織悦の紗の袋帯の帯合わせ

第二千五百五十四回目は、昨日紹介した織悦の紗の袋帯の帯合わせです。

すっきりとして都会的な雰囲気で、カジュアルにも使えそうな気がします。しかし袋帯ということで基本はフォーマルですから、今日は、単衣または絽か紗の付下げまたは訪問着と合わせてみます。

基本はどんな着物とも合うはずですが、帯の雰囲気からして、格式の高いモチーフを並べたドフォーマルの訪問着でも良いのか、帯と同じすっきりした付下げの方が良いのか、その辺も試してみたいです。

もう1つ気になるのは、帯の意匠が、芒ということで、スッスッと長い葉がまっすぐ伸びているのですが、このような意匠は夏のすっきりした着物にも多く、長いまっすぐな葉どうしが重なったばあいは組み合わせとしてどうか、ということです。これも試してみます。

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いちばん上の写真は、野口の紗の付下げを合わせてみました。先日も使用した塩釜の意匠ですが、小袖写しともいえるものですから、フォーマル派代表として登場してもらいました。

こうしてみると、帯の意匠がすっきり都会的だからと言って、フォーマルなモチーフと合わないということはありませんね。むしろ、ごちゃごちゃ柄に対してすっきりが合うとさえ言えます。

教訓としては、ごちゃごちゃ柄はごちゃごちゃ柄とは合いにくいですが、すっきり柄はすっきりにもごちゃごちゃにもあらゆる柄に合うということです。

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写真2番目は、花也の絽の付下げと合わせてみました。水色地で、絽の組織のパターン違いを利用して市松を織り出した地に、そのパターンを生かして市松模様を付けた付下げです。撫子、沢瀉など、夏から秋の草花が描かれています。

帯と着物の意匠が全く違うパターンですから、誰でも異論のない帯合わせだと思います。

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写真3番目は、野口の絽縮緬の付下げと合わせてみました。水流の中の芦の葉をテーマにしたものです。使われている色が野口のイメージカラーともいうべき、紫、辛子色、黄緑で、華やかなのに赤系が無いので若向きでなく、あらゆる年齢の方が「派手」と後ろ指を指されずに目立てる着物です。

着物と帯、どちらも下から上に伸びる柄ということで重なる雰囲気もありますが、色目が全然違いますし、葉の種類も形も違いますから、それほど気になりません。

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写真4番目は、千切屋治兵衛(実際の制作は中井さん)の絽の付下げと合わせてみました。杜若をテーマにしたものですが、花が無いので季節がはっきりせず、夏中着られそうです。しかしながら、それが仇になって、芒と区別がつかず、どちらもスッスッと長い葉がまっすぐ伸びている模様になって、重なってしまいました。

着物と帯がこれしかなければ仕方が無いですが、出来れば避けたい気がします。一見万能と見えるこの織悦の帯ですが、唯一の欠点でありました。
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[ 2013/11/30 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

織悦の紗の袋帯

第二千五百五十三回目の作品として、織悦の紗の袋帯を紹介します。

夏の紗の袋帯で、タイトルは「露すすき」です。以前、「すすき」というタイトルの織悦の紗の袋帯を紹介しましたが、こちらは「露」ということで、芒に丸い玉が付属しているところが違いますね。
これも、織悦の帯としては、わりと安価な色柄の少ないタイプです。織悦の安価なタイプは、寂しいとか物足りないではなく、すっきりして都会的に感じます。良い方に転化しているんですね。

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いちばん上の写真は帯の幅を写真の幅として撮ったもの、

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写真2番目は近接、

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写真3番目は銀の穂の拡大、

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写真4番目は金の穂の拡大、

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写真5番目は金の葉の拡大です。

まずいちばん上の全体の幅の写真を見ると、芒の穂が水色に見えます。しかし、3番目のその部分の拡大写真を見ると、じつは2本の銀の撚糸(撚銀糸)なのです。銀ということで、光沢は有っても色は無いはずなのですが、なぜか水色に見えてしまうのです。

さらに全体の写真で別の個所を見ると、芒の穂にはくすんだ金色の穂もありますが、それを写真4番目で拡大すると撚金糸で、紗の組織に潜るように織り込まれています。

また全体の写真で金の葉を見てから、写真5番目でその拡大写真を見ると、平金糸で、紗の組織の上の出るように織られています。

このように見ると、普通に人の目でこの帯を見ると、水色の穂を中心に色があるように見えますが、じつは乳白色の地色の他は、金と銀だけで色は使われていないのです。そして、平面(平金糸)か丸い断面(撚金糸)かという形状の違い、1本で使っているか2本束ねて使っているかという量の違い、そういう色以外の違いで、色が生まれているようです。

西陣の織物は伝統的というより創作的ですね。顕微鏡で解剖的に見ると、結構ありきたりの商品でさえも、一般ではアートと称するぐらいには工夫をして創っています。
[ 2013/11/29 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

藤井絞の名古屋帯を使った帯合わせ

第二千五百五十二回目は、昨日の続きで藤井絞の名古屋帯を使った帯合わせです。

昨日の帯ですが、今日は縮緬の小紋に合わせてみます。本来辻が花は権力者の衣装ですから、フォーマルそのもののような気もしますが、実際に帯にしてみると紬に良く合ってしまいます。それでもまあ、小紋までなら使えそうですね。

カジュアルな雰囲気なのは、じつは生地にも理由があって、玉紬(「生紬」という呼び方の方が有名ですが、それはしょうざんの商標)を使っているからでもあります。玉紬は、涼しげで単衣っぽい雰囲気があるので、単衣時期の帯としても使えます。

さて、染めの着尺を合わせる時の基本方針ですが、帯が絞りなので、技法が重ならないように絞りの着尺は避けています。その上で、総柄、飛び柄、格子、多色などいろいろなパターンを試しています。

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いちばん上の写真は、千切屋治兵衛の型染の着尺(実際の制作は大和さん)を合わせたものです。源氏香をモチーフにした総柄の小紋ですね。このような着物は、どんな帯に対しても背景を務めてくれるので、合わせるのは楽ですね。配色については、藤井絞にありがちなパターンである紫⇔黄緑の組み合わせに逆らわないように選んでみました。

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写真2番目は、野口の更紗の着尺を合わせてみました。素朴な筒描きのような(これは型染なので雰囲気だけ)おおらかな白い輪郭線をもつ曲線模様の作品です。紫と水色という配色は美しいですね。

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写真3番目は、千切屋治兵衛の型染の着尺(実際の制作は大和さん)を合わせたものです。生地が紬地で、紬の風合いを生かした地色に、朱色の型疋田の雪輪が飛んでいます。生地が光沢を吸収するタイプのため、雪輪は朱色でも派手な感じはありません。

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写真4番目は、野口の格子の着尺を合わせてみました。似たような色とパターンの着物を、北斎の浮世絵に登場する女性が着ています。ですから、このような感じの格子は、江戸の粋文化に属すると言ってもいいのでしょうね。

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写真5番目は、野口の個性的な着尺を合わせてみました。いつもの大きな飛び柄ですが、それだけでなく、太い縞も併用しているという個性モノです。縞の色が配色として合っている黄緑であるためにまあ何とかなっている、という感じでしょうか。
[ 2013/11/28 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

藤井絞の名古屋帯を使った帯合わせ

第二千五百五十一回目は、昨日紹介した藤井絞の名古屋帯を使った帯合わせです。

今日は、いちばん頭を使わなくて済む紬による帯合わせをしてみました。なぜ頭を使わずに済むかと言えば、紬は絣であっても友禅ほどの絵画性が無いので、柄どうしが鑑賞し合うということが無いからです。具象的な模様が無いので、帯合わせに難しい点があるとすれば、紫の地色ですから、紬の色をテーマにして試してみたいと思います。

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いちばん上の写真は、大城織物工場(大城カメの工房、息子の清栄さんの時代)の南風原の紬を合わせてみました。沖縄独特の福木を使ったベージュ、沖縄ではグバン(碁盤)と言われる格子模様の中に絣(沖縄独特の模様単位を使った意匠)を入れた、「綾の中」と言われる沖縄らしいパターンですが、配色のせいかいかにも土俗的な雰囲気の作品です。ベージュと紫という補色関係を意識して試しています。まあ、補色関係の帯合わせの基本ですね。

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写真2番目は、小岩井工房の上田紬を合わせてみました。小岩井工房は、ちゃんと手織をしている工房です。呉服業界の流通チャネルは使用せず、ユーザーに直に販売しています。信州旅行をしつつ、手織り工房を見学し、自分の気に入ったものを選ぶという購買スタイルですね。

個人工房で絣技術はないですから、格子と縞がメインです。(絣の技術というのは本来高度なもので、大島、結城、新潟、沖縄あるいは久留米という絣技術のある特殊な産地しかできない。)この作品は多色の格子ですが、配色が上手く、グレーにもベージュにも、派手にも地味にも見えます。

