で貴重ですね。

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写真4番目は、紫絋の紗の袋帯「琳派秋草文」を合わせてみました。ここでこの帯を使った理由は、赤。黒地に白揚げの着物に対し、菊の赤を効き色に使ってみました。無彩色の中に限定された赤を使うと、妖しく大人っぽくなりますよね。
[ 2014/06/24 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(2)

花也の経絽の付下げ

第二千七百五十八回目の作品として花也の経絽の付下げを紹介します。

模様は前姿(マエミ+オクミ)のみで友禅による洒落紋がついています。昨年から数種類制作しており、以前、ペパーミントグリーンの地に芭蕉の葉(紋は団扇に千鳥)の絽の着物と、水色地に雲(紋は紫陽花)の絽の着物を紹介しましたが、今回はその今年バージョンです。

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いちばん上の写真は前姿(マエミ+オクミ)で、模様部分のすべてです。墨色の地色にほとんど白揚げで表現された葡萄の蔓です。葡萄の実と葉にわずかに色挿しがしてありますが、それ以外は糊糸目のタッチだけを鑑賞する作品ですね。

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写真2番目は、模様の近接です。いつもの花也の作風ですね。

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写真3番目は飾り紋です。葡萄とワイングラスという組み合わせですが、好き嫌いが分かれるところですね。私も、前姿の模様で気に入ったのと、紋で気に入ったのが合わなくて選ぶのに苦労しました。
[ 2014/06/23 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

喜多川俵二の名古屋帯「東寺牡丹文」の帯合わせ

第二千七百五十七回目は喜多川俵二の名古屋帯「東寺牡丹文」の帯合わせです。

昨日は付下げを使ってフォーマル方向の帯合わせをしたので、今日は紬と合わせてカジュアル方向の帯合わせをします。名物裂という模様の由来からすればフォーマル、名古屋帯という形式からすればカジュアルですが、中途半端ということではなく幅広いという発想で使いたいですよね。

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いちばん上の写真は、みさやま紬と合わせてみました。「みさやま」というのは松本市内の地名、三才山地区です。横山英一さんが創始し、現在は息子さんの俊一郎さんが織っています。とても人気のある作家ですよね。この写真では地味な色にしか見えませんが、実物を近接で見ると透明感のあるきれいな色です。着物も帯も人気作家どうしの組み合わせということになりますね。

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写真2番目は、読谷花織の着尺と合わせてみました。表に浮いている糸が少ない「無地系の着物人気」に対応したような作品です。糸が引っ掛からなくて着やすいかもしれません。

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写真3番目は、黄八丈を合わせてみました。黒地に黄色の格子で、黒八丈ともいわれるタイプです。

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写真4番目は、松枝玉記の久留米絣と合わせてみました。木綿の絵絣といえば、もっともカジュアル、もっとも地方文化的なものですから、喜多川俵二とは正反対のようですが、その一方でこの作品は、公募展でも入選を重ね芸術性を評価されたものでもあります。
[ 2014/06/22 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

喜多川俵二の名古屋帯「東寺牡丹文」の帯合わせ

第二千七百五十六回目は喜多川俵二の名古屋帯「東寺牡丹文」の帯合わせです。

不思議とアールヌヴォーみたいな雰囲気がある意匠なので、それを生かして更紗や洋花の着物と合わせてみます。今日は付下げを使っています。

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いちばん上の写真は、花也の付下げ「額縁取マイセン文様」を合わせてみました。額縁取りとは、前姿がL字型になる模様配置のことを言います。マイセンのカップに縁の模様に取材したものです。

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写真2番目は、大松の洋花の付下げを合わせてみました。縦長のすっきりした意匠です。

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写真3番目は、花也の付下げを合わせてみました。和風の道長取りの中に更紗を入れたものです。技法的には、友禅、蝋染、箔、刺繍、描き絵を併用したという凝ったものです。それで、上品な色しか使っていないのに熱帯雨林のような妙な雰囲気が出ているんでしょうね。

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写真4番目は千ぐさの付下げを合わせてみました。イスラム建築のアーチと更紗を合わせたものです。オリジナルかさらに源流となる作品があるのかわかりませんか、意匠としての省略の仕方など上手ですよね。
[ 2014/06/21 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

喜多川俵二の名古屋帯「東寺牡丹文」

第二千七百五十五回目の作品として喜多川俵二の名古屋帯「東寺牡丹文」を紹介します。

タイトルと意匠から東寺に由来する名物裂を写したものでしょう。作家が作品として制作する場合、一般に通用する名称とは別の名称を付けるものなので、この作品の本歌はおそらく「東寺××金襴」「東寺××緞子」「××東寺裂」というのでしょうが、私はこの作品の本歌となる裂を本などで見つけることができませんでした。