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写真3番目は、大城織物工場(大城カメの工房、孫の哲(さとし)さんの時代)の南風原の紬を合わせてみました。いちばん上の例と同じく、グバン(碁盤)と言われる格子模様の中に絣(模様単位)を入れた「綾の中」です。

着物の地色は、ウグイス色ですね。藍と福木(黄色)を重ね染しているのでしょうか。ウグイス色の着物と紫色の帯という一般にもありがちな配色です。

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写真4番目は、藍染の久米島紬を合わせてみました。沖縄復帰から間もない70年代はと80年代初めごろまでは、伝統的な沖縄染織にも、いろいろな試行錯誤が行われていました。これもその1つで、なんと佐藤昭人の阿波藍で染められています。

現在は久米島紬は重要無形文化財ですから、わざわざ手間とお金をかけて沖縄の伝統から外れた邪道をすることはありません。久米島内の泥で染めた泥染か、久米島内の植物で染めた草木染こそ価値があるわけです。

それでも実物を見ればきれいですよね。でもそんなことはどうでもよく、今回のテーマは藍染の藍色と紫色の帯合わせです。合っているとは言いませんが、どうせ帯合わせをするならば、これぐらいのスリルを味わうのも良いですね。

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写真5番目は、現代の創作的な久米島紬を合わせてみました。泥染、泥でない草木染、ユウナ染を合わせて横段にしています。鳥(トィグアー)が見えますが、本来は模様単位として並べて表現する幾何絣ですね。それを絵画的に使って、鳥が飛んでいるワンポイントのように見せています。着物と帯の配色としては、グレーと紫のイメージで、良く合っています。
[ 2013/11/27 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

藤井絞の名古屋帯

第二千五百五十回目の作品として、藤井絞の名古屋帯を紹介します。

京都瑞泉寺に所蔵されている「松川菱取に菊藤模様辻が花裂」をアレンジして、名古屋帯にしたものです。京都瑞泉寺といえば、普通の由来の寺ではなく、豊臣秀次と妻子全部が処刑されて埋められた場所(畜生塚、当時は三条川原)の跡に、その菩提を弔うために建立された寺です。

畜生塚といえば、甲斐庄楠音(かいのしょうただおと)の気味の悪い屏風の印象が強いので、もしやこの裂は、そのうちの誰かの物かも…とも思ってしまいますが、実際には江戸時代になってからこの寺に収蔵されたようです。

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いちばん上の写真はお太鼓、

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写真2番目は腹文、

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写真3番目はお太鼓の近接、

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写真4番目は参考図版です。

地色の紫が個性的ですが、元の辻が花裂の色を踏襲しているようですね。作品の魅力は何と言っても、松川菱の鋭角の絞りと、その中の模様の柔らかい曲線の対比でしょう。

模様に使われた絞の技法は、基本の帽子絞と縫締絞ですからなんということもありませんが、松川菱の鋭角はきれいですね。絞りをする時の人間の基本の動作は、摘まむ、ということですから、丸い形は容易く、直線や鋭角をきれいに仕上げる方が難しいわけです。

この作品は、さすがに絞が専業の藤井絞で、鋭角も直線もとてもきれいに上がっています。しかし、実際に身に着けることを考えれば、模様はともかく、紫という色が気になりますよね。どんな着物が合うのでしょうか。次回はそんなテーマで。
[ 2013/11/26 ] 絞り | TB(0) | CM(0)

コート(あるいは長羽織)と羽裏を合わせるというテーマの続き

第二千五百四十九回目は、コート(あるいは長羽織)と羽裏を合わせるというテーマの続きです。

藤井絞の絵羽コートと羽裏の組み合わせについて、昨日紹介し切れなかった組み合わせを紹介します。

まず、画面を半分ずつ使って、表地と裏地を並べて示すという写真の撮り方ですが、とても不自然です。実際には表と裏の関係ですから、このような見え方をすることはありません。それどころか、表地は着ている時しか見えず、裏地は着ていないときにしか見えないのですから、両者が同時に見えることはありません。

エピクロスの「私が存在するとき死は存在せず、死が存在するとき私は存在しない(だから死を恐れるな)」という箴言を地で行くような関係ですね。しかし、だからと言って、表地と裏地の組み合わせでを配慮しなくていいという人はいないでしょう。病気で死が迫った人が、エピクロスの箴言を聞いて死を恐れなくなった、などということはないのと同じです。

今回は、現代の岡重以外の羽裏と、絵羽の羽裏を試してみます。かつての裏地は裏地専門業者によって染められていましたが、近年、採算が合わず次々に廃業しています。発注する側に、裏地は表地より安くて当然、という意識があるからでしょう。

千切屋治兵衛や野口は、やむを得ず、表地に業者に裏地も染めてもらっています。センスは格段に良くなりましたが、値段も格段に高くなりました。

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いちばん上の写真は、千切屋治兵衛の羽裏「雪輪」を合わせたものです。表地とテーマを合わせたことになりますね。統一感があってよい、と見るか、無難すぎてつまらないとみるか、まあそれぞれです。

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写真2番目は、野口の羽裏を合わせたものです。洋服のコートの裏地でも使えそうなモダンな格子模様です。単純な模様のようですが、多色が使われており、表地の小紋のコストで染められているのがわかります。

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写真3番目は、藤井絞の絵羽の羽裏を合わせています。絞りと箔で描かれた琵琶(正倉院の五弦の琵琶)です。表地と裏地の関係を考えてみると、地色は紫の濃淡(というか濃濃)、技法は絞どうしです。ちょっと悩むところですね。

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写真4番目は、岡重の絵羽の羽裏を合わせてみました。濃い地色の大人っぽい表地に対し、明るい色の綺麗な型友禅の裏地という対照的な組み合わせです。地色も補色関係ですし、技法も違います。テーマについて、表地は冬ですが、裏地はすでに春を迎えているという設定になっています。

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写真5番目も、岡重の絵羽の羽裏を合わせてみました。こちらも濃い地色の大人っぽい表地に対し、明るい色の綺麗な型友禅の裏地という対照的な組み合わせです。地色も濃い紫に対しピンクで補色的ですし、技法も違いますが、モチーフについては、こちらは雪輪が共通です。

コート(あるいは長羽織)と羽裏を合わせるというテーマ

第二千五百四十八回目は、コート(あるいは長羽織)と羽裏を合わせるというテーマです。

11月22日(二千五百四十六回)で紹介した藤井絞の絵羽コートを利用して、コート(あるいは長羽織)と羽裏の組み合わせを試してみます。

羽裏は、かつてはたいてい裏物専門の染色業者が染めていました。当時の羽裏は、薄い生地で淡い色で染められていました。生地は軽くなければ肩が凝りますし、色は淡くなければ、表地に透けてしまうからです。合理的なのですが、単体で鑑賞するには物足りないものでした。

革新を起こしたのは岡重でした。表地を染めるのと同じレベルで羽裏を染めて、値段も表地と変わらないというぜいたくな羽裏を発表したのです。しかも、それは創作ではなく、岡重が大正時代に実際に販売したものの復刻ということだったので、みんなびっくりしたのでした。

それは大きな話題になって、大正時代の実物と新しい復刻版を並べて展示するという展覧会が全国の美術館を巡回することとなりました。大正時代の京都の型友禅の技術にみんなが驚き、それを復刻した岡重という会社が全国的に知られるようになりました。

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いちばん上の写真は、岡重の羽裏「京野菜」を合わせたものです。「京野菜」は、「鯛」とともに、岡重が最初に復刻したものの一点で、最初に登場した時は、型友禅でも写生画のようなリアルな表現ができるということで驚いたものです。

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写真2番目は、岡重の羽裏「天使」を合わせたものです。岡重の羽裏を初めて見た人はリアルな表現で驚きましたが、初めて見た業者は価格の高さで驚きました。当時の常識では、裏地は表地の付属品にすぎませんから、安いのが当然だったのです。

それで躊躇した業者も多いと思われますが、そういう壁は素人のユーザーの方があっさり越えるものですね。ユーザーでも着物を着るのを職業としている人の方が躊躇していました。

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写真3番目は、岡重以前の普通の羽裏です。色数も限定されていますし、使っている色も淡いです。価格は岡重のように高くないですが、表地に透けないという本来の機能を守って合理的です。

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写真4番目は、岡重以前の普通の羽裏です。普通と言っても北秀製なので、和装の裏地としてはモダンだと思います。やはり生地としての軽さや表地に透けないという本来の機能を重視しています。

コート(あるいは長羽織)を買われる方は、羽裏を決めるのにも同じぐらいの時間とエネルギーを使っています。けっこう深いテーマなので明日も続きます。

織悦の袋帯

第二千五百四十七回目の作品として、織悦の袋帯を紹介します。

織悦の袋帯には、織り方の違う2つのタイプがありますが、今回紹介するのは唐織風に、ふっくらした絵緯糸が浮いて模様表現するタイプです。タイトルは「彩悦錦枝垂れ桜」です。