不思議とアールヌヴォーみたいな雰囲気がありますね。そういう理由で私は気に入っています。

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いちばん上の写真は帯の幅を写真の幅として撮ったものです。

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写真2番目は近接です。

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写真3番目は拡大です。先日紹介した喜多川俵二の「厳島華文」は模様を表現する緯糸が浮く「二陪織物」でしたが、今回はそうではないので、爪が引っ掛からなくていいです。
[ 2014/06/20 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

大羊居の名古屋帯「楽園」の帯合わせの最後

第二千七百五十四回目は大羊居の名古屋帯「楽園」の帯合わせの最後です。

この帯合わせは今日で最後にしようと思います。使い残しの画像のうち、捨ててしまうのがもったいないと思うのを使います。

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いちばん上の写真は、大城永光の琉球絣を合わせてみました。赤と青の帯合わせです。現実にはなかなか試す機会のない配色なので一度は没にしましたが、自分でするのは勇気が無くても、他人がするのは見てみたいという意味で、載せてみました。

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写真2番目は、新田機業の紅花紬を合わせてみました。きれいな色の帯合わせというテーマで合わせてみました。

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写真3番目は、野口の着尺を合わせてみました。いかにも野口らしい大胆な市松模様の着物で、地色も青と黄色で補色関係という思い切った帯合わせです。こういうきれいな色の組み合わせは、人生のうちできる時にしておくべきですね。

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写真4番目は、野口の着尺を合わせてみました。四角い取り方の中に七宝繋ぎなどの割り付け文様で、無駄な花模様のない大人っぽい着物です。このような着物は、先日紹介した小岩井工房の上田紬と共に、帯合わせすると存在価値がわかる着物ですね。
[ 2014/06/19 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

大羊居の名古屋帯「楽園」の帯合わせ

第二千七百五十三回目は大羊居の名古屋帯「楽園」の帯合わせです。

今日は、この大羊居の帯をカジュアル方向で使うということで、紬に合わせてみます。先日は大羊居というブランドに配慮してフォーマル方向で使いましたが、染の名古屋帯ですから紬に使うのが本来の使い方ですよね。

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いちばん上の写真は、結城紬に合わせてみました。奥順のもので旧重要無形文化財指定です。高品質だけど地味で、着物好きの仲間以外には価値に気が付いてもらえないというタイプの紬ですね。そういう紬には、個性的な帯を合わせて気づいてもらうようにするという作戦です。

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写真2番目は、佐藤トシさんの南部紬を合わせてみました。胡桃と藍と紫根をつかった太い縞なので大胆な雰囲気の着物です。上の例とは反対に、目立つ着物に目立つ帯を合わせる帯合わせです。

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写真3番目は、青戸柚美江の出雲織の着尺「瞬」を合わせてみました。地味で高品質な着物、大胆な縞、と合わせた後なので、作家モノの個性を合わせてみました。

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写真4番目は、西村さんの川越唐桟を合わせてみました。西村さんが亡くなり、今は入手が難しい川越唐桟ですが、本来は安価である機械織りの木綿の縞を友禅の頂点の1つである大羊居に合わせています。フランスのブランド物とユニクロとを組み合わせる着こなしのイメージですね。こういう帯合わせで成功すると達人といわれます。

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写真5番目は川越唐桟を合わせてみました。こちらは同系色にしてみました。
[ 2014/06/18 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

大羊居の名古屋帯「楽園」の細部、かわいい動物

第二千七百五十二回目は大羊居の名古屋帯「楽園」の細部で、かわいい動物というテーマで撮ってみました。

着物の模様で、「かわいい動物」が描かれたものは売れ残るということはまずありません。私は「かわいい動物」模様に遭遇したら必ず仕入れることにしていますが、販売効率が良いため、店に在庫としては溜まりません。しかし、作者が「かわいい動物」を狙って描いても、かわいくない動物もありますよね。その差はどこにあるのでしょうか。私はかわいい動物になるためには見る人が感情移入できる必要があり、かわいいはずなのにかわいくないというのは感情移入できないのだと思います。

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いちばん上の写真は腹文にいる鳥です。乳幼児のような無垢な顔をしています。うちの子にもこんな時があったなあ、と思う時、それが感情移入ですね。

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写真2番目は腹文にいるうさぎです。どちらのうさぎも白いですが、刺繍が金糸と銀糸で色分けしてあります。あしらいで個性を創るということもできるようです。

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写真3番目は近接はお太鼓の鳥です。必要最小限の色挿し+重厚なあしらいという組み合わせです。普通の友禅の表現は、濃厚な色彩+限定されたあしらいですから、ちょっと目新しく新鮮な感じがあります。

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写真4番目はお太鼓の象の近接です。象本体は輪郭の刺繍のみで、象の装飾品に対しては重厚な刺繍がされています。あしらい(独立した作品としての刺繍ではなく、友禅を部分的に強調する刺繍)をする際のコツを見せてくれていますね。

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写真5番目は摩耶夫人のような人物と車の装飾です。支柱やカーテンは手前側にはあしらいがありますが、向こう側にはありません。あしらいは遠近感の表現にも使われるようです。
[ 2014/06/17 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

大羊居の名古屋帯「楽園」の帯合わせ

第二千七百五十一回目は大羊居の名古屋帯「楽園」の帯合わせです。

今日は、この大羊居の帯を付下げに合わせてみます。友禅の名古屋帯ですからカジュアルに使うべきですが、大羊居の圧倒的な存在感を生かしてフォーマル方向で使ってみます。

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いちばん上の写真は、千切屋治兵衛の付下げと合わせてみました。実際に制作したのは倉部さんで、箔と刺繍で更紗模様を描いたものです。象と組み合わせる相手は、基本は更紗ですね。また多色の友禅の相手として、金色しか色のない箔と刺繍という組み合わせです。

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写真2番目は、洋花をテーマにした野口の付下げと合わせてみました。実際に制作したのは岡本等さんです。岡本等の作品には洋花もありますし、伝統的な四季花もありますが、いずれも伝統的な京友禅の朱系の色を避けモダンな雰囲気です。また糸目の輪郭線の要所に色糊を使っているため華やかです。着物も帯も、多色の友禅どうしという組み合わせがどうかな、というところです。

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写真3番目は、千切屋治兵衛の絹芭蕉(玉紬)地の付下げを合わせてみました。実際に制作したのは中井淳夫さんです。モダンな抽象柄に見えますが、じつは小袖をアレンジしたものです。相当、勘が良くないと小袖のアレンジとは気が付かないでしょうね。大胆な創作に見えて実は古典、というのは中井淳夫さんならではだと思います。

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写真4番目は、花也の付下げを合わせてみました。市松の地紋を生かして桜を描いたものです。白象の車に乗っている女性を摩耶夫人と解釈した帯合わせです。釈迦の誕生日は4月8日、桜の着物の時期ですね。
[ 2014/06/16 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

大羊居の名古屋帯「楽園」の帯合わせ

第二千七百五十回目は大羊居の名古屋帯「楽園」の帯合わせです。

作品のテーマも妙ですが、実際に身に着けるとなると、気になるのは模様よりも色ではないでしょうか。日本代表の青より青いこの青どうするんでしょうね?

合わせる着物は、カジュアルなテーマの友禅の名古屋帯と思えば、たいていの紬には合うでしょう。模様のテーマが離れすぎたり重なりすぎたりしなければ、型友禅の着尺(小紋)にも使えます。大羊居の帯と思えば、普通の袋帯よりも値段が高いので、付下げでも使いたいという気がしてきます。

その一方で、象というテーマが個性が強すぎるので、たいていの着物には合わない、あるいはせっかくの帯の個性が生きないという考え方もあります。呉服屋さんは、そういうときは「無地と江戸小紋に合います」って言って売るんですよね。でもそれは、一人で勝手にしゃべってる人が「私は無口な人と気が合います」と言うようなもので、帯合わせとしては敗北宣言でしょう。このブログでは無地と江戸小紋以外の着物に合わせます。

今回は型染の着尺(小紋)で合わせてみますが、象を意識して更紗を中心に合わせています。

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いちばん上の写真は、昔、日本の大手商社が企画した商品で、日本の紬の反物をインドネシアに輸出して、現地でチャンティンで蝋染し、日本に再輸出したものです。インドネシアとの貿易不均衡を解消するために生まれたもの(これで解消できたとも思えませんが、商社としては、そういう姿勢を見せることが必要だったのでしょう。)ですから、なるべく値段が張るように現地の一流作家を使っているはずです。