垂れ桜の花が、唐織に使われるだるま糸と言われるふっくらとした糸で、立体的に表現されています。花は自然の色ではなく多色で表現されているため、装飾的な画面になっています。桜の花は、濁りのない透明感のある色で織られていて、その色の雰囲気のために遠くから見ても織悦の帯だとわかります。

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いちばん上の写真は帯の幅を写真の幅として撮ったもの、

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写真2番目と3番目は近接、

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写真4番目は垂れ桜の枝部分の拡大、


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写真5番目は花の部分の拡大です。

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写真6番目は地の部分の拡大です。


写真3番目の近接で見ると、ふっくらと浮いた緯糸で表現された花のほかに、浮かない緯糸で表現された枝と葉もあって、両者の立体感の違いで、遠近感が表現されています。近景である花の部分を拡大したのが写真5番目、遠景役である枝の部分を拡大したのが写真4番目です。立体感が無いだけでなく、色も淡くなっており、空気遠近法でもあるんですね。

さらに3番目の近接で見ると、金色の地には、同色の金色で模様パターンが浮き出ています。これはどのような組織になっているかを解明するため、地の部分を拡大したのが写真6番目です。

緯糸として、組織を構成する絹糸のほか、本金の平金糸が使われていますが、その平金糸を抑える経糸が見えます。よく見るとその経糸は均等間隔ではなく、一定の模様パターンになっていて、それが表面から見えている模様なのです。案外、単純な糸の仕掛けで細かい模様パターンが表現できるんだなあと思います。
[ 2013/11/23 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

藤井絞の絵羽コート

第二千五百四十六回目の作品として、藤井絞の絵羽コートを紹介します。

11月20日発売の「美しいキモノ冬号」の222ページに掲載されています。当社が掲載したわけではなく、藤井絞が掲載したものです。みんなに好かれそうなデザインなので、複数つくっているのかもしれませんね。

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いちばん上の写真は全体、

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写真2番目、3番目、4番目は模様を近接で撮ったものです。

雪の結晶というテーマですが、じつはもう一段階仕掛けがあって、なんと生地が雪輪の地紋なのです。濃い地色なので写真で分かりにくいのですが、FC2の近接写真で目を凝らしていただくとわかります。単に雪の模様をつけるだけでなく、生地と加工の両方を動員して、雪というテーマを重層的に表現しているのです。

模様の絞りは、技法的には平凡ですね。だれでもできる基本の帽子絞です。3番目の写真の星形の帽子絞は、ちょっと技がありますが、藤井絞の職人さんとしては退屈な仕事だと思います。

雪の結晶の線模様の部分は銀描きです。縫締絞を使って、純粋に絞だけで模様表現することもできますし、その方が価値があるでしょうが、技法の純粋性よりも視覚効果としての面白さを重視したのでしょう。

黒ではないが黒に近い地色(ちょっと色気がある)、絞りの白、そこにもう一色入れるなら、どんな色よりも、あるいは単純な白よりも、銀で冷たく光らせるのが良いのです。

さて、ユーザーの身になって考えると、このコートを買おうと思ったときに、飛び柄の小紋をコートとして流用するのとどっちが良いか迷うと思います。最初から計算して模様配置してある絵羽コートの方が、当然、模様配置はきれいです。しかし、飛び柄の小紋を流用した方が、選択の範囲が広いですから。

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例えばこの藤井絞の着尺(飛び柄の小紋)です。仕立て屋さんが上手に模様配置してくれれば、同じようなコートになりますね。小売屋さんは、たいてい絵羽コートよりも小紋の方が在庫を持っていますから、ユーザーとしては模様の選択肢が広くなります。
[ 2013/11/22 ] 絞り | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛の色留袖(中井淳夫)

第二千五百四十五回目の作品として、千切屋治兵衛の色留袖を紹介します。実際に制作したのは中井淳夫さんです。

今日紹介するのは、私が10年以上前に販売したものが、たまたまシミ抜きで戻ってきたので、写真を撮らせていただいたものです。販売するものではないので、参考出品という程度の意味ですが、生前の中井さんの凄さがわかる作品なので、ぜひ見てください。

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いちばん上の写真は全体、

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写真2番目、3番目、4番目は、3つの霞取りをそれぞれ撮ったものです。

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3つの霞取りの細部の近接です。

今から十数年前ですが、私が千切屋治兵衛の販売会で、なにげなくこれを見ていたら、当時の社長(16代西村治兵衛)が、これは私がつくりたくて、中井さんに直に頼んでつくったんですよ、と説明してくれました。

今見ると、普通の担当社員が日常業務として制作したものでなく、社長自らが、当時のいちばん上手い下職に直々に依頼してつくった作品、という由来が信じられる出来ですね。
[ 2013/11/21 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

織悦の紗の袋帯の帯合わせ

第二千五百四十四回目は、昨日紹介した織悦の紗の袋帯の帯合わせです。

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いちばん上の写真は、野口の紗の付下げを合わせてみました。墨色地に、野口らしい多色で大きな柄の付下げです。植物文どうしの重なりで、しかも菊で重なってしまっているのが残念ですが、世間的には許される範囲かなと思います。

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写真2番目は、大松の絽の色留袖と合わせてみました。唐子で表現された人物が大型の帆船を引いているところです。後姿には中国風の塔も見えるので、近世の寧波辺りのイメージでしょうか。

色留袖の濁りのない水色地に対し、織悦の帯が良く合っていると思います。テーマも、植物どうしが重なるということもないので良いですね。

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写真3番目は、千切屋治兵衛(実際の制作は中井淳夫)の絽の付下げと合わせてみました。水色地に線模様(直線も曲線も)で、その線が交わってできるスペースに伝統的な波文様が描かれています。幾何学模様と言えば、モダンな抽象画のイメージですが、そこに伝統的な波文様を加えることで、「新しい酒を古い革袋に入れる」という形式にしています。キリストには申し訳ないですが伝統工芸の必勝パターンです。

中井さんの色は「重い」のが特長ですが、濁りがありません。だから織悦とも合いますね。テーマとしては、幾何学文様に対する植物文様で、干渉し合うこともありません。

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写真4番目は、千切屋治兵衛(実際の制作は中井淳夫)の「絹芭蕉」という商標の玉紬の生地の付下げと合わせてみました。玉紬(世間的にはしょうざんの商標である「生紬」のほうが通じやすい)の生地は、裏地を付けて合わせに着ても良いですが、単衣で着るとかっこいいです。

帯は単衣時期にふさわしい涼しげな雰囲気がある帯が良い、ということになりますが、たいていは夏帯を合わせているようです。この帯合わせは、中井さんの付下げの幾何学文様(じつは小袖由来のパターン)に対し、織悦の植物文様で、合っているような気がしますが、中井の重い色には龍村の方が良かったかもしれませんね。

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写真5番目は、千切屋治兵衛(実際の制作は中井淳夫)の絽の付下げと合わせてみました。白地に撫子模様です。上の例では、「龍村の方が良かったかも」と書きましたが、こちらの中井とは合っています。単衣の生地では色が強すぎて、上品な織悦とは合いにくかったのが、染料の含みが少ない絽の生地では、ちょうど合うのかもしれませんね。
[ 2013/11/20 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

織悦の紗の袋帯

第二千五百四十三回目の作品として、織悦の紗の袋帯を紹介します。

夏の紗の袋帯で、タイトルは「菊」です。菊と流水がテーマですね。11月6日(二千五百三十回)でも「芒」というタイトルの織悦の帯を取り上げましたが、今日の織悦「菊」はそれよりも高額なバージョンです。

織悦の帯の価格というのは、「芒」と「菊」の2点の写真を見比べるとすぐわかるように、色数で合理的に判断できます。芸術性の高い品物にもかかわらず、明瞭価格なのです。そんな経営方針のためか、価格も安定していますね。たまにヤフオクで安く出ることがあるのは仕方がないことですが。(たまたま柄が気に入れば買っても良いと思います、織悦なら間違いないですから。)

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いちばん上の写真は帯の幅を写真の幅として撮ったもの、

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写真2番目と3番目は近接、

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写真4番目は赤い花と黄緑の葉の部分の拡大、

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写真4番目は青い花と黄緑の葉の部分の拡大です。

菊と流水というテーマやモチーフの配置は、蒔絵にも有田の磁器のも小袖にも有って、日本の伝統的な意匠といえるものですから、創作的とはいえません。しかし、作品を見ると、すぐに織悦だとわかる個性がありますね。

その理由は、やはり色でしょうか。織悦の色というのは、濁りのない透明感のある色です。私はすぐれた作品はすべて色に濁りが無いのではないかと思っています。油絵で、絵の具を盛り上げたりペインティングナイフで削ったりするのを繰り返したような作品でも、良い絵は画面の色に濁りが無い気がします。

色に濁りは無いですが、絵の具のチューブから出したばかりのような原色ではなく、あくまでも清くて上品です。絵でも写真でも人の記憶でも、うっすら霞んだ色に見えることを「紗がかった」といいますが、この帯の菊の色は濁りのない赤・黄・青を透明感はそのままに紗をかけたように見えます。