重厚な焦げ茶に鮮やかな青の組み合わせですね。「高級だけど地味すぎて気が付いてもらえない着物」というのはあるものですが、そういう着物は鮮やかな色の帯を合わせてやることで本来の価値が生きてくるものですね。

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写真2番目は、野口の鮮やかな黄緑色の更紗の着尺を合わせてみました。鮮やかな黄緑と鮮やかな青の組み合わせというのは、ちょっとした冒険ですね。私は結構好きです。

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写真3番目は、野口の更紗の着尺を合わせてみました。余白の全くない縞更紗です。こういう個性の強い着物はさらに個性の強い帯で押さえつけてしまうのが良いですね。

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写真4番目は、野口の唐草模様の着尺を合わせてみました。正倉院以来の葡萄唐草の模様をクリアな水色で染めてモダンな雰囲気にした着尺です。青と水色で同系色の濃淡ですから、誰が見てもきれいですね。

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写真5番目は、花也の付下げを合わせてみました。更紗模様が飛び柄になっていますが、その模様配置は前姿などが多めになっていて付下げまたは軽い訪問着ですが、ちょっと見には飛び柄の小紋にも見えます。
[ 2014/06/15 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

大羊居の名古屋帯「楽園」

第二千七百四十九回目の作品として大羊居の名古屋帯「楽園」を紹介します。

いきなり見れば不思議な図案ですね。象が白象なので、乗っているのは摩耶夫人かとも思います。そう思えば車輪の形もインドの国旗にあるような輪宝に見えてきます。

しかしながら、私はかつて大彦の「象のいる天国」と題された留袖を見たことがあります。この作品と同じ二頭の象が引く車に女性が乗っていて、その周りにジオットの絵に登場するような天使がたくさん乱舞するという、全く意味不明な意匠でした。そのために、摩耶夫人のイメージとも言い切れず、意味を追求すればわからないないとしか言いようがありません。

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いちばん上の写真はお太鼓です。

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写真2番目は腹文です。

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写真3番目はお太鼓の近接です。

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写真4番目は腹文の近接です。

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写真5番目も腹文の近接です。


[ 2014/06/14 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

野口の長襦袢

第二千七百四十八回目の作品として野口の長襦袢を紹介します。

綸子系で市松の地の長襦袢地に絞りで兎を表現しています。絞りが本業の藤井絞ならば、兎の耳も絞りで表現するでしょうが、この長襦袢では絞りは兎の体の楕円形のみで技術的には簡単です。しかし、「おしゃれな意匠」という視点で見れば、技術的には安易であっても、擦箔の銀で表現した耳の方が良いような気がしてきます。そういうところが野口マジックなんですね。

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いちばん上の写真は全体です。

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写真2番目は近接です。
[ 2014/06/13 ] 絞り | TB(0) | CM(0)

野口の羽裏

第二千七百四十七回目の作品として野口の羽裏を紹介します。

「寿」の各種の古代文字をモチーフにした羽裏です。意匠的には飛び柄で、絵羽にする必要も無いように思いますが、じつは絵羽になっていて、文字どうしの間隔が、誰が仕立てててもいちばん上の写真のようになるようになっています。

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いちばん上の写真は全体です。

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写真2番目は近接です。

喜多川俵二の名古屋帯「厳島華文」の帯合わせ

第二千七百四十六回目は、喜多川俵二の名古屋帯「厳島華文」の帯合わせです。

「厳島華文」の帯は、模様の由来という点では格が高いのでフォーマルに相応しく、金糸を使っていないという点では紬に相応しい帯です。模様の由来を理解して帯合わせする方が頭が良さそうな感じがしますが、その帯合わせで外出すれば不特定多数に見られるわけですから、「あの人、間違ってるう」なんて思われるのも嫌ですよね。それならば、不特定多数が理解できる「金の有無」を基準にした方がマシか、ということで、昨日はカジュアルと解釈して紬と合わせてみたので、今日は付下げと合わせてみます。

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いちばん上の写真は一の橋の付下げ「濃朱地紅葉芒」と合わせてみました。厳島→紅葉の名所、という連想で合わせてみました。朱と黒のコントラストがOKならどうぞ、というところです。

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写真2番目は花也の付下げ「王朝桂帯疋田模様」と合わせてみました。平家納経→王朝文化という連想で合わせてみました。着物のカクカク模様と帯の曲線模様のコントラストが良いかなとおもっています。

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写真3番目は野口の付下げを合わせてみました。実際に制作したのは倉部さんです。貝桶をテーマにしており個々の刺繍は素晴らしいのですが、高価な倉部さんの刺繍なので加工面積は小さく、余白の多い着物となっています。値段は軽くないのに模様の量は軽い着物ということで、高いくせに名古屋帯である喜多川俵二と似ているので合わせてみました。

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写真4番目は花也の付下げを合わせてみました。生地が紬できれいなピンク色です。昨日は紬と合わせたのに、今日は付下げと合わせるという極端なことをしているわけですが、ここで両方兼ねてみました。黒とピンクのコントラストも良いのではないかと。
[ 2014/06/11 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

喜多川俵二の名古屋帯「厳島華文」の帯合わせ

第二千七百四十五回目は、喜多川俵二の名古屋帯「厳島華文」の帯合わせです。

帯合わせの知識として、金彩でも金糸でも、とにかく金の付いているものはフォーマルだから紬には使えない、という考え方がありますね。うちのお客さまでも、「この帯良いんだけど、ここに金があるから残念ながらダメだわ、今回は紬に合わせたいから。」というケースが結構あります。私は、たまたま金がついているということよりも、意匠の意味や元々の由来の方が大事だと思うのですが、着付けの本に書いてあるとのことなのでさからわないようにしています。

この帯のばあいはどうでしょうか。天皇の祖父でもある最高権力者が制作させたものであり、平安時代の公家文化の到達点であり、国宝として伝世したものですから、最高にフォーマルなのではないかと思います。その一方で、金は使ってないですから、着付けの本によれば紬に使うカジュアルな帯ということになりますね。

確実に言えることは、この帯を見たときに、平家納経の模様だと気が付く人は少なく、金を使っていないと気が付く人は多いということです。私は自分の都合の良いように解釈して使えば良いと思います。フォーマルかカジュアルかわからない難しい帯と考えるのではなく、応用範囲の広い、出番の多い帯と考えることです。

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いちばん上の写真は結城紬と合わせてみました。金が無いから紬用、というレベルの帯合わせですね。これで世間の9割はOKではないでしょうか。

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写真2番目は仲井間香代子さんのロートン織の着尺と合わせたものです。上と同じ織物に合わせた帯合わせですが、ちょっと工夫してみました。ロートン織は沖縄の織物の中でも首里だけで織られた琉球王家のための織物です。それなら平家とも同格で、表面的な形状でも歴史的な意味でも良い帯合わせではないでしょうか。

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写真3番目は読谷花織に合わせてみました。ここでは糸が浮く織物どうしということで、合わせてみました。

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写真4番目は小岩井工房の上田紬を合わせてみました。小岩井工房は、問屋を通して販売せず工房でユーザーに直に販売しているので、信州旅行とセットにして購入する方が多いですね。池内淳子さんなどの有名女優御用達であったからか、都会的な雰囲気の縞や格子が多いですね。「都会的」な着物に対して合わせる帯は、カジュアル、フォーマルという区分を超えて、都会的なら合うものです。
[ 2014/06/10 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

喜多川俵二の名古屋帯「厳島華文」

第二千七百四十四回目の作品として喜多川俵二の名古屋帯「厳島華文」を紹介します。

「厳島華文」というタイトルから「平家納経」に取材したものと分ります。しかし西陣の帯には「平家納経」を連想させるネーミングが多くあるものの、その意匠は、鹿が反っくり返ったもの、花鳥、蝶、扇、十二単の女性像などさまざまで、どれが本当の平家納経のモチーフなのかわかりません。

それは平家納経が清盛直筆の願文も入れて33巻もあるからです。それぞれの表紙や見返しに絵画や装飾があり、さらに経箱や唐櫃も付属しています。そのどこかに取材すれば、いろんな種類の意匠が生まれるのです。さらに意匠家は、他社に真似されたらすぐに指摘できるように、模様をそのまま写さず、配置を変えたり複数の模様をコラージュするそうです。だからいろいろなバリエーションが生まれてくるわけですね。この意匠も平家納経のどこかにあるのでしょう。色や配置は喜多川俵二さんが変更しているかもしれません。

また今日の帯は、先日紹介した「小牡丹唐草」と違い、織物の基礎に貢献しない模様表現のためだけの緯糸が浮いている織物です。地の模様を表現糸とメインの模様を表現する糸が二重の組織になっている織物を二陪織物(ふたえおりもの)といいますが、喜多川俵二の作風には、「有職文」とネーミングされている糸の浮かないものと、「二陪織物」とネーミングされている糸の浮いているものとがあります。一般的には後者は「唐織」と認識されるでしょう。私自身は、糸が浮かない方が爪でひっかく怖れが無くていいなあと思いますが、まあそれぞれですね。