写真4番目と5番目は、菊を拡大したものです。鮮やかな色糸の前面に白い糸の紗の組織がありますね。つまり、比喩ではなく本当に原色の前に紗がかかるような組織になっているのです。西陣の発想は即物的ですよね。本来感性的なもので、心で感じるべきものでも、映画の特殊効果のように、ちゃんと仕掛けを作って見せてくれます。

さらに拡大写真をよく見ると、黄緑色の糸で表現している菊の葉は、金糸を伴っています。絹糸は本来光沢をもっていますが、リアルな金糸の仕掛けで、その光沢を補っているのです。本来心で感じるべきものも、ちゃんと仕掛けを作って演出している、まさに即物的です。
[ 2013/11/19 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

花也の塩瀬地の友禅の名古屋帯を付下げに合わせるというテーマ

第二千五百四十二回目は、花也の塩瀬地の友禅の名古屋帯を付下げに合わせてみます。

紬、小紋と合わせてきて、今度はフォーマルへの進出です。本来のフォーマルであれば袋帯を合わせるべきですが、今回は重い友禅の名古屋帯がどこまでいけるか、というテーマです。さすがに訪問着は避けて、軽い付下げぐらいで合わせてみました。

軽めの付下げ限定で合わせてみたのですが、実際に合わせてみると、なかなか制約の多いものだとわかりました。それはテーマや雰囲気の相性ですね。友禅の着物に対し帯が織物であれば、本質的に質感が違うので、干渉し合うことが少ないのですが、友禅どうしであればたいてい干渉しあうので、よほど相性の良い場合しか使えません。

まず、テーマや雰囲気が似ている場合は、ドラマに出てくるぼけた老人が、同じことを2度ずついうような状態になってしまいます。また、テーマや雰囲気が違ういすぎるばあいも、お互いの世界観を壊し合ってしまいます。たとえば、白揚げで江戸風の粋な付下げについて、多色の帯を合わせたら、コーディネートに調和も方針もないことになってしまいますね。

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いちばん上の写真は、花也の小付けの付下げを合わせてみました。若竹色の地色に、雪輪と松葉という古典的なモチーフ、そして余白の多い小付け、という付下げです。私はこういう付下げを見ると、京都の舞妓さんの休日のイメージがあります。

京友禅の意匠というのは、明治時代に千總がよく研究してしまったので、すでに全国共通のものですが、京都には京都の地場の京友禅があるのではないかと思います。それがあるとすれば、それは私にはこんなイメージですね。

帯わせについては、清らかだが淡い色の着物に極彩色の帯の組み合わせで、着物に華やかさをプラスした感じで良いように思います。

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写真2番目は、千切屋治兵衛(西山謙一)の無線友禅付下げを合わせてみました。細密な糸目の友禅に対し、おおらかな無線が対照的です。また、テーマも細密な花模様に対し、雄大な風景ですから、これまた対照的ですね。

しかし色については、どちらも赤黄青と原色を思わせる色を使っていて、この点では共通点があります。帯合わせは、同系で合わせようか、対照で合わせようか、と思うものですが、これはどちらも含んだ帯合わせです。

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写真3番目は、野口の色紙の取り方模様の付下げを合わせてみました。縦に規則正しく並んだ色紙で、モダンな幾何学模様のような雰囲気です。色も抑えており、多色の曲線の花模様の帯とは対照的です。対照的なものどうしの帯合わせですね。

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写真4番目は、千切屋治兵衛(倉部さん)の刺繍の付下げを合わせてみました。11月16日(二千五百四十回)の3番目の写真で、横段模様がシンクロするような帯合わせを試しています。その帯合わせは上手くいっていたとは思いませんが、今回は、刺繍と友禅で質感が違うため、面白いシンクロができたように思います。

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写真5番目は、野口(岡本等)の付下げを合わせてみました。岡本等さんは、生前ファンが多かったのですが、40代にして亡くなり、今は見る機会はほとんどありません。ゴム糸目の繊細な糸目にモダンな彩色をしたものです。横段どうしの帯合わせを多色の友禅という同質どうしでやったらどんな失敗になるかというのを試してみました。

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写真6番目は、野口の大きな模様の更紗の付下げを合わせてみました。大きな意味では、どちらも花模様ですが、着物の色は抑えめですし、花の大きさも違います。お勧めしませんが、全然だめというほどでもないですね。
[ 2013/11/18 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の塩瀬地の友禅の名古屋帯を使った帯合わせ

第二千五百四十一回目も、昨日の続きで花也の塩瀬地の友禅の名古屋帯を使った帯合わせです。

3回も引っ張って、みなさんも飽きているかもしれませんが、着尺が相手の帯合わせはバリエーション豊富で、私自身がどこでけりをつけて良いのかわからなくなっています。適当に合わせていると、思わぬ良い組み合わせも生まれてくるので、掲載して見ていただかないと損したみたいに思えてしまってやめられないのです。

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いちばん上の写真は、藤井絞の着尺の着尺を合わせてみました。余白の多い飛び柄で、色は帯の黒地に対してコントラストの強い明るいグレー地、多色です。テーマは帯の花に対して鳥(雀)ですから、帯合わせに支障がないですね。

さらにいえば、絞りというのは輪郭がくっきりせず柔らかいので、帯の鮮やかな色の友禅+金彩に対しても、対照的ですね。

さて、絞りの着尺を選ぶときの基準ですが、大事なのは色とデザインですね。絞りというと技法に目が行きますが、着物というのはファッションですから、大事なのはおしゃれということです。

しかしながら、技法的に一か所でも難しい部分を含んでいると、類似品が出なくていいです。この雀の場合は、輪郭部分の絞りです。雀は中の色が薄くて輪郭が濃いのですが、どうやって輪郭だけ濃く絞るのでしょう(逆ならできますね)。わからない技法が使ってあれば、半端な作家はできませんから類似品が出にくいのです。

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写真2番目は、千切屋治兵衛の雪輪の着尺を使ってみました。飛び柄と総柄の中間ぐらいの柄の配置だと思います。このタイプは仕立ての柄合わせも不要で、着る時も体格を気にせず着られます。(大きい飛び柄は、体格の大きい人は柄が3つ出るが、小さい人は2つ、なんて差が出る。)

帯合わせについても、このような余白があるような無いような着物は、飛び柄の良さと総柄の良さを両方持っていて、結構いろいろ合います。はじめて小紋を買う方はこういうのが安心して買えるかもしれませんね。

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写真3番目は、野口の市松模様の着尺を使ってみました。市松の一方が宝尽し文様、もう一方が鮫小紋パターンになっています。着物の模様には花はないので、帯とは重なりませんし、天井画のようなカチッとしたパターンが、帯の更紗のような花の曲線パターンとは対照的で、お互いに干渉しません。どちらも色は豊かですが、色目が違うので、色が多すぎてうるさいという感じはしませんね。

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写真4番目は、野口の着尺のうち、野口の得意パターンである市松または横段の着尺を合わせてみました。このパターンのきじゃくには市松も横段もありますが、反物状態で横段の着尺は、仕立てれば市松にもなるので、じつはどちらも市松で大小の違いということになります。

写真ではオレンジと黒の配色がきれいですが、これは写真のトリックで、実際に着付けたときは帯の黒と接するのはオレンジではなく柄部分かもしれません。

しかしそれを割り引いて考えても、とてもきれいな組み合わせです。くっきりした黒の帯と、ぼかしの暖色で色分けされた着物が対照的で良いのかもしれません。

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写真5番目はおまけです。
[ 2013/11/17 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の塩瀬地の友禅の名古屋帯を使った帯合わせ

第二千五百四十回目も、昨日の続きで花也の塩瀬地の友禅の名古屋帯を使った帯合わせです。

昨日は、重い加工の友禅の名古屋帯を野口の型染の縮緬地の着尺に合わせてみましたが、写真を撮り始めるときりがなく、とても昨日だけでは紹介しきれませんでした。そこで今日も続きです。


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いちばん上の写真は、野口の着尺のうち、小さい飛び柄のため余白が多く、多色で、テーマが気球で花ではないという、帯合わせに支障がなさそうな着尺を使ってみました。

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写真2番目は、野口の着尺のうち、帯と似たパターンの横段の花模様の着尺を使ってみました。普通はこういう帯合わせはしないですよね。これはエア帯合わせなので、わざと不審なパターンも試しています。

帯と着物を同じパターンで演出するというのは、普通ではしませんし、材料がそろうこともめったにありません。あえて演出して、それで成功したら、すばらしいことなので、いつかこのブログでも試してみたいと思います。

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写真3番目は、野口の着尺のうち、地色が帯と同じ黒で、模様の色は多彩で、大柄で余白のある飛び柄の作品を使ってみました。テーマは本なので花とは違いますし、模様の大きさも違いますから、違和感はないですね。

着物と帯を同色にすると、胴回りの円周がわからないというメリットがあります。模様だけが浮き出して見えるようになって、それもまた視覚的に面白いです。

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写真4番目は、千切屋治兵衛野口の着尺のうち、地色が帯と同じ黒で、模様は帯と重なる花で、しかも帯と同じような大きさという、これまた常識ではしない帯合わせです。どこまでダメか試してみました。帯と着物の境目がなくなって、メリハリがなくなってしまうのが問題ですね。
[ 2013/11/16 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の塩瀬地の友禅の名古屋帯を使った帯合わせ

第二千五百三十九回目は、昨日の続きで花也の塩瀬地の友禅の名古屋帯を使った帯合わせです。

昨日、重い加工の友禅の名古屋帯は、紬にも型染の縮緬の着尺にも軽い付下げにも使えて用途が広いと書きましたが、紬はすでに試しましたので、今日は型染の縮緬地の着尺です。

型染の縮緬地の着尺は、大きい柄も含めて「小紋」と言ってしまいますが、それぞれ個性のあるものです。大雑把に分類してみれば、本来の「小紋」である江戸小紋、千切屋治兵衛に多い小さな飛び柄の着尺、野口に多い訪問着にも見える多彩の大きい柄の飛び柄の着尺、あるいは更紗に代表されるような余白のない総柄の着尺などですね。総柄の着尺には、帯合わせが最高に難しい、個性があって多彩で隙間のない総柄の紅型もあります。

いろんなパターンの着尺で帯合わせを試してみたいところですが、なかなか奥の深いテーマで、今日は野口を試すだけで終わってしまいました。

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いちばん上の写真は、野口の着尺のうち、多色で、大柄で、余白が無いという、いちばん帯合わせしにくそうな作品を使ってみました。帯も着物も多色の花で、普通はしない帯合わせですね。ですが、絶対にダメではなくて、もし家にこの着物とこの帯しかなかったら、合わせてもいいかなと思います。

帯と着物で花の大きさが違うこと、帯は花模様の回りに無地場があって、花どうしが直接接していないこと、着物と帯の色が全く違ってコントラストがはっきりしていることが、多少の救いになっています。

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写真2番目は、野口の着尺のうち、多彩で、余白が無い更紗模様という、これも帯合わせしにくそうな作品を使ってみました。あまり頭がよさそうな組み合わせとも思いませんが、上の写真と同じく、帯に無地場があって、花どうしが直接接していないこと、着物と帯の色のコントラストがはっきりしていることが、多少の救いですね。

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写真3番目は、野口の着尺のうち、多彩で、大柄ですが、余白のある作品を使ってみました。これはとても良い帯合わせですね。帯の黒と着物の金茶が色の組み合わせとしてきれいですし、着物の花が具象でないからでしょう。

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写真4番目は、野口の着尺のうち、蝋染の縞または格子のような幾何学模様の作品を合わせてみました。色は単色濃淡ですし、模様も具象ではありませんから、帯合わせしやすい着物です。合っていますが、合うのが当たり前の帯合わせで、何か発見があるというわけではありません。
[ 2013/11/15 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の塩瀬地の友禅の名古屋帯を使った帯合わせ

第二千五百三十八回目は、昨日紹介した花也の塩瀬地の友禅の名古屋帯を使った帯合わせです。

この作品のように重い加工の友禅の名古屋帯は、紬にも使えるし、型染の縮緬の着尺にも軽い付下げにも使えるので、用途としてはとても広いです。

しかしながら世間では、金加工がしてある帯は紬には合わせられないという思想の人がいます。それは、金加工というのはフォーマルになされるもので、紬はカジュアルだから両者は併用できないという意味でしょう。

しかしながら、帯の金加工をする作者は、作品の格を上げようとして金を使うわけではありません。そこに金色がある方が美しく見える、という創作上の理由で使っているはずです。「より美しく」という気持ちで金を使っただけなのに、それによって用途が限定されてしまうのでは、作者としては不本意でしょうね。

その帯が、フォーマルかカジュアルかということは、素材や全体の雰囲気から総合的に判断すべきことでしょう。とくにモチーフの意味は大事です。正倉院柄のように、そのモチーフが皇室に由来するものなら、カジュアルよりフォーマル方向を向いているといえるからです。

しかしながら、モチーフの由来がわかるためには、多少は本も読まなければなりません。一方、金彩の有無という機械的な判断基準なら、何の勉強も必要ありません。であれば、教養が必要な方の判断基準で帯合わせをしたいものです。

江戸時代後期に文芸モチーフを暗示的に取り入れた小袖が流行ったように、着物のコーディネートというのは、教養をひけらかすゲームでもあります。「ひけらかす」というと悪いことのようですが、ゲームなら勝ちたいですよね。

今回は、金彩の有無が問題になりそうな紬を選んでみました。紬には金彩が合う、ということを感じていただければ良いと思います。

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いちばん上の写真は、大城廣四郎さんの南風原の紬を合わせてみました。沖縄独特の福木を使った美しい黄色、沖縄ではグバン(碁盤)と言われる格子模様で、その格子の交わるところが絣になっているという意匠です。

沖縄の草木染は輝くような美しさがありますね。成功している草木染はそうあるべきだと思います。草木染の色が鮮やかだからこそ、鮮やかな友禅の帯と合うのだと思います。

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写真2番目は、黄八丈(黒八丈)を合わせてみました。黒地に黒の帯合わせですが、着物には黄色い格子があり、帯には黄色い花もあります。鮮やかな友禅と伝統的な草木染の紬は対極のようですが、じつは関連色だったいうことです。

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写真3番目は、紺仁の片貝紬を合わせてみました。紺仁の「片貝木綿」はネット最安15,000円で売られているカジュアルのヒット商品ですが、これはその高級バージョンとしての手紡ぎ真綿・本藍・手織の着尺です。

今日紹介した中で、いちばん素朴な雰囲気ですから、金彩の帯との帯合わせがもっとも危ぶまれます。しかし実際に写真を見ると特に違和感はありません。透明感のある藍のおかげでしょうか。

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写真4番目は、青戸由美江さんの出雲織の着尺「雷おこし」を合わせてみました。本来、素朴な文化に属する山陰地方の木綿の絵絣の伝統を継承するものであるとともに、才能のある創作家の作家モノでもあるという作品です。そのような作品は、伝統の様式でありながら、モダンな色や雰囲気を持つものです。

着物と帯の間に何の関連性も感じませんが、モダンな雰囲気のおかげか違和感はないですね。

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写真5番目は、秋山真和さんの創作的な絵羽の紬を合わせてみました。紬でも作家の創作品は、素朴さはなくモダンな雰囲気です。

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写真6番目は、佐藤トシさんの南部紬を合わせてみました。茜と玉ねぎで染めた、鮮やかなピンクの紬です。鮮やかどうしの帯合わせです。
[ 2013/11/14 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の塩瀬地の友禅の名古屋帯

第二千五百三十七回目の作品として、花也の塩瀬地の友禅の名古屋帯を紹介します。

花也と言えば、安田由来の繊細な糊糸目に淡い色の上品な作風、すなわち美智子さま風をイメージしますが、今日紹介する作品は、まさにその反対の鮮やかな色を持つ作品です。糸目はすべて金彩加工されていて、糸目自体は見えないわけですから、糊でもゴムでも構わないわけで、花也らしい糊にこだわるという思想もないわけですね。

作家や職人は、全く違う作風のものをいきなりつくることはできませんが、悉皆屋のシステムを利用するメーカーはこういうこともできてしまいます。この作品のばあいは、花也さんが、いつもと違う作風のものを創ろうという意思を持って、いつもと違う悉皆屋さんに仕事を依頼したものです。

自分の中に、こういうものを創ってみたいというイメージがあり、それを実現するのにふさわしい悉皆屋さんを選んで依頼するわけです。一見、自分でつくっていなくて楽をしているようですが、イメージするということこそ、もっとも知識と経験を要する仕事ですし、イメージの段階で失敗しているものは、後で職人がいくら努力しても失敗作にしかならないでしょう。

この作品は、花也の作品中で異端なのか、それとも新しい分野なのか、それはこのタイプの作品は世間でどのような評価を受けるかによります。良い評価を受ければ新分野の先駆けになるでしょうが、私は異端で終わりそうな気がします。

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いちばん上の写真はお太鼓、

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写真2番目は腹文、

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写真3番目はお太鼓の近接、

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写真4番目はもっと近接です。

黒い地色を背景に、鮮やかな色の花を描いた意匠ですが、両者が直接接したら下品になりかねないわけで、その間に緩衝地帯として白い部分があって、上品に仕上がっています。作品の存在意義は、鮮やかな原色から白にまで至るグラデーションにありますね。

その部分を近接で撮ってみました。結構大胆に色差がありますが、不自然には感じません。それがこの悉皆屋または職人が有する技術ということでしょう。似たようなグラデーションは、岡重の得意分野でもありますので、参考に写真を載せておきます。