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いちばん上の写真は帯の幅を写真の幅として撮ったものです。

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写真2番目は近接です。

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写真3番目は拡大です。糸が浮いて模様を表現しています。
[ 2014/06/09 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

藤井絞の紋紗の羽織

第二千七百四十三回目は藤井絞の紋紗の羽織を紹介します。

昨日の藤井絞の紋紗の羽織のシリーズの1枚です。雪輪の地紋の生地に蝶のように見える絞りを飛ばし、薄いグレーに染めたものです。絞りは蝶のようにも見え、桜貝のようにも見えますね。ホタル絞の応用とも言える技法で、生地を挟んで絞ることでこのような形になります。

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いちばん上の写真は全体です。

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写真2番目は近接です。

「雪輪と蝶」「雪輪と桜貝」ってどうなんでしょうね。野口の「柳と燕」のようなベストな組み合わせではないですが、このぐらいの方が押しつけがましくなくてよいかも、という気もします。
[ 2014/06/08 ] 絞り | TB(0) | CM(0)

藤井絞の紋紗の羽織

第二千七百四十二回目は藤井絞の紋紗の羽織を紹介します。

紋紗の生地を羽織とし、一定の間隔でホタル絞りを付け加えたものです。長さは膝下まで対応しています。

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いちばん上の写真は全体です。

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写真2番目は近接です。

じつはこの羽織のベースになっている紋紗の生地は、4月10日と11日(二千六百八十四回~五回)で紹介した野口の紗のコート地と同じ物の柄違いでしょう。着物市場自体が小さいので、さらに用途が限定された紋紗の生地となれば需要がすごく小さいわけですから、一社ぐらい(多くても2社)しか生存できないと思うのです。

野口は、自ら注文して柳の地紋だけを織らせ、それに燕の刺繍を散し、土佐光起の屏風でも知られる「柳と燕」という定番の組み合わせを創っています。それに対し藤井絞は、生地メーカーから在庫の紋紗の生地をまとめ買いし、生地の意匠の意味などにはおかまいなく、自社の得意な絞りをしています。

このように比較してみると、両社の資質がよくわかりますね。デザインやセンスという点では野口というのはすごい能力がありますが、藤井絞は「うちは絞り屋だから絞りをする」という程度の感覚です。マーケティングのコンサルタントなら野口を良しとするでしょうが、伝統工芸の世界では藤井絞のような職人中心主義も大事です。

こういう作品を見ていると、みなさんも自分で創ってみたいという気持ちになってきませんか。紋紗の生地のメーカーに行き更紗の地紋の生地を買ってきて、それに飛び柄として鸚哥や象の刺繍を入れてみる、今どきのミシンはいろんなプログラムが入っているので、鸚哥や象の刺繍もあるかもしれませんよ。もちろん、ミシンのプログラムからスタートして、それに意味的に合う紋紗の生地を探すこともできます。
[ 2014/06/07 ] 絞り | TB(0) | CM(0)

喜多川俵二の名古屋帯「小牡丹唐草」の帯合わせ

第二千七百四十一回目は喜多川俵二の名古屋帯「小牡丹唐草」の帯合わせです。

名物裂のデザインを人間国宝が織った帯というわけですから、上品で高品質なのは当然で、あらゆるフォーマルに合うでしょう。こういう帯で帯合わせに失敗する人がいたら相当センス悪いですよね。反対に言えば、こういうのを1本持っていればフォーマルの帯合わせで悩むことはないということです。

ただしこの帯は名古屋帯ですので、付下げぐらいがちょうどいいでしょう。ただし歳をとってから孫の結婚式で黒留袖を着なければならなくなったときは、この帯のような名古屋帯を使うと軽くて楽なようです。

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いちばん上の写真は、花也の付下げ「和本」を合わせてみました。上品でj格式のある名物裂に対し、教養を表す本というテーマの組み合わせです。帯の模様が唐草で曲線なので、本が直線的に並ぶ意匠で見た目も良いと思います。

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写真2番目は、花也の付下げ「六角箱」を合わせてみました。流水と若松を背景に六角箱を描いたもので、典型的な安田の様式ですね。

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写真3番目は、千切屋治兵衛の付下げ「波頭」を合わせてみました。制作したのは中井淳夫です。色で合わせてみました。帯の辛子色の地色に対しては、水色の着物の地色がきれいです。