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鮮やかなイメージの岡重の友禅ですが、意外にも今日の花也作品ほど強い原色は使っておらず、したがってグラデーションも穏やかでした。
[ 2013/11/13 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛(中井亮さん)の絽の付下げ「浜辺」の帯合わせ

第二千五百三十六回目は、昨日に続いて千切屋治兵衛(中井亮さん)の絽の付下げ「浜辺」の帯合わせです。

ずいぶん引っ張るなあ、と思われるかもしれませんが、まだどうしても試してみたいものがあるのです。1つは絽綴、もう1つは友禅の染め帯ですね。

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いちばん上の写真は、龍村の絽綴の名古屋帯「花流水」を合わせてみました。龍村の絽綴は、地は絽綴ですが、模様は西陣の普通の帯と同じように絵緯糸で表現しているため、裏に渡り糸があります。(止められるところは止めています。)近年の和装品としての絽綴の流れを考えると、かつては希少な高級品であったのが、中国製が現れたことで価格が暴落し、日本製はほとんど滅びた状態だったのが、再び龍村などから高品質なものが現れたという状況です。

この作品は白地で、青と緑の爽やかな配色です。意味的には、着物の「浜辺」と合うか微妙なところですが、色はきれいに合いますね。

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写真2番目は、龍村の絽綴の名古屋帯「芒香文」を合わせてみました。「芒が香る」というタイトルですが、私は残念ながらピンときません。芒の香りとはどんなものか、世間の人は知っているのか、私は「芒」「香」などの語で、根気よくブログを検索し、それについて論じたものがあるか探してみました。何十かブログを読んで、1つだけ「私、すすきの匂い知ってるお」というのを見つけました。天然っぽい文章でしたが、花が好きな感性の豊かな人に思いました。結局、香りの種類はわからなかったのですが。

龍村のタイトルについて考えると、「芒の香」という、世間の大部分の人は意識していないが、感性の豊かな一握りの人だけが知っている、というテーマをタイトルにするというのが上手いなあと思います。

帯合わせについては、着物と帯の地色は補色関係、着物の暈しの中のわずかな黄色については同系色の関係であり、意外に基本パターンですね。

さて、次は友禅の名古屋帯を使った帯合わせです。友禅染という技法の特長を他の染織技法との比較で考えると、絵画性が高いということに尽きます。絵画性が高いということは、模様が意味を持ちやすいということですから、せっかく友禅の帯を使うなら、帯合わせは着物との間に意味的なつながりを持たせたいですね。

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写真3番目は、花也の紗の名古屋帯「波の丸に千鳥」を合わせてみました。着物の「浜辺」に対して、帯は「波に千鳥」ですから、まさに意味をつなげた帯合わせです。

着物と帯の地色は、水色に黒という鉄板の組み合わせですし、横長水平の着物の柄に対し、帯は丸紋ですから、まさに教科書的な帯合わせだと思います。

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写真4番目は、野口の絽の名古屋帯「塩釜」を合わせてみました。塩釜は、11月7日(二千五百三十一回)の付下げで取り上げた通り、百人一首の藤原定家の歌などにもあるような文芸テーマです。海を表現主義的に描いた着物に対し、文芸要素をプラスするという出来すぎともいうべき帯合わせになります。
[ 2013/11/12 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛(中井亮さん)の絽の付下げ「浜辺」の帯合わせ

第二千五百三十五回目は、昨日に続いて千切屋治兵衛(中井亮さん)の絽の付下げ「浜辺」の帯合わせです。

中井亮さんの絽の付下げは、芸術性の高い作品なのでいろいろ試してみたいと思っています。昨日は、龍村の名古屋帯を使ったので、今日は袋帯を合わせてみます。

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いちばん上の写真は、龍村の絽の袋帯「水衣若松文」を合わせてみました。着物と帯の色合わせについては、水色に黒で、とりあえず試してみたいパターンですね。

黒地に銀糸で表現された流水、大きな若松文、光沢のあるポリエステルの糸を含んだピンク・水色・黄緑という模様の色ということで、下品になるギリギリぐらいにアクの強い、存在感のある帯です。ギリギリで止まっていられるのが龍村の意匠力でしょう。芸術性の高い中井亮さんの付下げに対し、よく対抗し、バランスが取れていると思います。

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写真2番目は、紫紘の紗の袋帯を合わせてみました。テーマは撫子文です。ペパーミントグリーンのような、淡くてモダンな色の帯です。中井亮さんの付下げの都会的な部分を引き出して、全体的に洗練された雰囲気になりますね。

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写真3番目は、織悦の紗の袋帯を合わせてみました。テーマは菊と流水です。織悦の帯というのは、都会的な自分だけの色を持っています。織物なので、経糸緯糸のうちの一方に別の色が入って色が中和されますから、強い色の表現はありませんが、透明感のある濁りのない色ですね。

濁りのない色を使うという配色は、中井亮さんの付下げにも共通することなので、両者は自然な組み合わせに見えます。

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写真4番目は、龍村の絽の袋帯「彩簾花文錦」を合わせてみました。紺に近い色の帯なので、着物とは同系色の強い濃淡の帯合わせです。ただ、御簾というのは、貴人が少し上げて外を眺めるものでもあり、秋草の着物と御簾の帯を合わせると、自分が貴人になって、庭を眺めたような感覚があります。「浜辺」のような暈しだとそういう感覚が味わえませんね。
[ 2013/11/11 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛の絽の付下げの帯合わせ

第二千五百三十四回目は、昨日紹介した千切屋治兵衛の絽の付下げの帯合わせです。

昨日紹介した千切屋治兵衛(中井亮さん)の絽の付下げ「浜辺」は、暈しだけの抽象柄ですから、帯合わせで模様のテーマが重なるという問題が発生しないので、制約のない楽な帯合わせになると思われます。

一方で、日展入選作を思わせる芸術性の高い作風や、軽快なのに重厚な、透明感があるのに深みのある色に対応するような帯というのは、よほどの名品ではないとダメなのではないか、という気もします。

今回は龍村の名古屋帯を使ってみます。龍村の帯ならば、芸術性の高い着物でもちゃんと受け止めてくれるでしょうし、何より色に濁りが無いので合うような気がします。

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いちばん上の写真は、龍村の絽の名古屋帯「夏蒐文(朝顔と萩ですね)」を合わせてみました。着物が暈しだけの抽象柄なので、帯は夏の花を集めた植物文、着物が水平方向の柄なので、帯は丸紋、という模様の表面的な形状だけを基準にして帯合わせをしています。とりあえず基本ですよね。

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写真2番目は、龍村の絽の名古屋帯「清山文」を合わせてみました。「清山文」とは山と霞ですから伝統的な遠山文様ですね。着物の「浜辺」に対し、帯は遠山と霞ですから、両者を合わせれば海と陸、すなわち世界の全部というスケールの大きな帯合わせになります。全体で大きな意味をつくる帯合わせとも言えますね。

私はこの帯合わせが、今回でいちばん気に入っているのですが、それは着物も帯も色に濁りがなく、全体でとてもきれいだからです。龍村の帯の良いところは、使っている糸の色に濁りが無いところです。色に濁りが無いというのは大事なことで、ごちゃごちゃに色を塗り重ねたように見える油絵でも、名画と言われるものは色に濁りが無いものですよね。

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写真3番目は、龍村の絽の名古屋帯「風矢羽」を合わせてみました。紺色の地色で、着物の色に対しては同系色の濃淡という関係になります。模様は水平方向で、着物の模様とシンクロします。その2点からこの帯合わせを選んでみました。

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写真4番目は、龍村の絽の名古屋帯「涼玉文」を合わせてみました。龍村の帯の意匠の中でも、個性があって芸術性が高いと思う作品なので、やはり芸術性の高いこの着物に合わせてみました。青い浜辺に赤紫や黄色の宝石が散らばっているイメージです。

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写真5番目は、龍村の絽の名古屋帯「爽音」を合わせてみました。楓が散る意匠ですが、タイトルに「楓」という字はなく「音」という字があります。葉が落ちる時の微かな音をテーマにした作品です。その微かな音が、日陰や林間を吹く風を連想させ、それが涼しげにつながっていくというテーマの作品です。「清山文」が「浜辺」を雄大な景色につなげたのに対し、ここでは葉1枚のミクロ方向につなげています。
[ 2013/11/10 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛の絽の付下げ(制作は中井亮)

第二千五百三十三回目の作品として、千切屋治兵衛の絽の付下げを紹介します。実際に制作したのは中井亮さんです。

今日紹介するのは「浜辺」というタイトルの作品です。京友禅のテクニックの1つである暈しを極めて、作品のメインテーマにしたものです。

鑑賞者は、京友禅の暈しの美しさに素直に驚嘆すればよいと思いますが、意外にも、この作品には「浜辺」という具象画のようなタイトルがついています。純粋な美術作品においても、作家が具象から抽象へと変わっていくときに、その過渡期の作品について、様式はすでに抽象ながら、具象を思わせるようなタイトルがついているものがありますね。

作者は中井淳夫さんの甥で、中井恭三さんの子である中井亮さんです。千切屋治兵衛でも人気で、商品が滞留することが無いとのことです。また、一般でもその良さを理解している人がいるようで、最近は問屋など介さず直接制作販売しているようです。京都の悉皆屋のシステムの中にいても、実力のある制作者はそういうことも可能になりつつあるようです。

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いちばん上の写真は前姿(マエミ+オクミ)

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2番目の写真は後姿

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写真3番目は袖

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写真4番目は近接です。

暈しの技術のすごさが作品の意義ですから、このブログでも近接写真を中心に載せてみました。しかし、地色もまた中井らしく美しい色です。鮮やかな水色で、濁りのない透明な色なのですが、不思議と派手にはならず、ただただ美しい色です。

「きれいな色」「華やかな色」「透明感のある色」を求めると、どうしても派手な若向きの色になりがちで、呉服の主な購買層とずれてしまいます。しかし、優れた作品は、地味であっても華やかで透明感のある色を持っているもので、このきれいな水色もまた、それほど若向け限定でもありません。

暈しの中に見える黄色と地色の水色のコントラストもきれいです。現代の日展で入選している日本画のような雰囲気になっています。
[ 2013/11/09 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

女の子のお宮参りの着物

第二千五百三十二回目の作品として、女の子のお宮参りの着物を紹介します。

今日紹介する女の子のお宮参りの着物は、10月8日(二千五百二回)の手描きの蘭花や10月22日(二千五百十五回)の雲形のような個性のあるものではなく、一般的なお宮参りの着物のうちの豪華なものです。

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いちばん上の写真は全体

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写真2番目は近接

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写真3番目はもっと近接です。

全体が型疋田で、肩から裾にかけて流れるような模様配置という、小袖から現代の訪問着までの定番のパターンです。写真3番目で分かるように、花の周囲には金糸のあしらい(刺繍)もあります。

このブログで紹介するばあいには、10月8日や10月22日のような個性のある作品の方が紹介のしがいがあるのですが、親戚みんなに写真を見せて、「変わってるね」と言われるのが嫌な人は、こういう着物が良いかもしれませんね。

織悦の紗の袋帯の帯合わせ

第二千五百三十一回目は、昨日紹介した織悦の紗の袋帯の帯合わせです。

袋帯ということで、基本はフォーマルですから絽や紗の付下げや訪問着に合わせます。この作品については、日本人に昔から愛されてきたる芒というモチーフですし、すっきりして都会的なデザインだと思います。

全く問題のない、良いことずくめに思えますが、絵画でも蒔絵でも陶画でもなく、和装である夏帯と思えば、いくつかの制約が見えてきます。

1つは、すっきりして都会的ということが災いして、重厚な絽の訪問着に対してはバランスが悪いということです。もう1つはもっとありがちなことですが、夏の着物は秋草のようなテーマが多いので、帯合わせの時に柄が重なってしまうということです。

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いちばん上の写真は、野口の紗の付下げを合わせてみました。小袖写しともいえる海浜模様です。塩釜(古代から中世の塩の製造法)も描かれていて)は、百人一首の定家の詩「来ぬ人をまつほの浦の夕なぎに 焼くや藻塩の身もこがれつつ」を連想させるので、江戸後期に流行った文芸モノともいえますね。ここでは、帯の芒と重なる秋草文を避けてみました。

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写真2番目は、千切屋治兵衛(実際の制作は村田さん)の絽の付下げと合わせてみました。雪輪いらしというテーマで、その雪輪の中に秋草と割り付け文が入っています。秋草でも隔離してしまえば大丈夫ということで、これも帯の芒と重ならない帯合わせです。

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写真3番目は、先日紹介した千切屋治兵衛(実際の制作は市川さん)の絽の付下げと合わせてみました。萩ということで、芒とは秋の七草の仲間ですね。同じ秋草とはいえ、下からスッスッと伸びてくる芒の意匠と、上から垂れてくる萩の意匠、形も雰囲気もすごく違うために、帯合わせとしては違和感がありません。

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写真4番目は、参考レベルでしかない帯合わせですが、千切屋治兵衛(実際の制作は野村さん)の単衣用の生紬の付下げと合わせてみました。芒どうしの組み合わせがどんな感じかご覧ください。芒の穂の模様が重なって、帯合わせとしてはおかしいはずですが、一瞬、見落としてしまいますね。
[ 2013/11/07 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

織悦の紗の袋帯

第二千五百三十回目の作品として、織悦の紗の袋帯を紹介します。

夏の紗の袋帯で、タイトルは「すすき」です。芒だけをテーマにしたシンプルな意匠の夏用の紗の袋帯です。西陣の帯とは、絹や金銀箔あるいはポリエステルの糸を縦横に使って、模様を表現する芸術です。視覚効果としてポリエステルが効果的と思えば、躊躇なくポリエステルを使うことからわかるように、その精神は伝統を守るというよりも創作ですね。

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いちばん上の写真は帯の幅を写真の幅として撮ったものです。

この帯は、織悦の袋帯としては、買いやすい値段のシンプルなものです。地の糸のほかには、芒の穂を表現するための青銀色の細く裁断されたポリエステルのフィルム、芒の葉を表現するための金色の細く裁断されたポリエステルのフィルムのみを使っています。

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写真2番目は、芒の穂の部分を拡大したもので、青銀色のフィルムを細く裁断して糸にしたものを使っています。よく見ると、紗の地の緯糸の上を通って、表面からよく見えて柄を形成する糸と、すでに柄を表現する役割を終え、地の糸の裏側を渡っていく、表面からは見えにくくなっている糸があります。

通常の織物の組織ならば、裏側を渡っていく糸は見えません。見える部分と見えない部分があって、初めて模様が構成されます。仮に、裏へ潜った糸が表面から見えてしまったら、舞台を降りて楽屋に戻った俳優が舞台の奥に透けて見えてしまっているのと同じです。

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この帯は紗の組織ですから、糸と糸の間に隙間があって、裏に潜った糸が見えてしまいます。とても都合が悪いことですが、むしろ、織悦はそれを逆用して、全体を金糸が見え隠れして光るような演出に利用しています。普通の帯であれば、地の組織に金糸を混ぜたような効果があるようです。写真3番目を見るとよくわかると思います。

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写真4番目は芒の葉の部分の拡大したもので、金色のフィルムを細く裁断して糸にしたものを使っています。これは完全に表に出て葉の模様を構成している部分です。この金糸も、裏に潜ると表面から不完全ながら見えてしまいますが、それにより地に金糸を混ぜたのと同じ効果になりますね。
[ 2013/11/06 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛の絽の付下げの帯合わせ

第二千五百二十九回目は、昨日に続いて先日紹介した千切屋治兵衛の絽の付下げの帯合わせです。

11月2日(二千五百二十六回)で紹介した千切屋治兵衛(市川さん)の絽の付下げ「衽付萩」を使った帯合わせですが、今日は龍村の名古屋帯を使ってみます。昨日に2番目の写真で、龍村の袋帯がちょっと重い感じがしたので、今日は名古屋帯で再挑戦です。

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いちばん上の写真は、「硝波文」というタイトルの名古屋帯を合わせています。龍村の帯のタイトルは、とても教養のある人が付けているようで、1つの漢字のイメージで意匠の意味を説明してしまうようなものが多いです。このばあい、「硝」の字からガラスに反射する光が波のように見えているのだろうと想像がつきます。
らしく、

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写真2番目は、「彩波」というタイトルの名古屋帯を合わせてみました。「彩波」というのは「いろは」と読ませて女の子の名前として流行っているようですね。言葉のイメージからすればもっと色が豊かで派手なイメージですが、ここでは波も静かですし、色も白に微妙に金糸が加えられている程度です。そのために、上の作品とは違い、タイトルに裏切られた感じがします。

私は「彩雲」を連想しました。太陽光が屈折して雲がほのかに色づいて見える現象ですね。複数の解釈を許すのもタイトルの奥深さでしょう。

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写真3番目は、「涼玉文」というタイトルの名古屋帯を合わせてみました。帯に帯締めの模様をつけるという、考えようによってはだまし絵のような意匠です。面白商品としてTシャツにネクタイの柄が描いてあるものがありますが、そんな感じでもありますね。

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写真4番目は、「光浪文」というタイトルの龍村の絽綴名古屋帯を合わせてみました。この意匠は、昭和4年にはじめて帯として発表された時、与謝野晶子が歌を添えたというものです。「うすき濃き色ある波の錦をば 帯にしたれば胸も高鳴る」ですね。

さてここまでは、着物と帯で植物文が重なることを避けてきました。実際のところ、植物文が重なったらどうなのか、萩どうしではさすがにおかしいが、他の植物だったら大丈夫なのか検証してみたいと思います。

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写真5番目は、「涼流文」というタイトルの名古屋帯を合わせてみました。睡蓮の池で魚影も見えますね。色としては絶妙に調和しているためか違和感は感じませんね。