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写真4番目は、千切屋治兵衛の付下げ「蛇籠に流水」を合わせてみました。制作したのは中井亮です。何を合わせてもあってしまうので、今回はちょっとハードルを上げ、紅葉の着物に牡丹唐草が合うかというテーマにしてみました。私はあまり気にならないですが、いかがでしょうか。

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写真5番目は千切屋治兵衛の付下げ「若冲牡丹」を合わせてみました。制作したのは中井淳夫です。今回はさらにハードルを上げ、牡丹唐草の帯に牡丹の着物が合うか試してみました。いかがでしょうか。
[ 2014/06/06 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

喜多川俵二の名古屋帯「小牡丹唐草」

第二千七百四十回目の作品として喜多川俵二の名古屋帯「小牡丹唐草」を紹介します。

喜多川平朗、喜多川俵二の2代続いて人間国宝になった西陣の俵屋の名古屋帯です。「牡丹唐草」は名物裂の中でもっともポピュラーなものですね。牡丹の花には大小ありますが、この「小牡丹」がいちばん使い勝手が良いと思います。

上品で、人間国宝というステータスもあり、帯合わせもしやすいというありがたい帯ですね。帯合わせもしてみたいと思いますが、何でも合ってしまうので、このブログとしてはやり甲斐が無いというのが欠点です。

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いちばん上の写真は帯の幅を写真の幅として撮ったものです。

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写真2番目は近接です。

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写真3番目は拡大です。
[ 2014/06/05 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

藤井絞の羽裏(青木一重バージョン)

第二千七百三十九回目の作品として藤井絞の羽裏を紹介します。

2013年に大阪市立美術館で開催された「再発見!大阪の至宝コレクターたちが愛したたからもの」にも出品され、富士山の世界遺産登録との関連もあって注目された「富士御神火文黒黄羅紗陣羽織」を写した羽裏です。

大阪市立美術館で展示された時は「豊臣秀吉所用」となっていましたし、もともと大阪城天守閣所蔵ですからそう思ってしまいます。しかしながら、本当は秀吉のものではなく青木一重のものと考えるのが普通でしょう。
http://nobori-flag.shop-pro.jp/?pid=35950038
を見ていただくとわかるのですが、「富士御神火文」は青木一重の旗指物ですから、同じデザインの陣羽織も本人のものと思うべきでしょう。

青木一重は徳川家康の家来として姉川の合戦で大功を建てた後、丹羽長秀に乗り換え、さらに秀吉に乗り換え、大阪冬の陣の時には秀頼の親衛隊である七手組(1万人)の大将の一人でした。しかし夏の陣の始まる前、冬の陣の講和のあいさつに家康に会ったとき、京都で身柄を拘束されてしまいます。やむをえず夏の陣では養子が青木一重の旗指物をもって代理参戦するのですが、その様子が「大坂夏の陣図屏風」こ描かれており、旗指物のデザインも確認できるのです。

秀吉の家来として青木一矩という人がいます。青木一重と名前が似ているので一族かもしれませんね。染織史ではこの人の方が知られていて、名物裂の青木間道の持ち主で名称の由来とされています。私はその関連で青木一重を知っていたのです。青木一重はよほど人柄が良かったのか、後に家康から1万石をもらい幕末まで続きます。夏の陣に参戦した養子も無事脱出し、僧籍に入った後藩政を手伝っていたそうです。青木家の家紋は3つ州浜で、これもまた斬新なデザインなんですね。青木間道の持ち主の青木一矩も含め、よほどセンスの良い一族だったのでしょう。

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いちばん上の写真は全体です。

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写真2番目は近接です。

この作品は絞りによる表現ですが、オリジナルは別の裂を縫い付けたアップリケではないかと思います。もう1つオリジナルとの違いは、この作品は富士が中心にあるのに対し、陣羽織のばあいは富士山の頂上が陣羽織の中心からずれています。またオリジナルは富士山の下に水玉模様がありますが、この作品では袖裏に水玉があります。
[ 2014/06/04 ] 絞り | TB(0) | CM(0)

藤井絞の羽裏(小早川秀秋バージョン)

第二千七百三十八回目の作品として藤井絞の羽裏を紹介します。

東京国立博物館にある「猩々緋羅紗地違鎌模様陣羽織」を写したものです。オリジナルはアップリケですが、絞りで表現しています。素晴らしいデザインだと思いますが、所有者が小早川秀秋というのが難点です。