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写真6番目は、「爽音」というタイトルの名古屋帯を合わせてみました。タイトルを「楓」という見た目の葉の形とせず、「音」にしているのが上手いですね。カサっという音が聞こえてくるようで、マンガのように描かれた葉の落ちる軌跡の意味も分かります。


[ 2013/11/05 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛の絽の付下げの帯合わせ

第二千五百二十八回目は、先日紹介した千切屋治兵衛の絽の付下げの帯合わせです。

11月2日(二千五百二十六回)で紹介した千切屋治兵衛(市川さん)の絽の付下げ「衽付萩」を使って帯合わせをしてみます。

10月20日(二千五百十八回)で紹介した藤岡さんの「線霞」の付下げと違うところは、「線霞」は横線だけの抽象画のような意匠だったので、植物文を自由に合わせることができたのに対し、こちらは「萩」と植物が特定されているので、モチーフが重ならないように注意が必要なことです。

色については、この付下げも単彩主義なので、多色の帯を合わせて華やかにするのも、同系色の帯を合わせて今っぽくするのも、黒い帯を合わせてメリハリを付けるのも自由です。

今回は、フォーマル使用ということで袋帯を合わせています。

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いちばん上の写真は、紫紘の袋帯「琳派秋草(菊と萩ですね)」の帯を合わせてみました。着物の単彩に対して帯は鮮やかな多色ということで良い組み合わせです。しかしながら帯の模様が、菊がメインとはいえ萩も含んでいます。気になるといえば気になる、大丈夫と言えば大丈夫。というところです。わざわざ買って合わせることはないですが、家にあれば合わせても良いというところでしょう。

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写真2番目は、龍村の絽の袋帯を合わせてみました。横段の抽象柄に見えますが、これは「御簾」をテーマにしたものです。着物の意匠が具象の植物文ですから、帯は抽象のように見える意匠という、理屈では正しい組み合わせです。

同時に、淡い色の着物に対し、黒に近い濃い地色の帯を合わせるメリハリ狙いの帯合わせでもあります。しかしながら、実際に写真を見ると、帯が重すぎる感じもしますね。都会的なあっさりした着物に対し、龍村の重いイメージが合わないのでしょうか。

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写真3番目は、龍村の絽の袋帯を合わせてみました。「古伊万里扇」というタイトルの、皿の縁を重ねて意匠化したものです。着物の植物文に対する帯の器物文様なので、柄が重なることもない、安全な帯合わせです。

色については、地色は同系ながら磁器の染付の藍色が多少のメリハリになるというバランスの良い組み合わせです。今回は龍村ながら、上の例ほど重すぎる雰囲気にはなっていません。重い雰囲気の帯を合わせる時は、反対色よりも同系色の方が良いということですね。

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写真4番目は、「若人の詩」というタイトルの若松をテーマにした帯を合わせてみました。着物も帯も植物文ということで重なりますが、草木も花も日本の文様の基本ですから、「植物文どうし」を避けようとすれば、うかつに着物も帯も買えなくなります。これぐらいは仕方がないのではないでしょうか。

色は白地で寒色系の模様ということで、完全な同系色ではないが反対色でもないというちょうど良いところですね。
[ 2013/11/04 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

象の縫い紋

第二千五百二十七回目の作品として、象の縫い紋を紹介します。私が発注したのは千切屋治兵衛、実際に刺繍をしたのは藤沢さんです。

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上の写真が今回の作品で、注文により無地の紬地に洒落紋として入れています。

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写真2番目は、以前、やはり注文により藤沢さんが制作してもらったものですが、お客さまから「紋と意識せず、作品として良ければ良い」という指示だったので自由につくっています。

2つを絵画的な作品として比べてみますと、下の作品の方が多少細部が凝っていて魅力的に見えます。しかし、じつは下の刺繍は、紋としての常識を超える大きさで、上品とは言えないかもしれません。

一方、上の作品は紋として入れているので、大きさも紋として常識的な大きさで、絵画的な面白さだけでなく、縫い紋が本来持つべきさりげなさや上品さを持っています。

配色の面から見ますと、以前の作品は象の全体を金糸のまつい繍で縫い、象の装身具も金糸を遠慮なく使って華やかに仕上げています。しかし今回の作品は、着物が紬地ということもありますが、あくまで紋ですから、象の全体は生地と同色のまつい繍で、装身具だけを金糸併用にしています。

装身具部分も、今回の方がおとなしげに感じますが、じつは、どちらも色糸で渡り繍をした上に、金糸で割り付け文様繍をしているので、やっていることは同じなのです。

参考までに、値段については言えば、じつはどちらも同じです(足元の花は別)。写真として並べてみると下の方がお金がかかっていそうに見えますが、職人の手間として考えると、小さい方が仕事が細かくて難しいので、手間がかかっているからです。

注文で刺繍の訪問着を創るということは、すごい贅沢なようですが、職人さんが仕事をしやすい図案を描くなど工夫をすれば、多少効率よく創ることもできそうです。

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指示書です。





[ 2013/11/03 ] 繍箔 | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛の絽の付下げ

第二千五百二十六回目の作品として、千切屋治兵衛の絽の付下げを紹介します。実際に制作したのは市川和幸さんです。

今日紹介するのは「衽付萩」というタイトルの作品です。萩をテーマにした作品ですが、タイトル通り模様面積のうち衽(オクミ)にある部分の割合が高い図案です。

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いちばん上の写真は前姿(マエミ+オクミ)

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2番目の写真は後姿

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写真3番目は袖、

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写真4番目は近接です。

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写真5番目はもっと近接です

いちばん上の写真と、2番目の写真を見るとわかるように、縦長のすっきりした意匠です。前姿については、縦長の模様であるために、オクミにある部分の割合が多くなってるのです。

このような図案は、すっきりしたスタイルの人が格好良く着ると良いのでしょうか。それとも体形には関係ないのでしょうか。私はどちらでも良いように思います。ただ、模様の高さはチェックしたいです。

模様の上限である、スタート部分が、背が高い人が着ればおはしょりに入らず、背が低い人が着るとおはしょりに入ってしまうということであれば、背が低い人は着られないですね。しかし、だれが着てもおはしょりに入ってしまう高さであれば、それは作者の意図として、体形に関係なく着て欲しいということだと思います。

すっきりしたイメージの着物ですが、それは縦長の意匠だけでなく、ほとんど白揚げのみの単彩主義であることも影響しています。やはり、かっこいい着物ですね。

地色については「利久」と表記されています。ミントグリーンと思っても良いですし、青磁色と言っても良い色です。萩の葉自体は、自然の色に反し白揚げですが、そのかわりに地色で植物の色を表現しているとも見えますね。

また、萩は秋の七草ですから、絽でも夏後半の着物ですが、この爽やかな色のおかげで、七月でも着て良いような気がします。着る時期を延ばす効果ですね、実際に着る人には大事ですよね。
[ 2013/11/02 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛の絽の名古屋帯を使った帯合わせ

第二千五百二十五回目は、一昨日紹介した千切屋治兵衛の絽の名古屋帯を使った帯合わせです。

一昨日の千切屋治兵衛(実際の制作は藤岡さん)の「鈴蘭」をテーマにした名古屋帯を使った帯合わせをしてみました。帯の模様は、具象・植物文・丸紋ですから、それに対する着物は、抽象・直線模様ですんなり合うことになります。たとえば縞か格子ですね。織物でも染物でも良いと思います。

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いちばん上の写真は、秦荘花織の着尺を合わせてみました。丸紋の帯に対し、直線模様である格子の着物を合わせるという基本パターンですね。写真で見るかぎり、とてもおしゃれな帯合わせです。この秦荘花織は、白と黒とわずかな赤の格子に、沖縄の花織のような紋織を合わせたものですが、たいていの染め帯に使えます。

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写真2番目は、千切屋治兵衛の絽の生地の染縞の着尺を合わせてみました。丸紋の帯に対し、直線模様である縞を合わせるという基本パターンで、上の写真は織物と染物の組み合わせでしたが、ここでは染物どうしで合わせてみました。

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写真3番目は、千切屋治兵衛の絽の生地の市松模様の着尺を合わせてみました。上の2枚の写真と同じように、帯が丸紋であるのに対し、着物は市松という直線です。また市松の中身を見ると、型染による風景文様で、同じ具象とは言いながら帯の植物文とは違っています。

この程度の違いは意味が無いようにも思いますが、仮にこの着尺の市松の中の模様も帯と同じ植物文だったらどうか、と考えると、やはり風景文様の方がしっくりいきますから、人間の目はそういうところもチェックしているのだと思います。

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写真4番目は、野口の紗の着尺を合わせてみました。着尺の飛び柄は薔薇の意匠ですから、植物文どうしということになってしまいます。ただし、この薔薇模様はなかなかわかりづらく、私自身がこのブログで初めて紹介した時は薔薇と分らず、草間彌生のカボチャのようなドットのある模様と解説していたぐらいですから、植物文と気づかず、なにげなく着られるかもしれません。
[ 2013/11/01 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)