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Iいちばん上の写真は全体です。

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写真2番目は近接です。鎌のギザギザを絞りで表現しており、ここが職人さんの技の見せ所ですね。オリジナルはアップリケですので、こういう技術的なむずかしさはないわけです。というわけで、こういう技を披露しているところがこの作品のオリジナリティですね。
[ 2014/06/03 ] 絞り | TB(0) | CM(0)

中井淳夫の訪問着「雑木林」の帯合わせの続き

第二千七百三十七回目は中井淳夫の訪問着「雑木林」の帯合わせの続きです。

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いちばん上の写真は、龍村の袋帯「海音光映錦」を合わせてみました。「深山幽谷」というテーマをさらに大きく深くする帯合わせということで、空や海を加えてみたいと思います。ここでは大海原を思わせる波を合わせています。

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写真2番目は、池口平八の袋帯「琵琶湖」を合わせてみました。同じ水でも大海原ではなく湖にしてみました。上の例は海と陸という対立的なテーマがぶつかり合う趣旨でしたが、今回は山と湖という馴染み合うテーマということになりますね。色も緑系の同系色ですし、ぼかしの山に相応しい波の静かな湖です。

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写真3番目は、龍村の「有朋文」を合わせてみました。鳥獣戯画をテーマにした作品です。深山幽谷の風景は現実の世界と伝説の世界の境界にあるようにも見え、こんな山の中を彷徨ったら、昔話の主人公たちの遭遇しても違和感が無いように思います。

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写真4番目は、河合康幸の袋帯「松葉」を合わせてみました。上の例は、山に対して水、現実に対して物語というように世界を広げる帯合わせでしたが、今回は深山幽谷に対して松葉や松ぼっくりというように、世界を小さく絞り込む帯合わせをしてみました。地色も同じ緑系にして色の幅も縮めています。このような微視志向の帯合わせは、同じ訪問着ながらカジュアル方向に舵を切る感じがします。

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最後は私がいちばん気に入っている帯合わせで、大西勇の「有栖川錦龍文」です。深山幽谷に龍が現れたという趣旨です。

[ 2014/06/02 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

中井淳夫の訪問着「雑木林」の帯合わせ

第二千七百三十六回目は中井淳夫の訪問着「雑木林」の帯合わせです。

この作品は、平面で広げたときは、日本の湿潤な気候の深山幽谷というようにテーマがはっきりしていて、東山魁夷を思わせるような絵画的な着物でありながら、着物として着た時は、迫力はあるが誰でもなんとなく着られるぼかしの着物になるというものです。飾って良し、着て良しですね。

帯合わせというのは着る時にするものですから、ぼかしの着物が相手だと思えばよく、帯ならなんでも合うということになります。ただし、ぼかしと言っても中井作品なので存在感がありますから、それにふさわしい質感のある帯ということになります。

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いちばん上の写真は、洛風林の袋帯「宝飾華文」を合わせてみました。洛風林だからセンスが良くて高品質である、ということ以外、中井の深山幽谷の着物とは全く関連性がありません。しかし存在感のあるどうしで良く合っているように思います。帯合わせは、意味や物語性にこだわらなくても良いのかもしれませんね。喜多川俵二の有職文の帯や北村武資の経錦の帯でも合いそうです。

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写真2番目は、紫紘のネブラディスクの袋帯を合わせてみました。日本の湿潤な気候の深山幽谷に対し、ドイツの先史時代の遺物の組み合わせですから、意味を無視した帯合わせといえます。しかし、深山幽谷に対し太陽と月を合わせるというスケールの大きな帯合わせは河内長野の「日月屏風」を意識した帯合わせとも言え、日本の美術史の知識を生かしたとも言えます。

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写真3番目は、龍村の「陶楽騎馬文」を合わせてみました。イスラム陶器をモチーフにしたものですが、龍村らしい強烈な色彩で、龍村の個性的な仲間の中でもまれに見る存在感のある帯ですね。意味のつながりを完全に排除してお互いの存在感だけをぶつけてみる、という趣旨の帯合わせです。

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写真4番目は、帯屋捨松の袋帯「豊公花鳥錦」を合わせてみました。タイトル通り、豊臣秀吉が所蔵していた陣羽織の意匠です。秀吉は輸入されたペルシア絨毯を陣羽織にしていました。やはり存在感のある帯ですね。織りだされているのは鸚哥ながら鳥なので、深山幽谷の本来の住人を帯として表した、ともいえます。

着物では深山幽谷の構成要素である個々の木々を縮尺を大きくして描いているので、同じく深山幽谷の住人である鳥も仲間に入れていいかもしれませんね。
[ 2014/06/01 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)